JP2020163753A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】触感及び成形性が良好であり、かつエアバック展開性に優れる積層体を提供する。【解決手段】本発明は、架橋ポリオレフィン発泡体と、該架橋ポリオレフィン発泡体の一方の表面に設けられる表皮層とを備える積層体であって、前記積層体の−30℃での剥離強度が18N/25mm以上であり、前記架橋ポリオレフィン発泡体の160℃の伸びが200%以上であり、前記架橋ポリオレフィン発泡体の25%圧縮硬さが120kPa以下である、積層体である。【選択図】なし

Description

本発明は、自動車内装材などに用いることができる積層体に関する。
架橋ポリオレフィン発泡体は、機械強度、柔軟性、軽量性、断熱性等に優れており、断熱材、クッション材等として各種分野で汎用されている。例えば、自動車分野では、天井材、ドア及びインスツルメントパネル等の自動車内装材用として用いられている。また、通常は、意匠性、触感、高級感などを高める目的で、該架橋ポリオレフィン発泡体の一方の表面上に、熱可塑性樹脂シートなどからなる表皮層を設けた複合シート(積層体)として用いられる(例えば、特許文献1)。
近年、このような積層体を、エアバックを収容した樹脂基材などと一体化して使用する用途について種々検討されている(例えば、特許文献2,3)。具体的には、上記積層体をインスツルメントパネルなどとして使用する場合は、真空成形などの公知の方法により、所望の形状にした上で、エアバックを収納した樹脂基材(骨材)と接着剤などを用いて一体化され、表皮層/発泡体/エアバックを収納した樹脂基材からなる多層構造の部材となる。また、衝撃などが生じた場合に、エアバックが外部に展開できるように、樹脂基材には切れ込みが設けられており、実際には、樹脂基材の切れ込み部分からエアバックが膨張していき、発泡体及び表皮層を部分的に開裂させ、エアバックが外部に展開する。
特開2006−143786号公報 特開2016−155344号公報 特許第6089809号公報
架橋ポリオレフィンと表皮層とを備える積層体は、エアバックを良好に展開させるために、開裂しやすいことが必要とされる。また、積層体は、自動車内装材に用いられることより、真空成形などで所望の形状へ加工しやすい性能(良好な成形性)が求められ、かつ触感などにも優れることが必要とされている。
しかしながら、従来の積層体は、これらの物性のすべてを満足することが難しく、より物性バランスに優れる積層体の開発が望まれていた。
そこで、本発明は、触感及び成形性が良好であり、かつエアバック展開性に優れる積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた。その結果、架橋オレフィン発泡体と、該架橋ポリオレフィン発泡体の一方の表面に設けられる表皮層とを備える積層体であって、該積層体の−30℃における剥離強度と、発泡体の160℃の伸び及び25%圧縮硬さを特定の範囲とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[10]に関する。
[1]架橋ポリオレフィン発泡体と、該架橋ポリオレフィン発泡体の一方の表面に設けられる表皮層とを備える積層体であって、前記積層体の−30℃での剥離強度が18N/25mm以上であり、前記架橋ポリオレフィン発泡体の160℃の伸びが200%以上であり、前記架橋ポリオレフィン発泡体の25%圧縮硬さが120kPa以下である、積層体。
[2]前記発泡体の見掛け密度が0.067g/cm以下である、上記[1]に記載の積層体。
[3]前記発泡体の最大気泡径は670μm以下である、上記[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]前記発泡体の架橋度が30〜50質量%である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5]前記発泡体の厚みが1〜5mmである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6]前記発泡体の−30℃での伸びが5%以上である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7]前記発泡体の加熱収縮率が0〜15%である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8]前記表皮層が、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びオレフィン系熱可塑性エラストマーを含有する、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
[9]前記発泡体の他方の表面にポリオレフィン樹脂層が設けられている、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の積層体。
[10]自動車内装材用である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の積層体。
本発明によれば、触感がよく、成形性が良好であり、かつエアバック展開性にも優れる積層体を提供できる。
[積層体]
