JP2020163360A - 攪拌・脱泡装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】真空状態の適切な管理及び/又はコントロールを可能とする攪拌・脱泡装置を提供する。【解決手段】本発明に係る攪拌・脱泡装置は、公転自転式の攪拌・脱泡装置であって、各容器40内の空気を吸引して各容器40内を真空状態にするための真空手段が、各容器40を密閉する密閉手段71と、真空発生源72と、各容器40を始端として公転中心に向かい、公転中心を通って系外に抜け、系外に設置された真空発生源72に至る吸引経路であって、始端から少なくとも一部が各容器40に対応して独立した経路となっている吸引経路73と、各独立した経路に設けられる少なくとも2つ以上の真空計測手段80,80とを備える。【選択図】図2

Description

本発明は、容器を公転させる手段及び自転させる手段を備え、容器に収容した被処理物を攪拌・脱泡することができる公転自転式の攪拌・脱泡装置に関する。
被処理物を収容した容器を公転及び自転させることによって、被処理物を攪拌・脱泡する攪拌・脱泡装置が知られている。このような攪拌・脱泡装置は、たとえば異なる液体材料が混合された液や粉体材料と液体材料の混合材料等の被処理物を、公転させ遠心力を加えながら自転させることにより攪拌及び脱泡するものであり、均一に攪拌するとともに含有する気泡の低減を両立することが求められる。なお、本願明細書で、攪拌・脱泡という用語は、被処理物の攪拌、被処理物に含まれる泡を消失させるための脱泡、あるいは、上記攪拌及び脱泡の両方、を意味する用語として記載している。
攪拌・脱泡処理は、大気圧下で行う場合と、容器内の空気を吸引して真空下で行う場合とがある。後者は、真空手段を設けることで、装置が高価になる一方で、大気圧下では除去しきれない細かな泡も体積が膨張して除去が容易となるため、完全脱泡を実現することができ、かつ、脱泡にかかる処理時間を短縮化することができて生産性を向上することができるという極めて優れた利点がある。
真空手段を備える攪拌・脱泡装置としては、たとえば特許文献1に記載のように、装置全体を真空チャンバ内に収容し、真空チャンバ内の空気を吸引することにより、容器内の空気を吸引して容器内を真空状態にするものが知られている。しかし、この種の真空手段を備える攪拌・脱泡装置は、真空チャンバ内の空気量が多く、吸引に時間がかかるため、容器内が真空状態となるまでに時間がかかるという欠点がある。これは、材料の大容量化に対応して攪拌・脱泡装置が大型になるほど顕著となる。
そこで、容器内の空気を直接吸引して容器内を真空状態にする真空手段を備える攪拌・脱泡装置も知られている。特許文献2ないし5に記載の攪拌・脱泡装置は、容器を密閉する密閉手段と、真空ポンプと、容器の開口部を始端として公転中心に向かい、公転中心を通って系外に抜け、系外に設置された真空ポンプに至る吸引経路とを備え、容器内の空気を直接吸引して容器内を真空状態にするものである。
特開平11−104404号公報 特開平11−290668号公報 特開2009−208026号公報 特開2000−61207号公報 特開2001−246236号公報
しかし、真空下での攪拌・脱泡を適切に行うためには、単に真空ポンプを駆動して吸引経路を介して容器内の空気を吸引すればよいというものではなく、真空状態の適切な管理及びコントロールが重要である。そのためには、様々な技術的アプローチで攪拌・脱泡装置の装置構成を検討する必要がある。
本発明は、容器内の空気を直接吸引する真空手段を備える攪拌・脱泡装置であって、真空状態の適切な管理及び/又はコントロールを可能とする攪拌・脱泡装置を提供することを課題とする。
一つの本発明に係る攪拌・脱泡装置は、
公転軸を中心に回転可能な公転体と、
公転体上の少なくとも2つ以上の各自転軸を中心に回転可能で、それぞれ容器を保持可能な少なくとも2つ以上の自転体と、
各容器内の空気を吸引して各容器内を真空状態にする真空手段とを備え、
真空手段は、
各容器を密閉する密閉手段と、
真空発生源と、
各容器を始端として公転中心に向かい、公転中心を通って系外に抜け、系外に設置された真空発生源に至る吸引経路であって、始端から少なくとも一部が各容器に対応して独立した経路となっている吸引経路と、
各独立した経路に設けられる少なくとも2つ以上の真空計測手段とを備える
攪拌・脱泡装置である。
かかる構成によれば、吸引経路に共通して1つの真空計測手段が設けられるのではなく、各容器に対して真空計測手段が設けられるため、各容器内の真空状態を正確に把握することができ、これにより、真空状態の適切な管理及び/又はコントロールが可能となる。なお、かかる構成の具体例として、後述する実施形態1−1ないし1−7、実施形態2−1ないし2−5が挙げられる。
ここで、本発明に係る攪拌・脱泡装置の一態様として、
各真空計測手段は、密閉手段により各容器の密閉された空間に対して設けられる
との構成を採用することができる。
かかる構成によれば、容器に最も近い位置に真空計測手段が設けられるため、各容器内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができ、これにより、真空状態のさらに適切な管理及び/又はコントロールが可能となる。なお、かかる構成の具体例として、後述する実施形態1−1,1−2,1−5ないし1−7、実施形態2−1,2−2,2−4及び2−5が挙げられる。
また、本発明に係る攪拌・脱泡装置の他態様として、
真空手段は、各独立した経路に設けられる個別に制御可能な少なくとも2つ以上の開閉弁をさらに備える
との構成を採用することができる。
かかる構成によれば、各容器の吸引経路を個別に開閉制御できるため、各容器の正確な真空状態の把握に基づき、各容器内の真空状態を適切に制御することができ、これにより、真空状態のさらに適切な管理及び/又はコントロールが可能となる。また、かかる構成によれば、たとえば、一部の容器については、真空状態とせず、大気圧下での処理や、一部の容器のみを用いた処理や、各容器に種類の異なる材料(異種材料)の処理が可能となる。なお、かかる構成の具体例として、後述する実施形態1−1ないし1−7、実施形態2−5が挙げられる。
また、別の本発明に係る攪拌・脱泡装置は、
公転軸を中心に回転可能な公転体と、
公転体上の少なくとも2つ以上の各自転軸を中心に回転可能で、それぞれ容器を保持可能な少なくとも2つ以上の自転体と、
各容器内の空気を吸引して各容器内を真空状態にする真空手段とを備え、
真空手段は、
各容器を密閉する密閉手段と、
真空発生源と、
各容器を始端として公転中心に向かい、公転中心を通って系外に抜け、系外に設置された真空発生源に至る吸引経路であって、始端から少なくとも一部が各容器に対応して独立した経路となっている吸引経路と、
各独立した経路に設けられる個別に制御可能な少なくとも2つ以上の開閉弁とを備える
攪拌・脱泡装置である。
かかる構成によれば、各容器の吸引経路を個別に開閉制御できるため、各容器内の真空状態を適切に制御することができ、これにより、真空状態の適切な管理及び/又はコントロールが可能となる。また、かかる構成によれば、たとえば、一部の容器については、真空状態とせず、大気圧下での処理や、一部の容器のみを用いた処理や、各容器に種類の異なる材料(異種材料)の処理が可能となる。なお、かかる構成の具体例として、後述する実施形態1−1ないし1−8、実施形態2−5が挙げられる。
また、さらに別の本発明に係る攪拌・脱泡装置は、
公転軸を中心に回転可能な公転体と、
公転体上の自転軸を中心に回転可能で、容器を保持可能な自転体と、
容器内の空気を吸引して容器内を真空状態にする真空手段とを備え、
真空手段は、
容器を密閉する密閉手段と、
真空発生源と、
容器を始端として公転中心に向かい、公転中心を通って系外に抜け、系外に設置された真空発生源に至る吸引経路と、
密閉手段により容器の密閉された空間に対して設けられる真空計測手段とを備える
攪拌・脱泡装置である。
かかる構成によれば、容器に最も近い位置に真空計測手段が設けられるため、容器内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができ、これにより、真空状態の適切な管理及び/又はコントロールが可能となる。なお、かかる構成の具体例として、後述する実施形態1−1,1−2,1−5ないし1−7、実施形態2−1,2−2,2−4及び2−5、実施形態3−1及び3−2が挙げられる。
以上の如く、本発明に係る攪拌・脱泡装置によれば、真空状態の適切な管理及び/又はコントロールを可能とすることができる。
