以下に、本開示の情報処理装置及びプログラムについて、その実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施形態1)
図1は、割当装置の構成例を示すブロック図である。本実施形態の割当装置50は、例えば紡績工場で使用される複数の機械に対して、各機械で処理すべき処理対象物を割り当てる処理を行う。なお、複数の機械は、例えば紡績工場において織物や生地等を染色した後に乾燥させるための機械であり、織物や生地等に対して加熱処理を行う構成を含む機械である。割当装置50は、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ等の情報処理装置であり、例えば工場内における生産計画や生産管理を行う担当者が使用する端末である。割当装置50は、受注した製品に関する注文情報を取得して蓄積する処理、注文情報に基づいてそれぞれの機械が処理すべき処理対象物を割り当てる処理等、種々の情報処理を行う。割当装置50は、複数台設けられて分散処理を行うように構成されていてもよいし、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンやクラウドサーバを用いて実現されてもよい。
割当装置50は、制御部51、記憶部52、通信部53、入力部54、表示部55、読み取り部56等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。制御部51は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の1又は複数のプロセッサを含む。制御部51は、記憶部52に記憶してある制御プログラム52Pを適宜実行することにより、本開示の情報処理装置が行うべき種々の情報処理、制御処理等を割当装置50に行わせる。
記憶部52は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等を含む。記憶部52は、制御部51が実行する制御プログラム52P及び制御プログラム52Pの実行に必要な各種のデータ等を予め記憶している。また記憶部52は、制御部51が制御プログラム52Pを実行する際に発生するデータ等を一時的に記憶する。また記憶部52は、割当装置50が各機械に対して処理対象物を割り当てるための業務割当アプリ(業務割当アプリケーションプログラム)52APを記憶する。更に記憶部52は、後述する機械DB(データベース)52a、注文DB52b及び割当DB52cを記憶する。機械DB52a、注文DB52b及び割当DB52cは、割当装置50に接続された外部記憶装置に記憶されてもよく、割当装置50が通信可能な外部記憶装置に記憶されてもよい。
通信部53は、有線通信又は無線通信によってインターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワークに接続するためのインタフェースを含み、ネットワーク経由で情報の送受信を行う。入力部54は、ユーザによる操作入力を受け付け、操作内容に対応した制御信号を制御部51へ送出する。表示部55は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、制御部51からの指示に従って各種の情報を表示する。入力部54及び表示部55は一体として構成されたタッチパネルであってもよい。
読み取り部56は、CD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM又はUSB(Universal Serial Bus)メモリを含む可搬型記憶媒体5aに記憶された情報を読み取る。記憶部52に記憶される制御プログラム52P、業務割当アプリ52AP、各種のデータは、可搬型記憶媒体5aに記憶しておき、制御部51が読み取り部56を介して可搬型記憶媒体5aから読み取って記憶部52に記憶してもよい。また、記憶部52に記憶される制御プログラム52P、業務割当アプリ52AP、各種のデータは、制御部51が通信部53を介して外部装置からダウンロードして記憶部52に記憶してもよい。更に、制御プログラム52P、業務割当アプリ52AP、各種のデータを半導体メモリ5bに記憶しておき、制御部51が、半導体メモリ5bから読み出して記憶部52に記憶してもよい。
図2は、割当装置50に記憶されるDB52a〜52cの構成例を示す模式図である。図2Aは機械DB52aを、図2Bは注文DB52bを、図2Cは割当DB52cをそれぞれ示す。機械DB52aは、工場内に設置されている機械に関する情報を記憶する。図2Aに示す機械DB52aは、機械ID列、型番列、製造年月列、稼働年数列等を含む。機械ID列は、各機械に予め割り当てられた識別情報を記憶し、型番列、製造年月列、稼働年数列はそれぞれ、機械IDに対応付けて各機械の型番、製造年月、稼働年数を記憶する。機械DB52aに記憶される機械IDは、制御部51が新たな機械の情報を入力部54又は通信部53を介して取得した場合に、制御部51によって発行されて記憶される。機械DB52aに記憶される型番、製造年月及び稼働年数は、制御部51が入力部54又は通信部53を介して追加又は変更の指示を取得する都度、制御部51によって追加又は変更される。機械DB52aの記憶内容は図2Aに示す例に限定されず、例えば各機械の工場内の配置場所(配置エリア)等、機械に関する各種の情報を記憶することができる。
注文DB52bは、受注した注文に関する情報を記憶する。図2Bに示す注文DB52bは、注文ID列、納期列、優先度列、設定温度列、予測作業時間列等を含む。注文ID列は各注文に予め割り当てられた識別情報を記憶し、納期列及び優先度列はそれぞれ、注文IDに対応付けて注文に係る納期(納入期限)及び優先度を記憶する。設定温度列及び予測作業時間列はそれぞれ、注文IDに対応付けて注文に基づき各機械を稼働させる際の設定温度(温度条件)及び予測作業時間を記憶する。注文DB52bに記憶される注文IDは、制御部51が新たな注文の情報を入力部54又は通信部53を介して取得した場合に、制御部51によって発行されて記憶される。注文DB52bに記憶される納期、優先度及び設定温度は、制御部51が入力部54又は通信部53を介して追加又は変更の指示を取得する都度、制御部51によって追加又は変更される。注文DB52bに記憶される予測作業時間は、制御部51が新たな注文の情報を入力部54又は通信部53を介して取得した場合に、制御部51によって算出されて記憶される。注文DB52bの記憶内容は図2Bに示す例に限定されず、受注日、発注元の会社名、受注数、製造される製品の製品番号、製品名等、注文内容に関する各種の情報を記憶することができる。
割当DB52cは、各機械に割り当てられた処理(作業)に関する情報を記憶する。図2Cに示す割当DB52cは、機械ID列、第1処理列、第2処理列等を含む。機械ID列は各機械の識別情報を記憶し、各機械の機械IDは機械DB52aに登録された機械IDを用いる。第1処理列は、機械IDに対応付けて1番目に処理すべき注文(第1処理)に関する情報を記憶する。具体的には、第1処理列は注文ID列、設定温度列及び優先度列を含み、注文ID列、設定温度列及び優先度列はそれぞれ、1番目に処理すべき注文の注文ID、設定温度及び優先度を記憶する。第2処理列は、機械IDに対応付けて2番目に処理すべき注文(第2処理)に関する情報を記憶し、2番目に処理すべき注文の注文ID、設定温度及び優先度をそれぞれ記憶する注文ID列、設定温度列及び優先度列を含む。図2Cに示す割当DB52cは2つの処理列(第1処理列及び第2処理列)を含むが、処理列は、各機械に割り当てられた処理(注文)の数だけ設けられている。割当DB52cに記憶される機械IDは予め記憶されている。割当DB52cに記憶される各処理に関する情報は、制御部51が各機械に各処理(注文)を割り当てた場合に、制御部51によって記憶される。割当DB52cの記憶内容は図2Cに示す例に限定されず、それぞれの処理(注文)に関する各種の情報を記憶してもよい。
以下に、上述した構成の割当装置50が行う処理について説明する。図3は、割当装置50による注文情報の受付処理の手順例を示すフローチャート、図4は画面例を示す模式図である。以下の処理は、割当装置50の記憶部52に記憶してある制御プログラム52P及び業務割当アプリ52APに従って制御部51によって実行される。割当装置50の制御部51は、例えば入力部54を介して業務割当アプリ52APの実行指示を受け付けた場合、業務割当アプリ52APを起動(実行)する。業務割当アプリ52APを起動した場合、制御部51は、図4に示すような受注画面を表示部55に表示する(S101)。図4に示す受注画面は、受注した注文に関する情報を入力するための入力画面であり、受注日、納期(納入期限)、優先度、発注元ID、設定温度、受注数等を入力するための入力欄を有する。なお、優先度の入力欄には、高い又は通常のいずれかの選択が可能なラジオボタンが設けられている。入力可能な優先度は2段階に限らず、3段階以上の優先度を入力できるように構成されていてもよい。発注元IDの入力欄には、複数の発注元の発注元IDから任意の1つを選択するためのプルダウンメニューが設けられており、設定温度の入力欄には、予め設定された複数の温度から任意の1つを選択するためのプルダウンメニューが設けられている。なお、設定温度は、例えば100℃〜120℃、180℃〜200℃のように所定の温度範囲が設定されてもよい。この場合、設定温度の入力欄には、複数の温度範囲から任意の1つを選択するためのプルダウンメニューが設けられる。
割当装置50のユーザ(割当処理を行う担当者)は、受注画面において、受注した注文の内容を示す各情報を入力部54にて各入力欄に入力する。なお、ユーザは、発注元ID及び設定温度についてはプルダウンメニューにて任意の1つを選択する。また、優先度の入力欄については、例えば納期が入力された場合に、自動的にラジオボタンにて「高い」又は「通常」が選択されるように構成されていてもよい。この場合、例えば制御部51が、入力された納期と現在日時とを比較し、納期までの日数が所定日数(例えば1日)以下である場合に、自動的にラジオボタンにて「高い」を選択するように構成されていてもよい。制御部51は、入力部54を介して入力される情報(注文情報)を受け付ける(S102)。
