本発明の感光性樹脂組成物は、少なくとも(A)アルカリ可溶性樹脂および(B)エポキシ化合物を含有する感光性樹脂組成物であって、該(A)アルカリ可溶性樹脂が、多環構造を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する有機基を有することを特徴とする感光性樹脂組成物である。
本発明における(A)アルカリ可溶性樹脂は、アルカリ水溶液で現像するためにアルカリ可溶性の官能基を有することが望ましい。アルカリ可溶性の官能基とは酸性を有する官能基であり、具体的には、フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。ここで言うアルカリ可溶性とは、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38%水溶液100gに対して、25℃で0.1g以上溶解するものを指す。上記、アルカリ可溶性の官能基の中でも、感光性樹脂組成物組成物の保存安定性や、導体である銅配線への腐食等の問題から、アルカリ可溶性の官能基はフェノール性水酸基であることが好ましい。 また、(A)アルカリ可溶性樹脂は、多環構造を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する有機基を有する。(A)アルカリ可溶性樹脂はアルカリ水溶液に可溶且つ多環構造を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する有機基を有すれば特に限定されないが、加工性、耐熱性および多環構造を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する有機基の導入し易さの点から、ポリイミド前駆体構造またはポリイミド構造、およびこれらの共重合体から選択される1種類以上の樹脂を含むことが好ましい。
前記(A)アルカリ可溶性樹脂が多環構造を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する有機基を有することによって、パターニングの際に使用する波長に対して、透明な樹脂を設計することができ、結果として微細なパターン加工性を発現することができる点で好ましい。さらに、多環構造を有することで、フラックス等の耐薬品性が向上する点で好ましい。また、理由は定かではないが、多環構造を有することで、イオンマイグレーション耐性が向上する点で好ましい。
また、本発明の(A)アルカリ可溶性樹脂は下記一般式(1)または(2)の少なくとも一方で表される有機を有することが好ましい。
(式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表す。)
前記一般式(1)または(2)で表される有機基を有することで、樹脂骨格が屈曲性を有することで、硬化前の感光性樹脂組成物として、有機溶剤への溶解性が高く、組成物中において樹脂の析出が発生し難く、保存安定性に優れる点から好ましい。
(A)アルカリ可溶性樹脂の多環構造を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する有機基の具体的な例としては、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−4メチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−7メチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−2’−シクロペンタノン−5’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン−2−スピロ−2’−シクロヘキサノン−6’−スピロ−2’’−ノルボルナン−5,5’’,6,6’’−テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
本発明において、前記(A)アルカリ可溶性樹脂は、前記ポリイミド前駆体およびポリイミドが一般式(3)および一般式(4)で表される構造から選ばれる少なくとも1種類以上の構造で表される構造を有する樹脂であることが好ましい。
(一般式(3)および(4)中、X1およびX2はそれぞれ独立に4〜10価の有機基を示し、Y1およびY2はそれぞれ独立に2〜4価の有機基を示し、Rは水素原子または炭素数1〜20の有機基を示す。r,s,t,uはそれぞれ独立には0〜4の整数である。)
一般式(3)および(4)中のY1およびY2は2価〜4価の有機基を示し、ジアミン由来の有機基を表している。
前記(A)アルカリ可溶性樹脂は、一般式(3)および(4)中のY1およびY2は、フェノール性水酸基を有するジアミン残基を含有することが好ましい。フェノール性水酸基を有するジアミン残基を含有させることで、樹脂のアルカリ現像液への適度な溶解性が得られるため、露光部と未露光部の高いコントラストが得られ、所望のパターンが形成できる。
フェノール性水酸基を有するジアミンの具体的な例としては、例えば、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ)ビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−5,5’−ジヒドロキシル−4,4’−ジアミノビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−5,5’−ジヒドロキシベンジジンなどの芳香族ジアミンや、これらの芳香族環や炭化水素の水素原子の一部を、炭素数1〜10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物、また、下記に示す構造を有するジアミンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。共重合させる他のジアミンは、そのまま、あるいは対応するジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンとして用いることができる。また、これら2種以上のジアミン成分を組み合わせて用いてもよい。