本発明は、架橋ポリオレフィン発泡体と、該架橋ポリオレフィン発泡体の一方の表面に設けられる表皮層とを備える積層体であって、前記積層体の−30℃での剥離強度が18N/25mm以上であり、前記架橋ポリオレフィン発泡体の160℃の伸びが200%以上であり、前記架橋ポリオレフィン発泡体の25%圧縮硬さが120kPa以下である。
<−30℃での剥離強度>
本発明の積層体の−30℃の剥離強度は、18N/25mm以上である。ここで、剥離強度とは、架橋ポリオレフィン発泡体(以下、単に発泡体ともいう)と表皮層との剥離強度を意味する。積層体の−30℃での剥離強度が18N/25mm未満であると、−30℃でのエアバック展開性が悪くなる。これは、−30℃の剥離強度が低いと、−30℃でエアバックが膨張する際に発泡体と表皮層とが剥がれやすくなり、これらが剥がれてしまうと、エアバックによって発泡体だけが破壊され、表皮層が破壊されなくなるからと考えられる。発泡体と表皮層との剥がれを防止し、これらがエアバック膨張時に、共に破壊され易くする観点、すなわち、−30℃でのエアバック展開性を向上させる観点から、−30℃の剥離強度が20N/25mm以上であることが好ましい。エアバック展開性の観点からは、上記−30℃の剥離強度は大きいほどよいが、積層体の柔軟性、触感などの他の物性とのバランスを考慮すると、−30℃の剥離強度は100N/25mm以下が好ましく、70N/25mm以下がより好ましく、50N/25mm以下がさらに好ましい。
積層体の剥離強度は、発泡体の組成、表皮層の組成などによって調整することができる。
なお、剥離強度は、−30℃にて、MD方向、TD方向の両方についての平均剥離強度を求めこれらを平均することで得られる。平均剥離強度は、25mm×200mmに切断した積層体について、引張速度200(mm/min)、剥離角度180°、剥離距離80(mm)の条件で剥離試験を行ったときの、平均剥離強度である。
(架橋ポリオレフィン発泡体)
<25%圧縮硬さ>
本発明における架橋ポリオレフィン発泡体の25%圧縮硬さは、120kPa以下である。発泡体の25%圧縮硬さが120kPaを超えると、積層体の柔軟性が低下し、触感が悪くなる。積層体の柔軟性を高め、触感を良好にする観点から、発泡体の25%圧縮硬さは、100kPa以下がより好ましい。また、積層体の触感は、発泡体の25%圧縮強度が低くなると良好になる傾向があるが、積層体の成形性などとの物性バランスを考慮すると、発泡体の25%圧縮強度は、20kPa以上が好ましく、30kPa以上がより好ましく、40kPa以上がさらに好ましい。
発泡体の25%圧縮硬さは、発泡体の組成、ゲル分率、見掛け密度などを調節することで、所望の値に調整できる。
発泡体の25%圧縮硬さは、JIS K6767に準拠して測定することができる。
<160℃における伸び>
本発明における架橋ポリオレフィン発泡体の160℃における伸びは、200%以上である。発泡体の伸びが200%未満であると、積層体の成形性が悪くなる傾向がある。積層体の成形性を良好にする観点から、発泡体の160℃の伸びは、210%以上であることが好ましく、220%以上であることが好ましく、そして、積層体の触感、エアバック展開性などとの物性バランスを考慮すると、500%以下であることが好ましく、400%以下であることがより好ましい。発泡体の伸びは、発泡体の組成などによって調整することができる。
発泡体の伸びは、引張試験を行った時の、発泡体が破断する際の伸び率(%)であり、100×(破断時試験片長さ−試験前試験片長さ)/試験前試験片長さで求められる。伸びは、JIS K 6767に準拠して測定することができる。
<−30℃における伸び>
本発明における架橋ポリオレフィン発泡体の−30℃における伸びは、好ましくは5%以上であり、より好ましくは7%以上であり、さらに好ましくは8%以上である。これら下限値以上であると、積層体の−30℃における剥離強度を高めやすくなり、エアバック展開性が向上しやすい。発泡体の−30℃における伸びは、特に限定されないが、通常は50%以下である。発泡体の−30℃における伸びは、測定温度以外は、上記した160℃における伸びと同様の測定により実施できる。
<見掛け密度>
本発明における架橋ポリオレフィン発泡体の見掛け密度は、特に限定されないが、好ましくは0.067g/cm以下であり、より好ましくは0.060g/cm以下であり、さらに好ましくは0.056g/cm以下である。見掛け密度がこれら上限値以下であると、発泡体の25%圧縮強度を低くしやすくなり、積層体の柔軟性を高め、触感を良好にすることができる。また、積層体の機械的強度の向上、成形性などを良好にする観点から、発泡体の見掛け密度は、好ましくは0.025g/cm以上、より好ましくは0.030g/cm以上である。
<最大気泡径>
本発明における架橋ポリオレフィン発泡体の最大気泡径は、特に限定されないが、好ましくは670μm以下であり、より好ましくは630μm以下であり、さらに好ましくは600μm以下である。最大気泡径がこれら上限値以下であると、エアバック展開性、成形性が良好になる傾向がある。最大気泡径は、通常は、200μm以上である。最大気泡径は、発泡体の見掛け密度、架橋度などを調節することにより、所望の値に調整できる。
最大気泡径は下記の要領で測定したものをいう。
測定用の発泡体を50mm四方にカットしたものを測定用の発泡体サンプルとして用意する。これを液体窒素に1分間浸した後にカミソリ刃でMD方向、TD方向及びZD方向に沿ってそれぞれ厚さ方向に切断する。この断面をデジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VHX−900」)を用いて200倍の拡大写真を撮り、MD方向、TD方向及びZD方向のそれぞれにおける長さ2mm分の切断面に存在する全ての独立気泡について気泡径を測定し、その操作を5回繰り返す。そして、測定した気泡径のうち、最も大きい気泡の長さを最大気泡径とする。
