JP2020164572A - 水系プライマーインク、インクセット及び印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コート紙、上質紙、アート紙等の特定の吸収性白色基材に対して良好な印刷を行うことを可能にする水系プライマーインクを提供する。【解決手段】少なくとも顔料、水、樹脂、及び有機溶剤を含む水系プライマーインクであって、吸収性白色基材への印刷用であり、該水系プライマーインクにより印刷された基材上の印刷面は、印刷を行う前の基材の面との色差(ΔE)が10.0以内となることを特徴とする水系プライマーインクである。【選択図】なし
Description
本発明は、水系プライマーインク、該水系プライマーインクを備えるインクセット及び該インクセットを用いた印刷方法に関し、特には、コート紙、上質紙、アート紙等の特定の吸収性白色基材に対して良好な印刷を行うことを可能にする水系プライマーインクに関するものである。
インクジェットプリンタによる印刷に用いるインクとしては、様々なインクが開発されているが、環境負荷を低減する観点から、水系インクが広く使用されている。しかしながら、水系インクは溶媒として水を含むため、印刷の際に滲みを発生させる傾向がある。印刷により形成される印刷層の滲みを改善する方法としては、例えば、着色インクを凝集させる作用を有する処理液を併用する手法が知られている(例えば、特開平6−57192号公報及び特開2009−190379号公報)。このような処理液と着色インクを組み合わせた水系インクセットは、2液反応型水系インクセットとも称される。
2液反応型水系インクセットに関して、特開2017−222793号公報は、水系着色インクと水系コーティング液とを含むインクセットであって、前記水系着色インクが、水、自己分散性顔料、水溶性溶剤及び樹脂を含み、前記水系コーティング液が、水、水溶性溶剤及び樹脂を含み、該水系コーティング液中に含まれる樹脂が第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーを含み、該水系コーティング液のpHが7.1〜10.0の範囲内にあることを特徴とするインクセットを記載する。
特許文献3に記載されるインクセットによれば、印刷層の滲みの発生及び印刷機器の腐食の発生を抑えると共に、光沢を低下させずに定着性が良好な印刷層を形成させることが可能なインクセットを提供することができる。
しかしながら、本発明者が更に検討を進めたところ、特許文献3に記載されるような水系インクセットは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の非吸収性基材への印刷には十分に対応可能であったが、コート紙、上質紙、アート紙等の特定の吸収性基材に対しては良好な印刷を行うことができないといった問題があり、改善の余地があった。具体的には、PETフィルムへの印刷では、コーティング液はフィルム上で十分に濡れ広がるため、その後に印刷されるカラーインクを所定の位置に固定することが可能である。一方、コート紙への印刷では、コーティング液は基材に浸透してしまい、十分に濡れ広がることができない。この場合、コーティング液の凝集作用を十分に発揮できず、結果としてカラーインクを所定の位置に固定することができないといった問題があった。また、コーティング液が基材に浸透してしまうことで、基材に縮みや撓みが生じる場合もあった。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、コート紙、上質紙、アート紙等の吸収性白色基材に対して良好な印刷を行うことを可能にする水系プライマーインクを提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる水系プライマーインクを備えるインクセット及び該インクセットを用いた印刷方法を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、少なくとも顔料、水、樹脂、及び有機溶剤を含む水系インクを吸収性白色基材への印刷用のプライマーインクとして適用したことで、乾燥性に優れると共に、コーティング液が基材に浸透することを防ぐことができ、上述のような基材に対して良好な印刷を行うことできることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の水系プライマーインクは、少なくとも顔料、水、樹脂、及び有機溶剤を含む水系プライマーインクであって、吸収性白色基材への印刷用であり、該水系プライマーインクにより印刷された基材上の印刷面は、印刷を行う前の基材の面との色差(ΔE)が10.0以内となることを特徴とする。
本発明の水系プライマーインクの好適例においては、前記プライマーインク中における顔料の含有量が0.5〜6.0質量%である。
本発明の水系プライマーインクの他の好適例においては、前記顔料の平均粒子径(D50)が100nm以上500nm以下である。
本発明の水系プライマーインクの他の好適例においては、前記顔料が白色顔料を含む。
本発明の水系プライマーインクの他の好適例においては、前記有機溶剤が少なくとも2種類のアルカンジオール系溶剤を含む。
本発明の水系プライマーインクの他の好適例においては、前記樹脂がウレタン系樹脂粒子を含む。
本発明の水系プライマーインクの他の好適例においては、更に、少なくとも1種類のシリコーン系表面調整剤を含む。
本発明の水系プライマーインクの他の好適例において、前記水系プライマーインクは、25℃での表面張力値が28.0mN/m以下である。
本発明の水系プライマーインクの他の好適例において、前記水系プライマーインクは、25℃での表面張力値が21.0mN/m以上である。
また、本発明のインクセットは、上記の水系プライマーインクと、水系カラーインクを凝集させる作用を有する水系コーティング液と、水系カラーインクとを含むことを特徴とする。
また、本発明の印刷方法は、上記のインクセットを用いて印刷層を基材上に形成する印刷方法であって、水系プライマーインク、水系コーティング液及び水系カラーインクの印刷をこの順番で行い、基材上に印刷層を形成する工程を含み、前記基材が吸収性白色基材であることを特徴とする。
本発明の印刷方法の好適例においては、水系プライマーインクの印刷と水系コーティング液の印刷の間に乾燥工程を更に含む。
本発明の印刷方法の他の好適例においては、前記乾燥工程が70〜130℃で行われる。
本発明の水系プライマーインクによれば、コート紙、上質紙、アート紙等の吸収性白色基材に対して良好な印刷を行うことを可能にする水系プライマーインクを提供することができる。また、本発明のインクセットによれば、かかる水系プライマーインクを備えるインクセットを提供することができ、本発明の印刷方法によれば、かかるインクセットを用いた印刷方法を提供することができる。
以下に、本発明の水系プライマーインクを詳細に説明する。本発明の水系プライマーインクは、少なくとも顔料、水、樹脂、及び有機溶剤を含む水系プライマーインクであって、吸収性白色基材への印刷用であり、該水系プライマーインクにより印刷された基材上の印刷面は、印刷を行う前の基材の面との色差(ΔE)が10.0以内となることを特徴とする。
本明細書において「プライマーインク」とは、印刷を行う際に、何らかの改善効果を目的として最初に基材上に印刷されるインクである。本発明の水系プライマーインクを基材上に最初に印刷することで、コーティング液が基材に浸透することを防ぐことができる。これにより、コーティング液は基材上で十分に濡れ広がり、コーティング液の凝集作用を発揮し、結果としてカラーインクを所定の位置に固定することができるため、コート紙、上質紙、アート紙等の吸収性白色基材に対しても良好な印刷を行うことができる。
本明細書において「水系インク」とは、主溶媒として水を含有するインクである。
本発明の水系プライマーインクは、吸収性白色基材への印刷用のプライマーインクであり、特には水系カラーインクを凝集させる作用を有する水系コーティング液と水系カラーインクとを用いて吸収性白色基材へ印刷を行う際に適したプライマーインクである。
本発明の水系プライマーインクが印刷される基材は、吸収性を有する。本明細書において「吸収性を有する基材」とは、以下の簡易的な測定方法により判断できる。具体的には、基材に対して水10mgを落とし10秒経過した後にふき取りを行う。その際に、水が浸透した痕があるかどうかを確認し、水が浸透した痕が目視にて認識できれば、その基材を吸収性基材とする。吸収性基材は、本発明の水系プライマーインクによる印刷を行わずに、水系コーティング液による印刷を行うと、コーティング液が基材に浸透してしまうことによって、コーティング液の凝集作用を十分に発揮できず、結果としてカラーインクを所定の位置に固定できない場合や、基材に縮みや撓み、が生じる場合がある。
また、本発明の水系プライマーインクが印刷される基材は、白色基材である。本明細書において「白色基材」とは、少なくとも印刷面が白色である基材であり、ここで「白色」は、無彩色の白を指すが、それに限らずベージュやグレーなど多少色味が入ったオフホワイトも含まれる。
本発明において、吸収性白色基材の具体例としては、主として、コート紙(具体的には樹脂コート紙)、アート紙、キャスト紙、微塗工紙、上質紙、合成紙、インクジェット用紙等の紙基材等が挙げられるが、これら紙基材は、特にコーティング液の浸透により縮みや撓みを起こし易いため、本発明の水系プライマーインクによる印刷を行うことが重要となる。
本発明の水系プライマーインクは、基材が発色性に優れる白色基材であることから、この発色性を損なわずに、コーティング液が基材に浸透してしまうことを防ぐ観点から、該水系プライマーインクにより印刷された基材上の印刷面と、印刷を行う前の基材の面との色差(ΔE)が10.0以内、好ましくは5.0以内、より好ましくは3.0以内となるように調整されている。
なお、本明細書において、色差(ΔE)とは、L*a*b*表色系の色差であり、色差計(例えばX−Rite社製、CH−8105)により求めることができる。また、印刷面は100%ベタ印刷を行うことで形成される基材上の印刷面である。
なお、本明細書において、色差(ΔE)とは、L*a*b*表色系の色差であり、色差計(例えばX−Rite社製、CH−8105)により求めることができる。また、印刷面は100%ベタ印刷を行うことで形成される基材上の印刷面である。
本発明の水系プライマーインクは、水を含むが、イオン交換水や蒸留水等の純水、超純水等が好適に挙げられる。また、インクを長期保存する場合には、カビやバクテリアの発生を防止するため、紫外線照射等により滅菌処理した水を用いてもよい。本発明の水系プライマーインク中において、水の含有量は、20〜90質量%の範囲であることを例示することができるが、好ましくは50〜90質量%、更に好ましくは60〜80質量%の範囲内である。これによって、より環境への負荷の少ない水系プライマーインクを提供することができる。
本発明の水系プライマーインクは、顔料を含む。顔料としては、インクに通常使用されている顔料を使用できるが、色差を調整する観点から、白色顔料を使用することが好ましい。白色顔料の具体例としては、二酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。また、白色顔料等の着色顔料に加えて、シリカ、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料や、亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ハイドロカルマイト等の防錆顔料等も使用できる。なお、顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の水系プライマーインク中における顔料の含有量は、色差を調整する観点から、0.5〜6.0質量%であることが好ましい。また、顔料の含有量がこの範囲にあると、水系コーティング液がプライマーインク層上に印刷された際に、濡れ性が向上することに加え、水系コーティング液に対してプライマーインクに配合された顔料が浮き出る現象(白色顔料の場合は白ボケ現象という)を抑制することができる。これにより、カラーインクの固定や白ボケ現象などの防止を両立することができる。
本発明の水系プライマーインクは、顔料を含むため、乾燥性に優れるプライマーインクであるが、ここで、インクの乾燥性の観点から、顔料の平均粒子径(D50)は100nm以上500nm以下であることが好ましく、150nm以上400nm以下であることが更に好ましい。なお、顔料の平均粒子径(D50)が500nm以下であれば、インクの乾燥性を向上できると共に、インク中において顔料が沈降することを抑制することができる。
本明細書において、平均粒子径(D50)は、体積基準粒度分布の50%粒子径(D50)を指し、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えばSALD−7000:株式会社島津製作所社製)を用いて測定される粒度分布から求めることができる。そして、本発明における粒子径は、レーザ回折・散乱法による球相当径で表される。
