以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
[点検支援システム100の構成]
図1は、本発明の実施形態に係る点検支援システム100の構成を示すブロック図である。本実施形態の点検支援システム100は、ビルやショッピングモール、ホテル、駅、工場、空港、遊園地などのテーマパークなどの施設に備えられた各種設備を巡回しながら点検作業者が各種設備に定められた点検項目を点検する所謂巡回点検を支援するシステムである。図1に示すように、点検支援システム100は、管理サーバ10と、情報端末20と、データベース30とによって具体的に実現される。この点検支援システム100は、点検作業者による巡回点検時に、点検作業者が携行する情報端末20に、点検対象である各種設備に関する情報を表示することにより、点検作業者による点検作業を支援する。なお、点検支援システム100は、本発明の点検支援システムの一例であり、管理サーバ10は、本発明の点検支援装置の一例であり、情報端末20は、本発明の端末装置の一例である。
以下、点検支援システム100が他のシステムとは独立したものとして説明するが、点検支援システム100は、例えば、前記施設に導入されている既存の管理システム或いは警備システムに組み込まれたものであってもよい。
図1に示すように、点検支援システム100において、管理サーバ10は、点検作業者が点検時に携行する情報端末20と、無線通信網又は有線通信網であるネットワークN1によって互いに通信可能に接続されている。また、管理サーバ10は、ネットワークN1によって、データベース30と互いに通信可能に接続されている。ネットワークN1は、例えば、専用回線或いは公衆回線等である。
管理サーバ10は、点検事業を営む事業者が管理する情報処理装置であり、例えば、サーバコンピュータ、或いはクラウドサーバーである。管理サーバ10は、点検が行われる前記施設内に設置されていてもよく、或いは前記施設から離れた遠隔地に設置されていてもよい。なお、管理サーバ10は、1台のコンピュータに限らず、複数台のコンピュータが協働して動作するコンピュータシステム、或いはクラウドコンピューティングシステムであってもよい。また、管理サーバ10で実行される各種の処理は、一つ又は複数のプロセッサによって分散して実行されてもよい。管理サーバ10には、点検支援システム100を稼働するためのコンピュータソフトウェアがインストールされている。
情報端末20は、点検作業者が点検時に使用する情報処理装置や端末装置である。情報端末20は、例えば、点検作業者が携帯して持ち運び可能なスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末である。情報端末20には、点検支援システム100と連携して、各種要求を管理サーバ10に出力したり、管理サーバ10から出力された情報を表示部23A(図2参照)に表示したりするためのアプリケーション(ソフトウェア)がインストールされている。
データベース30は、HDD又はSSDなどの記憶装置である。データベース30は、ネットワークN1を通じて管理サーバ10とデータ通信可能な他のサーバ装置や他の記憶装置などの外部装置として構成されている。なお、データベース30は、管理サーバ10に設けられた記憶装置であってもよく、また、管理サーバ10とローカルネットワークによって接続された記憶装置であってもよい。
図3は、点検作業者が点検する施設200に備えられた複数の設備A1~A4と、これらの設備A1~A4を巡回する場合の複数の点検ルートR1~R3の一例を示す模式図である。図3には、点検作業者が巡回開始位置Sから巡回点検をスタートし、最後に点検を行う設備に到達するまでの点検ルートとして、点検ルートR1~R3が例示されている。
図3に示すように、各点検ルートR1~R3は、点検作業者が巡回点検時に設備A1~A4を所定の順番で回っていく点検順序を示すものである。例えば、点検ルートR1(実線参照)は、巡回開始位置Sからスタートして、設備A1、設備A2、設備A3、設備A4を順次通るルートである。点検ルートR2(破線参照)は、巡回開始位置Sからスタートして、設備A1、設備A3、設備A2、設備A4を順次通るルートである。また、点検ルートR3(一点鎖線参照)は、巡回開始位置Sからスタートして、設備A4、設備A2、設備A3、設備A1を順次通るルートである。なお、4つの設備A1~A4を巡回点検するルートは24通り存在するが、図3には全ての点検ルートは示されておらず、3つの点検ルートR1~R3だけが例示されている。
ところで、施設200内の設備A1~A4の点検は、複数の点検作業者が交代で実施する。従来、各点検作業者は、それぞれの経験則によって効率が良いと判断した点検ルートにしたがって各設備を巡回して点検している。しかしながら、点検作業者それぞれの点検実績に関する経験値はバラバラであり、点検作業者自身が決定した点検ルートが必ずしも効率のよいルートとは限らない。また、経験の浅い点検作業者にとっては、ある程度の点検実績を積み上げるまでは、自分にとって効率の良い点検ルートがどのルートであるのかを判断することさえできない。これに対して、本実施形態の点検支援システム100は、後述するように、情報端末20を通じて入力された推奨要求に応じて、管理サーバ10から情報端末20に点検効率の良い推奨ルートを出力するよう構成されている。そのため、点検作業者は、経験が浅くても、点検効率の良い点検ルートを取得することができ、効率よく巡回点検を実施することが可能となる。
[データベース30]
データベース30には、記憶領域として、ルート情報格納部31(本発明の順序記憶部の一例)と、点検レポート格納部32と、作業者情報格納部33とが割り当てられている。
作業者情報格納部33は、施設200を点検する作業者として登録された複数の点検作業者に関数する作業者情報が格納される記憶領域である。前記作業者情報は、点検作業者の氏名、登録ID(識別情報)、ログイン認証に用いられるパスワード等のほかに、その点検作業者が後述する上位点検作業者か否かを判別するための判別情報を含む。前記判別情報として、例えば、予め事業者によって評価された本人評価値、技能レベル(点検レベル)を示す評点、技能試験の結果(点数)、点検作業の経験年数、点検作業を行った累積点検回数などを用いることができる。
