JP2020164375A - チタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体及びその製造方法 - Google Patents

チタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、一次粒径100nm以下のチタン酸バリウム粒子が非水系媒体中に高度に且つ安定して分散した非水系分散体を提供する。また、該非水系分散体の工業的な製造方法を提供する。【解決手段】一次粒径100nm以下のチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体であって、パルスNMR測定から算出されたチタン酸バリウム粒子の比表面積A1と、一次粒径から算出されたチタン酸バリウム粒子の比表面積A2との比であるA1/A2が0.5〜1.0であるチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体。【選択図】 なし

Description

本発明は、分散性に優れたチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体に関する。
また、本発明は、分散性に優れたチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体の製造方法に関する。
チタン酸バリウムBaTiOは、ペロブスカイト構造を持つ強誘電体化合物であり、積層セラミックコンデンサー、圧電材料、高周波振動子などの電子部品の材料として広く用いられている。また、微量の異種元素添加により半導体化されたチタン酸バリウムはポジティブサーミスターとしても用いられている。近年、スマートフォンなどの各種電子機器の小型・高性能化に伴い、その部品である積層セラミックコンデンサーもまた、小型・高性能化の需要が高まっている。そのため、積層セラミックコンデンサーとして積層される内部電極層及び誘電体層の薄層化が望まれている。それに併せて、内部電極層に共材として配合されるチタン酸バリウム粒子は内部電極のNi粒子と共に、さらなる微粒子化が望まれている(非特許文献1)。
一般に、積層セラミックコンデンサーは、ドクターブレード法で製造された誘電体層用のグリーンシートに内部電極を含むスラリーをスクリーン印刷し、積層、圧着、切断、を経て、共焼結により製造される。そのため、前述の共材用途に用いられるチタン酸バリウム粒子は誘電体層のチタン酸バリウム粒子と内部電極のNi粒子の熱収縮率の差を緩和する働きが求められる。従って、内部電極のNiなどの金属微粒子と共に共材用途のチタン酸バリウム粒子は非水系媒体に分散され、積層セラミックコンデンサー内部電極層形成用ペーストとなることが好ましい。
積層セラミックコンデンサーの内部電極における共材用チタン酸バリウム粒子は、共焼結後、内部電極中に分散した状態で存在することもでき、内部電極層と誘電体層の密着性を高めることができる。そのため、積層セラミックコンデンサーの電気特性を向上させる共材としての効果を発揮させるためには、非水系分散体中のチタン酸バリウム粒子の分散性が重要である。
共材用チタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体の粒子分散が不十分な場合は、内部電極層形成用ペースト製造時の金属微粒子、バインダー樹脂、あるいは非水系媒体を加えた時、粒子間の凝集やペーストのゲル化が発生する。また、内部電極層形成用ペースト塗布、乾燥後に塗膜のクラックや内部電極層と誘電体層で剥離などが生じ、得られる積層セラミックコンデンサーは不良品となる。
そこで、前述の共材用途のチタン酸バリウム粒子は、非水系媒体への高度な分散性が必要とされる。近年、チタン酸バリウム粒子合成においては、水熱法やシュウ酸塩法等様々な方法で粒子が合成されている。しかしながら、粒子は微細になるほど分散が困難となり、特に、一次粒径が100nm以下の微細なチタン酸バリウム粒子の分散は困難であった。即ち、前述の微細な粒子を単純に非水媒体へ分散しただけでは、金属微粒子、バインダー樹脂添加により、積層セラミックコンデンサー内部電極層形成用ペーストにおいて、添加された粒子が凝集してしまう現象が発生していた。
これまでに、金属酸化物粉末を5〜100nmの粒子径となるように粉砕した超微粒子粉末がシクロヘキサノンを主たる溶媒とする樹脂バインダー中に分散混合していることを特徴とする超微粒子分散型光学インクが知られている。(特許文献1)
また、チタン酸バリウムの懸濁液を湿式ジェットミルで処理することを特徴とするチタン酸バリウムの分散体の製造方法が知られている。(特許文献2)
また、分散剤の量を減らすために、分散液のpHを調整することにより、平均粒子径50nm以下の無機微粒子を均一に分散させた分散液が知られている。(特許文献3)
また、金属コロイドの粒子径とゼータ電位の制御、pH、チタン酸塩微粒子の平均粒子径と結晶子径を制御することにより、電気特性に優れた内部電極層を形成できるペーストが知られている。(特許文献4)
また、溶剤への分散性を高めるために、シラン系カップリング剤やチタン系カップリング剤で表面処理されたチタン酸化合物を主成分とする微粒子からなる複合酸化物材料、及びその分散液が知られている。(特許文献5)
さらには、微粒子酸化チタンを含む含水ケーキをフラッシング処理して、水相から油相へ転相する技術が知られている。(特許文献6)
R.Ueyama and K.Koumoto、J.Ceram.Soc.Jpn.、Vol.110、2002年、870−873頁