本明細書において、平均粒子径(D50)は、体積基準粒度分布の50%粒子径(D50)を指し、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えばSALD−7000:株式会社島津製作所社製)を用いて測定される粒度分布から求めることができる。そして、本発明における粒子径は、レーザ回折・散乱法による球相当径で表される。
本発明の水系プライマーインクは、樹脂を含む。水系プライマーインクに使用できる樹脂は、特に限定されるものではなく、インク業界において通常使用されている樹脂を用いることができ、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ロジン樹脂、石油樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂等が挙げられる。これら樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記水系プライマーインクに使用できる樹脂は、自己分散性樹脂を含むことができる。自己分散性樹脂とは、界面活性剤や乳化剤を使用しなくても、インク中で分散状態を保つことができる樹脂であり、通常、スルホン酸又はその塩やカルボン酸又はその塩等の親水性基を末端又は側鎖に有するポリマーや、ポリカーボネート基、ポリエステル基、ポリエーテル基等の親水性基を主鎖に有するポリマー等が好適に使用される。これら自己分散性樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、自己分散性樹脂は、市販品を使用してもよい。
上記自己分散性樹脂は、耐擦過性、耐水性等の印刷層の性能を向上させる観点から、自己分散性ウレタン樹脂を含むことが好ましく、更に各種基材への高い付着性を付与する観点から、ポリエステル基又はポリエーテル基含有自己分散性ウレタン樹脂を含むことが更に好ましい。自己分散性樹脂中における自己分散性ウレタン樹脂の割合は、30〜100質量%であることが好ましい。
上記自己分散性ウレタン樹脂は、重量平均分子量が100,000〜1,000,000であることが好ましく、150,000〜750,000であることがより好ましく、200,000〜500,000であることが更に好ましい。上記自己分散性ウレタン樹脂の重量平均分子量が上記特定した範囲内にあれば、耐擦過性をより向上でき、強固な印刷層を形成することができる。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した値であり、標準物質にはポリスチレンが使用され、移動相にはテトラヒドロフランが使用される。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した値であり、標準物質にはポリスチレンが使用され、移動相にはテトラヒドロフランが使用される。
上記自己分散性ウレタン樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等のポリオール成分と、ポリイソシアネート成分と、任意に鎖伸長剤とを反応させて得ることができる。
ポリエステルポリオールとしては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリジエチレンアジペート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリヘキサメチレンイソフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート、ポリ−ε−カプロラクタムジオール及びポリ(3−メチル−1,5−ペンチレンアジペート)等を挙げることができる。ポリオール成分としてポリエステルポリオールを用いることで、ポリエステル基含有自己分散性ウレタン樹脂を得ることができる。このような樹脂は、インク中にて粒子の形態で分散していることから、本明細書においては、ポリエステルウレタン樹脂粒子とも称する。
ポリエーテルポリオールとしては、特に制限はなく、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール及びポリオキシエチレン・プロピレングリコール等を挙げることができる。ポリオール成分としてポリエーテルポリオールを用いることで、ポリエーテル基含有自己分散性ウレタン樹脂を得ることができる。このような樹脂は、インク中にて粒子の形態で分散していることから、本明細書においては、ポリエーテルウレタン樹脂粒子とも称する。
ポリカーボネートポリオールは、特に制限はなく、例えば、1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートポリオール、1,4−ブタンジオールポリカーボネートポリオール及びポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンカーボネートジオール等を挙げることができる。ポリオール成分としてポリカーボネートポリオールを用いることで、ポリカーボネート基含有自己分散性ウレタン樹脂を得ることができる。このような樹脂は、インク中にて粒子の形態で分散していることから、本明細書においては、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子とも称する。
なお、ポリオール成分としては、アクリルポリオール等を用いてもよい。
これらのポリオール成分は、1種を単独で使用することもでき、また2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ポリエーテルポリオールとしては、特に制限はなく、例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール及びポリオキシエチレン・プロピレングリコール等を挙げることができる。ポリオール成分としてポリエーテルポリオールを用いることで、ポリエーテル基含有自己分散性ウレタン樹脂を得ることができる。このような樹脂は、インク中にて粒子の形態で分散していることから、本明細書においては、ポリエーテルウレタン樹脂粒子とも称する。
ポリカーボネートポリオールは、特に制限はなく、例えば、1,6−ヘキサンジオールポリカーボネートポリオール、1,4−ブタンジオールポリカーボネートポリオール及びポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンカーボネートジオール等を挙げることができる。ポリオール成分としてポリカーボネートポリオールを用いることで、ポリカーボネート基含有自己分散性ウレタン樹脂を得ることができる。このような樹脂は、インク中にて粒子の形態で分散していることから、本明細書においては、ポリカーボネートウレタン樹脂粒子とも称する。
なお、ポリオール成分としては、アクリルポリオール等を用いてもよい。
これらのポリオール成分は、1種を単独で使用することもでき、また2種以上を組み合わせて使用することもできる。
ポリイソシアネート成分としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びノルボルナンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物が挙げられる。これらのポリイソシアネート成分の中でも、好ましくは、キシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)又はノルボルナンジイソシアネートである。これらのポリイソシアネート成分は、1種を単独で使用することもでき、あるいは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
鎖伸長剤としては、例えば、低分子量の多価アルコール及び低分子量のポリアミンを挙げることができる。低分子量の多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジメチロールブタン酸及びジメチロールプロピオン酸等のジメチロールアルカン酸類等が挙げられる。低分子量のポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノシクロヘキシルメタン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びイミノビスプロピルアミン等が挙げられる。これらの鎖伸長剤は、1種を単独で使用することもでき、また2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の水系プライマーインクは、ポリエーテルウレタン樹脂粒子、ポリエステルウレタン樹脂粒子等のウレタン系樹脂粒子を含むことが好ましい。ウレタン系樹脂粒子を用いることで、コーティング液がプライマーインク層上に印刷されるまでの間にプライマーインク層の顔料が基材に吸収されることを抑制することができ、これによりコーティング液の浸透を抑制する効果を向上させることができる。また、ウレタン系樹脂粒子を含むインクは、印刷層の耐擦過性を向上させることもできる。
上記自己分散性樹脂は、インク中で分散しており、粒子の形態にある。ここで、上記自己分散性樹脂は、平均粒子径(D50)が10nm〜90nmであることが好ましく、20nm〜70nmであることがより好ましく、30nm〜60nmであることが更に好ましい。上記特定した範囲内の平均粒子径であれば、自己分散性樹脂の分散状態が良く保存安定性に優れるインクを調製できる。
本発明において、平均粒子径(D50)は、体積基準粒度分布の50%粒子径(D50)を指し、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えばSALD−7000:株式会社島津製作所社製)を用いて測定される粒度分布から求めることができる。そして、本発明における粒子径は、レーザ回折・散乱法による球相当径で表される。
本発明において、平均粒子径(D50)は、体積基準粒度分布の50%粒子径(D50)を指し、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えばSALD−7000:株式会社島津製作所社製)を用いて測定される粒度分布から求めることができる。そして、本発明における粒子径は、レーザ回折・散乱法による球相当径で表される。
上記自己分散性樹脂は、その酸価が5.0〜60.0であることが好ましい。上記特定した範囲内の酸価であれば、分散性を向上させることができる。本明細書において、樹脂の酸価とは、樹脂1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を意味する。
本発明の水系プライマーインクは、樹脂の含有量は、1〜10質量%であることが好ましい。また、上記樹脂に占める自己分散性樹脂の割合は、50質量%以上であることが好ましい。
本発明の水系プライマーインクは、有機溶剤を含む。本発明の水系プライマーインクに使用できる有機溶剤は、特に限定されるものではなく、インク業界において通常使用されている有機溶剤を用いることができる。本発明の水系プライマーインク中において、有機溶剤の含有量は、5〜49質量%であることを例示することができるが、好ましくは5〜35質量%、更に好ましくは10〜35質量%、特に好ましくは15〜35質量%の低い範囲内で調整することもできる。これによって、より環境への負荷の少ない水系プライマーインクを提供することができるとともに、塗膜内に有機溶剤が残りにくくなることから、耐擦過性等の膜物性が向上しやすくなる。なお、有機溶剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の水系プライマーインクは、有機溶剤が水溶性有機溶剤を含むことが好ましく、少なくとも1種類のアルカンジオール系溶剤、特には少なくとも2種類のアルカンジオール系溶剤を含むことが更に好ましい。アルカンジオール系溶剤を用いることで、インクジェットプリンタ等の印刷機器の吐出部分(特にプリントヘッド)でのインクの乾燥を防ぎ、結果としてインクの保存安定性、濡れ性及び吐出安定性を向上させることができる。本発明の水系プライマーインク中において、アルカンジオール系溶剤の含有量は、5.0〜40.0質量%であることが好ましい。
本発明の水系プライマーインクにおいて、有機溶剤としては、アルカンジオール系溶剤の他、インクの吐出安定性、濡れ性及び保存安定性を良好にする観点から、グリコールエーテル系溶剤、三〜五員環のラクトン系溶剤、及びアミド系溶剤が好適に挙げられる。
アルカンジオール系溶剤は、2つの水酸基を有する非環系飽和炭化水素であり、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等が挙げられる。これらの中でも、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオールが好ましい。