図1(a)は、実施形態1に係る攪拌・脱泡装置の断面図であり、図1(b)は、同攪拌・脱泡装置の部分上面図である。 図2は、実施形態1−1に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図3は、実施形態1−2に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図4は、実施形態1−3に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図5は、実施形態1−4に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図6は、実施形態1−5に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図7は、実施形態1−6に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図8は、実施形態1−7に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図9は、実施形態1−8に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図10(a)は、実施形態2に係る攪拌・脱泡装置の断面図であり、図10(b)は、同攪拌・脱泡装置の部分上面図である。 図11は、実施形態2−1に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図12は、実施形態2−2に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図13は、実施形態2−3に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図14は、実施形態2−4に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図15は、実施形態2−5に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図16は、実施形態2−6に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図17は、実施形態2−7に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図18は、実施形態3に係る攪拌・脱泡装置の断面図である。 図19は、実施形態3−1に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図20は、実施形態3−2に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図21は、実施形態3−3に係る攪拌・脱泡装置の要部断面図である。 図22は、実施形態1−1,1−2,1−5ないし1−7、実施形態2−1,2−2,2−4及び2−5、実施形態3−1及び3−2に係る攪拌・脱泡装置であって、自転体に取り付けられる密閉蓋における真空計測手段の好ましい配置領域に関する説明図である。 図23は、実施形態1−1ないし1−7、実施形態2−5に係る攪拌・脱泡装置により可能となる真空制御の一例の説明図である。 図24は、他実施形態に係る真空計測手段の配置に関する説明図である。
<実施形態1>
以下、本発明に係る攪拌・脱泡装置の実施形態1について、図1及び図2を参酌して説明する。なお、実施形態1に係る攪拌・脱泡装置は、後述するとおり、容器40が複数(本実施形態においては、2つ)設けられ、各容器40に対して吸引経路73が独立して2系統設けられた構成の攪拌・脱泡装置である。
まず、攪拌・脱泡装置の全体構成について概略を説明する。図1に示す如く、攪拌・脱泡装置は、公転軸L1を中心に回転可能な公転体20と、公転体20上の自転軸L2を中心に回転可能な自転体30と、自転体30に保持される容器40と、公転体20を回転駆動する公転駆動部50と、自転体30を回転させる自転付与部60と、容器40内の空気を直接吸引して容器40内を真空状態にする真空手段70とを備える。なお、真空とは、JIS Z 8126−1:1999(ISO 3529−1:1981)に定義があるとおり、通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間の状態をいう。
公転体20は、基台10に取り付けられた固定軸からなる公転軸体11に軸受を介して回転自在に支持される。自転体30は、公転軸L1を挟んで対向する二箇所の位置に一対設けられ、それぞれ、公転体20の端部に形成された装着孔21に軸受を介して回転自在に支持される。自転体30は、容器40を収容する収容凹部33を備え、収容凹部33内に容器40を収容して、容器40を直接に又はアダプタ(図示しない)等の介装体を介して間接に保持する。この点、自転体30は、容器ホルダともいう。
容器40は、上端が開口部41となり、下端が閉塞された底部となる有底の容器であり、開口部41を介して容器40内に材料(被処理物)を投入し、処理後は、開口部41を介して処理物を取り出す。容器40の材質は、材料の種類や処理内容等に応じて、ポリエチレン等の合成樹脂、ステンレス、アルミニウム合金等の金属、セラミック、紙などから選択される。
公転駆動部50は、駆動モータ51と、駆動モータ51の駆動軸に取り付けられた駆動歯車52と、公転体20と同心にして公転体20に取り付けられ、駆動歯車52と噛合する公転歯車53とを備える。これにより、駆動モータ51が回転すると、この回転が駆動歯車52及び公転歯車53を介して公転体20に伝達され、公転体20は、公転軸L1を中心に回転する。そして、公転体20が回転することにより、自転体30及び自転体30に保持される容器40は、公転軸L1を中心に公転する。
自転付与部60は、パウダーブレーキ等の制動装置61と、制動装置61の制動軸に取り付けられた制動歯車62と、公転体20に軸受を介して相対的に回転自在に支持される太陽歯車64と、太陽歯車64と同心にして太陽歯車64に取り付けられ、制動歯車62と噛合する歯車63と、公転体20に軸受を介して回転自在に支持され、太陽歯車64と噛合する中間歯車65と、自転体30と同心にして自転体30に取り付けられ、中間歯車65と噛合する自転歯車66とを備える。これにより、制動装置61の制動力が加わると、この制動力が制動歯車62及び歯車63を介して太陽歯車64に伝達され、太陽歯車64の回転速度が公転体20の回転速度に比べて減少し(太陽歯車64の回転速度と公転体20の回転速度との間に差が生じ)、太陽歯車64に対して中間歯車65が相対的に回転する。そして、この回転が自転歯車66を介して自転体30に伝達され、自転体30は、自転軸L2を中心に回転する。そして、自転体30が回転することにより、自転体30及び自転体30に保持される容器40は、自転軸L2を中心に自転する。
真空手段70は、容器40を密閉する密閉手段71と、真空発生源としての真空ポンプ72と、容器40の開口部41を始端として公転中心に向かい、公転中心を通って系外(公転及び自転に係る装置要素の可動領域を系とする系外の領域、すなわち、可動する装置要素との非干渉領域)に抜け、系外に設置された真空ポンプ72に至る吸引経路73とを備える。これにより、容器40内、吸引経路73及び真空ポンプ72は、気密状態で連通し、真空ポンプ72が駆動すると、吸引経路73及びその先にある容器40内の空気が吸引されて、容器40内は真空状態となる。
図2は、図1の公転に係る装置要素の記載を一部省略して、真空手段70に係る装置要素を理解しやすくした図である。自転体30は、公転体20の端部に形成された装着孔21に装入され、回転支持される自転体本体部31と、自転体本体部31の先端部(本実施形態では、上端部)に一体的に形成される周壁部32とを備え、周壁部32内が容器40を収容する収容凹部33となる。密閉手段71は、周壁部32の端部に着脱自在に取り付けられ、収容凹部33を密閉する密閉蓋34である。密閉蓋34が取り付けられると、収容凹部33は、底部(自転体本体部31の先端部)、周壁部32及び密閉蓋34により密閉された空間となり、真空室となる。なお、密閉蓋34の周壁部32の端部への取り付け構造は、ネジ螺合、嵌合、パッチン錠、ファスナ等の公知のものを適宜選択することができる。
吸引経路73は、
i)第1端が真空室33の周壁部32の内面で開口して真空室33内に開口し、真空室33の周壁部32内を通り、第2端が真空室33の底部に至る第1経路730と、
ii)第1端が第1経路730の第2端に接続され、真空室33の底部内を通り、第2端が真空室33の底部の自転中心に至る第2経路731と、
iii)第1端が第2経路731の第2端に接続され、自転体本体部31内を通り、第2端が自転体本体部31の先端部とは反対側(本実施形態では、下端部)の端部に至る第3経路732と、
iv)第1端が第3経路732の第2端に接続され、自転体本体部31の反対側の端部に設けられた自転用回転継手74内を通り、第2端が自転用回転継手74の外面に至る第4経路733と、
v)第1端が第4経路733の第2端に接続され、公転体20の公転中心に向かい、第2端が公転軸体11の先端部(本実施形態では、上端部)に設けられた公転用回転継手75の外面に至る第5経路734と、
vi)第1端が第5経路734の第2端に接続され、公転用回転継手75内を通り、第2端が公転用回転継手75の交点軸体11との接合面に至る第6経路735と、
