以下、一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
図1は、本実施形態に係る蓄電装置の内部を示す断面図である。図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図1及び図2に示される蓄電装置1は、積層型の電極組立体を有するリチウムイオン二次電池である。
蓄電装置1は、例えば略直方体形状のケース2と、このケース2内に収容された電極組立体3とを備えている。ケース2は、例えば、ケース本体と蓋とにより構成され、アルミニウム等の金属により形成されている。ケース2の内部には、図示はしないが、例えば非水系(有機溶媒系)の電解液が注液されている。ケース2上には、蓋に該当する部位に、正極端子4及び負極端子5が互いに離間して配置されている。正極端子4は、絶縁リング6を介してケース2に固定され、負極端子5は、絶縁リング7を介してケース2に固定されている。また、電極組立体3とケース2の内側の側面及び底面との間には絶縁フィルムが配置されており、絶縁フィルムによってケース2と電極組立体3との間が絶縁されている。図1では便宜上、電極組立体3の下端とケース2の底面との間には僅かな隙間が設けられているが、実際には電極組立体3の下端が絶縁フィルムを介してケース2の内側の底面に接触している。
電極組立体3は、複数の正極8と複数の負極9とが袋状のセパレータ10を介して交互に積層された構造を有している。正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。袋状のセパレータ10に包まれた状態の正極8は、セパレータ付き正極(セパレータ付き電極)11として構成されている。従って、電極組立体3は、複数のセパレータ付き正極11と複数の負極9とが交互に積層された構造を有している。なお、電極組立体3の両端に位置する電極は、負極9である。
図3は、セパレータ付き正極11を模式的に示す図である。図1〜3に示されるように、正極8は、例えばアルミニウム箔からなる正極集電体である金属箔14と、この金属箔14の両面に形成された正極活物質層15とを有している。金属箔14は、平面視矩形状の箔本体部14aと、この箔本体部14aと一体化されたタブ14bとを有している。箔本体部14aは、下端部14x、下端部14xの反対側の上端部14y、及び、下端部14xと上端部14yとを互いに接続する一対の側端部14r,14pを含む。側端部14r,14pは、下端部14x及び上端部14yに交差する。タブ14bは、正極端子4の位置に対応するように箔本体部14aの上端部14yから突出して、セパレータ10を突き抜けている。タブ14bは、導電部材12を介して正極端子4に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ14bを省略している。
正極活物質層15は、箔本体部14aの表裏両面に形成されている。正極活物質層15は、正極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。より具体的には、多数の正極活物質の粒子(又は粒子塊,二次粒子)に対し、各粒子間をバインダが接着することで、形成されている。各粒子間には、電解液が含浸する程度の隙間(孔)が形成されるが、この孔は、微小にて目視では確認出来ない。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウムまたは硫黄等が挙げられる。複合酸化物には、例えばマンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとが含まれる。
負極9は、例えば銅箔からなる負極集電体である金属箔16と、この金属箔16の両面に形成された負極活物質層17とを有している。金属箔16は、平面視矩形状の箔本体部16aと、この箔本体部16aと一体化されたタブ16bとを有している。タブ16bは、箔本体部16aの長手方向の一端部近傍の縁から突出している。タブ16bは、導電部材13を介して負極端子5に接続されている。なお、図2では、便宜上タブ16bを省略している。
負極活物質層17は、箔本体部16aの表裏両面に形成されている。負極活物質層17は、負極活物質とバインダとを含んで形成された多孔質の層である。より具体的には、多数の負極活物質の粒子(又は粒子塊,二次粒子)に対し、各粒子間をバインダが接着することで、形成されている。各粒子間には、電解液が含浸する程度の隙間(孔)が形成されるが、この孔は、微小にて目視では確認出来ない。負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物またはホウ素添加炭素等が挙げられる。