特開2000−26773号公報 特開2000−189830号公報 特開2007−231213号公報 特開2015−2250号公報 特開2018−24566号公報 特開2011−93826号公報
一次粒径100nm以下のチタン酸バリウム粒子が非水系媒体に安定的して分散した状態で存在する非水系分散体が望まれるところであるが、未だ得られていない。
即ち、特許文献1記載のものは、溶媒がシクロヘキサノンに限定されていると共に樹脂バインダーを必要としている。また、粉砕機を用いて粉砕処理および分散処理を行っているが、該処理に50〜350時間も要しており工業的に不利である。
また、特許文献2で分散されたチタン酸バリウムは0.41μm乃至0.69μmとサブミクロンオーダーであり、本発明の目的とする一次粒径100nm以下のチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体とは異なるものである。
また、特許文献1〜5に記載のものは、各種の製造方法で得られる粒子に分散剤を加えて非水系媒体に分散させた分散体であって、安定性に優れたチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体を得ることは困難であった。
また、特許文献6記載のものは、用途も異なるが、酸化チタンに関する技術であり、チタン酸バリウムに関する技術とは異なる。そのため、非水分散体中に存在する不純物の水の量に伴うBa溶出を考慮する必要が無く、異なる技術である。
そこで、本発明は、一次粒径100nm以下のチタン酸バリウム粒子が非水系媒体中に高度に且つ安定して分散した非水系分散体を提供することを技術的課題とする。また、該非水系分散体の工業的な製造方法を提供することを技術的課題とする。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
すなわち、本発明は、一次粒径100nm以下のチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体であって、パルスNMR測定から算出されたチタン酸バリウム粒子の比表面積A1と、一次粒径から算出されたチタン酸バリウム粒子の比表面積A2との比であるA1/A2が0.5〜1.0であることを特徴とする非水系分散体である。(本発明1)
また、本発明は、一次粒径100nm以下のチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体であって、パルスNMR測定から算出されたチタン酸バリウム粒子の比表面積A1が10〜100m/gであることを特徴とする非水系分散体である。(本発明2)
また、本発明は、チタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体の散乱強度分布において、n%の分散粒径をDnとするとき、D50が100nm以下であって、分散度(D90−D10)/D50の値が1.0以下である本発明1又は2記載の非水系分散体である。(本発明3)
また、本発明は、本発明1〜3のいずれかに記載のチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体の製造方法であって、水溶媒の液相法により合成されたチタン酸バリウム粒子を含む水系スラリーをフラッシングにより非水系媒体に転相することで調製される非水系分散体の製造方法である。(本発明4)
本発明に係るチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体は、粘度の経時変化が少なく保存安定性に優れている。また、該分散体を用いて得られるチタン酸バリウムの塗膜は明度Lが低く、光沢度も高い。そのため、前記分散体中のチタン酸バリウムの分散性は高い。
また、本発明は、低コストで量産可能なチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体の製造方法である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
先ず、本発明に係るチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体について述べる。
本発明に係る非水系分散体は、チタン酸バリウム粒子、非水系媒体、及び分散剤を含んでいる。
本発明に係る非水系分散体に含まれるチタン酸バリウム粒子の一次粒径は100nm以下である。100nm以下のチタン酸バリウム粒子は、透明性に優れているので、好ましい。好ましくは90nm以下である。さらに好ましくは80nm以下である。また、量産可能な一次粒径の下限値として3nm以上が好ましく、より好ましくは4nm以上である。
本発明に係る非水系分散体において、パルスNMR測定から算出されたチタン酸バリウム粒子の比表面積A1と、一次粒径から算出されたチタン酸バリウム粒子の比表面積A2との比であるA1/A2が0.5〜1.0であるチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体である。
本発明におけるパルスNMR測定より算出されたチタン酸バリウム粒子の比表面積A1は、非水系媒体中へ濡れている部分のチタン酸バリウム粒子の比表面積を示す。それに対して、本発明における一次粒径から算出されたチタン酸バリウム粒子の比表面積A2はBET法による比表面積とほぼ一致するため、チタン酸バリウム粒子間の焼結はほとんどなく、単分散が可能である。従って、これらの比表面積の比であるA1/A2の値が1に近いほど、チタン酸バリウム粒子間の強い凝集がほとんどなく、チタン酸バリウム粒子表面が非水系媒体に濡れている部分が多いことを示す。即ち、この値が大きく、1に近いほど非水系分散体中のチタン酸バリウム粒子の分散性が優れていることを意味する。最大値である1.0の場合、チタン酸バリウム粒子の表面積すべてが非水系媒体に濡れていることを示す。好ましくは、0.55〜0.99の範囲である。さらにより好ましくは、0.60〜0.98の範囲である。本発明者は、鋭意工夫を重ねた結果、湿式合成後の単分散チタン酸バリウム粒子に対し、乾燥による強い粒子間凝集を防ぎ、本発明に至ったのである。