vii)第1端が第6経路735の第2端に接続され、公転軸体11内を通り、基台10を通って、第2端が系外(公転及び自転に係る装置要素の可動領域を系とする系外の領域、すなわち、可動する装置要素との非干渉領域、本実施形態では、基台10よりも下方の領域)に至る第7経路736と、
viii)第1端が第7経路736の第2端に接続され、真空ポンプ72に向かい、第2端が真空ポンプ72の手前に至る第8経路737と、
ix)第1端が第8経路737の第2端に接続され、第2端が真空ポンプ72に接続される第9経路738と
で構成される。
吸引経路73は、2つある容器40,40の一方の容器40に対する一方の吸引経路73Aと、他方の容器40に対する他方の吸引経路73Bとを備え、吸引経路73A,73Bは、それぞれ独立した経路である。ただし、双方の第8経路737の第2端が接続され、第9経路738だけは合流経路となっている。
第1経路730から第4経路733までと、第6経路735から第7経路736までは、金属部材内を通る経路であるため、ドリル等を用いた切削やその他の金属加工により金属部材に穿設して形成される。第5経路734は、空間を通る経路であるため、剛性又は可撓性の管を用いて構成される。なお、第5経路734の一部は、公転体30を通るため、ここの部分は、穿設して形成するか、通路を形成して管を通すようにする。第8経路737及び第9経路738は、一般的な配管で構成される。
自転用回転継手74は、いわゆるロータリージョイントであり、自転体本体部31の反対側の端部(下端部)を回転部741とし、回転部741に回転自在に嵌合される部材を公転体20に取り付け固定することで固定部740として構成される。すなわち、自転用回転継手74は、自転体30と一体である。しかし、独立した回転継手(一般的には市販品)を自転体30に取り付けるようにしてもよい。
公転用回転継手75は、いわゆるロータリージョイントであり、固定軸からなる公転軸体11の先端部(上端部)に取り付けられる固定部750と、固定部750に回転自在に嵌合される回転部751とで構成される。すなわち、公転用回転継手75は、公転軸体11とは別体である。しかし、公転軸体11の先端部を固定部として、公転軸体11と一体にしてもよい。
公転用回転継手75は、各経路(2つの第6経路735,735)が独立したマルチ回路(2回路)式のロータリージョイントである。各経路は、Oリングやメタルシールといったシール部材により、互いに絶縁されている。したがって、各経路を流れる流体が公転用回転継手75内において交わることはない。
真空手段70は、開閉弁76と、開放弁77と、バッファタンク78と、フィルタ79と、真空計80とをさらに備える。
開閉弁76は、各吸引経路73、より詳しくは、各第8経路737に設けられ、攪拌・脱泡装置の制御部(図示しない)によって、開閉操作が制御される。開閉弁76が閉状態で、吸引経路73は閉鎖され、吸引経路73及びその先にある真空室33内の空気を吸引することができない。他方、開閉弁76が開状態で、吸引経路73は開放され、吸引経路73及びその先にある真空室33内の空気を吸引することができ、真空室33内、ひいては容器40内を真空状態にすることができる。そして、真空室33内を真空状態にした後に、開閉弁76を閉状態にして、吸引経路73を閉鎖することにより、真空室33内の真空状態を維持することができる。
開放弁77は、各吸引経路73、より詳しくは、各第8経路737であって、開閉弁76よりも上流側(容器40側)に設けられ、攪拌・脱泡装置の制御部(図示しない)によって、開閉操作が制御される。真空ポンプ72を停止させた後、開放弁77を開状態にすることにより、吸引経路73を介して真空室33内が大気圧に戻るため、密閉蓋34を取り外して真空室33を開放することができ、処理済みの容器40を取り出すことができる。
バッファタンク78は、開閉弁76よりも下流側(開閉弁76と真空ポンプ72との間)、より詳しくは、第9経路738に設けられる。開閉弁76を閉状態にして、真空ポンプ72を駆動することにより、予めバッファタンク78を真空状態にしておくことができる。この状態で、真空室33内を真空状態にする際、開閉弁76を開状態にすることにより、吸引経路73及びその先にある真空室33内の空気は、真空状態にされたバッファタンク78により吸引されて真空室33内が真空状態にされる。このため、真空室33内、ひいては容器40内を迅速に真空状態にすることができるとともに、真空ポンプ72が高い圧力に晒されるのを防止することができる。
フィルタ79は、各吸引経路73、より詳しくは、各第5経路734、すなわち、公転用回転継手75の上流側(容器40側)に設けられる。容器40内の空気を吸引する際に、容器40からこぼれた材料や塵芥等が同時に吸引されて、公転用回転継手75に侵入すると、公転用回転継手75のシール部材が損傷等して、シール性の低下あるいは公転用回転継手75の破損が生じるおそれがある。フィルタ79は、これを防止するために設けられる。
真空計80は、容器40内の真空状態(真空度)を計測するために用いられる。真空計80は、電源を内蔵したバッテリ式ないし電池式である。また、真空計80は、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の近距離無線通信規格、IEEE802.11等の無線LAN規格、又はIrDA等の赤外線通信規格といった無線通信規格に準拠する無線通信機能を有し、計測値を無線で攪拌・脱泡装置の制御部に送信することができる。このため、真空計80は、電源線も通信線もなく、線の絡みの問題はないため、容器40とともに公転及び自転させることが可能となる。ただし、スリップリングを適宜必要な箇所に介在させることで、真空計80から攪拌・脱泡装置の制御部までの配線は可能であるため、有線としてもよい。なお、真空計80は、真空度だけでなく、自身のID(通信機のID)、電波強度、電池残量等の各種の情報も送信可能である。
次に、上記の構成からなる攪拌・脱泡装置による攪拌・脱泡方法について説明する。まず、攪拌・脱泡する材料の種類や使用目的等に応じて、公転回転数、自転回転数及び真空度をユーザインターフェイスを用いて攪拌・脱泡装置の制御部に入力する。その後、容器40内に材料を収容し、容器40を自転体30の真空室33内に収容する。運転開始を指示すると、駆動モータ51が駆動することにより、公転体20が回転し、容器40が公転する。また、制動装置61の制動力が伝達機構を介して自転体30に付与されて、自転体30が公転体20に対して相対的に回転し、容器40が自転する。これにより、容器40内の材料に対し、容器40の公転及び自転により、攪拌・脱泡処理が行われる。
その後、容器40の公転回転数及び自転回転数がそれぞれセンサ(図示しない)により検知され、予め設定された数値に到達すると、真空室33内の真空処理(真空引き)が開始される。この真空処理は、予め設定された真空度で所定時間行われる。すなわち、容器40が一定状態で回転して所定の時間が経過する又は容器40が一定の回転数に達すると同時に、開閉弁76が開状態となり、上述したバッファタンク78の作用により、真空室33内、ひいては容器40内が真空状態にされる。この際、脱泡による真空度の変化に応じて、開閉弁76が開閉制御され、又は真空ポンプ72の回転数が制御され、設定された真空度が連続して一定の状態に維持され、常に一定の高い精度の攪拌・脱泡処理が行われる。
なお、ここで説明した攪拌・脱泡方法は、あくまで一例である。たとえば、攪拌・脱泡装置を運転開始した後に真空処理を開始する、すなわち、真空処理の開始タイミングを装置の運転開始タイミングから遅延させるのではなく、装置の運転開始と同時に真空処理を開始することもできる。また、真空処理の開始タイミングを遅延させるとしても、他のトリガ(たとえば加速度センサで計測される容器40の加速度)で真空処理を開始させることもできる。また、装置を運転終了した後に真空処理を終了する、すなわち、真空処理の終了タイミングを装置の運転終了タイミングから遅延させるか、装置の運転終了と同時に真空処理を終了するかのいずれかを選択することもできる。このように、本実施形態に係る攪拌・脱泡装置は、公転回転数、自転回転数、真空度及びこれらの作動タイミングを個別に制御することができる構成であり、これらの機能の下で多様な攪拌・脱泡方法を実施することができるのはいうまでもない。
<実施形態1−1>
この実施形態では、図2に示す如く、真空計80は、各吸引経路73に対応して2つ設けられ、それぞれ、真空室33の密閉蓋34の外面側に配置される。このとき、真空計80のポートは、密閉蓋34を貫通して真空室33内に位置するとともに、密閉蓋34は、容器40の開口部41に対向しているため、真空計80のポートは、容器40の開口部41に近い位置にある。これが、容器40(の開口部41)に最も近い位置に真空計80を配置する一つのパターンである。
かかる構成によれば、吸引経路73に共通して真空計80が1つだけ設けられるのではなく、各容器40に対して真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握することができる。また、容器40に最も近い位置に真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができる。
