JP2020161251A - 非水電解質、非水電解質蓄電素子、非水電解質の水溶性化剤、及び非水電解質の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の一実施形態に係る非水電解質(A)は、蓄電素子の非水電解質として用いられる。当該非水電解質(A)は、非水溶媒、及び炭素数が4以上のフッ素化炭化水素基を有するスルホン酸アニオンを有する塩を含有する。
非水溶媒は、EMCを含む。EMCは鎖状カーボネートの一つであり、低粘度の溶媒である。このため、非水溶媒にEMCを用いることで、当該非水電解質(A)は好適な粘性を示し、蓄電素子用の非水電解質としての良好な特性が発揮される。また、鎖状カーボネートの中でも、EMCを用いることで、当該非水電解質(A)の耐酸化性と水溶性とを両立させることができる。
当該非水電解質(A)に含有されるスルホン酸アニオンを有する塩は、炭素数が4以上のフッ素化炭化水素基を有するスルホン酸アニオンを有する塩である限り特に限定されるものでは無い。スルホン酸アニオンを有する塩は、1つのフッ素化炭化水素基と1つのスルホン酸基(−SO3 −)とからなるスルホン酸アニオンを有する塩であることが好ましい。
当該非水電解質(A)は、通常、非水溶媒に溶解している電解質塩を含有する。なお、この電解質塩には、炭素数が4以上のフッ素化炭化水素基を有するスルホン酸アニオンを有する塩は含まれないものとする。電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等を挙げることができるが、リチウム塩が好ましい。上記リチウム塩としては、LiPF6、LiPO2F2、LiBF4、LiPF2(C2O4)2、LiClO4、LiN(SO2F)2等の無機リチウム塩、LiSO3CF3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiN(SO2CF3)(SO2C4F9)、LiC(SO2CF3)3、LiC(SO2C2F5)3等のフッ化炭化水素基を有するリチウム塩等を挙げることができる。
本発明の一実施形態に係る非水電解質(B)は、蓄電素子用の非水電解質として用いられる。当該非水電解質(B)は、非水溶媒及び炭素数が4以上のフッ素化炭化水素基を有するスルホン酸アニオンを有する塩を含有し、水溶性液体である。
本発明の一実施形態に係る非水電解質の製造方法は、EMCを含む非水溶媒と、炭素数が4以上のフッ素化炭化水素基を有するスルホン酸アニオンを有する塩とを混合することを備え、上記非水溶媒に占める上記EMCの含有量が65体積%以下である、蓄電素子用の非水電解質の製造方法である。本発明の他の実施形態に係る非水電解質の製造方法は、非水溶媒と、炭素数が4以上のフッ素化炭化水素基を有するスルホン酸アニオンを有する塩とを混合することを備える。このような製造方法により、上述した非水電解質(A)や非水電解質(B)といった、水溶性液体である蓄電素子用の非水電解質を得ることができる。
本発明の一実施形態に係る水溶性化剤は、炭素数が4以上のフッ素化炭化水素基を有するスルホン酸アニオンを有する塩を含有する、非水電解質の水溶性化剤である。当該水溶性化剤は、水溶性液体である非水電解質の製造の際の添加剤として好適に用いることができる。
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、正極、負極及び非水電解質を有する。以下、蓄電素子の一例として、二次電池について説明する。正極及び負極は、通常、セパレータを介して積層又は巻回により交互に重畳された電極体を形成する。この電極体は容器に収納され、この容器内に非水電解質が充填される。非水電解質は、正極と負極との間に介在する。また、容器としては、二次電池の容器として通常用いられる公知の金属容器、樹脂容器等を用いることができる。
正極は、正極基材、及びこの正極基材に直接又は中間層を介して配される正極活物質層を有する。
負極は、負極基材、及びこの負極基材に直接又は中間層を介して配される負極活物質層を有する。負極の中間層の構成は特に限定されず、正極の中間層と同様の構成とすることができる。
セパレータの材質としては、例えば織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が用いられる。これらの中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。上記セパレータの主成分としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。また、これらの樹脂を複合してもよい。