点検レポート格納部32は、巡回点検時に点検された各設備の点検結果(例えば計器類の数値や、状態の良否、異常の有無など)が格納される記憶領域である。
ルート情報格納部31は、施設200に適用される複数の点検ルート(点検順序)の情報(ルート情報)を含むルート管理データ301(図4参照)が格納される記憶領域である。前記点検ルートは、点検作業者が巡回点検時に巡回する点検順序である。つまり、データベース30は、複数の点検ルートを示す前記ルート情報やそれに付属する付属情報などをデータベースとして管理可能に格納する記憶装置である。なお、ルート情報格納部31には、複数の施設ごとに分けて定められた複数のルート管理データ301が各施設別に格納されていてもよい。
具体的には、施設200の巡回点検を担当する複数の上位点検作業者が実際に実施している複数の点検ルートが前記上位点検作業者別にルート情報格納部31に記憶されている。
ここで、前記上位点検作業者は、施設200の巡回点検を担当する複数の点検作業者のうち、質の高い点検作業を実施する者として評価された点検作業者のことであり、例えば、経験年数や点検実績などに基づいて予め事業者によって認定された点検作業者、或いは、事前の技能試験などによって予め定められた基準値以上の技能レベルを有すると評価された点検作業者である。具体的には、前記上位点検作業者は、所定期間(例えば5年)以上の点検作業経験を有する者、所定回数(例えば通算1000回)以上の点検作業実績を有する者、前記事業者により定められる本人評価が予め定められた合格ラインを超えている者、前記技能試験の結果(点数)が予め定められた合格点以上である者などが該当する。前記上位点検作業者は、一般に熟練点検者とも称されており、前記上位点検作業者が実際に実施している点検ルートは、熟練点検者の経験則に基づくルートであって、効率よく複数の項目を点検することができ、効率よく複数の設備を巡回して点検することができるルートであると考えられる。以下、前記上位点検作業者が実施する点検ルートであって、ルート情報格納部31に記憶されている点検ルートのことを、上位点検ルート(本発明の上位点検順序の一例)と称する。
前記上位点検ルートは、例えば、前記上位点検作業者が実際に実施している点検ルートを前記上位点検作業者からヒアリングにより入手され、入手したルート情報がデータ化された後に、ルート情報格納部31に格納される。つまり、前記上位点検ルートは、前記上位点検作業者が実際に点検時に実施している点検順序としてルート情報格納部31に事前に登録されたものである。
なお、前記上位点検ルートは、前記上位点検作業者が情報端末20から点検結果を入力した時点の設備名(場所)や点検項目、点検時刻などを管理サーバ10で記録しておき、その記録された順序を前記上位点検ルートとしてルート情報格納部31に登録されたものであってもよい。前記上位点検作業者が前記上位点検ルートを登録する際に管理サーバ10で実行されるルート登録処理(図13参照)については、後述する。
また、前記上位点検ルートは、前記上位点検作業者が情報端末20を携帯しながら巡回点検する際に、後述するGPS受信部25によって測定された位置情報から特定された移動経路と、点検が行われる施設のマップ情報(各設備と各点検項目が示されたマップデータ)とに基づいて求められたものであってもよい。
図4は、ルート情報格納部31に格納されているルート管理データ301の一例を示す図である。ルート管理データ301は、施設200に用いられるものであり、前記上位点検ルートを実施した前記上位点検作業者の識別情報(氏名やID等)と、前記上位点検ルートを示すルート名(識別情報)と、前記上位点検ルートの内容を示すルート内容と、各ルートの効率性を示す評価ポイント(本発明の評価値の一例)と、他の点検作業者によって前記上位点検ルートが採用された採用回数(本発明の設定回数の一例)と、を含むテーブルデータである。
前記採用回数は、後述するルート設定部212(図2参照)によって、情報端末20に前記上位点検ルートが設定登録された回数である。この採用回数は、対応する前記上位点検ルートが効率の良いルートか否かを評価する指標となる。前記採用回数が多ければ評価が高く、効率が良いルートと考えられる。また、前記採用回数が相対的に少ない場合は評価が低く、効率が劣るルートと考えられる。
本実施形態では、前記上位点検ルートを示すルート名として、実施者の氏名を含む名称が用いられている。例えば、図4に示すように、実施者(上位点検作業者)の氏名が「X1」の場合、その人が実施している前記上位点検ルートのルート名として「X1ルート」という名称が用いられる。このため、後述するようにルート名のみが情報端末20に表示された場合に、点検作業者は、どの作業者が実施している点検ルートであるかを容易に把握することができる。
前記評価ポイントは、点検効率の良さを示す指標であり、情報端末20に表示される前記上位点検ルートを取得する処理や、情報端末20に表示される前記上位点検ルートの表示順或いはそのルート名の表示順を決定する処理に用いられる。このような評価ポイントが定められているため、情報端末20に、前記評価ポイントが所定の閾値よりも高いものだけを情報端末20に表示させたり、或いは、前記評価ポイントが高いほうから順番に前記上位点検ルートやそのルート名をリスト化して情報端末20に表示させることができる。
前記評価ポイントをf(x)とした場合、前記評価ポイントf(x)は、以下の式(1)で定めることができる。
f(x)=t(k1x1+k2x2+k3x3) ・・・(1)