セパレータ10は、一例として、正極8を内部に収容している。すなわち、正極8は、袋状のセパレータ10に包まれている。セパレータ10は、平面視矩形状を呈している。セパレータ10は、一対の長尺シート状(帯状)のセパレータ部材を互いに溶着して袋状に形成される。具体的には、セパレータ10は、セパレータ部材を互いに溶着して形成される溶着領域W1、溶着領域W2、溶着領域W3、及び溶着領域W4によって外縁が規定される袋状である。なお、図3においては、正面側のセパレータ部材を省略し、説明のために溶着領域W1〜溶着領域W4にハッチングを付している。
溶着領域W1は、箔本体部14aの側端部14rに対向すると共に側端部14rに沿って延びる領域である。溶着領域W3は、箔本体部14aの側端部14pに対向すると共に側端部14pに沿って延びる領域である。溶着領域W2は、箔本体部14aの下端部14xに対向すると共に下端部14xに沿って延びる領域である。溶着領域W4は、箔本体部14aの上端部14yに対向すると共に上端部14yに沿って延びる領域である。溶着領域W1〜溶着領域W4は、矩形環状となるように互いに接続されている。互いに離間した複数(ここでは、2つ)の溶着領域W4間には、非溶着領域W5が介在されている。
セパレータ10は、非溶着領域W5において開口している。セパレータ10においては、非溶着領域W5を介して、タブ14bが突出している。セパレータ10の材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が例示される。なお、溶着領域W1〜溶着領域W4も、セパレータ部材同士が全面で溶融・溶着されている必要はない。溶着領域は、セパレータ部材同士を固定し、又、正極8の位置を定めるものであるため、セパレータ部材同士が剥がれない、又、セパレータ10内で正極8のずれが生じない範囲において、直接に溶融・溶着される部位が間欠的、例えばドット形状をなすように形成され、部分的に未溶着の部位があってもよい。
また、正極8の厚みは、金属箔14と正極活物質層15とを合せ、本実施形態では、例えば100μmである。一方で、セパレータ10の厚みは、30μmである。なお、さきに説明した図1〜図3、及び後述する図については、説明の都合上、デフォルメし、厚みを実際よりも強調して記載している。前記厚みは、本実施形態における一例ではあるが、電池容量を大きく確保する為には、正極活物質層15は、製造上可能な限り厚く形成し、逆に、セパレータ10は、電極間の絶縁を確保できる範囲で、薄く設定される。この為、厚みの関係については、「正極8の厚み > セパレータ10の厚み」の関係が成立するように設定される。更に、セパレータ10の厚みは、正極8の厚みの数分の一に設定されていてもよい。
以上のように構成された蓄電装置1を製造する場合は、まず、帯状の金属箔に活物質層の前駆体が形成されたシート部材を製作する。次に、シート部材を所定の形状に切断し、その後、正極8のみセパレータで包装することで、セパレータ付き正極11及び負極9を製作する。セパレータ付き正極11及び負極9を製作した後、セパレータ付き正極11と負極9とを交互に積層し、積層体を形成する。この積層体を加圧することでセパレータ付き正極11及び負極9を密着させた後、セパレータ付き正極11及び負極9をテープ等で固定することで電極組立体3を得る。
そして、ケース2の蓋に正極端子4及び負極端子5を固定した後、セパレータ付き正極11のタブ14bを導電部材12を介して正極端子4に接続すると共に、負極9のタブ16bを導電部材13を介して負極端子5に接続する。そして、電極組立体3をケース2のケース本体内に収容する。例えば、セパレータ付き正極11の製作工程では、より具体的には、活物質層を備えた帯状の電極母材の製造が行われ、その電極母材をカットすることで、正極8の製造が行われる。製造された正極8をセパレータ10で包むことで、セパレータ付き正極11が製造される。
次に、図4〜図6を参照して、本実施形態に係る包装装置20について説明する。図4及び図5は、本実施形態に係る包装装置20の概略側面図である。図6は、検査部を説明するための模式的な平面図である。図6では、セパレータ部材18a,18bを透過して正極8が見える状態を模式的に示している。図4及び図5に示される包装装置20は、電極(ここでは、正極8)にセパレータ10を設けることによりセパレータ付き電極(ここでは、セパレータ付き正極11)を製造するセパレータ付き電極製造装置である。