また、かかる構成によれば、各吸引経路73が実質的に独立しており、これにより、各容器40に対して真空手段70が実質的に独立して設けられるため、真空ポンプ72の駆動/停止の制御と、各開閉弁76の開閉制御とを適宜組み合わせることにより、及び/又は、各容器40内に種類の異なる材料を収容することにより、1台の攪拌・脱泡装置で多種多様な攪拌・脱泡処理を同時的に行うことができる。
容器40が複数ある場合、容器40ごとに真空度の違いや設定真空度に到達するまでの時間差が生じる場合がある。それは、たとえば、各容器40に収容される材料の量(処理量)に違いがあることや、各容器40に種類が異なる材料(異種材料)を収容することに起因するものである。実施形態1−1によれば、各容器40に対して真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握することができ、これにより、真空状態の適切な管理及び/又はコントロールが可能となる。
また、吸引経路73に共通して真空計80を1つだけ設ける場合、いずれかの容器40の吸引経路73に目詰まりや漏れが生じていて、これにより、容器40内で真空低下が生じていても、それを1つの真空計80では、発見できないおそれがある。実施形態1−1によれば、各容器40に対して真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握することができ、これにより、真空状態の適切な管理及び/又はコントロールが可能となる。
また、真空チャンバ式でなく、吸引経路を用いる真空処理の場合、吸引経路における口径の変化や経路長に起因する圧損の問題が生じる場合がある。特に攪拌・脱泡装置が大型になるほど、かかる問題は顕在化してくるおそれがある。経路長による時間差の問題も生じ得る。実施形態1−1によれば、容器40に最も近い位置に真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確かつ時間差なく迅速に把握することができ、これにより、真空状態の適切な管理及び/又はコントロールが可能となる。
なお、小型の攪拌・脱泡装置であれば、自転に係る装置要素に対する真空計80の重量は無視できないものであり、円滑な自転運動を行わせるためには、真空計80は、できるだけ密閉蓋34の中心側に配置するのが好ましい。しかし、攪拌・脱泡装置が大型になるほど、真空計80の重量は無視できるものになるので、真空計80を密閉蓋34の中心から外れた位置に配置しても問題はない。
しかし、真空計80を密閉蓋34の周辺部に配置すると、真空室33の周壁部32の内面に開口する吸引経路73の第1経路730の第1端に近づくことになる。この第1端の近傍、すなわち吸引経路73からの吸引口の近傍に真空計80を設置すると、局所的な圧力の変動を受けやすい。このような局所的な圧力の変動は、容器40内の真空度を把握するという観点からは、避けることが好ましい。このため、真空計80は、第1経路730の第1端部を避けて第1端部からある程度離れた位置に配置するのが好ましい。しかし、自転体30の軸回りに対する取付角度が定まっていない密閉蓋34の構造の場合は、真空計80が第1経路730の第1端部からある程度離れた位置となるように密閉蓋34を取り付けることが煩雑又は困難である。そこで、これらのことを考慮して、真空計80は、図22に示す如く、密閉蓋34の外周部34bを除く、一点鎖線枠内のハッチングで表した中心領域34aに配置するのが好ましい。
なお、図22(a)は、第1経路730が1本だけ設けられ、真空室33の周壁部32の内面に1つだけ第1端部が開口している例であり、同図(b)は、第1経路730が2本設けられ、周壁部32の内面の周方向2箇所(たとえば等分2箇所)に2つの第1端部が開口している例であり、同図(c)は、第1経路730が3本設けられ、周壁部32の内面の周方向3箇所(たとえば等分3箇所)に3つの第1端部が開口している例であり、同図(d)は、第1経路730が4本設けられ、周壁部32の内面の周方向4箇所(たとえば等分4箇所)に4つの第1端部が開口している例である。
<実施形態1−2>
この実施形態では、図3に示す如く、真空計80は、各吸引経路73に対応して2つ設けられ、それぞれ、真空室33の密閉蓋34の内面側に配置される。真空計80のポートは、真空室33内に位置するとともに、容器40の開口部41に近い位置にある。これが、容器40(の開口部41)に最も近い位置に真空計80を配置するもう一つのパターンである。
かかる構成によっても、実施形態1−1と同様、吸引経路73に共通して真空計80が1つだけ設けられるのではなく、各容器40に対して真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握することができ、また、容器40に最も近い位置に真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができる。
また、かかる構成によっても、実施形態1−1と同様、各吸引経路73が実質的に独立しており、これにより、各容器40に対して真空手段70が実質的に独立して設けられるため、真空ポンプ72の駆動/停止の制御と、各開閉弁76の開閉制御とを適宜組み合わせることにより、及び/又は、各容器40内に種類の異なる材料を収容することにより、1台の攪拌・脱泡装置で多種多様な攪拌・脱泡処理を同時的に行うことができる。
<実施形態1−3>
この実施形態では、図4に示す如く、真空計80は、各吸引経路73に対応して2つ設けられ、それぞれ、自転体30を出て公転中心に至るまでの吸引経路73、すなわち、自転用回転継手74及び公転用回転継手75間の吸引経路73、すなわち、第5経路734に配置される。第4経路733に配置されるものであってもよい。
かかる構成によっても、実施形態1−1と同様、吸引経路73に共通して真空計80が1つだけ設けられるのではなく、各容器40に対して真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握することができる。また、実施形態1−1よりは、真空計80の位置が容器40から遠くなるが、それでも、容器40に近い位置に真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができる。
また、かかる構成によっても、実施形態1−1と同様、各吸引経路73が実質的に独立しており、これにより、各容器40に対して真空手段70が実質的に独立して設けられるため、真空ポンプ72の駆動/停止の制御と、各開閉弁76の開閉制御とを適宜組み合わせることにより、及び/又は、各容器40内に種類の異なる材料を収容することにより、1台の攪拌・脱泡装置で多種多様な攪拌・脱泡処理を同時的に行うことができる。
<実施形態1−4>
この実施形態では、図5に示す如く、真空計80は、各吸引経路73に対応して2つ設けられ、それぞれ、公転中心を出て真空ポンプ72に至るまでの吸引経路73、すなわち、系外の吸引経路73、すなわち、第8経路737又は第9経路738に配置される。
かかる構成によっても、実施形態1−1と同様、吸引経路73に共通して真空計80が1つだけ設けられるのではなく、各容器40に対して真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握することができる。
また、かかる構成によっても、実施形態1−1と同様、各吸引経路73が実質的に独立しており、これにより、各容器40に対して真空手段70が実質的に独立して設けられるため、真空ポンプ72の駆動/停止の制御と、各開閉弁76の開閉制御とを適宜組み合わせることにより、及び/又は、各容器40内に種類の異なる材料を収容することにより、1台の攪拌・脱泡装置で多種多様な攪拌・脱泡処理を同時的に行うことができる。
<実施形態1−5>
この実施形態では、図6に示す如く、真空計80は、各吸引経路73に対応して2つ設けられ、それぞれ、実施形態1−1ないし実施形態1−3のいずれかと同じように配置されるのに加え、真空ポンプ72の近く、すなわち、第9経路738にも配置される。
かかる構成によっても、実施形態1−1と同様、吸引経路73に共通して真空計80が1つだけ設けられるのではなく、各容器40に対して真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握することができ、また、容器40に最も近い位置に真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができる。また、これらに加え、真空ポンプ72に近い位置にも真空計80が設けられるため、真空ポンプ72の動作状況(真空度)を正確に把握することができるとともに、容器40に近い位置に設けられる真空計80による計測値と比較することにより、各容器40内で真空低下が生じている場合にこれを確実に発見(検知)することができる。