ここで、式(1)中のx1は実施者の点検作業経験年数(経験期間)、x2は実施者の累積点検回数、x3は実施者がそのルートで点検したときに要した点検時間である。また、k1,k2,k3はそれぞれ重み係数であり、前記点検作業経験年数、前記累積点検回数、及び前記点検時間のいずれを重要視するかによって定められる係数である。また、tは、施設の各設備の点検に必要とされるライセンスを点検作業者が有している場合に適用される重み係数であり、前記ライセンスを保有していない点検作業者の評価ポイントの算定には用いられない。例えば、点検作業者が前記ライセンスを有している場合、前記ライセンスの保有数或いは前記ライセンスの難易度に応じて定められた1より大きい数値の重み係数tが用いられる。重み係数tの数値は、前記ライセンスの保有数が多いほど大きく、前記ライセンスの難易度が高いほど大きい。これにより、前記ライセンスの有無以外では同じ条件である場合は、前記ライセンスを保有していない点検作業者に比べて、前記ライセンスを保有している点検作業者の前記上位点検ルートの評価ポイントが高くなる。前記評価ポイントが高いほど、前記上位点検ルートの効率性が高いと推定できる。
なお、前記ライセンスは、例えば、各国で法定されている国家資格或いは民間資格などである。日本国内においては、前記ライセンスは、例えば、点検対象が電気系設備である場合は電気工事士、機械系設備である場合は機械保全技能士やボイラー整備士、ガス系設備である場合は高圧ガス製造保安責任者、給排水系設備である場合はや浄化槽管理士や貯水槽清掃作業監督者などが該当する。
[管理サーバ10]
以下、図1を参照して、管理サーバ10の具体的な構成について説明する。
管理サーバ10は、本実施形態の点検支援システム100を実現するためのものであり、図1に示すように、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、表示部14と、操作部15と、を備えている。
通信部13は、管理サーバ10をネットワークN1に接続して、所定の通信プロトコルに従って、ネットワークN1に接続された機器との間でデータ通信を実行するための通信インターフェースである。具体的には、通信部13は、ネットワークN1を通じて情報端末20との間でデータ通信を実行する。また、通信部13は、ネットワークN1を通じてデータベース30との間でデータ通信を実行する。
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶部12には、制御部11による各種処理を実行するための制御プログラムや、各種処理に用いられるデータや閾値、基準値などが記憶される。
表示部14は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示装置である。操作部15は、操作者の操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルなどの入力装置である。
制御部11は、管理サーバ10の各部の動作を制御する。制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、前記CPUが実行する各種の演算処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUが実行することにより管理サーバ10を制御する。
図1に示すように、制御部11は、ルート取得部111(本発明の取得処理部の一例)、評価値算出部112(本発明の評価値算出処理部の一例)、入力値記録部113、ルート登録処理部114(本発明の順序登録部の一例)と、出力処理部115、等の各種の処理部を含む。制御部11は、前記CPUが前記制御プログラムに従った各種の演算処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。制御部11又は前記CPUが、前記制御プログラムを実行するコンピュータまたはプロセッサの一例である。なお、制御部11に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。また、前記制御プログラムは、複数のプロセッサを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
ルート取得部111は、情報端末20から管理サーバ10に送信された後述の推奨要求(本発明の表示要求の一例)に基づいて、ルート情報格納部31から前記推奨要求に対応する前記上位点検ルートを取得する処理を行う。具体的には、ルート取得部111は、前記推奨要求を受信すると、前記評価ポイントが予め定められた基準値以上の前記上位点検ルートをルート情報格納部31から取得する。そして、前記推奨要求の送信先である情報端末20に、取得した一又は複数の前記上位点検ルートと、当該上位点検ルートに付属する付属情報(ルート名、ルート内容、評価ポイントなど)とを送信する。
前記基準値は、点検支援システム100において予め定められた固定値(例えば、評価ポイントが80点以上)であってもよい。また、前記情報端末20から送信されてきた前記推奨要求に、前記基準値を指定する指定ポイントが含まれている場合は、前記指定ポイントを前記基準値としてもよい。この場合、ルート取得部111は、前記評価ポイントが前記指定ポイント以上の前記上位点検ルートをルート情報格納部31から取得する。また、前記推奨要求に、前記基準値として前記上位点検ルートの表示制限数が含まれている場合、ルート取得部111は、前記評価ポイントが高いものから順に前記表示制限数以内の前記上位点検ルートをルート情報格納部31から取得してもよい。
評価値算出部112は、前記評価ポイントを算出する処理を行う。本実施形態では、評価値算出部112は、前記点検作業経験年数(x1)、前記累積点検回数(x2)、及び点検時間(x3)に基づいて前記評価ポイントを算出し、更に、これらに加えて、前記上位点検作業者が保有する前記点検作業に関係するライセンスの有無により定められる前記重み係数tを加味して前記評価ポイントを算出する。前記点検作業経験年数は、前記上位点検作業者の前記点検作業に対する経験期間である。前記累積点検回数は、前記上位点検作業者が前記点検作業を実施した累積点検回数である。前記点検時間は、前記上位点検作業者が前記上位点検ルートで巡回点検を実施した場合に要した時間である。
