JP2020161771A - 評価方法、蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイス - Google Patents
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Description
芳香族ジカルボン酸アニオンを含む有機骨格層と前記有機骨格層のカルボン酸に含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層とを備える剥片状の層状構造体の電極活物質と、導電材と、水溶性ポリマーとを含有した蓄電デバイス用電極の評価方法であって、
前記蓄電デバイス用電極の表面を色差測定しL*a*b*表色系における明度L*値を取得する取得工程と、
前記明度L*値に基づいて前記蓄電デバイス用電極の抵抗値を評価する判定工程と、
を含むものである。
芳香族ジカルボン酸アニオンを含む有機骨格層と前記有機骨格層のカルボン酸に含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層とを備える剥片状の層状構造体の電極活物質と、導電材と、水溶性ポリマーとを含有し、
表面を色差測定した際にL*a*b*表色系における明度L*値が46以下であるものである。
本開示の蓄電デバイス用電極は、電極活物質と、導電材と、水溶性ポリマーとを含有し、表面を色差測定した際にL*a*b*表色系における明度L*値が46以下であるものである。電極活物質は、芳香族ジカルボン酸アニオンを含む有機骨格層と前記有機骨格層のカルボン酸に含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層とを備える剥片状の層状構造体である。この電極活物質は、キャリアであるアルカリ金属イオンを吸蔵、放出するものである。キャリアのアルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンなどが挙げられ、このうちリチウムイオンが好ましい。以下、キャリアをリチウムイオンとする蓄電デバイス用電極について、主として説明する。
本開示の蓄電デバイスは、正極と、負極と、イオン伝導媒体とを備えている。この蓄電デバイスは、例えば、電気二重層キャパシタやハイブリッドキャパシタ、疑似電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池などとしてもよい。この負極は、上述した蓄電デバイス用電極である。キャリアのアルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンなどが挙げられ、このうちリチウムイオンが好ましい。以下、キャリアをリチウムイオンとする蓄電デバイスについて、主として説明する。
本開示の評価方法は、剥片状の層状構造体の電極活物質と、導電材と、水溶性ポリマーとを含有した蓄電デバイス用電極の評価方法である。この評価方法は、蓄電デバイス用電極の表面を色差測定しL*a*b*表色系における明度L*値を取得する取得工程と、取得した明度L*値に基づいて蓄電デバイス用電極の抵抗値を評価する判定工程と、を含む。この評価方法は、上述した蓄電デバイス用電極を評価する方法である。取得工程では、蓄電デバイス用電極の表面を色差測定する。色差測定は、例えば、色差測定装置を用いて行うものとする。
(噴霧乾燥法での4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウムの層状構造体の合成)
スプレードライ法により層状構造体を作製した。4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウムの合成には、出発原料として4,4’−ビフェニルジカルボン酸および水酸化リチウム1水和物(LiOH・H2O)を用いた。0.44mol/Lとなるように水に水酸化リチウムを加え撹拌し、水溶液を調製した。そして、4,4’−ビフェニルジカルボン酸のモル数A(mol)に対する水酸化リチウムのモル数B(mol)であるモル比B/Aが2.2となるように、すなわち、4,4’−ビフェニルジカルボン酸が0.20mol/Lとなるように水溶液を調製した。調製した水溶液を用いてスプレードライヤー(Mini Spray Dryer B−290、日本ビュッヒ製)を用いて噴霧乾燥させ、4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウムを析出させた。用いたスプレードライヤーのノズル直径は1.4mm、溶液の噴霧量は0.4L/時間、乾燥温度は150℃で行い、4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウムを合成した。
