以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は(a)樹脂と(c)溶剤を有する樹脂組成物であって、
(a)樹脂は、一般式(1)及び一般式(2)及び一般式(3)で表される構造単位を有し、
一般式(1)〜(3)で表される構造単位の合計を100モル%として、
一般式(2)で表される構造単位を5モル%以上50モル%未満有する樹脂組成物である。
一般式(1)〜(3)中、Y1〜Y3はそれぞれ独立に2価の有機基を示し、X1〜X3はそれぞれ独立に4価の有機基を示す。R1は炭素数1〜20の1価の有機基を示す。*は化学結合を示す。
一般式(1)で表される構造はポリアミド酸、一般式(2)で表される構造はポリアミド酸エステルであり、どちらもポリイミド前駆体構造を意味する。一般式(3)は、それらが閉環したポリイミド構造を意味する。Y1〜Y3はジアミン残基であり、X1〜X3は、酸二無水物またはテトラカルボン酸残基である。(a)樹脂は、一般式(1)〜(3)で表される以外の構造を共重合していてもよく、具体的には、ポリアミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、それらの前駆体が挙げられる。
一般式(2)で表される構造単位を5モル%以上50モル%未満有することで、寸法均一性にすぐれた配線を形成可能な、高伸度な硬化膜を得ることができる。これは、(a)樹脂が、ポリイミド構造、ポリアミド酸構造およびポリアミド酸エステル構造を有しながら、本発明の範囲でポリアミド酸エステル構造を有することで、樹脂組成物が適度な相分離と高い濡れ性を有するからである。その結果、表面エネルギーが高く、微小な表面荒れと高い濡れ性を面内で均一に有する硬化膜が得られることが原因として推測される。これより、アンカー効果によるバリアメタルの密着性と、バリアメタルの面内で均一なウエットエッチング性が得られ、寸法均一性にすぐれた配線を形成できると考えられる。
また、本発明の範囲で、一般式(2)で表される構造単位を有することで、熱硬化時のポリイミド前駆体の解重合による分子量低下や、過度な相分離によるポリアミド酸エステルの凝集が起こらないため、高い伸度が得られる。一般式(1)〜(3)で表される構造単位の合計を100モル%として、一般式(2)で表される構造単位の比率は、5モル以上50モル%未満である。熱硬化時のポリイミド前駆体の開裂による分子量低下が抑制できる観点から、12モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましい。また、過度な相分離によるポリアミド酸エステルの凝集が抑制できる観点から、40モル%未満が好ましく、35モル%未満がより好ましい。
また、一般式(1)で表される構造単位の比率は、40モル%を超え、95モル%未満が好ましく、(3)で表される構造単位の比率は、0モル%を超え、10モル%未満が好ましい。これらの範囲であれば、寸法均一性にすぐれた配線を形成可能な、高伸度な硬化膜を得ることができるため好ましい。
上記一般式(2)におけるR1は、分子量100以下のアルキル基であることが好ましい。低分子量で揮発しやすいアルキル基を用いることで、樹脂組成物で過度な相分離が生じず、また硬化時の収縮率が小さいため、寸法均一性にすぐれた配線を形成可能となるため好ましい。具体的には、上記一般式(2)中、R1はメチル基、エチル基、ブチル基、であることが好ましい。
上記(a)樹脂におけるジアミン残基の総量を100モル%とした場合、フッ素原子を有するジアミン残基が20〜80モル%であることが好ましい。
嵩高いフッ素原子を有するジアミン残基を一部有することで、樹脂鎖間の過度なパッキングにより生じる硬化膜の剛直化が緩和され、高伸度な硬化膜が得られるため、20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましい。また、樹脂鎖間で適度な相互作用が得られることで高伸度な硬化膜が得られるため、80モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。
嵩高いフッ素原子を有するジアミン残基を一部有することで、過度なパッキングにより生じる硬化膜の剛直化が抑制され、高伸度な硬化膜が得られるため好ましい。
フッ素原子を有するジアミン残基としては、具体的には、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2’−ジトリフルオロメチル−5,5’−ジヒドロキシル−4,4’−ジアミノビフェニル、2’−ビス(トリフルオロメチル)−5,5’−ジヒドロキシベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルや、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ)ビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、2−メチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、KH−511、ED−600、ED−900、ED−2003、EDR−148、EDR−176、D−200、D−400、D−2000、THF−100、THF−140、THF−170、RE−600、RE−900、RE−2000、RP−405、RP−409、RP−2005、RP−2009、RT−1000、HE−1000、HT−1100、HT−1700、(以上商品名、HUNTSMAN(株)製)などの芳香族環や炭化水素の水素原子の一部を、フルオロアルキル基で置換した化合物、また、下記に示す構造を有するジアミン、などを挙げることができるが、これらに限定されない。また、これら2種以上のジアミン成分を組み合わせて用いてもよい。
この中でも、2,2’−ジトリフルオロメチル−5,5’−ジヒドロキシル−4,4’−ジアミノビフェニル、2’−ビス(トリフルオロメチル)−5,5’−ジヒドロキシベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルは、適度なパッキングにより、高い強度と伸度が得られるためより好ましい。
上記(a)樹脂における他のジアミン残基としては、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ)ビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、2−メチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、KH−511、ED−600、ED−900、ED−2003、EDR−148、EDR−176、D−200、D−400、D−2000、THF−100、THF−140、THF−170、RE−600、RE−900、RE−2000、RP−405、RP−409、RP−2005、RP−2009、RT−1000、HE−1000、HT−1100、HT−1700、(以上商品名、HUNTSMAN(株)製)や、これらの芳香族環や炭化水素の水素原子の一部を、炭素数1〜10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物、また、下記に示す構造を有するジアミン、などを挙げることができるが、これらに限定されない。また、これら2種以上のジアミン成分を組み合わせて用いてもよい。
ここで、nはそれぞれ独立に1〜10、好ましくは1〜5の整数である。
さらに、シリコン基板との密着性を向上させるために、(a)樹脂は、シロキサン構造と脂肪族構造の両方を有する構造を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノ−フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどが挙げられる。
これらのうち、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニルは、フッ素原子を有するジアミンと併用することで、樹脂鎖間で適度な相互作用が得られることで高伸度な硬化膜が得られるため好ましい。
一般式(1)〜(3)中、X1〜X3は、酸二無水物、またはテトラカルボン酸残基であり、具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシ−2−シクロペンタン酢酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−ノルボルナン酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンおよび下記式に示した構造の酸二無水物や、これらの芳香族環や炭化水素の水素原子の一部を、炭素数1〜10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物などを挙げることができるが、これらに限定されない。
これらのうち、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は、高い強度と伸度が得られるためより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、(b)樹脂を含有することが好ましい。(b)樹脂は、一般式(4)、一般式(5)及び一般式(6)で表される構造単位を有し、一般式(4)〜(6)で表される構造単位の合計を100モル%として、一般式(5)で表される構造単位を60モル%以上98モル%未満有することが好ましい。