また、かかる構成によっても、実施形態1−1と同様、各吸引経路73が実質的に独立しており、これにより、各容器40に対して真空手段70が実質的に独立して設けられるため、真空ポンプ72の駆動/停止の制御と、各開閉弁76の開閉制御とを適宜組み合わせることにより、及び/又は、各容器40内に種類の異なる材料を収容することにより、1台の攪拌・脱泡装置で多種多様な攪拌・脱泡処理を同時的に行うことができる。
<実施形態1−6>
この実施形態は、基本的には、実施形態1−1ないし1−5のいずれかと同じであるが、異なる点は、開閉弁76及び開放弁77は、実施形態1−1ないし実施形態1−5のように、公転中心を出て真空ポンプ72に至るまでの吸引経路73、すなわち、系外の吸引経路73、すなわち、第8経路737に配置されるのではなく、図7に示す如く、自転体30を出て公転中心に至るまでの吸引経路73、すなわち、自転用回転継手74及び公転用回転継手75間の吸引経路73、すなわち、第5経路734に配置される点である。
かかる構成によっても、実施形態1−1と同様、吸引経路73に共通して真空計80が1つだけ設けられるのではなく、各容器40に対して真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握することができ、また、容器40に最も近い位置に真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができる。また、これらに加え、容器40に近い位置に開閉弁76及び開放弁77が設けられるため、真空処理を早くすることができる。
また、かかる構成によっても、実施形態1−1と同様、各吸引経路73が実質的に独立しており、これにより、各容器40に対して真空手段70が実質的に独立して設けられるため、真空ポンプ72の駆動/停止の制御と、各開閉弁76の開閉制御とを適宜組み合わせることにより、及び/又は、各容器40内に種類の異なる材料を収容することにより、1台の攪拌・脱泡装置で多種多様な攪拌・脱泡処理を同時的に行うことができる。
<実施形態1−7>
この実施形態は、基本的には、実施形態1−1ないし1−6のいずれかと同じであるが、異なる点は、真空ポンプ72は、両吸引経路73,73に共通して1台ではなく、図8に示す如く、各吸引経路73に設けられる点である。したがって、この実施形態では、第9経路738はなく、各第8経路737の第2端が各真空ポンプ72に接続される。
かかる構成によっても、実施形態1−1と同様、吸引経路73に共通して真空計80が1つだけ設けられるのではなく、各容器40に対して真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握することができ、また、容器40に最も近い位置に真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができる。
また、かかる構成によれば、各吸引経路73が完全に独立しており、これにより、各容器40に対して真空手段70が完全に独立して設けられるため、各真空ポンプ72の駆動/停止の制御と、各開閉弁76の開閉制御と、さらには各真空ポンプ72の出力の制御を適宜組み合わせることにより、及び/又は、各容器40内に種類の異なる材料を収容することにより、1台の攪拌・脱泡装置でさらに多種多様な攪拌・脱泡処理を同時的に行うことができる。
なお、各容器40に対して真空手段70が完全に独立して設けられるため、それだけで十分に真空状態の適切な管理及び/又はコントロールが可能となる。そのため、真空計80を設けないようにすることもできる。
<実施形態1−8>
この実施形態では、図9に示す如く、真空計80は設けてない。それ以外の点は、実施形態1−1ないし1−7のいずれかと同じである
かかる構成によっても、実施形態1−1と同様、各吸引経路73が実質的に独立しており、これにより、各容器40に対して真空手段70が実質的に独立して設けられるため、真空ポンプ72の駆動/停止の制御と、各開閉弁76の開閉制御とを適宜組み合わせることにより、及び/又は、各容器40内に種類の異なる材料を収容することにより、1台の攪拌・脱泡装置で多種多様な攪拌・脱泡処理を同時的に行うことができる。
なお、各容器40に対して真空手段70が実質的に独立して設けられるため、それだけで十分に真空状態の適切な管理及び/又はコントロールが可能となる。そのため、真空計80を設けないようにすることができる。
<実施形態2>
以下、本発明に係る攪拌・脱泡装置の実施形態2について、図10及び図11を参酌して説明する。この実施形態は、基本的には、実施形態1と同じであるが、異なる点は、両吸引経路73,73が途中で合流している点である。
具体的には、
吸引経路73は、
i)第1端が真空室33の周壁部32の内面で開口して真空室33内に開口し、真空室33の周壁部32内を通り、第2端が真空室33の底部に至る第1経路730と、
ii)第1端が第1経路730の第2端に接続され、真空室33の底部内を通り、第2端が真空室33の底部の自転中心に至る第2経路731と、
iii)第1端が第2経路731の第2端に接続され、自転体本体部31内を通り、第2端が自転体本体部31の先端部とは反対側(本実施形態では、下端部)の端部に至る第3経路732と、
iv)第1端が第3経路732の第2端に接続され、自転体本体部31の反対側の端部に設けられた自転用回転継手74内を通り、第2端が自転用回転継手74の外面に至る第4経路733と、
v)第1端が第4経路733の第2端に接続され、公転体20の公転中心に向かい、第2端が公転軸体11の先端部(本実施形態では、上端部)に設けられた公転用回転継手75の外面に至る第5経路734と、
vi)第1端が第5経路734の第2端に接続され、公転用回転継手75内を通り、第2端が公転用回転継手75の交点軸体11との接合面に至る第6経路735と、
vii)第1端が第6経路735の第2端に接続され、公転軸体11内を通り、基台10を通って、第2端が系外(公転及び自転に係る装置要素の可動領域を系とする系外の領域、すなわち、可動する装置要素との非干渉領域、本実施形態では、基台10よりも下方の領域)に至る第7経路736と、
viii)第1端が第7経路736の第2端に接続され、第2端が真空ポンプ72に接続される第8経路737と
で構成され、
2つある容器40,40の一方の容器40に対する一方の吸引経路73と、他方の容器40に対する他方の吸引経路73は、第1経路730から第5経路734までは独立した経路であるが、公転用回転継手75内、すなわち、第6経路735で合流して、第8経路737までは合流経路となっている。
<実施形態2−1>
この実施形態では、図11に示す如く、真空計80は、合流する前の各吸引経路73に対応して2つ設けられ、それぞれ、真空室33の密閉蓋34の外面側に配置される。このとき、真空計80のポートは、密閉蓋34を貫通して真空室33内に位置するとともに、密閉蓋34は、容器40の開口部41に対向しているため、真空計80のポートは、容器40の開口部41に近い位置にある。これが、容器40(の開口部41)に最も近い位置に真空計80を配置する一つのパターンである。
かかる構成によれば、実施形態1−1と同様、吸引経路73に共通して真空計80が1つだけ設けられるのではなく、各容器40に対して真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握することができる。また、容器40に最も近い位置に真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができる。
<実施形態2−2>
この実施形態では、図12に示す如く、真空計80は、合流する前の各吸引経路73に対応して2つ設けられ、それぞれ、真空室33の密閉蓋34の内面側に配置される。真空計80のポートは、真空室33内に位置するとともに、容器40の開口部41に近い位置にある。これが、容器40(の開口部41)に最も近い位置に真空計80を配置するもう一つのパターンである。
かかる構成によっても、実施形態2−1と同様、吸引経路73に共通して真空計80が1つだけ設けられるのではなく、各容器40に対して真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握することができ、また、容器40に最も近い位置に真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができる。
<実施形態2−3>
この実施形態では、図13に示す如く、真空計80は、合流する前の各吸引経路73に対応して2つ設けられ、それぞれ、自転体30を出て公転中心に至るまでの吸引経路73、すなわち、自転用回転継手74及び公転用回転継手75間の吸引経路73、すなわち、第5経路734に配置される。第4経路733に配置されるものであってもよい。
かかる構成によっても、実施形態2−1と同様、吸引経路73に共通して真空計80が1つだけ設けられるのではなく、各容器40に対して真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握することができる。また、実施形態1−1よりは、真空計80の位置が容器40から遠くなるが、それでも、容器40に近い位置に真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができる。