受注画面は、入力された注文情報の登録を要求(指示)するためのOKボタンが表示されており、制御部51は、受注画面においてOKボタンが入力部54を介して操作されたか否かに応じて、注文情報の登録を要求されたか否かを判断する(S103)。注文情報の登録を要求されていないと判断した場合(S103:NO)、制御部51は、ステップS102の処理に戻り、受注画面を介して注文情報の受付を継続する。注文情報の登録を要求されたと判断した場合(S103:YES)、制御部51は、注文IDを発行し(S104)、この注文に係る処理に要する作業時間を予測(予測作業時間を算出)する(S105)。ここでは、例えば処理対象物の処理数に対応付けて、各処理数の処理対象物に対する作業が通常の処理によって完了するまでの作業時間を記憶部52に記憶しておく。そして、ステップS105において制御部51は、ステップS102で受け付けた受注数に対応する作業時間を記憶部52から読み出して予測作業時間としてもよい。
制御部51は、ステップS104で発行した注文IDと、ステップS102で受け付けた注文情報(納期、優先度、設定温度等)と、ステップS105で算出した予測作業時間とを対応付けて注文DB52bに記憶し(S106)、処理を終了する。上述した処理により、受注画面を介して受け付けた注文情報が注文DB52bに順次記憶される。
図5は、割当装置50による割当処理の手順例を示すフローチャート、図6は画面例を示す模式図である。割当処理は、それぞれの注文に対して、注文に係る処理(作業)を行う機械を割り当てる処理である。以下の処理は、割当装置50の記憶部52に記憶してある制御プログラム52P及び業務割当アプリ52APに従って制御部51によって実行される。割当装置50の制御部51は、例えば入力部54を介して業務割当アプリ52APの実行指示を受け付け、更に割当処理の実行指示を受け付けた場合、注文DB52bから注文情報を1つ読み出す(S111)。注文情報は注文情報に係る処理における設定温度(温度条件)を含む。設定温度が異なると機械に供給される電力量(消費電力量)が異なるので、設定温度は、機械における消費エネルギーに影響を与える処理条件と言える。よって制御部51は、処理対象物に対応して、処理対象物を処理する機械における消費エネルギーに影響を与える処理条件を取得する条件取得部として機能する。また注文情報は注文情報に係る処理に対する優先度を含む。よって制御部51は、処理対象物に対する優先度を示す優先情報を取得する優先情報取得部として機能する。
制御部51は、読み出した注文情報に含まれる優先度が高いか通常かに応じて、注文情報に係る処理の優先度が高いか否かを判断する(S112)。制御部51は、優先度が高いと判断した場合(S112:YES)、この注文情報に係る処理(割込処理)を割り込ませた場合に前後で行われる処理の設定温度が同じであり、この割込処理の割り込みが可能な機械が有るか否かを判断する(S113)。ステップS113において制御部(特定部)51は、割当DB52cに各機械の第1処理として記憶してある各処理から順に、優先度が通常の処理で、割込処理を割り込ませた場合に、割込処理と前後の処理との設定温度が同じであり(設定温度の変動が小さく)、割込処理の後の各処理が納期内に完了できる処理(割り込み可能な処理)を検索する。なお、制御部51は、各処理(注文に係る処理)について注文DB52bに記憶してある予測作業時間を用いて、割込処理を割り込ませた場合に各処理が納期内に完了できるか否かを判断できる。制御部51は、このような割り込み可能な処理を検索できた場合、設定温度を変更することなく割り込み可能な機械が有ると判断し(S113:YES)、この機械を割込処理を行う機械に割り当てる(S114)。ステップS114において制御部51は、割当DB52cにおいて、割り込み可能と判断した処理以降の処理の情報を順次後ろにシフトさせ、読み出した注文情報に係る処理(割込処理)の情報を割り込ませて記憶する。これにより、優先度が高い注文情報に係る処理(割込処理)が優先的に処理されるように処理計画を立てることができる。また割込処理を割り込ませる際に、割り込ませた前後における処理の設定温度の変動が小さくなるように割り込ませることができる。なお、設定温度の変動を小さくすることにより、機械における消費エネルギーの変動を小さくすることができる。
設定温度を変更することなく割り込み可能な機械がないと判断した場合(S113:NO)、制御部51は、設定温度は考慮せずに、割込処理の割り込みが可能な機械を特定する(S115)。ステップS115において制御部51は、割当DB52cに各機械の第1処理として記憶してある各処理から順に、優先度が通常の処理で、割込処理を割り込ませた場合に、割込処理の後の各処理が納期内に完了できる処理(割り込み可能な処理)を特定する。制御部51は、このような割り込み可能な処理を特定し、特定した処理を行う機械を割り込み可能な機械として、この機械を割込処理を行う機械に割り当てる(S114)。これにより、優先度が高い注文情報に係る処理(割込処理)が優先的に処理されるように処理計画を立てることができる。
読み出した注文情報に係る処理の優先度が高くないと判断した場合(S112:NO)、制御部51は、この注文情報に係る処理(通常処理)を各機械の最後の処理に割り当てた場合に、前に行われる処理と設定温度が同じであり(設定温度の変動が小さく)、この通常処理が納期内に完了できる機械(割当可能な機械)が有るか否かを判断する(S116)。制御部51は、設定温度を変更することなく割り当て可能な機械が有ると判断した場合(S116:YES)、この機械を通常処理を行う機械に割り当てる(S114)。ここでは制御部51は、割当DB52cにおいて、割り当て可能と判断した機械の最後の処理の情報として、読み出した注文情報に係る処理(通常処理)の情報を記憶する。これにより、通常処理に機械を割り当てる際に、各機械の設定温度の変動が小さくなるように割り当てることができる。
設定温度を変更することなく割り当て可能な機械がないと判断した場合(S116:NO)、制御部51は、設定温度は考慮せずに、通常処理の割り当てが可能な機械を特定する(S117)。ステップS117において制御部51は、通常処理を各機械の最後の処理に割り当てた場合に、この通常処理が納期内に完了できる機械(割当可能な機械)を特定する。制御部51は、特定した機械を通常処理を行う機械に割り当てる(S114)。ここでは制御部51は、割当DB52cにおいて、割り当て可能と判断した機械の最後の処理の情報として、読み出した注文情報に係る処理(通常処理)の情報を記憶する。これにより、通常処理に機械を割り当てる際に、納期内に処理が完了できるように割り当てることができる。
制御部51は、注文DB52bに記憶してある全ての注文情報に対して機械の割当処理を終了したか否かを判断しており(S118)、終了していないと判断した場合(S118:NO)、ステップS111の処理に戻る。制御部51は、未処理の注文情報を1つ注文DB52bから読み出し(S111)、読み出した注文情報についてステップS112〜S117の処理を行う。これにより、注文DB52bに記憶された各注文情報に係る処理に対して、各処理を行うべき機械を割り当てることができる。
制御部51は、全ての注文情報に対して機械の割当処理を終了したと判断した場合(S118:YES)、割当DB52cに記憶した各機械と各処理との対応関係から、図6Aに示すような割当表を作成し(S119)、処理を終了する。図6Aに示す割当表は、各機械の機械IDに対応付けて、各機械に割り当てられた各処理の情報(例えば注文ID、設定温度、優先度)を、割り当てられた順序で表示する。制御部(割当表示部)51は、作成した割当表を表示部55に表示し、複数の注文情報(処理対象物)のそれぞれと、注文情報に係る処理に割り当てられた機械との割当状況を表示する。これにより、各機械で行うべき処理を一目で把握できる。
また、図6Aに示す割当表では、優先度の高い処理と優先度の低い処理(通常の処理)とが異なる態様で表示されており、優先度の高い処理が目立つように表示されている。これにより、各処理の優先度を一目で把握できる。また制御部(変動表示部)51は、図6Bに示すような設定温度の変動状況を表示する画面を作成して表示部55に表示してもよい。図6Bに示す画面は、各機械の機械IDに対応付けて、各機械に割り当てられた各処理(注文に係る処理)の設定温度の変動を表示する。これにより、各機械で行うべき処理において設定される温度の変動状況を一目で把握できる。
本実施形態では、工場内に設置された複数の機械に、注文情報に係る処理を割り当てる際に、各機械に割り当てられた処理の設定温度の変動が小さくなるように割り当てて処理計画を立てることができる。各機械において設定温度が変更された場合、設定温度の変更後に機械が安定して動作するまでに多少の時間を要する。一方、設定温度の変動が小さい場合、即ち、設定温度の変更回数が少ない場合、機械が安定して稼働する時間が長くなり、また設定変更に要する作業員の操作が不要となるので作業員による操作ミスが減少する。よって、設置温度の変動を小さくすることにより、機械が効率良く処理を行うことになり、機械における生産効率や作業効率を向上させることができる。また、複数の機械のそれぞれに注文情報に係る処理を割り当てる際に、同じ時刻又は同じ時間帯に複数の機械に割り当てられる処理の設定温度の平均温度を算出し、各時刻又は各時間帯における平均温度の変動が小さくなるように割り当ててもよい。この場合にも、機械が効率良く処理を行い、機械における生産効率や作業効率を向上させることができる。
(実施形態2)
アルミサッシを製造する工場で使用される複数の機械に対して、各機械で処理すべき処理対象物を割り当てる割当装置について説明する。なお、本実施形態の複数の機械は、例えばアルミサッシ工場において、アルミ合金で形成された円柱状のビレットを加熱しつつ高圧力をかけて所定形状の孔を有する金型に押し当てることにより、所定形状の断面を有する細長いアルミサッシを成形する機械であり、アルミ合金に対して押出加工(加圧処理)を行う構成を含む機械である。本実施形態の割当装置は実施形態1の割当装置50と同様の構成を有するので、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、実施形態1において各機械に対して加熱処理における温度を設定する構成の代わりに、各機械に対して加圧処理における圧力(圧力条件)を設定する。よって、実施形態1における設置温度を設定圧力に読み替える。例えば本実施形態の注文DB52bは、図2Bに示す注文DB52bにおいて設定温度列の代わりに設定圧力列を有する。また、本実施形態の割当DB52cは、図2Cに示す割当DB52cにおいて設置温度列の代わりに設定圧力列を有する。
本実施形態の割当装置50は図3に示す処理と同様の処理を行い、受注画面を介して受注日、納期、優先度、発注元ID、設定温度、受注数等を含む注文情報を受け付け、受け付けた注文情報を注文DB52bに記憶する。また本実施形態の割当装置50は図5に示す処理と同様の処理を行い、注文DB52bに記憶された各注文情報に対して、注文情報に係る処理(作業)を行う機械を割り当て、各機械と、各機械に割り当てられた各注文情報とを対応付けて割当DB52cに記憶する。