<架橋度>
本発明における架橋ポリオレフィン発泡体の架橋度は、特に限定されないが、好ましくは30〜50質量%であり、より好ましくは35〜45質量%である。これら下限値以上であると、発泡体の機械的強度が高まり、成形性が良好になりやすく、これら上限値以下であると、発泡体の柔軟性が高まり、積層体の柔軟性が良好になる。発泡体の架橋度は、実施例に記載の方法で求められる。
<加熱収縮率>
本発明における架橋ポリオレフィン発泡体の160℃における加熱収縮率は、特に限定されないが、0〜15%であることが好ましい。発泡体の加熱収縮率がこのような範囲であると、真空成形性が良好になりやすい。発泡体の真空成形性をより良好にする観点から、発泡体の加熱収縮率は、好ましくは0〜12%であり、より好ましくは0〜10%である。加熱収縮率は、160℃において、発泡体を10分間放置し室温に戻したときの、加熱前後の寸法の比のことをいい、以下の式で求めることができる。加熱収縮率は、発泡体のMD方向及びTD方向の両方について測定し、その平均値とする。すなわち、MD方向及びTD方向の寸法について、それぞれ以下の式により加熱収縮率を求め、これらを平均することで本発明における加熱収縮率が得られる。
加熱収縮率(%)=100×(加熱前の寸法−加熱後の寸法)/加熱前の寸法
<厚さ>
本発明における架橋ポリオレフィン発泡体の厚さは、特に限定されないが、1〜5mmであることが好ましい。このような範囲であると、柔軟性及び機械的硬度のバランスが良好になる。
[発泡性組成物]
本発明の積層体における架橋ポリオレフィン樹脂発泡体は、ポリオレフィン樹脂を含む発泡性組成物を架橋及び発泡してなるものである。以下、発泡性組成物に含有される各成分について詳細に説明する。
(ポリオレフィン樹脂)
発泡性組成物に含有されるポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられ、中でも、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマーから選ばれる一種以上を含有することが好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、得られる架橋ポリオレフィン樹脂発泡体の160℃における伸びを所望の値にし、成形性を高める観点から、ポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましい。また、ポリオレフィン樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂との双方を含むことがより好ましい。ポリエチレン系樹脂を含むことにより、25%圧縮硬さを低下させ、−30℃における剥離強度を高めやすくなる。そのため、積層体の触感やエアバック展開性が良好になりやすくなる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレンブロック共重合体等が挙げられ、これらは1種類を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。中でも、ホモプロピレン、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレンランダム共重合体を用いることが好ましく、これらを併用することがより好ましい。これらを併用することにより、積層体の柔軟性を良好にしつつ、成形性を高めることができる。
エチレン−プロピレンランダム共重合体は、耐熱性が高いものを用いることが好ましく、その融点は好ましくは140〜155℃、より好ましくは145〜153℃である。このような耐熱性が高いエチレン−プロピレンランダム共重合体を用いることで、160℃の伸びを所望の範囲にしやすくなり、積層体の成形性が良好になりやすい。したがって、ホモプロピレンとエチレンプロピレンランダム共重合体を併用するときは、上記した融点の範囲のエチレン−プロピレンランダムPPを用いることが好ましい。なお、融点は、示差走査型熱量分析(DSC)によって測定したものである。具体的には、試料を一度加熱溶融させた後、10℃/分で−50℃まで冷却させ、その後、10℃/分の速度で昇温させて、融点を測定することができる。融点は吸収熱量が最大となる点とした。
上記ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(以下、「MFR」と記す)は、70g/10分以下が好ましく、より好ましくは50g/10分以下であり、さらに好ましくは25g/10分以下である。また、MFRの下限は、通常0.1g/10分である。
上記MFRは、JIS K 7210に準拠して、温度230℃、荷重21.2Nの条件下で測定した値である。
ポリプロピレン系樹脂の含有量は、発泡性組成物中の樹脂全量100質量部に対して、30〜80質量部が好ましく、40〜75質量部がより好ましく、50〜70質量部がさらに好ましい。このような範囲であると、積層体の成形性を良好にすることができ、かつ後述するポリエチレン系樹脂なども一定量以上配合できることより、−30℃剥離強度を高めて、エアバック展開性が良好になりやすい。なお、ポリプロピレン系樹脂として、上記したホモポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体を併用する場合は、これらの合計量がポリプロピレン系樹脂の含有量となる。
