以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る賞品払出システム1の模式的な斜視図である。賞品払出システム1は、例えばパチンコ店等の遊技施設に設置され、賞品管理装置2と賞品払出装置3とを含む。賞品管理装置2は、特殊賞品と呼ばれる賞品Pや、菓子等の一般賞品の在庫データ等を管理するPOS端末であって、遊技施設における受付カウンターC上に設置される。これらの賞品は、遊技客が獲得したパチンコ玉等の遊技媒体と受付カウンターCにて交換される。
賞品Pの一例は、例えば数ミリ程度の厚さを有するカードである。この実施形態では、大賞品、中賞品および小賞品といった、金銭価値に応じた3種類の賞品Pが登場するが、大賞品よりも金銭価値の高い特大賞品が存在してもよい。賞品Pの表面の色は、賞品Pの種類毎に異なっている。一例として、大賞品の表面は赤色であり、中賞品の表面は青色であり、小賞品の表面は黄色である。賞品Pは、通い箱4に収容された状態にて市場に流通する。
賞品払出装置3は、賞品Pを払い出す装置であるとともに、賞品Pを保管する機能を有する賞品保管機でもあり、受付カウンターCのフロアにおいて賞品管理装置2に隣接して配置されている。なお、賞品払出装置3は、受付カウンターC上に設置される卓上タイプであってもよい。賞品払出装置3は、LAN(図示せず)等を介して賞品管理装置2に対して通信可能に接続されている。なお、図1では、1台の賞品管理装置2と1台の賞品払出装置3が接続されることによって賞品払出システム1を構成しているが、賞品払出システム1では、複数台の賞品管理装置2が1台の賞品払出装置3に接続されてもよいし、逆に、複数台の賞品払出装置3が1台の賞品管理装置2に接続されてもよい。
賞品払出装置3から賞品Pを払い出す際には、遊技施設において受付カウンターCを担当する使用者である係員が、賞品管理装置2に設けられたスキャナ等の読取部(図示せず)によって遊技客のレシート等を読み取った後に、賞品管理装置2に設けられたキーボードやタッチパネル等の操作部5を操作する。すると、賞品管理装置2が賞品払出装置3に対して賞品Pを払い出すよう指示(以下では「払出指示」という。)を送るので、賞品払出装置3は、払出指示に応じた種類および個数の賞品Pを払い出す。これに応じて、賞品管理装置2は、賞品Pの在庫データを更新する。一方、遊技客によって遊技媒体と一般賞品との交換を依頼された係員は、指定された一般賞品を操作部5の操作によって選択してから、この一般賞品を遊技客に手渡す。賞品管理装置2は、操作部5の操作に応じて、この一般賞品の在庫データを更新する。
賞品払出装置3は、その外殻をなすボックス状に形成された装置本体11と、装置本体11内に設けられた複数(ここでは3つ)の収納ユニット12とを含む。なお、図1の紙面の左右方向は、賞品払出装置3の左右方向Xと一致し、図1の紙面に略直交する方向は、賞品払出装置3の前後方向Yと一致し、図1の紙面の上下方向は、賞品払出装置3の上下方向Zと一致している。左右方向Xおよび前後方向Yは、横方向に含まれる。左右方向Xは、左側X1と右側X2とを含み、前後方向Yは、図1の紙面の手前側に一致した前側Y1と、図1の紙面の奥側に一致した後側Y2とを含み、上下方向Zは、上側Z1と下側Z2とを含む。
装置本体11は、天板13と、この天板13を支持する左右一対の側板14とを有している。天板13の下面には、前後方向Yにスライド可能な複数(例えば収納ユニット12と同数)の補助テーブル15が、左右方向Xに並んで設けられている。前側Y1へ引き出された補助テーブル15は、天板13を拡張するために機能するので、係員は、天板13を広く使用することができる。これらの補助テーブル15の下面には、前後方向Yにスライド可能な1つの引出し16が設けられている。引出し16には、事務用品等の備品や、遊技施設内の機器についての取扱説明書等の書類が収納される。装置本体11には、その前面11Aのほぼ全域に亘る開口11Bが形成されている。開口11Bの上縁は、引出し16によって仕切られている。開口11Bは、装置本体11の内部空間に連通している。
天板13は、透明な板であり、より具体的にはアクリル板である。天板13の上面は、装置本体11の天面を構成している。天板13の上面は、その略前半分を占める水平面である払出面13Aと、払出面13Aの後側Y2において左右方向Xに延び、払出面13Aよりも一段高い段部13Bとを含む。払出面13Aにおける後寄りの領域には、左右方向Xに長手の払出口13Cが形成されている。払出口13Cは、収納ユニット12と同数(ここでは3つ)存在し、左右方向Xに並んで配置されている。
賞品払出装置3は、払出口13Cを開閉するシャッタ17と、操作部および指定部の一例としての表示部18とをさらに含む。シャッタ17は、左右方向Xに長手の板状に形成され、払出口13Cと同数存在する。各シャッタ17は、対応する払出口13Cを閉じた閉位置(図1参照)と、段部13B内に後退して払出口13Cを開いた開位置(後述する図9参照)との間で前後方向Yにスライド可能である。各シャッタ17は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力によって開閉される。表示部18は、例えばタッチパネルによって構成され、段部13Bに固定されて受付カウンターCの係員側に臨んでいる。表示部18には、係員向けの情報が表示される。
収納ユニット12は、賞品Pを通い箱4ごと収納するものである。この実施形態では、3つの収納ユニット12が左右方向Xに並んでいる。図1に示すように装置本体11内に目一杯収容された状態における収納ユニット12は、前後方向Yにおける収容位置にある。図1に示すように全ての収納ユニット12が収容位置にある場合には、これらの収納ユニット12の前面が、面一となって開口11Bを塞いだ状態にて、装置本体11から前側Y1に露出されている。収容位置にある各収納ユニット12の真上には、装置本体11の払出面13Aにおけるいずれか1つの払出口13Cが位置している。
賞品払出装置3は、収納ユニット12が1つずつ載せられて左右方向Xに並んだ3つのスライド部19を含む。各スライド部19は、水平に延びる板部19Aと、板部19Aの左右両端から下側Z2へ延びる左右一対の脚部19Bとを有する台であり、対応する収納ユニット12の下部に板部19Aが固定される。スライド部19を、その上に載せられた収納ユニット12の一部とみなしてもよい。各スライド部19は、装置本体11の底壁11Cに設けられたレール(図示せず)に各脚部19Bがガイドされることによって、対応する収納ユニット12を伴って前後方向Yにスライド可能である。これにより、各収納ユニット12は、前述した収容位置から、前側Y1の引出位置へ前後方向Yに引き出し可能である。
係員は、各収納ユニット12の前面に設けられた取っ手12Aを操作することによって、収納ユニット12を引出位置まで引き出したり、収容位置まで押し込んだりすることができる。なお、収納ユニット12の移動は、係員の手動によって行われてもよいし、装置本体11内に設けられたDCモータやステッピングモータ等の駆動装置により自動的に行われてもよい。その場合、例えば係員が取っ手12Aを手前に引くと収納ユニット12が前進し、係員が取っ手12Aを後側Y2に押すと収納ユニット12が後退する。収納ユニット12は、収容位置から引出待機位置(図示せず)まで一旦前進してから引き出されてもよい。装置本体11には、各収納ユニット12を収容位置においてロックしたり、そのロックを解除したりするロック機構20(後述する図6を参照)が設けられている。ロック機構20として、公知の構成を用いることができる。
収納ユニット12について詳しく説明するのに先立って、通い箱4について説明する。図2は、通い箱4の斜視図である。通い箱4は、所定方向(図2では左右方向)に長手のボックス状に形成されていて、例えば樹脂製である。通い箱4は、対向配置された一対の側壁21と、一対の側壁21間に架設された少なくとも2つ(図2では6つ)の区画壁22と、通い箱4の底をなす1つの閉塞壁23とを一体的に含む。
一対の側壁21は、通い箱4の長手方向Lにおいて長手の略長方形の板状に形成されていて、それぞれの板厚方向に沿って対向するように平行に配置されている。一対の側壁21の対向方向は、通い箱4において長手方向Lに直交する短手方向Sである。また、通い箱4の深さ方向Dは、長手方向Lおよび短手方向Sの両方に直交している。
各区画壁22は、長手方向Lに一致した板厚方向を有する略矩形の板状に形成されている。2つの区画壁22が、一対の側壁21において長手方向Lにおける一端縁間と他端縁間とに1つずつ架設され、残り4つの区画壁22が、長手方向Lに等間隔で並んだ状態で一対の側壁21の途中部間に架設されている。そのため、通い箱4には、大きさの等しい略直方体状の5つの収容空間24が、長手方向Lに等間隔で並んで形成されている。
閉塞壁23は、深さ方向Dに一致した板厚方向を有し、長手方向Lにおいて長手の略長方形の板状に形成されている。閉塞壁23は、深さ方向Dにおける一方側(図2では下側)から各側壁21および各区画壁22に対して接続されていて、各収容空間24を当該一方側から塞いでいる。各収容空間24において深さ方向Dにおける他方側(図2では上側)の端部は、略矩形状の出入口25として、当該他方側へ開放されている。
通い箱4は、出入口25とは別に設けられた開口部26を含む。開口部26は、長手方向Lにおいて各収容空間24と同じ位置に一対ずつ、この実施形態では5対設けられている。つまり、開口部26は、短手方向Sにおける通い箱4の両側において、5つずつ長手方向Lに等間隔で並んで設けられている。各対における2つの開口部26は、長手方向Lで同じ位置にあって、短手方向Sにおける通い箱4の中心を基準として対称になるように構成されている。各開口部26は、収容空間24を外部に露出させるスリット状であり、短手方向Sにおける閉塞壁23の端部を切り欠きつつ、短手方向Sにおいて当該端部と同じ側にある側壁21を深さ方向Dに沿って切り欠いて、出入口25の手前まで直線状に延びている。なお、開口部26の形状は、任意に変更できる。
賞品Pを収容して流通しているときの通い箱4の姿勢は、図2に示すように各出入口25が上を向いた基本姿勢である。賞品Pは、出入口25を介して各収容空間24に収容される。各収容空間24の大きさが等しいので、賞品Pは、所定数ずつ(この実施形態では20個ずつ)、各収容空間24に収容される。そのため、通い箱4全体では、最大で100個の賞品Pを収容できる。複数の賞品Pは、それぞれの板厚方向が短手方向Sと一致して閉塞壁23から起立した姿勢で、各収容空間24に積層状態で収容され、その状態の各賞品Pでは、出入口25側の部分が出入口25からはみ出ている。また、前述した所定数の賞品Pが収容された収容空間24(図2における右端の収容空間24を参照)では、短手方向Sの両端に位置する賞品Pの一部が、短手方向Sにおける同じ側の開口部26から露出されている。この実施形態では、1つの通い箱4に収容される複数の賞品Pの種類は、大賞品、中賞品および小賞品のいずれか一種類である。