一般式(3)および(4)中のY1およびY2は、前記以外の芳香族を有するジアミン残基を含んでもよい。これらを共重合することで、耐熱性が向上できる。芳香族を有するジアミン残基の具体的な例としては、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルなどの芳香族ジアミンや、これらの芳香族環や炭化水素の水素原子の一部を、炭素数1〜10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物などを挙げることができるが、これらに限定されない。共重合させる他のジアミンは、そのまま、あるいは対応するジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンとして用いることができる。また、これら2種以上のジアミン成分を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリイミド前駆体構造である上記一般式(3)やポリイミド構造である一般式(4)中、X1およびX2は酸二無水物の残基を表しており、4価〜10価の有機基である。
前記酸二無水物としては、前記多環構造を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物以外の酸二無水物を含んでもよい。具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシ−2−シクロペンタン酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、および下記式に示した構造の酸二無水物や、これらの芳香族環や炭化水素の水素原子の一部を、炭素数1〜10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物などを挙げることができるが、これらに限定されない。また、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
(R4は酸素原子、C(CF3)2、C(CH3)2またはSO2を、R5およびR6は水素原子、水酸基またはチオール基を表す。)
本発明における一般式(3)および(4)で表される構造のモル比は、重合する際に用いるモノマーのモル比から算出する方法や、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて、得られた樹脂、樹脂組成物、硬化膜におけるポリアミド構造やイミド前駆体構造、イミド構造のピークを検出する方法において確認できる。 本発明において、(A)アルカリ可溶性樹脂は、重量平均分子量で3,000〜100,000が好ましい。この範囲では、アルカリ現像液への適度な溶解性が得られるため、露光部と未露光部の高いコントラストが得られ、所望のパターンが形成できる。アルカリ現像液への溶解性の面から、75,000以下がより好ましく、50,000以下がより好ましい。また、硬化膜の引張強伸度向上の面から、5,000以上が好ましい。ここで分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得ることができる。
本発明の樹脂組成物の保存安定性を向上させるため、前記ポリアミド樹脂は主鎖末端をモノアミン、モノカルボン酸、酸無水物、モノ活性エステル化合物などの他の末端封止剤で封止してもよい。
また、前記ポリアミド樹脂の末端を水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基、ビニル基、エチニル基、またはアリル基を有する末端封止剤により封止することで、前記ポリアミド樹脂のアルカリ溶液に対する溶解速度や得られる硬化膜の機械特性を好ましい範囲に容易に調整することができる。また、複数の末端封止剤を反応させ、複数の異なる末端基を導入してもよい。
末端封止剤としてのモノアミンとして具体的には、M−600,M−1000,M−2005,M−2070(以上商品名、HUNTSMAN(株)製)、アニリン、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノールなどを用いることができる。これらを2種以上用いてもよい。
末端封止剤としてのモノカルボン酸、モノ活性エステル化合物は、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸などのモノカルボン酸類およびこれらのカルボキシル基がエステル化した活性エステル化合物、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物などの酸無水物、ジカルボン酸であるフタル酸、マレイン酸、ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸、3−ヒドロキシフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸や、トリカルボン酸である、トリメリット酸、トリメシン酸、ジフェニルエーテルトリカルボン酸、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレンなどのジカルボン酸類の一方のカルボキシル基とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやイミダゾール、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物、これらの芳香族環や炭化水素の水素原子の一部を、炭素数1〜10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物などを用いることができる。これらを2種以上用いてもよい。
本発明で用いることのできる末端封止剤は、以下の方法で容易に検出できる。例えば、末端封止剤が導入された(A)アルカリ可溶性樹脂を、酸性溶液に溶解し、構成単位であるアミン成分と酸無水物成分に分解し、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMRにより、本発明に使用された末端封止剤を容易に検出できる。これとは別に、末端封止剤が導入された樹脂 成分を直接、熱分解ガスクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトルおよび13C−NMRスペクトルで測定することによっても、容易に検出できる。
本発明において、(A)アルカリ可溶性樹脂は、たとえば、次の方法により合成されるがこれに限定はされない。ポリイミド構造は、ジアミンの一部を末端封止剤である1級モノアミンに置き換えて、または、テトラカルボン酸二無水物を、末端封止剤であるジカルボン酸無水物に置き換えて、公知の方法で合成される。例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とモノアミンを反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジカルボン酸無水物とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミンとモノアミンと縮合剤の存在下で反応させる方法などの方法を利用して、ポリイミド前駆体を得る。その後、公知のイミド化反応法を利用してポリイミドを合成することができる。