一般式(4)〜(6)中、Y4〜Y6はそれぞれ独立に2価の有機基を示し、X4〜X6はそれぞれ独立に4価の有機基を示す。R1は炭素数1〜20の1価の有機基を示す。
一般式(4)で表される構造はポリアミド酸、一般式(5)で表される構造はポリアミド酸エステルであり、どちらもポリイミド前駆体構造を意味する。一般式(6)は、それらが閉環したポリイミド構造を意味する。Y1〜Y3はジアミン残基であり、X1〜X3は、酸二無水物またはテトラカルボン酸残基である。(b)樹脂は、一般式(4)〜(6)で表される以外の構造を共重合していてもよく、具体的には、ポリアミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、それらの前駆体が挙げられる。
(b)樹脂を含有することでバリアメタルの密着性を向上できるため好ましい。これは、(a)樹脂と(b)樹脂がエステル化率の異なる類似構造を有することで、樹脂組成物が適度な相分離を有し、微小な表面荒れが得られるためと考えられる。
一般式(5)で表される構造単位の比率は、適度な相分離が得られる観点から、60モル%以上が好ましく、65モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましい。また、顕著な相分離が発生しない観点から、98モル%未満が好ましく、90モル%未満がより好ましく、85モル%未満がさらに好ましい。
また、一般式(4)で表される構造単位の比率は、2モル%以上35モル%未満が好ましく、(6)で表される構造単位の比率は、0モル%を超え、35モル%未満が好ましい。(b)樹脂が、これらの範囲であれば、(a)樹脂で得られる伸度を維持したまま、寸法均一性にすぐれた配線を形成できるため好ましい。
一般式(4)〜(6)中、Y4〜Y6はジアミン残基であり、具体的には、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ)ビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−5,5’−ジヒドロキシル−4,4’−ジアミノビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−5,5’−ジヒドロキシベンジジン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、2−メチル−1,3−プロパンジアミン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、KH−511、ED−600、ED−900、ED−2003、EDR−148、EDR−176、D−200、D−400、D−2000、THF−100、THF−140、THF−170、RE−600、RE−900、RE−2000、RP−405、RP−409、RP−2005、RP−2009、RT−1000、HE−1000、HT−1100、HT−1700、(以上商品名、HUNTSMAN(株)製)や、これらの芳香族環や炭化水素の水素原子の一部を、炭素数1〜10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物、また、下記に示す構造を有するジアミン、などを挙げることができるが、これらに限定されない。また、これら2種以上のジアミン成分を組み合わせて用いてもよい。
ここで、nはそれぞれ独立に1〜10、好ましくは1〜5の整数である。
これらのうち、アミド構造を有するジアミンを用いることが好ましい。(b)樹脂が、アミド構造を有するジアミン残基を由来とする場合、(a)樹脂の表面エネルギーを向上することで、バリアメタルとの密着性を向上できるため好ましい。
さらに、シリコン基板との密着性を向上させるために、本発明の耐熱性樹脂は、シロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノ−フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどが挙げられる。
一般式(4)〜(6)中、X4〜X6は、酸二無水物、またはテトラカルボン酸残基であり、具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸二無水物、9,9−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシ−2−シクロペンタン酢酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−ノルボルナン酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオンおよび下記式に示した構造の酸二無水物や、これらの芳香族環や炭化水素の水素原子の一部を、炭素数1〜10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物などを挙げることができるが、これらに限定されない。
また、上記(a)樹脂および上記(b)樹脂がアルカリ水溶解性を有し、(b)樹脂のアルカリ水溶液への溶解速度が、(a)樹脂のアルカリ水溶液への溶解速度の0.5倍以上2倍以下であることが好ましい。(a)樹脂と(b)樹脂の溶解速度が近い範囲にあることで、アルカリ水溶液による現像工程後、微小な表面あれと面内で均一な濡れ性を向上することができるため、寸法均一性にすぐれた配線を形成できるため好ましい。アルカリ水溶液による現像工程後、微小な表面あれが得られる観点から、溶解速度は0.5倍以上であることが好ましく、0.7倍以上であることがより好ましい。また、面内で均一な濡れ性を向上することができるため、溶解速度は2倍以下であることが好ましく、1.6倍以下であることがより好ましい。
アルカリ水溶液への溶解速度は、(a)樹脂において、フッ素を有するジアミンと、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニルなどの剛直なジアミンを併用し、(b)樹脂において、一般式(5)の比率70モル%以上90モル%未満にすることで、上記範囲を達成することができる。
また、上記記(a)樹脂と上記記(b)樹脂の総量100重量部に対して、上記(b)樹脂が25重量部以上75重量部以下部含有することが好ましい。相互網目構造により、(a)樹脂単体よりも高い伸度が得られる観点から、40重量部以上がより好ましい。また、相互網目構造により、(a)樹脂単体よりも高い伸度が得られる観点から、60重量部未満がより好ましい。(b)樹脂の含有比率が上記範囲にあることで、相互網目構造が得られ、(a)樹脂単体よりも高い伸度が得られるため好ましい。
(a)樹脂と(b)樹脂は、主鎖末端をモノアミン、モノカルボン酸、酸無水物、モノ活性エステル化合物などの他の末端封止剤で封止してもよい。
末端封止剤の導入割合は、(a)樹脂または(b)樹脂の重量平均分子量が高くなりアルカリ溶液への溶解性が低下することを抑制するため、全ジアミン成分に対して好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは5モル%以上である。また、(a)樹脂または(b)樹脂の重量平均分子量が低くなることで得られる硬化膜の機械特性が低下することを抑制するため、好ましくは60モル%以下、より好ましくは50モル%以下である。また、複数の末端封止剤を反応させ、複数の異なる末端基を導入してもよい。
末端封止剤としてのモノアミンとして具体的には、M−600,M−1000,M−2005,M−2070(以上商品名、HUNTSMAN(株)製)、アニリン、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノールなどを用いることができる。これらを2種以上用いてもよい。
末端封止剤としてのモノカルボン酸、モノ活性エステル化合物は、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸などのモノカルボン酸類およびこれらのカルボキシル基がエステル化した活性エステル化合物、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物などの酸無水物、ジカルボン酸であるフタル酸、マレイン酸、ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸、3−ヒドロキシフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸や、トリカルボン酸である、トリメリット酸、トリメシン酸、ジフェニルエーテルトリカルボン酸、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレンなどのジカルボン酸類の一方のカルボキシル基とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやイミダゾール、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物、これらの芳香族環や炭化水素の水素原子の一部を、炭素数1〜10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物などを用いることができる。これらを2種以上用いてもよい。