ポリエチレン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンを主成分とするエチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられ、これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。上記したポリエチレン系樹脂の中では、−30℃剥離強度を高めて、エアバック展開性を良好にする観点から、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、0.900〜0.925g/cmであることが好ましく、0.902〜0.922g/cmであることがより好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂のMFRは、0.5〜70g/10分が好ましく、より好ましくは1.5〜50g/10分である。
上記MFRは、JIS K 7210に準拠して、温度190℃、荷重21.2Nの条件下で測定した値である。
ポリエチレン系樹脂の含有量は、発泡性組成物中の樹脂全量100質量部において、好ましくは15〜50質量部、より好ましくは20〜40質量部である。また、ポリエチレン系樹脂の含有量は、後述するオレフィン系熱可塑性エラストマーの使用の有無に応じて、適宜調整することが好ましい。オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いない場合は、ポリエチレン系樹脂の含有量は、発泡性組成物中の樹脂全量100質量部において、好ましくは25〜50質量部であり、より好ましくは30〜45質量部である。オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いる場合は、ポリエチレン系樹脂の含有量は、発泡性組成物中の樹脂全量100質量部に対して、好ましくは15〜30質量部であり、より好ましくは15〜25質量部である。ポリエチレン系樹脂の含有量をこれら下限値以上とすると、上記した−30℃における剥離強度を高め、エアバック展開性が良好になる。ポリエチレン系樹脂の含有量をこれら上限値以下とすることにより、ポリプロピレン系樹脂の含有量を一定以上に調整しやすくなるため、成形性が向上する。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)としては、ブレンド型、動的架橋型、重合型のいずれも使用可能である。オレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることにより、上記した−30℃剥離強度を高めることができ、エアバック展開性が良好になる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーの具体例としては、ハードセグメントとしてポリプロピレンと、ソフトセグメントとしてエチレン、プロピレン及び必要に応じて少量のジエン成分を有する共重合体とを含むものが挙げられる。該共重合体としては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)などが挙げられる。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)の他の具体例としては、ポリエチレンとEPRとのブレンド物、ポリエチレンとEPRとのブレンド物を有機過酸化物を用いて部分架橋したもの、ポリエチレンとEPRとのブレンド物を不飽和ヒドロキシ単量体、不飽和カルボン酸の誘導体等でグラフト変性したもの、ブチルグラフトポリエチレン等が挙げられる。
オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)の含有量は、発泡性組成物中の樹脂全量100質量部において、好ましくは10〜30質量部であり、より好ましくは15〜25質量部である。
(酸化防止剤)
発泡性組成物は、酸化防止剤を含有することが好ましい。酸化防止剤を含有することで、ポリオレフィン樹脂の酸化劣化を抑制することができる。ポリオレフィン樹脂100質量部に対して酸化防止剤を0.05〜5質量部含有することが好ましく、0.1〜1質量部含有することがより好ましい。
酸化防止剤の種類は特に限定されないが、例えば、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。これらの中では、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。これらの中でも、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましい。
イオウ系酸化防止剤としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。
酸化防止剤は、1種類が単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
(架橋助剤)