本発明において、(A)アルカリ可溶性樹脂は、上記の方法で重合させた後、多量の水またはメタノールおよび水の混合液などに投入し、沈殿させて濾別乾燥し、単離することが好ましい。乾燥温度は40〜100℃が好ましく、より好ましくは50〜80℃である。この操作によって未反応のモノマーや、2量体や3量体などのオリゴマー成分が除去され、熱硬化後の膜特性を向上させることができる。
本発明における、イミド化率は、例えば以下の方法で容易に求めることができる。まず、ポリマーの赤外吸収スペクトルを測定し、ポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピーク(1780cm−1付近、1377cm−1付近)の存在を確認する。次に、そのポリマーを350℃で1時間熱処理したもののイミド化率を100%のサンプルとして赤外吸収スペクトルを測定し、熱処理前後の樹脂の1377cm−1付近のピーク強度を比較することによって、熱処理前樹脂中のイミド基の含量を算出し、イミド化率を求める。熱硬化時の閉環率の変化を抑制し、低応力化の効果が得られるため、イミド化率は50%以上が好ましく、80%以上がさらに好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、(B)エポキシ化合物を含有する。(B)エポキシ化合物は、(A)アルカリ可溶性樹脂と熱架橋することによって、耐薬品性を発現する。その際、熱架橋は脱ガス成分を伴うことなく、エポキシ基の開館反応によって熱硬化するため、低応力性となり、薬品等の化学的なダメージを受けても硬化膜にクラックや、膨れ等が発生することがない。さらに、(B)エポキシ化合物は、熱架橋時に、(A)アルカリ可溶性樹脂のアルカリ可溶性基と熱架橋することにより、信頼性試験時の高温高湿下での金属配線の腐食の原因となる、有機酸成分を低減することが可能となり、結果としてイオンマイグレーション耐性が向上する。
(B)エポキシ化合物としては、グリシジルエーテル型、グリシジルアミン型、グリシジルエステル型、およびオレフィン酸化型が挙げられる。その中でも、窒素原子を含有するエポキシ化合物が(A)アルカリ可溶性樹脂との相溶性が向上し、微細なパターン加工性が得られる点及び耐フラックス性が向上する点より好ましい。さらに好ましいことに、感光性樹脂組成物とした際の保存安定性が向上する点より、イソシアヌレート骨格を含有するエポキシ化合物が好ましい。
イソシアヌレート骨格を含有するエポキシ化合物としては、例えばトリグリシジルイソシアヌレートであるTEPIC−S,TEPIC−L、TEPIC−VL、TEPIC−PASB22(商品名、いずれも日産化学(株)製)等があげられる。(B)エポキシ化合物は、単独または2種以上を組み合わせて使用しても良い。
(B)エポキシ化合物の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂100重量部に対し、耐フラックス性が向上する点から、10重量部以上であることが好ましく、より好ましくは20重量部以上である。一方、微細なパターン加工性を損なう点より、100重量部以下が好ましく、75重量部以下がさらに好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物はさらに、(C)光により酸を発生する化合物を含有することができる。(C)光により酸を発生する化合物を含有することにより、光照射部のアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する特性を持ち、ポジ型の感光性樹脂組成物として使用することができる。(C)光により酸を発生する化合物を用いることで、光により樹脂や架橋剤が反応することで不溶化するネガ型より微細なパターン加工性が得られる点で好ましい。(c)光により酸を発生する化合物としては、キノンジアジド化合物、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩などがある。
キノンジアジド化合物は、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合および/ またはスルホンアミド結合したものなどが挙げられる。これらポリヒドロキシ化合物やポリアミノ化合物の全ての官能基がキノンジアジドで置換されていなくても良いが、官能基全体の50モル%以上がキノンジアジドで置換されていることが好ましい。前記キノンジアジドによる置換が50モル%以上の場合、アルカリ現像液に対する溶解性が高くなり過ぎず、未露光部とのコントラストが得られ、所望のパターンを得ることができる。このようなキノンジアジド化合物を用いることで、一般的な紫外線である水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)に感光するポジ型の感光性樹脂組成物を得ることができる。このような化合物は単独で使用しても良いし、2種以上を混合して使用してもかまわない。また、光酸発生剤は2種類用いることで、より露光部と未露光部の溶解速度の比を大きく取ることができ、この結果、高感度な感光性樹脂組成物を得ることができる。
ポリヒドロキシ化合物は、Bis−Z、BisP−EZ、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、TrisP−SA、TrisOCR−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PCHP、DML−PC、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP,DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC、TriML−P、TriML−35XL、TML−B P、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP、HML−TPPHBA、HML−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A、46DMOC、46DMOEP、TM−BIP−A(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール、ナフトール、テトラヒドロキシベンゾフェノン、没食子酸メチルエステル、ビスフェノールA 、ビスフェノールE、メチレンビスフェノール、BisP−AP(商品名、本州化学工業(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されない。