次に、収納ユニット12について詳しく説明する。図3は、収納ユニット12の模式的な斜視図である。各収納ユニット12は、前後方向Yに並ぶ2つの収納本体部31と、これらの収納本体部31の間に配置された繰出払出部32とを含む。2つの収納本体部31のうち、前側Y1のものを前収納本体部31Aといい、後側Y2のものを後収納本体部31Bということがある。図3では、各収納本体部31と繰出払出部32との境界が1点鎖線で図示されている。収納本体部31と繰出払出部32とは一体化されていてもよいし、別々に存在して組み合わされることによって収納ユニット12を構成してもよい。
各収納本体部31は、その外殻をなすボックス状に形成された筐体33を含む。収納ユニット12の上面を構成する筐体33の上面には、略矩形状の装填口33Aと、装填口33Aを開閉する略矩形板状の扉33Bとが設けられている。扉33Bは、前後方向Yにおいて繰出払出部32に最も近い端部に設けられたヒンジ33Cを介して筐体33に連結されていて、ヒンジ33Cまわりに回動することによって開閉される。前収納本体部31Aの筐体33の前面は、取っ手12Aが設けられた収納ユニット12の前面を構成している。
図4は、賞品払出装置3の内部の模式的な右側面図である。各収納ユニット12における各収納本体部31の筐体33の内部には、左右一対の搬送体34と、複数(ここでは6つ)の収納部35とが設けられている。各搬送体34は、無端状のチェーンまたはベルト(ここではチェーン)によって構成されており、左右方向Xから見て例えば略矩形の環状をなしている。搬送体34は、モータ(図示せず)等の駆動部の駆動力を受けることによって、左右方向Xから見て時計回りおよび反時計回りのそれぞれの方向へ向けて周回移動する。この駆動部と搬送体34とは、移動機構50を構成する。
各収納部35は、左右方向Xに長手のトレイ状に形成されている。各収納部35の内部空間は、左右方向Xに長手となった通い箱4をちょうど収容できる大きさを有する。上向き姿勢の収納部35(例えば図4における上端の収納部35を参照)には、その上面を全域に亘って開放した出入口35Aと、前後の両側壁のそれぞれを切り欠いたスリット状の開口部(図示せず)とが形成されている。この開口部は、収納部35の前壁および後壁において、通い箱4の開口部26(図2参照)に合致する位置に同数形成され、左右方向Xに並んで配置されている。
各収納部35には、通い箱4が1つずつ装填される。これにより、通い箱4内の賞品Pは、収納部35内に収納されるとともに、収納ユニット12内にも収納される。通い箱4が装填された収納部35では、前述した開口部と通い箱4の開口部26とが1つずつ整合している。また、この実施形態では、同じ種類の賞品Pが1つの通い箱4内に収納されるので、1つの収納部35には、同じ種類の賞品Pが装填される。しかし、各収納ユニット12内の前収納本体部31Aおよび後収納本体部31Bのそれぞれにおいて、収納部35毎に、賞品Pの種類が異なってもよい。つまり、各収納ユニット12は、複数種類の賞品P(ここでは、大賞品、中賞品および小賞品)をまとめて収納している。
これらの収納部35は、左右一対の搬送体34の周回方向Rに沿って環状に並んで配置された状態で、これらの搬送体34の間に架設されている。そのため、移動機構50が作動することによって左右の搬送体34が周回移動すると、これらの収納部35は、搬送体34とともに周回移動する。また、各収納部35は、搬送体34との連結部分において、左右方向Xに延びる回動軸線(図示せず)まわりに回動自在である。そのため、各収納部35は、原則として、上向き姿勢を維持するように回動しながら、ゴンドラのように周回移動する。
図4を参照するとともに、収納ユニット12の内部の模式的な平面図である図5も参照して、各収納本体部31の内部において前後方向Yにおける外側の端部(前収納本体部31Aの場合は前端部であり、後収納本体部31Bの場合は後端部)には、識別計数部36が配置されている。識別計数部36は、左右方向Xに延びるホルダ37と、ホルダ37において繰出払出部32を臨む側面(前収納本体部31Aの場合は後面であり、後収納本体部31Bの場合は前面)に設けられた識別部38および計数部39とを含む。左右方向Xに隣り合った識別部38および計数部39が1つの組を構成し、各識別計数部36では、この組が、左右方向Xに等間隔で5組並んでいる。識別計数部36は、収納本体部31の筐体33によって支持されており、ステッピングモータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けて昇降する。
識別部38の一例は、発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を含んだカラーセンサである。この場合、発光部が、被検知物である賞品Pに対して光を照射し、その反射光を受光部が受光する。識別部38は、この反射光をRGB値に変換して分析することによって賞品Pの表面の色を検知し、この検知結果に基づいて賞品Pの真偽や種類を識別する。なお、識別情報を記憶したICチップが賞品Pに内蔵されていて、識別部38は、非接触でICチップから識別情報を読み取ることによって、賞品Pの真偽や種類を識別してもよい。
計数部39の一例は、発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を含んだ光学式の反射型センサである。この場合、発光部が、賞品Pに対して光を照射し、その反射光を受光部が受光する。計数部39は、識別計数部36の昇降に伴い、通い箱4において上下方向Zに積層された賞品Pの端部の凸形状を、発光部からの光によってなぞる。これによって、連続する複数の凸形状の輪郭にほぼ一致する波形データが得られるので、計数部39は、この波形データにおける凸形状の数を数えることによって、賞品Pを計数することができる。
繰出払出部32は、その外殻をなすボックス状に形成された筐体40を含む。筐体40の上面40Aには、左右方向Xに長手の出口40Bが1つ形成されている(図3も参照)。出口40Bは、筐体40の内部空間40Cを上側Z1に露出させている。内部空間40Cは、前収納本体部31Aおよび後収納本体部31Bのそれぞれの筐体33の内部空間に連通している。収納ユニット12が収容位置にある状態では、この収納ユニット12の出口40Bが、左右方向Xにおいて同じ位置ある1つの払出口13Cの真下に配置される。繰出払出部32は、繰出機構41および払出機構42を含む。繰出機構41は、左右一対設けられている。左右2つの繰出機構41のうち、左側X1のものは、前収納本体部31A用の前繰出機構41Aであり、右側X2のものは、後収納本体部31B用の後繰出機構41Bである。各繰出機構41は、単数または複数の繰出部43を含む。
繰出部43は、左右方向Xから見て略三角形の環状をなす無端状の繰出ベルト44と、繰出ベルト44の内側において略三角形の各頂点部分に1つずつ配置されたローラ45と、例えばウレタンで構成された外周面を有する繰出ローラ46と、繰出ベルト44の外周面に設けられた繰出部材47とを含む。繰出ベルト44は、少なくもいずれかのローラ45がモータ等の駆動部(図示せず)により駆動回転されることによって、周回移動する。繰出ローラ46は、繰出ベルト44を挟んでいずれかのローラ45と対向しており、駆動回転される。繰出部材47は、繰出ベルト44の外周面から突出した爪状に形成され、各繰出ベルト44において、複数の繰出部材47が繰出ベルト44の周回方向に沿って等間隔で設けられている。
各繰出機構41は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって、待機姿勢と繰出姿勢との間で姿勢変更可能である。待機姿勢にあるときの各繰出機構41は、図4に示すように筐体40の内部空間40Cに収まっていて、各繰出部43における繰出ベルト44の平坦部分44Aが上下方向Zに沿っている。なお、共に待機姿勢にある前繰出機構41Aおよび後繰出機構41Bは、実際には、左右方向Xから見て重なるように配置されている。繰出姿勢にあるときの前繰出機構41A(後述する図9を参照)では、繰出部43が内部空間40Cから前側Y1へはみ出して、繰出部43の繰出ベルト44の平坦部分44Aが前後方向Yに沿って水平になっている。繰出姿勢にあるときの後繰出機構41B(図9を参照)では、繰出部43が内部空間40Cから後側Y2へはみ出して、繰出部43の繰出ベルト44の平坦部分44Aが前後方向Yに沿って水平になっている。繰出姿勢にあるときの各繰出機構41では、繰出部43が、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって左右方向Xにスライド可能である。
図5を参照して、筐体40の内部空間40Cにおける略上半分の領域は、筐体40に固定された複数の鉛直な板状の仕切部48によって、複数の縦長の繰出空間40Dへと区画されている。繰出空間40Dは、通い箱4の収容空間24と同数(ここでは5つ)存在し、筐体40の出口40Bの真下において、左右方向Xに等間隔で並んでいる。
払出機構42は、払出部49を含む。払出部49は、上下方向Zに一致した板厚方向を有する略矩形の板状であり、各繰出空間40Dに1つずつ配置されており、合計で5つ存在する。払出機構42は、全ての払出部49を一括して保持する保持部(図示せず)を含む。全ての払出部49は、モータ等の駆動部(図示せず)の駆動力を受けることによって、繰出空間40Dの下端付近に設定された待機位置と、繰出空間40Dの上端に設定された払出位置との間で、保持部と一体となって昇降する。
図6は、賞品払出装置3の電気的構成を示すブロック図である。賞品払出装置3は、選択部および指定部の一例としての制御部51を含む。制御部51は、CPUやROMやRAM等によって構成され、タイマ等を内蔵し、装置本体11に設けられている。制御部51には、シャッタ17、表示部18およびロック機構20のそれぞれに関連した電気部品(例えば、前述した駆動部やセンサ等)が電気的に接続されている。また、制御部51には、各収納ユニット12が電気的に接続されている。具体的には、収納ユニット12の各収納本体部31において搬送体34を周回移動させる移動機構50が電気的に接続されている。また、制御部51には、各収納ユニット12の繰出払出部32および各収納本体部31の識別計数部36に関連した電気部品が電気的に接続されている。
制御部51は、これらの電気部品の動作を制御することによって、賞品Pを補充する補充処理と、賞品払出装置3の各収納ユニット12内の賞品Pを識別および計数する識別計数処理と、各収納ユニット12内の賞品Pを繰り出して機外(つまり装置本体11の外)に払い出す繰出払出処理とを実行する。これらの処理に関連して、制御部51は、表示部18に必要な情報を表示したり、係員による表示部18の操作に応じた指示や、賞品管理装置2からの払出指示を受け付けたりする。なお、制御部51は、賞品管理装置2からの払出指示だけでなく、係員による表示部18の操作に基いた払出指示を受け付けてもよい。
賞品払出装置3は、記憶部52をさらに備えている。記憶部52は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスによって構成されている。記憶部52は、制御部51に電気的に接続されている。記憶部52は、各収納部35に装填された通い箱4内の賞品Pの種類および収納数(在庫数ともいう)等を収納部35毎に記憶している。また、記憶部52は、過去の異常履歴や賞品Pの払出履歴等の様々な情報も記憶している。