管理サーバ10の記憶部12に、施設200の巡回点検を行う複数の前記上位点検作業者の情報が作業員リスト(不図示)として記憶されている。前記作業員リストには、前記上位点検作業者の識別情報(氏名又はID等)、前記点検作業経験年数、及び前記累積点検回数が含まれている。また、前記作業員リストには、施設200において実施する前記上位点検ルート、及びそのルートの点検時間の平均値が含まれている。また、前記作業員リストには、前記上位点検作業者が保有するライセンスの保有数や、予め定められたライセンス難易度などのライセンス情報、ライセンスの保有数及び難易度に応じて定められた重み係数tが含まれている。また、記憶部12には、式(1)で示した前記評価ポイントの算出式が記憶されている。
本実施形態では、評価値算出部112は、前記作業員リストから前記点検作業経験年数(x1)、前記累積点検回数(x2)、及び点検時間(x3)を読み出し、また、必要に応じて前記重み係数tを読み出し、これらの数値を前記算出式に適用することにより、前記評価ポイントを算出する処理を実行する。
入力値記録部113は、情報端末20から管理サーバ10に送信された点検結果を点検レポート格納部32に記録する処理を行う。例えば、施設200内を上述した点検ルートR3(図3参照)に沿って点検作業者が巡回点検を行った場合、点検作業者は、最初に設備A4に到着し、点検を実施し、その点検結果を情報端末20に入力する。その後、点検作業者は、次の設備に到着する度に点検を実施し、その点検結果を情報端末20に入力する。情報端末20の送信処理部214(図2参照)は、点検結果が入力される度に、その入力値を管理サーバ10に送信する。入力値記録部113は、受け取った入力値を点検レポート格納部32に記録する。
また、入力値記録部113は、点検結果の入力値を受信した順序を当該点検作業者の点検ルートとして点検レポート格納部32に記録してもよい。つまり、入力値記録部113は、各設備ごとの点検結果を受け付けた順番を、点検が実施された順序(つまり点検ルート)として点検レポート格納部32に記録する。
ルート登録処理部114は、前記上位点検作業者による点検時に情報端末20に前記点検結果が入力された場合に、その入力順番に基づいて前記上位点検ルートをルート情報格納部31に登録する処理(ルート登録処理)を実行する。ルート登録処理部114は、情報端末20から前記点検結果が送信された場合に、その点検結果を受信した受信順番(入力順番)に基づいて前記上位点検ルートを特定しその上位点検ルートをルート情報格納部31に登録する。なお、ルート登録処理部114によって実行されるルート登録処理(図13参照)については後述する。
出力処理部115は、情報端末20に提供するべき情報を通信部13を通じて情報端末20に送信する処理を行う。例えば、後述の推奨要求が情報端末20から送られてきた場合に、前記推奨要求に対応する前記上位点検ルートやそのルート名などの付属情報をルート情報格納部31から取得して、情報端末20に送信する。また、後述のルート登録要求が情報端末20から送られてきた場合に、前記ルート登録要求に対応するエラーメッセージや登録完了通知などを情報端末20に送信する。
[情報端末20]
以下、図2を参照して、情報端末20の具体的な構成について説明する。ここで、図2は、情報端末20の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、情報端末20は、制御部21、記憶部22、操作表示部23、GPS受信部25、通信部28などを備える。情報端末20は、施設200の各設備を巡回点検する点検作業者が点検時に携行するスマートフォンやタブレット端末などの携帯端末である。点検作業者は、例えば、施設200の各設備を巡回点検する際に、点検対象である設備に到着して点検する度に点検結果を情報端末20に入力する。
通信部28は、情報端末20をネットワークN1に接続し、ネットワークN1に接続された管理サーバ10やデータベース30との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
記憶部22は、各種の情報を記憶するフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体である。記憶部22には、制御部21に各種演算処理を実行させるための制御プログラムや、上述したアプリケーションのプログラム、各種演算処理に用いられるデータや閾値、基準値などが記憶されている。
操作表示部23は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部23A(本発明の表示部の一例)と、利用者の操作を受け付ける操作部23Bとを備えるユーザインターフェースである。操作表示部23の表示部23Aに、前記アプリケーションに用いられる表示画面が表示される。本実施形態では、操作部23Bは、表示部23Aの表示画面上に設けられたタッチパネルである。なお、操作部23Bは、タッチパネルに限らず、マウス又はキーボードなどの入力装置であってもよい。
具体的には、表示部23Aの表示画面に、ログイン画面41(図5参照)、ホーム画面42(図6参照)、ルート設定画面43(図7及び図8参照)などが表示される。
ログイン画面41は、点検支援システム100と連携するアプリケーションを有効化するための画面であり、情報端末20において前記アプリケーションが起動された場合に最初に表示される画面である。図5に示すように、ログイン画面41は、点検作業者の登録IDを入力するための入力枠61と、パスワードを入力するための入力枠62とを有する。入力枠61に点検作業者の登録IDが入力され、入力枠62にパスワードが入力されて、決定キー201が押されると、前記登録IDおよび前記パスワードが管理サーバ10に送信されて、管理サーバ10においてログイン認証の処理が行われる。ログイン認証の結果、ログインが認められた場合に、前記アプリケーションが起動する。前記アプリケーションが起動すると、後述のホーム画面42が表示部23Aに表示される。