(a)樹脂と(b)樹脂の樹脂末端や樹脂側鎖がアミド酸またはアミド酸エステルなどのイミド前駆体やイミドで封止された構造は、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物などの酸無水物、ジカルボン酸であるフタル酸、マレイン酸、ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸、3−ヒドロキシフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸や、トリカルボン酸である、トリメリット酸、トリメシン酸、ジフェニルエーテルトリカルボン酸、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレンなどのジカルボン酸類の一方のカルボキシル基とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやイミダゾール、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物、これらの芳香族環や炭化水素の水素原子の一部を、炭素数1〜10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物などから得られるが、これらに限定されない。
(a)樹脂と(b)樹脂の末端封止に用いた末端封止剤は、以下の方法で検出できる。例えば、末端封止剤が導入された(a)樹脂または(b)樹脂を、硝酸、王水などの酸性溶液に溶解し、構成単位であるアミン成分と酸無水物成分に分解し、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMRにより分析することで末端封止剤を検出することができる。これとは別に、末端封止剤が導入された(a)樹脂または(b)樹脂を直接、熱分解ガスクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトルおよび13C−NMRスペクトルで測定することによっても、検出することができる。
(a)樹脂と(b)樹脂は、特に限定されず公知の方法で重合することができる。例えば、次の方法により合成することができる。
まず、酸二無水物、ジアミン化合物、場合によっては他の共重合成分を室温で、場合によっては高めた温度で、有機溶剤中に溶解し、次いで加熱して重合させる。反応時の溶液の安定性の観点から、溶解させる順番は溶解性の高いジアミン化合物を先に行うことが好ましい。その後、末端封止剤を加えて反応させ、ポリアミド酸構造とポリイミド構造を有する樹脂が得られる。場合によっては、ピリジンなどのイミド化促進剤を添加し、40〜150℃で攪拌することによって、イミド化率を調整してもよい。
その後、エステル化剤を加え、ポリアミド酸構造のカルボン酸部位の一部をエステル化することで、ポリアミド酸構造とポリアミド酸エステル構造とポリイミド構造を有する樹脂が得ることができる。エステル化剤としては、トリエチルアミンやジメチルアミノピリジンなどの触媒と2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタノールやエタノールなどのアルコール基を有する化合物を用いる方法、触媒を用いずN、N−ジアルキルホルムアミドジメチルアセタールなど用いる方法がある。(a)樹脂を得るためには、酸二無水物の合計を100モル%として、エステル化剤を1モル%以上120モル%未満添加することが好ましい。また、(b)樹脂を得るためには、酸二無水物の合計を100モル%として、エステル化剤を150モル%以上250モル%以下添加することが好ましい。
本発明において、上記の方法で得られた樹脂に、他添加剤を混合し、樹脂組成物としてもよいが、多量の水またはメタノールおよび水の混合液などに投入し、沈殿させて濾別乾燥し、樹脂を単離した後、他添加剤を添加することが好ましい。乾燥温度は40〜100℃が好ましく、より好ましくは50〜80℃である。この操作によって未反応のモノマーや、2量体や3量体などのオリゴマー成分が除去され、熱硬化後の膜特性を向上させることができる。
本発明における一般式(1)〜(3)、一般式(4)〜(6)で表される構造のモル比は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて、得られた樹脂、感光性樹脂組成物、硬化膜におけるポリアミド構造やイミド前駆体構造、イミド構造のピークを検出する方法において確認できる。なお、重合する際に用いるモノマーのモル比が既知の場合は、モノマーの配合モル比から算出することができる
(a)樹脂、(b)樹脂ともに、重量平均分子量で3,000〜200,000の範囲内であることが好ましい。この範囲では、アルカリ現像液への適度な溶解性が得られるため、露光部と未露光部の高いコントラストが得られ、所望のパターンが形成できる。アルカリ現像液への溶解性の面から、100,000以下がより好ましく、50,000以下がより好ましい。また、伸度向上の面から、1.0000以上が好ましい。ここで分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得ることができる。
(a)樹脂と(b)樹脂のイミド化率は、以下の方法で求めることができる。まず、ポリマーの赤外吸収スペクトルを測定し、ポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピーク(1780cm−1付近、1377cm−1付近)の存在を確認する。次に、そのポリマーを350℃で1時間熱処理したもののイミド化率を100%のサンプルとして赤外吸収スペクトルを測定し、熱処理前後の樹脂の1377cm−1付近のピーク強度を比較することによって、熱処理前樹脂中のイミド基の含量を算出し、イミド化率を求める。
(a)樹脂と(b)樹脂の重合に用いる有機溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素、N,N−ジメチルイソ酪酸アミド、メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドのアミド類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのカーボネート類、トリエチレングリコールなどのグリコール類、m−クレゾール、p−クレゾールなどのフェノール類、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の樹脂組成物は、(a)樹脂および(b)樹脂以外に、他の樹脂を含有してもよい。具体的には、ポリイミド、ポリアミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、それらの前駆体、およびそれらの共重合体、ポリアミドイミド樹脂、シロキサン樹脂、アクリル酸を共重合したアクリルポリマー、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリヒドロキシスチレン樹脂、またそれらにメチロール基、アルコキシメチル基やエポキシ基などの架橋基を導入した変性体、それらの共重合ポリマーなどが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、(c)溶剤を含有する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレン尿素、N,N−ジメチルイソ酪酸アミド、メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドなどの極性の非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートなどのエステル類、乳酸エチル、乳酸メチル、ジアセトンアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
溶剤の含有量は(a)樹脂を溶解させるため、(a)樹脂100重量部に対して、100重量部以上含有することが好ましく、膜厚1μm以上の塗膜を形成させるため、1,500重量部以下含有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、さらに(d)感光性化合物および(e)アルコキシメチル基を有する化合物を含有するを含有することが好ましい。
(d)感光性化合物として光酸発生剤を含有する樹脂組成物は、ポジ型感光性樹脂組成物(ポジ型感光性ワニス)として使用することができる。また、(d)感光性化合物としてとして光重合性化合物と開始剤を含有する樹脂組成物は、ネガ型感光性樹脂組成物(ネガ型感光性ワニス)として使用することができる。
(a)樹脂と(d)感光性化合物を併用することで、微小な表面あれと面内で均一な濡れ性を向上することができるため、寸法均一性にすぐれた配線を形成できるため好ましい。
ネガ型感光性樹脂組成物よりも、ポジ型感光性組成物の方が、解像度に優れるため、微細な加工パターンを形成する用途には適している。
ポジ型感光性樹脂組成物の光酸発生剤としては、キノンジアジド化合物を含有することが好ましい。