包装装置20は、セパレータ10の元となる長尺シート状(帯状)のセパレータ部材18a及びセパレータ部材18bを互いに溶着する。ここでは、包装装置20は、セパレータ部材18a,18bの溶着により、正極8が収容される袋状のセパレータ10を形成する。本実施形態では、包装装置20が、正極8を搬送経路に沿って搬送しながら、正極8にセパレータ10が取り付けられたセパレータ付き正極11を製造するセパレータ付き電極製造装置に該当する。すなわち、本実施形態でのセパレータ付き電極製造装置である包装装置20は、正極8をセパレータ10で覆って包装することでセパレータ付き正極11を製造する。
まず、図4を参照して、包装装置20の上流側の構成について説明する。図4に示すように包装装置20は、前工程の設備から供給された正極8を搬送経路(ここでは、X軸に沿った経路)に沿って搬送しながら正極8にセパレータ10を設ける。前工程の設備は、例えば、電極母材(不図示)の切断により正極8を製造する電極製造装置(不図示)である。正極8は、搬送コンベア100により搬送されて包装装置20に供給される。搬送コンベア100は、例えば、サン付のベルトコンベアである。なお、本実施形態では、搬送コンベア100は、1列に配列された状態の正極8を包装装置20に供給するものとする。ただし、正極8は、2列以上で供給されてもよい。
包装装置20は、供給リール21と、供給リール22と、ガイドローラ23と、押圧ローラ28と、ガイドローラ24と、ヒータローラ25と、ヒータローラ26と、搬送ローラ27と、切断部31と、受取部32と、を備えている。セパレータ部材18aは、ロール状に捲回されることで、原反ロールが形成される。原反ロールは、供給リール21に支持され、供給リール21が回転されることにより、原反ロールからセパレータ部材18aが繰り出される。供給リール21は、正極8の一方面8a側から、搬送経路に向けてセパレータ部材18aを供給する。セパレータ部材18bは、供給リール22が回転されることにより原反ロールから繰り出される。供給リール22は、正極8の一方面8aと反対側の他方面8b側から、搬送経路に向けてセパレータ部材18bを供給する。
ガイドローラ23は、供給リール21によって供給されたセパレータ部材18aを搬送経路に沿うようにガイドする。ガイドローラ23は、正極8の一方面8a側に配置されている。ガイドローラ23は、円柱状であり、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。ガイドローラ23にガイドされたセパレータ部材18aは、正極8の一方面8a側において、搬送経路に沿って搬送される。ここでは、正極8は、セパレータ部材18a上に載置されて一体的に搬送される。したがって、セパレータ部材18aの上面は、正極8の搬送面を形成する。
押圧ローラ28は、正極8をガイドローラ23側へ押圧する。押圧ローラ28は、上下動可能に設けられ、例えば弾性部材(不図示)により、正極8をガイドローラ23側に押圧する。搬送コンベア100から搬送された正極8は、押圧ローラ28を押し上げながら押圧ローラ28及びガイドローラ23間に進入し、セパレータ部材18aの搬送によって、下流側へ搬送される。
ガイドローラ24は、搬送経路においてガイドローラ23よりも下流側に配置されている。ガイドローラ24は、供給リール22によって供給されたセパレータ部材18bを搬送経路に沿うようにガイドする。ガイドローラ24は、正極8の他方面8b側に配置されている。ガイドローラ24は、円柱状であり、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。ガイドローラ24にガイドされたセパレータ部材18bは、正極8の他方面8b側において、搬送経路に沿って搬送される。
セパレータ部材18bは、ガイドローラ24よりも下流側において、上述したように正極8の搬送面を提供するセパレータ部材18aに対して、上下方向に対向すると共に略平行な状態で搬送される。換言すれば、ガイドローラ24よりも下流側において、正極8は、セパレータ部材18aとセパレータ部材18bとに挟まれた状態とされる。
ヒータローラ25は、搬送経路(搬送面)に交差する方向(ここでは、Z軸方向)に沿って、セパレータ部材18a,18bを挟んでガイドローラ24に対向して配置されている。ヒータローラ25は、正極8の一方面8a側(下側)であってセパレータ部材18aの下側に配置されている。ヒータローラ25は、円柱状であり、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。