下記参考文献1に記載のように、パルスNMRの測定原理は粒子表面に吸着して運動に制限を受けた溶媒分子と溶媒バルク中を自由に運動できる溶媒分子の磁場の変化に対する応答に基づいている。パルスNMRにより算出された分散体中のチタン酸バリウム粒子の比表面積A1は、電子顕微鏡等の画像による一次粒径から算出される比表面積A2や、BET比表面積測定によるガス吸着による粉体の比表面積とは異なる。パルスNMRにより算出されたチタン酸バリウム粒子の比表面積A1は、分散剤や樹脂を含む分散体の状態で算出され、また、それぞれ相互が作用を及ぼす粒子分散体の状態で比表面積を直接算出することができる。
(参考文献1)武田真一、セラミック粉体雑考―表面特性と濡れ―
本発明に係る非水系分散体のパルスNMRより算出されたチタン酸バリウム粒子の比表面積A1と、一次粒径より算出されたチタン酸バリウム粒子の比表面積A2との比であるA1/A2が上記範囲にある分散体であることによって、従来と比べ、チタン酸バリウム粒子の表面が非水系媒体に親和された状態で分散体として提供される。
本発明に係る非水系分散体は、パルスNMRより算出される比表面積A1が10〜100m/gである。チタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体の比表面積が上記範囲である場合、分散状態に優れる。比表面積A1が10m/g未満の場合は、非水系媒体へのチタン酸バリウム粒子の分散状態が悪く、分散体の保存や安定性に欠ける。また、金属微粒子、添加剤との混合で、非水分散体中のチタン酸バリウム粒子の分散状態が破壊され、分散体の増粘及び固液分離に伴う粒子沈降などが発生しやすい。より好ましくは、15〜90m/gである。さらにより好ましくは、20〜80m/gである。
本発明に係る非水系分散体は、チタン酸バリウム粒子が5〜50重量%の濃度として含まれていることが好ましい。5重量%よりも低い場合は、共材として利用する時に不便である。50重量%よりも高い場合は、樹脂などとの混和が難しくなる。より好ましくは、10〜45重量%である。さらに、より好ましくは、20〜40重量%である。
本発明に係る非水系分散体の製造中において、分散体から真空脱水で微量の水分を除く必要もある。そのため、非水系媒体が揮発しないために、本発明における非水系媒体は水よりも沸点が高いことが好ましい。また、水媒体から疎水性の非水系媒体へ粒子が置換されるため、本発明における非水系媒体は水に混ざりにくい媒体であることが好ましい。そのため、本発明における非水系媒体はSP値が10(cal/cm1/2以下の疎水性であることが好ましい。例えば、本発明における非水系媒体として、ブチルカルビトール、ターピネオール、ヒドロターピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ターピニルアセテート、ジヒドロターピニルアセテート、リナリールアセテートなどのアセテート系や、ジヒドロターピニルプロピオネート、イソボニルプロピオネートなどのプロピオネート系溶剤、エチルセロソロブやブチルセロソロブなどのセロソロブ類、芳香族類、ジエチルフタレートなどが挙げられる。その他、用途や目的により、非水系媒体は選定される。また、非水系媒体は前述の媒体の2種類以上の混合物であってもよい。
本発明における分散剤は、水の相に親和されたチタン酸バリウム粒子を疎水性の非水系媒体の相に転相させるため、水と非水系媒体に可溶の分散剤であることが好ましい。例えば、アルキルベンゼンスルホン酸やその塩、アルキルナフタレンスルホン酸やその塩、ジアルキルスルホコハク酸やその塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸やその塩、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸とその塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビット、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレーエートなどが挙げられる。反応基を持つものとすれば、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、3−アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2−メチルアリルスルホン酸、2−アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルアルコールの硫酸エステル、アルキルアリルスルホコハク酸およびその塩、メタクリロイロキシポリオキシアルキレン硫酸エステルおよびその塩、などが挙げられる。これら1種または2以上を組み合わせて用いることができる。
本発明における分散剤は、非水系分散体に対し1〜20重量%が好ましい。さらに好ましくは、3〜15重量%である。