グリコールエーテル系溶剤の具体例としては、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールペンチルエーテル、エチレングリコールヘキシルエーテル、エチレングリコールシクロヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、エチレングリコールターシャリブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールペンチルエーテル、ジエチレングリコールヘキシルエーテル、ジエチレングリコールシクロヘキシルエーテル、ジエチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールプロピルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールペンチルエーテル、トリエチレングリコールヘキシルエーテル、トリエチレングリコールシクロヘキシルエーテル、トリエチレングリコールフェニルエーテル、トリエチレングリコールベンジルエーテル及びトリエチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールエーテル類、並びにプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールペンチルエーテル、プロピレングリコールヘキシルエーテル、プロピレングリコールシクロヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールペンチルエーテル、ジプロピレングリコールヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールシクロヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールペンチルエーテル、トリプロピレングリコールヘキシルエーテル及びトリプロピレングリコールシクロヘキシルエーテル等のプロピレングリコールエーテル類等が挙げられる。これらの中でも、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、エチレングリコールターシャリブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル及びトリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
三〜五員環のラクトン系溶剤は、−C(=O)−O−を一部に含むラクトン環を有する化合物のうち、環を構成する原子数が3である三員環、原子数が4である四員環又は原子数が5である五員環の化合物である。具体例としては、α−アセトラクトン、β−プロピオンラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。これらの中でも、γ−ブチロラクトンが好ましい。
アミド系溶剤は、非環状のアミド化合物が好ましく、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、スルファニルアミド、トルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ペントキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ヘキソキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ヘプトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−2−エチルヘキソキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−オクトキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−ブトキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−ペントキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−ヘキソキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−ヘプトキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−オクトキシプロピオンアミド等が挙げられる。これらの中でも、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−ブトキシプロピオンアミドが好ましい。
本発明の水系プライマーインクは、表面張力値を調整する観点から、表面調整剤を含むことが好ましい。表面調整剤としては、シリコーン系表面調整剤、アクリル系表面調整剤、ビニル系表面調整剤、フッ素系表面調整剤及びアセチレングリコール系表面調整剤等が挙げられるが、少なくとも1種類のシリコーン系表面調整剤を含むことが好ましく、シリコーン系表面調整剤及びアセチレングリコール系表面調整剤の両方を含むことが更に好ましい。ここで、シリコーン系表面調整剤とアセチレングリコール系表面調整剤の両方を含む場合、シリコーン系表面調整剤(A)とアセチレングリコール系表面調整剤(B)の質量比(A:B)は、5:1〜1:5であることが好ましく、3:1〜1:3であることが更に好ましい。
シリコーン系表面調整剤の具体例としては、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリエスエル変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性水酸基含有ポリシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリシロキサン等が挙げられ、BYK−Chemie社、信越化学工業社等から市販される商品が容易に入手可能である。
アセチレングリコール系表面調整剤は、アセチレン基と2つの水酸基を有する界面活性剤であり、例えば、下記式(1)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立した炭化水素基を示す)で表されるような、アセチレン基を中心とした左右対称構造を有する非イオン性界面活性剤が好適である。また、本明細書においては、界面活性剤の水酸基にアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド等)を付加してなるアルキレンオキシド付加物もアセチレングリコール系表面調整剤に含まれる。アセチレングリコール系表面調整剤は、日信化学工業株式会社等から市販される商品が容易に入手可能である。
本発明の水系プライマーインクは、所望の表面張力値となるように表面調整剤を用いることが好ましいものの、本発明の水系プライマーインク中における表面調整剤の含有量を0.1〜5.0質量%と例示することができる。
本発明の水系プライマーインクには、更に必要に応じて、pH調整剤、消泡剤、保湿剤、湿潤分散剤、防腐剤・防かび剤、溶解助剤、酸化防止剤、金属トラップ剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合してもよい。
本発明の水系プライマーインクは、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することにより調製できる。
本発明の水系プライマーインクは、インクジェットプリンタ等の印刷機器の金属部分(特にプリントヘッド)における腐食の発生を抑える観点から、塩基性であることが好ましく、pHが7.01〜10.0の範囲内にあることが好ましい。
なお、pHの調整には、pH調整剤を使用できるが、アミン化合物の使用が好ましく、沸点が70〜270℃であるアミン化合物の使用が更に好ましい。沸点70〜270℃のアミン化合物の具体例としては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等が挙げられる。これらアミン化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本発明の水系プライマーインク中において、アミン化合物の含有量は、0.1〜2.0質量%が好ましい。
なお、pHの調整には、pH調整剤を使用できるが、アミン化合物の使用が好ましく、沸点が70〜270℃であるアミン化合物の使用が更に好ましい。沸点70〜270℃のアミン化合物の具体例としては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等が挙げられる。これらアミン化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本発明の水系プライマーインク中において、アミン化合物の含有量は、0.1〜2.0質量%が好ましい。
本発明の水系プライマーインクは、25℃における粘度が3.0〜10.0mPa・sの範囲内であることが好ましい。
本明細書において、インク及びコーティング液の粘度は、レオメーター(例えばTAインスツルメンツ社製レオメーターARES)を用い、液温を25℃に調整した後に測定される。
本明細書において、インク及びコーティング液の粘度は、レオメーター(例えばTAインスツルメンツ社製レオメーターARES)を用い、液温を25℃に調整した後に測定される。
本発明の水系プライマーインクは、25℃での表面張力値が28.0mN/m以下であることが好ましく、27.0mN/m以下であることが更に好ましい。本発明の水系プライマーインクの表面張力を28mN/m以下とすることで、吸収性白色基材に対して発生するはじきを抑制することができる。
また、本発明の水系プライマーインクは、25℃での表面張力値が21.0mN/m以上であることが好ましく、24.0mN/m以上であることが更に好ましい。本発明の水系プライマーインクの表面張力を21mN/m以上とすることで、コーティング液がプライマーインク層上に印刷されるまでの間にプライマーインク層の顔料が基材に吸収されることを抑制することができ、これによりコーティング液の浸透を抑制する効果を向上させることができる。
本明細書において、インク及びコーティング液の「表面張力値」とは、平衡状態に達している表面張力値(いわゆる静的表面張力値)を指し、プレート法に基づき測定される。
また、本発明の水系プライマーインクは、25℃での表面張力値が21.0mN/m以上であることが好ましく、24.0mN/m以上であることが更に好ましい。本発明の水系プライマーインクの表面張力を21mN/m以上とすることで、コーティング液がプライマーインク層上に印刷されるまでの間にプライマーインク層の顔料が基材に吸収されることを抑制することができ、これによりコーティング液の浸透を抑制する効果を向上させることができる。
本明細書において、インク及びコーティング液の「表面張力値」とは、平衡状態に達している表面張力値(いわゆる静的表面張力値)を指し、プレート法に基づき測定される。
次に、本発明のインクセットを詳細に説明する。本発明のインクセットは、水系プライマーインクと、水系コーティング液と、水系カラーインクとを含むインクセットである。ここで、水系プライマーインクは、上述した本発明の水系プライマーインクであり、基材上に最初に印刷されるインクである。また、水系コーティング液は、基材上に印刷された水系プライマーインク層を被覆するように印刷され、その後に印刷される水系カラーインクを凝集させるための液であり、通常、水、有機溶剤及び樹脂を含むものである。水系カラーインクは、水系コーティング液層上に印刷され、基材に色付けを行い、文字や画像を描くためのインクであり、通常、水、樹脂、有機溶剤及び着色剤を含む。
本明細書においては、着色剤を0.1質量%を超える量で含む組成物を「インク」とし、着色剤を含まない又は着色剤を0.1質量%以下含む組成物を単に「液」として表現している。本明細書において「水系コーティング液」とは、主溶媒として水を含有するコーティング液である。
本明細書においては、着色剤を0.1質量%を超える量で含む組成物を「インク」とし、着色剤を含まない又は着色剤を0.1質量%以下含む組成物を単に「液」として表現している。本明細書において「水系コーティング液」とは、主溶媒として水を含有するコーティング液である。
本発明のインクセットにおいて、水系カラーインクは、異なる色を発する複数の水系カラーインクからなっていてもよく、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクの4種類のインクを少なくとも含む水系カラーインクを例示することができる。