ホーム画面42は、前記アプリケーションの起動後に表示部23Aに最初に表示される画面である。図6に示すように、ホーム画面42は、巡回点検を行う施設を選択するための選択枠64と、巡回点検を行う設備や点検ルートの情報などが表示される表示枠65と、管理サーバ10に対して推奨要求を送信するための実行キー202と、を有する。選択枠64に設けられたドロップダウンリスト(不図示)から特定の施設が選択されると、その施設において巡回点検しなければならない設備の一覧を含む登録ルートが表示枠65に表示される。前記登録ルートは、例えば、情報端末20の記憶部22に記憶されている。
ホーム画面42に、例えば、前記指定ポイントを入力するための入力枠71や、前記表示制限数を入力するための入力枠72などが含まれていてもよい。これらの入力枠71,72に点検作業者が所望する数値が入力された場合、前記推奨要求の送信時にこれらの情報も管理サーバ10に送信される。
なお、図12に示すように、ホーム画面42にルート登録要求を管理サーバ10に送信するための登録実行キー204が設けられていてもよい。登録実行キー204が押し操作されると、前記ルート登録要求とログイン時に入力された前記登録IDとが管理サーバ10に送信される。
ここで、前記ルート登録要求は、前記上位点検作業者(いわゆる熟練点検者)が点検作業を実行する前に、これから実施する点検作業の作業順序(点検順序)に基づいて、自身が実施した点検ルートを前記上位点検ルートとしてルート情報格納部31に登録させることを要求する要求コマンド(又は要求信号)である。前記ルート登録要求を受け付けた管理サーバ10では、制御部11が、後述するルート登録処理(図13参照)を実行し、当該ルート登録処理において特定された点検ルートを前記上位点検ルートとしてルート情報格納部31に登録する。
なお、ホーム画面42における登録実行キー204は、ログイン時の認証によって、認証対象者(つまり情報端末20の操作者)が前記上位点検作業者であると判定された場合に限り表示部23Aに表示されることが好ましい。この場合、前記上位点検作業者によるルート登録を許可するべく、ログイン認証後に、登録実行キー204を含むホーム画面42(図12参照)が表示部23Aに表示される。つまり、ログイン認証によって前記上位点検作業者と判定されたなかった場合は、ルート登録を認めず、登録実行キー204を含まないホーム画面42(図6参照)が表示部23Aに表示される。
図6では、巡回順序が予め初期設定された初期登録ルート66の詳細が表示枠65に表示された例が示されている。前記登録ルートに含まれる各設備には、複数の点検項目が定められている。図6に示すように、例えば、設備A1には、複数の点検項目A101~A110が定められており、設備A1の表示部に設けられたキー69がタッチ操作されることにより、設備A1に属する複数の点検項目を示すドロップダウンリスト70が表示される。なお、初期登録ルート66におけるドロップダウンリスト70においても、複数の点検項目は、表示順序が予め初期設定された順番で表示されている。
GPS受信部25は、情報端末20の現在の位置情報を取得する。GPS受信部25は、GPS衛生からの信号を受信し、更に所定の演算処理を行うことにより、地球上における情報端末20の位置を検出する。
制御部21は、情報端末20の各部の動作を制御する。制御部21は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶された不揮発性の記憶媒体である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶媒体であり、前記CPUが実行する各種の演算処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部21は、前記ROM又は記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより情報端末20を制御する。
制御部21は、記憶部22に記憶された前記アプリケーションのプログラムを前記CPUで実行することにより、情報端末20上で前記アプリケーションを動作させる。図2に示すように、制御部21は、表示処理部211(本発明の表示処理部の一例)、ルート設定部212(本発明の設定処理部の一例)、結果受付部213(本発明の結果入力処理部の一例)、送信処理部214等の各種の処理部を含む。制御部21は、前記アプリケーションが情報端末20において動作することにより、前記各種の処理部として機能する。制御部21又は前記CPUが、前記制御プログラムを実行するコンピュータまたはプロセッサの一例である。なお、制御部21に含まれる一部又は全部の処理部が電子回路で構成されていてもよい。また、前記制御プログラムは、複数のプロセッサを前記各種の処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
表示処理部211は、管理サーバ10から送信された前記上位点検ルートを表示枠65に表示する処理を行う。具体的には、点検作業者が前記推奨要求を送信するための実行キー202を押し操作すると、制御部21は、前記推奨要求を管理サーバ10に送信する。
ここで、前記推奨要求は、例えば、点検作業者が点検作業の経験が浅くて、自分自身で効率のよい点検ルートを決定することができない場合に、熟練点検者が実施している点検ルートの推奨を要求する要求コマンド(又は要求信号)である。この推奨要求を受け付けた管理サーバ10では、制御部11が、ルート情報格納部31から前記推奨要求に対応する前記上位点検ルートを取得し、取得した一又は複数の前記上位点検ルートと、当該上位点検ルートに付属する付属情報(ルート名、ルート内容、評価ポイントなど)とを情報端末20に送信する。そして、表示処理部211は、図7に示すように、管理サーバ10から受信した前記上位点検ルートのルート名を含むルート名リスト67を表示枠65に表示する。