以下では、補充処理、識別計数処理および繰出払出処理について、この順番に説明する。補充処理の場合には、係員が、表示部18を操作することによって、補充処理の対象となる収納ユニット12を1つ選択する。すると、制御部51は、選択された収納ユニット12についてのロック機構20によるロックを解除することによって、この収納ユニット12の引出位置までの引き出しを許可する。次に、係員が、ロックが解除された収納ユニット12の取っ手12Aを掴んで前側Y1に引くと、この収納ユニット12は、図7に示す引出位置まで引き出される。このように、一度に引き出させる収納ユニット12は、1つだけである。
引出位置まで引き出された収納ユニット12では、前収納本体部31Aおよび後収納本体部31Bの両方が装置本体11よりも前側Y1に位置しており、これらの収納本体部31の上面の装填口33Aが装置本体11の外に配置されている。この状態において、係員が収納本体部31(図7では前収納本体部31Aを参照)の扉33Bを開いて装填口33Aを上側Z1に開放する。扉33Bが開くのに先立って制御部51が搬送体34を周回移動させ、これにより、空の2つの収納部35が、装填口33Aの真下において前後に並んで配置される。空の収納部35とは、通い箱4が装填されていない収納部35、または、エンプティもしくはニアエンプティの状態の通い箱4が装填された収納部35を指す。装填口33Aの前側領域および後側領域のそれぞれに、空の収納部35が1つずつ配置される。前収納本体部31Aの装填口33Aにおいて、前側領域を補充口(1)といい、後側領域を補充口(2)といい、後収納本体部31Bの装填口33Aにおいて、前側領域を補充口(3)といい、後側領域を補充口(4)という。
係員は、賞品Pを収容した基本姿勢の状態の通い箱4を、白抜き矢印で示すように下降させて装填口33Aを通過させ、装填位置にある上向き姿勢の収納部35の出入口35Aに上側Z1から挿入する。これにより、通い箱4が、装填位置の収納部35に装填され、通い箱4内の賞品Pは、収納ユニット12内に装填される。なお、通い箱4および収納部35の一方に設けられた位置決めリブ(図示せず)が、他方に設けられた位置決め溝(図示せず)に嵌まり込むことによって、通い箱4と、この通い箱4が装填された収納部35とが互いに位置決めされる。装填位置の収納部35に通い箱4が装填されてから扉33Bが閉じられると、他の空の収納部35が装填位置に配置されるように、制御部51が搬送体34を周回移動させる。
他の空の収納部35にも通い箱4が装填された後に、係員が、扉33Bを閉じて、引出位置の収納ユニット12の取っ手12Aを掴んで収容位置まで戻すと、制御部51は、この収納ユニット12を、ロック機構20によって収容位置にてロックする。これにより、この収納ユニット12についての補充処理が終了する。なお、この引出位置とは別の引出途中位置が設定され、引出途中位置まで引き出された収納ユニット12では、前収納本体部31Aだけが装置本体11よりも前側Y1に位置し、前収納本体部31Aだけに賞品Pが装填できてもよい。
識別計数処理の場合、図4および図5を参照して、制御部51は、搬送体34を、前収納本体部31Aでは右側面視において反時計回りに周回移動させ、後収納本体部31Bでは右側面視において時計回りに周回移動させる。そして、各収納本体部31では、識別計数処理の対象となる収納部35が、識別計数部36の上方に配置された所定位置に上側Z1から接近すると、第1の姿勢変更機構(図示せず)により、図4に示すように、出入口35Aが横を向いた横向き姿勢に傾倒する。なお、横向き姿勢の収納部35では、セットされた通い箱4の出入口25からの賞品Pの脱落を防止するために、出入口35Aが真横でなく、僅かに斜め上側へ向いている。
前収納本体部31Aでは、前側下端にある収納部35が横向き姿勢にあって、この収納部35の出入口35Aが前側Y1を向いている。また、この収納部35に装填された通い箱4も、出入口25が前側Y1を向いた横向き姿勢にあって、通い箱4内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口25から前側Y1へはみ出しており、当該賞品Pの前端面が識別計数部36側(厳密には斜め上側)を向いている。後収納本体部31Bでは、後側下端にある収納部35が横向き姿勢にあって、この収納部35の出入口35Aが後側Y2を向いている。また、この収納部35に装填された通い箱4も、出入口25が後側Y2を向いた横向き姿勢にあって、通い箱4内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口25から後側Y2へはみ出しており、当該賞品Pの後端面が識別計数部36側(厳密には斜め上側)を向いている。
図4に示すように、収納部35が上向き姿勢から横向き姿勢に変わって識別計数部36に上側Z1から接近すると、制御部51は、搬送体34の周回移動を停止する。このとき、各収納本体部31では、識別計数部36における識別部38および計数部39の組(図5参照)が、横向き姿勢の収納部35に装填された通い箱4の各収容空間24に対して1組ずつ左右方向Xにおいて同じ位置にある。この状態において、制御部51は、識別計数部36を、例えば下端の待機位置から上昇させる。その際、各組における識別部38および計数部39が、当該通い箱4において左右方向Xで同じ位置にある収容空間24に前後方向Yから対向しながら上昇する。識別部38は、左右方向Xで同じ位置にある収容空間24に収容されて上下方向Zに積層された状態にある賞品Pの種類を下側Z2から順に1つずつ非接触で識別し、計数部39は、当該収容空間24に収容されて上下方向Zに積層された状態にある賞品Pを下側Z2から順に1つずつ非接触で計数する。横向き姿勢の収納部35に装填された通い箱4の各収容空間24における全ての賞品Pについての識別および計数が完了して識別計数部36が待機位置まで下降すると、識別計数処理が終了する。
識別計数処理は、全ての収納ユニット12において一度に実行されてもよいし、係員による表示部18での操作によって選択された所定の収納ユニット12において個別に実行されてもよい。また、識別計数処理は、各収納ユニット12では、前後の両方の収納本体部31において一度に実行されてもよいし、前後のどちらかの収納本体部31において個別に実行されてもよい。また、識別計数処理は、各収納本体部31において、全ての収納部35に装填された通い箱4について実行されてもよいし、係員によって指定された収納部35に装填された通い箱4のみについて実行されてもよい。いずれにせよ、制御部51は、識別計数処理の度に、賞品払出装置3内の各収納部35における賞品Pの在庫数を更新する。
各収納部35における賞品Pの在庫データ(賞品Pの種類および在庫数)は、収納部35毎に割り当てられた識別情報と関連付けてテーブル(図示せず)にまとめられ、記憶部52に記憶されている。制御部51は、このテーブルの内容を、図8に示す在庫画面55として表示部18に表示することができる。在庫画面55は、表示部18における待機画面であってもよい。図8では、説明の便宜上、黒く塗り潰された部分を、大賞品の種類を示す赤色の部分とし、右下へ延びる斜線のハッチングが施された部分を、中賞品の種類を示す青色の部分とし、右上へ延びる斜線のハッチングが施された部分を、小賞品の種類を示す黄色の部分としている。
一例として、表示部18の上端部には、賞品払出装置3における様々な処理(メニュー)を選択等するためのタッチキーであるメニューキー56が表示され、在庫画面55は、表示部18においてメニューキー56よりも下側の領域に表示される。在庫画面55には、タッチキーである見出しキー57と、各収納部35における賞品Pの種類および在庫数が示された個別表示部58とが表示されている。見出しキー57は、左右方向Xに並ぶ3つの収納ユニット12と同数存在し、例えば在庫画面55の下端部において左右に並んで表示されている。左端の見出しキー57Lは、左端の収納ユニット12L(図1参照)に対応しており、収納ユニット12Lを指す<レーン左>という文字が見出しキー57Lに表示されている。真ん中の見出しキー57Cは、真ん中の収納ユニット12C(図1参照)に対応しており、収納ユニット12Cを指す<レーン中>という文字が見出しキー57Cに表示されている。右端の見出しキー57Rは、右端の収納ユニット12R(図1参照)に対応しており、収納ユニット12Rを指す<レーン右>という文字が見出しキー57Rに表示されている。
個別表示部58は、賞品払出装置3内における収納部35と同数(1つの収納ユニット12につき12個)存在し、在庫画面55において各見出しキー57の真上の領域に12個ずつ表示されている。各見出しキー57の真上の12個の個別表示部58は、各収納ユニット12における前収納本体部31Aおよび後収納本体部31Bに応じて、6個ずつにまとまって表示されている。これら12個の個別表示部58において、在庫画面55における下側の6個の個別表示部58は、前収納本体部31Aにおける6個の収納部35に1つずつ対応し、上側の6個の個別表示部58は、後収納本体部31Bにおける6個の収納部35に1つずつ対応している。各個別表示部58は、対応する1つの収納部35に割り当てられた賞品Pの種類についての情報を示す種類表示部58Aと、この収納部35における現在の在庫数を示す在庫数表示部58Bとを含む。種類表示部58Aでは、対応する賞品Pの種類についての情報として、この賞品Pの色および種類名の少なくともいずれか(図8では両方)が表示されている。
図9を参照して、繰出払出処理について説明する。繰出払出処理は、通い箱4から賞品Pを1個ずつ繰り出す繰出処理と、繰出処理により繰り出された装置本体11内の賞品Pを機外へ払い出す払出処理とを含む。賞品管理装置2等からの払出指示に基いて、制御部51は、まず、繰出処理を行う。具体的に、制御部51は、前収納本体部31Aでは搬送体34を右側面視において時計回りに周回移動させ、後収納本体部31Bでは搬送体34を右側面視において反時計回りに周回移動させる。各収納本体部31では、繰出処理の対象となる収納部35が、払出機構42の払出部49に接近すると、第2の姿勢変更機構(図示せず)により、図9に示すように、出入口35Aが横(厳密には斜め上側)を向いた横向き姿勢に傾倒する。
このとき、前収納本体部31Aでは、後側上端にある収納部35が横向き姿勢にあって、この収納部35の出入口35Aが後側Y2を向いている。また、この収納部35に装填された通い箱4も、出入口25が後側Y2を向いた横向き姿勢にあって、通い箱4内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口25から後側Y2へはみ出していて、当該賞品Pの後端面が繰出払出部32側(厳密には斜め上側)を向いている。後収納本体部31Bでは、前側上端にある収納部35が横向き姿勢にあって、この収納部35の出入口35Aが前側Y1を向いている。また、この収納部35に装填された通い箱4も、出入口25が前側Y1を向いた横向き姿勢にあって、通い箱4内の賞品Pは、上下方向Zに積層された状態で、出入口25から前側Y1へはみ出していて、当該賞品Pの前端面が繰出払出部32側(厳密には斜め上側)を向いている。