本発明のインクセットにおいて、水系カラーインク及び水系コーティング液は、水系プライマーインクと同様に、水を含む。ここで、水系カラーインク及び水系コーティング液中における水の含有量は、20〜90質量%の範囲であることを例示することができるが、好ましくは50〜90質量%、更に好ましくは60〜80質量%の範囲内である。
本発明のインクセットにおいて、水系コーティング液は、通常、樹脂を含むが、該樹脂として、カチオンを有する水溶性ポリマーを含むことが好ましい。上記水溶性ポリマーは、カチオンを有するため、カラーインクを凝集する能力を発揮することができる。これにより、印刷層の滲みの発生を抑えつつ、基材への印刷層の付着性を向上でき、高速印刷が可能になる。また、カチオンであれば、pHが塩基性領域にある水系コーティング液中に存在していても、カラーインクを凝集する能力を発揮することができる。但し、上記水溶性ポリマーは、カラーインクを凝集させる能力が高く、カラーインクの凝集の発生を著しく早く起こし、印刷層の光沢が低下する場合もあるため、後述する自己分散性顔料との組み合わせが好ましい。また、カチオンを有する水溶性ポリマーを用いて調製した水系コーティング液は、長期保存をした際にも粘度やpHが保たれ、優れた保存安定性が得られる。
なお、本明細書において、水溶性ポリマーとは、水、又は水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液に対して溶解するポリマーを意味する。
なお、本明細書において、水溶性ポリマーとは、水、又は水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液に対して溶解するポリマーを意味する。
上記カチオンを有する水溶性ポリマーは、第四級アンモニウムカチオン(カチオン化された窒素原子)を有する水溶性ポリマーであることが好ましい。第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーを用いることで、印刷層の滲みの発生がより一層抑えられるとともに、印刷層の耐擦過性、水系コーティング液の保存安定性が向上する。
上記カチオンを有する水溶性ポリマーは、重量平均分子量が1,000〜50,000であることが好ましく、2,500〜45,000であることがより好ましく、5,000〜40,000であることが更に好ましい。上記水溶性ポリマーの重量平均分子量を1,000以上とすることで、カチオンを有する水溶性ポリマーがカラーインクを凝集させる力が高くなり、印刷層の滲みの抑制効果及び付着性の改善効果が向上できる。一方、重量平均分子量が50,000を超えると、吐出安定性を低下させる場合がある。
上記カチオンを有する水溶性ポリマーは、主鎖にカチオンを有することが好ましい。このような構造を有する水溶性ポリマーを用いると、水系カラーインクが水系コーティング液層上に印刷された際に、水系カラーインクの界面のみが瞬時に凝集し、水系カラーインク同士が混合することなく印刷された位置で定着するため、高速印刷を行う場合において、より好ましい。
上記カチオンを有する水溶性ポリマーは、カチオン度の異なる2種類以上の水溶性ポリマーであることが好ましい。カチオン度が異なる複数の水溶性ポリマーを用いることで、ドット径の大きさ、滲みの調整が容易となる。
具体的に、上記カチオンを有する水溶性ポリマーは、pH7.1でのカチオン度が5.5〜7.5meq/gである水溶性ポリマーと、pH7.1でのカチオン度が2.0〜5.0meq/gである水溶性ポリマーとを含むことが好ましく、pH7.1でのカチオン度が6.0〜7.0meq/gである水溶性ポリマーと、pH7.1でのカチオン度が2.5〜4.5meq/gである水溶性ポリマーとを含むことが更に好ましい。上記した2種類のカチオン度の範囲を有する水溶性ポリマーの割合は、カチオン度の範囲が高い水溶性ポリマー:カチオン度の範囲が低い水溶性ポリマーの質量比が1:1〜20:1の範囲内であることが好ましく、7:3〜10:1の範囲内であることがより好ましい。
なお、本明細書において、カチオン度は、ポリビニル硫酸カリウム試薬を用いたコロイド滴定により求めることができる。詳しい手順は以下のとおりである。
コニカルビーカーに脱イオン水90mLを取り、試料(乾燥品換算)の500ppm水溶液を10mL加えてアミン水溶液でpH7.1とし、約1分間攪拌する。次にトルイジンブルー指示薬を2〜3滴加え、N/400ポリビニル硫酸カリウム試薬(N/400PVSK)で滴定する。滴定速度は2mL/分とし、検水が青から赤紫色に変色して10秒間以上保持する時点を終点とする。カチオン度(meq/g)の計算式は次のとおりである。
カチオン度=(N/400PVSK滴定量)×(N/400PVSKの力価)/2
具体的に、上記カチオンを有する水溶性ポリマーは、pH7.1でのカチオン度が5.5〜7.5meq/gである水溶性ポリマーと、pH7.1でのカチオン度が2.0〜5.0meq/gである水溶性ポリマーとを含むことが好ましく、pH7.1でのカチオン度が6.0〜7.0meq/gである水溶性ポリマーと、pH7.1でのカチオン度が2.5〜4.5meq/gである水溶性ポリマーとを含むことが更に好ましい。上記した2種類のカチオン度の範囲を有する水溶性ポリマーの割合は、カチオン度の範囲が高い水溶性ポリマー:カチオン度の範囲が低い水溶性ポリマーの質量比が1:1〜20:1の範囲内であることが好ましく、7:3〜10:1の範囲内であることがより好ましい。
なお、本明細書において、カチオン度は、ポリビニル硫酸カリウム試薬を用いたコロイド滴定により求めることができる。詳しい手順は以下のとおりである。
コニカルビーカーに脱イオン水90mLを取り、試料(乾燥品換算)の500ppm水溶液を10mL加えてアミン水溶液でpH7.1とし、約1分間攪拌する。次にトルイジンブルー指示薬を2〜3滴加え、N/400ポリビニル硫酸カリウム試薬(N/400PVSK)で滴定する。滴定速度は2mL/分とし、検水が青から赤紫色に変色して10秒間以上保持する時点を終点とする。カチオン度(meq/g)の計算式は次のとおりである。
カチオン度=(N/400PVSK滴定量)×(N/400PVSKの力価)/2
上記カチオンを有する水溶性ポリマーは市販品を使用することができる。なかでも、第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーが好ましいが、塩基性でも安定に存在できる観点から、例えば、DK6810、DK6851、DK6864、WS4030、WS4027、WS4052、CA6018(以上星光PMC社製)、ハーサイズCP−300、CP−800(以上ハリマ化成社製)、PAS−H−1L、PAS−H−5L、PAS−2401、PAS−A−1(以上ニットボーメディカル社製)、カチオマスターPDT−2、PD−7、PD−30(以上四日市合成社製)という名で市販されているエピクロロヒドリンとアルキルアミンの反応物、ポリアミン樹脂、ポリアミド・エピクロロヒドリン樹脂等が挙げられる。なお、上記カチオンを有する水溶性ポリマーは、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記水系コーティング液中に含まれる樹脂に占める上記カチオンを有する水溶性ポリマーの割合は、50質量%以上であることが好ましいが、特に、凝集作用を適切に制御する点から、上記水系コーティング液中に含まれる樹脂に占める上記第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーの割合が50質量%以上であることが好ましい。
なお、上記水系コーティング液に使用できる他の樹脂としては、上記カチオンを有する水溶性ポリマー以外の、インク業界において通常使用されている樹脂を用いることができる。例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ロジン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、ビニル樹脂等が挙げられる。これら樹脂は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本明細書において「樹脂」とは主としてバインダーに分類される樹脂であり、後述する増粘剤に分類されるポリマーは除外される。
上記水系コーティング液中において、樹脂の含有量は、0.005〜15質量%であることを例示することができるが、0.005〜10質量%であることが好ましく、0.005〜5質量%であることがより好ましく、0.005〜3質量%であることが更に好ましく、0.005〜2質量%であることが特に好ましい。
本発明のインクセットにおいて、水系カラーインクは樹脂を含む。ここで、水系カラーインクに使用できる樹脂については、特に限定されるものではなく、例えば、本発明の水系プライマーインクにおける樹脂の説明を適用することができる。従って、水系カラーインクに使用できる好ましい樹脂の種類や含有量は、本発明の水系プライマーインクに使用できる樹脂の説明において記載した通りである。
また、本発明のインクセットにおいては、水系カラーインクに含まれる自己分散性樹脂の酸価と、水系コーティング液に含まれるカチオンを有する水溶性ポリマーのカチオン度を調整することで、水系カラーインクのドット径を大きくし、かつ、滲みが発生しない、光沢に優れた印刷層を形成させることができる。ここで、上記自己分散性樹脂の酸価(C)とカチオン性ポリマーのpH7.1でのカチオン度(meq/g)(D)の比(C:D)は、10:1〜1:2の範囲内であることが好ましく、6:1〜1.2:3の範囲内であることがより好ましく、3:1〜1:1の範囲内であることが更に好ましい。
本発明のインクセットにおいて、水系カラーインクは、特に限定されず、インク業界において着色剤として通常使用されている有機顔料、無機顔料等の顔料を用いることができるが、自己分散性顔料を含むことが好ましい。自己分散性顔料とは、顔料分散剤を使用しなくても、インク中で分散状態を保つことができる顔料であり、通常、親水性に優れた官能基を表面に付与することで得られる。本発明者は、上述のカチオンを有する水溶性ポリマー、特には第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーと自己分散性顔料の組み合わせであれば、凝集の発生が早すぎることで印刷層の表面に凹凸が形成されることを防ぐことができ、それにより印刷層の光沢の低下を防ぐことができることを見出した。
本発明において、上記自己分散性顔料としては、カルボキシルイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、水酸化物イオン等のアニオンが表面に直接結合している顔料が好ましい。このようなアニオン型の自己分散性顔料を用いることにより分散剤を添加せずに顔料をインク中で安定に分散させることができ、より鮮明な画像を印刷することができる。これらアニオン型の自己分散性顔料は市販品を好適に使用できる。
上記顔料としては、例えば、ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、31、42、53、55、74、83、86、93、109、110、117、120、122、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、166、168、180、181、184、185、213;ピグメントオレンジ16、36、38、43、51、55、59、61、64、65、71;ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、101、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、244、254;ピグメントバイオレット19、23、29、30、32、37、40、50;ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、27、28、29、30、60、64、80;ピグメントグリーン7、36;ピグメントブラウン23、25、26;及びピグメントブラック1、7、26、27、28、ピグメントホワイト6等が挙げられる。なお、これら顔料は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
シアンインクに使用できる顔料としては、例えば、ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、27、28、29、30、60、64、80等が挙げられ、
マゼンタインクに使用できる顔料としては、例えば、ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、101、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、244、254等が挙げられ、