ポリアミノ化合物は、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、ポリヒドロキシポリアミノ化合物は、2,2−ビス(3−アミノ−4− ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明においてキノンジアジドは5−ナフトキノンジアジドスルホニル基、4−ナフトキノンジアジドスルホニル基のいずれも好ましく用いられる。4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のi線領域に吸収を持っており、i線露光に適している。5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物は水銀灯のg線領域まで吸収が伸びており、g線露光に適している。本発明においては、露光する波長によって4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物、5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を選択することが好ましい。また、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基および5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を併用した、ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を得ることもできるし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物とを混合して使用することもできる。
また、キノンジアジド化合物の分子量が5000より大きくなると、その後の熱処理においてキノンジアジド化合物が十分に熱分解しないために、得られる膜の耐熱性が低下する、機械特性が低下する、接着性が低下するなどの問題が生じる可能性がある。このような観点から、好ましいキノンジアジド化合物の分子量は300〜3000である。さらに好ましくは、350〜1500である。
本発明に用いられるキノンジアジド化合物は、特定のフェノール化合物から、次の方法により合成される。例えば5−ナフトキノンジアジドスルホニルクロライドとフェノール化合物をトリエチルアミン存在下で反応させる方法が挙げられる。フェノール化合物の合成方法は、酸触媒下でα−(ヒドロキシフェニル)スチレン誘導体を多価フェノール化合物と反応させる方法などが挙げられる。
本発明に用いる(C)光により酸を発生する化合物のうち、露光によって発生させた酸成分を適度に安定化させるものとしては、スルホニウム塩、ホスホニウム塩またはジアゾニウム塩であることが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物から得られる樹脂組成物は永久膜として使用するため、リン等が残存することは環境上好ましくなく、また膜の色調も考慮する必要があることから、これらの中ではスルホニウム塩が好ましく用いられる。特に好ましいものとして、トリアリールスルホニウム塩が挙げられる。
本発明で用いられる(C)光により酸を発生する化合物の含有量は、(A)のアルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜50質量部である。このうち、キノンジアジド化合物は3〜40質量部の範囲が好ましい。また、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩から選ばれる化合物は全体で0.05〜40質量部の範囲が好ましく、さらに0.1〜30質量部の範囲が好ましい。光酸発生剤の含有量をこの範囲とすることにより、より高感度化を図ることができる。さらに増感剤などを必要に応じて含有してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、前記(B)エポキシ化合物以外の熱架橋剤を含有してもよく、アルコキシメチル基、メチロール基を有する化合物が好ましい。
アルコキシメチル基またはメチロール基を有する例としては、例えば、DML−PC、DML−PEP、DML−OC、DML−OEP、DML−34X、DML−PTBP、DML−PCHP、DML−OCHP、DML−PFP、DML−PSBP、DML−POP、DML−MBOC、DML−MBPC、DML−MTrisPC、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−BPC、DML−BisOC−P、DMOM−PC、DMOM−PTBP、DMOM−MBPC、TriML−P、TriML−35XL、TML−HQ、TML−BP、TML−pp−BPF、TML−BPE、TML−BPA、TML−BPAF、TML−BPAP、TMOM−BP、TMOM−BPE、TMOM−BPA、TMOM−BPAF、TMOM−BPAP、HML−TPPHBA、HML−TPHAP、HMOM−TPPHBA、HMOM−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、NIKALAC(登録商標)MX−290、NIKALAC MX−280、NIKALAC MW−100LM、NIKALAC MX−750LM(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、さらにシラン化合物を含有することができる。シラン化合物を含有することにより、耐熱性樹脂被膜の密着性が向上する。シラン化合物の具体例としては、N−フェニルアミノエチルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノエチルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルアミノブチルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノブチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどを挙げることができる。シラン化合物の含有量は、一般式(1)および/または(2)で表される構造を主成分とする樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上15質量部以下である。