本実施形態においても実施形態1と同様の効果が得られる。また本実施形態では、押出加工によってアルミサッシを成形する機械のように、圧力の設定変更が可能な機械に、注文情報に係る処理を割り当てる際に、各機械に割り当てられた処理の設定圧力の変動が小さくなるように割り当てて処理計画を立てることができる。各機械において設定圧力が変更された場合、設定圧力の変更後に機械が安定して動作するまでに多少の時間を要する。一方、設定圧力の変動が小さい場合、即ち、設定圧力の変更回数が少ない場合、機械が安定して稼働する時間が長くなり、また設定変更に要する作業員の操作が不要となるので作業員による操作ミスが減少する。よって、各機械に設定される圧力についても、設置圧力の変動を小さくすることにより、機械が効率良く処理を行うことになり、機械における生産効率や作業効率を向上させることができる。
実施形態1では、機械が行う加熱処理における温度条件が前後の処理(作業)においてほぼ一定となる(設定温度の変動が小さくなる)ように各注文に係る作業を行う機械を特定しており、実施形態2では、機械が行う加圧処理における圧力条件が前後の処理(作業)においてほぼ一定となる(設定圧力の変動が小さくなる)ように各注文に係る作業を行う機械を特定していた。これに対して、加圧処理と加熱処理とを同時に行う機械において、加熱処理における温度条件及び加圧処理における圧力条件が前後の処理(作業)においてほぼ一定となるように各注文に係る作業を行う機械を割り当てもよい。この場合、例えば、温度条件として設定される温度と、圧力条件として設定される圧力値とのペアを複数用意しておき、前後の処理において温度条件及び圧力条件のペアが同じペアとなるように(変動が小さくなるように)各注文に係る作業を行う機械を割り当ててもよい。
(実施形態3)
実施形態1の割当装置50によって各機械に、各機械が行うべき処理(注文情報に係る処理)が割り当てられた後、この処理計画に従って各機械が稼働した場合に、各機械の稼働状態を管理する管理システムについて説明する。図7は、管理システムの構成例を示すブロック図である。本実施形態の管理システムは、例えば紡績工場で使用される機械(第1機械、第2機械…)の稼働状態を管理するシステムであり、各機械の稼働状態を、各機械に供給する電力量(消費電力量)と、各機械の稼働に伴って変動する処理対象の織物や生地等の表面温度(計測値)とに基づいて分析して管理する。
本実施形態の管理システムは、それぞれの機械に対応付けて設けられた消費電力監視部21a,21b…及び表面温度監視部22a,22b…、例えば工場内に設けられた管理装置10等を含む。以下では、消費電力監視部21a,21b…をまとめて消費電力監視部21といい、表面温度監視部22a,22b…をまとめて表面温度監視部22といい、消費電力監視部21及び表面温度監視部22をまとめて監視部21,22ということがある。消費電力監視部21及び表面温度監視部22のそれぞれと管理装置10とは通信可能に構成されており情報の送受信を行う。なお、監視部21,22のそれぞれと管理装置10とはケーブルを介して有線通信を行うように構成されていてもよいし、無線通信を行うように構成されていてもよい。また、監視部21,22及び管理装置10は、インターネットやLAN等のネットワークに接続可能に構成され、ネットワーク経由で情報の送受信を行う構成でもよい。監視部21,22は内蔵された電池からの電力で動作する電池式の計測器であることが望ましい。
消費電力監視部21は、工場内の機械毎に設けられ、例えば各機械に電力を供給する供給線(電源ケーブル)に装着されることにより、電源ケーブルを介して各機器に供給される電力量(消費電力量)を計測(検出)する。表面温度監視部22は、工場内の機械毎に設けられ、例えば各機械によって加熱される処理対象(織物や生地等)の表面温度を計測(検出)する。表面温度監視部22は処理対象に対して少なくとも1箇所での表面温度を計測するが、複数箇所の表面温度を計測するように構成されていてもよい。なお、表面温度監視部22は、処理対象の表面に接触して表面温度を計測する構成でもよく、処理対象の表面から放出される赤外線を計測し、計測した赤外線量を温度に変換して処理対象の表面温度を取得するサーモカメラを用いてもよい。消費電力監視部21及び表面温度監視部22は上述した構成に限らず、その他の方法を用いて各機器の消費電力量及び各機器における処理対象の表面温度を計測する構成でもよい。監視部21,22のそれぞれは、例えば数秒毎、数十秒毎等の所定時間毎に消費電力量及び表面温度を計測し、計測した消費電力量及び表面温度(計測結果)を管理装置10へ出力する。なお、監視部21,22は、例えば絶対時刻(年/月/日/時/分/秒)を示す時計を有しており、所定時間毎に計測した計測結果を、計測した時点で時計が示す絶対時刻(計測日時)と共に管理装置10へ出力する。
管理装置10は、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、サーバコンピュータ等の情報処理装置であり、例えば工場で働く作業員を管理する管理者(工場長や工場内のエリア長等)や、工場を経営する経営者等が使用する端末である。管理装置10は、消費電力監視部21から各機械の消費電力量を取得して蓄積する処理、表面温度監視部22から各機械の処理対象における表面温度を取得して蓄積する処理、蓄積された各情報に基づいて各機器の稼働状態を分析する処理、分析結果を出力する処理等、種々の情報処理を行う。管理装置10は、複数台設けられて分散処理を行うように構成されていてもよいし、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンやクラウドサーバを用いて実現されてもよい。
図8は、管理装置10の構成例を示すブロック図である。管理装置10は、制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、表示部15、読み取り部16等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。管理装置10の各構成部11〜16は、実施形態1の割当装置50の各構成部51〜56と同様の構成であるので詳細な説明は省略する。なお、管理装置10の記憶部12は、本実施形態の管理システムにおいて管理装置10が各機械の稼働状況を管理するための業務管理アプリ12APを記憶する。また記憶部12は、後述する作業員DB12a、機械DB12b、作業予定DB12c、稼働状況DB12d及び稼働履歴DB12eを記憶する。作業員DB12a、機械DB12b、作業予定DB12c、稼働状況DB12d及び稼働履歴DB12eは、管理装置10に接続された外部記憶装置に記憶されてもよく、管理装置10が通信可能な外部記憶装置に記憶されてもよい。
管理装置10の通信部13は、有線通信又は無線通信によって監視部21,22との間で通信を行うためのインタフェースを含み、監視部21,22から順次送信される計測結果を受信する。また通信部13は、インターネットやLAN等のネットワークに接続するためのインタフェースを含んでいてもよい。なお、記憶部12に記憶される制御プログラム12P、業務管理アプリ12AP、各種のデータは、可搬型記憶媒体1aに記憶しておき、制御部11が読み取り部16を介して可搬型記憶媒体1aから読み取って記憶部12に記憶してもよい。また、記憶部12に記憶される制御プログラム12P、業務管理アプリ12AP、各種のデータは、制御部11が通信部13を介して外部装置からダウンロードして記憶部12に記憶してもよい。更に、制御プログラム12P、業務管理アプリ12AP、各種のデータを半導体メモリ1bに記憶しておき、制御部11が、半導体メモリ1bから読み出して記憶部12に記憶してもよい。
図9及び図10は、管理装置10に記憶されるDB12a〜12eの構成例を示す模式図である。図9Aは作業員DB12aを、図9Bは機械DB22bを、図9Cは作業予定DB12cを、図10Aは稼働状況DB12dを、図10Bは稼働履歴DB12eをそれぞれ示す。作業員DB12aは、管理システムが設けられた工場で勤務する作業員に関する情報を記憶する。図9Aに示す作業員DB12aは、作業員ID列、氏名列、年齢列、勤続年数列、所属部署列等を含む。作業員ID列は、各作業員に予め割り当てられた識別情報を記憶し、氏名列、年齢列、勤続年数列、所属部署列はそれぞれ、作業員IDに対応付けて各作業員の氏名、年齢、勤続年数、所属部署を記憶する。作業員DB12aに記憶される作業員IDは、制御部11が新たな作業員の情報を入力部14又は通信部13を介して取得した場合に、制御部11によって発行されて記憶される。作業員DB12aに記憶される作業員ID以外の各情報は、制御部11が入力部14又は通信部13を介して追加、変更又は削除の指示を取得する都度、制御部11によって追加、変更又は削除される。作業員DB12aの記憶内容は図9Aに示す例に限定されず、作業員に関する各種の情報を記憶することができる。
機械DB12bは、管理システムが設けられた工場内に設置されている機械に関する情報を記憶する。図9Bに示す機械DB12bは、機械ID列、型番列、製造年月列、稼働年数列、消費電力監視部ID列、表面温度監視部ID列等を含む。機械ID列は、各機械に予め割り当てられた識別情報を記憶し、型番列、製造年月列、稼働年数列はそれぞれ、機械IDに対応付けて各機械の型番、製造年月、稼働年数を記憶する。消費電力監視部ID列は機械IDに対応付けて、各機械に対応付けて設けられた消費電力監視部21に予め割り当てられた識別情報を記憶し、表面温度監視部ID列は機械IDに対応付けて、各機械に対応付けて設けられた表面温度監視部22に予め割り当てられた識別情報を記憶する。機械DB12bに記憶される機械IDは、制御部11が新たな機械の情報を入力部14又は通信部13を介して取得した場合に、制御部11によって発行されて記憶される。機械DB12bに記憶される型番、製造年月及び稼働年数は、制御部11が入力部14又は通信部13を介して追加又は変更の指示を取得する都度、制御部11によって追加又は変更される。機械DB12bに記憶される消費電力監視部ID及び表面温度監視部IDは、監視部21,22のそれぞれが各機械に対応付けて設置され、制御部11が入力部14又は通信部13を介して追加又は変更の指示を取得した場合に、制御部11によって追加又は変更される。機械DB12bの記憶内容は図9Bに示す例に限定されず、例えば各機械の工場内の配置場所(配置エリア)等、機械に関する各種の情報を記憶することができる。