本発明に係る非水系分散体において、チタン酸バリウム粒子の散乱強度分布50%の分散粒径D50は、100nm以下であることが好ましい。分散粒径が100nm以下になると、粒子による光散乱が抑制され、分散体を用いてなる塗膜は平滑性が高く、透明になりやすい。また、分散粒径D50が微細であることにより、分散体を用いてなる塗膜において、チタン酸バリウム粒子はその絶縁性能、誘電性能、及び電極層の共材としての性能を発揮しやすい。より好ましくは、90nm以下、さらにより好ましくは、80nm以下である。下限として、3nmが好ましい。
本発明に係る非水系分散体において、チタン酸バリウム粒子の散乱強度分布90%の分散粒径D90、散乱強度10%の分散粒径D10、及びD50から分散度を求めることができる。分散度を(D90−D10)/D50の値とする時、前記分散度は1.0以下であることが好ましい。この値が小さいほど粒度分布が狭く、他の粒子粉末含有分散体と混合・分散しやすい。またこの値が1.0以下になると単分散に近いことを意味する。非水系分散体におけるチタン酸バリウム粒子の粒度分布が狭いほど、非水系分散体の分散安定性を確保しやすく、分散体を用いてなる塗膜において、チタン酸バリウム粒子はその絶縁性能、誘電性能、及び電極層の共材としての性能を発揮しやすい。より好ましくは、0.9以下、さらにより好ましくは、0.7以下である。
本発明に係る非水系分散体の粘度は、20.0mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは15.0mPa・s以下が好ましい。粘度が20mPa・sを越える場合には、金属微粒子や分散剤と混ざりにくい。粘度の下限値は5.0mPa・sである。
本発明に係る非水系分散体の保存安定性は、後述する評価方法によって測定した粘度変化率において±10%以下である。±10%を超えると保存安定性に優れているとは言い難く、そのような±10%を超える状態の分散体を用いてなる塗膜において、明度Lは高く、光沢度は低い。より好ましくは±6%以下、更により好ましくは±5%以下である。
本発明に係る非水系分散体の濃度を40重量%に調整して、これを厚さ1mmガラスプレートにバーコーター#2(ウエット膜厚12μm)で塗布し、得られた塗膜を500℃焼成で脱脂処理を行った。得られた多孔質膜を黒普通紙上に置き、色差計(D50/2)で測定した。その評価において、明度Lが30以下であり、光沢度計による45°光沢が100以上を表現できることが好ましい。
本発明に係る非水系分散体に含まれるチタン酸バリウム粒子は、分散性、発色性などを向上させるために、表面処理を行われていてもよい。表面処理材料としては、特に限定されるものではないが、アルキルアルコール、脂肪酸、アルキルアミンなどの界面活性剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などのポリマー、シランカップリング剤、シランなどの有機珪素化合物などの有機表面処理剤などが挙げられる。また、シリカ、アルミナ、酸化チタンなどの無機微粒子などの無機表面処理剤、ロジン−カルシウム、ロジン−マグネシウムなどの有機無機表面処理剤なども挙げられる。あるいは、それらが2つ以上組み合わさったもので表面処理されたものでも良い。
次に、本発明に係る非水系分散体の製造方法について述べる。
本発明に係る非水系分散体の製造方法は、水溶媒の液相法により合成されたチタン酸バリウム粒子を含むスラリーを水洗後、水溶媒を乾燥させず、フラッシングにより非水系媒体に置換することで調製されることが好ましい。チタン酸バリウム粒子同士の乾燥による凝集をさせることなく、該粒子を非水系媒体に均一に分散させることが好ましい。
フラッシングはチタン酸バリウム粒子を含んだ含水ケーキと非水系媒体をニーダーなどの混練機で混練し、水相にある前記粒子を油相に移行し、水分のみを分離して除去する方法であることが好ましい。チタン酸バリウム粒子を含むスラリーを水洗後、その乾燥工程及び粉砕工程を省くことができる。そのため、非水系分散体の製造方法の省力化、省エネルギー化ができる。さらに、チタン酸バリウム粒子の乾燥による強い凝集が発生しないため、チタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体の製造方法として好ましい。粉砕工程を経ると、チタン酸バリウム粒子の割れや歪も生じるため、好ましくない。
本発明に係る非水系分散体の製造方法は、水溶媒の液相法によりチタン酸バリウム粒子を合成する第一工程、水洗により脱塩後、含水ケーキを作製する第二工程、水系スラリーに調製する第三工程、非水系媒体と分散剤を添加する第四工程、チタン酸バリウム粒子を非水系媒体にフラッシングする第五工程、真空脱水により水分1重量%以下に調製する第六工程、分散処理をする第七工程を含むことが好ましい。
本発明の製造方法における第一工程のチタン酸バリウム粒子の合成は、水溶媒の液相法が好ましい。一般に、チタン酸バリウム粒子の合成方法は、固相法及び液相法が存在する。固相法は固体のチタン化合物と固体のバリウム化合物を混合し、1000℃程度の高温で焼成する。そのため、得られる粒子は、その粒度分布が悪いため、分散に適していない。液相法は、媒体中で、溶液状態或いはコロイド状態のチタン化合物とバリウム化合物を反応させることができる。従って、粒度分布のコントロールが容易で、微細なチタン酸バリウム粒子を得られやすい。そのため、液相法が好ましい。
本発明におけるチタン酸バリウム粒子は、原料のバリウム塩溶液とチタン化合物溶液とを添加混合して、塩基性水溶液でpH調製し、常圧・高温で反応させることが好ましい。前記原料の添加順序及び速度を調整することによってチタン酸バリウム粒子の前駆体粒子の粒度を制御することが好ましい。また、前記反応後のチタン酸バリウム粒子の前駆体粒子を含む塩基性懸濁液を1.05〜10倍に濃縮した後、100〜250℃の温度範囲で水熱処理を行うことが好ましい。一方、前述のチタン酸バリウム粒子の前駆体粒子を本発明におけるチタン酸バリウム粒子として用いることもできる。