また、本発明のポジ型の感光性を有する感光性樹脂組成物は、必要に応じて、基材との塗れ性を向上させる目的で界面活性剤、乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エタノールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類を含有してもよい。また、熱膨張係数の抑制や高誘電率化、低誘電率化のなどの目的で、二酸化ケイ素、二酸化チタンなどの無機粒子、あるいはポリイミドの粉末などを含有してもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、硬化前の形状は限定されず、例えば、ワニス状やフィルム状などが挙げられる。フィルム状の場合は、支持体上に形成されたフィルム状であってもよい。ワニス状で用いる場合は、(A)〜(C)成分および必要に応じ加えられる成分を上記の有機溶媒に溶解させたものを用いることができる。また、感光性樹脂組成物フィルムは、例えば本発明の感光性樹脂組成物を支持体上に塗布し、次いでこれを必要により乾燥することにより得られる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物組成物を用いて感光性樹脂組成物フィルムを作製する方法について説明する。本発明の感光性樹脂組成物フィルムは感光性樹脂組成物の溶液(ワニス)を支持体上に塗布し、次いでこれを必要により乾燥することにより得られる。感光性樹脂組成物ワニスは、感光性樹脂組成物に有機溶剤を添加することで得られる。ここで使用される有機溶剤としては、感光性樹脂組成物を溶解するものであればよい。
有機溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、2−ヘプタノンなどのケトン類、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノ−ル、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、その他、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
また、感光性樹脂組成物ワニスを濾紙やフィルターを用いて濾過しても良い。濾過方法は特に限定されないが、保留粒子径0.4μm〜10μmのフィルターを用いて加圧濾過により濾過する方法が好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物フィルムは支持体上に形成されて用いられるのが好ましい。支持体は特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルムなど、通常市販されている各種のフィルムが使用可能である。支持体と感光性樹脂フィルムとの接合面には、密着性と剥離性を向上させるために、シリコーン、シランカップリング剤、アルミキレート剤、ポリ尿素などの表面処理を施してもよい。また、支持体の厚みは特に限定されないが、作業性の観点から、10〜100μmの範囲であることが好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物フィルムは、表面を保護するために、膜上に保護フィルムを有してもよい。これにより、大気中のゴミやチリ等の汚染物質から感光性樹脂組成物フィルム表面を保護することができる。
保護フィルムとしては、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等が挙げられる。保護フィルムは、感光性樹脂組成物フィルムとの接着力が小さいものが好ましい。
感光性樹脂組成物ワニスを支持体に塗布する方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーター、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどの方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が、0.5μm以上100μm以下であることが好ましい。
乾燥には、オーブン、ホットプレート、赤外線などを使用することができる。乾燥温度および乾燥時間は、有機溶媒を揮発させることが可能な範囲であればよく、感光性樹脂組成物フィルムが未硬化または半硬化状態となるような範囲を適宜設定することが好ましい。具体的には、40℃から120℃の範囲で1分から数十分行うことが好ましい。また、これらの温度を組み合わせて段階的に昇温してもよく、例えば、70℃、80℃、90℃で各1分ずつ熱処理してもよい。
次に、本発明の感光性樹脂組成物ワニス、またはそれを用いた感光性樹脂組成物フィルムをパターン加工する方法、および他の部材に熱圧着する方法について、例を挙げて説明する。
まず、本発明の感光性樹脂組成物、またはそれを用いた感光性樹脂組成物フィルムを用いて、基板上に感光性樹脂組成物膜を形成する方法について説明する。感光性樹脂組成物ワニスを用いる場合は、まずワニスを基板上に塗布する。塗布方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷などの方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、樹脂組成物の固形分濃度および粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が0.5μm以上100μm以下になるように塗布することが好ましい。次に、感光性樹脂組成物ワニスを塗布した基板を乾燥して、感光性樹脂組成物被膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用することができる。乾燥温度および乾燥時間は、有機溶媒を揮発させることが可能な範囲であればよく、感光性樹脂組成物被膜が未硬化または半硬化状態となるような範囲を適宜設定することが好ましい。具体的には、50〜150℃の範囲で1分から数時間行うのが好ましい。
一方、感光性樹脂組成物フィルムを用いる場合は、保護フィルムを有する場合にはこれを剥離し、感光性樹脂組成物フィルムと基板を対向させ、熱圧着により貼り合わせて、感光性樹脂組成物被膜を得る。熱圧着は、熱プレス処理、熱ラミネート処理、熱真空ラミネート処理等によって行うことができる。貼り合わせ温度は、基板への密着性、埋め込み性の点から40℃以上が好ましい。また、貼り合わせ時に感光性樹脂組成物フィルムが硬化し、露光・現像工程におけるパターン形成の解像度が悪くなることを防ぐために、貼り合わせ温度は150℃以下が好ましい。