作業予定DB12cは、各機械に予定された作業に関する情報を記憶する。図9Cに示す作業予定DB12cは、機械ID列、作業ID列、開始予定日時列、終了予定日時列、作業員ID列等を含む。機械ID列は各機械の識別情報を記憶し、各機械の機械IDは機械DB12bに登録された機械IDを用いる。作業ID列は機械を用いて行う各作業に割り当てられた識別情報を記憶し、開始予定日時列、終了予定日時列及び作業員ID列はそれぞれ、機械ID及び作業IDに対応付けて、各作業の開始予定日時及び終了予定日時と、各作業を担当する作業員(担当者)の作業員IDとを記憶する。作業予定DB12cに記憶される機械IDは予め記憶されている。作業予定DB12cに記憶される作業ID、開始予定日時、終了予定日時及び作業員IDは、制御部11が各機械に予定された新たな作業の情報を入力部14又は通信部13を介して取得した場合に、制御部11によって記憶される。作業予定DB12cの記憶内容は図9Cに示す例に限定されず、機械に割り当てられた作業に関する各種の情報を記憶することができる。例えば、各作業について、機械に対して設定可能なパラメータに対する設定値(例えば処理対象を加熱する際の設定温度等)、作業によって製造される製品の製品番号、製品名、製品の種類、発注元の会社に関する情報等が記憶されてもよい。なお、ここでの作業は1つの注文に係る作業であってもよいし、複数の注文の作業を含んでいてもよい。
稼働状況DB12dは、各機械の稼働状況に関する情報を記憶する。図10Aに示す稼働状況DB12dは、機械ID列、作業ID列、作業開始日時列、作業終了日時列、消費電力列、表面温度列等を含む。機械ID列は各機械の識別情報を記憶し、各機械の機械IDは機械DB12bに登録された機械IDを用いる。作業ID列は機械を用いて行う各作業に割り当てられた識別情報を記憶し、作業開始日時列及び作業終了日時列はそれぞれ、機械ID及び作業IDに対応付けて、各作業が実際に開始された日時及び終了した日時を記憶する。消費電力列は、機械ID及び作業IDに対応付けて、機械に対応して設けられた消費電力監視部21から取得した機械における消費電力に関する情報を記憶する。具体的には、消費電力列は日時列及び電力量列を含み、日時列及び電力量列はそれぞれ、消費電力監視部21が機械における消費電力を計測した計測日時及び計測結果(電力量)を記憶する。表面温度列は、機械ID及び作業IDに対応付けて、機械に対応して設けられた表面温度監視部22から取得した処理対象の表面温度に関する情報を記憶する。具体的には、表面温度列は日時列及び温度列を含み、日時列及び温度列はそれぞれ、表面温度監視部22が処理対象の表面温度を計測した計測日時及び計測結果(温度)を記憶する。これにより、稼働状況DB12dは、各機械における消費電力量を時系列データとして蓄積でき、各機器の処理対象の表面温度を時系列データとして蓄積できる。
なお、消費電力及び表面温度の計測日時は、消費電力監視部21及び表面温度監視部22が計測結果と共に管理装置10へ出力する計測日時を用いるが、管理装置10が消費電力監視部21及び表面温度監視部22から計測結果を取得した取得日時であってもよい。また、消費電力及び表面温度は、消費電力及び表面温度の時系列変化を示す波形データを記憶部12の所定領域又は管理装置10に接続された外部記憶装置に記憶してもよい。この場合、消費電力列及び表面温度列には、消費電力及び表面温度の時系列変化を示す波形データを読み出すための情報(例えばデータの記憶場所を示すファイル名)を記憶してもよい。稼働状況DB12dに記憶される機械IDは予め記憶されている。稼働状況DB12dに記憶される作業ID及び作業開始日時は、作業予定DB12cの記憶内容に基づいて各機械が作業を開始する際に、制御部11によって記憶され、作業終了日時は、各機械が作業を終了した場合に、制御部11によって記憶される。稼働状況DB12dに記憶される消費電力及び表面温度の情報は、制御部11が通信部13を介して各監視部21,22から消費電力及び表面温度の情報を取得する都度、制御部11によって記憶される。稼働状況DB12dの記憶内容は図10Aに示す例に限定されず、機械の稼働状況に関する各種の情報を記憶することができる。例えば、各作業について、機械に対して設定可能なパラメータに対する設定値等が記憶されてもよい。
稼働履歴DB12eは、稼働状況DB12dに蓄積された情報に基づいて分析された各機械の稼働履歴に関する情報を記憶する。図10Bに示す稼働履歴DB12eは、機械ID列、作業ID列、作業員ID列、中断状態情報列等を含む。機械ID列は各機械の識別情報を記憶し、各機械の機械IDは機械DB12bに登録された機械IDを用いる。作業ID列は機械IDに対応付けて、機械を用いて行う各作業の識別情報を記憶し、各作業の作業IDは作業予定DB12cに記憶された作業IDを用いる。作業員ID列は機械ID及び作業IDに対応付けて、各作業員の識別情報を記憶し、各作業員の作業員IDは作業員DB12aに登録された作業員IDを用いる。中断状態情報列は、機械ID及び作業IDに対応付けて、作業中に機械が処理(稼働)を中断した状態であると判定された状況に関する情報を記憶する。具体的には、中断状態情報列は状態ID列、開始日時列、終了日時列及び要因列を含み、状態ID列は、中断状態であると判定された各状況(状態)に割り当てられた識別情報を記憶する。開始日時列及び終了日時列はそれぞれ、機械が中断状態であると判定された状況の開始日時、及び中断状態が解消されて通常動作を再開した終了日時を記憶する。要因列は、機械が中断状態となった要因(原因)に関する情報を記憶する。なお、要因列は、各要因を記憶してもよいし、各要因に割り当てられた識別情報を記憶してもよい。これにより、稼働履歴DB12eは、各機械において各作業中に生じた中断状態について発生開始日時、終了日時及び発生要因を記憶(蓄積)する。
稼働履歴DB12eに記憶される機械ID、作業ID及び作業員IDは、稼働状況DB12dに対応付けて記憶されている機械ID、作業ID及び作業員IDが制御部11によって読み出されて記憶される。稼働履歴DB12eに記憶される中断状態情報は、稼働状況DB12dに蓄積された消費電力及び表面温度の情報に基づいて制御部11が、機械による作業中に中断状態が発生しているか否かの検出処理を行った場合に、制御部11によって記憶される。なお、制御部11によって中断状態が発生しているか否かを検出する処理は、各作業が終了した後の任意のタイミングで行うことができる。稼働履歴DB12eの記憶内容は図10Bに示す例に限定されない。
以下に、上述した構成の管理装置10が行う処理について説明する。図11は、管理装置10による監視部21,22の計測結果の蓄積処理の手順例を示すフローチャートである。以下の処理は、管理装置10の記憶部12に記憶してある制御プログラム12P及び業務管理アプリ12APに従って制御部11によって実行される。本実施形態の管理システムにおいて、消費電力監視部21は所定時間の経過毎に、それぞれ対応する機械に供給される電力量(消費電力量)を計測し、計測日時、計測結果(消費電力量)及び自身(消費電力監視部21)の消費電力監視部IDを含む計測情報を管理装置10へ出力する。同様に表面温度監視部22は所定時間の経過毎に、それぞれ対応する機械が処理する処理対象の表面温度を計測し、計測日時、計測結果(表面温度)及び自身(表面温度監視部22)の表面温度監視部IDを含む計測情報を管理装置10へ出力する。また、各機械に対して、実行すべき作業内容(作業の開始予定日時及び終了予定日時と、担当する作業員)が決定され、図9Cに示すように作業予定DB12cに、各機械に割り当てられた作業に関する情報が記憶されているものとする。
管理装置10の制御部11は、作業予定DB12cの記憶内容に基づいて、各機械について開始すべき作業があるか否かを判断する(S11)。ステップS11において制御部11は、作業予定DB12cに記憶してある各機械に対する各作業の開始予定日時が到来(経過)したか否かを判断しており、開始予定日時が到来した場合、開始すべき作業があると判断する。開始すべき作業があると判断した場合(S11:YES)、制御部11は、開始すべき作業に関する作業情報を稼働状況DB12dに記憶する(S12)。ステップS12において制御部11は、作業を開始すべき機械の機械IDに対応付けて、開始すべき作業の作業ID及び現在日時(作業開始日時)を稼働状況DB12dに記憶する。開始すべき作業がないと判断した場合(S11:NO)、制御部11は、ステップS12の処理をスキップする。
制御部11は、監視部21,22のいずれかから出力される計測情報を通信部13により取得したか否かを判断しており(S13)、計測情報を取得したと判断した場合(S13:YES)、取得した計測情報に対応する機械を特定する(S14)。ステップS14において制御部11は、取得した計測情報を計測した監視部21,22の監視対象である機械を特定する。具体的には、制御部11は、取得した計測情報に含まれる消費電力監視部ID又は表面温度監視部IDを抽出し、抽出した監視部IDに対応する機械(機械ID)を機械DB12bに基づいて特定する。次に制御部11は、取得した計測情報に対応する作業を特定する(S15)。ステップS15において制御部11は、監視部21,22が計測情報を取得したときに監視対象の機械が実行中であった作業を特定する。具体的には、制御部11は、取得した計測情報に含まれる計測日時を抽出し、抽出した計測日時と、ステップS14で特定した機械について稼働状況DB12dに記憶してある各作業の作業開始日時とに基づいて、抽出した計測日時に対応する作業(作業ID)を特定する。
制御部11は、ステップS14で特定した機械の機械IDと、ステップS15で特定した作業の作業IDとに対応付けて、取得した計測情報を稼働状況DB12dに記憶(蓄積)する(S16)。ステップS16において制御部11は、取得した計測情報に含まれる計測日時及び計測結果(消費電力量又は表面温度)を抽出し、抽出した計測日時及び計測結果を対応付けて稼働状況DB12dに記憶する。制御部11は、監視部21,22のそれぞれから計測情報を取得する都度、ステップS14〜S16の処理を行う。これにより、各機械を監視する消費電力監視部21によって計測された各機械に供給される電力量と、各機械を監視する表面温度監視部22によって計測された各機械が処理する対象の表面温度とが、各機械の稼働状態を示す稼働情報として稼働状況DB12dに蓄積される。
