JP7321781B2 - 有機無機複合粒子を含む樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、電子部品 - Google Patents
有機無機複合粒子を含む樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、電子部品 Download PDFInfo
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Description
そして、特許文献1には、低熱膨張性と強靭性を両立する方法として、エポキシ樹脂等の硬化性樹脂組成物中に無機フィラーとセルロースナノファイバー(CNFと略す場合がある)とを組み合せて充填する技術が開示されている。
硬化性樹脂と、有機無機複合粒子と、セルロースナノファイバーと、を含む、硬化性樹脂組成物であって、
前記有機無機複合粒子は、無機粒子と、無機粒子を被覆する有機ポリマーと、を含み、
前記有機無機複合粒子は、有機無機複合粒子の全質量に対して、0.1~15質量%の有機ポリマーで被覆されており、
前記有機ポリマーは、SP値が9.99以上である原料モノマーからなることを特徴とする、硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化性樹脂と、有機無機複合粒子と、セルロースナノファイバーと、を含む。
また、本発明の製造方法において、用いられる原料モノマーのSP値は、Fedorsの方法により算出することができる。
本発明にかかる硬化性樹脂は、特に限定されず、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂とを混合した熱光硬化性樹脂とすることができる。
本発明にかかるエポキシ樹脂は、本発明の硬化を阻害しない限りにおいて、特に限定されず、従来公知のものをいずれも使用することができる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、水添(ビスフェノール)型樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ樹脂、エポキシ変性のポリブタジエンゴム誘導体、CTBN変性エポキシ樹脂、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、フェニル-1,3-ジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコール又はプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどのエポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、硬化物の高靭性化の観点から、分子構造中のエポキシ基が2つであるエポキシ樹脂がより好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂の硬化剤を含んでもよい。
本発明にかかる光硬化性樹脂は、特に限定されない。光硬化性樹脂としては、例えば、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、メラミン樹脂、(メタ)アクリル-スチレン共重合体、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ベンゾグアナミン-メラミンホルムアルデヒド、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、架橋(メタ)アクリル系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂、架橋ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、有機無機複合粒子を含む。
本発明において用いられる無機粒子は、その表面が修飾されていない無機粒子を意味する。一般的に、表面が修飾されていない無機粒子は、その表面の極性が十分に高く、親水性を示す。無機粒子としては、例えば、シリカ、結晶性シリカ、ノイブルグ珪土、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ガラス粉末、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、非繊維状ガラス、ハイドロタルサイト、ミネラルウール、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、ジルコン酸カルシウム、酸化亜鉛、はんだ粒子、銀粉、銅粉等の無機粒子を用いることができる。中でも、ソルダーレジストや封止材等の電子材料においては、熱寸法安定性や誘電特性に優れるシリカや、熱伝導性に優れる酸化アルミニウム、窒化ホウ素等を用いることが好ましい。また、シリカや酸化アルミニウムとしては、組成物中への充填性を向上させる観点から、球状シリカ、ジルコン酸カルシウム、球状酸化アルミニウムであることがより好ましい。
本発明にかかる無機粒子を被覆する有機ポリマーは、SP値が9.99以上である原料モノマーからなることを特徴とする。そのため、無機粒子を被覆する有機ポリマー及び有機無機複合粒子の表面は原料モノマーのSP値と近しくなる。その結果、硬化性樹脂組成物の硬化物中において、有機無機複合粒子及びセルロースナノファイバーの分散性が向上し、硬化物は低熱膨張性、強靭性を得ることができる。
本発明の有機無機複合粒子の製造方法として、特に限定されない。例えば、特開2016-180121号公報に開示されている、リビング重合であるRAFT重合による方法を用いることができる。また、別の方法について、下記に詳述する。
<有機溶剤>