ヒータローラ25は、搬送経路に沿って搬送されているセパレータ部材18a,18bを、その短手方向に沿って互いに溶着する。そのために、ヒータローラ25は、一例として、その回転軸に沿った方向に延びる一対の凸部25sを有している。凸部25sは、凸条であってもよく、また、多数の突起の集合体であってもよい。一対の凸部25sは、ここでは、ヒータローラ25の径方向に沿って互いに180°反対側に形成されている。また、ヒータローラ25は、その内部にヒータを有し、その全体が加熱されている。ヒータローラ25は、ヒータにより熱せられた凸部25sの頂面がセパレータ部材18aに接触することにより、セパレータ部材18a,18bを加熱してセパレータ部材18a,18bを互いに溶着する。これにより、ヒータローラ25は、溶着領域W6を形成する(図6参照)。溶着領域W6は、切断されることによって、上述した溶着領域W1及び溶着領域W3となる。
ヒータローラ26は、搬送経路においてガイドローラ23,24及びヒータローラ25よりも下流側に配置されている。ヒータローラ26は、一対のローラ26a,26bを有している。ローラ26a,26bは、搬送経路(搬送面)に交差する方向(ここでは、Z軸方向)に沿って、セパレータ部材18a,18bを挟んで互いに対向して配置されている。ローラ26aは、正極8の一方面8a側(下側)に配置されている。ローラ26aは、セパレータ部材18aの下側に配置されている。ローラ26bは、正極8の他方面8b側(上側)に配置されている。ローラ26bは、セパレータ部材18bの上側に配置されている。ローラ26a,26bは、それぞれ、円柱状であり、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。
ヒータローラ26は、搬送経路に沿って搬送されているセパレータ部材18a,18bを、その長手方向に沿って互いに溶着する。一例として、ヒータローラ26は、搬送経路に沿って搬送されているセパレータ部材18a,18bを、その長手方向に延びる縁部に沿って互いに溶着する。ローラ26a,26bのうちの一方(ここでは、ローラ26a)は、その周方向に沿って延びる2つの凸部26sを有している。また、ローラ26aは、その内部にヒータを有している。凸部26sは、Y軸方向における両端部に形成される。
2つの凸部26sのうちの一方は、ローラ26aの周方向の全体に亘って延び、円環状となっている。すなわち、この凸部26sの始端と終端とは一致している。2つの凸部26sのうちの他方は、ローラ26aの周方向の全体に亘っていない。すなわち、この凸部26sの始端と終端とは一致しておらず、それらの間には欠落部分が設けられている。ヒータにより熱せられた凸部26sのそれぞれの頂面がセパレータ部材18aに接触することにより、セパレータ部材18a,18bを加熱してセパレータ部材18a,18bを互いに溶着する。これにより、ローラ26aは、溶着領域W4及び溶着領域W2を形成する(図6参照)。凸部26sの欠落部分においてはセパレータ部材18a,18bが互いに溶着されず、非溶着領域W5が形成される。非溶着領域W5からは、正極8のタブ14bが突出する。これにより、セパレータ部材18a,18bと正極8とが一体化されることによって、長尺シート状(帯状)の母材WKが形成される。なお、本実施形態において、ヒータローラ25,26は、図示しない駆動源に接続された駆動ローラである。
搬送ローラ27は、搬送経路においてヒータローラ26よりも下流側に配置されている。搬送ローラ27は、搬送経路に沿うようにガイドされたセパレータ部材18a,18b(及び母材WK)を搬送経路に沿って搬送する。搬送ローラ27は、一対のローラ27a,27bを有している。ローラ27a,27bは、搬送経路(搬送面)に交差する方向(ここでは、Z軸方向)に沿って、セパレータ部材18a,18bを挟んで互いに対向して配置されている。ローラ27a,27bは、それぞれ、円柱状であり、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。ローラ27a,27bは、セパレータ部材18a,18bを挟み込みながら、駆動源(不図示)によって回転することにより、セパレータ部材18a,18bにテンションを生じさせて搬送方向に駆動する(搬送する)。