イエローインクに使用できる顔料としては、例えば、ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、31、42、53、55、74、83、86、93、109、110、117、120、122、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、166、168、180、181、184、185、213等が挙げられ、
ブラックインクに使用できる顔料としては、例えば、ピグメントブラック1、7、26、27、28等が挙げられる。
その他、ピグメントオレンジ16、36、38、43、51、55、59、61、64、65、71;ピグメントバイオレット19、23、29、30、32、37、40、50;ピグメントグリーン7、36;ピグメントブラウン23、25、26;ピグメントホワイト6等の顔料も、上記基本色インクに用いることができるとともに、オレンジインク、バイオレットインク、グリーンインク、レッドインク等の特殊色インクとして用いることもできる。
シアンインクに使用できる顔料としては、例えば、ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、27、28、29、30、60、64、80等が挙げられ、
マゼンタインクに使用できる顔料としては、例えば、ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、101、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、244、254等が挙げられ、
イエローインクに使用できる顔料としては、例えば、ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、31、42、53、55、74、83、86、93、109、110、117、120、122、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、166、168、180、181、184、185、213等が挙げられ、
ブラックインクに使用できる顔料としては、例えば、ピグメントブラック1、7、26、27、28等が挙げられる。
その他、ピグメントオレンジ16、36、38、43、51、55、59、61、64、65、71;ピグメントバイオレット19、23、29、30、32、37、40、50;ピグメントグリーン7、36;ピグメントブラウン23、25、26;ピグメントホワイト6等の顔料も、上記基本色インクに用いることができるとともに、オレンジインク、バイオレットインク、グリーンインク、レッドインク等の特殊色インクとして用いることもできる。
上記水系カラーインク中において、顔料の含有量は、使用する顔料の種類等により任意に決定できるが、0.5〜10質量%であることが好ましい。
本発明のインクセットにおいて、水系カラーインク及び水系コーティング液に使用できる有機溶剤は、特に限定されるものではなく、インク業界において通常使用されている有機溶剤を用いることができる。なお、上記水系カラーインク及び水系コーティング液中において、有機溶剤の含有量は、5〜49質量%であることを例示することができるが、好ましくは5〜35質量%、更に好ましくは10〜35質量%、特に好ましくは15〜35質量%の低い範囲内で調整することもできる。これによって、より環境への負荷の少ない水系カラーインク及び水系コーティング液を提供することができるとともに、印刷層内に有機溶剤が残りにくくなることから、耐擦過性等の膜物性が向上しやすくなる。
上記水系カラーインク及び水系コーティング液に使用できる有機溶剤は、水溶性有機溶剤が好ましく、該水溶性有機溶剤は、インク及びコーティング液の吐出安定性、濡れ性及び保存安定性をより良好にする観点から、アルカンジオール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、三〜五員環のラクトン系溶剤、及びアミド系溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種類を含むことが好ましい。アルカンジオール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、三〜五員環のラクトン系溶剤及びアミド系溶剤の具体例については、本発明の水系プライマーインクに使用できる水溶性有機溶剤の説明において記載した通りである。
また、本発明のインクセットにおいては、カラーインク及びコーティング液の動的表面張力値を調整する観点から、アルカンジオール系溶剤及びグリコールエーテル系溶剤よりなる群から選択される少なくとも1種類(好ましくは少なくとも2種類)を含むことが好ましく、特にコーティング液の表面張力値を調整する観点から、アルカンジオール系溶剤及びグリコールエーテル系溶剤の両方を含むことが好ましい。ここで、アルカンジオール系溶剤とグリコールエーテル系溶剤の両方を含む場合、アルカンジオール系溶剤(E)とグリコールエーテル系溶剤(F)の質量比(E:F)は8:1〜1:8の範囲内であることが好ましく、5:1〜1:5の範囲内であることが好ましい。
本発明のインクセットにおいて、水系コーティング液は、吐出安定性を向上させる観点から、増粘剤を含むことが好ましい。増粘剤を用いることで、顔料を含まない又は顔料を0.1質量%以下含むコーティング液や、更には樹脂の含有量も少ないコーティング液であっても、吐出安定性に優れるコーティング液が調製できることから、有機溶剤の配合量も削減することができるため、環境への負荷の少ない水系コーティング液を提供することができる。上記水系コーティング液中において、増粘剤の含有量は、0.01質量%〜2質量%であることが好ましく、0.10質量%〜1質量%であることが更に好ましく、0.20質量%〜0.80質量%であることが一層好ましい。
上記水系コーティング液をインクジェットプリンタに用いる場合、増粘剤は、チクソ性の付与効果が低いもの又はチクソ性の付与効果がないものが好ましく、このような観点から、水系コーティング液に用いる増粘剤は、非イオン性の水溶性増粘剤を含むものが好ましく、該非イオン性の水溶性増粘剤としては、ウレタンポリマーが好ましく、ポリエーテルポリオール系ウレタンポリマーが更に好ましい。増粘剤に占める非イオン性の水溶性増粘剤の割合は、50質量%以上であることが好ましい。
なお、本発明において、水溶性増粘剤とは、水、又は水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液に対して溶解する増粘剤を意味する。
増粘剤は市販品を使用することができるが、ポリエーテルポリオール系ウレタンポリマーとしては、例えば、アデカノール UH−530、UH−541VF、UH−438、UH−450VF(以上株式会社ADEKA製)、SNシックナー 612、619、612NC、621N、621TF、623N、625N(以上サンノプコ社製)等が挙げられる。なお、増粘剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明において、水溶性増粘剤とは、水、又は水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液に対して溶解する増粘剤を意味する。
増粘剤は市販品を使用することができるが、ポリエーテルポリオール系ウレタンポリマーとしては、例えば、アデカノール UH−530、UH−541VF、UH−438、UH−450VF(以上株式会社ADEKA製)、SNシックナー 612、619、612NC、621N、621TF、623N、625N(以上サンノプコ社製)等が挙げられる。なお、増粘剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記水系カラーインク及び水系コーティング液には、更に必要に応じて、pH調整剤、表面調整剤、消泡剤、保湿剤、湿潤分散剤、防腐剤・防かび剤、溶解助剤、酸化防止剤、金属トラップ剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合してもよい。
上記水系カラーインク及び水系コーティング液は、必要に応じて適宜選択される各種成分を混合することにより調製できる。
なお、上記水系コーティング液は、水を50質量%〜90質量%、有機溶剤を5質量%〜35質量%、樹脂を0.005質量%〜5質量%の範囲内で含むことが好ましい。このように樹脂量が少ない水系コーティング液は、乾燥が早いため、凝集後の印刷スジの発生を抑える観点から好ましい。
なお、上記水系コーティング液は、水を50質量%〜90質量%、有機溶剤を5質量%〜35質量%、樹脂を0.005質量%〜5質量%の範囲内で含むことが好ましい。このように樹脂量が少ない水系コーティング液は、乾燥が早いため、凝集後の印刷スジの発生を抑える観点から好ましい。
上記水系カラーインク及び水系コーティング液は、水系プライマーインクと同様の理由から、塩基性であることが好ましく、pHが7.01〜10.0の範囲内にあることが好ましい。なお、水系カラーインク及び水系コーティング液のpHの調整については、本発明の水系プライマーインクの説明において記載した通りである。
本発明のインクセットにおいて、水系カラーインク及び水系コーティング液は、それぞれ独立して、25℃における粘度が3.0〜10.0mPa・sの範囲内であることが好ましい。
本発明のインクセットにおいて、水系コーティング液は、通常、水系プライマーインク層上で印刷が行われるため、25℃における表面張力値が20.0mN/m以上25.0mN/m以下であることが好ましい。また、本発明のインクセットにおいて、水系カラーインクは、通常、水系コーティング液層上で印刷が行われるため、水系カラーインクは、25℃における表面張力値が20.0mN/m以上50.0mN/m以下であることが好ましい。
本発明のインクセットに用いるカラーインク及びコーティング液は、水系プライマーインクと同様にいずれも水系であり、表面張力値は一般に高い傾向にあるため、有機溶剤の種類や含有量、及び/又は表面調整剤(好ましくはシリコーン系表面調整剤、より好ましくはポリエーテル変性ポリシロキサン)を含む添加剤の種類や含有量を適宜調整することで、表面張力値を調整することが重要である。
本発明のインクセットに用いるカラーインク及びコーティング液は、水系プライマーインクと同様にいずれも水系であり、表面張力値は一般に高い傾向にあるため、有機溶剤の種類や含有量、及び/又は表面調整剤(好ましくはシリコーン系表面調整剤、より好ましくはポリエーテル変性ポリシロキサン)を含む添加剤の種類や含有量を適宜調整することで、表面張力値を調整することが重要である。
次に、本発明の印刷方法を詳細に説明する。本発明の印刷方法は、上述した本発明のインクセットを用いて印刷層を基材上に形成する印刷方法であって、水系プライマーインク、水系コーティング液及び水系カラーインクの印刷をこの順番で行い、基材上に印刷層を形成する工程を含む。ここで、基材は、吸収性白色基材であり、本発明の水系プライマーインクにおける基材の説明において記載した通りである。
また、本発明の印刷方法において、「水系プライマーインク、水系コーティング液及び水系カラーインクの印刷をこの順番で行い、基材上に印刷層を形成する工程」とは、詳細には、水系プライマーインクによる印刷を基材上で行い、水系プライマーインク層を形成する工程と、水系コーティング液による印刷を該水系プライマーインク層上で行い水系コーティング液層を形成する工程と、水系カラーインクによる印刷を該水系コーティング液層上で行い、カラーインク層を形成する工程とを含む。本発明の印刷方法においては、印刷により基材上に形成された層を印刷層と称する。
本発明の印刷方法において、基材の温度は30〜45℃であることが好ましい。これにより、プライマーインクが基材上に均一に濡れ広がることができる。なお、基材の温度とは、プライマーインクが印刷される基材表面の温度である。
上記印刷方法においては、インクやコーティング液の乾燥を待たずに(即ち、インクやコーティング液の乾燥を行わずに)次のインクやコーティング液の印刷を行うことができる。なお、上記印刷方法において、印刷完了直後(即ち、水や有機溶剤が蒸発する前)の水系プライマーインク、水系コーティング液及び水系カラーインクの総吐出液の厚みは、合計して、1〜20μmの範囲内にあることが好ましい。
本発明の印刷方法において、水系カラーインクが複数の水系カラーインクからなる場合、コーティング液層上に最初に印刷を行う水系カラーインクは、複数の水系カラーインクの中で25℃での表面張力値が最も低いことが好ましい。コーティング液層上に最初に印刷を行う水系カラーインクは、コーティング液によるカラーインクの凝集作用の影響を最も強く受ける。このため、表面張力値の最も低い水系カラーインクをコーティング液層上に最初に印刷することで、コーティング液によるカラーインクの凝集作用を効果的に発揮することができる。