本製造方法において用いられる有機溶剤は、そのSP値は7.0~12.0の範囲にあるものを好適に用いる。具体的には、トルエン(SP値9.14)、メチルエチルケトン(SP値9.9)、PMA(SP値9.25),酢酸エチル(SP値9.1)、カルビトールアセテート(SP値9.98)、シクロヘキサノン(SP値8.56)、アセトン(SP値10.0)、1-プロパノール(SP値11.84)等を挙げることができる。これらは単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。中でも、トルエン及び酢酸エチルは、ラジカル重合反応を妨げ無いことから好ましい。
本製造方法において用いられる原料モノマーは、上述した(メタ)アクリル系モノマー等のラジカル重合性反応基を有するモノマーであり、SP値が9.99以上であるラジカル重合性モノマーを少なくとも含む。
(ラジカル重合性モノマーのSP値)-(有機溶剤のSP値)≧0.5
本発明において用いられるラジカル重合開始剤は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されず、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤等を用いることができる。ラジカル重合開始剤は、熱や紫外線により活性種(フリーラジカルとも称す)を発生し、前記ラジカル重合性モノマーを重合反応させ、ポリマーを容易に形成することができる。ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて、使用することができる。
本発明の有機無機複合粒子の製造方法の更なる好適例は、有機溶剤と、被覆ポリマーの原料となるラジカル重合性モノマーと、該モノマーを重合させる重合開始剤と、を含む処理溶液中に無機粒子を浸漬し、好ましくは撹拌することで、前記無機粒子の表面に前記ラジカル重合性モノマーを吸着させる工程を含むことを特徴とする。
(ラジカル重合性モノマーのSP値)-(有機溶剤のSP値)≧0.5
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、セルロースナノファイバー(以降、CNFと略す場合がある)を含む。セルロースナノファイバーのSP値は、後述する解繊方法や修飾方法によって変化するが、13.0~19.0の範囲になり、親水性を示すことから、同様に親水性である無機粒子の表面に吸着し易く、凝集の原因となる。しかしながら、本発明の有機無機複合粒子によれば、凝集が抑制されると共に、組成物中の有機無機複合粒子及びセルロースナノファイバーの分散性が向上し、硬化物は低熱膨張性、強靭性を実現することができる。
本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、用途に応じて、上述した必須成分以外のその他の成分、例えば、慣用の添加物を添加することができる。その他の慣用の添加物としては、特に限定されないが、例えば、樹脂及びエラストマー、硬化触媒、着色剤、分散剤、消泡剤・レベリング剤、揺変剤、カップリング剤、難燃剤などが挙げられる。また、本発明にかかる硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤などを含んでいてもよい。
樹脂及びエラストマーとしては上述の硬化性樹脂及び硬化剤以外の樹脂成分であり、不飽和ポリエステル樹脂、アクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ノルボルネン系樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアゾメチン樹脂、ブロック共重合体、天然ゴム、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
硬化触媒は、硬化性樹脂のうち、主に熱硬化性樹脂を硬化させるためのものであり、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物;アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物、ジメチルアミノピリジンなどが挙げられる。また、市販品としては、例えば、2MZ-A、2MZ-OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(四国化成工業(株)製)、U-CAT3503N、U-CAT3502T、DBU、DBN、U-CATSA102、U-CAT5002(サンアプロ(株)製)などが挙げられ、単独で、又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また同様に、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体を用いることもできる。これらの硬化触媒は、単独又は混合して用いることができる。
着色剤としては、着色顔料や染料等としてカラーインデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyers and Colourists)発行)番号が付されているものを挙げることができる。例えば、赤色着色剤としては、モノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系などがある。青色着色剤としては、フタロシアニン系、アントラキノン系などがあり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物を使用することができる。これら以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。緑色着色剤としては、同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系がある。これら以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等がある。白色着色剤としては、ルチル型又はアナターゼ型酸化チタンなどが挙げられる。黒色着色剤としては、カーボンブラック系、黒鉛系、酸化鉄系、チタンブラック、酸化鉄、アンスラキノン系、酸化コバルト系、酸化銅系、マンガン系、酸化アンチモン系、酸化ニッケル系、ペリレン系、アニリン系、硫化モリブデン、硫化ビスマスなどがある。その他、色調を調整する目的で紫、オレンジ、茶色などの着色剤を加えてもよい。