原料のバリウム塩水溶液としては、水酸化バリウム、塩化バリウム、および、硝酸バリウムなどを使用することができる。水酸化バリウム以外はアルカリ性水溶液により中和し、塩基性として使用することが好ましい。
原料のチタン化合物溶液はチタン水溶液をアルカリ性水溶液で中和、あるいは、加水分解して得ることができるチタン酸塩であり、それらを熱処理して酸化チタンを溶媒に懸濁したものでも可能である。チタン酸塩としては、四塩化チタン、硫酸チタニル、および、チタンアルコキシドなどを使用することができる。
塩基性水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化バリウム、アンモニア水などを使用することができる。
塩基性水溶液の添加量は、前記チタン化合物のモル数に対して0.1〜10が好ましい。
原料の添加混合において、チタンとバリウムの仕込み組成(Ba/Tiモル比)は、バリウムが過剰となるように混合するものであり、1.0〜4.0が好ましい。それは1.0未満の場合にはチタン酸バリウム粒子の生成収率が低下するためであり、4.0を超える場合は、過剰バリウムの水洗が困難となるためである。より好ましくは、1.01〜3.0である。
原料となるバリウム塩水溶液或いはチタン化合物溶液の添加速度は、通常0.1〜10L/min、好ましくは、0.3〜8L/minである。なお、バリウム塩水溶液及びチタン化合物溶液の固形分濃度は、各々、2〜20重量%程度である。
チタン酸バリウム粒子の前駆体粒子を生成させる反応溶液のpHは、9〜14が好ましく、より好ましくは11〜13.5である。温度範囲は50〜95℃が好ましい。反応温度は、50〜95℃、好ましくは、60〜85℃が好ましい。反応時間は1〜4時間、好ましくは、2〜3時間である。
チタン酸バリウム粒子の前駆体粒子を生成させる反応濃度はチタン化合物換算で0.1〜0.7mol/Lが好ましい。0.1mol/L未満の場合、収率が低く、0.7mol/L以上の場合、バリウム塩水溶液中のバリウム溶解度が低いため、Ba(OH)が析出し、均一な液相反応を行うことが困難である。より好ましくは、0.3〜0.6mol/Lである。
チタン酸バリウム粒子の前駆体粒子の生成反応においては、窒素置換中で行い、バリウムと空気中の炭酸ガスなどが反応して、炭酸バリウムを発生させないことが好ましい。
前記チタン酸バリウム粒子の前駆体粒子を含む塩基性懸濁液に対し、濃縮処理後、水熱処理をすることもでき、また、該前駆体粒子を本発明におけるチタン酸バリウム粒子として用いることもできる。濃縮処理を行う場合、1.05〜10倍となるように行う。1.05倍を下回る場合は濃縮効果が少なく、チタン酸バリウム粒子の生産性を高めるとは言い難い。10倍を超える場合には、濃縮、及び水熱処理が困難である。好ましくは、2.0〜5.0倍、より好ましくは、2.0〜4.0倍である。
前記濃縮後の反応溶液の濃度はチタン化合物換算で0.5〜1.5mol/Lが好ましく、より好ましくは、0.6〜1.4mol/Lである。
次いで、前記チタン酸バリウム粒子の前駆体粒子を含む反応溶液を水熱処理する反応温度は、100〜250℃が好ましい。100℃未満の場合には、緻密な球状チタン酸バリウム粒子を得ることは困難となる。250℃を超える場合、水熱容器の設計が困難である。好ましくは、105〜200℃、より好ましくは、105〜120℃である。水熱処理の時間は1〜16時間、好ましくは、2〜10時間である。
本発明の製造方法における第二工程の水洗の主目的は脱塩であり、過剰のバリウム分を洗い流すことができる。また、不純物であるNa、K、Cl、SO、NO、NH、2−プロパノールなども同時に除去することができる。水洗後、ろ別により含水ケーキを得ることができる。尚、ケーキの固形分濃度は、ケーキの一部を採取して、乾燥により水分を除去し、乾燥前後の重量の変化から算出できる。
本発明の製造方法における第三工程は、濃度10〜50重量%にチタン酸バリウム粒子を含む水系スラリーに調整することである。前記濃度が低い場合は、フィルタープレス或いは加温などにより脱水し、濃度を高くすることができる。濃度が高い場合は、加水などで調整することができる。チタン酸バリウム粒子を含む水系スラリーは、静置中に増粘するチクソトロピー性をもつことがある。従って、チタン酸バリウム粒子を含む水系スラリーの状態を保持するために、該スラリーを混練することが好ましい。該混練は、一軸ニーダー、及び二軸ニーダーなどを用いることができる。混練速度は10〜100rpmが好ましい。
本発明の製造方法における第四工程は、前述の非水系媒体と前述の分散剤を添加する工程である。前記水系スラリーの混練を行いながら、それらを添加することが好ましい。
本発明の製造方法における第五工程は、前記水系スラリー、非水系媒体、及び分散剤の混練により、チタン酸バリウム粒子が水系スラリー中から、非水系媒体中にフラッシングが行われる。該フラッシングにより、チタン酸バリウム粒子は非水系媒体スラリーとなり、水分の大部分が分離され、外部へ排出される。
本発明の製造方法における第六工程において、得られた非水系媒体スラリーに対し真空脱水することができる。該真空脱水により、チタン酸バリウム粒子の非水系媒体スラリーに残った微量の水分を除去できる。真空度は0.01〜10mmHgであり、脱水温度は、30〜80℃が好ましい。真空脱水により、水分量はカールフィッシャー水分計による測定で1重量%以下が好ましい。非水系分散体中に水分が残っているとチタン酸バリウム粒子からバリウム成分が水に溶け出す恐れがある。溶け出したバリウムは非水系分散体の分散性や分散安定性に悪影響を与える。好ましくは0.7%以下である。さらに好ましくは0.5%以下である。