上記手法で作製した4,4’−ビフェニルジカルボン酸リチウムを79質量%、粒子状炭素導電材としてカーボンブラック(東海カーボン、TB5500)を14質量%、水溶性ポリマーであるポリビニルアルコール(ゴウセネックス,T−330,日本合成化学)を2.8質量%、スチレンブタジエン共重合体(SBR:日本ゼオン、BM−400B)を4.2質量%を混合し、溶媒として水を適量添加、分散してスラリー状合材とした。このスラリー状合材を10μm厚の銅箔集電体に単位面積当たりの4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウム活物質が3mg/cm2となるように均一に塗布し、120℃で真空加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後、塗布シートを加圧プレス処理し、2cm2の面積に打ち抜いて円盤状の電極を準備した。
エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比で30:40:30の割合で混合した非水溶媒に、支持電解質の六フッ化リン酸リチウムを1.0mol/Lになるように添加して非水電解液を作製した。上記の手法にて作製した4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウム電極を作用極とし、リチウム金属箔(厚さ300μm)を対極として、両電極の間に上記非水電解液を含浸させたセパレータ(東レ東燃製)を挟んで二極式評価セルを作製した。
スプレードライヤーにて4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウムを合成した後に、120℃で真空乾燥を行った以外は,参考例1と同様の処理を行ったものを参考例2とした。4,4’−ビフェニルジカルボン酸に対する水酸化リチウムのモル比を2.5として水溶液を調製し,スプレードライヤーにて合成した以外は,参考例1と同様の処理を行ったものを参考例3とした。また、スプレードライヤーにて4,4’−ビフェニルジカルボン酸リチウムを合成した後に、120℃で真空乾燥を行った以外は参考例3と同様の処理を行ったものを参考例4とした。
溶液混合法により層状構造体を作製した。出発原料として4,4’−ビフェニルジカルボン酸および水酸化リチウム1水和物(LiOH・H2O)を用いて、水酸化リチウム1水和物(0.556g)にメタノール(100mL)を加え撹拌した後に4,4’−ビフェニルジカルボン酸1.0gを加え、1時間撹拌した。その後、撹拌後溶媒を除去し、真空下150℃で16時間乾燥することにより、白色の粉末試料の4,4’−ビフェニルジカルボン酸リチウムを得た。これを用いた以外は、参考例1と同様の処理を行ったものを参考例5とした。
参考例1〜5の電極のX線回折測定を行った。測定は、放射線としてCuKα線(波長1.54051Å)を使用し、X線回折装置(リガク製UltimaIV)を用いて行った。また、測定は、X線の単色化にはグラファイトの単結晶モノクロメーターを用い、印加電圧を40kV、電流30mAに設定し、5°/分の走査速度、2θ=5°〜35°の角度範囲で行った。
上記作製した二極式評価セルを20℃の温度環境下、0.1mAで0.5Vまで還元した容量を放電容量とした。また、その後0.1mAで1.5Vまで酸化した容量を充電容量とした。また、得られた充放電カーブを用い、電位差に対して充放電カーブの微分値を算出し微分曲線を得た。また、この微分曲線にある2つの異なる内部抵抗性微分カーブのピーク差から充放電分極を算出し、印加電流を考慮してIV抵抗を算出した。なお、IV抵抗は、2サイクル目の充放電カーブを用いた。
表1に参考例1〜5の製造方法、電極のピーク強度比とIV抵抗値とをまとめて示した。また、図3は、参考例1〜5の電極のXRD測定結果である。図3に示すように、スプレードライ法により作製した電極活物質を含む参考例1〜4の電極においては、従来の溶液混合法と同じ2θ位置にピークが出現した。ピーク強度においてはスプレードライ法により作製した電極において、n00面に相当するピーク強度が大きくなる傾向を示した。これは電極内部に存在する活物質の小さな剥片が特異的な配向をしていることを示す。特に、参考例1〜4の電極では、X線回折測定において(300)のピーク強度が(111)や(011)のピーク強度の2倍以上を示し、また、(100)のピーク強度が(111)や(011)のピーク強度の5倍以上を示すことがわかった。具体的には、ピーク強度比P(300)/P(111)が2.0以上、P(300)/P(011)が2.0以上、P(100)/P(111)が6.0以上、P(100)/P(011)が5.0以上、及びP(100)/P(300)が1.5以上を示した。このピーク強度比は、いずれか1以上を満たせば、剥片状の配向した活物質であると推定できるものと推察された。また、表1に示すように、スプレードライ法で合成した層状構造体により作製した電極では、溶液混合法に比してIV抵抗がより低減することがわかった。また、上記ピーク強度比を満たせば、層状構造体がスプレードライ法で作製されたものであると特定できることがわかった。