いずれの場合にも、用いられる基板は、シリコンウェハ、セラミックス類、ガリウムヒ素、有機系回路基板、無機系回路基板、およびこれらの基板に回路の構成材料が配置されたものなどが挙げられるが、これらに限定されない。有機系回路基板の例としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板などのガラス基材銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板などのコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板などの耐熱・熱可塑性基板、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板が挙げられる。また、無機系回路基板の例は、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板などのセラミック基板、アルミニウムベース基板、鉄ベース基板などの金属系基板が挙げられる。回路の構成材料の例は、銀、金、銅などの金属を含有する導体、無機系酸化物などを含有する抵抗体、ガラス系材料および/または樹脂などを含有する低誘電体、樹脂や高誘電率無機粒子などを含有する高誘電体、ガラス系材料などを含有する絶縁体などが挙げられる。
次に、上記方法によって形成された感光性樹脂組成物被膜上に、所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いるのが好ましい。感光性樹脂組成物フィルムにおいて、支持体がこれらの光線に対して透明な材質である場合は、感光性樹脂組成物フィルムから支持体を剥離せずに露光を行ってもよい。
パターンを形成するには、露光後、現像液にて露光部を除去する。現像液としては、水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを含有してもよい。
現像は、上記の現像液を被膜面にスプレーする、被膜面に現像液を液盛りする、現像液中に浸漬する、あるいは浸漬して超音波をかけるなどの方法によって行うことができる。現像時間や現像ステップ現像液の温度などの現像条件は、露光部が除去されパターン形成が可能な条件であればよい。
現像後は水にてリンス処理を行うことが好ましい。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしても良い。
また、必要に応じて現像前にベーク処理を行ってもよい。これにより、現像後のパターンの解像度が向上し、現像条件の許容幅が増大する場合がある。このベーク処理温度は50〜180℃の範囲が好ましく、特に60〜120℃の範囲がより好ましい。時間は5秒〜数時間が好ましい。
パターン形成後、感光性樹脂組成物被膜中には光酸発生剤が残存している。このため、熱圧着あるいは硬化の際にこれらが熱分解しガスが発生することがある。これを避けるため、パターン形成後の感光性樹脂組成物被膜の全面に上述の露光光を照射し、光酸発生剤をあらかじめ分解しておくことが好ましい。このプロセスを、ブリーチング露光と称する。
現像後、150℃〜500℃の温度を加えて熱架橋反応を進行させる。架橋により、耐熱性および耐薬品性を向上させることができる。この加熱処理の方法は、温度を選び、段階的に昇温する方法や、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分間〜5時間実施する方法を選択できる。前者の一例として、130℃、200℃で各30分ずつ熱処理する方法が挙げられる。後者の一例として室温より400℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物や感光性樹脂組成物フィルムを硬化した硬化膜は、半導体装置等の電子部品に使用することができる。本発明でいう半導体装置とは、半導体素子の特性を利用することで機能し得る装置全般を指す。半導体素子を基板に接続した電気光学装置や半導体回路基板、複数の半導体素子を積層したもの、並びにこれらを含む電子装置は、全て半導体装置に含まれる。また、半導体素子を接続するための多層配線板等の電子部品も半導体装置に含める。具体的には、半導体のパッシベーション膜、半導体素子の表面保護膜、半導体素子と配線の間の層間絶縁膜、複数の半導体素子の間の層間絶縁膜、高密度実装用多層配線の配線層間の層間絶縁膜、有機電界発光素子の絶縁層などの用途に好適に用いられるが、これに制限されず、様々な用途に用いることができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<解像度(パターン加工性)の評価>
各実施例および比較例で作製した感光性樹脂組成物フィルムの保護フィルムを剥離し、該剥離面を、4インチのシリコンウェハ上に、真空ダイアフラム式ラミネータ((株)名機製作所製、MVLP−500/600)を用いて、上下熱盤温度120℃、真空引き時間20秒、真空プレス時間30秒、貼付圧力0.5MPaの条件でラミネートし、シリコンウェハ上に感光性樹脂組成物フィルムを形成した。そして、支持体フィルムを剥離した後、露光装置にビアサイズが30μmφ、20μmφ、10μmφ、5μmφのパターンを有するマスクをセットし、マスクと感光性樹脂組成物フィルムの露光ギャップ100μmの条件下で、超高圧水銀灯を用いて、露光量600mJ/cm2(i線換算)で露光を行った。露光後、ディップ現像にて、水酸化テトラメチルアンモニウムの2.38%水溶液を用いて未露光部を除去し、水にてリンス処理をした。現像時間は、未露光部が完全に溶解した時間の1.5倍の時間とした。この様にして得られたパターンを、光学顕微鏡で観察し、パターンにツマリ等の異常のない場合の最小のサイズを解像度の評価とした。また、ビアサイズ30μmφのパターンが現像できていないものを0(不良)とした。
<フラックス耐性の評価>
前記パターン加工性の評価方法と同様にして、基板をシリコンウェハから銅張積層板に変更し、銅張積層板上に感光性樹脂組成物フィルムを形成した。そして、支持体フィルムを剥離した後、イナートオーブン(光洋サーモシステム(株)製、INL−60)を用いて、N2雰囲気下(酸素濃度20ppm以下)、室温から220℃まで60分かけて昇温したのち、220℃で60分間熱処理し、銅張積層板上に形成された感光性樹脂組成物フィルムの硬化膜を得た。
銅張積層板上に形成された感光性樹脂組成物フィルムの硬化膜にアミン系フラックス(WF−6317、千住金属工業(株)製)を塗布した後、リフロー炉(パナソニック デバイスSUNX竜野(株)製、RN−S)に投入し、最高到達点260℃の環境下で熱処理をした。その後、40℃の水浴にて1分間浸漬し、基板を揺動させながらフラックスを水で洗い流した。
フラックスを水で洗い流した後、硬化膜にクラック、膨れ、剥がれなどの異常が発生しているか否かの状態を目視、光学顕微鏡にて観察した。なお、膜にクラック、膨れ、剥がれなどの異常が発生するまで、上記操作を繰り返し、異常が生じなかった回数をフラックス耐性の評価結果とした。また、1回目で異常が発生したものは0(不良)、3回目で異常が発生しなかったものはそれ以降、試験を繰り返さず、3とした。