本実施形態では、表示処理部211は、複数のルート名(上位点検順序の識別情報の一例)を表示枠65にランキング表示する。例えば、表示処理部211は、前記上位点検ルートごとに評価された前記評価ポイントの高い順番で前記ルート名がソートされたルート名リスト67を表示枠65に表示する。図7の例では、ルート名リスト67に、前記評価ポイントが高い上位5つのルート候補が表示されている。図7に示すように、ルート名リスト67には、前記評価ポイントの順位と、前記評価ポイントの数値とが前記ルート名とともに表示される。
また、表示処理部211は、点検作業者によって前記ルート名を画面上で選択可能なように表示枠65に表示する処理を行う。これにより、点検作業者は、所望するルート名を表示枠65上でタッチ操作により選択することができる。
点検作業者によって、所望するルート名が選択されると、表示処理部211は、選択されたルート名に対応する前記上位点検ルートの詳細を示すルート詳細リスト68(図8参照)を表示枠65に表示する。
例えば、図7において、最も評価ポイントの高い「X2ルート」が選択されると、表示枠65の表示内容が、「X2ルート」の点検ルートの詳細を示すルート詳細リスト68(図8参照)に変更される。つまり、表示処理部211は、ルート名リスト67のうちいずれか一つのルート名が選択されると、そのルート名に対応する前記上位点検ルートの詳細を表示枠65に表示する処理を行う。ここで、図8に示すように、ルート詳細リスト68には、巡回点検の対象の設備の名称と、各設備における一つ又は複数の点検項目とが含まれている。各設備の名称枠にはキー69が設けられており、キー69がタッチ操作されると、各設備名の下側に点検項目を含むドロップダウンリスト70が表示される。
本実施形態では、ドロップダウンリスト70に複数の点検項目が含まれている場合に、表示処理部211は、これらの点検項目についても、「X2ルート」の実施者である前記上位点検作業者「X2」が実施する点検順序で表示する。
ルート設定部212は、情報端末20に入力された設定要求に応じて、表示部23Aに表示された前記上位点検ルートを情報端末20に設定する処理を行う。具体的には、表示枠65に特定のルート名のルート詳細リスト68が表示された状態で、決定キー201が押されると、前記設定要求が制御部21に送られる。ここで、前記設定要求は、点検作業者が巡回点検を行う際に使用する登録ルートを、ルート名リスト67で選択した特定のルート名に対応する前記上位点検ルートに設定することを要求する要求コマンド(又は要求信号)である。この設定要求を受け付けた制御部21(ルート設定部212)は、記憶部22に記憶されている登録ルートを、点検作業者によって選択された特定の前記上位点検ルートに更新する処理を行う。また、ルート設定部212は、前記登録ルートを更新した後に、表示画面の表示内容を、ルート設定画面43からホーム画面42に変更し、ホーム画面42に更新後の登録ルートを表示する(図9参照)。なお、決定キー201が押されず、戻るキー203が押された場合、登録ルートの更新が行われず、表示内容が一つ前の画面に戻される。また、図示しないキャンセルキーが入力された場合、登録ルートの更新が行われないまま、ホーム画面42に戻される。
結果受付部213は、点検作業者が点検対象の設備の点検結果を情報端末20に入力した場合に、その入力値を受け付けて、記憶部22に一時的に格納する処理を行う。例えば、情報端末20の表示部23Aに表示されたホーム画面42から、点検結果を入力したい点検項目が選択されると、表示画面が、選択された点検項目の入力画面(不図示)に変更される。これにより、点検作業者は、前記入力画面から点検結果を入力可能となる。前記入力画面から前記点検結果が入力されて、決定キー201が押されると、前記点検結果の入力値が記憶部22に記憶される。
送信処理部214は、管理サーバ10に提供するべき情報を通信部28を通じて管理サーバ10に送信する処理を行う。例えば、送信処理部214は、結果受付部213により受け付けられた点検結果の入力値を、点検結果が入力される度に管理サーバ10に送信する。情報端末20から管理サーバ10に送信された点検結果の入力値は、管理サーバ10の入力値記録部113によって、点検レポート格納部32に記録される。
また、送信処理部214は、実行キー202が押された場合に、前記推奨要求や、入力枠71,72に入力された数値などを管理サーバ10に送信する処理を行う。これらの情報は、後述する推奨ルート表示処理に用いられる。
また、送信処理部214は、登録実行キー204が押された場合に、前記ルート登録要求、及び前記登録IDを管理サーバ10に送信する処理を行う。なお、管理サーバ10においいて前記ルート登録要求が受信されると、管理サーバ10のルート登録処理部114によって、ルート登録処理が実行される。つまり、管理サーバ10の制御部11は、前記点検結果の入力値が送信されてくる度に、前記点検結果を受信した時点の設備又は点検項目や、その時刻などを記憶部12に記録しておき、その記録された順序などに基づいて点検ルートを特定し、当該点検ルートを前記上位点検ルートとしてルート情報格納部31に登録する。
以下、図10及び図11のフローチャートを参照しつつ、情報端末20の表示部23Aに推奨ルートを表示する推奨ルート表示処理の手順の一例とともに、本発明の点検支援方法について説明する。なお、以下の説明では、情報端末20を使用する点検作業者が情報端末20を用いてログイン認証を行い、情報端末20において上述のアプリケーションが起動しているものとする。
図10に示すように、情報端末20において前記アプリケーションが起動され、ログイン処理が行われた後に、制御部21は、ホーム画面42を表示部23Aに表示する(S101)。
その後、制御部21は、前記推奨要求を送信するための実行キー202が押されたか否かを判定する(S102)。
ステップS102において実行キー202が押されたと判定されると、制御部21は、前記推奨要求を管理サーバ10に送信する(S103)。
図11に示すように、管理サーバ10において、前記推奨要求が受信されると(S201)、管理サーバ10の制御部11は、ルート情報格納部31から前記推奨要求に対応する前記上位点検ルートを取得する(S202)。例えば、前記評価ポイントが予め定められた基準値以上の前記上位点検ルートをルート情報格納部31から取得する。その後、制御部11は、取得した一又は複数の前記上位点検ルートと、その付属情報(ルート名、ルート内容、評価ポイントなど)とを情報端末20に送信する(S203)。なお、ステップS202は、本発明の取得ステップの一例である。