図9に示すように、横向き姿勢の収納部35に装填された通い箱4内における最下位の賞品Pが、払出機構42において待機位置にある払出部49の上面と上下方向Zにおいてほぼ同じ位置になると、制御部51は、搬送体34の周回移動を停止する。搬送体34の周回移動の停止に前後して、制御部51は、繰出機構41の姿勢を待機姿勢から繰出姿勢に切り換える。繰出姿勢の前繰出機構41Aでは、繰出部43が、前収納本体部31Aの筐体33の内部空間に後側Y2から進入し、横向き姿勢の収納部35に装填された通い箱4の真下に配置される。繰出姿勢の後繰出機構41Bでは、繰出部43が、後収納本体部31Bの筐体33の内部空間に前側Y1から進入し、横向き姿勢の収納部35に装填された通い箱4の真下に配置される。
次いで、制御部51は、繰出部43における繰出ベルト44を周回移動させ、繰出ローラ46を回転させる。このとき、前繰出機構41Aでは、右側面視において繰出ベルト44が時計回りに周回移動して繰出ローラ46が反時計回りに回転する。また、後繰出機構41Bでは、右側面視において繰出ベルト44が反時計回りに周回移動して繰出ローラ46が時計回りに回転する。周回移動する繰出ベルト44に設けられた繰出部材47が、繰出ベルト44の平坦部分44Aにおいて払出部49側へ水平移動する。その際、繰出部材47が、横向き姿勢の収納部35に装填された通い箱4の開口部26(図2参照)に進入して、当該通い箱4の収容空間24内の最下位の賞品Pを引っ掛けて払出部49側へ繰り出す。
払出部49側へ繰り出された賞品Pは、駆動回転される繰出ローラ46に接触することによって払出部49側へ押し出され、左右方向Xにおいて同じ位置にある1つの払出部49上に載る。そして、繰出ベルト44の周回移動と繰出ローラ46の回転が繰り返されることによって、横向き姿勢の収納部35に装填された通い箱4において各繰出部43の真上に位置する収容空間24内の賞品Pが、下側Z2の賞品Pから順に1つずつ繰り出されて、払出部49上に集積される。
なお、繰り出された賞品Pが払出部49において上側Z1に集積されるように、賞品Pの繰り出しの度に、制御部51は、払出部49を待機位置から徐々に下降させる。また、制御部51は、横向き姿勢の収納部35を一時上昇させて浮かせている間に繰出部43を左右方向に移動させてから収納部35を元の位置まで下降させ、先ほど賞品Pを繰り出した元の収容空間24とは別の収容空間24の賞品Pを繰出部43によって繰り出してもよい。この場合、当該別の収容空間24から繰り出された賞品Pは、先ほどの払出部49とは別の払出部49に集積される。また、通い箱4における全ての収容空間24が空になると、制御部51は、繰出機構41を一旦待機姿勢に戻した後に搬送体34を周回移動させ、別の通い箱4が装填された収納部35を横向き姿勢にする。その後、制御部51は、繰出機構41を繰出姿勢に姿勢変更して、当該別の通い箱4から賞品Pを繰り出す。
このようにして必要数の賞品Pが繰り出されると、繰出処理が完了する。すると、制御部51は、払出処理を開始する。具体的には、制御部51は、払出処理の対象となる収納ユニット12の真上のシャッタ17を、図9に示す開位置までスライドさせる。これにより、このシャッタ17によって開閉される払出口13Cと、この収納ユニット12の出口40Bとが上側Z1へ開放される。そして、制御部51は、この収納ユニット12における5つ全ての払出部49を、破線にて示す払出位置まで上昇させる。払出部49が払出位置まで上昇することにより、各払出部49上に繰り出された賞品Pが、出口40Bおよび払出口13Cから上側Z1に露出されることによって機外へ払い出されるので、係員は、払出部49上の賞品Pを受け取って遊技客に手渡しすることができる。なお、遊技客が、払出部49上の賞品Pを直接受け取ってもよい。
払出部49が払出位置まで上昇したとき、1つの払出口13Cでは、5つの払出部49が並んでおり、これにより、この払出口13Cは、5つの個別払出口に区分けされている。前述したように各収納ユニット12には複数種類の賞品Pがまとめて収納されているので、各個別払出口からは、決まった種類の賞品Pが払い出されるとは限らず、各収納ユニット12内の複数種類の賞品Pが払い出される。各個別払出口における払出部49上の賞品Pが係員によって取り出された後に、制御部51は、払出部49を待機位置まで下降させる。さらに、制御部51は、今まで開位置にあったシャッタ17を閉位置までスライドさせ、各繰出機構41を繰出姿勢から待機姿勢(図4参照)まで戻す。これにより、払出処理が終了し、一連の繰出払出処理が完了する。
図10は、表示部18における表示内容の一例を示す模式図である。表示部18に表示された在庫画面55では、各収納部35における賞品Pの種類および在庫数が、対応する個別表示部58に表示される。各収納ユニット12、つまりレーン左、レーン中およびレーン右の各レーンでは、複数(各レーンで12個)の収納部35のうち、これから払出口13Cに賞品Pを払い出す対象となる払出対象収納部を指定できてもよい。そのための一例として、制御部51は、各レーンの各収納本体部31において、在庫数が所定数未満(例えば各収納部35の最大収納数である100個の半分未満)の端数になった収納部35(以下「端数の収納部35」という。)のうち、在庫数が特に少ない収納部35(単数でも複数でもよい)を払出対象収納部に自動選択する。または、各個別表示部58は、タッチキーになっていて、係員は、在庫数が少ない収納部35に対応する個別表示部58をタッチ操作することによって、この収納部35を払出対象収納部に選択することができてもよい。これより、係員は、自分が所望する収納部35内の賞品Pが早く払い出されるように設定することができる。なお、係員は、賞品管理装置2の操作部5を操作することによって払出対象収納部を選択できてもよい。
制御部51は、払出対象収納部である収納部35に対応する個別表示部58に、この収納部35が払出対象収納部であることを表わす次払出表示マークMを表示する。次払出表示マークMは、図10に示すように在庫数表示部58Bのコーナーに表示される三角形のマークであってもよいし、図11に示すように個別表示部58を縁取る太枠であってもよい。制御部51は、このように次払出表示マークMを表示することによって、払出対象収納部についての情報を強調表示し、次の繰出払出処理では、払出対象収納部内の賞品Pから払出部49によって払出口13Cに払い出す。最新の次払出表示マークMは、少なくとも次の繰出払出処理が開始されるまでに表示される。この次払出表示マークMを見た係員は、次の繰出払出処理において、複数の収納部35のうち、払出対象収納部に該当する収納部35内の賞品Pがこれから払出部49に載って払出口13Cに払い出されることを把握できる。そのため、表示部18の表示に関して使い勝手の向上を図れる。
端数の収納部35が払出対象収納部である場合には、表示部18に強調表示された当該払出対象収納部についての情報(つまり、次払出表示マークM)を見た係員は、この収納部35内の賞品Pがこれから払出口13Cに払い出されることにより、この収納部35が早く空になることを把握できる。この場合には、端数の収納部35から順に空になるので、その後の補充処理において賞品Pの補充が容易になる。また、端数の収納部35を少なくすることができるので、係員は、閉店間際等において、補充処理を頻繁に繰り返して端数の収納部35間で賞品Pを抜き差ししていずれかの収納部35にまとめる手間を省くことができる。なお、収納部35に賞品Pが補充されると、この収納部35以外で賞品Pの収納数が端数になった収納部35からの賞品Pの払い出しが優先される。
各レーンにおける複数の収納部35において、賞品Pを払い出す優先順位を指定できてもよい。優先順位は、各収納部35の在庫数に基いて制御部51によって指定されてもよいし、係員による表示部18の操作によって指定されてもよい。また、係員が、最上位から所定順位までの優先順位を決定して、制御部51が、当該所定順位より下の残りの優先順位を決定してもよい。優先順位の決定の仕方として、端数の収納部35を上位にするパターンと、次の繰出払出処理で要求される賞品Pを最速で払い出せるように必要数以上の賞品Pを収容した収納部35を上位にするパターンとが挙げられる。制御部51は、優先順位を表わす優先順位表示マークNを、該当する個別表示部58に表示する。なお、各レーンにおける12個の収納部35に1位から12位までの優先順位が設定されてもよい。または、全てのレーンにおける36個の収納部35に1位から36位までの優先順位が設定されてもよい。もちろん、全ての収納部35に優先順位を設定する必要はない。図11では、一例として、レーン左には1位から4位までの優先順位が設定され、該当する4つの収納部35に対応する個別表示部58には、1位から4位までのいずれかの優先順位を表わす優先順位表示マークNが表示されている。最新の優先順位表示マークNは、少なくとも次の繰出払出処理が開始されるまでに表示される。
このように複数の収納部35において賞品Pの払い出す優先順位を指定できるので、指定された優先順位が最上位である収納部35から順に賞品Pの払い出されるように設定することができる。前述した払出対象収納部は、係員による表示部18の操作または制御部51によって、優先順位の最上位に設定される。そのため、優先順位が最上位である収納部35内の賞品Pが最先で払い出されるように設定することができる。また、係員は、優先順位が最上位である賞品Pがこれから払出口13Cに払い出されることを、表示部18における払出対象収納部についての情報(つまり、次払出表示マークMおよび優先順位表示マークN)によって把握できる。
係員が収納部35の払出対象収納部や優先順位を決定した場合、これらの設定情報は、決定した係員を特定するための識別情報と関連付けて記憶部52に記憶されてもよい。この場合、例えば、係員が、表示部18の操作によって自分の識別情報を入力してログインすると、制御部51は、この識別情報に対応する設定情報を記憶部52から取得する。そして、制御部51は、この設定情報に基く次払出表示マークMおよび優先順位表示マークNを、表示部18の在庫画面55において対応する個別表示部58に表示する。
前述した実施形態では、収納部35について払出対象収納部や優先順位が設定されるが、各収納ユニット12を1つの収納部とみなして、収納ユニット12について払出対象収納部や優先順位が設定されてもよい。その場合、払出対象収納部である収納ユニット12を指す次払出表示マークMは、例えば、対応する見出しキー57に表示される(図11において破線で示した次払出表示マークMを参照)。見出しキー57L、見出しキー57Cおよび見出しキー57Rは、装置本体11における収納ユニット12L、収納ユニット12Cおよび収納ユニット12Rの配置と同様に左右に並んで表示される。そのため、表示部18には、払出対象収納部についての情報である次払出表示マークMが、装置本体11における収納ユニット12の配置に合わせて表示される。