つまり、ここでは、ヒータローラ25,26、及び、搬送ローラ27は、セパレータ10の元となる帯状のセパレータ部材18a,18bを搬送しながら、セパレータ部材18a,18bに正極8を配置しつつセパレータ部材18a,18bに接合部(ここでは各溶着領域)を形成し、セパレータ部材18a,18bと正極8とを一体化することによって母材WKを形成する母材形成部を構成する。特に、ヒータローラ25,26は、正極8を間に介在させた一対のセパレータ部材18a,18bを互いに溶着して接合することによって、接合部を形成する溶着部である。また、搬送ローラ27は、上記のとおり、セパレータ部材18a,18bに対してセパレータ部材18a,18bの長手方向に沿ったテンションを生じさせ、母材WKを後述の切断部31に向けて搬送する第1搬送部でもある。
切断部31は、搬送経路において搬送ローラ27よりも下流側に配置されている。切断部31は、搬送方向に隣り合う正極8間において、セパレータ部材18a,18b同士が対向する箇所を切断する。切断部31は、溶着領域W6を切断することによって、溶着領域W1,W3を形成する。切断部31は、Y軸方向に隣り合う正極8間において、セパレータ部材18a,18bを切断する。これにより、母材WKからセパレータ付き正極11が形成される。つまり、切断部31は、母材WKを搬送しながら、正極8ごとに(電極ごとに)セパレータ部材18a,18bを切断してセパレータ付き正極11を形成する。切断部31は、ロータリーカッタによって構成される。具体的に、切断部31は、一対のローラ31a,31bを有している。
ローラ31a,31bは、搬送経路(搬送面)に交差する方向(ここでは、Z軸方向)に沿って、セパレータ部材18a,18b(すなわち母材WK)を挟んで互いに対向して配置されている。ローラ31a,31bは、それぞれ、円柱状であり、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。ローラ31bは、セパレータ部材18a,18bを切断するための刃部31cを有する。溶着領域W6を切断するための刃部31cは、Y軸方向に沿って延び、ローラ31bの周方向に所定のピッチ(ここでは180°ピッチ)で設けられる。ローラ31aは刃部を有しておらず、周面でセパレータ部材18a,18bを刃部31cの反対側から支持する。ローラ31a,31bは、セパレータ部材18a,18bを切断しながら、駆動源(不図示)によって回転する。
受取部32は、搬送経路において切断部31よりも下流側に配置されている。受取部32は、切断部31で形成されたセパレータ付き正極11を受け取り下流側に送り出す。受取部32は、ニップロール32a,32bを有している。ニップロール32a,32bは、搬送経路(搬送面)に交差する方向(ここでは、Z軸方向)に沿って、セパレータ付き正極11を挟んで互いに対向して配置されている。ニップロール32a,32bは、それぞれ、円柱状であり、搬送経路に交差する方向(ここでは、Y軸方向)を回転軸として回転する。ニップロール32a,32bは、セパレータ付き正極11を挟み込みながら、駆動源(不図示)によって回転することにより、セパレータ付き正極11を引き込むように搬送方向に駆動する(搬送する)。
なお、ここでは、上述したガイドローラ23,24、押圧ローラ28は、セパレータ部材18a,18bが搬送されるのに伴って回転する従動ローラである。ただし、押圧ローラ28、ガイドローラ23,24は、独立した駆動源を有する駆動ローラであってもよい。押圧ローラ28は、駆動ローラとして回転数を制御することで、正極8の供給位置(供給時期)を制御することができる。
次に、図5を参照して、包装装置20の下流側の構成について説明する。図5に示すように、包装装置20は、上述の切断部31と、上述の受取部32と、吸着コンベア71と、を備えている。吸着コンベア71は、受取部32から送り出されたセパレータ付き正極11を受け取り、セパレータ付き正極11を吸着して保持しながら搬送する。すなわち、吸着コンベア71は、セパレータ付き正極11の姿勢を維持しながら搬送する。吸着コンベア71は、切断部31の下流側において、セパレータ付き正極11を保持しつつ搬送する第2搬送部である。吸着コンベア71により搬送されたセパレータ付き正極11は、例えば積層装置等の後段の設備に供給される。なお、本実施形態における吸着コンベア71は、例えば、公知である負圧式のコンベアである。負圧式の吸着コンベアは、多数の細孔を備えたベルトと、ベルトの循環経路の内側に配置される負圧ダクトとを備える。セパレータ付き正極11を搬送する領域においては、細孔を通してベルト表面に負圧を作用させ、ベルト表面にセパレータ付き正極11を固定する。