監視部21,22から出力される計測情報を取得していないと判断した場合(S13:NO)、制御部11は、ステップS14〜S16の処理をスキップし、終了した作業があるか否かを判断する(S17)。ステップS17において制御部11は、例えば通信部13又は入力部14を介して、終了した作業に関する終了情報を取得するように構成されており、終了情報を取得した場合、終了した作業があると判断する。なお、各機械を稼働させる作業員は、予定していた作業が終了した場合、例えば機械に設けられた操作部、自身に割り当てられた端末又は管理装置10の入力部14を介して作業の終了を入力する。よって、制御部11は、通信部13又は入力部14を介して、各作業の終了情報を取得できる。終了した作業があると判断した場合(S17:YES)、制御部11は、作業を終了した機械の機械ID及び終了した作業の作業IDに対応付けて、作業終了日時を稼働状況DB12dに記憶する(S18)。なお、作業終了日時は、制御部11が通信部13又は入力部14を介して取得する終了情報に含まれていてもよいし、制御部11が、終了情報を取得した時点での日時でもよい。終了した作業がないと判断した場合(S17:NO)、制御部11は、制御部11は、ステップS18の処理をスキップしてステップS11の処理に戻る。
上述した処理により、制御部11は、開始すべき作業があれば、この作業の作業情報を稼働状況DB12dに記憶し、いずれかの監視部21,22からの計測情報を取得する都度、取得した計測情報を稼働状況DB12dに記憶し、終了した作業があれば、この作業の終了日時を稼働状況DB12dに記憶する。これにより、各機械について各作業の稼働状態を示す稼働情報として、各機械に供給される電力量の時系列データと、各機械の処理対象の表面温度の時系列データとが稼働状況DB12dに蓄積される。
図12は、管理装置10による各機械の稼働履歴の分析処理の手順例を示すフローチャート、図13は、管理装置10による分析処理の説明図である。以下の処理は、管理装置10の記憶部12に記憶してある制御プログラム12P及び業務管理アプリ12APに従って制御部11によって実行される。管理装置10の制御部11は、各機械において終了した作業について以下の処理を行う。終了した作業は例えば、稼働状況DB12dに作業終了日時が記憶されている作業である。
管理装置10の制御部(電力量取得部、計測値取得部)11は、終了した作業に関する稼働情報を稼働状況DB12dから読み出す(S21)。ステップS21において制御部11は、1つの作業について機械ID、作業ID、消費電力に関する情報(消費電力量の時系列データ)、表面温度に関する情報(表面温度の時系列データ)を稼働状況DB12dから読み出し、読み出した機械ID及び作業IDに対応する作業員IDを作業予定DB12cから読み出す。制御部11は、読み出した稼働情報に基づいて、この作業の稼働内容を稼働履歴DB12eに記憶する(S22)。ステップS22において制御部11は、読み出した機械IDに対応付けて、読み出した作業ID及び作業員IDを稼働履歴DB12eに記憶する。
図13の下側のグラフは、消費電力量の時系列データを示しており、消費電力量の時系列データは、横軸を時間とし縦軸を消費電力量として示されている。図13の上側の3つのグラフはそれぞれ、機械の処理対象の表面温度の時系列データを示しており、表面温度の時系列データは、横軸を時間とし縦軸を温度として示されている。図13に示す例では、機械の処理対象に対して3箇所の表面温度を計測(監視)しているが、表面温度の計測箇所の数はこれに限らない。
制御部(電力変動取得部)11は、稼働状況DB12dから読み出した消費電力量の時系列データに基づいて、この作業中に機械に供給された電力量(消費電力量)の変動を示す変動情報を取得する(S23)。ステップS23において制御部11は、消費電力量の時系列データにおいて、前後の消費電力量を比較し、前の消費電力量との差異(変動)を順次算出する。なお制御部11は、連続する所定個の消費電力量の平均値を算出し、算出した平均値と、次の消費電力量との差異を変動情報として算出してもよい。また制御部(計測値変動取得部)11は、稼働状況DB12dから読み出した処理対象の表面温度の時系列データに基づいて、この作業における処理対象の表面温度の変動を示す変動情報を取得する(S24)。ステップS24において制御部11は、表面温度の時系列データにおいて、前後の表面温度を比較し、前の表面温度との差異(変動)を順次算出する。なお制御部11は、連続する所定個の表面温度の平均値を算出し、算出した平均値と、次の表面温度との差異を変動情報として算出してもよい。
制御部(分析部)11は、ステップS23で取得した消費電力量の変動情報と、ステップS24で取得した表面温度の変動情報とに基づいて、この作業中に中断状態が発生したか否かを判断(分析)する(S25)。ステップS25において制御部11は、消費電力量の変動量及び表面温度の変動量がそれぞれ所定値未満である場合、機械は正常に動作している正常状態であると判断する。また制御部11は、消費電力量の変動量が所定値以上である場合や、表面温度の変動量が所定値以上である場合(即ち異常変動が生じた場合)、機械は正常に動作しておらず作業を中断している中断状態であると判断する。処理対象に対して加熱処理を行う機械の場合、作業員が正常に作業(機械を稼働)していれば、機械に供給される電力量(機械による消費電力量)は略一定量となり、処理される対象物の表面温度も略一定値となる。一方、何らかの要因で作業員が正常に作業できていない場合、機械に供給される電力量に変動が生じ、処理される対象物の表面温度にも変動が生じる。例えば何らかのトラブルが発生した場合、作業員は機械の動作を停止させたり機械の電源をオフしたりする。この場合、機械の消費電力量が急激に低下する。よって、機械の消費電力量の変動量が所定値以上となった場合、機械による作業が中断されている中断状態であると判断できる。また、何らかのトラブルが発生して処理対象の織物や生地等が機械中で停滞した場合、同じ箇所が加熱処理され続けるので、処理対象の表面温度が設定温度以上に上昇する。また逆に、処理対象の織物や生地等が適切に加熱されなかった場合、処理対象の表面温度が設定温度まで上昇しない。よって、処理対象の表面温度の変動量が所定値以上となった場合(異常変動が生じた場合)、機械による作業が中断されている中断状態であると判断できる。
制御部(要因特定部)11は、中断状態が発生したと判断した場合(S25:YES)、発生した中断状態の要因を特定(分析)する(S26)。ステップS26において制御部11は、例えば中断状態であると判断した消費電力量の変動状態及び表面温度の変動状態に基づいて、中断状態の発生要因を特定する。ステップS25〜S26において制御部11は、例えばテンプレートマッチング技術によって、作業中に中断状態が発生したか否かを判断する処理と、発生した中断状態の要因を特定する処理とを行う。具体的には、中断状態の要因毎に、各要因で中断状態が発生した場合に機械の消費電力量において生じる一般的な消費電力量の変動情報(変動波形)に基づくテンプレートと、処理対象の表面温度において生じる一般的な表面温度の変動情報(変動波形)に基づくテンプレートとを予め記憶部12に記憶しておく。そして制御部11は、ステップS23で取得した消費電力量の変動情報に、いずれかのテンプレートに一致する変動波形が含まれるか否かを検知し、また、ステップS24で取得した表面温度の変動情報に、いずれかのテンプレートに一致する変動波形が含まれるか否かを検知する。制御部11は、消費電力量の変動情報及び/又は表面温度の変動情報に、テンプレートに一致する変動波形を検知した場合、中断状態が発生していると判断し、更に、一致したテンプレートに対応付けられた要因を、検知した中断状態の発生要因に特定する。
なお、中断状態の要因は、例えば作業員の操作ミス、作業員のモラル欠如等がある。作業員の操作ミスによる中断状態とは、例えば作業員による設定温度の設定間違いによって生じる中断状態であり、この場合、消費電力量や処理対象の表面温度が段階的に変動するという特徴がある。また、作業員のモラル欠如による中断状態には、例えば何らかのトラブルが発生して作業が中断された場合に作業を再開するまでに時間を要している中断状態があり、この場合、消費電力量や処理対象の表面温度が正常値に戻るまでに要する時間が所定時間未満でない(所定時間以上である)という特徴がある。このように発生要因毎に、消費電力量や表面温度の変動に生じる特徴があり、このような特徴に基づいて、発生した中断状態の発生要因を特定できる。中断状態の発生要因は上述した例に限定されない。なお、ステップS25〜S26において制御部11は、消費電力量の変動情報及び表面温度の変動情報に基づいて中断状態の発生を判断する代わりに、監視部21,22から取得した消費電力量の時系列データ及び表面温度の時系列データに基づいて中断状態の発生を判断してもよい。
また、ステップS26において制御部11は、中断状態の発生要因を特定する際に、作業員のミス等が要因ではない中断状態であるか否かを特定してもよい。作業員のミス等が要因ではない中断状態とは、例えばロット切替による設定変更のために発生した中断状態、電力の瞬断や停電によって発生した中断状態等である。具体的には、制御部11は、例えば機械の消費電力量が0となった期間が所定期間未満であった場合、ロット切替による中断状態又は電力の瞬断や停電による中断状態であると判断してもよい。また制御部11は、テンプレートマッチング技術によって、各中断状態が、ロット切替による中断状態、電力の瞬断や停電による中断状態であるか否かを判断する処理を行ってもよい。
制御部11は上述した処理により、図13に示す時系列データにおいて、例えば矢符1で示す時点は瞬断によって生じた中断状態であると判断し、矢符2で示す時点は作業員の操作ミスによって生じた中断状態であると判断する。また制御部11は、矢符3で示す時点はロット切替によって生じた中断状態であると判断し、矢符4で示す時点は作業員の操作ミスによって生じた中断状態であると判断する。
制御部11は、検出した中断状態について、中断状態を示す情報を生成して稼働履歴DB12eに記憶する(S27)。ステップS27において制御部11は、消費電力量の変動情報及び表面温度の変動情報において、検出した中断状態の開始日時及び終了日時を抽出する。そして制御部11は、状態IDを発行し、状態IDと、抽出した開始日時及び終了日時と、ステップS26で特定した要因とを対応付けて中断状態情報として稼働履歴DB12eに記憶する。なお、制御部11は、ステップS26で作業員のミス等が要因ではない中断状態であると特定した場合、この中断状態に関する中断状態情報を稼働履歴DB12eに記憶させない構成としてもよい。稼働履歴DB12eに記憶した稼働履歴(中断状態情報)は、各作業員の作業内容や各機械の稼働内容を評価する際に用いることができる。よって、作業員のミス等が要因ではない中断状態の情報を稼働履歴DB12eに記憶させないことにより、各作業員の作業内容や各機械の稼働内容を評価する際に用いる情報から、作業員のミス等が要因ではない中断状態の情報を除外することができる。なお、作業員のミス等が要因ではない中断状態に関する中断状態情報も稼働履歴DB12eに記憶させてもよく、この場合、例えば各作業員がロット切替に要する時間を計測できるので、ロット切替に要する時間の長短によって作業員の作業内容の評価を行うことができる。制御部11は、中断状態が発生していないと判断した場合(S25:NO)、ステップS26〜S27の処理をスキップする。