当該二次電池(蓄電素子)に用いられる非水電解質は、上述した本発明の一実施形態に係る非水電解質(A)又は非水電解質(B)である。
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子は、公知の方法により製造することができる。当該蓄電素子は、例えば、正極を作製すること、負極を作製すること、正極及び負極を、セパレータを介して積層又は巻回することにより交互に重畳された電極体を形成すること、正極及び負極(電極体)を容器に収容すること、並びに非水電解質を容器に注入することを備える製造方法により製造することができる。これらの工程の後、注入口を封止することにより二次電池(蓄電素子)を得ることができる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。例えば、上記正極又は負極において、中間層を設けなくてもよい。また、当該非水電解質蓄電素子の正極及び負極は、明確な層構造を有していなくてもよい。例えば上記正極は、メッシュ状の正極基材に正極活物質が担持された構造などであってもよい。
(非水溶媒)
EC :エチレンカーボネート
PC :プロピレンカーボネート
EMC:エチルメチルカーボネート
LiTFMS:リチウムトリフルオロメタンスルホネート
LiNFBS:リチウムノナフルオロ−1−ブタンスルホネート
KNFBS :カリウムノナフルオロ−1−ブタンスルホネート
LiPFOS:リチウムヘプタデカフルオロ−1−オクタンスルホネート
HTMABr:ヘキシルトリメチルアンモニウムブロマイド
NaBS :ナトリウム1−ブタンスルホネート
PFHA :ウンデカフルオロヘキサン酸
DMOSPAH:ジメチル(n−オクチル)(3−スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド分子内塩
(非水電解質の調製)
ECとPCとEMCとを体積比30:10:60で混合してなる非水溶媒に、電解質塩としてヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を1.2mol/Lの含有量となるように混合した溶液を作製した。この溶液に、スルホン酸アニオンを有する塩としてLiNFBSを2質量%の含有量となるように混合し、非水電解質を調製した。
非水溶媒の種類及び体積比、電解質塩の含有量、並びにスルホン酸アニオンを有する塩等(スルホン酸アニオンを有する塩又はその代替の塩)の種類及び含有量を表1に示すとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6及び比較例1〜8の各非水電解質を得た。なお、表中の「−」は相当する成分を用いていないことを示す。
得られた各非水電解質について、以下の水溶性評価を行った。1気圧20℃の雰囲気下、10mLの純水と10mLの非水電解質とを50mLのビーカーに注ぎ、穏やかにかき混ぜた。具体的には、攪拌棒を用い、回転速度60rpmで、20回かき混ぜた。かき混ぜた後、30秒以上静置し、目視で流動が認められなくなったことを確認した。流動がおさまった後も混合液が均一な外観を維持するものを水溶性液体、二相に分離したものを非水溶性液体と評価した。評価結果を表1に示す。
(非水電解質の調製)
ECとPCとEMCとを体積比30:10:60で混合してなる非水溶媒に、電解質塩としてヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を1.2mol/Lの含有量となるように混合した溶液を作製した。この溶液に、スルホン酸アニオンを有する塩としてLiNFBSを0.5質量%の含有量となるように混合し、非水電解質を調製した。
正極活物質として、α−NaFeO2型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物であるLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2を用いた。質量比で、正極活物質:アセチレンブラック(AB):ポリフッ化ビニリデン(PVDF)=93:4:3の割合(固形物換算)で含み、N−メチルピロリドン(NMP)を分散媒とする正極ペーストを作製した。この正極ペーストを正極基材としての帯状のアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥させてNMPを除去した。これをローラープレス機により加圧して正極活物質層を成型した後、100℃で14時間減圧乾燥して、極板中の水分を除去した。このようにして正極を得た。