ここで、図4,6に示されるように、包装装置20は、検査部(第1検査部)40を備えている。検査部40は、母材WKを撮像することにより母材WKの画像を取得すると共に、当該画像に基づいて母材WKの検査を行う。検査部40は、照明41と、カメラ42と、制御部43と、を含む。照明41とカメラ42とは、母材WKを介して互いに対向するように配置されている。照明41とカメラ42とは、ヒータローラ26よりも下流側であって、且つ、切断部31よりも上流側に配置されている。ここでは、照明41とカメラ42とは、ヒータローラ26と搬送ローラ27との間に配置されているが、搬送ローラ27よりも下流側に配置されてもよい。
照明41は、母材WKの下方に配置されている。すなわち、照明41は、セパレータ部材18aに対向するように(臨むように)セパレータ部材18aの下方に配置されている。カメラ42は、母材WKの上方に配置されている。すなわち、カメラ42は、セパレータ部材18bに対向するように(臨むように)セパレータ部材18bの上方に配置されている。照明41は、セパレータ部材18a,18bを透過する照明光(透過光)により母材WKを照明する。一例として、照明41からの照明光は、正極8を透過しない。カメラ42は、照明41から照射されてセパレータ部材18a,18bを透過した照明光を撮像する。このように、検査部40は、切断部31の上流側において、切断部31に向けて搬送されている母材WKを撮像することにより、母材WKの検査を行う。また、照明41とカメラ42との位置関係は逆であってもよい。
ここでは、照明41の照明範囲41Aは、少なくとも母材WKの検査対象範囲を含む。ここでの検査対象範囲は、後に切断部31での切断によってセパレータ付き正極11となる部分と、当該セパレータ付き正極11の溶着領域W1に連続する溶着領域W3(すなわち、溶着領域W6)と、を含む範囲である。換言すれば、検査対象範囲は、正極8の箔本体部14aを囲う溶着領域W2,W4,W6の外縁と、溶着領域W4(セパレータ部材18a,18b)から突出したタブ14bの外縁と、を含む範囲である。カメラ42の撮像範囲42Aも、少なくとも検査対象範囲を含む。
制御部43は、照明41での母材WKの照明、及び、カメラ42での母材WKの撮像を制御する。また、制御部43は、カメラ42での撮像により得られた画像を入力する。制御部43は、得られた画像に基づいて、母材WKの各種値を取得すると共に、当該値に基づいて、検査対象範囲における母材WKの検査を行う。より具体的には、制御部43は、母材WKの撮像により得られた画像に基づいて(例えば画像処理により)、溶着領域W2の幅L2、溶着領域W4の幅L4、及び、一対の溶着領域W6のそれぞれの幅L6を取得する。溶着領域の幅とは、溶着領域の内縁と外縁との距離である。
また、制御部43は、母材WKの撮像により得られた画像に基づいて、タブ14bと溶着領域W2との距離D2、タブ14bと一方の溶着領域W6との距離D6A、及び、タブ14bと他方の溶着領域W6との距離D6Bを取得する。タブ14bと溶着領域W2との距離D2は、例えば、タブ14bにおける箔本体部14aと反対側の縁(タブ14bの頂部)から、溶着領域W2の内縁までの距離である。タブ14bと一方の溶着領域W6との距離D6Aとは、例えば、タブ14bにおける当該一方の溶着領域W6側の縁から当該一方の溶着領域W6の内縁までの距離である。さらに、タブ14bと他方の溶着領域W6との距離D6Bとは、タブ14bの当該他方の溶着領域W6側の縁から当該他方の溶着領域W6の内縁までの距離である。なお、制御部43は、上記の各値以外にも、任意の値を取得し得る。
制御部43は、取得した上記の各値に基づいて、例えば、ヒータローラ25,26での溶着が正確に行われたか否かを判定できる。例えば、幅L2,L4,L6、及び、距離D2,D6A,D6Bが、それぞれ、所定の設定値よりも小さければ(或いは大きければ)、検査対象範囲において溶着が正確に行われていないと判定できる。その場合、制御部43は、対応するヒータローラ25,26の回転速度や、セパレータ部材18a,18bの搬送速度、或いは、搬送コンベア100から供給される正極8の位置等を、フィードバック制御してもよい。
さらに、図5及び図7に示されるように、包装装置20は、検査部(第2検査部)50を備えている。検査部50は、セパレータ付き正極11を撮像することによりセパレータ付き正極11の画像を取得すると共に、セパレータ付き正極11の検査を行う。検査部50は、カメラ51と制御部52とを含む。カメラ51は、吸着コンベア71の上方に配置されている。カメラ51は、吸着コンベア71に対向する位置からセパレータ付き正極11を撮像する。カメラ51は、セパレータ付き正極11で反射された光を撮像する。このように、検査部50は、吸着コンベア71によって搬送されているセパレータ付き正極11を撮像することにより、セパレータ付き正極11の検査を行う。