<イオンマイグレーション耐性の評価>
前記パターン加工性の評価方法と同様にして、基板をシリコンウェハからイオンマーグレーション評価用基板(WALTS−TEG ME0102JY、(株)ウォルツ製)に変更し、イオンマイグレーション評価用基板上に感光性樹脂組成物フィルムを形成した。そして、支持体フィルムを剥離した後、イナートオーブン(光洋サーモシステム(株)製、INL−60)を用いて、N2雰囲気下(酸素濃度20ppm以下)、室温から220℃まで60分かけて昇温したのち、220℃で60分間熱処理し、イオンマイグレーション評価用基板上に形成された感光性樹脂組成物フィルムの硬化膜を得た。
その後、櫛歯の銅配線のライン/スペースが15μm/10μmの測定用端子の個所に導線をハンダ付けし、評価用試験片を作製した。評価用試験片をHAST装置(PM220、楠本化成(株)製)に投入し、130℃、85%RHの環境下、イオンマイグレーション評価装置(SIR13、楠本化成(株)製)を用いて、印可電圧17.5V、印可時間96時間にて、イオンマイグレーション耐性評価を実施した。電圧印可時の抵抗値が1×106Ωをした回った際の連続印可時間の長さをイオンマイグレーション耐性の評価とした。結果は、連続印可時間が30時間未満のものを0(不良)、30時間以上60時間のものを1、60時間以上96時間未満のものを2、96時間経っても抵抗値が1×106Ωを下回らなかったものを3とした。
<保存安定性の評価>
各実施例および比較例で作製した感光性樹脂組成物フィルムを23℃、50%の環境下で保管し、上記の解像度の評価と同様にして、1週間毎に解像度の評価を行った。0週間(保管なし)と比較して、解像度に変化がなかった保管週数を保存安定性の評価結果とした。また、1週間の経過で解像度が悪くなったものを0(不良)、2週間経過しても変化しなかったものはそれ以降、試験は行わず、2週間とした。
各実施例および比較例で用いた化合物は以下の方法により合成した。
合成例1 ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(a)の合成
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(以降BAHFと呼ぶ)(18.3g、0.05モル)をアセトン100mL、プロピレンオキシド(17.4g、0.3モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに3−ニトロベンゾイルクロリド(20.4g、0.11モル)をアセトン100mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。析出した白色個体をろ別し、50℃で真空乾燥した。
得られた白色個体30gを300mLのステンレスオートクレーブに入れ、メチルセロソルブ250mLに分散させ、5%パラジウム―炭素を2g加えた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で行った。約2時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認して反応を終了させた。反応終了後、ろ過して触媒であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮し、下記式で表されるヒドロキシル基含有ジアミン化合物(a)を得た。得られた個体はそのまま反応に使用した。
合成例2 キノンジアジド化合物(b)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(21.22g、0.05モル、商品名、本州化学工業(株)製)と4−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリド(40.29g、0.15モル)を1,4−ジオキサン50gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合したトリエチルアミン15.18gを系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後、30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩をろ過し、ろ液を水に投入した。その後、析出した沈殿をろ過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記式で表されるキノンジアジド化合物(b)を得た。
合成例3 ポリイミド(A−1)の合成
乾燥窒素気流下、合成例1で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(a)(48.36g、0.08モル)、3−アミノフェノール(4.37g、0.04モル)をN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPとする)100gに溶解した。ここに、TDA−100(30.03g、0.1モル)をNMP50gとともに加えて、100℃で1時間攪拌し、次いで200℃で4時間攪拌して樹脂溶液を得た。次に、樹脂溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。
合成例4 ポリイミド(A−2)の合成
乾燥窒素気流下、合成例1で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(a)(48.36g、0.08モル)、3−アミノフェノール(4.37g、0.04モル)をNMP100gに溶解した。ここに、CpODA(38.44g、0.1モル)をNMP70gとともに加えて、100℃で1時間攪拌し、次いで200℃で4時間攪拌して樹脂溶液を得た。次に、樹脂溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。
合成例5 ポリイミド(A−3)の合成
乾燥窒素気流下、合成例1で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(a)(27.20g、0.045モル)、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(以下、BAHFとする)(16.48g、0.045モル)、3−アミノフェノール(2.18g、0.02モル)をNMP100gに溶解した。ここに、TDA−100(15.01g、0.05モル)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(以下、ODPAとする)(15.51g、0.05モル)をNMP40gとともに加えて、100℃で1時間攪拌し、次いで200℃で4時間攪拌して樹脂溶液を得た。次に、樹脂溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。