制御部11は、ステップS23で取得した消費電力量の変動情報と、ステップS24で取得した表面温度の変動情報とに対して、変動情報の最初から順に中断状態の有無を検出する処理を行っており、変動情報の最後まで処理を行ったか否かを判断する(S28)。変動情報の最後まで処理を行っていないと判断した場合(S28:NO)、制御部11は、ステップS25の処理に戻り、この作業中に中断状態が発生したか否かを判断する処理を継続する。変動情報の最後まで処理を行ったと判断した場合(S28:YES)、制御部11は、稼働状況DB12dに記憶してある稼働情報に基づいて分析処理すべき全ての作業について処理を終了したか否かを判断する(S29)。分析処理すべき全ての作業について処理を終了していないと判断した場合(S29:NO)、制御部11は、ステップS21の処理に戻り、未処理の作業について作業に関する稼働情報を稼働状況DB12dから読み出し(S21)、ステップS22〜S28の処理を行う。分析処理すべき全ての作業について処理を終了したと判断した場合(S29:YES)、制御部11は処理を終了する。これにより、稼働状況DB12dに蓄積された、監視部21,22が監視する各機械の消費電力量と処理対象の表面温度とに基づいて、作業中の中断状態の有無を検出でき、中断状態が発生した場合に中断状態に関する情報を稼働履歴DB12eに蓄積できる。
図14は、管理装置10による分析結果の表示処理の手順例を示すフローチャート、図15及び図16は、画面例を示す模式図である。以下の処理は、管理装置10の記憶部12に記憶してある制御プログラム12P及び業務管理アプリ12APに従って制御部11によって実行される。管理装置10の制御部11は、例えば入力部14を介して業務管理アプリ12APの実行指示を受け付けた場合、業務管理アプリ12APを起動(実行)する(S41)。業務管理アプリ12APを起動した場合、制御部11は、図15Aに示す初期画面を表示部15に表示する(S42)。図15Aに示す初期画面は、分析すべき対象を選択するための選択画面であり、作業員別分析ボタン及び機械別分析ボタンを表示する。作業員別分析ボタンは、作業員毎に作業履歴についての分析処理の実行を指示する際に操作するボタンであり、機械別分析ボタンは、機械毎に稼働履歴についての分析処理の実行を指示する際に操作するボタンである。
管理装置10のユーザは、作業員毎の分析処理を実行したいか、機械毎の分析処理を実行したいかに応じて、作業員別分析ボタン又は機械別分析ボタンを入力部14にて選択操作する。制御部11は、入力部14を介して作業員別分析の実行指示を受け付けたか否かを判断しており(S43)、作業員別分析の実行指示を受け付けたと判断した場合(S43:YES)、図15Bに示す作業員選択画面を表示部15に表示する(S44)。図15Bに示す選択画面は、分析対象の作業員の作業員IDを入力するための入力欄を有し、入力欄には、複数の作業員の作業員IDから任意の1つを選択するためのプルダウンメニューが設定されている。管理装置10のユーザは、作業員選択画面において、作業状態を分析したい作業員の作業員IDをプルダウンメニューにて入力欄に入力する。制御部11は、入力欄によって選択された作業員を受け付ける(S45)。
制御部(担当者情報取得部)11は、選択された作業員の作業履歴(機械の稼働履歴)の情報を稼働履歴DB12eから読み出す(S46)。ステップS46において制御部11は、稼働履歴DB12eから、選択された作業員の作業員IDに対応する機械ID、作業ID及び中断状態情報を読み出す。そして制御部11は、読み出した作業履歴の情報に基づいて、図15Cに示すように作業履歴を表示するための作業履歴画面(評価情報)を生成する(S47)。図15Cに示す作業履歴画面は、各作業日について、中断状態の発生回数の推移を示すグラフを表示する。図15Cに示す作業履歴画面を生成する場合、ステップS47において制御部(算出部)11は、稼働履歴DB12eから読み出した中断状態情報に基づいて、それぞれの作業日毎に中断状態の発生回数を計数し、計数した各作業日の中断状態の発生回数を示すグラフを生成し、生成したグラフを表示する表示画面を生成する。なお、各作業日における中断状態の発生回数の推移を示すグラフのほかに、各作業日において中断状態の継続時間の合計の推移を示すグラフを表示する作業履歴画面を生成してもよい。この場合、制御部(算出部)11は、稼働履歴DB12eから読み出した中断状態情報に基づいて、それぞれの作業日毎に中断状態の継続時間を計測し、計測した各作業日の中断状態の継続時間を示すグラフを生成し、生成したグラフを表示する表示画面を生成する。
制御部11は、生成した作業履歴画面(分析結果)を表示部15に表示する(S48)。このような作業履歴画面を表示することにより、各作業員について作業中に生じた中断状態の発生回数や継続時間の作業日毎の推移を把握できる。よって、各作業員に対して、機械の稼働状態に基づいて作業内容を分析した分析結果を表示(出力)することができる。
ステップS43で制御部11は、作業員別分析の実行指示を受け付けていないと判断した場合(S43:NO)、即ち、機械別分析の実行指示を受け付けた場合、図16Aに示す機械選択画面を表示部15に表示する(S49)。図16Aに示す選択画面は、分析対象の機械の機械IDを入力するための入力欄を有し、入力欄には、複数の機械の機械IDから任意の1つを選択するためのプルダウンメニューが設定されている。管理装置10のユーザは、機械選択画面において、稼働状態を分析したい機械の機械IDをプルダウンメニューにて入力欄に入力する。制御部11は、入力欄によって選択された機械を受け付ける(S50)。
制御部11は、選択された機械の稼働履歴の情報を稼働履歴DB12eから読み出す(S51)。ステップS51において制御部11は、稼働履歴DB12eから、選択された機械の機械IDに対応する中断状態情報を読み出す。そして制御部11は、読み出した稼働履歴の情報(中断状態情報)に基づいて、図16Bに示すように稼働履歴を表示するための稼働履歴画面(評価情報)を生成する(S52)。図16Bに示す稼働履歴画面は、図15Cに示す作業履歴画面と同様の構成を有し、各作業日について、中断状態の発生回数の推移を示すグラフを表示する。図16Bに示す稼働履歴画面を生成する場合、ステップS52において制御部11は、稼働履歴DB12eから読み出した中断状態情報に基づいて、それぞれの作業日毎に中断状態の発生回数を計数し、計数した各作業日の中断状態の発生回数を示すグラフを生成し、生成したグラフを表示する表示画面を生成する。なお、各作業日における中断状態の発生回数の推移を示すグラフのほかに、各作業日において中断状態の継続時間の合計の推移を示すグラフを表示する稼働履歴画面を生成してもよい。この場合、制御部11は、稼働履歴DB12eから読み出した中断状態情報に基づいて、それぞれの作業日毎に中断状態の継続時間を計測し、計測した各作業日の中断状態の継続時間を示すグラフを生成し、生成したグラフを表示する表示画面を生成する。
制御部(出力部)11は、生成した稼働履歴画面を表示部15に表示する(S53)。このような稼働履歴画面を表示することにより、各機械について稼働中に生じた中断状態の発生回数や継続時間の作業日毎の推移を把握できる。よって、各機械に対して、機械の稼働状態を分析した分析結果を表示(出力)することができる。
本実施形態では、工場内に設置された各機械に対して、機械における消費エネルギー(消費電力量や処理対象の表面温度)の変動が小さくなるように各処理が割り当てられている。このように割り当てられた処理計画に従って各機械を稼働させ、各機械について、供給される電力量(消費電力量)の時系列での変動と、処理対象の表面温度の時系列での変動とに基づいて、機械の稼働状態を分析できる。具体的には、各機械の消費電力量の時系列での変動と、処理対象の表面温度の時系列での変動とに基づいて、各機械が正常な処理(作業)を行っているか、処理(作業)を中断しているかを判断する。例えば消費電力量の変動が所定値未満であり、処理対象の表面温度の変動が所定値未満である場合に、機械が正常な処理を行っていると判断される。消費電力量の変動が小さい場合、トータルとしての消費電力量が低減でき省エネを実現できることが知られている。また各機械における消費電力量及び表面温度の変動が小さい場合、各機械における設定値(加熱処理における温度条件)の変更(ロット切替)の回数が少ない可能性が高い。各機械において設定値の変更が行われた場合、設定値の変更後に機械が安定して動作するまでに多少の時間を要する。一方、設定値の変更回数が少ない場合、機械が安定して稼働する時間が長くなり、また設定値の変更に要する作業員の操作が不要となるので作業員の操作ミスが減少する。よって、各機械における消費電力量及び表面温度の変動が小さい場合、各機械において効率良く処理が行われていると判断できる。従って、消費電力量の変動及び表面温度の変動に基づいて、各作業員の作業効率や各機械の生産効率を分析できる。
本実施形態では、消費電力量の変動及び処理対象の表面温度の変動という少ない指標に基づいて各機械の稼働状態や生産効率を分析できる。機械の稼働状態を分析する場合、機械の内部データを用いることは多いが、本実施形態の管理システムでは、機械の内部データを用いることなく、機械の外部から検出できる情報のみを用いて機械の稼働状態を分析できる。また、各機械を稼働させる作業者を管理することにより、各機械の稼働状態に基づいて、各作業者の作業内容や作業効率を分析できる。よって、各機械について分析した稼働状態や生産効率、各作業者について分析した作業内容や作業効率に対して評価処理を行うことができる。また、分析結果(例えば作業の中断の発生要因)に基づいて、改善すべき点をアドバイスすることができ、今後の生産効率や作業効率の改善を支援できる。なお、機械の消費電力量は、例えば消費電力監視部21を電力の供給線(電源ケーブル)に装着することによって計測(検出)でき、処理対象の表面温度は、例えばサーモカメラを用いる場合には処理対象の表面に非接触状態で計測(検出)できる。よって、本実施形態の監視システムを工場内に導入する際に、工場側の作業負担を増加させることがなく、また、機械の稼働を妨げることなく機械の消費電力量及び処理対象の表面温度を検出できるので、本実施形態の監視システムを工場内に容易に導入できる。