そのため、表示部18を見た係員は、装置本体11においてどの配置にある収納ユニット12内の賞品Pがこれから払出口13Cに払い出されるかを把握できる。さらに、係員は、これから賞品Pがどの払出口13Cから払い出されるかも把握できる。この場合、例えばレーン左から大賞品が払い出されてレーン中から中賞品が払い出されてレーン右から小賞品が払い出されるように表示部18において次払出表示マークMを表示させておけば、係員が意図する種類の賞品Pが、係員が意図する払出口13Cから払い出されるようにすることができる。そのため、係員は、払い出された賞品Pを、間違えなく遊技客に受け渡すことができるので、係員の精神的負担を低減できる。以上により、表示部18の表示に関して使い勝手の向上を図れる。また、収納ユニット12における各収納本体部31を1つの収納部とみなして、収納本体部31について払出対象収納部や優先順位が設定されてもよい。
また、在庫画面55において各収納本体部31に対応する6つの個別表示部58のそれぞれの表示位置は、収納部35の周回移動に応じてずれるように変化してもよい。この場合、各個別表示部58の表示位置と、収納ユニット12内で対応する収納部35の実際の位置(周回方向Rの位置)とが対応している。このような表示方法において、例えば上方の所定位置(当該6つのうち上端左寄りの個別表示部58と同じ位置)に表示される個別表示部58に対応する収納部35を払出対象収納部に設定してもよい。この場合、払出対象収納部の表示位置に、次払出表示マークMが表示される。次払出表示マークMの別の例として、払出対象収納部に対応する個別表示部58の表示色を、他の個別表示部58の表示色と異ならせてもよい。
図12は、本発明の変形例に係る賞品払出システム1の概念図である。変形例に係る賞品払出システム1は、複数(例えば3台)の賞品管理装置2と、各賞品管理装置2に1対1で対応する複数(ここでは3台)の賞品払出装置3とを含む。3台の賞品管理装置2のそれぞれは、第1POS2Aと、第2POS2Bと、第3POS2Cとに区別される。これらの賞品管理装置2は、LAN等を介して通信可能に接続されていて、どれかを親機として残りを子機とすることによって親子関係を構成してもよい。3台の賞品払出装置3のそれぞれは、第1払出機3Aと、第2払出機3Bと、第3払出機3Cとに区別される。これらの賞品払出装置3は、LAN等を介して通信可能に接続されおり、賞品管理装置2と同様に親子関係を構成してもよい。第1POS2Aと第1払出機3Aとは、LAN等を介して通信可能に接続されている。第2POS2Bと第2払出機3Bとは、LAN等を介して通信可能に接続されている。第3POS2Cと第3払出機3Cとは、LAN等を介して通信可能に接続されている。
賞品払出装置3は、賞品払出装置3内での処理に関する様々な異常(エラー)を検出する異常検出部60を含む。異常検出部60は、賞品払出装置3内における賞品Pの移動経路の近傍等に配置される公知のセンサであって、単数または複数存在して、制御部51に対して電気的に接続されている(図6参照)。例えば、第1POS2Aから払出指示を受け付けた第1払出機3Aにおいて、払出処理中に異常が発生したとする。この異常の発生時において、第1払出機3Aの制御部51は、以下の条件1〜3が満たされるか否かを確認する。
・条件1:現在の払出処理において取引不成立のレーン、つまり未払いの賞品Pが存在しないこと。
・条件2:発生した異常が個々の収納ユニット12(レーン)についての異常であり、正常な収納ユニット12が他に存在すること。つまり、この異常によって、正常な収納ユニット12による払出処理に影響が与えられないこと。
・条件3:正常な収納ユニット12に賞品Pの在庫が存在すること。
異常の発生時にこれらの条件1〜3が全て満たされる場合には、第1払出機3Aでは、正常な収納ユニット12による縮退運転によって次の払出処理が可能である。また、取引中にいずれかのレーンにて異常が発生しても、賞品Pの払い出しが可能な別のレーンつまり正常な収納ユニット12が代わりに賞品Pを払い出すことによって取引が成立すれば、条件1は満たされる。また、複数のレーンにおいて異常が発生していても、正常な収納ユニット12が1つでも存在すれば、条件2は満たされる。
現在の払出処理中での異常の発生時に条件1〜3の少なくともいずれかが満たされない場合、つまり、縮退運転ができない場合には、第1払出機3Aでは、取引不成立の状態にあって、未払いの賞品Pが存在する。そこで、異常の発生直後または当該払出処理後に、第1払出機3Aの制御部51が、図13に示す通知画面61を、表示部18において、例えば在庫画面55上にポップアップ表示する。通知画面61には、異常の種類を示すエラーコード62(図13では「E−0001」)と、係員向けの案内文63と、エラー解除キー64およびどこでも払出キー65という2つのタッチキーとが表示されている。
エラーを直ちに解除したい場合、係員は、エラー解除キー64にタッチする。すると、制御部51は、解除画面(図示せず)を表示部18に切替表示する。係員は、この解除画面に沿ってエラーを解除する。エラーの解除を後回しにして、未払いの賞品Pを他の賞品払出装置3(つまり第2払出機3Bや第3払出機3C)での振替払出によって払い出したい場合、係員は、どこでも払出キー65にタッチする。すると、制御部51は、図14に示す振替先選択画面66を表示部18に切替表示する。
振替先選択画面66には、係員向けの案内文67と、振替先として選択できる他の賞品払出装置3に1つずつ対応するタッチキーである選択キー68とが表示されている。係員は、第2払出機3Bでの振替払出を所望する場合には、第2払出機3Bに対応する選択キー68にタッチする。すると、第1払出機3Aの制御部51は、未払いの賞品Pの種類および個数についての情報を、振替払出要求として第2払出機3Bに通知する。振替払出要求を受けた第2払出機3Bが待機中であれば、第2払出機3Bでは、振替払出として、未払いの賞品Pの種類および個数について繰出払出処理が実行される。
未払いの賞品Pのうち、第1払出機3Aの払出部49上に既にあって払出処理まで実行できる状態にある賞品P(複数のレーンから一度に払い出される場合において正常なレーンにある賞品P)については、第1払出機3Aから払い出されて、残りの賞品Pが第2払出機3Bから振替払出されてもよい。または、第1払出機3Aの制御部51は、当該残りの賞品Pについての情報を第1POS2Aに通知してもよい。第1POS2Aは、当該残りの賞品Pをあらためて払い出すためのレシートである保留券を発行する。保留券を受け取った係員または遊技客は、保留券を他の賞品管理装置2で処理してもらうことによって、当該残りの賞品Pを第1払出機3A以外の賞品払出装置3から払い出してもらうことができる。
第2払出機3Bにおいて振替払出を正常に完了すると、第2払出機3Bの制御部51は、その旨を第1払出機3Aに通知する。通知を受けた第1払出機3Aの制御部51は、前述した解除画面(図示せず)を表示部18に切替表示する。そのため、係員は、第1払出機3Aでのエラーの解除に専念できる。
一方、振替払出要求を受けた第2払出機3Bが待機中でなければ(つまり取引中であれば)、第2払出機3Bの制御部51は、振替払出ができない旨を第1払出機3Aに通知する。この場合、通知を受けた第1払出機3Aの制御部51は、通知画面61を表示部18に切替表示する。または、振替払出要求を受けた第2払出機3Bの制御部51は、振替払出ができない旨を第1払出機3Aに通知せずに保留して、第2払出機3Bにおける現在の取引の終了後に、係員による指示に応じて、振替払出を実行してもよいし、振替払出ができない旨を第1払出機3Aに通知してもよい。振替払出ができない旨が通知された第1払出機3Aでは、振替先選択画面66が表示部18に引き続き表示されてもよく、その場合、係員は、第2払出機3Bでなく、第3払出機3Cにおいて振替払出が実行されるように、第3払出機3Cに対応する選択キー68にタッチする。
このように振替払出が実行できる場合には、各賞品管理装置2で管理される賞品Pの在庫データと、各賞品払出装置3で管理される賞品Pの在庫データとに食い違いがないようにする必要がある。以下では、そのための方法について、図15の表を見ながら説明する。
図15の「取引前」の欄を参照して、例えば、特定の種類の賞品Pについて、第1払出機3Aでは、在庫数が100個であることが記憶され、その日において今まで払い出した賞品Pの個数(以下「払出日計」という)が20個であることが記憶されているとする。これに応じて、第1払出機3Aに対応する第1POS2Aでは、第1払出機3Aについて在庫数が100個であって払出日計が20個であることが記憶されている。そして、第2払出機3Bでは、在庫数が100個であることが記憶され、払出日計が20個であることが記憶されているとする。これに応じて、第2払出機3Bに対応する第2POS2Bでは、第2払出機3Bについて在庫数が100個であって払出日計が20個であることが記憶されている。この場合、第1払出機3Aおよび第2払出機3Bが管理する在庫データの合計である払出機合算値について、在庫数は200個(=100+100)であって払出日計は40個(=20+20)である。同様に、第1POS2Aおよび第2POS2Bが管理する在庫データの合計であるPOS合算値について、在庫数は200個(=100+100)であって払出日計は40個(=20+20)である。
例えば、第1POS2Aが、新たな取引のために10個の賞品Pを払い出すよう第1払出機3Aに払出指示を送ったものの、第1払出機3Aでエラーが発生したことにより、この10個の賞品Pが第2払出機2Bにて振替払出されたとする。すると、図15の「取引後」の欄を参照して、第1POS2Aでは、第1払出機3Aに払出指示を送ったことに応じて、在庫数が90個(=100−10)に更新されて、払出日計が30個(=20+10)に更新される。払出指示を受け取ったものの賞品Pを払い出せなかった第1払出機3Aでは、在庫数および払出日計は取引前と変わらない。この取引のために第2払出機3Bに払出指示を送っていない第2POS2Bでも、在庫数および払出日計は取引前と変わらない。振替払出を実行した第2払出機2Bでは、在庫数が90個(=100−10)に更新されて、払出日計が30個(=20+10)に更新される。取引後のPOS合算値および払出合算値は、在庫数(190個)および払出日計(50個)のそれぞれについて一致する。そのため、賞品管理装置2および賞品払出装置3のそれぞれについて親子で合算した場合には、在庫データである在庫数および払出日計のそれぞれに食い違いは生じない。しかし、在庫数および払出日計のそれぞれは、第1POS2Aと第1払出機3Aとの間では一致せず、第2POS2Bと第2払出機3Bとの間でも一致しない。
そこで、振替払出を依頼した第1払出機3Aと、振替払出を実行した第2払出機3Bとでは、振替払出に係る賞品Pの個数が、振替個数(今回の説明では10個)として管理され、在庫POSというデータと、払出日計POSというデータとが管理される。在庫POSは、振替払出がなかった場合に第1POS2Aおよび第2POS2Bのそれぞれで管理されているはずの在庫数である。払出日計POSは、振替払出がなかった場合に第1POS2Aおよび第2POS2Bのそれぞれで管理されているはずの払出日計である。