負極活物質として、黒鉛を用いた。質量比で、負極活物質(黒鉛):スチレンブタジエンゴム(SBR):カルボキシメチルセルロース(CMC)=97:2:1の割合(固形分換算)で含み、水を分散媒とする負極ペーストを作製した。この負極ペーストを負極基材としての帯状の銅箔集電体の両面に塗布し、乾燥させて水を除去した。これをローラープレス機により加圧して負極活物質層を成型した後、100℃で12時間減圧乾燥して、極板中の水分を除去した。このようにして負極を得た。
セパレータとして、無機層が塗工されたポリオレフィン製微多孔膜を用いた。このセパレータを介して、上記正極と上記負極とを積層することにより電極体を作製した。この電極体をアルミニウム製の角形電槽缶に収納し、正極端子及び負極端子を取り付けた。この容器(角形電槽缶)内部に上記非水電解質を注入した後、封口し、実施例7の非水電解質蓄電素子(二次電池)を得た。
スルホン酸アニオンを有する塩の種類及び含有量を表2に示すとおりとしたこと以外は、実施例7と同様にして、実施例8〜10及び比較例9の各非水電解質及び非水電解質蓄電素子を得た。なお、表の添加剤の欄中の「−」は相当するスルホン酸アニオンを有する塩を用いていないことを示す。
得られた各非水電解質蓄電素子について、以下の条件にて初期充放電を行った。1サイクル目は、25℃で4.25Vまで充電電流0.2Cの定電流にて充電したのちに、4.25Vで定電圧充電(CCCV)した。充電の終了条件は、電流値が0.02Cに至った時点とした。その後、25℃で2.75Vまで0.2Cの定電流で放電した。2サイクル目は、25℃で4.25Vまで1Cの定電流充電したのちに、4.25Vで定電圧充電した。充電の終了条件は、電流値が0.02Cに至った時点とした。その後、25℃で2.75Vまで1Cの定電流で放電した。全てのサイクルにおいて、充電後及び放電後に、10分間の休止時間を設定した。その後、25℃で2.75Vまで0.2Cの定電流で放電した。
上記初期充放電後の各非水電解質蓄電素子について、1kHzの初期交流抵抗(ACR)を求めた。比較例9の非水電解質蓄電素子のACRを基準(100%)とした相対値として、各非水電解質蓄電素子のACRを表2に示す。
2 電極体
3 容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
Claims (8)
- エチルメチルカーボネートを含む非水溶媒、及び
炭素数が4以上のフッ素化炭化水素基を有するスルホン酸アニオンを有する塩
を含有し、
上記非水溶媒に占める上記エチルメチルカーボネートの含有量が65体積%以下である、蓄電素子用の非水電解質。 - 非水溶媒及び炭素数が4以上のフッ素化炭化水素基を有するスルホン酸アニオンを有する塩を含有し、
水溶性液体である、蓄電素子用の非水電解質。 - 上記非水溶媒に占めるジメチルカーボネートの含有量が10体積%以下である請求項1又は請求項2の非水電解質。
- 請求項1、請求項2又は請求項3の非水電解質を備える非水電解質蓄電素子。
- 通常使用時の充電終止電圧における正極電位が4.3V(vs.Li/Li+)以上である請求項4の非水電解質蓄電素子。
- 炭素数が4以上のフッ素化炭化水素基を有するスルホン酸アニオンを有する塩を含有する、非水電解質の水溶性化剤。
- エチルメチルカーボネートを含む非水溶媒と、炭素数が4以上のフッ素化炭化水素基を有するスルホン酸アニオンを有する塩とを混合することを備え、
上記非水溶媒に占める上記エチルメチルカーボネートの含有量が65体積%以下である、蓄電素子用の非水電解質の製造方法。 - 非水溶媒と、炭素数が4以上のフッ素化炭化水素基を有するスルホン酸アニオンを有する塩とを混合することを備える、水溶性液体である蓄電素子用の非水電解質の製造方法。
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JPH06295742A (ja) * | 1993-04-07 | 1994-10-21 | Hitachi Maxell Ltd | 有機電解液電池 |
WO2008078626A1 (ja) * | 2006-12-22 | 2008-07-03 | Daikin Industries, Ltd. | 非水系電解液 |
JP2009302022A (ja) * | 2008-06-17 | 2009-12-24 | Sony Corp | 非水電解液二次電池 |
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- 2019-03-25 JP JP2019057439A patent/JP7272044B2/ja active Active
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