本発明の製造方法における第七工程において、得られたチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体の分散性を高めるために、分散処理を行うことができる。該分散処理に用いる分散機はメディアレス分散機であることが好ましい。ナノ粒子の分散にはガラスビーズやジルコニアビーズを用いたメディア分散機が一般的である。しかしながら、微量のガラス、ジルコニアがチタン酸バリウム粒子に混入することになるので、メディア分散機は本発明においてふさわしくない。好ましくは、高速攪拌翼、高圧分散、超音波分散などのメディアレス分散機である。前記分散処理後は、濾過、遠心分離などで、不純物を取り除くこともできる。
<作用>
本発明に係る非水系分散体は、非水系媒体中のチタン酸バリウム粒子の比表面積A1を高度に制御、即ち、チタン酸バリウム粒子の非水系媒体への濡れ性を高めたものである。親水性の表面を有するチタン酸バリウムに対し、互いに強い粒子間凝集をさせることなく非水系の分散媒に分散させることによって、分散性及び保存安定性を向上させたものである。得られる非水系分散体は、積層セラミックコンデンサーの内部電極層用共材に用いるチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体として好適である。
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
本発明の係るチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体のパルスNMRにより算出された非水系媒体中の比表面積A1は以下の条件にて測定した。
[測定条件]
パルスNMR:Xigo nanotools社製Acorn Area
測定温度:25℃
測定試料A:チタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体
測定試料B:測定試料Aの遠心分離上澄み液(10,000rpm、60分)
<数1>
A1={[(Rav/Rb)−1]×Rb}/(0.0016×Ψp)
<数1>中、A1はチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体のチタン酸バリウム粒子の比表面積(m/g)を示す。Ravは測定試料Aを用いて得られたパルスNMRの緩和時間の逆数を示す。Rbは測定試料Bを用いて得られたパルスNMRの緩和時間の逆数を示す。Ψpは下記<数2>によって算出される。
<数2>
Ψp=(Sc/Sd)/[(1−Sc)/Td]
<数2>中、Scは、測定試料Aの固形分濃度(重量%)を示す。Sdは測定試料Aの密度(g/cm)を示す。Tdは測定試料Bの上澄み液の密度(g/cm)を示す。
本発明におけるチタン酸バリウム粒子の一次粒径は、日立ハイテク製走査型電子顕微鏡S−4800によって撮影した写真(倍率5万倍)について、200個の粒子から一次粒径を計測した平均値である。また、一次粒径から算出される比表面積A2は下記<数3>によって算出される。
<数3>
A2=6/(P50×d)
<数3>中、P50はチタン酸バリウム粒子の一次粒径(μm=10nm)を示す。dはチタン酸バリウム粒子の真比重の6.02g/cmを示す。
本発明におけるチタン酸バリウム粒子のBET比表面積は、第三工程で得られるチタン酸バリウム粒子を含む水系スラリー、もしくは、本発明に係るチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体を乾燥して、チタン酸バリウム粒子を取り出して評価した。QUANTA CHROME製マルチソーブ−16を用い、窒素を用いたBET法により測定した。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体のn%の分散粒径Dnは、大塚電子製濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000を用いた。前記装置で散乱強度分布を測定して、散乱強度分布10%の分散粒径D10、散乱強度分布50%の分散粒径D50、散乱強度分布90%の分散粒径D90を算出した。また、これらの値から下記<数4>を用いて、分散度をDとして求めた。
<数4>
D=(D90−D10)/D50
分散度DはD10からD90までの分布の広がりをD50で割ったもので、粒度分布の広がりの指標となり、Dが1.0以下になると、単分散に近いと云われる。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体の粘度は東機産業製E型粘度計TV−35を用いて測定した。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体の保存安定性の評価は、初期粘度V1(mPa・s)と、25℃で1週間後の経時粘度V2(mPa・s)とを東機産業製E型粘度計TV−35にて測定した。この初期粘度V1から経時粘度V2への粘度変化率を下記<数5>で算出し、下記3段階で評価した。
<数5>
粘度変化率(%)=(V2−V1)/V1×100
○:粘度変化率が±10%以下
△:粘度変化率が±10%を超えて、±30%以下
×:粘度変化率が30%を超える