第1払出機3Aの制御部51は、第1払出機3Aの在庫数から振替個数を差し引くことによって、在庫POS(90=100−10)を算出し、第1払出機3Aの払出日計に振替個数を加算することによって、払出日計POS(30=20+10)を算出する。逆に、第2払出機3Bの制御部51は、第2払出機3Bの在庫数に振替個数を加算することによって、在庫POS(100=90+10)を算出し、第2払出機3Bの払出日計から振替個数を差し引くことによって、払出日計POS(20=30−10)を算出する。振替払出が完了したタイミング等において、第1払出機3Aおよび第2払出機3Bでは、振替個数、在庫POSおよび払出日計POSが記載されたレシートが係員に発行されたり、表示部18に表示されたりしてもよい。係員は、閉店後等の集計作業の際、このレシートを参照できる。
このように、第1POS2Aと第1払出機3Aとの間では、振替払出によって在庫数および払出日計のそれぞれが一致しなくても、第1POS2Aの在庫数と第1払出機3Aの在庫POSとが一致し、かつ、第1POS2Aの払出日計と第1払出機3Aの払出日計POSとが一致すれば、在庫データの辻褄を合わせることができる。第2POS2Bと第2払出機3Bとの間でも同様である。
振替払出は、第1払出機3Aと第2払出機3Bとの間で成立する処理なので、第1POS2Aおよび第2POS2Bは、振替払出について関知しない。そのため、原則として、第1払出機3Aにおける実際の在庫数および払出日計は、第1POS2Aには通知されないし、第2払出機3Bにおける実際の在庫数および払出日計は、第2POS2Bには通知されない。しかし、前述した振替払出要求が賞品管理装置2間でやりとりされて、振替払出要求を受けた賞品管理装置2が、対応する配下の賞品払出装置3に振替払出の実行を指示してもよい。この場合には、振替個数、在庫POSおよび払出日計POSといったデータを用いなくても、賞品管理装置2と、対応する賞品払出装置3との間では、在庫数および払出日計のそれぞれが振替払出の前後で一致する。
賞品払出装置3から払い出された賞品Pを受け取った遊技客が、タバコ等の一般賞品に心変わりして、交換済の賞品Pを返品することがある。すると、受付カウンターCの係員は、賞品Pの返品処理を行う。具体的には、係員は、まず、賞品管理装置2の操作部5を操作して、賞品Pの返品があった旨を入力する。この入力内容には、返品された賞品Pの種類および個数に関する情報が含まれる。賞品管理装置2は、入力内容を記したレシートを発行してもよい。係員は、集計作業の際に、このレシートを参照できる。
次に、係員は、返品先の賞品払出装置3の表示部18のメニューキー56(図8参照)にタッチする。すると、制御部51は、図16に示すメニュー選択画面70を表示部18に表示する。メニュー選択画面70には、選択できる処理に対応する複数のタッチキー71と、ひとつ前の画面に戻るためにタッチされる戻るキー72が表示されている。これらのタッチキー71のうち、仕入れ確定キー71Aは、問屋から仕入れて賞品払出装置3に入庫する際に仕入れ分の賞品Pを確認するためにタッチされ、集計キー71Bは、集計作業を開始するためにタッチされ、履歴キー71Cは、賞品払出装置3における様々な履歴を閲覧するためにタッチされる。また、設定キー71Dは、賞品払出装置3において様々な設定を行うためにタッチされる。
係員は、賞品Pを賞品払出装置3に返品するために、返品補充キー71Eにタッチする。すると、制御部51は、図17に示す返品先選択画面74を表示部18に表示する。この実施形態における返品先選択画面74の内容は、前述した在庫画面55(図8参照)の内容とほぼ同じである。係員は、返品先のレーンを選択して、そのレーンに対応する見出しキー57にタッチする。すると、制御部51は、補充処理の一環としてロック機構20を作動させて、このレーンの収納ユニット12のロックを解除するので、係員は、この収納ユニット12を引き出して、収納ユニット12内のいずれかの収納部35に賞品Pを返品し、収納ユニット12を収容位置まで戻す。これに応じて、制御部51は、識別計数処理を実行する。
識別計数処理により、返品後の賞品払出装置3における賞品Pの在庫データが更新される。制御部51は、識別計数処理の前後における在庫データの違いから、返品された賞品Pの種類および個数を特定し、記憶部52に記憶する。返品された賞品Pの個数(以下「返品補充数」という)は、補充数として扱われるが、仕入れ数として扱われない。補充数は、最新の在庫数と一致する。補充数から返品補充数を差し引いた値が仕入れ数である。そのため、返品後に係員が仕入れ確定キー71A(図16参照)にタッチすると、制御部51は、識別計数処理を実行し、その結果を、図18に示すように表示部18に表示する。表示部18では、識別計数処理の結果が、仕入れ数と補充数と返品補充数(図18では大賞品1個)とに分けて表示される。係員は、識別計数処理の結果とともに表示されたタッチキーである印字キー73にタッチすると、この結果が記載されたレシートが賞品払出装置3から発行される。
識別計数処理の結果のうち、少なくとも仕入れ数は、賞品払出装置3から賞品管理装置2に通知される。返品補充数は、仕入れ数に含まれないので、賞品管理装置2で管理される仕入れ数に誤差が生じることを防止できる。識別計数処理の結果は、賞品管理装置2から、さらに上位の装置に通知されてもよい。前述したように複数の賞品管理装置2と、各賞品管理装置2に1対1で対応する複数の賞品払出装置3とを含む賞品払出システム1(図12参照)において、第1POS2Aが親機として機能して残りの賞品管理装置2が子機として機能し、第2払出機3Bおよび第3払出機3Cのそれぞれから子機経由で親機に仕入れ数が通知される場合を想定する。この場合において、所定期間内に複数の賞品払出装置3から親機に仕入れ数が通知された場合には、親機の制御部は、これらの仕入れ数を同一の入庫処理によるものとしてまとめて管理してもよい。この場合、これらの仕入れ数をまとめたリストが親機から出力されてもよい。
返品補充キー71Eは、メニュー選択画面70(図16参照)に常に表示されなくてもよい。その場合、係員による賞品管理装置2の操作部5の操作によって、返品される賞品Pの情報が返品先の賞品払出装置3に通知された場合にのみ、返品補充キー71Eがメニュー選択画面70に表示される。そして、賞品払出装置3内への賞品Pの返品に伴う識別計数処理の終了後に、前述した返品補充数が賞品払出装置3から賞品管理装置2に通知される。そのため、賞品管理装置2では、賞品払出装置3に通知した情報(返品すべき賞品Pの情報)と、賞品払出装置3から通知された返品補充数(返品された賞品Pの情報)とを照合することによって、賞品Pが正しく賞品払出装置3に戻されたか否かをチェックできる。
例えば、前述した在庫画面55(図8参照)が表示部18に表示された状態において、係員が、これから引き出したい収納ユニット12に対応する見出しキー57にタッチすると、制御部51は、選択された収納ユニット12についてのロック機構20によるロックを解除する。このとき、制御部51は、図19に示す補充画面75を、表示部18においてメニューキー56よりも下側の領域に表示する。補充画面75が表示された表示部18には、ロックが解除された収納ユニット12がどれであるかを示すメッセージ76が表示される。
補充画面75における例えば略左半分の領域には、ロックが解除された収納ユニット12内の各収納部35における賞品Pの種類および在庫数が示された個別表示部77が表示されている。個別表示部77は、前述した個別表示部58と同様であり、収納ユニット12内の収納部35と同数(つまり12個)存在し、補充画面75において、前収納本体部31Aおよび後収納本体部31Bに応じて、6個ずつにまとまって表示されている。前述した補充口(1)〜(4)に現在位置している収納部35がどれであるかを示す位置表示部78が、該当する個別表示部77に隣接して表示されている。
補充画面75における例えば略右半分の領域には、補充口(1)〜(4)に応じた4つの補充情報表示部79が表示されている。各補充情報表示部79には、補充口(1)〜(4)において対応する1つの補充口を示す位置情報79Aと、対応する補充口に現在位置している収納部35に補充すべき賞品Pの種類についての種類情報79Bとが表示されている。返品補充キー71Eは、メニュー選択画面70(図16参照)でなく、補充画面75に表示されてもよい。
賞品Pの返品履歴を確認したい場合、係員は、メニュー選択画面70の履歴キー71C(図16参照)にタッチする。すると、制御部51は、図20に示す履歴選択画面80を表示部18に表示する。履歴選択画面80には、選択できる履歴の種類を示す複数のタッチキー81と、前述した戻るキー72とが表示されている。これらのタッチキー81のうち、取引履歴キー81Aは、取引つまり操出払出処理の履歴を確認するためにタッチされ、仕入れ履歴キー81Bは、賞品Pの仕入れの履歴を確認するためにタッチされる。また、操作履歴キー81Cは、賞品払出装置3の操作履歴を確認するためにタッチされ、エラー履歴キー81Dは、賞品払出装置3で発生したエラーの履歴を確認するためにタッチされる。
賞品Pの返品履歴を確認したい係員は、補充履歴キー81Eにタッチする。すると、制御部51は、図21に示す補充履歴一覧画面82を表示部18に切替表示する。補充履歴一覧画面82には、補充処理が実行されたときの日付および時刻と、担当した係員の名前等が補充処理毎に時系列で羅列されている。補充履歴一覧画面82において、賞品Pの返品に関連する補充処理の履歴には、賞品Pの返品が行われたことを示すタッチキーである返品内容確認キー83が表示される。
係員が返品内容確認キー83にタッチすると、制御部51は、図22に示す賞品別詳細画面84、または、図23に示すケース別詳細画面85を表示部18に切替表示する。賞品別詳細画面84には、返品された賞品Pの種類および個数を示す情報(図22では大賞品1個)と、この返品が行われた日時および担当者名と、前述した戻るキー72および印字キー73とが表示されている。ケース別詳細画面85には、在庫画面55(図8参照)の個別表示部58と同様の個別表示部86と、返品が行われた日時および担当者名と、戻るキー72および印字キー73とが表示されている。ケース別詳細画面85を見ると、どのケース(つまり収納部35)にどの種類および個数の賞品Pが返却されたかを把握できる。図23では、レーン中の後収納本体部31Bにおける1つの収納部35に大賞品1個が返品されたことが表示されている。
賞品別詳細画面84およびケース別詳細画面85のそれぞれには、賞品別詳細画面84を表示させるためにタッチされるタブ87Aと、ケース別詳細画面85を表示させるためにタッチされるタブ87Bとが表示されている。係員が賞品別詳細画面84およびケース別詳細画面85のそれぞれの印字キー73にタッチすると、賞品別詳細画面84およびケース別詳細画面85において対応する方の表示内容(特に返品内容の詳細)を記載したレシートが賞品払出装置3から発行される。