本実施形態では、各機械の作業中に発生した中断状態について発生要因を特定できる。よって、図15Cに示すような作業員毎の分析結果や図16Bに示すような機械毎の分析結果だけでなく、発生要因毎の分析結果を表示した画面を生成することもできる。この場合、例えば制御部11は、入力部14を介して複数の発生要因のいずれかに対する選択を受け付け、稼働履歴DB12eから読み出した中断状態情報に基づいて、選択された発生要因について、作業日毎における中断状態の発生回数や継続時間の推移を示すグラフを生成する。これにより、各発生要因について、各発生要因によって発生した中断状態の発生回数や継続時間の推移を把握できる。また本実施形態では、例えば中断状態の発生回数や継続時間に基づいて、各作業員の作業状態に対する評価情報(スコア)を算出し、作業員の評価ランキングを生成することもできる。同様に各機械の稼働状態に対する評価情報(スコア)を算出し、機械の評価ランキングを生成することもできる。
本実施形態では、機械毎に稼働状態を分析できるので、機械毎の詳細な分析や作業者毎の詳細な分析が可能である。このほかに、工場内のエリア毎に稼働状態を分析してもよく、工場全体の稼働状態を分析してもよい。エリア毎に分析する場合、例えば管理装置10は、各エリアに設置された機械の消費電力量の変動値の合計を算出し、変動値の合計の時系列データを取得する。また管理装置10は、各エリアに設置された機械の処理対象の表面温度の変動値の合計を算出し、変動値の合計の時系列データを取得する。そして管理装置10は、消費電力量の変動値の合計及び表面温度の変動値の合計がそれぞれ所定値未満であるか否かを判断し、所定値未満であれば、このエリアの各機械は正常に動作している正常状態であると判断してもよい。同様に、工場内に設置された全機械の消費電力量の変動値の合計(合計の時系列データ)を算出し、全機械の処理対象の表面温度の変動値の合計(合計の時系列データ)を算出する。そして管理装置10は、工場全体における消費電力量の変動値の合計及び表面温度の変動値の合計がそれぞれ所定値未満であるか否かを判断し、所定値未満であれば、工場全体として各機械は正常に動作している正常状態であると判断してもよい。
本実施形態において、図15Cに示す作業履歴画面を、例えばこの作業員に対して上司や先輩等が何らかのアドバイスを行った場合に、アドバイスした日付及びアドバイス内容を登録できるように構成してもよい。例えば作業履歴画面に日付及びアドバイス内容を入力するための入力欄を設け、管理装置10の制御部11は、入力部14を介して表示中の作業履歴画面の入力欄に対する日付及びアドバイス内容の入力を受け付ける。制御部11は、受け付けた日付及びアドバイス内容を対応付けて記憶部12に記憶しておき、作業履歴画面を表示する際に、日付に対応付けてアドバイス内容を表示させる。これにより、作業履歴画面にて表示される中断状態の発生回数において、この作業員にアドバイスを行った前後における中断状態の発生回数の変化を把握することができ、アドバイスによって作業内容及び作業効率が改善されたか否かを判断(評価)できる。例えば、アドバイス後に中断状態の発生回数が減少した場合、作業員が上司のアドバイスに従って作業内容を改善した可能性が高く、アドバイス前後で中断状態の発生回数に変化がなかった場合、作業員が上司のアドバイスを無視している可能性が高い。よって、このような情報に基づいて、各作業員の作業内容を評価することができる。
同様に、図16Bに示す稼働履歴画面を、例えばこの機械に対してメンテナンスを行った場合に、メンテナンスした日付及びメンテナンス内容を登録できるように構成してもよい。例えば稼働履歴画面に日付及びメンテナンス内容を入力するための入力欄を設け、管理装置10の制御部11は、入力部14を介して表示中の稼働履歴画面の入力欄に対する日付及びメンテナンス内容の入力を受け付ける。制御部11は、受け付けた日付及びメンテナンス内容を対応付けて記憶部12に記憶しておき、稼働履歴画面を表示する際に、日付に対応付けてメンテナンス内容を表示させる。これにより、稼働履歴画面にて表示される中断状態の発生回数において、この機械にメンテナンスが行われた前後における中断状態の発生回数の変化を把握することができ、メンテナンスによって稼働内容及び稼働効率が改善されたか否かを判断(評価)できる。
本実施形態において、各機械の消費電力量の変動と処理対象の表面温度の変動とに基づいて、各機械が正常な処理を行っているか中断状態であるかを判断するほかに、消費電力量の変動のみに基づいて中断状態であるか否かを判断してもよい。この場合、各機械に対応付けて消費電力監視部21のみを設け、管理装置10は、消費電力監視部21が監視する各機械の消費電力量の変動に基づいて、各機械が正常な処理を行っているか中断状態であるかを判断してもよい。また、本実施形態では、割当装置50と管理装置10とは各別の装置として説明したが、1つの装置によって割当装置50及び管理装置10が行う処理を実現してもよい。
(実施形態4)
実施形態2の割当装置50によって、加圧処理を行う各機械に、各機械が行うべき処理(注文情報に係る処理)が割り当てられた後、この処理計画に従って各機械が稼働した場合に、各機械の稼働状態を管理する管理システムについて説明する。本実施形態の管理システムは、工場内の各機械の稼働状態を、各機械に供給する電力量(消費電力量)と、各機械の稼働に伴って変動(設定変更)する加圧処理における圧力値(設定値)とに基づいて分析して管理する。
図17は、実施形態4の管理システムの構成例を示すブロック図である。本実施形態の管理システムは、実施形態3の管理システムにおいて、表面温度監視部22の代わりに、それぞれの機械に対応付けて設けられた設定値監視部23a,23b…を含む。それ以外の構成は、実施形態3と同様であり、同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。なお、以下では、設定値監視部23a,23b…をまとめて設定値監視部23といい、消費電力監視部21及び設定値監視部23をまとめて監視部21,23ということがある。設定値監視部23のそれぞれは、有線通信又は無線通信によって管理装置10と通信可能に構成されており、ネットワーク経由で管理装置10と通信するように構成されていてもよい。監視部23は内蔵された電池からの電力で動作する電池式の計測器であることが望ましい。
設定値監視部23は、工場内の機械毎に設けられ、例えば各機械が行う加圧処理に対して設定される圧力条件(圧力値)を監視(検出)する。設定値監視部23は、例えば各機械の内部に設けられてもよく、この場合、設定値監視部23は、機械の入力部を介して作業者が設定した圧力値を取得(監視)する。また設定値監視部23は、各機械の外部に設けられてもよく、この場合、設定値監視部23に入力部を設け、機械に対して設定された圧力値を入力部を介して取得する。なお、このような構成の場合、作業者は、機械に対して圧力値を設定した際に、設定した圧力値を設定値監視部23の入力部を介して入力しておく。また各機械に設定値(設定された圧力値)を表示するための表示部を設け、設定値監視部23に画像センサを設け、機械に対して設定されて表示部に表示された圧力値を画像センサにて取得するように構成してもよい。このような構成とした場合、作業者は機械に対して通常の作業のみを行えばよいので、作業者の作業負担は増加しない。設定値監視部23は、例えば数秒毎、数十秒毎等の所定時間毎に圧力値を取得(検出)し、取得した圧力値を、取得した時点の時刻(取得日時)と共に管理装置10へ出力する。
本実施形態の管理システムでは、管理装置10は、消費電力監視部21から各機械の消費電力量を取得して蓄積する処理、設定値監視部23から各機械に設定された設定値(圧力値)を取得して蓄積する処理、蓄積された各情報に基づいて各機器の稼働状態を分析する処理、分析結果を出力する処理等、種々の情報処理を行う。なお、本実施形態では、実施形態3の管理システムにおける表面温度を圧力値(設定値)に読み替える。例えば本実施形態の機械DB12bは、図9Bに示す機械DB12bにおいて表面温度監視部ID列の代わりに設定値監視部ID列を有する。機械DB12bの設定値監視部ID列は、機械IDに対応付けて、各機械に対応付けて設けられた設定値監視部23に予め割り当てられた識別情報を記憶する。また、本実施形態の稼働状況DB12dは、図10Aに示す稼働状況DB12dにおいて表面温度列の代わりに圧力値列を有する。稼働状況DB12dの圧力値列は、機械ID及び作業IDに対応付けて、機械に対応して設けられた設定値監視部23から取得した圧力値(設定値)に関する情報を記憶する。また圧力値列は日時列及び圧力列を含み、日時列及び圧力列はそれぞれ、設定値監視部23が圧力値を取得した取得日時及び取得結果(圧力値)を記憶する。これにより、本実施形態の稼働状況DB12dは、各機械における消費電力量を時系列データとして蓄積すると共に、各機器に設定された圧力値を時系列データとして蓄積する。
本実施形態の管理システムにおいて、管理装置10は図11に示す処理と同様の処理を行う。なお、本実施形態の管理装置10では、制御部11は、ステップS13において、消費電力監視部21から出力される計測情報又は設定値監視部23から出力される設定値(圧力値)を通信部13により取得したか否かを判断する。そして制御部11は、計測情報又は設定値を取得したと判断した場合(S13:YES)、ステップS14〜S15の処理を行い、ステップS16において、特定した機械の機械IDと、特定した作業の作業IDとに対応付けて、取得した計測情報又は設定値(圧力値)を稼働状況DB12dに記憶する。これにより、各機械を監視する消費電力監視部21によって計測された各機械に供給される電力量と、各機械を監視する設定値監視部23によって取得された各機械に設定された圧力値とが、各機械の稼働状態を示す稼働情報として稼働状況DB12dに蓄積される。よって、本実施形態では、各作業の稼働状態を示す稼働情報として、各機械に供給される電力量の時系列データと、各機械に設定された圧力値の時系列データとが稼働状況DB12dに蓄積される。
図18は、実施形態4の管理装置10による各機械の稼働履歴の分析処理の手順例を示すフローチャートである。図18に示す処理は、図12に示す処理においてステップS24の代わりにステップS61を追加したものである。図12と同様のステップについては説明を省略する。本実施形態の管理システムにおいて、管理装置10の制御部11は、実施形態1と同様にステップS21〜S23の処理を行う。なお、ステップS21において制御部(設定値取得部)11は、1つの作業について機械ID、作業ID、消費電力に関する情報(消費電力量の時系列データ)、圧力値に関する情報(圧力値の時系列データ)を稼働状況DB12dから読み出す。