分散剤としては、ポリカルボン酸系、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合系、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸部分アルキルエステル系、ポリエーテル系、ポリアルキレンポリアミン系等の高分子型分散剤、アルキルスルホン酸系、四級アンモニウム系、高級アルコールアルキレンオキサイド系、多価アルコールエステル系、アルキルポリアミン系等の低分子型分散剤等が使用でき、十分な分散効果が得られ、さらに硬化物の良好な塗膜特性を得ることができる。
消泡剤・レベリング剤としては、シリコーン、変性シリコーン、鉱物油、植物油、脂肪族アルコール、脂肪酸、金属石鹸、脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等の化合物等が使用でき、ボイドの発生を防止することができ、また、被着体との密着性がより良好となる。
揺変剤としては、微粒子シリカ、シリカゲル、不定形無機粒子、ポリアミド系添加剤、変性ウレア系添加剤、ワックス系添加剤などが使用でき、硬化性樹脂組成物の成膜性が良好となり、塗膜の被着体への密着性が優れたものとなる。
カップリング剤としては、アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、アセチル等であり、反応性官能基としてビニル、メタクリル、アクリル、エポキシ、環状エポキシ、メルカプト、アミノ、ジアミノ、酸無水物、ウレイド、スルフィド、イソシアネート等である、例えば、ビニルエトキシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル・トリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシラン等のビニル系シラン化合物、γ-アミノプロピルトリメトキシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シラン化合物、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ系シラン化合物、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト系シラン化合物、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のフェニルアミノ系シラン化合物等のシランカップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイル化チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラ(1,1-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス-(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等のチタネート系カップリング剤、エチレン性不飽和ジルコネート含有化合物、ネオアルコキシジルコネート含有化合物、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデシル)ベンゼンスルホニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ジオクチル)ホスフェートジルコネート、ネオアルコキシトリス(ジオクチル)ピロホスフェートジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノ)エチルジルコネート、ネオアルコキシトリス(m-アミノ)フェニルジルコネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル)ブチル,ジ(ジトリデシル)ホスフィトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリネオデカノイルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ドデシル)ベンゼン-スルホニルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ジオクチル)ホスファトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(ジオクチル)ピロ-ホスファトジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(N-エチレンジアミノ)エチルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリ(m-アミノ)フェニルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリメタクリルジルコネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ,トリアクリルジルコネート、ジネオペンチル(ジアリル)オキシ,ジパラアミノベンゾイルジルコネート、ジネオペンチル(ジアリル)オキシ,ジ(3-メルカプト)プロピオニックジルコネート、ジルコニウム(IV)2,2-ビス(2-プロペノラトメチル)ブタノラト,シクロジ[2,2-(ビス2-プロペノラトメチル)ブタノラト]ピロホスファト-O,O等のジルコネート系カップリング剤、ジイソブチル(オレイル)アセトアセチルアルミネート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミネート系カップリング剤等が使用でき、基材との密着性の向上や、硬化物の硬度の向上が見込める。