(4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウム負極の作製)
スプレードライ法で作製した4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウム(SD−Bph)を80.0質量部、導電材としてカーボンブラック(東海カーボン、TB5500(直径約50nm))を20.0質量部、水溶性ポリマーとしてのカルボキシメチルセルロース(CMC:ダイセルファインケム、CMCダイセル1120)を3.0質量部、水溶性ポリマーとしてのポリエチレンオキサイド(PEO1:和光純薬、分子量200万)を4.0質量部、水溶性ポリマーとしてのスチレンブタジエン共重合体(SBR:JSR、TRD2001)を3.0質量部となるように秤量して混合し、溶媒として水を適量添加、分散してスラリー状合材とした。このスラリー状合材を10μm厚の銅箔の集電体に単位面積当たりの4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウム活物質が2.5mg/cm2となるように均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後、塗布シートを加圧プレス処理し、10cm2の面積に打ち抜いて得られたものを実験例1の電極とした。
表2に示した電極配合比とした以外は実験例1と同様に作製した電極を実験例2〜7とした。実験例3,5,6については、水溶性ポリマーとしてのポリエチレンオキサイド(PEO2:和光純薬、分子量50万)を用いた。
参考例5の溶液混合法で作製した層状構造体を用い、表3に示した電極配合比とした以外は実験例1と同様に作製した電極を実験例8〜13とした。
エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)を体積比で30:40:30の割合で混合した溶媒にLiPF6を1.1mol/Lになるように添加して非水系電解液を作製した。上記作製した4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジリチウム電極を作用極とし、リチウム金属箔(厚さ300μm)を対極とし、両電極の間に上記非水電解液を含浸させたセパレータ(東レ東燃製)を挟んでラミネートセルを作製した。このラミネートセルを用いて、電極容量に対して残量(SOC)が75%となるようにLiを吸蔵させたあと、解体して電極を取り出した。この取り出した電極を負極とし、活性炭電極と。電解液を浸したセパレータを用いて作製したものを蓄電デバイスとした。活性炭電極は、正極活物質としての活性炭(クラレ製YP−50F)を83.0質量部、導電材としてのカーボンブラックを10.7質量部、水溶性ポリマーとしてのCMCを4.0質量部、SBRを2.3質量部とし、集電体に目付量4.0mg/cm2で形成した。蓄電デバイスの非水系電解液には、上記ラミネートセルで用いたものと同様のものを用いた。
上記作製した電極に対して色差測定を行った。色差測定は、村上色彩技術研究所製CMS−35SPを用い、L*a*b*表色系で測定して得られた明度L*値を用いて評価した。
上記作製した蓄電デバイスを用いて、交流インピーダンス測定により、電極抵抗を測定した。測定には、1.5mAで、放電終止の開回路電圧を1.6Vとし、セル作製時の開回路電圧として2.3Vまで充電した電極を用いた。交流インピーダンス測定は、ACインピーダンスアナライザー(Agilent4294A)を用い、開回路電圧で、周波数範囲100mHz〜10kHz、印加電圧を10mVとし、20℃で行い、ナイキストプロットの円弧より電極抵抗を求めた。
表2に実験例1〜7の電極配合比(質量部)、電極表面の明度L*値、電極抵抗値(Ω・cm2)をまとめた。図4は、実験例1〜7の明度L*値に対する電極抵抗の関係図である。表2及び図4に示すように、明度L*値が45を超えると、抵抗が増大し始め、明度L*値が46を超えると、抵抗の増加が顕著に見られた。また、明度L*値が45以下では、抵抗が15Ω・cm2以下となり、電極が性能に優れることがわかった。即ち、電極を用いてセルを作製したのち電極抵抗を測定することを要さず、電極表面の色差測定を行えば、その電極の抵抗がどの程度であるかを把握することができることがわかった。