カメラ51の撮像範囲51Aは、1つのセパレータ付き正極11の外縁を含む。制御部52は、カメラ51でのセパレータ付き正極11の撮像を制御する。また、制御部52は、カメラ51での撮像により得られた画像を入力する。制御部52は、得られた画像に基づいて、セパレータ付き正極11の各種値を取得する共に、当該値に基づいて、セパレータ付き正極11の検査を行う。より具体的には、制御部52は、セパレータ付き正極11の撮像により得られた画像に基づいて(例えば画像処理により)、セパレータ付き正極11の外形寸法を取得する。一例として、制御部52は、箔本体部14aの上端部14y及び下端部14xに沿った方向のセパレータ付き正極11の長さL8、及び、箔本体部14aの側端部14r,14pに沿った方向のセパレータ付き正極11の長さL9を取得する。
また、制御部52は、セパレータ付き正極11の撮像により得られた画像に基づいて、タブ14bとセパレータ付き正極11の外縁との距離を取得する。一例として、制御部52は、タブ14bの頂部から、セパレータ付き正極11のタブ14bと反対側の外縁までの距離D8を取得する。また、制御部52は、セパレータ付き正極11における側端部14r側の外縁と、タブ14bにおける当該外縁側の外縁までの距離D9を取得する。さらに、制御部52は、セパレータ付き正極11における側端部14p側の外縁と、タブ14bにおける当該外縁側の外縁までの距離D10を取得する。なお、制御部52は、上記の各値以外にも、任意の値を取得し得る。
制御部52は、取得した上記の各値に基づいて、例えば、切断部31での母材WKの切断が正確に行われたか否かを判定できる。例えば、長さL8,L9,及び、距離D8,D9,D10が、それぞれ、所定の設定値よりも小さければ(或いは大きければ)、母材WKの切断が正確に行われていないと判定できる。その場合、制御部52は、ローラ31bの回転速度や、セパレータ部材18a,18bの搬送速度等を、フィードバック制御してもよい。
以上の包装装置20においては、以下のセパレータ付き電極製造方法が実施される。本実施形態に係るセパレータ付き電極製造方法(ここではセパレータ付き正極11の製造方法)は、母材形成工程と、切断工程と、搬送工程と、第1検査工程と、第2検査工程と、を備える。母材形成工程においては、セパレータ10の元となる帯状のセパレータ部材18a,18bを搬送しながら、セパレータ部材18a,18bに正極8を配置しつつセパレータ部材18a,18bに接合部(ここでは溶着領域W2,W4,W6)を形成し、セパレータ部材18a,18bと正極8とを一体化することによって、母材WKを形成する。
切断工程においては、母材WKを搬送しながら、正極8ごとにセパレータ部材18a,18bを切断してセパレータ付き正極11を形成する。搬送工程においては、切断工程の後に、セパレータ付き正極11を保持しつつ搬送する。第1検査工程においては、切断工程の前に、セパレータ部材18a,18bに生じたセパレータ部材18a,18bの長手方向に沿ったテンションによって母材WKが搬送されているときに、母材WKを撮像することによって、母材WKの検査を行う。第2検査工程においては、搬送工程においてセパレータ付き正極11が搬送されているときに、セパレータ付き正極11を撮像することにより、セパレータ付き正極11の検査を行う。第1検査工程においては、セパレータ部材18a,18bを透過した光を撮像する。
以上説明したように、包装装置20では、セパレータ10の元となる帯状のセパレータ部材18a,18bと正極8とが一体化された母材WKが形成される。母材WKは、切断部31において、正極8ごとに切断されることにより、セパレータ付き正極11とされる。母材WKは、セパレータ部材18a,18bの長手方向に沿って生じるテンションにより、切断部31に向けて搬送される。このため、母材WKの搬送に際して、例えばコンベアやベルト等によって上下方向に母材WKを支持する必要がない。このため、検査部40によって、母材を搬送しつつ透過光による母材の撮像及び検査が可能である。