発泡性組成物は、架橋助剤を含有することが好ましい。架橋助剤を含有させることにより、発泡体を上記した所望の架橋度に調整しやすくなる。発泡性組成物中の架橋助剤の含有量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して2.0〜5.0質量部であることが好ましく、2.0〜4.0質量部であることがより好ましい。
架橋助剤としては、例えば、3官能(メタ)アクリレート系化合物、2官能(メタ)アクリレート系化合物などの多官能(メタ)アクリレート系化合物、1分子中に3個の官能基を持つ化合物などが挙げられる。これら以外の架橋助剤としては、ジビニルベンゼン等の1分子中に2個の官能基を持つ化合物、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、エチルビニルベンゼン、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。
3官能(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。
2官能(メタ)アクリレート系化合物としては、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート等が挙げられる。
1分子中に3個の官能基を持つ化合物としては、トリメリット酸トリアリルエステル、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸トリアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
架橋助剤は、単独で又は2以上を組み合わせて使用することができる。
(発泡剤)
発泡性組成物を発泡させる方法としては、化学的発泡法、物理的発泡法がある。化学的発泡法は、発泡性組成物に添加した化合物の熱分解により生じたガスにより気泡を形成させる方法であり、物理的発泡法は、低沸点液体(発泡剤)を発泡性組成物に含浸させた後、発泡剤を揮発させてセルを形成させる方法である。発泡法は特に限定されないが、化学的発泡法が好ましい。
発泡剤としては、熱分解型発泡剤が好適に使用され、例えば分解温度が140〜270℃程度の有機系又は無機系の化学発泡剤を用いることができる。
有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩(アゾジカルボン酸バリウム等)、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体、トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物等が挙げられる。
無機系発泡剤としては、酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、無水クエン酸モノソーダ等が挙げられる。
これらの中では、微細な気泡を得る観点、及び経済性、安全面の観点から、アゾ化合物、ニトロソ化合物が好ましく、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンがより好ましく、アゾジカルボンアミドが特に好ましい。
発泡剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
発泡剤の発泡性組成物への添加量は、発泡体の見掛け密度を上記範囲にしやすい観点から、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して1〜20質量部が好ましく、2〜15質量部がより好ましく、3〜12質量部が更に好ましく、5〜10質量部が更に好ましい。
(その他添加剤)
発泡性組成物には、必要に応じて、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、充填材、防錆剤、分解温度調整剤等の発泡体に一般的に使用する添加剤を配合されてもよい。
[架橋ポリオレフィン発泡体の製造方法]
本発明の架橋ポリオレフィン発泡体を製造する製造方法は、例えば、下記の工程1〜工程3の工程を含んでもよい。
(工程1)ポリオレフィン樹脂を含有する発泡性組成物をシート状に加工し、発泡性シートを製造する工程
(工程2)該発泡性シートに対して電離性放射線を照射し架橋発泡性シートを製造する工程
(工程3)架橋発泡性シートを発泡させて、架橋ポリオレフィン樹脂発泡体を製造する工程
(工程1)
工程1は、ポリオレフィン樹脂を含有する発泡性組成物をシート状に加工し、発泡性シートを製造する工程である。ポリオレフィン樹脂を含む発泡性組成物を、バンバリーミキサーや加圧ニーダ等の混練り機を用いて混練した後、押出機、カレンダ、コンベアベルトキャスティング等により連続的に押し出すことにより発泡性シートを製造することができる。
(工程2)
工程2は、発泡性シートに対して電離性放射線を照射し架橋発泡性シートを製造する工程である。
電離性放射線を照射する際の照射線量は、好ましくは0.5〜5Mradであり、より好ましくは0.8〜4Mradであり、更に好ましくは1〜3Mradである。
電離性放射性の照射は、発泡性シートの一方の面に対して行ってもよいし、両方の面に対して行ってもよい。
電離性放射線としては、例えば、電子線、α線、β線、γ線、X線等が挙げられる。これらの中では、生産性及び照射を均一に行う観点から、電子線が好ましい。
(工程3)
工程3は、架橋発泡性シートを発泡させて、シート状の架橋ポリオレフィン樹脂発泡体を製造する工程である。架橋発泡性シートを発泡させる方法としては、オーブンのようなバッチ方式や、架橋発泡性シートを、連続的に加熱炉内を通す連続発泡方式を挙げることができる。