難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属系、赤燐、燐酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ホウ酸亜鉛、錫酸亜鉛、モリブデン化合物系、臭素化合物系、塩素化合物系、燐酸エステル、含燐ポリオール、含燐アミン、メラミンシアヌレート、メラミン化合物、トリアジン化合物、グアニジン化合物、シリコンポリマー等が使用でき、硬化物の自己消火性、耐熱性を高いレベルでバランスよく達成できる。
有機溶剤としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及び上記グリコールエーテル類のエステル化物などのエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤等を挙げることができる。
本発明にかかるドライフィルムは、上述した硬化性組成物を基材に塗布又は含浸し、乾燥して得られる樹脂層である。
硬化物は、上述した硬化性組成物(ドライフィルムに含まれる樹脂層を含む)を硬化することで得られる。
このような硬化物は、優れた機械特性、耐熱性、透明性を有するため、電子部品用等に使用可能である。特に、層間絶縁膜やソルダーレジストドライフィルムとしてプリント配線板に用いられる。
各実施例及び比較例で用いるセルロースナノファイバーと、その分散液の作製方法を示す。
広葉樹の漂白クラフトパルプ(CENIBRA社製)繊維100gを9900gのイオン交換水で十分に攪拌した後、このパルプ質量100gに対し、TEMPO(ALDRICH社製、Free radical、98質量%)1.25質量%、臭化ナトリウム12.5質量%、次亜塩素酸ナトリウム28.4質量%をこの順で添加した。pHスタッドを用い、0.5M水酸化ナトリウムを滴下してpHを10.5に保持した。反応を120分(20℃)行った後、水酸化ナトリウムの滴下を停止し、酸化パルプを得た。イオン交換水を用いて得られた酸化パルプを十分に洗浄し、次いで脱水処理を行い固形分30.4%の酸化パルプを得た。
得られた105.3gの酸化パルプを、1000gのイオン交換水で希釈し、濃塩酸を346g加えて、酸化パルプ固形分濃度2.34wt%、塩酸濃度2.5Mの分散液に調製し、10分間還流させた。次いで酸化パルプを十分に洗浄し、固形分41%の酸加水分解TEMPO酸化パルプを得た。その後、酸化パルプ0.88gとイオン交換水35.12gを高圧ホモジナイザーを用いて150MPaで微細化処理を10回行い、カルボキシル基含有微細セルロース繊維分散液(固形分濃度5.0質量%)を得た。この微細セルロース繊維の平均繊維径は11.0nm、平均繊維長は187nm、平均アスペクト比は17、カルボキシル基含有量は1.1mmol/gであった。
次いで、マグネティックスターラー、攪拌子を備えたビーカーに、上記微細セルロース繊維分散液を仕込んだ。続いて、ドデシルアミンを、微細セルロース繊維のカルボキシル基1molに対してアミノ基1.2molに相当する量、4-メチルモルホリン0.34g、縮合剤である4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロライド(以下DMT-MMと称す)を1.98g仕込み、N,N-ジメチルホルムアミド(以下DMFと称す)300g中に溶解させた。反応液を室温(25℃)で14時間反応させた。反応終了後ろ過し、エタノールにて洗浄、DMT-MM塩を除去し、DMFで洗浄及び溶媒置換することで、微細セルロース繊維に、脂肪族炭化水素基がアミド結合を介して連結したCNF・DMF分散液を得た。得られたCNF・DMF分散液の固形分濃度は2.2質量%であった。
・原料
シリカ粒子(株式会社アドマテックス製SQ-C6、平均粒径500nm):15g
トルエン(富士フィルム和光純薬工業社製、SP値9.14):40g
2-ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成工業社製、SP値12.45):0.16g
アゾ重合開始剤V-65(富士フィルム和光純薬工業社製、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)):15mg
ベンジルドデシルトリチオカーボネート:150mg
密閉攪拌及び外部より注入できる反応容器に、上記原料のシリカ粒子15g、トルエン30g、4-ヒドロキシエチルアクリレート0.16gを入れて容器内を窒素置換しながら一時間攪拌した。次にアゾ重合開始剤15mgとベンジルドデシルトリチオカーボネート150mgを10gのトルエンに溶解して反応容器に入れて、窒素を導入しながら30分攪拌したのち、密閉して攪拌しながら45℃の温度にして、30時間重合させた。ろ過により反応物を取り出し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(三共化学株式会社製)により洗浄を行い、残留しているモノマー及び無機粒子表面を被覆していないポリマーを完全に除去したのち、80℃の乾燥炉内で5時間乾燥させ、2-ヒドロキシエチルアクリレートの重合体で被覆された無機粒子である有機無機複合粒子1を得た。なお、該有機無機複合粒子をFT-IR測定することにより、カルボニル基由来のピークを確認し、無機粒子が、2-ヒドロキシエチルアクリレート重合体で被覆されていることを確認した。また、該有機無機複合粒子をTG/DTA測定し、重量減少より2-ヒドロキシエチルアクリレートの95質量%が重合し、有機無機複合粒子の全質量に対して、有機ポリマーが1.0質量%被覆していることを確認した。
有機無機複合粒子の作製において、2-ヒドロキシアクリレート、アゾ重合開始剤V-65、ベンジルドデシルトリチオカーボネートの添加量を表1に記載の量に変更したほかは、有機無機複合粒子1と同様にして、有機無機複合粒子2~5、7を得た。また、得られた有機無機複合粒子の2-ヒドロキシエチルアクリレートの重合率と有機ポリマーの被覆率について表1中に示す。