<実施形態2−4>
この実施形態では、図14に示す如く、真空計80は、合流する前の各吸引経路73に対応して2つ設けられ、それぞれ、実施形態2−1ないし実施形態2−3のいずれかと同じように配置されるのに加え、真空ポンプ72の近く、すなわち、第8経路737にも配置される。
かかる構成によっても、実施形態2−1と同様、吸引経路73に共通して真空計80が1つだけ設けられるのではなく、各容器40に対して真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握することができ、また、容器40に最も近い位置に真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができる。また、これらに加え、真空ポンプ72に近い位置にも真空計80が設けられるため、真空ポンプ72の動作状況(真空度)を正確に把握することができるとともに、容器40に近い位置に設けられる真空計80による計測値と比較することにより、各容器40内で真空低下が生じている場合にこれを確実に発見(検知)することができる。
<実施形態2−5>
この実施形態は、基本的には、実施形態2−1ないし2−4のいずれかと同じであるが、異なる点は、開閉弁76及び開放弁77は、実施形態2−1ないし実施形態2−4のように、公転中心を出て真空ポンプ72に至るまでの吸引経路73、すなわち、系外の吸引経路73、すなわち、第8経路737に配置されるのではなく、図15に示す如く、自転体30を出て公転中心に至るまでの吸引経路73、すなわち、自転用回転継手74及び公転用回転継手75間の吸引経路73、すなわち、第5経路734に配置される点である。
かかる構成によっても、実施形態2−1と同様、吸引経路73に共通して真空計80が1つだけ設けられるのではなく、各容器40に対して真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握することができ、また、容器40に最も近い位置に真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができる。また、これらに加え、容器40に近い位置に開閉弁76及び開放弁77が設けられるため、真空処理を早くすることができる。
<実施形態2−6>
この実施形態では、図16に示す如く、真空計80は、合流した両吸引経路73,37に対応して1つ設けられ、両吸引経路73,73の合流点又は合流点より下流側の近傍、すなわち、公転用回転継手75、すなわち、第6経路735に配置される。
かかる構成によれば、実施形態2−1よりは、真空計80の位置が容器40から遠くなるが、それでも、容器40に近い位置に真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができる。
<実施形態2−7>
この実施形態では、図17に示す如く、真空計80は、合流した両吸引経路73,73に対応して1つ設けられ、公転中心を出て真空ポンプ72に至るまでの吸引経路73、すなわち、系外の吸引経路73、すなわち、第8経路737に配置される。
かかる構成によれば、実施形態2−6よりは、真空計80の位置が容器40から遠くなるが、それでも、真空ポンプ72からは離れて容器40に近寄る位置に真空計80が設けられるため、各容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差を少なくして迅速に把握することができる。
<実施形態3>
以下、本発明に係る攪拌・脱泡装置の実施形態3について、図18及び図19を参酌して説明する。この実施形態は、基本的には、実施形態1と同じであるが、異なる点は、容器40は1つだけ設けられ、これに伴い、吸引経路73も1系統だけである点である。なお、自転付与部60において、すべてが歯車伝達機構ではなく、一部(公転自転間)にプーリ67,69及びベルト68の伝達機構が用いられる点も異なる点である。また、容器40が一つであるため、公転のバランスを取るために、公転体20上であって、容器40と反対側に、位置調整可能な位置可変式バランスウェイト22も設けられる。
具体的には、
吸引経路73は、
i)第1端が真空室33の周壁部32の内面で開口して真空室33内に開口し、真空室33の周壁部32内を通り、第2端が真空室33の底部に至る第1経路730と、
ii)第1端が第1経路730の第2端に接続され、真空室33の底部内を通り、第2端が真空室33の底部の自転中心に至る第2経路731と、
iii)第1端が第2経路731の第2端に接続され、自転体本体部31内を通り、第2端が自転体本体部31の先端部とは反対側(本実施形態では、下端部)の端部に至る第3経路732と、
iv)第1端が第3経路732の第2端に接続され、自転体本体部31の反対側の端部に設けられた自転用回転継手74内を通り、第2端が自転用回転継手74の外面に至る第4経路733と、
v)第1端が第4経路733の第2端に接続され、公転体20の公転中心に向かい、第2端が公転軸体11の先端部(本実施形態では、上端部)に設けられた公転用回転継手75の外面に至る第5経路734と、
vi)第1端が第5経路734の第2端に接続され、公転用回転継手75内を通り、第2端が公転用回転継手75の交点軸体11との接合面に至る第6経路735と、
vii)第1端が第6経路735の第2端に接続され、公転軸体11内を通り、基台10を通って、第2端が系外(公転及び自転に係る装置要素の可動領域を系とする系外の領域、すなわち、可動する装置要素との非干渉領域、本実施形態では、基台10よりも下方の領域)に至る第7経路736と、
viii)第1端が第7経路736の第2端に接続され、第2端が真空ポンプ72に接続される第8経路737と
で構成される。
<実施形態3−1>
この実施形態では、図19に示す如く、真空計80は、吸引経路73に対応して1つ設けられ、真空室33の密閉蓋34の外面側に配置される。このとき、真空計80のポートは、密閉蓋34を貫通して真空室33内に位置するとともに、密閉蓋34は、容器40の開口部41に対向しているため、真空計80のポートは、容器40の開口部41に近い位置にある。これが、容器40(の開口部41)に最も近い位置に真空計80を配置する一つのパターンである。
かかる構成によれば、実施形態1−1と同様、容器40に最も近い位置に真空計80が設けられるため、容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができる。
<実施形態3−2>
この実施形態では、図20に示す如く、真空計80は、吸引経路73に対応して1つ設けられ、真空室33の密閉蓋34の内面側に配置される。真空計80のポートは、真空室33内に位置するとともに、容器40の開口部41に近い位置にある。これが、容器40(の開口部41)に最も近い位置に真空計80を配置するもう一つのパターンである。
かかる構成によっても、実施形態3−1と同様、容器40に最も近い位置に真空計80が設けられるため、容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができる。
<実施形態3−3>
この実施形態では、図21に示す如く、真空計80は、吸引経路73に対応して1つ設けられ、それぞれ、自転体30を出て公転中心に至るまでの吸引経路73、すなわち、自転用回転継手74及び公転用回転継手75間の吸引経路73、すなわち、第5経路734に配置される。第4経路733に配置されるものであってもよい。
かかる構成によれば、実施形態3−1よりは、真空計80の位置が容器40から遠くなるが、それでも、容器40に近い位置に真空計80が設けられるため、容器40内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができる。
<実施形態4>
上記各実施形態に係る攪拌・脱泡装置によれば、公転回転数、自転回転数、真空度及びこれらの作動タイミングを個別に制御することで、多様な攪拌・脱泡方法を実施することができると述べたが、ここで一例として、実施形態1−1ないし1−7、実施形態2−5に係る攪拌・脱泡装置により可能となる真空制御について、図23を参酌しつつ説明する。
たとえば、2つある容器40,40の一方の容器40に対する一方の吸引経路73にごくわずかな真空漏れがある場合、図23(a)に示す如く、一方の容器40内と他方の容器40内とが設定真空圧になるまでの到達時間が異なってくる(時間差G)。この場合、2つの容器40,40間で、脱泡の進行度(気泡の残留度合い)に差が生じてしまうおそれがある。そこで、同図(b)に示す如く、真空処理中、2つの真空計80,80の計測値差(圧力差)を監視しながら、圧力が高い(真空度が低い)側に合わせるように、適宜圧力が低い側の吸引経路の開閉弁76を開閉制御して(矢印の位置が開閉弁76を閉じるポイントで、その先の圧力降下を始める位置が開閉弁76を開くポイントとなる。)、圧力が低い側を圧力が高い側に同調させる真空制御を行う。この真空制御によれば、各容器40内が設定真空圧になるまでの到達時間が揃うようになるため、2つの容器40,40間で材料の脱泡処理に差が生じることを防止することができる。