架橋発泡性シートを発泡させる際の温度は、160〜280℃であることが好ましく、180〜270℃であることがより好ましく、200〜260℃であることが更に好ましい。
上記温度に調整するための方法としては、特に制限されないが、熱風を用いてもよいし、赤外線を用いてもよい。
また、架橋発泡性シートは、発泡後、又は発泡されつつMD方向又はCD方向の何れか一方又は双方に延伸されてもよい。
[表皮層]
本発明の積層体は、上記した架橋ポリオレフィン発泡体と、該架橋ポリオレフィン発泡体の表面に設けられる表皮層とを備える。表皮層を備えることで、積層体に、意匠性、断熱性などが付与される。
表皮層のショアD硬度は、好ましくは10〜50であり、より好ましくは15〜40であり、さらに好ましくは20〜30である。表皮層のショアD硬度をこのように調整しつつ、上記した発泡体との積層体とすることで、エアバック展開性、成形性、柔軟性のバランスに優れる積層体を得ることができる。
表皮層のショアD硬度は、用いる表皮層と同様の組成で、平板状の成形体を作製して、常温において、ショアD硬度計(例えば、テクロック社製のタイプDデュロメータGS−702N)を用いて測定できる。
表皮層の組成は、特に限定されないが、ショアD硬度を上記のとおり調整しやすくする観点から、表皮層は、ポリオレフィン樹脂を含有することが好ましく、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びオレフィン系熱可塑性エラストマーを含有することがより好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の種類としては、具体的には、発泡性組成物に含有される成分として説明したもの挙げられる。中でも、ポリプロピレン系樹脂としては、エチレン−プロピレンランダム共重合体が好ましい。ポリプロピレン系樹脂は一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
ポリエチレン系樹脂の種類としては、具体的には、発泡性組成物に含有される成分として説明したもの挙げられる。中でも、ポリエチレン系樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。ポリエチレン系樹脂は一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
オレフィン系熱可塑性エラストマーの種類としては、具体的には、発泡性組成物に含有される成分として説明したもの挙げられる。オレフィン系熱可塑性エラストマーは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよいが、ショアD硬度の異なるオレフィン系熱可塑性エラストマーを併用することが好ましい。具体的には、ショアD硬度が10以上20未満のオレフィン系熱可塑性エラストマーと、ショアD硬度が20以上40未満のオレフィン系熱可塑性エラストマーを併用することが好ましい。
表皮層の各樹脂の含有量は、ショアD硬度を適切な範囲にするように、適宜設定すればよい。
ポリプロピレン系樹脂の含有量は、表皮層の樹脂全量100質量部に対して、好ましくは2〜40質量部、より好ましくは5〜20質量部である。
ポリエチレン系樹脂の含有量は、表皮層の樹脂全量100質量部に対して、好ましくは2〜40質量部、より好ましくは5〜20質量部である。
オレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量は、表皮層の樹脂全量100質量部に対して、好ましくは50〜95質量部、より好ましくは70〜90質量部である。
表皮層の厚さは、好ましくは0.1〜3mm、より好ましくは0.2〜2mm、さらに好ましくは0.3〜1mmである。表皮層がこのような厚さ範囲であると、表皮層の意匠性、断熱性などの機能を適切に付与でき、かつ上記した発泡体との積層体した場合でも、エアバック展開性、成形性、柔軟性のバランスを良好にすることができる。
(ポリオレフィン樹脂層)
本発明の積層体においては、より成形性を向上させる観点から、発泡体の他方の面に、ポリオレフィン樹脂層を設けることが好ましい。ここで発泡体の他方の面とは、発泡体の表皮層が設けられている面とは逆側の面のことを意味する。
ポリオレフィン樹脂層の種類は特に限定されず、ポリオレフィン樹脂を用いるとよいが、成形性をより向上させる観点から、ポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましく、中でも、ホモポリプロピレンがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂層中の、ポリプロピレン系樹脂の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
ポリオレフィン樹脂層のショアD硬度は、好ましくは20〜60であり、より好ましくは30〜40である。ショアD硬度がこれら下限値以上であると、積層体の成形性が良好になり、ショアD硬度がこれら上限値以下であると、ポリオレフィン樹脂層を設けることによる柔軟性の低下を抑制することができる。
ポリオレフィン樹脂層の厚さは、好ましくは0.01〜2mm、より好ましくは0.03〜1mm、さらに好ましくは0.05〜0.5mmである。厚さがこれら下限値以上であると、積層体の成形性が良好になりやすい。厚さがこれら上限値以下であると、積層体の柔軟性が低下するのを防止することができる。