キノンジアジド化合物としては、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合および/またはスルホンアミド結合したものなどが挙げられる。これらポリヒドロキシ化合物、ポリアミノ化合物、ポリヒドロキシポリアミノ化合物の全ての官能基がキノンジアジドで置換されていなくてもよいが、平均して官能基全体の40モル%以上がキノンジアジドで置換されていることが好ましい。このようなキノンジアジド化合物を含有することで、一般的な紫外線である水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)、g線(波長436nm)に感光するポジ型の感光性樹脂組成物を得ることができる。
ポリヒドロキシ化合物として具体的には、Bis−Z、BisP−EZ、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、TrisP−SA、TrisOCR−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PCHP、DML−PC、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC、TriML−P、TriML−35XL、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP、HML−TPPHBA、HML−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業製)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A、46DMOC、46DMOEP、TM−BIP−A(以上、商品名、旭有機材工業製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール、ナフトール、テトラヒドロキシベンゾフェノン、没食子酸メチルエステル、ビスフェノールA、ビスフェノールE、メチレンビスフェノール、BisP−AP(商品名、本州化学工業製)、ノボラック樹脂などを挙げることができるが、これらに限定されない。
ポリアミノ化合物として具体的には、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィドなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
また、ポリヒドロキシポリアミノ化合物として具体的には、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジヒドロキシベンジジンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
これらの中でも、キノンジアジド化合物が、フェノール化合物および4−ナフトキノンジアジドスルホニル基とのエステルを含むことが好ましい。これによりi線露光で高い感度と、より高い解像度を得ることができる。
本発明の樹脂組成物が含有するキノンジアジド化合物の含有量は、樹脂組成物における全樹脂100重量部に対して、1重量部以上が好ましく、10重量部以上がより好ましく、50重量部以下が好ましく、40重量部以下がより好ましい。キノンジアジド化合物の含有量をこの範囲とすることにより、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度の差が高くなることでより高感度とすることができ、含有量が多い際に発生する残渣がみられないため好ましい。さらに増感剤などを必要に応じて添加してもよい。
また本発明の樹脂組成物は、光重合性化合物が配合される場合は、光によって不可溶化するネガ型の感光性を有する樹脂組成物となる。光重合性化合物は、重合性不飽和官能基を含有するものである。重合性不飽和官能基としては例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の不飽和二重結合官能基やプロパルギル等の不飽和三重結合官能基が挙げられる。これらの中でも共役型のビニル基、アクリロイル基およびメタクリロイル基から選ばれた基が重合性の面で好ましい。
またその官能基が含有される数としては安定性の点から1〜4であることが好ましく、それぞれの基は同一でなくとも構わない。また、光重合性化合物は、数平均分子量が30〜800のものが好ましい。数平均分子量が30〜800の範囲であれば、ポリアミドとの相溶性がよく、樹脂組成物溶液の安定性がよい。
好ましい光重合性化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、1,2−ジヒドロナフタレン、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−ビニルナフタレン、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−ジアクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,3−ジメタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。これらは単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用される。
これらのうち、特に好ましく使用できるものとして、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルメタクリレート、N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジメタクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物における光重合性化合物の含有量は、全樹脂100重量部に対して、5〜200重量部とすることが好ましく、相溶性の点から5〜150重量部とすることがより好ましい。光重合性化合物の含有量を5重量部以上とすることで、現像時の露光部の溶出を防ぎ、現像後の残膜率の高い樹脂組成物を得ることができる。また、光重合性化合物の含有量を200重量部以下とすることで、膜形成時の膜の白化を抑えることができる。
さらに、本発明の樹脂組成物は、(e)アルコキシメチル基を有する化合物を含有することが好ましい。
アルコキシメチル基含有化合物としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
(a)樹脂と(e)アルコキシメチル基を有する化合物を併用することで、微小な表面あれを向上してバリアメタルの密着性を向上できるため好ましい。
(e)アルコキシメチル基を有する化合物の添加量は、全樹脂100重量部に対し、10重量部以上が好ましく、20重量部以上がより好ましい。また、60重両部以下が好ましく、40重量部以下がより好ましい。上記範囲においては、熱架橋剤による架橋密度が高いため、硬化膜の耐薬品性の向上が得られ、また充分な柔軟性を得られるため高い伸度が得られるため好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、耐薬品性や耐熱品性を向上するため、エポキシ基、アクリル基、オキセタン基またはメチロール基を有する熱架橋剤を含有してもよい。
この中でも、下記で表される構造単位を有する熱架橋剤を含有することで、さらに伸度向上と低応力化が可能であるため好ましい。
式中nは1〜5の整数、mは1〜20の整数である。
上記構造の中でも、耐熱性と伸度向上を両立する点から、nは1〜2、mは3〜7であることが好ましい。
また、必要に応じて、キュア後の収縮残膜率を小さくしない範囲で上記以外のフェノール性水酸基を有する低分子化合物を含有してもよい。これにより、現像時間を短縮することができる。
これらの化合物としては、例えば、Bis−Z、BisP−EZ、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−BIPC−F(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
フェノール性水酸基を有する低分子化合物の含有量は、全樹脂100重量部に対して、1〜40重量部含有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、基板との濡れ性を向上させる目的で、界面活性剤、乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エタノールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエ−テル類を含有してもよい。
この中でも、本発明の樹脂組成物は、(f)アクリル重合物の界面活性剤を含有することが好ましい。(f)アクリル重合物の界面活性剤は、(a)樹脂との相溶性が低いことで硬化膜の膜表面に偏在しやすく、結果、硬化膜の濡れ性を向上することができる。このため、バリアメタルを面内で均一にウエットエッチングすることが可能であり、寸法均一性にすぐれた配線を形成できるため好ましい。
具体的には、共栄社化学(株)製のポリフローなど挙げられる。(f)アクリル重合物の界面活性剤は、(a)樹脂100重量部に対し、0.01〜10重量部含有することが好ましい。
また、他の界面活性剤としては、住友3M(株)製の“フロラード”(登録商標)、D
IC(株)製の“メガファック”(登録商標)、旭硝子(株)製の“スルフロン”(登録
商標)などのフッ素系界面活性剤、信越化学工業(株)製のKP341、チッソ(株)製
のDBE、共栄社化学(株)製の“ポリフロー”(登録商標)、“グラノール”(登録商