Claims (12)
- 芳香族ジカルボン酸アニオンを含む有機骨格層と前記有機骨格層のカルボン酸に含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層とを備える剥片状の層状構造体の電極活物質と、導電材と、水溶性ポリマーとを含有した蓄電デバイス用電極の評価方法であって、
前記蓄電デバイス用電極の表面を色差測定しL*a*b*表色系における明度L*値を取得する取得工程と、
前記明度L*値に基づいて前記蓄電デバイス用電極の抵抗値を評価する判定工程と、
を含む評価方法。 - 前記判定工程では、前記明度L*値が46以下であるか否かに基づいて前記蓄電デバイス用電極の抵抗値が所定の許容範囲内であるか否かを判定する、請求項1に記載の評価方法。
- 前記所定の許容範囲は、抵抗値15Ω・cm2以下の範囲である、請求項2に記載の評価方法。
- 前記判定工程では、前記明度L*値が45以下であるか否かを判定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の評価方法。
- 前記電極活物質は、ビフェニル構造を含む前記有機骨格層を備える前記層状構造体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の評価方法。
- 下記(1)〜(5)のうち1以上を満たす蓄電デバイス用電極を評価する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の評価方法。
(1)蓄電デバイス用電極をX線回折測定したときの(111)のピーク強度に対する(300)のピーク強度比P(300)/P(111)が2.0以上を示す。
(2)前記X線回折測定での(011)のピーク強度に対する(300)のピーク強度比P(300)/P(011)が2.0以上を示す。
(3)前記X線回折測定での(111)のピーク強度に対する(100)のピーク強度比P(100)/P(111)が6.0以上を示す。
(4)前記X線回折測定での(011)のピーク強度に対する(100)のピーク強度比P(100)/P(011)が5.0以上を示す。
(5)前記X線回折測定での(300)のピーク強度に対する(100)のピーク強度比P(100)/P(300)が1.5以上を示す。 - 芳香族ジカルボン酸アニオンを含む有機骨格層と前記有機骨格層のカルボン酸に含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層とを備える剥片状の層状構造体の電極活物質と、導電材と、水溶性ポリマーとを含有し、
表面を色差測定した際にL*a*b*表色系における明度L*値が46以下である、
蓄電デバイス用電極。 - 表面を色差測定した際にL*a*b*表色系における明度L*値が45以下である、請求項7に記載の蓄電デバイス用電極。
- 前記電極活物質は、ビフェニル骨格を有する前記有機骨格層を備える前記層状構造体である、請求項7又は8に記載の蓄電デバイス用電極。
- 下記(1)〜(5)のうち1以上を満たす、請求項7〜9のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極。
(1)蓄電デバイス用電極をX線回折測定したときの(111)のピーク強度に対する(300)のピーク強度比P(300)/P(111)が2.0以上を示す。
(2)前記X線回折測定での(011)のピーク強度に対する(300)のピーク強度比P(300)/P(011)が2.0以上を示す。
(3)前記X線回折測定での(111)のピーク強度に対する(100)のピーク強度比P(100)/P(111)が6.0以上を示す。
(4)前記X線回折測定での(011)のピーク強度に対する(100)のピーク強度比P(100)/P(011)が5.0以上を示す。
(5)前記X線回折測定での(300)のピーク強度に対する(100)のピーク強度比P(100)/P(300)が1.5以上を示す。 - 抵抗値が16Ω・cm2以下の範囲である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極。
- 請求項7〜11のいずれか1項に記載の蓄電デバイス用電極を備えた、蓄電デバイス。
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