また、切断部31において形成されたセパレータ付き正極11は、吸着コンベア71において保持されながら搬送される。このため、検査部50によって、位置ずれが抑制された状態で搬送されているセパレータ付き正極11の撮像及び検査が可能である。上述したように、セパレータ部材18a,18bを透過する光での撮像及び検査は、検査部40によって既に行われている。したがって、検査部50においては、セパレータを透過する光での撮像及び検査が必須でない。したがって、吸着コンベア71におけるセパレータ付き正極11を保持するための機構の透過光への影響を考慮することなく、セパレータ付き正極11の撮像及び検査が可能である。以上のように、包装装置20によれば、対象物の搬送中の検査を、位置ずれを抑制しつつ行うことができる。
なお、例えば、セパレータ付き正極11を搬送しながらの透過光での撮像を行うためには、例えば、複数の細ベルト(丸ベルト)を間隔を空けて平行に並べて搬送手段とすることで、ベルト間にて光を透過させることが考えられる。ただし、この場合には、搬送時や搬送手段の乗り継ぎ時にセパレータ付き正極11の位置及び姿勢のずれが生じ得る。セパレータ付き正極11の位置や姿勢にずれが生じると、セパレータ付き正極11及び負極9の積層時に積層ずれの原因となる。これに対して、包装装置20によれば、上記の理由によって、対象物の搬送中の検査を、位置ずれを抑制しつつ行うことができるので、積層時の積層ずれをも抑制できる。
また、包装装置20においては、正極8を間に介在させた一対のセパレータ部材18a,18b同士を溶着することによって溶着領域W2,W4,W6を形成するヒータローラ25,26を含む。また、切断部31は、溶着領域W6においてセパレータ部材18a,18bを切断する。そして、検査部40は、ヒータローラ25,26よりも下流側であって切断部31の上流側において、母材WKを撮像する。このため、セパレータ部材18a,18b同士の溶着の状態を検査可能である。
また、包装装置20においては、検査部40は、母材WKの撮像により得られた画像に基づいて溶着領域W2,W4,W6の幅L2,L4,L6を取得する。そして、検査部50は、セパレータ付き正極11の撮像により得られた画像に基づいてセパレータ付き正極11の外形寸法を取得する。このように、検査部40での透過光による母材WKの撮像によって、溶着領域W2,W4,W6の状態を取得しつつ、検査部50では、セパレータ付き正極11の外形の状態を取得できる。
また、包装装置20においては、正極8のタブ14bがセパレータ部材18a,18bから突出するように母材WKを形成する。そして、検査部40は、母材WKの撮像により得られた画像に基づいて、タブ14bと溶着領域W2,W6との距離D2,D6A,D6Bを取得する。また、検査部50は、セパレータ付き正極11の撮像により得られた画像に基づいて、タブ14bとセパレータ付き正極11の外縁との距離D8,D9,D10を取得する。このように、セパレータ部材18a,18b及びセパレータ10と正極8との相対的な位置関係を取得することにより、より確実な検査が可能となる。
さらに、包装装置20においては、切断部31の後段に、セパレータ付き正極11を吸着して保持しながら搬送する吸着コンベア71を含む。そして、検査部50は、吸着コンベア71に対向する位置からセパレータ付き正極11を撮像する。このため、セパレータ付き正極11の位置ずれを確実に抑制しながら、セパレータ付き正極11の撮像及び検査が可能である。
以上の実施形態は、本発明の一形態を説明したものである。したがって、本発明は、上述したものに限定されず、種々の変形がなされ得る。
例えば、上記の包装装置20においては、母材形成部が、正極8を間に介在させた一対のセパレータ部材18a,18b同士を溶着して接合することによって、接合部としての溶着領域W2,W4,W6を形成するヒータローラ25,26を含むものであった。しかしながら、包装装置においては、正極8を間に介在させた一対のセパレータ部材18a,18b同士を接着して接合することで母材を形成してもよいし、正極8に対して一対のセパレータ部材を接合することで母材を形成してもよい。
また、溶着部としてのヒータローラ25,26は、それぞれの機能を単一のヒータローラにより実現されてもよい。
また、切断部31の後段においてセパレータ付き正極11を保持しながら搬送する構成としては、吸着コンベア71に限らず、サン付きコンベアやステージ等を用いてもよい。
また、上記の包装装置20では、正極8が一列で供給される、いわゆる一条取りであるが、正極8が複数列で供給される多条取りであってもよい。なお、例えば二条取りの場合、ローラ31bは、セパレータ部材を長手方向(搬送方向)に切断する為の円形の刃をさらに備える。
さらに、包装装置にあっては、セパレータ付き電極として、正極8に代えて負極9にセパレータ10を設けてもよい。