なお、かかる真空制御は、圧力が低い側を圧力が高い側に同調させる制御であるが、各吸引経路73に流量調整弁を設け、吸引経路73の開度を調整することにより、圧力が高い側を圧力が低い側に同調させる真空制御や、両者の中間値に同調させる真空制御も可能である。
<その他の実施形態>
なお、本発明に係る攪拌・脱泡装置は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
まず、上記各実施形態においては、回転しない固定軸の公転軸体11が基台10に設けられ、公転体20が公転軸体11に回転自在に支持されて回転可能となる機構であり、これに伴い、吸引経路73が回転系から静止系に移行する箇所である公転軸体11の先端部(上記実施形態では、上端部)に公転用回転継手75が設けられる。この場合、吸引経路は、真空室(容器)→自転体内→自転用回転継手→公転中心へ→公転用回転継手→公転軸体内→系外→真空ポンプ、となる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、特許文献4及び5のように、公転体が公転軸体を備え、公転軸体が基台に回転自在に支持されることにより、公転体が回転可能となる機構であり、これに伴い、吸引経路が回転系から静止系に移行する箇所である公転軸体の下端部に公転用回転継手が設けられるようにしてもよい。この場合、吸引経路は、真空室(容器)→自転体内→自転用回転継手→公転中心へ→公転軸体内→公転用回転継手→系外→真空ポンプ、となる。
また、上記各実施形態においては、真空ポンプ72は、公転軸体11よりも下方に配置され、これに伴い、吸引経路73は、公転軸体11内を通っている。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、特許文献2の図3及び特許文献3のように、真空室の密閉蓋から剛性又は可撓性の管が上方に延びて公転中心に向かい、筐体の上部の公転中心に設けられた公転用回転継手に接続されるものであってもよい。この場合、吸引経路は、真空室(容器)→公転中心上方へ→公転用回転継手→系外→真空ポンプ、となる。
また、上記各実施形態においては、自転体本体部31の先端部とは反対側(上記実施形態では、下端部)に自転用回転継手74が設けられ、ここから公転中心の公転用回転継手75に向かって吸引経路が設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、自転体本体部31の先端部(上記実施形態では、上端部)や中間部に自転用回転継手が設けられ、ここから公転中心の公転用回転継手又は公転軸体に向かって吸引経路が設けられるようにしたり、あるいは、真空室の密閉蓋から公転中心の公転用回転継手又は公転軸体に向かって吸引経路が設けられるようにしたり、あるいは、特許文献5の図3のように、真空室の周壁部から公転中心の公転用回転継手又は公転軸体に向かって吸引経路が設けられるようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、容器内の空気を直接吸引するために容器を密閉する構成として、自転体30が真空室33を備える。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、特許文献3のように、自転体は容器を保持するだけであり、容器を密閉するのは、容器の端部(開口部)に着脱自在に取り付けられる密閉蓋であってもよい。また、容器40の開口部41に蓋を取り付け、この蓋に孔を設けることによって、真空室33内と連通させてもよい。このように、孔を有する蓋を備えた容器40を真空室33内に収容した場合は、蓋に設けられた孔が開口部として機能し、吸引経路の一部を構成する。
また、上記各実施形態においては、吸引経路73の第1経路730の第1端は、真空室33の周壁部32の内面のうち、容器40の開口部41よりも上方位置で開口している。このため、容器40からこぼれた材料は第1経路730の第1端に届きにくくなっており、材料が吸引経路73内に入り込んで吸引経路73を詰まらせるという問題が生じるのを防止することができる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。吸引経路73の詰まりの問題が生じ得ない、又は無視できる、又は他の手段を用いて防止できるのであれば、第1経路730の第1端の開口位置は、容器40の開口部41よりも低い位置、たとえば、真空室33の周壁部32の下半分領域の内面や、真空室33の底部の内面であってもよい。
また、上記各実施形態においては、真空発生源として、真空ポンプ72を用いている。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、真空ポンプ以外のポンプ、エジェクタ等、真空発生源として公知の種々のものを採用することができる。
また、上記各実施形態においては、真空手段70は、開放弁77と、バッファタンク78と、フィルタ79とを備える。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、開放弁77がなくても又は他の手段により、密閉蓋34を取り外して真空室33を開放することができるのであれば、開放弁77は設けなくてもよい。また、バッファタンク78やフィルタ79も必須ではない。また、バッファタンク78を設ける場合であっても、上記各実施形態で示すように、吸引経路73に1つ設けるのではなく、上記実施形態1−1ないし1−6及び1−8において、各吸引経路73、より詳しくは、各第8経路737に設けるようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、真空手段70は、開閉弁76を備えている。これにさらに流量調整弁を設けることで、あるいは流量調整弁が開閉弁としても機能する場合は、開閉弁76に替えて流量調整弁を設けることで、より細かな真空制御が可能となる。
また、上記各実施形態においては、真空計80が容器40内の真空度を計測し、この計測値を無線で攪拌・脱泡装置の制御部に送信し、攪拌・脱泡装置の制御部は、この計測値に基づいて運転を制御するようにしている。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、真空計に制御部を持たせ、真空計が容器内の真空度を計測するだけでなく、この計測値に基づいて運転条件を設定し、運転を制御するようにしてもよいし(攪拌・脱泡装置の制御部(中央の制御部)の代替)、あるいは、真空計が設定した運転条件を攪拌・脱泡装置の制御部(中央の制御部)に送信するようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、各真空計80は、同じ箇所に配置される。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、一方の真空計80は、実施形態1−1,1−2や実施形態2−1,2−2のように、真空室33に配置され、他方の真空計80は、実施形態1−3,1−4や実施形態2−3のように、管路に配置される等、各真空計80の配置箇所が異なるようにしてもよい。
また、上記各実施形態においては、真空計80は、デジタル式の真空計が用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、真空計は、アナログ式の真空計であってもよい。
また、最近では、気圧センサ、加速度センサ、温度センサ、湿度センサ、ジャイロセンサ、光強度センサ、距離センサ、磁気センサ、音センサ、歪みセンサ等の各種のセンサを手のひらサイズの小型の筐体にパッケージ化したセンサユニット(データロガー)が市販されている。このセンサユニットは、上記真空計80と同様、無線通信機能を有し、各種の計測値を無線で攪拌・脱泡装置の制御部に送信することができ、しかも、気圧センサで真空度(真空圧)を計測できるため、真空計測手段として用いることができる。図24にこのセンサユニット81の配置方法を示す。図24(a)は、真空室33の密閉蓋34の外面側に配置する態様を示し、同図(b)は、密閉蓋34の内面側に配置する態様を示す。前者は、密閉蓋34の適所に通孔34cが形成されるとともに、通孔24cを覆うようにカバー35が密閉蓋34の外面に着脱自在に取り付けられ、カバー35の内部空間(収容部)36にセンサユニット81が配置される。収容部36内でセンサユニット81が動かないようにする必要がある場合は、収容部36内に緩衝材37等が介装される。カバー35は密閉蓋34に気密に取り付けられており、収容部36内と容器40内とは、通孔34cを介して連通している。したがって、真空処理時、収容部36内と容器40内とは、同じ真空度となる。後者は、カバー35の適所に通孔35aが形成されるとともに、カバー35が密閉蓋34の内面に着脱自在に取り付けられ、カバー35の内部空間(収容部)36にセンサユニット81が配置される。収容部36内と容器40内とは、通孔35aを介して連通している。したがって、真空処理時、収容部36内と容器40内とは、同じ真空度となる。