[積層体の製造方法]
本発明の積層体は、上記架橋ポリオレフィン発泡体に、表皮層を積層することにより製造することができる。積層する方法は特に限定されず、押出ラミネート法、接着剤を塗布した後張り合わせる接着ラミネート法、熱ラミネート法(熱融着法)、ホットメルト法、高周波ウェルダー法等が挙げられるが、如何なる方法でも両者が接着されればよい。
また、発泡体の他方の表面にポリオレフィン樹脂層を設ける場合は、その方法について、特に限定されないが、表皮層を積層する方法と同様の方法が適用できる。
また、本発明の積層体は、成形性が良好であるため、積層体を成形して、成形体とすることができる。成形方法としては、スタンピング成形法、真空成形法、圧縮成形法、射出成形法等が挙げられ、中でも真空成形法が好ましい。
本発明の積層体は、自動車内装材用として好適に使用できる。該積層体は、エアバック展開性、柔軟性及び成形性に優れるため、特に自動車のインスツルメントパネル用として特に好適に使用できる。
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
各実施例、比較例で使用した原料の詳細は以下の通りである。
(ポリオレフィン系樹脂)
・ランダムPP1:エチレン−プロピレンランダム共重合体、プライムポリマー社製、商品名「E330GV」、融点142℃、エチレン含有量2.7wt%
・ランダムPP2:エチレン−プロピレンランダム共重合体、プライムポリマー社製、商品名「B221WA」、融点147℃、エチレン含有量3.5wt%
・ホモPP:ホモポリプロピレン、プライムポリマー社製、商品名「S135」
・LLDPE:直鎖状低密度ポリエチレン、ダウケミカルジャパン社製、商品名「ダウレックス2035G」、密度0.919g/cm
・TPO1:オレフィン系熱可塑性エラストマー、三井化学社製、商品名「ミラストマー8030N」、ショアD硬度30
・TPO2:オレフィン系熱可塑性エラストマー、三井化学社製、商品名「ミラストマー5030N」、ショアD硬度12
(架橋助剤)
・TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート
(発泡剤)
・アゾジカルボンアミド:永和化成工業株式会社製、商品名「ビニホールAC−R−K3」、分解温度:208℃
(酸化防止剤)
・2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール
・ジラウリルチオジプロピオネート
[評価方法]
(−30℃での剥離強度)
以下のようにして、−30℃における積層体の表皮層と発泡体との剥離強度を測定した。
各実施例、比較例で得られた積層体について、200mm×25mmに切断し、引張試験機(A&D社製、RTG1250)を用いて、引張速度200(mm/min)、剥離角度180°、剥離距離80(mm)の条件で剥離試験を行い、平均剥離強度の値を求めた。MD方向及びTD方向のそれぞれについて平均剥離強度を求め、これらを平均して、−30℃の剥離強度(N/25mm)とした。
(発泡体の160℃における伸び)
各実施例、比較例で作製した発泡体を、JIS 1号ダンベルに切断して試験片とし、上記した引張試験機において、160℃、引張速度200(mm/min)の条件で引張試験を行い、発泡体が破断する際の伸び率(%)を求めた。伸び率は、MD方向及びTD方向について測定し、これらを平均して、発泡体の160℃における伸びとした。
伸び率は、100×(破断時試験片長さ−試験前試験片長さ)/試験前試験片長さにより求めた。
(発泡体の−30℃における伸び)
測定温度を−30℃にした以外は、上記した160℃における伸びと同様の方法で測定した。
(160℃における加熱収縮率)
各実施例、比較例で作製した発泡体を150mm×150mmに切断して試験片とし、これを160℃に設定した熱風オーブンにより10分間加熱した。以下の式によりMD方向及びTD方向のそれぞれの加熱収縮率を求め、これらを平均して、160℃における加熱収縮率とした。
加熱収縮率(%)=100×(加熱前の寸法−加熱後の寸法)/加熱前の寸法
(最大気泡径)
各実施例、比較例で作製した発泡体を50mm四方にカットしたものを測定用の発泡体サンプルとして用意した。これを液体窒素に1分間浸した後にカミソリ刃でMD方向、TD方向及びZD方向に沿ってそれぞれ厚さ方向に切断した。この断面をデジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製「VHX−900」)を用いて200倍の拡大写真を撮り、MD方向、TD方向及びZD方向のそれぞれにおける長さ2mm分の切断面に存在する全ての独立気泡について気泡径を測定し、その操作を5回繰り返した。そして、測定した気泡径のうち、最も大きい気泡の長さを最大気泡径とした。
(25%圧縮硬さ)
JIS K6767に準拠して測定した。
(架橋度)
各実施例、比較例で作製した発泡体から約100mgの試験片を採取し、試験片の質量A(mg)を精秤した。次に、この試験片を120℃のキシレン30cm中に浸漬して24時間放置した後、200メッシュの金網で濾過して金網上の不溶解分を採取、真空乾燥し、不溶解分の質量B(mg)を精秤した。得られた値から、下記式により架橋度(質量%)を算出した。
架橋度(質量%)=100×(B/A)
(ショアD硬度)