図10に示すように、情報端末20において、前記上位点検ルートが受信されると(S104)、制御部21は、受信した前記上位点検ルートのルート名を含むルート名リスト67(図7参照)を表示枠65に表示する(S105)。その後、制御部21は、ルート名リスト67に表示される複数のルート候補のうちいずれか一つのルート名が選択されたか否かを判定する(S106)。点検作業者によっていずれか一つのルート名がタッチ操作されると、そのタッチ位置を示す信号に基づいて、制御部21は、選択されたルート名を判定することができる。
ステップS106において、いずれか一つのルート名が選択されたと判定されると、制御部21は、選択されたルート名に対応するルート詳細リスト68(図8参照)を表示枠65に表示する(S107)。つまり、制御部21は、表示枠65の表示内容を、ルート詳細リスト68に変更する。なお、ステップS105は、本発明の表示ステップの一例である。
その後、決定キー201が押されると(S108)、制御部21は、記憶部22に記憶されている登録ルートを、点検作業者によって選択された前記上位点検ルート、つまり、前記推奨要求に応じて管理サーバ10から送られてきた前記上位点検ルートに更新する(S109)。その後、制御部21は、表示画面の表示内容を、ルート設定画面43からホーム画面42に変更し、ホーム画面42に更新後の登録ルートを表示する(S110)。
また、制御部21は、ステップS109において更新処理が行われると、ステップS106で選択された前記上位点検ルートが登録ルートとして採用されたことを示す採用通知(更新通知)を管理サーバ10に送信する(S111)。前記採用通知には、更新された前記上位点検ルートの実施者(上位点検作業者)の氏名又はIDなどの識別情報が含まれている。前記採用通知が送信されると、情報端末20で行われる一連の処理が終了する。
図11に示すように、管理サーバ10において、前記採用通知が受信されると(S203)、管理サーバ10の制御部11は、ルート情報格納部31内のルート管理データ301内の採用回数を更新する(S204)。具体的には、前記採用通知に含まれる前記識別情報に対応する前記上位点検作業者の前記採用回数を1つ加算する。前記採用回数が更新されると、管理サーバ10で行われる一連の処理が終了する。また、ステップS203において前記採用通知が受信されずタイムアウトした場合は、ステップS201に戻り、ステップS201以降の処理が繰り返される。
以上説明したように、本実施形態の点検支援システム100では、情報端末20を通じて入力された推奨要求に応じて、管理サーバ10から情報端末20に点検効率の良い推奨ルートとして、一つ又は複数の前記上位点検ルートが送信される。そして、情報端末20では、管理サーバ10から送信されたきた前記上位点検ルートが表示部23Aに表示される。前記上位点検作業者が実際に実施している前記上位点検ルートは、効率よく複数の設備を巡回して点検することができるルートであると考えられる。そのため、点検作業者は、点検作業経験が浅くても、点検経験を十分に積んだ前記上位点検作業者が実施している点検ルートと同じルートで効率よく各設備を巡回して点検することができる。
また、ルート設定部212によって、点検作業者自身の登録ルートが前記上位点検ルートに設定されるため、点検作業者は、表示された前記上位点検ルートで巡回点検を行いたい場合に、情報端末20に登録されている自身の登録ルートを手動で並び替える必要がない。
また、表示処理部211によって、最初に、管理サーバ10から送られてきたルート名リスト67が表示部23Aに表示されるため、点検作業者が所望するルート名を容易に把握することができる。また、ルート名の表示枠に順位及び評価ポイントが表示されているため、前記順位や前記評価ポイントを参照しながら所望する一つのルート名を選択することが可能となる。また、前記ルート名に、対応する前記上位点検ルートを実施している実施者(上位点検作業者)の識別情報(本実施形態では実施者の氏名)が含まれているため、点検作業者は、自身が知っている他の点検作業者の点検ルートであるか否かを、ルート名を見るだけで判別することができる。
また、評価値算出部112によって前記評価ポイントが算出されるため、前記評価ポイントが客観的な情報に基づいて算定される。このため、前記評価ポイントの信頼性を高めることができる。また、情報端末20の表示部23Aに表示される上位点検ルートについても、効率面における信頼性が担保される。
なお、上述の実施形態では、評価値算出部112は、前記点検作業経験年数(x1)、前記累積点検回数(x2)、前記点検時間(x3)、前記重み係数t、及び式(1)の算出式を用いて前記評価ポイントを算出する例について説明したが、本発明はこの算出例に限られない。例えば、前記点検作業経験年数(x1)、前記累積点検回数(x2)、前記点検時間(x3)、及び前記重み係数tのいずれか一つ又は複数を用いて前記評価ポイントを算出してもよい。あるいは、前記点検作業経験年数(x1)、前記累積点検回数(x2)、又は前記点検時間(x3)の各数値そのものを前記評価ポイントとしてもよい。
また、上述の実施形態では、重み係数tを用いて前記評価ポイントを算出したが、例えば、ルート管理データ301に含まれる前記採用回数に応じて定められた別の重み係数を更に用いて、或いは当該重み係数のみを用いて、前記評価ポイントを算出してもよい。
また、点検作業者が、情報端末20に登録した前記上位点検ルートで巡回点検をした場合に、点検後の当該上位点検ルートに対する評価が情報端末20を通じて管理サーバ10に送信された場合は、前記評価に基づいて前記評価ポイントを算出又は更新してもよい。
以下、図13のフローチャートを参照しつつ、管理サーバ10の制御部11によって実行されるルート登録処理の手順(ルート登録ステップ)の一例とともに、ルート登録方法について説明する。なお、以下の説明では、情報端末20において上述のアプリケーションが起動しているものとする。