本発明に係るチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体を用いて作製した塗膜の明度を測定した。本発明に係る非水系分散体においてチタン酸バリウム粒子濃度を40重量%に調整し、これをガラスプレートにWET膜厚6μmのバーコーターを用いて塗布し、500℃2時間ベークした。得られた塗布片(塗膜厚み:約1μm)を黒普通紙の上に置き、該塗布片について、X−Rite製分光測色計X−Rite939を用いてJIS Z8729に定めるところに従って表色指数L値を測定し、明度とした。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体の塗膜の透明度の判定は、明度Lの値によって、下記4段階で評価した。Lが低い方が塗膜の透明度が高く、チタン酸バリウム粒子が塗膜中でより分散した状態であることを示す。
◎:Lが30.0以下のもの
○:Lが30.0を超えて35.0以下のもの
△:Lが35.0を超えて40.0以下のもの
×:Lが40.0を超えたもの
本発明に係るチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体を用いた塗膜おいて、前述の塗布片を、グロスメーターUGV−5D(スガ試験機製)を用いて45°の光沢度を測定した。光沢度の値が高いほど、分散性が高いことを示す。
実施例1
<チタン酸バリウム粒子含水ケーキの製造:第一及び第二工程>
水酸化バリウム八水塩1120重量部を純水に溶解、精製したものを塩化チタン水溶液688重量部に滴下・中和して水酸化チタンコロイドを得た。次に、水酸化バリウム八水塩1280重量部を水に溶解、精製したものを温度70℃、pH12.5で窒素雰囲気の反応容器中に保持した。次に、前記水酸化チタンコロイドを前記水酸化バリウム水溶液に8分間かけて投入した。該混合溶液を反応温度70℃で2時間かけてチタン酸バリウム前駆体粒子を生成した。得られたチタン酸バリウム前駆体粒子をチタン酸バリウム粒子とみなし、室温まで冷却して第一工程を終了した後、次に示す第二工程へ移った。ヌッチェで窒素雰囲気下にてろ液にBaイオンが認められなくなるまで水洗し、ろ過、圧縮を行って、固形分濃度50重量%のチタン酸バリウム粒子含水ケーキを得た。(チタン酸バリウム粒子含水ケーキ名:BTO−1)
チタン酸バリウム粒子含水ケーキの製造条件を表1に示す。また、得られたチタン酸バリウム粒子含水ケーキを一部採取して、乾燥させたものの諸特性を表2に示す。
<フラッシング処理による非水系分散体の製造:第三〜第七工程>
得られたチタン酸バリウム粒子含水ケーキBTO−1、600重量部(即ち、チタン酸バリウム粒子300重量部)を窒素雰囲気下、40℃にて2軸ニーダーにて、60rpmにて3時間混練し、水系スラリーとし、第三工程を終了した。これに、ジヒドロターピニルアセテート200重量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸9重量部を加え(第四工程)、窒素雰囲気下で40℃にて2時間混練すると、チタン酸バリウム粒子がジヒドロタービニルアセテート相にフラッシングされ、水が分離されていることを確認した。その後、2軸ニーダーを傾け、水を200重量部排出した(第五工程)。続いて、ジヒドロターピニルアセテートを100重量部加えて、40℃にて3時間、0.05mmHgにて、混練しながら、真空脱水した。残った水分を1重量%以下にして、チタン酸バリウム粒子を含む非水系スラリーとした(第六工程)。これに、さらにポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸9重量部と、ジヒドロターピニルアセテート132重量部を加え、ダルトン製超音波ホモジナイザーにて分散操作を10分間行い、本発明に係るチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体を得た(第七工程)。
このチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体を0.5mL採取し、パルスNMRを測定したところ、非水系媒体中の比表面積A1は、25m/gと算出された。また、チタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体中のチタン酸バリウム粒子の一次粒径から算出された比表面積A2は39m/gであった。そこで、パルスNMR測定より算出されたチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体の比表面積A1と、チタン酸バリウム粒子の一次粒径から算出された比表面積A2との比であるA1/A2の値は、0.65であった。そのことより、チタン酸バリウム粒子の表面の約6割強が非水系媒体に親和しており、高度に分散していることが分かる。後述する比較例1で示すように、BTO−1のチタン酸バリウム含水ケーキを乾燥し、分散剤、非水系媒体を加えて分散したチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体において、パルスNMR測定から算出された比表面積A1は、8m/gであり、一次粒径から算出された比表面積との比は0.20であった。得られた非水系分散体のチタン酸バリウム粒子が非水系媒体にほとんど親和していないことが分かる。
また、実施例1の非水系分散体の散乱強度50%の分散粒径D50は78nmであり、比較例1のD50の70nmよりも分散粒径が大きい。一方、分散度Dは、それぞれ、0.19(実施例1)、1.03(比較例1)と実施例1の方が、単分散に近く、高度に分散されていることが分かる。また、実施例1の非水系分散体の初期粘度は低く分散性に優れており、粘度変化率も低く保存安定性に優れていた。