標)、ビック・ケミー(株)製のBYKなどの有機シロキサン界面活性剤が上げられる。
また、本発明の樹脂組成物は、以下で表される化合物を含有することで、信頼性評価後の硬化後の膜の伸度特性や、金属材料との密着性を向上させることができるため好ましい。
また、上記で表される化合物の添加量は、耐熱性樹脂に対し、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。添加量が0.1重量部より少ない場合は、信頼性後の伸度特性や金属材料に対する密着性向上の効果が得られにくく、また10重量部より多い場合は、感光剤との相互作用により、樹脂組成物の感度低下を招く恐れがある。
また、基板との接着性を高めるために、保存安定性を損なわない範囲で本発明の樹脂組成物にシリコン成分として、トリメトキシアミノプロピルシラン、トリメトキシエポキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリメトキシチオールプロピルシランなどのシランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤の好ましい含有量は、(a)樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部である。
さらに、本発明の樹脂組成物には、キュア後の収縮率を大きくしない範囲で溶解調整剤を含有してもよい。溶解調整剤としては、ポリヒドロキシ化合物、スルホンアミド化合物、ウレア化合物など、一般にポジ型レジストに溶解調整剤として用いられる化合物であれば、いずれの化合物でも好ましく含有することができる。特に、キノンジアジド化合物を合成する際の原料であるポリヒドロキシ化合物が好ましく用いられる。
本発明の樹脂組成物の粘度は、25℃において、2〜5,000mPa・sが好ましい。粘度は、E型回転粘度計を用いて測定することができる。粘度が2mPa・s以上となるように固形分濃度を調整することにより、所望の膜厚を得ることが容易になる。一方、粘度が5,000mPa・s以下であれば、均一性の高い塗布膜を得ることが容易になる。このような粘度を有する樹脂組成物は、例えば固形分濃度を5〜60重量%にすることで容易に得ることができる。
本発明の樹脂組成物の製造方法を例示する。例えば、(a)樹脂と(c)溶剤、および必要により(b)、(d)〜(f)成分や他成分をガラス製のフラスコやステンレス製の容器に入れてメカニカルスターラーなどによって攪拌溶解させる方法、超音波で溶解させる方法、遊星式攪拌脱泡装置で攪拌溶解させる方法などが挙げられる。その中でも、メカニカルスターラーなどによって攪拌溶解させる方法が好ましい。なお、樹脂組成物が、(b)樹脂を含有する場合は、(a)樹脂と(b)樹脂は、別途製造(重合、エステル化)を行い、(a)樹脂を混合する工程、(b)樹脂を混合する工程および(c)溶剤を混合する工程を含む製造方法で作製することが好ましい。
その後、異物を除去するために0.1μm〜5μmのポアサイズのフィルターで濾過することが好ましい。
次に、本発明の樹脂組成物を用いた硬化膜のパターンを形成する方法について説明する。
まず、本発明の樹脂組成物を基板に塗布する。基板としては、シリコンウエハ、セラミックス類、ガリウムヒ素、有機系回路基板、無機系回路基板、シリコンウエハとエポキシ樹脂などの封止樹脂の複合基板、封止樹脂基板、およびこれらの基板に回路の構成材料が配置されたものなどが挙げられるが、これらに限定されない。有機系回路基板の例としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板などのガラス基板銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板などのコンポジット銅張積層板、仮張りキャリア基板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板などの耐熱・熱可塑性基板、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板などのフレキシブル基板が挙げられる。また、無機系回路基板の例は、ガラス基板、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板などのセラミック基板、アルミニウムベース基板、鉄ベース基板などの金属系基板が挙げられる。回路の構成材料の例は、銀、金、銅などの金属を含有する導体、無機系酸化物などを含有する抵抗体、ガラス系材料および/または樹脂などを含有する低誘電体、樹脂や高誘電率無機粒子などを含有する高誘電体、ガラス系材料などを含有する絶縁体などが挙げられる。塗布方法としてはスピナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷、ブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター、バーコーター、ロールコーター、コンマロールコーター、グラビアコーター、スクリーンコーター、スリットダイコーターなどの方法が挙げられる。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が0.1〜150μmになるように塗布される。感光性未硬化シートとする場合は、その後乾燥させて剥離する。
シリコンウエハなどの基板と樹脂組成物との接着性を高めるために、基板を前述のシランカップリング剤で前処理することもできる。例えば、シランカップリング剤をイソプロパノール、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、アジピン酸ジエチルなどの溶媒に0.5〜20重量%溶解させた溶液を、スピンコート、浸漬、スプレー塗布、蒸気処理などにより表面処理をする。場合によっては、その後50℃〜300℃までの熱処理を行い、基板とシランカップリング剤との反応を進行させる。
次に樹脂組成物または未硬化シートを基板上に塗布またはラミネートした基板を乾燥して、樹脂膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用し、50℃〜150℃の範囲で1分間〜数時間行うことが好ましい。
次に、この樹脂膜上に所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いることが好ましい。
パターンを形成するには、露光後、現像液を用いて、ポジ型の場合は露光部を、ネガ型の場合は未露光部を除去する。現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の溶液が好ましい。
本発明では特に、現像液として、アルカリ水溶液を用いることが好ましい。アルカリ現像工程後、微小な表面あれと面内で均一な濡れ性が向上し、寸法均一性にすぐれた配線を形成できるため好ましい。
また場合によっては、アルカリ溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを添加してもよい。現像は上記の現像液を被膜面にスプレーする、現像液中に浸漬する、あるいは浸漬しながら超音波をかける、基板を回転させながら現像液をスプレーするなどの方法によって行うことができる。現像後は水にてリンス処理をすることが好ましい。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしてもよい。現像後、150℃〜500℃の温度を加えて熱架橋反応を進行させることにより樹脂膜を硬化させて硬化膜を得る。架橋により、耐熱性および耐薬品性を向上することができる。この加熱処理の方法は、段階的に昇温する方法や、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分間〜5時間実施する方法を選択できる。前者の一例として、130℃、200℃で各30分ずつ熱処理する方法が挙げられる。後者の一例として室温より400℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。本発明においてのキュア条件としては150℃以上350℃以下が好ましい。
さらに、本発明の硬化膜の製造方法は、加熱処理して得られた硬化膜にドライエッチング処理を施す工程を含むことが好ましい。ドライエッチング工程を施すことで、硬化膜上での微小な表面あれを向上し、アンカー効果によるバリアメタルとの密着性を向上できる。
本発明のドライエッチング工程は、プラズマエッチング、反応性イオンエッチングなどが挙げられる。硬化膜において、異方性の高いエッチングが可能になるため、高いアンカー効果が得られる点から、反応性イオンエッチングの方が好ましい。ドライエッチングに用いられる反応性ガスは特に限定されず、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタン、酸素、窒素、テトラクロロメタン、一酸化炭素、二酸化炭素などの反応性ガスを単独あるいは2種類以上を混合し用いられる。また、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを混合してもよい。この中でも、硬化膜の表面エネルギーを向上し、バリアメタルとの密着性を向上できるため、反応性ガスは酸素を有することが好ましい。また、RF出力は200W以上1500W以下が好ましく、圧力は、5〜80Paが好ましい。