図13に示すように、ステップS301において、制御部11は、情報端末20から送信された前記ルート登録要求を受信したか否かを判定する。前記上位点検作業者が情報端末20を用いてログインし、その後、ホーム画面42の登録実行キー204が押し操作されると、前記ルート登録要求が管理サーバ10に送信され、管理サーバ10では、このルート登録要求を通信部13を通じて受信する。
前記ルート登録要求が受信されると、制御部11は、前記ルート登録要求の要求者(情報端末20の操作者)が前記上位点検作業者か否かを判定する(S302)。具体的には、制御部11は、前記ルート登録要求とともに送信されてきた前記登録IDを受信すると、前記登録IDと一致する前記作業者情報を作業者情報格納部33から抽出し、抽出した作業者情報に含まれる前記判別情報に基づいて、前記要求者が前記上位点検作業者か否かを判定する。例えば、前記判別情報が本人評価値、技能レベル、或いは技能試験の結果である場合は、それが基準値以上であれば前記上位点検作業者と判定する。また、前記判別情報が点検作業の経験年数、或いは点検作業を行った累積点検回数である場合は、それが基準値以上であれば前記上位点検作業者と判定してもよい。また、上述した各判別情報のいずれか一つ又はいずれか複数、或いは全部が所定の基準値以上である場合に、前記上位点検作業者と判定してもよい。
ステップS302において、前記要求者が前記上位点検作業者と判定されなかった場合、制御部11は、ルート登録ができない旨を示すエラーメッセージを情報端末20に出力する(S303)。情報端末20では、前記エラーメッセージを受信すると、そのメッセージを表示部23Aに表示する。
一方、ステップS302において、前記要求者が前記上位点検者であると判定されると、制御部11は、次のステップS304において、情報端末20から点検結果を入力したか否かを判定する。
ステップS304において、情報端末20から送られてきた前記点検結果を受信すると、制御部11は、前記点検結果を点検レポート格納部32に記録する。制御部11は、後述の点検完了通知を受信するまで、情報端末20から前記点検結果を受け取る度にその点検結果を示す入力値を点検レポート格納部32に記録する。
また、制御部11は、ステップS305において、前記点検結果が送信されてくる度に、前記点検結果を受信した時点の点検設備、点検項目、点検時刻などを記憶部12に記録しておき、更に、記録された記録順番(順番情報)も記憶部12に記憶する(S306)。
点検作業者による全て点検が終了すると、点検作業者は、情報端末20を用いて、点検完了通知を送信する送信操作を行う。これにより、点検完了通知が管理サーバ10に送信される。管理サーバ10では、制御部11は、前記点検完了通知を受信したか否かを判定する(S307)。制御部11は、前記点検完了通知を受信するまで、ステップS304~S306の処理を繰り返し実行する。
制御部11は、前記点検完了通知を受信すると(S307のYes)、ステップS306において記憶部12に格納した点検設備、点検項目、及び記録順番に基づいて、登録すべき上位点検ルートを示すルート情報を生成(作成)する(S308)。
次に、制御部11は、ルート情報格納部31のルート管理データ301にアクセスして、ルート管理データ301にルート登録の要求者の登録ルート(登録済みのルート)があるか否かを判定する(S309)。例えば、制御部11は、ルート管理データ301に前記要求者の氏名或いは登録ID(識別情報)などが含まれてるか否かによって、前記登録ルートの有無を判定可能である。
制御部11は、ステップS309において前記要求者の登録ルートがあると判定すると、前記要求者の登録ルートを、ステップS308において生成されたルート情報で更新する(S310)。一方、制御部11は、ステップS309において前記要求者の登録ルートがないと判定すると、前記要求者の登録が初めての登録であるため、ステップS308において生成されたルート情報をルート管理データ301に新規に登録する。このとき、前記ルート情報のルート名が生成され、そのルート名とともに銭ルート情報がルート管理データ301に登録される。
その後、制御部11は、登録完了通知を情報端末20に対して送信し(S312)、一連の処理が終了する。
以上説明したように、本実施形態の点検支援システム100において、管理サーバ10の制御部11によって前記ルート登録処理が実行されることにより、前記点検結果の入力値を受信する度に、前記点検結果を受信した時点の点検設備、点検項目、点検時刻とともに記録順番が記憶部12に記憶され、前記記録順番に基づいて点検ルートを示すルート情報が生成され、そのルート情報が前記上位点検ルートとしてルート情報格納部31に登録される。つまり、点検支援システム100において、前記上位点検ルートが自動的にルート情報格納部31に登録される。その結果、前記上位点検作業者が実施する前記上位点検ルートを前記上位点検作業者から聞き出してルート情報格納部31に登録するという煩雑な作業を排除することができる。
なお、上述の実施形態では、ルート取得部111や評価値算出部112、入力値記録部113、ルート登録処理部114が管理サーバ10に設けられた例について説明したが、これらの各処理部の全部または一部は、情報端末20に設けられていてもよい。また、データベース30がネットワークN1に接続された例について説明したが、データベース30のルート情報格納部31、点検レポート格納部32、作業者情報格納部33の全部または一部が情報端末20に設けられていてもよい。
また、点検支援システム100において、前記推奨ルート表示処理(図10及び図11参照)、及び前記ルート登録処理(図13参照)が実行される処理例について説明したが、本発明はこのような処理例に限られない。例えば、本発明は、前記推奨ルート表示処理、または前記ルート登録処理のいずれか一方を実行する点検支援システム100、管理サーバ10(点検支援装置)、点検支援方法、ルート登録方法として捉えることができる。