本発明の印刷方法においては、水系プライマーインクの印刷と水系コーティング液の印刷の間に乾燥工程(以下、第1乾燥工程ともいう)を更に含むことが好ましい。水系コーティング液の印刷を行う前に水系プライマーインクを乾燥させることで、水系コーティング液に対してプライマーインクに配合された顔料が浮き出る現象(白色顔料の場合は白ボケ現象という)を抑制することができる。なお、水系プライマーインクの乾燥は、完全に乾燥させる必要はなく、例えば水系プライマーインクが80%以上乾燥した時点で水系コーティング液の印刷を行うことができる。
また、本発明の印刷方法においては、水系カラーインクの印刷の後に乾燥工程(以下、第2乾燥工程ともいう)を更に含むことが好ましい。印刷完了後に基材上に形成される印刷層を乾燥させることで、印刷層中に含まれる樹脂を基材上に融着させ、強固な膜を形成することができ、結果として、堅牢性に優れる印刷物を提供することが可能である。
本発明の印刷方法において、上記第1乾燥工程及び第2乾燥工程は、熱風によって行われることが好ましい。熱風(通常、空気を利用)をプライマーインク層や印刷層に当てて乾燥を行うことで、層中に含まれる樹脂を基材に融着させ、強固な膜を形成することができ、結果として、堅牢性に優れる印刷物を提供することが可能である。印刷層中に含まれる樹脂を基材上に融着させる観点から、上記第1乾燥工程及び第2乾燥工程は、70〜130℃で行われることが好ましく、80〜110℃で行われることが更に好ましい。また、乾燥時間は2秒以上20秒以内であることが好ましく、5秒以上15秒以内であることが更に好ましい。乾燥手段は、特に限定されるものではないが、送風機能を備えた乾燥機が好ましい。風量は、1.0m3/min以上であることが好ましく、1.5〜5.0m3/minであることが更に好ましい。
また、本発明の印刷方法においては、水系カラーインクの印刷の後に乾燥工程(以下、第2乾燥工程ともいう)を更に含むことが好ましい。印刷完了後に基材上に形成される印刷層を乾燥させることで、印刷層中に含まれる樹脂を基材上に融着させ、強固な膜を形成することができ、結果として、堅牢性に優れる印刷物を提供することが可能である。
本発明の印刷方法において、上記第1乾燥工程及び第2乾燥工程は、熱風によって行われることが好ましい。熱風(通常、空気を利用)をプライマーインク層や印刷層に当てて乾燥を行うことで、層中に含まれる樹脂を基材に融着させ、強固な膜を形成することができ、結果として、堅牢性に優れる印刷物を提供することが可能である。印刷層中に含まれる樹脂を基材上に融着させる観点から、上記第1乾燥工程及び第2乾燥工程は、70〜130℃で行われることが好ましく、80〜110℃で行われることが更に好ましい。また、乾燥時間は2秒以上20秒以内であることが好ましく、5秒以上15秒以内であることが更に好ましい。乾燥手段は、特に限定されるものではないが、送風機能を備えた乾燥機が好ましい。風量は、1.0m3/min以上であることが好ましく、1.5〜5.0m3/minであることが更に好ましい。
本発明の印刷方法において、水系プライマーインクの印刷、水系コーティング液の印刷及び水系カラーインクの印刷は、インクジェット印刷方式にて行われることが好適であるものの、これに限定されず、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式、スクリーン印刷方式、コーター方式等の各種印刷方法によって行うことも可能である。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<水系プライマーインク>
表1に示す配合処方に従い、顔料、消泡剤、水溶性溶剤、湿潤分散剤、イオン交換水を公知の方法により分散した水系分散液に、樹脂ならびに表面調整剤を加え、水系プライマーインク1〜28を調製した。なお、各水系プライマーインクの表面張力値(25℃)、平均粒子径(D50)、粘度(25℃)を測定し、得られた結果を表1に示す。
表1に示す配合処方に従い、顔料、消泡剤、水溶性溶剤、湿潤分散剤、イオン交換水を公知の方法により分散した水系分散液に、樹脂ならびに表面調整剤を加え、水系プライマーインク1〜28を調製した。なお、各水系プライマーインクの表面張力値(25℃)、平均粒子径(D50)、粘度(25℃)を測定し、得られた結果を表1に示す。
上記表1に記載される配合剤は、下記の通りである。
*1 白色顔料としては、以下を用いた。
・JR−600A(Al処理ルチル型酸化チタン顔料、テイカ社製)
・A−220(Al処理ルチル型酸化チタン顔料、石原産業社製)
・JR−301(Al処理ルチル型酸化チタン顔料、テイカ社製)
・TTO−55(A)(Al処理ルチル型酸化チタン顔料、石原産業社製)
*2 FASTOGEN Blue FA5380(フタロシアニンブルー、DIC社製シアン色顔料)
*3 消泡剤(SNデフォーマー1312、サンノプコ社製)
*4 湿潤分散剤としては、以下を用いた。
・BYK190(分散剤含有量40質量%、BYK社製)
・ノイゲンEA−157(分散剤含有量100質量%、第一工業製薬社製)
*5 樹脂分散液Aとしては以下を用いた。
NEOREZ R−9621(DSM Coating Resins製、ポリエステル基含有自己分散性ウレタン樹脂、粒子径50nm、酸価18、樹脂含有量38質量%)
*6 樹脂分散液Bとしては以下を用いた。
NEOREZ R−967(DSM Coating Resins製、ポリエーテル基含有自己分散性ウレタン樹脂、粒子径60nm、酸価15、樹脂含有量40質量%)
*7 樹脂分散液Cとしては以下を用いた。
ネオステッカー HA−560(日華化学製、ポリカーボネート基含有自己分散性ウレタン樹脂、粒子径30nm、酸価14、樹脂含有量35質量%)
*8 樹脂分散液Dとしては以下を用いた。
AE986B(イーテック社製、自己分散性アクリル樹脂、粒子径60nm、酸価15、樹脂含有量35質量%)
*9 SAG008(日信化学工業社製、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、界面活性剤含有量100質量%、表面調整剤)
*10 WET280(EVONIK社製、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、界面活性剤含有量100質量%、表面調整剤)
*11 SAG502A(日信化学工業社製、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、界面活性剤含有量100質量%、表面調整剤)
*12 オルフィンD−10PG(日信化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤、界面活性剤含有量50質量%、表面調整剤)
*13 サーフィノール107L(日信化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤、界面活性剤含有量50質量%、表面調整剤)
*14 S−242(AGCセイミケミカル社製、フッ素系界面活性剤、界面活性剤含有量100質量%、表面調整剤)
*1 白色顔料としては、以下を用いた。
・JR−600A(Al処理ルチル型酸化チタン顔料、テイカ社製)
・A−220(Al処理ルチル型酸化チタン顔料、石原産業社製)
・JR−301(Al処理ルチル型酸化チタン顔料、テイカ社製)
・TTO−55(A)(Al処理ルチル型酸化チタン顔料、石原産業社製)
*2 FASTOGEN Blue FA5380(フタロシアニンブルー、DIC社製シアン色顔料)
*3 消泡剤(SNデフォーマー1312、サンノプコ社製)
*4 湿潤分散剤としては、以下を用いた。
・BYK190(分散剤含有量40質量%、BYK社製)
・ノイゲンEA−157(分散剤含有量100質量%、第一工業製薬社製)
*5 樹脂分散液Aとしては以下を用いた。
NEOREZ R−9621(DSM Coating Resins製、ポリエステル基含有自己分散性ウレタン樹脂、粒子径50nm、酸価18、樹脂含有量38質量%)
*6 樹脂分散液Bとしては以下を用いた。
NEOREZ R−967(DSM Coating Resins製、ポリエーテル基含有自己分散性ウレタン樹脂、粒子径60nm、酸価15、樹脂含有量40質量%)
*7 樹脂分散液Cとしては以下を用いた。
ネオステッカー HA−560(日華化学製、ポリカーボネート基含有自己分散性ウレタン樹脂、粒子径30nm、酸価14、樹脂含有量35質量%)
*8 樹脂分散液Dとしては以下を用いた。
AE986B(イーテック社製、自己分散性アクリル樹脂、粒子径60nm、酸価15、樹脂含有量35質量%)
*9 SAG008(日信化学工業社製、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、界面活性剤含有量100質量%、表面調整剤)
*10 WET280(EVONIK社製、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、界面活性剤含有量100質量%、表面調整剤)
*11 SAG502A(日信化学工業社製、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、界面活性剤含有量100質量%、表面調整剤)
*12 オルフィンD−10PG(日信化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤、界面活性剤含有量50質量%、表面調整剤)
*13 サーフィノール107L(日信化学工業社製、アセチレングリコール系界面活性剤、界面活性剤含有量50質量%、表面調整剤)
*14 S−242(AGCセイミケミカル社製、フッ素系界面活性剤、界面活性剤含有量100質量%、表面調整剤)
<水系コーティング液の調製例>
表2に示す配合処方に従い、樹脂、アミン化合物、水溶性溶剤、表面調整剤及びイオン交換水を公知の方法により混合し、水系コーティング液1〜3を調製した。なお、各水系コーティング液のpH、表面張力値(25℃)、粘度(25℃)を測定し、得られた結果を表2に示す。
表2に示す配合処方に従い、樹脂、アミン化合物、水溶性溶剤、表面調整剤及びイオン交換水を公知の方法により混合し、水系コーティング液1〜3を調製した。なお、各水系コーティング液のpH、表面張力値(25℃)、粘度(25℃)を測定し、得られた結果を表2に示す。
下記表2に記載される配合剤は、下記の通りである。
*15 第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーの水溶液Aとしては以下を用いた。
カチオマスター PE−30(四日市合成製、ジメチルアミン・エチレンジアミン・エピクロロヒドリン系ポリマー樹脂、樹脂含有量50質量%、重量平均分子量(Mw):9000、pH7.1でのカチオン度6.5meq/g)
*16 第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーの水溶液Bとしては以下を用いた。
DK6851(星光PMC社製、ポリアミン樹脂、樹脂含有量70.0質量%、pH7.1でのカチオン度6.8meq/g)
*17 第一級カチオンを有する水溶性ポリマーの水溶液Cとしては以下を用いた。
PAA−SA(ニットボーメディカル製、アリルアミンアミド硫酸塩重合体樹脂、樹脂含有量20質量%、Mw:12,000、pH7.1でのカチオン度5.8meq/g)
*18 WET270(EVONIK社製、ポリエーテル変性シリコーンオイル、シリコーンオイル含有量100質量%、表面調整剤)
*15 第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーの水溶液Aとしては以下を用いた。
カチオマスター PE−30(四日市合成製、ジメチルアミン・エチレンジアミン・エピクロロヒドリン系ポリマー樹脂、樹脂含有量50質量%、重量平均分子量(Mw):9000、pH7.1でのカチオン度6.5meq/g)
*16 第四級アンモニウムカチオンを有する水溶性ポリマーの水溶液Bとしては以下を用いた。
DK6851(星光PMC社製、ポリアミン樹脂、樹脂含有量70.0質量%、pH7.1でのカチオン度6.8meq/g)
*17 第一級カチオンを有する水溶性ポリマーの水溶液Cとしては以下を用いた。
PAA−SA(ニットボーメディカル製、アリルアミンアミド硫酸塩重合体樹脂、樹脂含有量20質量%、Mw:12,000、pH7.1でのカチオン度5.8meq/g)
*18 WET270(EVONIK社製、ポリエーテル変性シリコーンオイル、シリコーンオイル含有量100質量%、表面調整剤)
<自己分散性顔料を含む水系カラーインクの調製例>
表3に示す配合処方に従い、自己分散性顔料、樹脂、水溶性溶剤、表面調整剤及びイオン交換水を公知の方法により混合し、自己分散性顔料を含む水系カラーインクを調製した。なお、各水系カラーインクの表面張力値(25℃)、粘度(25℃)を測定し、得られた結果を表3に示す。