ドライエッチング工程により、エッチングされる硬化膜の膜べり量は、0.1〜0.5μmが好ましい。
本発明の樹脂組成物から形成された硬化膜は、半導体装置や多層配線板等の電子部品、有機EL表示装置に使用することができる。具体的には、半導体のパッシベーション膜、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、高密度実装用多層配線の層間絶縁膜、インダクタやSAWフィルターなどの電子部品の層間絶縁膜、有機電界発光素子(有機EL)の絶縁層や平坦層などの用途に好適に用いられるが、これに制限されず、様々な構造をとることができる。
次に、本発明の樹脂組成物を用いた、バンプを有する半導体装置への応用例について図面を用いて説明する(応用例1)。図1は、本発明のバンプを有する半導体装置のパット部分の拡大断面図である。図1に示すように、シリコンウエハ1には入出力用のアルミニウム(以下、Al)パッド2上にパッシベーション膜3が形成され、そのパッシベーション膜3にビアホールが形成されている。更に、この上に本発明の樹脂組成物によるパターンとして絶縁膜4が形成され、更に、バリアメタルとして金属(Cr、Ti等)膜5がAlパッド2と接続されるように形成され、電解めっき等で金属配線(Al、Cu等)6が形成されている。金属膜5はハンダバンプ10の周辺をエッチングして、各パッド間を絶縁する。絶縁されたパッドにはバリアメタル8とハンダバンプ10が形成されている。絶縁膜7の樹脂組成物はスクライブライン9において、厚膜加工を行うことができる。
次に、半導体装置の詳細な作製方法について図2に記す。図2の2aに示すように、シリコンウエハ1に入出力用のAlパッド2、さらにパッシベーション膜3を形成させ、本発明の樹脂組成物によるパターンとして絶縁膜4を形成させ、場合によっては、絶縁膜の表面ををドライエッチングする。続いて、図2の2bに示すように、バリアメタルとして金属(Cr、Ti等)膜5をAlパッド2と接続されるように形成させレジスト加工した後、金属をめっきを成膜し、レジストを除去し、バリアメタルをエッチング液でウエットエッチングして、図2の2cに示すように、金属配線6を形成する(いわゆる再配線)。この際に、バリアメタルの密着性やウエットエッチングに課題がある場合、配線の剥がれや、均一な配線形成が困難になる。
次に、図2の2d’に示すように、本発明の樹脂組成物を塗布し、フォトリソ工程を経て図2の2dに示すようなパターンとして絶縁膜7を形成する。絶縁膜7の上にさらに金属配線を形成することができる。2層以上の多層配線構造を形成する場合は、上記の工程を繰り返して行うことにより、2層以上の再配線が、本発明の樹脂組成物から得られた層間絶縁膜により分離された多層配線構造を形成することができる。多層配線構造の層数には上限はないが、10層以下のものが多く用いられる。
次いで、図2の2eおよび2fに示すように、バリアメタル8、ハンダバンプ10を形成する。そして、最後のスクライブライン9に沿ってダイシングしてチップ毎に切り分ける。
次に、本発明の樹脂組成物を用いた、バンプを有する半導体装置への応用例2について図面を用いて説明する。図3、本発明の絶縁膜を有する半導体装置のパット部分の拡大断面図であり、ファンアウトウエハレベルパッケージ(ファンアウトWLP)と呼ばれる構造である。上記の応用例1と同様にAlパッド2、パッシベーション膜3が形成されたシリコンウエハ1はダイシングされチップごとに切り分けられた後、樹脂11で封止される。この封止樹脂11とチップ上に渡り、本発明の樹脂組成物によるパターンとして絶縁膜4が形成され、更に、バリアメタルとして金属(Cr、Ti等)膜5、金属配線6が形成される。その後、チップ外の封止樹脂上に形成された絶縁膜7の開口部にバリアメタル8とハンダバンプ10が形成される。ファンアウトWLPは、半導体チップの周辺にエポキシ樹脂等の封止樹脂を用いて拡張部分を設け、半導体チップ上の電極から該拡張部分まで再配線を施し、拡張部分にもはんだボールを搭載することで必要な端子数を確保した半導体パッケージである。ファンアウトWLPにおいては、半導体チップの主面と封止樹脂の主面とが形成する境界線を跨ぐように配線が設置される。すなわち、金属配線が施された半導体チップおよび封止樹脂という2種以上の材料からなる基材の上に層間絶縁膜が形成され、該層間絶縁膜の上に配線が形成される。
また、ファンアウトWLPは、仮貼り材料が配置された支持基板上に再配線間の層間絶縁膜として配置し、その上にシリコンチップと封止樹脂を配置後、仮貼り材料が配置された支持基板と再配線を剥離するRDL−ファーストと呼ばれる工程で作成されるタイプのパッケージが存在する。このタイプのパッケージでは、支持基板として、シリコンウエハよりも反りやすいガラス基板などが使用されることが多いため、絶縁膜が低応力であることが好ましい。
RDLファーストにおける半導体装置の作製法について図5を用いて記載する。図5の3aにおいて支持基板20上にTiなどのバリアメタルをスパッタリング法で形成し、更にその上にCuシード(シード層)をスパッタリング法で形成後、メッキ法によって電極パッド21を形成する。ついで3bの工程において本発明の感光性樹脂組成物を塗布し、フォトリソ工程を経て、パターン形成された絶縁膜22を形成する。ついで3cの工程において再びシード層をスパッタリング法で形成し、メッキ法によって金属配線23(再配線層)を形成する。以降半導体チップの導通部ピッチと金属配線のピッチを合わせるため、3bおよび3cの工程を繰り返し行い、3dに示すような多層配線構造を形成する。ついで3eの工程において再び本発明の感光性樹脂組成物を塗布し、フォトリソ工程を経て、パターン形成された絶縁膜を形成後、Cuポスト24をメッキ法にて形成する。ここでCuポストのピッチと半導体チップの導通部ピッチは等しくなる。すなわち、金属配線ピッチを狭化しながら再配線層を多層化するため、図3の3eに示すように、層間絶縁膜の膜厚は、層間絶縁膜1>層間絶縁膜2>層間絶縁膜3>層間絶縁膜4>となる。ついで3fの工程においてハンダバンプ25を介して半導体チップ26を接続し、多層配線構造を有するRDLファーストでの半導体装置を得ることができる。
これ以外にも、半導体チップをガラスエポキシ樹脂基板に形成された凹部に埋め込んだタイプの半導体パッケージでは、半導体チップの主面とプリント基板の主面との境界線を跨ぐように配線が設置される。この態様においても、2種以上の材料からなる基材の上に層間絶縁膜が形成され、該層間絶縁膜の上に配線が形成される。
また、ファンアウトWLPにおいては、再配線の微細化が進んでいる。本発明の樹脂組成物の硬化膜は、金属配線の幅と隣り合う配線同士の間隔が5μm以下の配線にも高い金属密着性を有するため、微細な再配線にも好適に用いられる。この構造では、再配線層が、半導体チップに近づくにつれ、金属配線の幅と隣り合う配線同士の間隔が狭くなり、また、層間絶縁膜の厚みが、半導体チップに対して近づくにつれ、薄くなることで、チップの高集積化に対応している。このため、高解像度化とともに、配線均一性は重要な課題となっている。
次に、本発明の樹脂組成物を用いた、インダクタ装置のコイル部品への応用例3について図面を用いて説明する。図4は本発明の絶縁膜を有するコイル部品の断面図である。図4に示すように、基板12には絶縁膜13、その上にパターンとして絶縁膜14が形成される。基板12としてはフェライト等が用いられる。本発明の樹脂組成物は絶縁膜13と絶縁膜14のどちらに使用してもよい。このパターンの開口部にバリアメタルとして金属(Cr、Ti等)膜15が形成され、この上に金属配線(Ag、Cu等)16がめっき形成される。金属配線16(Ag、Cu等)はスパイラル上に形成されている。絶縁膜13〜金属配線(Ag、Cu等)16を形成する工程を複数回繰り返し、積層させることでコイルとしての機能を持たせることができる。最後に金属配線16(Ag、Cu等)は金属配線17(Ag、Cu等)によって電極18に接続され、封止樹脂19により封止される。
本発明の樹脂組成物は有機EL表示装置にも好適に用いられる。該有機EL表示装置は、基板上に、駆動回路、平坦化層、第1電極、絶縁層、発光層および第2電極を有し、平坦化層および/または絶縁層が本発明の硬化膜からなる。有機EL発光材料は水分による劣化を受けやすく、発光画素の面積に対する発光部の面積率低下など、悪影響を与える場合があるが、本発明の硬化膜は吸水率が低いため、安定した駆動および発光特性が得られる。アクティブマトリックス型の表示装置を例に挙げると、ガラスや各種プラスチックなどの基板上に、TFTと、TFTの側方部に位置しTFTと接続された配線とを有し、その上に凹凸を覆うようにして平坦化層を有し、さらに平坦化層上に表示素子が設けられている。表示素子と配線とは、平坦化層に形成されたコンタクトホールを介して接続される。
図6にTFT基板の一例の断面図を示す。基板32上に、ボトムゲート型またはトップゲート型のTFT(薄膜トランジスタ)が行列状に設けられており、このTFT27を覆う状態で絶縁層29が形成されている。また、この絶縁層29上にTFT27に接続された配線28が設けられている。さらに絶縁層29上には、配線28を埋め込む状態で平坦化層30が設けられている。平坦化層30には、配線28に達するコンタクトホール33が設けられている。そして、このコンタクトホール33を介して、配線28に接続された状態で、平坦化層30上にITO(透明電極)31が形成されている。ここで、ITO31は、表示素子(例えば有機EL素子)の第1電極となる。そしてITO31の周縁を覆うように絶縁層34が形成される。有機EL素子は、基板32と反対側から発光光を放出するトップエミッション型でもよいし、基板32側から光を取り出すボトムエミッション型でもよい。このようにして、各有機EL素子にこれを駆動するためのTFT27を接続したアクティブマトリックス型の有機EL表示装置が得られる。