前述したように、賞品払出装置3における3つの収納ユニット12において、一度に引き出させる収納ユニット12は、1つだけである。1つの収納ユニット12が引き出されている間は、残り2つの収納ユニット12は、ロック機構20によって収容位置でロックされている。そのため、2つ以上の収納ユニット12が一度に引き出されることは原則としてあり得ない。しかし、ロック機構20の故障等が想定される。そこで、ロック機構20が故障しても一度に収納ユニット12が1つしか引き出せないようにマニュアルロックするための引出防止機構90が賞品払出装置3に備えられている。以下では、引出防止機構90の第1例および第2例について説明する。なお、この実施形態では、収納ユニット12が3つ設けられているが、収納ユニット12が2つである場合や、収納ユニット12が4つ以上設けられた場合にも、引出防止機構90を適用できる。
図24は、第1例に係る引出防止機構90およびその周辺の模式的な斜視図である。収納ユニット12を載せて前後にスライドする3つのスライド部19のうち、左端のスライド部19をスライド部19Lといい、真ん中のスライド部19をスライド部19Cといい、右端のスライド部19をスライド部19Rという。スライド部19Lに収納ユニット12Lが載せられ、スライド部19Cに収納ユニット12Cが載せられ、スライド部19Rに収納ユニット12Rが載せられている。前後方向Yに細長く延びるガイド板91が、スライド部19Lにおける右の脚部19Bの上端部、スライド部19Cにおける左右の脚部19Bの上端部、スライド部19Rにおける左の脚部19Bの上端部にそれぞれ設けられている(後述する図25も参照)。各ガイド板91は、対応するスライド部19から左右方向Xの外側へ張り出していて、各ガイド板91の前端は、脚部19Bの前端よりも後側Y2にずれて配置されている。また、少なくともスライド部19Cでは、左右の脚部19Bのそれぞれにおいて、脚部19Bの前端部と後端部との間を切り欠いた開口19Dが形成されている。
第1例に係る引出防止機構90は、左右一対の回動部材92と、これらの回動部材92を連結する連結部材93とを含み、装置本体11の底壁11Cの前端部上に設けられている。スライド部19のガイド板91を引出防止機構90の一部とみなしてもよい。図24に示すように全ての収納ユニット12が収容位置にある状態を基準として、左の回動部材92Lは、スライド部19Lの前端部とスライド部19Cの前端部との間に配置され、右の回動部材92Rは、スライド部19Rの前端部とスライド部19Cの前端部との間に配置されている。回動部材92Lを参照して、各回動部材92は、図24では前後方向Yに延びるベース部92Aと、ベース部92Aの前端から立ち上がった縦板部92Bと、縦板部92Bの上端から左側X1へ延びる左アーム部92Cと、縦板部92Bの上端から右側X2へ延びる右アーム部92Dとを含む。
ベース部92Aの前端と後端の間の途中部には、装置本体11の底壁11Cから上側Z1へ延びた回動軸94の上端がつながっている。回動部材92の全体は、回動軸94まわりに左右に回動可能である。ベース部92Aの後端部には、上側Z1へ突出した連結軸95が設けられている。図24の状態を基準として、左アーム部92Cは、左前側へ斜めに延びてから屈曲して左側X1へ延びていて、右アーム部92Dは、右前側へ斜めに延びてから屈曲して右側X2へ延びている。左アーム部92Cと右アーム部92Dとは左右対称に構成されている。左アーム部92Cの左端部および右アーム部92Dの右端部のそれぞれには、ベアリング等によって構成されて縦軸まわりに回転可能なローラ96が取り付けられている。左アーム部92Cに設けられたローラ96の外周部の少なくとも一部は、左アーム部92Cの左端よりも左側X1にはみ出している。右アーム部92Dに設けられたローラ96の外周部の少なくとも一部は、右アーム部92Dの右端よりも右側X2にはみ出している。
連結部材93は、左右の細長い板状であり、その左右の両端部には、左右に長い長穴93Aが連結部材93を上下方向Zに貫通して設けられている。スライド部19Lのベース部92Aの連結軸95が、連結部材93の左端部の長穴93Aに遊びを持って嵌め込まれていて、スライド部19Rのベース部92Aの連結軸95が、連結部材93の右端部の長穴93Aに遊びを持って嵌め込まれている。連結部材93において左右の長穴93Aの間の部分は、スライド部19Cの左右の脚部19Bの開口19Dを通って、このスライド部19Cの板部19Aの下側Z2に配置されている。連結部材93は、各回動部材92の左アーム部92Cおよび右アーム部92Dとは同一平面上に存在せず、これらのアーム部よりも低い位置に配置されている。
次に、第1例に係る引出防止機構90の動きについて説明する。図25に示すように3つ全ての収納ユニット12が収容位置にある場合、回動部材92Lでは、左アーム部92Cが、スライド部19Lのガイド板91の前端に前側Y1から接触しており、右アーム部92Dが、スライド部19Cにおける左のガイド板91の前端に前側Y1から接触している。また、回動部材92Rでは、左アーム部92Cが、スライド部19Cにおける右のガイド板91の前端に前側Y1から接触しており、右アーム部92Dが、スライド部19Rのガイド板91の前端に前側Y1から接触している。これにより、全ての収納ユニット12が収容位置においてロックされている。
全ての収納ユニット12が収容位置にある状態において、例えば収納ユニット12Lを引き出そうとすると、回動部材92Lの左アーム部92Cがスライド部19Lのガイド板91の前端に押されることによって、図26に示すように回動部材92Lが平面視で反時計回りに収納ユニット12C側へ回動する。このとき、回動部材92Lの回動が連結部材93を介して回動部材92Rに伝わるので、回動部材92Rが平面視で反時計回りに収納ユニット12R側へ回動する。なお、回動部材92Lおよび回動部材92Rの円滑な連動を邪魔しないように、連結部材93は、ばね等の弾性部材を含んで左右に伸縮可能であってもよい。このように回動部材92Lが回動すると、回動部材92Lの左アーム部92Cがスライド部19Lのガイド板91の前端から右側X2へ外れるので、収納ユニット12Lの引き出しが可能になる。収納ユニット12Lのスライド中には、回動部材92Lの左アーム部92Cにおけるローラ96がスライド部19Lのガイド板91の側面に沿って回転するので、収納ユニット12Lのスライドが邪魔されない。
一方、回動部材92Rの左アーム部92Cがスライド部19Cにおける右のガイド板91の前端から右側X2へ外れるものの、回動部材92Lの右アーム部92Dがスライド部19Cにおける左のガイド板91の前端に引き続き接触し、かつ、回動部材92Rの右アーム部92Dがスライド部19Rのガイド板91の前端に引き続き接触している。そのため、収納ユニット12L以外の収納ユニット12Cおよび12Rは、引き続き収容位置においてロックされている。
全ての収納ユニット12が収容位置にある状態(図25参照)において、例えば収納ユニット12Cを引き出そうとすると、回動部材92Lの右アーム部92Dがスライド部19Cにおける左のガイド板91の前端に押されることによって、図27に示すように回動部材92Lが平面視で時計回りに収納ユニット12L側へ回動する。このとき、回動部材92Rの左アーム部92Cがスライド部19Cにおける右のガイド板91の前端に押されることによって、回動部材92Rが平面視で反時計回りに収納ユニット12R側へ回動する。なお、各回動部材92において連結部材93の長穴93A内に遊びを持って嵌った連結軸95は、連結部材93に接触しないので、回動部材92Lおよび回動部材92Rの一方の回動が連結部材93を介して他方に伝わらない(図24参照)。
このように回動部材92Lおよび回動部材92Rが逆向きに回動すると、回動部材92Lの右アーム部92Dがスライド部19Cにおける左のガイド板91の前端から左側X1へ外れ、回動部材92Rの左アーム部92Cがスライド部19Cにおける右のガイド板91の前端から右側X2へ外れるので、収納ユニット12Cの引き出しが可能になる。収納ユニット12Cのスライド中には、回動部材92Lの右アーム部92Dのローラ96および回動部材92Rの左アーム部92Cのローラ96が、スライド部19Cにおいて対応するガイド板91の側面に沿って回転するので、収納ユニット12Cのスライドが邪魔されない。
一方、回動部材92Lの左アーム部92Cがスライド部19Lのガイド板91の前端に引き続き接触し、かつ、回動部材92Rの右アーム部92Dがスライド部19Rのガイド板91の前端に引き続き接触している。そのため、収納ユニット12C以外の収納ユニット12Lおよび12Rは、引き続き収容位置においてロックされている。
全ての収納ユニット12が収容位置にある状態(図25参照)において、例えば収納ユニット12Rを引き出そうとすると、回動部材92Rの右アーム部92Dがスライド部19Rのガイド板91の前端に押されることによって、図28に示すように回動部材92Rが平面視で時計回りに収納ユニット12C側へ回動する。このとき、回動部材92Rの回動が連結部材93を介して回動部材92Lに伝わるので、回動部材92Lが平面視で時計回りに収納ユニット12L側へ回動する。すると、回動部材92Rの右アーム部92Dがスライド部19Rのガイド板91の前端から左側X1へ外れるので、収納ユニット12Rの引き出しが可能になる。収納ユニット12Rのスライド中には、回動部材92Rの右アーム部92Dにおけるローラ96がスライド部19Rのガイド板91の側面に沿って回転するので、収納ユニット12Rのスライドが邪魔されない。
一方、回動部材92Lの右アーム部92Dがスライド部19Cにおける左のガイド板91の前端から左側X1へ外れるものの、回動部材92Rの左アーム部92Cがスライド部19Cにおける右のガイド板91の前端に引き続き接触し、かつ、回動部材92Lの左アーム部92Cがスライド部19Lのガイド板91の前端に引き続き接触している。そのため、収納ユニット12R以外の収納ユニット12Lおよび12Cは、引き続き収容位置においてロックされている。
図29は、第2例に係る引出防止機構90およびその周辺の模式的な斜視図である。第2例の場合、各スライド部19には、第1例におけるガイド板91および開口19Dは設けられておらず、代わりに、左右の脚部19Bの下端部間に架設されて左右に細長く延びるブロック状のガイド部材100が設けられている。
ガイド部材100には、その前面100Aの左端から左の脚部19Bの左端まで左後側へ傾斜して延びる左ガイド面100Bと、前面100Aの右端から右の脚部19Bの右端まで右後側へ傾斜して延びる右ガイド面100Cとが設けられている。前面100Aは、上下が逆になった凸形状である。前面100Aの下端部は、凸形状の先端部として左右に延びるロック面100Dを構成している。ガイド部材100の下端部における左右の両端部には、ガイド部材100を前後方向Yに貫通した切欠き100Eが1つずつ形成されている。左右の切欠き100Eの間にロック面100Dが配置されている。各スライド部19の左右の脚部19Bのそれぞれの下面には、対応する切欠き100Eから連続して後側Y2へ延びるガイド溝19Eが形成されている。左の脚部19Bのガイド溝19E(図示せず)は、ガイド部材100における左の切欠き100Eから連続していて、この切欠き100Eとともに左側X1へ開放されている。右の脚部19Bのガイド溝19Eは、ガイド部材100における右の切欠き100Eから連続していて、この切欠き100Eとともに右側X2へ開放されている。