平板状の成形体を作製して、常温(23℃)において、ショアD硬度計(テクロック社製のタイプDデュロメータGS−702N)を用いて測定した。
(真空成形性)
各実施例、比較例で得られた積層体を両面ともに160℃となるように加熱後、カップ状成形型にて成形し、破れなかった最大のカップ深さ(H)/カップ径(D)を測定し、
以下の基準で評価した。
◎・・H/Dが0.9以上
〇・・H/Dが0.8以上0.9未満
△・・H/Dが0.75以上0.8未満
×・・H/Dが0.75未満
(エアバック展開性)
各実施例、比較例で得られた積層体の−30℃におけるエアバック展開性について、下記設備、条件でテストし、以下の基準で評価した。
設備:安田精機社製デュポン式落下衝撃試験機
条件:−30℃×10分間保管
衝撃子:先端直径1cm×300g
落下距離:50cm
〇・・表皮層と発泡体が剥離せず、表皮層、発泡体ともに穴が開いた
△・・表皮層と発泡体が剥離したが、表皮層、発泡体ともに穴が開いた
×・・表皮層と発泡体が剥離して、表皮層及び発泡体のいずれかに穴が開かなかった
(触感)
各実施例、比較例で得られた積層体についての表皮層側の触感について、手で押して触感を確認した。触感は、以下の基準で評価した。
◎・・非常に良い触感
〇・・比較的良い触感
△・・比較的悪い触感
×・・非常に悪い触感
[実施例1]
(表皮層の製造)
TPO1 50質量部、TPO2 30質量部、ランダムPP1 10質量部、LLDPE 10質量部を単軸押出機により、温度230℃で混練して、表皮層を得た。
(架橋ポリオレフィン樹脂発泡体の製造)
ランダムPP2 50質量部、ホモPP 15質量部、LLDPE 35質量部、TMPTMA 3質量部、アゾジカルボンアミド 7質量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール 0.3質量部、ジラウリルチオジプロピオネート 0.3質量部を混合して、発泡性組成物とした。該発泡性組成物を単軸押出機により、温度180℃で溶融混練して、発泡性シートとした。該発泡性シートの両面をそれぞれ加速電圧1000keVにて電離性放射線(電子線)を2.0Mradで照射し、架橋発泡性シートを得た。その後、該架橋発泡性シートを、炉内温度250℃の縦型熱風式発泡炉に供給し、延伸しつつ加熱発泡させ、目的とする架橋ポリオレフィン樹脂発泡体を得た。
(積層体の製造)
上記のとおり製造した架橋ポリオレフィン樹脂発泡体の一方の表面に、熱ラミネート法(160℃)により表皮層を貼り付けて積層体を作製した。
[実施例2〜4、比較例1〜4]
発泡性組成物の配合を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
[実施例5]
(ポリオレフィン樹脂層の製造)
ホモPPを単軸押出機により、温度230℃で混練して、ポリオレフィン樹脂層を得た。
(ポリオレフィン樹脂層を備えた積層体の製造)
実施例1と同様にして、積層体を得た。積層体における発泡体の表皮層が設けられていない方の表面に、熱ラミネート法(160℃)により、ポリオレフィン樹脂層を貼り付けて、ポリオレフィン樹脂層を備える積層体を得た。
本発明の要件を満足する各実施例の積層体は、真空成形性、エアバック展開性、触感のいずれにおいても良好な結果が得られた。これに対して、本発明の要件を満足しない各比較例の積層体は、真空成形性、エアバック展開性、触感の少なくともいずれかについて、悪い結果となった。

Claims (10)

  1. 架橋ポリオレフィン発泡体と、該架橋ポリオレフィン発泡体の一方の表面に設けられる表皮層とを備える積層体であって、前記積層体の−30℃での剥離強度が18N/25mm以上であり、前記架橋ポリオレフィン発泡体の160℃の伸びが200%以上であり、前記架橋ポリオレフィン発泡体の25%圧縮硬さが120kPa以下である、積層体。
  2. 前記発泡体の見掛け密度が0.067g/cm以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記発泡体の最大気泡径は670μm以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記発泡体の架橋度が30〜50質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
  5. 前記発泡体の厚みが1〜5mmである、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 前記発泡体の−30℃での伸びが5%以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
  7. 前記発泡体の加熱収縮率が0〜15%である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
  8. 前記表皮層が、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びオレフィン系熱可塑性エラストマーを含有する、請求項1〜7のいずれかに記載の積層体。
  9. 前記発泡体の他方の表面にポリオレフィン樹脂層が設けられている、請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
  10. 自動車内装材用である、請求項1〜9のいずれかに記載の積層体。
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