かかる絶縁層29、平坦化層30および/または絶縁層34は、前述の通り本発明の樹脂組成物または樹脂シートからなる感光性樹脂膜を形成する工程、前記感光性樹脂膜を露光する工程、露光した感光性樹脂膜を現像する工程および現像した感光性樹脂膜を加熱処理する工程により形成することができる。これらの工程を有する製造方法より、有機EL表示装置を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。まず、各実施例および比較例における評価方法について説明する。評価には、あらかじめ1μmのポリテトラフルオロエチレン製のフィルター(住友電気工業(株)製)でろ過した樹脂組成物(以下ワニスと呼ぶ)を用いた。
(1)ポリアミド酸エステル比率(一般式(2)または(5)で表される構造の比率)、ポリイミド比率(一般式(3)または(6)で表される構造の比率)、ポリアミド酸比率(一般式(1)または(4)で表される構造の比率
各樹脂において、ポリアミド酸エステル比率については、400MHz、1H−NMR(核磁気共鳴)装置(日本電子株式会社製 AL−400)を用い、重水素化ジメチルスルホキシド溶液中、積算回数16回で測定し、エステル化した置換基のプロトンの積分値をもとに算出した。
樹脂のポリイミド比率(イミド化率)については、樹脂をn−メチルピロリドンに溶解した溶液をシリコンウエハ上にスピンコートして、120℃で3分間乾燥し、イナートオーブンCLH−21CD−S(光洋サーモシステム(株)製)を用いて、酸素濃度20ppm以下で3.5℃/分で170℃まで昇温し、170℃で1時間加熱処理を行なった。さらに赤外吸収スペクトルを測定し、イミド構造の吸収ピーク(1780cm−1付近、1377cm−1付近)の存在を確認した。次に、その塗布膜を350℃で1時間熱処理したもののイミド化率を100%のサンプルとして赤外吸収スペクトルを測定し、熱処理前後の樹脂の1377cm−1付近のピーク強度を比較することによって、熱処理前樹脂中のイミド基の含量を算出し、イミド化率を求めた。赤外吸収スペクトルの測定は、測定装置として「FT−720」(商品名、株式会社堀場製作所製)を使用した。
樹脂のポリアミド酸比率については、100%−(ポリアミド酸エステル比率+ポリイミド比率)により、求めることができる。
(2)溶解速度
樹脂を固形分39重量%でn−メチルピロリドンに溶解した。これをシリコンウエハ上に塗布し、ホットプレート120℃で4分間プリベークし、膜厚10μm±0.5μmのプリベーク膜を形成した。これを23±1℃の2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に3分間浸漬し、浸漬前後の膜厚の変化量から、溶解した膜厚を算出した。溶解した膜厚を3で除することによって1分間あたりに溶解した膜厚を求め、これを溶解速度(μm/分)とした。膜厚は、光干渉式膜厚測定装置ラムダエースSTM−602(大日本スクリーン製造(株)によって測定した。
(3)伸度評価
ワニスを8インチのシリコンウエハ上に、120℃で3分間のプリベーク後の膜厚が11μmとなるように塗布現像装置ACT−8を用いてスピンコート法で塗布およびプリベークした後、イナートオーブンCLH−21CD−S(光洋サーモシステム(株)製)を用いて、酸素濃度20ppm以下で3.5℃/分で300℃まで昇温し、硬化温度で1時間加熱処理を行なった。温度が50℃以下になったところでウエハを取り出し、徐冷した後、45重量%のフッ化水素酸に5分間浸漬することで、ウエハから樹脂組成物の膜を剥がした。この膜を幅1cm、長さ3cmの短冊状に切断し、テンシロンRTM−100((株)オリエンテック製)を用いて、室温23.0℃、湿度45.0%RH下で引張速度5mm/分で引っ張り、破断点伸度との測定を行なった。測定は1検体につき10枚の短冊について行ない、結果から上位5点の平均値を求めた。破断点伸度の値が70%以上のものをきわめて良好(A)、50%以上70%未満のものを良好(B)、30%以上50%未満のものを可(D)、30%未満のものを不良(D)とした。
(4)バリアメタル密着性
ワニスを8インチのシリコンウエハ上に回転塗布し、次いで、120℃のホットプレート(東京エレクトロン(株)製の塗布現像装置Act−8使用)で3分間ベークし、樹脂膜を得た。表1に示すとおり、現像有りの場合は、ACT−8の現像装置を用いて、2.38重量%のテトラメチルアンモニウム水溶液(以下TMAH、多摩化学工業(株)製)を用いてパドル法で現像液の吐出時間10秒、パドル時間40秒の現像を2回繰り返し、その後純水でリンス後、振り切り乾燥した。
樹脂膜をイナートオーブンCLH−21CD−S(光洋サーモシステム(株)製)を用いて、酸素濃度20ppm以下で5℃/分で300℃まで昇温し、300℃で1時間加熱処理を行なった後、5℃/minで50℃まで冷却した。表1に示すとおり、ドライエッチング有りの場合は、SAMCO(株)製のRIE―10Nを用い、上記キュア後の8インチウエハサンプルを、O2/CF4=0.06/0.02 Pa・m3/S、圧力20Pa、RF出力300Wの条件下で60秒間ドライエッチを行った。
その後、スパッタ装置(日電アネルバ社製SPL−500)内にチタンのターゲットを設置し、基板をサンプルホルダーに設置した。アルゴンガスに酸素を混入させて(ガス流量:アルゴン0.03Pa・m3/S/酸素0.004Pa・m3/S)、膜厚が100nmになるようにスパッタし、チタン層を形成した。さらに同様の装置を用い、銅のターゲットにより、膜厚が100nmになるように、銅層を形成した。その後、TMMR P−W1000(東京応化株式会社製)のレジストを塗布し、直径50μmの円形パターン形成を行った後、層厚が4μmとなるように、電解銅めっきを行い、剥離液ST−120(東京応化株式会社製)でレジストを剥離し、エッチング液WLC−C2、WLC−T(三菱ガス化学株式会社製)をそれぞれ用いて銅エッチング、Tiエッチングを行うことで、膜厚4μmで直径50μmの銅パターンを形成した。ダイシェアテスター(Dage社製Dage−シリーズ4000)により、銅パターンをシェア剥離し、その際の強度をバリアメタル密着性とした。バリアメタル密着性の値が、50mN以下のものを不良(D)、100mN以下であって50mNを超えるものを可(C)、150mN以下であって100mNを超えるものを可(B)、150mNを超えるものを可(A)とした。
(5)配線均一性
ワニスを8インチのシリコンウエハ上に回転塗布し、次いで、120℃のホットプレート(東京エレクトロン(株)製の塗布現像装置Act−8使用)で3分間ベークし、樹脂膜を得た。表2に示すとおり、現像有りの場合は、ACT−8の現像装置を用いて、2.38重量%のテトラメチルアンモニウム水溶液(以下TMAH、多摩化学工業(株)製)を用いてパドル法で現像液の吐出時間10秒、パドル時間40秒の現像を2回繰り返し、その後純水でリンス後、振り切り乾燥した。
樹脂膜をイナートオーブンCLH−21CD−S(光洋サーモシステム(株)製)を用いて、酸素濃度20ppm以下で5℃/分で300℃まで昇温し、300℃で1時間加熱処理を行なった後、5℃/minで50℃まで冷却した。表2に示すとおり、ドライエッチング有りの場合は、SAMCO(株)製のRIE―10Nを用い、上記キュア後の8インチウエハサンプルを、O2/CF4=0.06/0.02Pa・m3/S、圧力20Pa、RF出力300Wの条件下で60秒間ドライエッチを行った。
その後、スパッタ装置(日電アネルバ社製SPL−500)内にチタンのターゲットを設置し、基板をサンプルホルダーに設置した。アルゴンガスに酸素を混入させて(ガス流量:アルゴン0.03Pa・m3/S/酸素0.004Pa・m3/S)、膜厚が100nmになるようにスパッタし、チタン層を形成した。さらに同様の装置を用い、銅のターゲットにより、膜厚が100nmになるように、銅層を形成した。その後、TMMR P−W1000(東京応化株式会社製)のレジストを塗布し、8インチウエハの中央から左右2cm間隔で10μmのL/Sパターン形成を行った後、層厚が4μmとなるように、電解銅めっきを行い、剥離液ST−120(東京応化株式会社製)でレジストを剥離し、エッチング液WLC−C2、WLC−T(三菱ガス化学株式会社製)をそれぞれ用いて銅エッチング、Tiエッチングを行うことで、膜厚4μmで10μmL/S狙いの銅配線パターンを形成した。ウエハ面内に形成されたの配線寸法を走査型レーザー顕微鏡1LM21(レーザーテック(株)製)を用いて測定し、寸法の最小値と最大値の差をパターンの配線均一性とした。配線均一性の値が1μmを超えるものを不良(D)、1μm以下であって0.7μmを超えるものを可(C)、0.7μm以下であって0.5μmを超えるものを良(B)、0.5μm以下であって0.2μmを超えるものを良(A)、0.2μm以下のものを良好(S)、とした。
以下、使用した化合物の名称または構造を示す。
GBL:γブチルラクトン
DMAC:ジメチルアセトアミド
(F−1):BYK333(ビックケミー株式会社製)
(F−2):ポリフロー77(共栄社化学株式会社製、アクリル重合物)