さらには、同一条件で作成された塗膜において、実施例1は比較例1と比較すると、明度は低く、明らかに透明度が高く、光沢度が高い。そのため、実施例1の方が、塗膜中でチタン酸バリウム粒子が高度に分散された状態を保持していることが分かる。従って、非水系分散体のチタン酸バリウム粒子が高度に分散された状態であることも分かる。
実施例における非水系分散体の製造条件を表3に、得られたチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体と塗膜の諸特性を表4に示す。
実施例2〜5
実施例1のチタン酸バリウム粒子の合成条件において反応温度70℃で1時間と変化させた以外は、前記チタン酸バリウム粒子含水ケーキ1と同様にして、チタン酸バリウム粒子含水ケーキを得た。(チタン酸バリウム粒子含水ケーキ名:BTO−2)
水酸化バリウム八水塩2540重量部を水に溶解、精製し、温度75℃、pH12.5で窒素雰囲気の反応容器中に保持した。次に、含水酸化チタン(硫酸チタニルを熱加水分解で作製したものTiO・HO)481gを水に邂逅して含水酸化チタンスラリーを作製し、前記水酸化バリウム水溶液に5分間かけて投入した。該混合溶液を75℃で3時間かけてチタン酸バリウム粒子前駆体を生成した。該粒子前駆体を沈降させ、2.4倍に濃縮し、120℃で8時間水熱処理を行い、室温まで冷却して第一工程を終了した。その後、第二工程として、得られたスラリーをヌッチェで、ろ液にBaイオンが認められなくなるまで水洗し、ろ過、圧縮を行って、固形分50%のチタン酸バリウム粒子含水ケーキを得た。(チタン酸バリウム粒子含水ケーキ名:BTO−3)
前述のチタン酸バリウム粒子の製造条件を種々変化させた以外は、チタン酸バリウム粒子含水ケーキ3と同様にして、チタン酸バリウム粒子含水ケーキを得た。(チタン酸バリウム粒子含水ケーキ名:BTO−4、5)
チタン酸バリウム粒子含水ケーキの種類と量、反応条件を種々変化させた以外は前記実施例1と同様に第三〜第七工程を実施して、本発明に係るチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体とそれを用いた塗膜を得た。
比較例1
チタン酸バリウム粒子含水ケーキBTO−1、600重量部を窒素雰囲気下80℃で乾燥し、チタン酸バリウム粒子300重量部を得た。これにポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸18重量部、ジヒドロターピニルアセテート432重量部を加えて、ダルトン製超音波ホモジナイザーにて分散操作を行い、チタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体を得た。
比較例2
チタン酸バリウム粒子の種類、並びに非水系媒体及び分散剤の量を変化させた以外は前記比較例1と同様にして、チタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体とそれを用いた塗膜塗膜を得た。
これらの比較例の製造条件を表3に、得られたチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体と塗膜の諸特性を表4に示す。
以上のように、本発明に係るチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体は、分散性及び保存安定性に優れることは明らかである。
本発明に係るチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体は、非水系媒体中のチタン酸バリウム粒子の比表面積を高度に制御したものである。そのため、積層セラミックコンデンサーの内部電極層用共材に用いるチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体としても好適である。


Claims (4)

  1. 一次粒径100nm以下のチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体であって、パルスNMR測定から算出されたチタン酸バリウム粒子の比表面積A1と、一次粒径から算出されたチタン酸バリウム粒子の比表面積A2との比であるA1/A2が0.5〜1.0であることを特徴とする非水系分散体。
  2. 一次粒径100nm以下のチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体であって、パルスNMR測定から算出されたチタン酸バリウム粒子の比表面積A1が10〜100m/gであることを特徴とする非水系分散体。
  3. チタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体の散乱強度分布において、n%の分散粒径をDnとするとき、D50が100nm以下であって、分散度(D90−D10)/D50の値が1.0以下である請求項1又は2記載の非水系分散体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のチタン酸バリウム粒子を含む非水系分散体の製造方法であって、水溶媒の液相法により合成されたチタン酸バリウム粒子を含む水系スラリーをフラッシングにより非水系媒体に転相することで調製される非水系分散体の製造方法。
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