合成例6 ポリイミド(A−4)の合成
乾燥窒素気流下、合成例1で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(a)(27.20g、0.045モル)、BAHF(16.48g、0.045モル)、3−アミノフェノール(2.18g、0.02モル)をNMP100gに溶解した。ここに、CpODA(19.22g、0.05モル)、ODPA(15.51g、0.05モル)をNMP50gとともに加えて、100℃で1時間攪拌し、次いで200℃で4時間攪拌して樹脂溶液を得た。次に、樹脂溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。
合成例7 ポリイミド(A−5)の合成
乾燥窒素気流下、合成例1で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(a)(48.36g、0.08モル)、3−アミノフェノール(4.37g、0.04モル)をNMP100gに溶解した。ここに、TDA−100(15.01g、0.05モル)、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(以下、CBDAとする)(9.81g、0.05モル)をNMP45gとともに加えて、100℃で1時間攪拌し、次いで200℃で4時間攪拌して樹脂溶液を得た。次に、樹脂溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。
合成例8 ポリイミド(A−6)の合成
乾燥窒素気流下、合成例1で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(a)(48.36g、0.08モル)、3−アミノフェノール(4.37g、0.04モル)をNMP100gに溶解した。ここに、CpODA(19.22g、0.05モル)、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(9.81g、0.05モル)をNMP45gとともに加えて、100℃で1時間攪拌し、次いで200℃で4時間攪拌して樹脂溶液を得た。次に、樹脂溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。
合成例9 ポリイミド(A−7)の合成
乾燥窒素気流下、合成例1で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(a)(24.18g、0.04モル)、BAHF(14.65g、0.04モル)、3−アミノフェノール(4.37g、0.04モル)をNMP100gに溶解した。ここに、ODPA(31.02g、0.1モル)をNMP40gとともに加えて、70℃で1時間攪拌し、次いで200℃で4時間攪拌して樹脂溶液を得た。次に、樹脂溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。
合成例10 ポリイミド(A−8)の合成
乾燥窒素気流下、合成例1で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物(a)(48.36g、0.08モル)、3−アミノフェノール(4.37g、0.04モル)をNMP100gに溶解した。ここに、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(19.61g、0.1モル)をNMP35gとともに加えて、100℃で1時間攪拌し、次いで200℃で4時間攪拌して樹脂溶液を得た。次に、樹脂溶液を水3Lに投入して白色沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で5時間乾燥した。
実施例1
(A)成分として合成例3で得られたポリイミド(A−1)10g、(B)成分としてTEPIC−VL(商品名、日産化学(株)製)4g、(C)成分として下記の構造のナフトキノンジアジド化合物1gをγ―ブチロラクトンに溶解した。溶媒の添加量は、溶媒以外の添加物を固形分とし、固形分濃度が45%となるように調整した。その後、保留粒子径1μmのフィルターを用いて加圧ろ過し、感光性樹脂組成物ワニスを得た。
得られたワニスを、コンマロールコーターを用いて、厚さ50μmのPETフィルム上に塗布し、80℃で8分間乾燥を行った後、保護フィルムとして、厚さ10μmのPPフィルムをラミネートし、感光性樹脂組成物フィルムを得た。感光性樹脂組成物フィルムの膜厚は10μmとなるように調整した。得られた感光性樹脂組成物フィルムを用いて、前記のように、パターン加工性、フラックス耐性、イオンマイグレーション耐性および保存安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2〜11
(A)〜(C)成分および、その他成分を下記の構造の化合物に変更し、それらの混合比を表1に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物フィルムを作製し、前記のように、パターン加工性、フラックス耐性、イオンマイグレーション耐性および保存安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1〜3
(A)〜(C)成分および、その他成分を下記の構造の化合物に変更し、それらの混合比を表1に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、感光性樹脂組成物フィルムを作製し、前記のように、パターン加工性、フラックス耐性、イオンマイグレーション耐性および保存安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1、2においては、(A)成分のアルカリ可溶性樹脂が用いられなかったため、イオンマイグレーション耐性が得られなかった。比較例3は(B)成分が用いられなかった、イオンマイグレーション耐性が得られなかった。
なお、各合成例、実施例および比較例で用いた化合物の構造を下記に示した。
多環構造を有する脂環式テトラカルボン酸二無水物
多環構造を有する脂環式テトラカルボン酸無水物以外のテトラカルボン酸二無水物
(B)エポキシ化合物
(B)エポキシ化合物以外の熱架橋剤