(合成例1)樹脂(A−1)の合成
乾燥窒素気流下、HA(27.2g、0.045モル)をN−メチル−2−ピロリドン(以降NMP)400gに溶解し、次に4,4’−オキシジフタル酸二無水物(以降ODPA、15.5g、0.05モル)を加え、40℃で2時間反応させた。
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以降HEMA、5.20g、0.04モル)、とγ―ブチロラクトン400mlを入れて室温下で4時間反応させた。
反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、(a)樹脂として、樹脂(A−1)の粉末を得た。
(合成例2)樹脂(A−2)の合成
乾燥窒素気流下、HA(27.2g、0.045モル)をNMP400gに溶解し、次にODPA(15.5g、0.05モル)を加え、40℃で2時間反応させた。
その後、N、N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(4.76g、0.04モル)をNMP10gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、(a)樹脂として、樹脂(A−2)の粉末を得た。
(合成例3)樹脂(A−3)の合成
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(以降DAE、9.0g、0.045モル)をNMP400gに溶解し、次にODPA(15.5g、0.025モル)、ピロメリット酸二無水物(以降PMDA、7.75g、0.025モル)を加え、40℃で2時間反応させた。
その後、N、N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(4.76g、0.04モル)をNMP10gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、(a)樹脂として、樹脂(A−3)の粉末を得た。
(合成例4)樹脂(A−4)の合成
乾燥窒素気流下、HA(18.1g、0.03モル)、DAE(2.0g、0.01モル)をNMP400gに溶解し、次にPMDA(10.91g、0.05モル)を加え、40℃で2時間反応させた。
その後、N、N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(4.76g、0.04モル)をNMP10gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、(a)樹脂として、樹脂(A−4)の粉末を得た。
(合成例5)樹脂(A−5)の合成
乾燥窒素気流下、HA(6.05g、0.01モル)、DAE(6.0g、0.03モル)をNMP400gに溶解し、次にPMDA(10.91g、0.05モル)を加え、40℃で2時間反応させた。
その後、N、N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(4.76g、0.04モル)をNMP10gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、(a)樹脂として、樹脂(A−5)の粉末を得た。
(合成例6)樹脂(A−6)の合成
乾燥窒素気流下、DAE(4.5g、0.023モル)、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(以降TFMB、7.2g、0.023モル)をNMP400gに溶解し、次にPMDA(10.91g、0.05モル)を加え、40℃で2時間反応させた。
その後、N、N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(4.76g、0.04モル)をNMP10gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、(a)樹脂として、樹脂(A−6)の粉末を得た。
(合成例7)樹脂(A−7)の合成
乾燥窒素気流下、TFMB(7.2g、0.023モル)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル(以降mTB、4.78g、0.023モル)をNMP400gに溶解し、次にPMDA(10.91g、0.05モル)を加え、40℃で2時間反応させた。
その後、N、N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(4.76g、0.04モル)をNMP10gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、(a)樹脂として、樹脂(A−7)の粉末を得た。
(合成例8)樹脂(A−8)の合成
乾燥窒素気流下、TFMB(7.2g、0.023モル)、p−フェニレンジアミン(以降PDA、2.43g、0.023モル)、をNMP400gに溶解し、次にPMDA(10.91g、0.05モル)を加え、40℃で2時間反応させた。
その後、N、N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(4.76g、0.04モル)をNMP10gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、(a)樹脂として、樹脂(A−8)の粉末を得た。
(合成例9)樹脂(A−9)の合成
乾燥窒素気流下、TFMB(7.2g、0.023モル)、p−フェニレンジアミン(以降PDA、2.43g、0.023モル)、をNMP400gに溶解し、次に3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以降BPDA、14.71g、0.05モル)を加え、40℃で2時間反応させた。
その後、N、N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(4.76g、0.04モル)をNMP10gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、(a)樹脂として、樹脂(A−9)の粉末を得た。
(合成例10)樹脂(B−1)の合成
乾燥窒素気流下、HA(27.2g、0.045モル)をNMP400gに溶解し、次にODPA(15.5g、0.05モル)を加え、40℃で2時間反応させた。
その後、N、N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(11.9g、0.10モル)をNMP10gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、(b)樹脂として、樹脂(B−1)の粉末を得た。
(合成例11)樹脂(B−2)の合成
乾燥窒素気流下、HA(27.2g、0.045モル)をNMP400gに溶解し、次にODPA(15.5g、0.05モル)を加え、40℃で2時間反応させた。
その後、N、N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(10.72g、0.09モル)をNMP10gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、(b)樹脂として、樹脂(B−2)の粉末を得た。
(合成例12)樹脂(AB−1)の合成
乾燥窒素気流下、TFMB(14.4g、0.045モル)をNMP400gに溶解し、次にPMDA(10.91g、0.05モル)を加え、40℃で2時間反応させた。
その後、N、N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(11.9g、0.10モル)をNMP10gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、40℃で3時間撹拌した。反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、(a)樹脂でも(b)樹脂でもない樹脂として、樹脂(AB−1)の粉末を得た。
(合成例13)樹脂(AB−2)の合成
乾燥窒素気流下、HA(27.2g、0.045モル)をNMP400gに溶解し、次にODPA(15.5g、0.05モル)を加え、40℃で2時間反応させた。
反応終了後、溶液を水2Lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥し、(a)樹脂でも(b)樹脂でもない樹脂として、樹脂(AB−2)の粉末を得た。
(合成例14)樹脂(AB−3)の合成
乾燥窒素気流下、BAHF(16.47g、0.045モル)をNMP100gに溶解させた。5℃以下で4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド(以下DPEC、14.7g、0.05モル)をNMP10gとともに加えて、5℃以下℃で3時間反応させた。反応終了後、溶液を水1.5Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、水で3回洗浄した後、50℃の通風乾燥機で3日間乾燥し、(a)樹脂でも(b)樹脂でもない樹脂として、樹脂(AB−3)の粉末を得た。
各合成例における樹脂の原材料、配合、特性を表1に、実施例、比較例における樹脂組成物および重量比、プロセスを表2に、得られた樹脂組成物の評価結果を表3に示す。