有機無機複合粒子1に用いている2-ヒドロキシアクリレートをグリシジルメタクリレートに変更し、グリシジルメタクリレート、アゾ重合開始剤V65、ベンジルドデシルトリチオカーボネートの添加量を表2に記載の量に変更し、有機無機複合粒子1と同様にして、有機無機複合粒子8~12、14を得た。また、得られた有機無機複合粒子のグリシジルメタクリレートの重合率と有機ポリマーの被覆率について表2中に示す。
・原料
シリカ粒子(株式会社アドマテックス製SQ-C6、平均粒径500nm):15g
トルエン(富士フィルム和光純薬工業社製、SP値9.14):36g
2-ヒドロキシエチルアクリレート(東京化成工業社製、SP値12.45):0.47g
アゾ重合開始剤V65(富士フィルム和光純薬工業社製、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)):42mg
上記原料のトルエン、2-ヒドロキシエチルアクリレート、アゾ重合開始剤を容器に計り取り、撹拌して処理溶液を準備し、次いで、別に計量した上記原料のシリカ粒子を処理溶液中に浸漬し、窒素雰囲気下、60℃で、20時間反応させた。ろ過により反応物を取り出し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(三共化学株式会社製)により洗浄を行い、残留しているモノマー及び無機粒子表面を被覆していないポリマーを完全に除去したのち、80℃の乾燥炉内で5時間乾燥させ、2-ヒドロキシエチルアクリレートの重合体で被覆された無機粒子である有機無機複合粒子1を得た。なお、該有機無機複合粒子をFT-IR測定することにより、カルボニル基由来のピークを確認し、無機粒子が、2-ヒドロキシエチルアクリレート重合体で被覆されていることを確認した。また、該有機無機複合粒子をTG/DTA測定し、重量減少より重合に用いた2-ヒドロキシエチルアクリレートの97%が重合し、有機無機複合粒子の全質量に対して、有機ポリマーが3.0質量%被覆していることを確認した。
有機無機複合粒子6に用いている2-ヒドロキシアクリレートをグリシジルメタクリレートに変更したほかは、同様にして、有機無機複合粒子13を得た。また、得られた有機無機複合粒子のグリシジルメタクリレートの重合率と有機ポリマーの被覆率について表2中に示す。
各実施例及び比較例の硬化性樹脂組成物は、下記の表3及び表4中の記載に従って、各成分を配合撹拌後、3本ロールミルを用いて混錬し、各組成物を調製した。表1中の数値は、固形分としての質量部を示す。
厚さ38μmのPETフィルムに、アプリケーターを用いて硬化後の膜厚が40μmとなるように各実施例及び比較例の組成物を塗布し、熱風循環式乾燥炉にて90℃で10分間乾燥させて、各組成物の樹脂層を有するドライフィルムを得た。その後、厚さ18μmの銅箔に真空ラミネータにて90℃、圧力0.5MPaの条件で60秒間圧着して各組成物の樹脂層をラミネートして、PETフィルムを剥がした。次いで、熱風循環式乾燥炉にて180℃30分加熱して硬化させ、銅箔から剥がして、各組成物の硬化物からなるフィルムサンプルを得た。得られたフィルムサンプルを、3mm幅×30mm長にカットし、熱膨張率測定用試験片とした。
各実施例及び比較例の組成物について、熱膨張率評価において作製した硬化塗膜を、5mm×5cmに裁断して評価用試験片を作製した。この試験片について、島津製作所製小型卓上試験機EZ-SXを用い、引張速度10mm/分にて応力[MPa]と伸び[%]を測定した。
破断点の応力[MPa]が、95MPa以上のものを◎、85MPa以上95MPa未満のものを〇、85MPa以上75MPa未満のものを△、75MPa未満のものを×として評価した。また、破断点の伸び[%]が5%以上のものを◎◎、4%以上5%未満のものを◎、3%以上4%未満のものを◎、3%未満のものを×として評価した。その結果を表3及び表4に示した。
各実施例及び比較例の組成物について、HITACHI製IM4000PLUSイオンミリング装置を用いて、熱膨張率評価において作製した硬化塗膜の断面出しを行い、メイワフォーシス製カーボンコーターCADEを用いて断面に2nmのカーボン膜をコートした。この試料をJEOL製JSM-6010PLUS/LV走査電子顕微鏡を用いて加速電圧10kVで観察し分散性を評価した。分散性の評価は、図1(a)~(d)の各写真を基準として、各硬化膜サンプルの破断面写真を比較して、一番近いものをその分散性とした。その結果を下記の表3及び表4に示した。
◎:図1(a)と同程度のもの
○:図1(b)と同程度のもの
△:図1(c)と同程度のもの
×:図1(d)と同程度のもの
*2 フェノール樹脂:HF4M 明和化成(株)製 フェノールノボラック樹脂
*3 硬化触媒:2E4MZ
*4 無機粒子:アドマファインSO-C2 (株)アドマテックス製
*5 カップリング剤処理無機粒子:アドマファインSV-C2 (株)アドマテックス製、0.02質量%のビニル被覆
Claims (4)
- 硬化性樹脂と、有機無機複合粒子と、セルロースナノファイバーと、を含む、硬化性樹脂組成物であって、
前記有機無機複合粒子は、無機粒子と、無機粒子を被覆する有機ポリマーと、を含み、
前記有機無機複合粒子は、有機無機複合粒子の全質量に対して、0.1~15質量%の有機ポリマーを含み、
前記有機ポリマーは、SP値が9.99以上である原料モノマーからなり、
前記硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含み、
前記原料モノマーは、(メタ)アクリル系モノマーを含むことを特徴とする、硬化性樹脂組成物。 - 基材上に、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥してなる樹脂層を有することを特徴とする、ドライフィルム。
- 請求項1に記載の硬化性樹脂組成物又は請求項2の樹脂層を、硬化してなることを特徴とする、硬化物。
- 請求項3に記載の硬化物を備えることを特徴とする、電子部品。
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