制御部(設定値変動取得部)11は、稼働状況DB12dから読み出した圧力値の時系列データに基づいて、この作業において設定される圧力値の変動を示す変動情報を取得する(S61)。ステップS61において制御部11は、圧力値の時系列データにおいて、前後の圧力値を比較し、前の圧力値との差異(変動)を順次算出する。なお制御部11は、連続する所定個の圧力値の平均値を算出し、算出した平均値と、次の圧力値との差異を変動情報として算出してもよい。そして制御部11は、ステップS23で取得した消費電力量の変動情報と、ステップS61で取得した圧力値の変動情報とに基づいて、この作業中に中断状態が発生したか否かを判断(分析)する(S25)。なお、ステップS25において制御部11は、消費電力量の変動量及び圧力値の変動量がそれぞれ所定値未満である場合、機械は正常に動作している正常状態であると判断する。また制御部11は、消費電力量の変動量が所定値以上である場合や、圧力値の変動量が所定値以上である場合、機械は正常に動作しておらず作業を中断している中断状態であると判断する。
押出加工によってアルミサッシを成形する機械の場合、適切な形状に成形するためにアルミ合金(ビレット)を押し出す際の圧力を適切に調整する必要がある。このような機械では、作業員が正常に作業(機械を稼働)している場合、機械に供給される電力量(機械による消費電力量)は略一定量となり、設定される圧力値も略一定値となる。一方、何らかの要因で作業員が正常に作業できていない場合、機械に供給される電力量に変動が生じ、設定される圧力値にも変動が生じる。例えば適切な圧力値に設定されていない場合、成形後のアルミサッシが適切な形状とならないので、設定される圧力値が一定値とならない場合(例えば圧力値の変動が所定値以上である場合)、適切な成形が行われておらず作業が中断状態であると判断できる。また、何らかのトラブルが発生して作業員が機械の動作を停止させたり機械の電源をオフした場合、機械の消費電力量が急激に低下する。よって、機械の消費電力量の変動量が所定値以上となった場合、機械による作業が中断されている中断状態であると判断できる。
中断状態が発生したと判断した場合(S25:YES)、制御部11は、発生した中断状態の発生要因を特定する(S26)。ステップS26において制御部11は、例えば中断状態であると判断した消費電力量の変動状態及び圧力値の変動状態に基づいて、中断状態の発生要因を特定する。なお、実施形態3で説明したように、例えばテンプレートマッチング技術によって、作業中に中断状態が発生したか否かを判断する処理と、中断状態の発生要因を特定する処理とを行ってもよい。その後、制御部11は、実施形態3と同様にステップS27〜S29の処理を行う。これにより、稼働状況DB12dに蓄積された、監視部21,23が監視する各機械の消費電力量と設定値(圧力値)とに基づいて、作業中の中断状態の有無を検出でき、中断状態が発生した場合に中断状態に関する情報を稼働履歴DB12eに蓄積できる。
本実施形態の管理装置10は図14に示す処理と同様の処理を行い、図15Cに示すような作業履歴画面や図16Bに示すような稼働履歴画面を表示部15に表示する。よって、作業履歴画面により、各作業員について、作業中に生じた中断状態の発生回数や継続時間等の作業内容を分析した分析結果を提供でき、稼働履歴画面により、各機械について、稼動中に生じた中断状態の発生回数や継続時間等の稼働内容を分析した分析結果を提供できる。
本実施形態においても、実施形態3と同様の効果が得られる。また本実施形態では、押出加工によってアルミサッシを成形する機械のように、設定値が調整(設定)されて稼働する機械において、消費電力量の変動及び設定値の変動という少ない指標に基づいて各機械の稼働状態や生産効率、各作業員の作業状態や作業効率を分析できる。本実施形態の管理システムにおいても、上述した各実施形態で適宜説明した変形例の適用が可能である。
(実施形態5)
管理装置10が分析する各機械の稼働状態及び各作業者の作業状態の分析結果を外部装置に提供する管理システムについて説明する。図19は、実施形態5の管理システムの構成例を示すブロック図である。本実施形態の管理システムは、実施形態3の管理システムと同様の装置10,21,22を含み、更に端末装置30を含む。実施形態3の管理システムと同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。なお、本実施形態の管理装置10は、ネットワークNに接続可能に構成されている。即ち、管理装置10の通信部13は、有線通信又は無線通信によってネットワークNに接続するためのインタフェースを有する。
端末装置30は、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、スマートフォン等の情報処理装置であり、例えば工場長や経営者等が使用する端末である。端末装置30は、各機器の稼働状態や各作業者の作業状態の分析結果を管理装置10に要求する処理、分析結果を管理装置10から取得して表示する処理等、種々の情報処理を行う。端末装置30は、制御部31、記憶部32、通信部33、入力部34、表示部35、読み取り部36等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。端末装置30が有する各構成部31〜36は、管理装置10が有する各構成部11〜16と同様の構成であり同様の処理を行うので説明を省略する。なお、端末装置30の記憶部32は、制御部31が実行する制御プログラム32P、各機器の稼働状態や各作業者の作業状態の分析結果を管理装置10から取得するための業務管理アプリ32AP等を記憶する。また、端末装置30の通信部33は、有線通信又は無線通信によってネットワークNに接続するためのインタフェースを含み、ネットワークN経由で情報の送受信を行う。
端末装置30においても、記憶部32に記憶される制御プログラム32P、業務管理アプリ32AP及び各種のデータは、可搬型記憶媒体3aに記憶しておき、制御部31が読み取り部36を介して可搬型記憶媒体3aから読み取って記憶部32に記憶してもよい。また、記憶部32に記憶される制御プログラム32P、業務管理アプリ32AP及び各種のデータは、制御部31が通信部33を介して外部装置からダウンロードして記憶部32に記憶してもよい。更に、制御プログラム32P、業務管理アプリ32AP及び各種のデータを半導体メモリ3bに記憶しておき、制御部31が、半導体メモリ3bから読み出して記憶部32に記憶してもよい。
本実施形態の管理システムにおいて、管理装置10は図11に示す処理と同様の処理を行う。これにより、各機械を監視する消費電力監視部21によって計測された各機械に供給される電力量と、各機械を監視する表面温度監視部22によって計測された処理対象の表面温度とが、各機械の稼働状態を示す稼働情報として稼働状況DB12dに蓄積される。また、管理装置10は図12に示す処理と同様の処理を行う。これにより、稼働状況DB12dに蓄積された、監視部21,22が監視する各機械の消費電力量と処理対象の表面温度とに基づいて、作業中の中断状態の有無を検出でき、中断状態が発生した場合に中断状態に関する情報を稼働履歴DB12eに蓄積できる。
図20及び図21は、管理装置10による分析結果の提供処理の手順例を示すフローチャートである。図20及び図21では左側に端末装置30が行う処理を、右側に管理装置10が行う処理をそれぞれ示す。以下の説明に用いる図15A〜図16Bに示す画面は実施形態3と同様の構成を有する。端末装置30の制御部31は、例えば入力部34を介して業務管理アプリ32APの実行指示を受け付けた場合、業務管理アプリ32APを起動(実行)する(S71)。業務管理アプリ32APを起動した場合、制御部31は、図15Aに示す初期画面を表示部35に表示する(S72)。
制御部31は、入力部34を介して作業員別分析の実行指示を受け付けたか否かを判断しており(S73)、作業員別分析の実行指示を受け付けたと判断した場合(S73:YES)、図15Bに示す作業員選択画面を表示部35に表示する(S74)。制御部31は、作業員選択画面中の入力欄によって選択された作業員を受け付け(S75)、選択された作業員に関する分析結果を管理装置10に要求する(S76)。
管理装置10の制御部11は、分析結果を要求された作業員の作業履歴(機械の稼働履歴)の情報を稼働履歴DB12eから読み出す(S77)。そして制御部11は、読み出した作業履歴の情報に基づいて、図15Cに示すように、分析を要求された作業員の作業履歴を表示するための作業履歴画面を生成する(S78)。制御部11は、生成した作業履歴画面を、分析結果を要求してきた端末装置30へ送信し(S79)、端末装置30の制御部31は、管理装置10から作業履歴画面(評価情報)を受信し、受信した作業履歴画面を表示部35に表示する(S80)。
ステップS73で制御部31は、作業員別分析の実行指示を受け付けていないと判断した場合(S73:NO)、即ち、機械別分析の実行指示を受け付けた場合、図16Aに示す機械選択画面を表示部35に表示する(S81)。制御部31は、機械選択画面中の入力欄によって選択された機械を受け付け(S82)、選択された機械に関する分析結果を管理装置10に要求する(S83)。
管理装置10の制御部11は、分析結果を要求された機械の稼働履歴の情報を稼働履歴DB12eから読み出す(S84)。そして制御部11は、読み出した稼働履歴の情報(中断状態情報)に基づいて、図16Bに示すように、分析を要求された機械の稼働履歴を表示するための稼働履歴画面を生成する(S85)。制御部11は、生成した稼働履歴画面を、分析結果を要求してきた端末装置30へ送信し(S86)、端末装置30の制御部31は、管理装置10から稼働履歴画面(評価情報)を受信し、受信した稼働履歴画面を表示部35に表示する(S87)。上述した処理により、管理装置10は、各作業員の作業状態や各機械の稼働状態の分析結果(作業履歴画面や稼働履歴画面)を端末装置30に提供できる。
本実施形態においても、実施形態3と同様の効果が得られる。また本実施形態では、例えば工場内に居ない経営者等が、端末装置30を用いて管理装置10から作業履歴画面や稼働履歴画面を閲覧できるので、各作業員の作業状態や各機械の稼働状態を遠隔からでも把握できる。また、端末装置30は、工場長や経営者が使用する端末に限らず、作業員が用いる端末でもよい。この場合、各作業員は、自身の作業状態の分析結果である作業履歴画面を端末装置30にて閲覧することができる。本実施形態の管理システムにおいても、実施形態3で適宜説明した変形例の適用が可能である。また、本実施形態の構成は実施形態4の管理システムにも適用でき、実施形態4の管理システムに適用した場合であっても同様の効果が得られる。
本実施形態においても、中断状態の発生要因毎の分析結果(作業日毎の中断状態の発生回数や継続時間の推移を示すグラフ等)を端末装置30に提供してもよい。この場合、端末装置30は、発生要因毎の分析結果を表示部35に表示することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。