また、上記実施形態1及び2においては、自転付与部60の制動力伝達機構として、歯車伝達機構が用いられ、上記実施形態3においては、自転付与部60の制動力伝達機構として、一部にプーリ・ベルト伝達機構が用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、実施形態1及び2において、実施形態3のように、一部にプーリ・ベルト伝達機構を用いるようにしてもよいし、実施形態3において、実施形態1及び2のように、すべてを歯車伝達機構にしてもよい。また、自転付与部の制動力伝達機構は、公知の種々のものを採用することができる。なお、攪拌・脱泡装置が大型になるほど、回転力及び回転による慣性力が大きくなるため、制動力の伝達を確実に行うことができる歯車伝達機構が好ましく、他方、装置が小型で、容器の数が1つであれば、安価なプーリ・ベルト伝達機構が好ましいが、どのような制動力伝達機構を採用するかは、適宜設計で決定すべき事項である。
また、上記各実施形態においては、自転付与部60の制動装置61として、パウダーブレーキが用いられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、公転用の駆動モータと自転用の駆動モータを別々に備え、自転用の駆動モータで自転体を回転させるようにしてもよい。また、自転付与部の機構は、公知の種々のものを採用することができる。
また、上記各実施形態においては、自転軸L2は、たとえば垂直に対して約40度傾いている。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。自転軸の角度は、0度(垂直)ないし90度(水平)の範囲内の任意の角度に設定することができる。
また、上記実施形態1及び2においては、容器40が複数の場合として、容器40が2つ設けられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。たとえば、容器が3つ又は4つ等であってもよく、容器の数は特に限定されるものではない。
以上の各発明によれば、真空状態の適切な管理及び/又はコントロールを可能とすることができ、混合、混練、分散、反応、粉砕、乳化等の各種の材料製造プロセスに極めて有用である。
10…基台、11…公転軸体、20…公転体、21…装着孔、22…位置可変式バランスウェイト、30…自転体、31…自転体本体部、32…周壁部、33…収容凹部(真空室)、34…密閉蓋、34a…中心領域、34b…外周部、34c…通孔、35…カバー、35a…通孔、36…収容部、37…緩衝材、40…容器、41…開口部、50…公転駆動部、51…駆動モータ、52…駆動歯車、53…公転歯車、60…自転付与部、61…制動装置、62…制動歯車、63…歯車、64…太陽歯車、65…中間歯車、66…自転歯車、67…公転プーリ、68…ベルト、69…自転プーリ、70…真空手段、71…密閉手段、72…真空ポンプ(真空発生源)、73…吸引経路、73A…一方の吸引経路、73B…他方の吸引経路、730…第1経路、731…第2経路、732…第3経路、733…第4経路、734…第5経路、735…第6経路、736…第7経路、737…第8経路、738…第9経路、74…自転用回転継手、740…固定部、741…回転部、75…公転用回転継手、750…固定部、751…回転部、76…開閉弁(制御弁)、77…開放弁(制御弁)、78…バッファタンク、79…フィルタ、80…真空計(真空計測手段)、81…センサユニット(真空計測手段)、L1…公転軸、L2…自転軸
ここで、本発明に係る攪拌・脱泡装置の一態様として、
空計測手段は、密閉手段により容器の密閉された空間に対して設けられる
との構成を採用することができる。
かかる構成によれば、容器に最も近い位置に真空計測手段が設けられるため、各容器内の真空状態を正確に把握するだけでなく、時間差なく迅速に把握することができ、これにより、真空状態のさらに適切な管理及び/又はコントロールが可能となる。なお、かかる構成の具体例として、後述する実施形態1−1,1−2,1−5ないし1−7、実施形態2−1,2−2,2−4及び2−5が挙げられる。
この場合、
自転体は、
自転体本体部と、
自転体本体部の先端部に設けられる周壁部であって、内部が容器を収容する収容凹部となる周壁部とを備え、
密閉手段は、周壁部の端部に着脱自在に取り付けられ、収容凹部を密閉する密閉蓋であり、
真空計測手段は、密閉蓋に設けられる
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る攪拌・脱泡装置の他態様として、
真空手段は、各独立した経路に設けられる個別に制御可能な少なくとも2つ以上の開閉弁をさらに備える
との構成を採用することができる。
かかる構成によれば、各容器の吸引経路を個別に開閉制御できるため、各容器の正確な真空状態の把握に基づき、各容器内の真空状態を適切に制御することができ、これにより、真空状態のさらに適切な管理及び/又はコントロールが可能となる。また、かかる構成によれば、たとえば、一部の容器については、真空状態とせず、大気圧下での処理や、一部の容器のみを用いた処理や、各容器に種類の異なる材料(異種材料)の処理が可能となる。なお、かかる構成の具体例として、後述する実施形態1−1ないし1−7、実施形態2−5が挙げられる。
また、本発明に係る攪拌・脱泡装置の別の態様として、
真空計測手段は、電源を内蔵し、かつ、無線通信機能を有する
との構成を採用することができる。
また、本発明に係る攪拌・脱泡装置のさらに別の態様として、
公転軸を規定する公転軸体をさらに備え、
吸引経路は、
容器を始端として自転体内を通る経路と、
自転体を出て公転中心に向かう経路と、
公転軸体内を通る経路と、
公転軸体を出て系外に抜ける経路とを備え、
容器を始端として自転体内を通る経路と、自転体を出て公転中心に向かう経路とは、回転継手を介して接続され、
自転体を出て公転中心に向かう経路、又は、公転軸体を出て系外に抜ける経路のいずれかの経路と、公転軸体内を通る経路とは、回転継手を介して接続される
との構成を採用することができる。
この場合、
少なくとも、容器を始端として自転体内を通る経路、自転体を出て公転中心に向かう経路、及び、公転軸体内を通る経路は、各容器に対応して独立した経路となっている
との構成を採用することができる。
あるいは、
各独立した経路は、自転体を出て公転中心に向かう経路と、公転軸体内を通る経路との間の回転継手内で合流する
との構成を採用することができる。

Claims (5)

  1. 公転軸を中心に回転可能な公転体と、
    公転体上の少なくとも2つ以上の各自転軸を中心に回転可能で、それぞれ容器を保持可能な少なくとも2つ以上の自転体と、
    各容器内の空気を吸引して各容器内を真空状態にする真空手段とを備え、
    真空手段は、
    各容器を密閉する密閉手段と、
    真空発生源と、
    各容器を始端として公転中心に向かい、公転中心を通って系外に抜け、系外に設置された真空発生源に至る吸引経路であって、始端から少なくとも一部が各容器に対応して独立した経路となっている吸引経路と、
    各独立した経路に設けられる少なくとも2つ以上の真空計測手段とを備える
    攪拌・脱泡装置。
  2. 各真空計測手段は、密閉手段により各容器の密閉された空間に対して設けられる
    請求項1に記載の攪拌・脱泡装置。
  3. 真空手段は、各独立した経路に設けられる個別に制御可能な少なくとも2つ以上の開閉弁をさらに備える
    請求項1又は請求項2に記載の攪拌・脱泡装置。
  4. 公転軸を中心に回転可能な公転体と、
    公転体上の少なくとも2つ以上の各自転軸を中心に回転可能で、それぞれ容器を保持可能な少なくとも2つ以上の自転体と、
    各容器内の空気を吸引して各容器内を真空状態にする真空手段とを備え、
    真空手段は、
    各容器を密閉する密閉手段と、
    真空発生源と、
    各容器を始端として公転中心に向かい、公転中心を通って系外に抜け、系外に設置された真空発生源に至る吸引経路であって、始端から少なくとも一部が各容器に対応して独立した経路となっている吸引経路と、
    各独立した経路に設けられる個別に制御可能な少なくとも2つ以上の開閉弁とを備える
    攪拌・脱泡装置。
  5. 公転軸を中心に回転可能な公転体と、
    公転体上の自転軸を中心に回転可能で、容器を保持可能な自転体と、
    容器内の空気を吸引して容器内を真空状態にする真空手段とを備え、
    真空手段は、
    容器を密閉する密閉手段と、
    真空発生源と、
    容器を始端として公転中心に向かい、公転中心を通って系外に抜け、系外に設置された真空発生源に至る吸引経路と、
    密閉手段により容器の密閉された空間に対して設けられる真空計測手段とを備える
    攪拌・脱泡装置。
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