表3に示す配合処方に従い、自己分散性顔料、樹脂、水溶性溶剤、表面調整剤及びイオン交換水を公知の方法により混合し、自己分散性顔料を含む水系カラーインクを調製した。なお、各水系カラーインクの表面張力値(25℃)、粘度(25℃)を測定し、得られた結果を表3に示す。
上記表3に記載される配合剤は、下記の通りである。既に説明した配合剤については省略する。
*19 自己分散性顔料分散液としては、以下を用いた。
・CAB−O―JET 250C
(キャボット社製、シアンの自己分散性顔料水分散液、顔料含有量10質量%)
・CAB−O―JET―465M
(キャボット社製、マゼンタの自己分散性顔料水分散液、顔料含有量15質量%)
・CAB−O―JET 270Y
(キャボット社製、イエローの自己分散性顔料水分散液、顔料含有量10質量%)
・CAB−O―JET 300K
(キャボット社製、ブラックの自己分散性顔料水分散液、顔料含有量15質量%)
*19 自己分散性顔料分散液としては、以下を用いた。
・CAB−O―JET 250C
(キャボット社製、シアンの自己分散性顔料水分散液、顔料含有量10質量%)
・CAB−O―JET―465M
(キャボット社製、マゼンタの自己分散性顔料水分散液、顔料含有量15質量%)
・CAB−O―JET 270Y
(キャボット社製、イエローの自己分散性顔料水分散液、顔料含有量10質量%)
・CAB−O―JET 300K
(キャボット社製、ブラックの自己分散性顔料水分散液、顔料含有量15質量%)
<非自己分散型顔料を含む水系カラーインク>
表4に示す配合処方に従い、非自己分散型顔料、消泡剤、水溶性溶剤、湿潤分散剤、イオン交換水を公知の方法により分散した水系着色分散液に、樹脂ならびに表面調整剤を加え、非自己分散型顔料を含む水系カラーインクを調製した。なお、各水系カラーインクの表面張力値(25℃)、粘度(25℃)を測定し、得られた結果を表4に示す。
表4に示す配合処方に従い、非自己分散型顔料、消泡剤、水溶性溶剤、湿潤分散剤、イオン交換水を公知の方法により分散した水系着色分散液に、樹脂ならびに表面調整剤を加え、非自己分散型顔料を含む水系カラーインクを調製した。なお、各水系カラーインクの表面張力値(25℃)、粘度(25℃)を測定し、得られた結果を表4に示す。
上記表4に記載される配合剤は、下記の通りである。既に説明した配合剤については省略する。
*20 非自己分散型顔料としては、以下を用いた。
・FASTOGEN Blue FA5380(フタロシアニンブルー、DIC社製シアン色顔料)
・シンカシャマゼンタRT(ジクロロキナクリドン、BASF社製マゼンタ色顔料)
・Hostaperm Yellow H5G(キノキサリンジオン、クラリアント社製イエロー色顔料)
・Nerox−1000(カーボンブラック、オリオンエンジニアリドカーボン社製、ブラック色顔料)
*20 非自己分散型顔料としては、以下を用いた。
・FASTOGEN Blue FA5380(フタロシアニンブルー、DIC社製シアン色顔料)
・シンカシャマゼンタRT(ジクロロキナクリドン、BASF社製マゼンタ色顔料)
・Hostaperm Yellow H5G(キノキサリンジオン、クラリアント社製イエロー色顔料)
・Nerox−1000(カーボンブラック、オリオンエンジニアリドカーボン社製、ブラック色顔料)
<ΔE値>
トライテック社製Stage JETを用いて、水系プライマーインクを12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)表面に印刷した。印刷後、80℃にて5分乾燥させた。その後、ベタ印刷箇所及び非印刷箇所において色差計(X−Rite社製、CH−8105)でL値、a値、b値をそれぞれ測定し、ΔE値を算出した。色差計の測定条件は、内蔵フィルター:Pol(Polarization Filter:偏光フィルター)、光源:D65、観察視野:2°であった。この数値を基に下記の評価基準で評価した。ここで水系プライマーインクの解像度は縦×横=600×600dpiと設定した。なお、評価結果を表5〜7に示す。
○:ΔEが3.0未満
△:ΔEが3.0以上10.0未満
×:ΔEが10.0以上
−:試験未実施
トライテック社製Stage JETを用いて、水系プライマーインクを12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)表面に印刷した。印刷後、80℃にて5分乾燥させた。その後、ベタ印刷箇所及び非印刷箇所において色差計(X−Rite社製、CH−8105)でL値、a値、b値をそれぞれ測定し、ΔE値を算出した。色差計の測定条件は、内蔵フィルター:Pol(Polarization Filter:偏光フィルター)、光源:D65、観察視野:2°であった。この数値を基に下記の評価基準で評価した。ここで水系プライマーインクの解像度は縦×横=600×600dpiと設定した。なお、評価結果を表5〜7に示す。
○:ΔEが3.0未満
△:ΔEが3.0以上10.0未満
×:ΔEが10.0以上
−:試験未実施
<乾燥性>
トライテック社製Stage JETを用いて、水系プライマーインクを12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)表面に印刷した。印刷後、80℃にて10秒乾燥させた後、印刷部分に綿棒(商標登録、白十字社製)で5往復擦過を行い、目視により下記の評価基準で評価した。ここで水系プライマーインクの解像度は縦×横=600×600dpiと設定した。なお、評価結果を表5〜7に示す。
○:基材に擦過をした跡が見られない。
△:基材に擦過をした跡がみられるが素地には至らない。
×:擦過した跡が素地まで至る
−:試験未実施
トライテック社製Stage JETを用いて、水系プライマーインクを12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)表面に印刷した。印刷後、80℃にて10秒乾燥させた後、印刷部分に綿棒(商標登録、白十字社製)で5往復擦過を行い、目視により下記の評価基準で評価した。ここで水系プライマーインクの解像度は縦×横=600×600dpiと設定した。なお、評価結果を表5〜7に示す。
○:基材に擦過をした跡が見られない。
△:基材に擦過をした跡がみられるが素地には至らない。
×:擦過した跡が素地まで至る
−:試験未実施
<濡れ性>
表5〜7に示されるインクセットを用意して濡れ性の評価を行った。
トライテック社製Stage JETを用いて、まず、水系プライマーインクを12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)表面に印刷した。印刷後、80℃にて5分間乾燥させた後、水系コーティング液滴を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、70%のベタ画像を水系プライマーインク層上に印刷し、その後、水系コーティング液を乾燥させずに、着弾した水系コーティング液上にブラックインクを除いたシアンインク、マゼンタインク、イエローインクのインク滴を12pLの25m/minの高速印刷条件下での搬送速度で表5〜7のカラーインクセットの順番に従いシングルパス吐出し着弾させ、シアンインク・マゼンタインク・イエローインクの各インクの印刷濃度80%、合計印刷濃度240%のベタ印刷を行うと共に、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクのそれぞれについて100%のベタ印刷も行った。その後、80℃の温度で5分間乾燥を行った。印刷部分を目視により下記の評価基準で評価した。ここで水系プライマーインク、水系コーティング液、及び水系カラーインクの解像度は縦×横=600×600dpiと設定した。評価基準は以下の通りである。なお、使用したインクセットの構成と評価結果を表5〜7に示す。
○:各色ベタ印刷及び3色のベタ印刷にはじきが見られない。
△:各色ベタにはじきが見られるが、3色のベタ印刷にはじきは見られない。
×:各色ベタ印刷及び3色のベタ印刷にはじきが見られる。
表5〜7に示されるインクセットを用意して濡れ性の評価を行った。
トライテック社製Stage JETを用いて、まず、水系プライマーインクを12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)表面に印刷した。印刷後、80℃にて5分間乾燥させた後、水系コーティング液滴を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、70%のベタ画像を水系プライマーインク層上に印刷し、その後、水系コーティング液を乾燥させずに、着弾した水系コーティング液上にブラックインクを除いたシアンインク、マゼンタインク、イエローインクのインク滴を12pLの25m/minの高速印刷条件下での搬送速度で表5〜7のカラーインクセットの順番に従いシングルパス吐出し着弾させ、シアンインク・マゼンタインク・イエローインクの各インクの印刷濃度80%、合計印刷濃度240%のベタ印刷を行うと共に、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクのそれぞれについて100%のベタ印刷も行った。その後、80℃の温度で5分間乾燥を行った。印刷部分を目視により下記の評価基準で評価した。ここで水系プライマーインク、水系コーティング液、及び水系カラーインクの解像度は縦×横=600×600dpiと設定した。評価基準は以下の通りである。なお、使用したインクセットの構成と評価結果を表5〜7に示す。
○:各色ベタ印刷及び3色のベタ印刷にはじきが見られない。
△:各色ベタにはじきが見られるが、3色のベタ印刷にはじきは見られない。
×:各色ベタ印刷及び3色のベタ印刷にはじきが見られる。
<色の浮き出し性>
表5〜7に示されるインクセットを用意して色の浮き出し性の評価を行った。
トライテック社製Stage JETを用いて、まず、水系プライマーインクを12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)表面に印刷した。印刷後、80℃にて5分間乾燥させた後、水系コーティング液滴を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、70%のベタ画像を水系プライマーインク層上に印刷し、その後、水系コーティング液を乾燥させずに、着弾した水系コーティング液上にブラックインクを除いたシアンインク、マゼンタインク、イエローインクのインク滴を12pLの25m/minの高速印刷条件下での搬送速度で表5〜7のカラーインクセットの順番に従いシングルパス吐出し着弾させ、シアンインク・マゼンタインク・イエローインクの各インクの印刷濃度80%、合計印刷濃度240%のベタ印刷を行った。その後、80℃の温度で5分間乾燥を行った。印刷部分を目視により下記の評価基準で評価した。ここで水系プライマーインク、水系コーティング液、及び水系カラーインクの解像度は縦×横=600×600dpiと設定した。評価基準は以下の通りである。なお、使用したインクセットの構成と評価結果を表5〜7に示す。
○:印刷面に対し水系プライマーインクの顔料由来の色浮きはない。
△:印刷面に対し水系プライマーインクの顔料由来の色浮きが一部見られる。
×:印刷面に対し水系プライマーの顔料由来の色浮きが全面にみられる。
表5〜7に示されるインクセットを用意して色の浮き出し性の評価を行った。
トライテック社製Stage JETを用いて、まず、水系プライマーインクを12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)表面に印刷した。印刷後、80℃にて5分間乾燥させた後、水系コーティング液滴を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、70%のベタ画像を水系プライマーインク層上に印刷し、その後、水系コーティング液を乾燥させずに、着弾した水系コーティング液上にブラックインクを除いたシアンインク、マゼンタインク、イエローインクのインク滴を12pLの25m/minの高速印刷条件下での搬送速度で表5〜7のカラーインクセットの順番に従いシングルパス吐出し着弾させ、シアンインク・マゼンタインク・イエローインクの各インクの印刷濃度80%、合計印刷濃度240%のベタ印刷を行った。その後、80℃の温度で5分間乾燥を行った。印刷部分を目視により下記の評価基準で評価した。ここで水系プライマーインク、水系コーティング液、及び水系カラーインクの解像度は縦×横=600×600dpiと設定した。評価基準は以下の通りである。なお、使用したインクセットの構成と評価結果を表5〜7に示す。
○:印刷面に対し水系プライマーインクの顔料由来の色浮きはない。
△:印刷面に対し水系プライマーインクの顔料由来の色浮きが一部見られる。
×:印刷面に対し水系プライマーの顔料由来の色浮きが全面にみられる。
<耐擦過性>