第2例に係る引出防止機構90は、左右一対のロック部材101と、これらのロック部材101の間に配置された左右一対のスライド部材102とを含み、装置本体11の底壁11Cの前端面11Dに取り付けられている。第2例に係る引出防止機構90は、完成品の賞品管理装置2に後付けすることができる。各スライド部19に設けられたガイド部材100を引出防止機構90の一部とみなしてもよい。
図29に示すように全ての収納ユニット12が収容位置にある状態を基準として、正面視において、左のロック部材101Lは、スライド部19Lとスライド部19Cとの間に配置され、右のロック部材101Rは、スライド部19Rとスライド部19Cとの間に配置されている。ロック部材101Lを参照して、各ロック部材101は、左右に細長いボックス部101Aと、ボックス部101A内の中央に固定された例えばブロック状の受け部101Bと、ボックス部101Aの左端から左側X1へ延びる左アーム部101Cと、ボックス部101Aの右端から右側X2へ延びる右アーム部101Dとを含む。
ボックス部101Aの内部空間は、少なくとも後側Y2および下側Z2のそれぞれへ開放されている。ボックス部101Aの上面の左端部および右端部のそれぞれには、ベアリング等によって構成されて縦軸まわりに回転可能なローラ103が取り付けられている。左のローラ103の外周部の少なくとも一部は、ボックス部101Aの左端よりも左側X1にはみ出している。右のローラ103の外周部の少なくとも一部は、ボックス部101Aの右端よりも右側X2にはみ出している。
装置本体11の底壁11Cの前端面11Dには、左右方向Xから受け部101Bを挟む一対の支持部11Eが設けられている。支持部11Eは、左右のロック部材101に応じて二対存在する。受け部101Bと、その左隣の支持部11Eとは、ばね等の弾性部材104によってつながっている。受け部101Bと、その右隣の支持部11Eとは、別の弾性部材104によってつながっている。これにより、各ロック部材101は、左右方向Xにスライド可能に装置本体11の底壁11Cによって支持されている。そして、各ロック部材101は、図29に示す中立位置に配置されるように弾性部材104によって左右方向Xに付勢されている。ロック部材101が中立位置にある状態では、受け部101Bを挟む2つの弾性部材104による付勢力は釣り合っている。
左アーム部101Cは、例えば、ボックス部101Aの左端から左側X1へ延びてから後側Y2へ折れ曲がり、さらに上側Z1へ折れ曲がっている。上側Z1へ折れ曲がった部分は、左アーム部101Cの先端部である。右アーム部101Dは、例えば、ボックス部101Aの右端から右側X2へ延びてから後側Y2へ折れ曲がり、さらに上側Z1へ折れ曲がっている。上側Z1へ折れ曲がった部分は、右アーム部101Dの先端部である。
左右のスライド部材102は、正面視では、左右方向Xにおいてスライド部19Cと同じ位置にある。ただし、スライド部材102は、スライド部19Cよりも低い位置にあるので、スライド部19Cのスライドを邪魔しない。これらのスライド部材102は、左右に並んだ状態で、左右のロック部材101をつないでいる。なお、スライド部材102は、2つ存在しなくてもよく、この場合、左右のロック部材101をつなぐ長さを有する1本の棒であってもよい。各スライド部材102は、装置本体11の底壁11Cの前端面11Dによって左右方向Xにスライド可能に支持されている。
次に、第2例に係る引出防止機構90の動きについて説明する。図30に示すように3つ全ての収納ユニット12が収容位置にある場合、中立位置にあるロック部材101Lでは、左アーム部101Cの先端部が、スライド部19Lのガイド部材100のロック面100Dの右端部に前側Y1から接触しており、右アーム部101Dの先端部が、スライド部19Cのガイド部材100のロック面100Dの左端部に前側Y1から接触している。また、中立位置にあるロック部材101Rでは、左アーム部101Cの先端部が、スライド部19Cのガイド部材100のロック面100Dの右端部に前側Y1から接触しており、右アーム部101Dの先端部が、スライド部19Rのガイド部材100のロック面100Dの左端部に前側Y1から接触している。これにより、全ての収納ユニット12が収容位置においてロックされている。なお、この状態において、左アーム部101Cおよび右アーム部101Dのそれぞれの先端部は、ロック面100Dに接触している必要はなく、図30に示すように、収納ユニット12が収容位置からほとんど前進できない程度の僅かな隙間を隔ててロック面100Dに対向していればよい。なお、図30以降の各図では、この隙間を誇張して示している。
各ロック部材101が中立位置にあるとき、ロック部材101Lにおける左のローラ103は、スライド部19Lのガイド部材100の右ガイド面100Cに前側Y1から対向している。また、ロック部材101Lにおける右のローラ103は、スライド部19Cのガイド部材100の左ガイド面100Bに前側Y1から対向している。また、ロック部材101Rにおける左のローラ103は、スライド部19Cのガイド部材100の右ガイド面100Cに前側Y1から対向している。また、ロック部材101Rにおける右のローラ103は、スライド部19Rのガイド部材100の左ガイド面100Bに前側Y1から対向している。
このように全ての収納ユニット12が収容位置にある状態において、例えば収納ユニット12Lを引き出そうとすると、ロック部材101Lにおける左のローラ103がスライド部19Lのガイド部材100の右ガイド面100Cに押される。これにより、図31に示すようにロック部材101Lが中立位置から右側X2へスライドする。これに応じて、スライド部材102も右側へスライドし、ロック部材101Rも中立位置から右側X2へスライドする。このようにロック部材101Lがスライドすると、ロック部材101Lの左アーム部101Cの先端部がスライド部19Lのガイド部材100のロック面100Dから右側X2へ外れるので、収納ユニット12Lの引き出しが可能になる。収納ユニット12Lのスライド中には、この左アーム部101Cは、ガイド部材100における右の切欠き100Eや、スライド部19Lの右の脚部19Bのガイド溝19Eに通される。また、ロック部材101Lにおける左のローラ103が当該右の脚部19Bの側面に沿って回転する。これにより、収納ユニット12Lのスライドが邪魔されない。
一方、ロック部材101Rの左アーム部101Cの先端部がスライド部19Cのガイド部材100のロック面100Dから右側X2へ外れるものの、ロック部材101Lの右アーム部101Dの先端部がスライド部19Cのガイド部材100のロック面100Dに引き続き接触し、かつ、ロック部材101Rの右アーム部101Dの先端部がスライド部19Rのガイド部材100のロック面100Dに引き続き接触している。そのため、収納ユニット12L以外の収納ユニット12Cおよび12Rは、引き続き収容位置においてロックされている。収納ユニット12Lを収容位置まで戻すと、各ロック部材101は中立位置まで戻る。
全ての収納ユニット12が収容位置にある状態(図30参照)において、例えば収納ユニット12Cを引き出そうとする。すると、ロック部材101Lにおける右のローラ103がスライド部19Cのガイド部材100の左ガイド面100Bに押され、ロック部材101Rにおける左のローラ103がスライド部19Cのガイド部材100の右ガイド面100Cに押される。これにより、図32に示すように、ロック部材101Lが中立位置から左側X1へスライドし、ロック部材101Rが中立位置から右側X2へスライドする。このとき、スライド部材102は静止していてもよいし、例えば、左のスライド部材102がロック部材101Lと一緒にスライドして、右のスライド部材102がロック部材101Rと一緒にスライドしてもよい。
このようにロック部材101Lおよびロック部材101Rが逆向きにスライドすると、ロック部材101Lの右アーム部101Dの先端部がスライド部19Cのガイド部材100のロック面100Dから左側X1へ外れ、ロック部材101Rの左アーム部101Cの先端部が当該ロック面100Dから右側X2へ外れる。これにより、収納ユニット12Cの引き出しが可能になる。収納ユニット12Cのスライド中には、ロック部材101Lの右アーム部101Dは、スライド部19Cのガイド部材100における左の切欠き100Eや、スライド部19Cの左の脚部19Bのガイド溝19Eに通される。また、ロック部材101Rの左アーム部101Cは、スライド部19Cのガイド部材100における右の切欠き100Eや、スライド部19Cの右の脚部19Bのガイド溝19Eに通される。また、ロック部材101Lにおける右のローラ103が当該左の脚部19Bの側面に沿って回転し、ロック部材101Rにおける左のローラ103が当該右の脚部19Bの側面に沿って回転する。これにより、収納ユニット12Cのスライドが邪魔されない。
一方、ロック部材101Lの左アーム部101Cがスライド部19Lのガイド部材100のロック面100Dに引き続き接触し、かつ、ロック部材101Rの右アーム部101Dがスライド部19Rのガイド部材100のロック面100Dに引き続き接触している。そのため、収納ユニット12C以外の収納ユニット12Lおよび12Rは、引き続き収容位置においてロックされている。収納ユニット12Cを収容位置まで戻すと、各ロック部材101は中立位置まで戻る。
全ての収納ユニット12が収容位置にある状態(図30参照)において、例えば収納ユニット12Rを引き出そうとすると、ロック部材101Rにおける右のローラ103がスライド部19Rのガイド部材100の左ガイド面100Bに押される。これにより、図33に示すようにロック部材101Rが中立位置から左側X1へスライドする。これに応じて、スライド部材102も左側X1へスライドし、ロック部材101Lも中立位置から左側X1へスライドする。このようにロック部材101Rがスライドすると、ロック部材101Rの右アーム部101Dの先端部がスライド部19Rのガイド部材100のロック面100Dから左側X1へ外れるので、収納ユニット12Rの引き出しが可能になる。収納ユニット12Rのスライド中には、この右アーム部101Dは、ガイド部材100における左の切欠き100Eや、スライド部19Rの左の脚部19Bのガイド溝19Eに通される。また、ロック部材101Rにおける右のローラ103が当該左の脚部19Bの側面に沿って回転する。これにより、収納ユニット12Rのスライドが邪魔されない。
一方、ロック部材101Lの右アーム部101Dの先端部がスライド部19Cのガイド部材100のロック面100Dから左側X1へ外れるものの、ロック部材101Rの左アーム部101Cの先端部がスライド部19Cのガイド部材100のロック面100Dに引き続き接触し、かつ、ロック部材101Lの左アーム部101Cの先端部がスライド部19Lのガイド部材100のロック面100Dに引き続き接触している。そのため、収納ユニット12R以外の収納ユニット12Cおよび12Lは、引き続き収容位置においてロックされている。収納ユニット12Rを収容位置まで戻すと、各ロック部材101は中立位置まで戻る。
この発明は、以上の実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。また、以上に説明した様々な特徴は、適宜組み合わせることができる。