表5〜7に示されるインクセットを用意して擦過性の評価を行った。
トライテック社製Stage JETを用いて、まず、水系プライマーインクを12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)表面に印刷した。印刷後、80℃にて5分間乾燥させた後、水系コーティング液滴を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、70%のベタ画像を水系プライマーインク層上に印刷し、その後、水系コーティング液を乾燥させずに、着弾した水系コーティング液上にブラックインクを除いたシアンインク、マゼンタインク、イエローインクのインク滴を12pLの25m/minの高速印刷条件下での搬送速度で表5〜7のカラーインクセットの順番に従いシングルパス吐出し着弾させ、シアンインク・マゼンタインク・イエローインクの各インクの印刷濃度80%、合計印刷濃度240%のベタ印刷を行った。その後、80℃の温度で5分間乾燥を行った。印刷部分に綿棒(商標登録、白十字社製)で5往復擦過を行い、目視により下記の評価基準で評価した。ここで水系プライマーインク、水系コーティング液、及び水系カラーインクの解像度は縦×横=600×600dpiと設定した。評価基準は以下の通りである。なお、使用したインクセットの構成と評価結果を表5〜7に示す。
○:綿棒にインクが付かない。
△:綿棒にインクが付くが、基材からインクが剥れない。
×:綿棒にインクが付き、かつ基材からインクが剥れる。
表5〜7に示されるインクセットを用意して擦過性の評価を行った。
トライテック社製Stage JETを用いて、まず、水系プライマーインクを12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)表面に印刷した。印刷後、80℃にて5分間乾燥させた後、水系コーティング液滴を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、70%のベタ画像を水系プライマーインク層上に印刷し、その後、水系コーティング液を乾燥させずに、着弾した水系コーティング液上にブラックインクを除いたシアンインク、マゼンタインク、イエローインクのインク滴を12pLの25m/minの高速印刷条件下での搬送速度で表5〜7のカラーインクセットの順番に従いシングルパス吐出し着弾させ、シアンインク・マゼンタインク・イエローインクの各インクの印刷濃度80%、合計印刷濃度240%のベタ印刷を行った。その後、80℃の温度で5分間乾燥を行った。印刷部分に綿棒(商標登録、白十字社製)で5往復擦過を行い、目視により下記の評価基準で評価した。ここで水系プライマーインク、水系コーティング液、及び水系カラーインクの解像度は縦×横=600×600dpiと設定した。評価基準は以下の通りである。なお、使用したインクセットの構成と評価結果を表5〜7に示す。
○:綿棒にインクが付かない。
△:綿棒にインクが付くが、基材からインクが剥れない。
×:綿棒にインクが付き、かつ基材からインクが剥れる。
<発色性>
表5〜7に示されるインクセットを用意して色の浮き出し性の評価を行った。
トライテック社製Stage JETを用いて、まず、水系プライマーインクを12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)表面に印刷した。印刷後、80℃にて5分間乾燥させた後、水系コーティング液滴を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、70%のベタ画像を水系プライマーインク層上に印刷し、その後、水系コーティング液を乾燥させずに、着弾した水系コーティング液上にブラックインクを除いたシアンインク、マゼンタインク、イエローインクのインク滴を12pLの25m/minの高速印刷条件下での搬送速度で表5〜7のカラーインクセットの順番に従いシングルパス吐出し着弾させ、各インクについてそれぞれ印刷濃度100%のベタ印刷を行った。その後、80℃の温度で5分間乾燥を行うことで印刷画像の作製を行った。
また、水系プライマーインクの印刷を行わないこと以外は上記した手順と同様に印刷を行い、その後、80℃の温度で5分間乾燥を行うことで比較用画像の作製を行った。
上記印刷画像及び比較用画像の印刷部分を目視により下記の評価基準で評価した。ここで水系プライマーインク、水系コーティング液、及び水系カラーインクの解像度は縦×横=600×600dpiと設定した。評価基準は以下の通りである。なお、使用したインクセットの構成と評価結果を表5〜7に示す。
○:印刷画像が比較用画像に対して発色が鮮明な状態。
×:印刷画像が比較用画像に対して同等程度の発色状態。
××:印刷画像が比較用画像に対して発色が劣る、または異なる色が形成している状態。
−:試験未実施
表5〜7に示されるインクセットを用意して色の浮き出し性の評価を行った。
トライテック社製Stage JETを用いて、まず、水系プライマーインクを12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、100%のベタ画像をOKトップコートプラス(王子製紙社製、坪量127.9g/m2)及びSword ijet 4.3 gross(三菱製紙社製、坪量127.9g/m2)表面に印刷した。印刷後、80℃にて5分間乾燥させた後、水系コーティング液滴を12pL、25m/minの高速印刷条件下での搬送速度でシングルパス吐出し、70%のベタ画像を水系プライマーインク層上に印刷し、その後、水系コーティング液を乾燥させずに、着弾した水系コーティング液上にブラックインクを除いたシアンインク、マゼンタインク、イエローインクのインク滴を12pLの25m/minの高速印刷条件下での搬送速度で表5〜7のカラーインクセットの順番に従いシングルパス吐出し着弾させ、各インクについてそれぞれ印刷濃度100%のベタ印刷を行った。その後、80℃の温度で5分間乾燥を行うことで印刷画像の作製を行った。
また、水系プライマーインクの印刷を行わないこと以外は上記した手順と同様に印刷を行い、その後、80℃の温度で5分間乾燥を行うことで比較用画像の作製を行った。
上記印刷画像及び比較用画像の印刷部分を目視により下記の評価基準で評価した。ここで水系プライマーインク、水系コーティング液、及び水系カラーインクの解像度は縦×横=600×600dpiと設定した。評価基準は以下の通りである。なお、使用したインクセットの構成と評価結果を表5〜7に示す。
○:印刷画像が比較用画像に対して発色が鮮明な状態。
×:印刷画像が比較用画像に対して同等程度の発色状態。
××:印刷画像が比較用画像に対して発色が劣る、または異なる色が形成している状態。
−:試験未実施
<吐出率>
トライテック社製Stage JETを用いて、まず、水系プライマーインクをプリンターに充填した後、透明OHPシート上に着弾させ、装置に読み込まれているチェックパターンを印刷した(工程A)。次いで、水系プライマーインク滴を吐出し、25m2相当の12pL100%ベタ印刷を行った。その後、水系プライマーインク滴を透明OHPシート上に着弾させ、装置に読み込まれている工程Aと同一のチェックパターンを印刷した(工程B)。工程A及び工程Bにおいてチェックパターンが印刷されたそれぞれのOHPシートを目視で確認し、チェックパターンから抜けているピンの割合を評価した。評価基準は以下の通りである。なお、評価結果を表5〜7に示す。
○:工程Aで印刷したチェックパターン中に不吐出が無く、工程Bで印刷したチェックパターンから抜けているピンの割合が5%未満である。
△:工程Aで印刷したチェックパターン中に不吐出が無く、工程Bで印刷したチェックパターンから抜けているピンの割合が5%以上〜30%未満である。
×:工程Aで印刷したチェックパターン中に不吐出が無く、工程Bで印刷したチェックパターンから抜けているピンの割合が30%以上である。
−:試験未実施
トライテック社製Stage JETを用いて、まず、水系プライマーインクをプリンターに充填した後、透明OHPシート上に着弾させ、装置に読み込まれているチェックパターンを印刷した(工程A)。次いで、水系プライマーインク滴を吐出し、25m2相当の12pL100%ベタ印刷を行った。その後、水系プライマーインク滴を透明OHPシート上に着弾させ、装置に読み込まれている工程Aと同一のチェックパターンを印刷した(工程B)。工程A及び工程Bにおいてチェックパターンが印刷されたそれぞれのOHPシートを目視で確認し、チェックパターンから抜けているピンの割合を評価した。評価基準は以下の通りである。なお、評価結果を表5〜7に示す。
○:工程Aで印刷したチェックパターン中に不吐出が無く、工程Bで印刷したチェックパターンから抜けているピンの割合が5%未満である。
△:工程Aで印刷したチェックパターン中に不吐出が無く、工程Bで印刷したチェックパターンから抜けているピンの割合が5%以上〜30%未満である。
×:工程Aで印刷したチェックパターン中に不吐出が無く、工程Bで印刷したチェックパターンから抜けているピンの割合が30%以上である。
−:試験未実施
<保存安定性>
水系プライマーインクを110ccのガラス瓶に100gとり、60℃で4週間保存を行い、保存前と保存後の粘度や表面張力、比重、pHの測定を行った。その結果について比較を行った。評価基準は以下の通りである。なお、評価結果を表5〜7に示す。
○:すべての項目に対し変化率10%以内
△:いずれか1つの項目で変化率が10%を超え20%未満
×:いずれか1つの項目で変化率20%以上
−:試験未実施
水系プライマーインクを110ccのガラス瓶に100gとり、60℃で4週間保存を行い、保存前と保存後の粘度や表面張力、比重、pHの測定を行った。その結果について比較を行った。評価基準は以下の通りである。なお、評価結果を表5〜7に示す。
○:すべての項目に対し変化率10%以内
△:いずれか1つの項目で変化率が10%を超え20%未満
×:いずれか1つの項目で変化率20%以上
−:試験未実施
Claims (13)
- 少なくとも顔料、水、樹脂、及び有機溶剤を含む水系プライマーインクであって、吸収性白色基材への印刷用であり、該水系プライマーインクにより印刷された基材上の印刷面は、印刷を行う前の基材の面との色差(ΔE)が10.0以内となることを特徴とする水系プライマーインク。
- 前記プライマーインク中における顔料の含有量が0.5〜6.0質量%であることを特徴とする請求項1に記載の水系プライマーインク。
- 前記顔料の平均粒子径(D50)が100nm以上500nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水系プライマーインク。
- 前記顔料が白色顔料を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水系プライマーインク。
- 前記有機溶剤が少なくとも2種類のアルカンジオール系溶剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水系プライマーインク。
- 前記樹脂がウレタン系樹脂粒子を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の水系プライマーインク。
- 更に、少なくとも1種類のシリコーン系表面調整剤を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の水系プライマーインク。
- 前記水系プライマーインクは、25℃での表面張力値が28.0mN/m以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の水系プライマーインク。
- 前記水系プライマーインクは、25℃での表面張力値が21.0mN/m以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の水系プライマーインク。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の水系プライマーインクと、水系カラーインクを凝集させる作用を有する水系コーティング液と、水系カラーインクとを含むことを特徴とするインクセット。
- 請求項10に記載のインクセットを用いて印刷層を基材上に形成する印刷方法であって、水系プライマーインク、水系コーティング液及び水系カラーインクの印刷をこの順番で行い、基材上に印刷層を形成する工程を含み、前記基材が吸収性白色基材であることを特徴とする印刷方法。
- 水系プライマーインクの印刷と水系コーティング液の印刷の間に乾燥工程を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の印刷方法。
- 前記乾燥工程が70〜130℃で行われることを特徴とする請求項12に記載の印刷方法。
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