JP2020160258A - 電子写真感光体および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面層の積層時における、円筒状基体端部の面取り面からの層または膜の剥離または脱落等を抑制することができる電子写真感光体、およびそれを備える画像形成装置を提供する。【解決手段】本開示の電子写真感光体は、基体1と、基体1の外周面1aを被覆する表面被覆層と、を備える。表面被覆層は、表面側の光導電層22と、電荷注入阻止層21と、電荷注入阻止層21よりも基体1側に位置する耐電圧層11と、を含み、耐電圧層11は、アモルファス窒化シリコン含有層である。この耐電圧層11に関して測定されたラマンスペクトルをフィッティング処理して得られる複数のピーク波形のうち、縦光学フォノンのピーク波形の面積をLO、横光学フォノンのピーク波形の面積をTO、としたとき、前記TOに対する前記LOの比である〔LO/TO〕の値は、1.56以上になっている。【選択図】図1

Description

本開示は、電子写真感光体およびこれを備えた画像形成装置に関する。
画像形成装置に用いられる電子写真感光体は、たとえば、円筒状の導電性基体などの外周面の表面である外表面(最表面ともいう)に、電荷注入阻止層,光導電層,表面保護層等からなる表面被覆層を形成した構成をとる。
この電子写真感光体に関し、本出願人は、特許文献1において、円筒状基体(表面層成膜前)の、基体外周面と基体端面との間に設けられた面取り面の表面粗さRaを、基体外周面よりも大きくし、この面取り面(C面ともいう)を覆う感光層(光導電層)を配設することにより、使用中の電子写真感光体の端部で発生する、表面層端部を起点とする膜剥がれを抑制できる電子写真感光体を、提案している。
また、本出願人は、特許文献2において、導電性基体と表面層(感光層)との間に、耐電圧層または耐圧層と呼ばれる、アモルファス窒化シリコン含有層を含む電子写真感光体を提案している。なお、アモルファス窒化シリコンは「a−SiN」と記す場合がある。
上記提案によれば、基体と、表面被覆層の最下層である電荷注入阻止層との間に、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率〔N/(Si+N)〕が0.32以下のアモルファス窒化シリコン含有層を、耐電圧層として配置する。これにより、感光層の厚さが薄い高画質化電子写真感光体であっても、比較的高い耐電圧特性と低い残留電位特性とを、バランス良く維持することができる。
特開2007−293279号公報 国際公開第2009/104466号
ところで、電子写真感光体を作製する過程において、前述の耐電圧層および表面層(電荷注入阻止層,光導電層,表面保護層)を形成する積層・成膜中に、形成途中の層(膜)の一部が基体端部、特に面取り面から剥離すると、この剥離片が成膜チャンバー内で飛散して、最終製品において印画部となる基体外周面に付着し、印画部表面の平坦性不良の原因、あるいは、印画後に異常スジが発生する等の画像異常の原因となってしまう場合があった。
すなわち、前述の耐電圧層(以下、アモルファス窒化シリコン含有層)は、基体表面上に、最初の工程で積層形成され、その上に、電荷注入阻止層、光導電層、表面保護層等が順次積層される。また、電荷注入阻止層等の各層の積層処理は、真空室内を、その処理に適した温度に調整したうえで、行なわれる。
このとき、真空室内の温度を処理に適した温度に変更する度に、基体を構成する金属製素管の温度も一緒に変動し、基体は伸縮する。そして、基体に接して設けられているアモルファス窒化シリコン含有層には、この基体の伸縮による応力が他の層よりも大きく、複数回かかることになる。
そのため、真空室の温度条件変更時、特に基体温度が下がる際に、C面あるいはR面と呼ばれる基体角部(周面と端面との境界)付近に形成されたアモルファス窒化シリコン含有層に、ひび割れまたは欠け、剥離等が生じて、アモルファス窒化シリコン含有層およびその上に積層された表面被覆層が、欠けたり剥離したりする場合があった。
本開示の目的は、表面層の積層時における、円筒状基体端部の面取り面からの層あるいは膜の剥離または脱落等を抑制することができる電子写真感光体を提供することである。また、この電子写真感光体を備えることにより、前述の層または膜の剥離等に起因する、製品化後の画像異常の発生を抑制することのできる画像形成装置を提供することである。
本開示の電子写真感光体は、導電性の基体と、前記基体の外表面を被覆する表面被覆層と、を備える。
該表面被覆層は、表面側の光導電層と、該光導電層よりも前記基体側に位置する電荷注入阻止層と、該電荷注入阻止層よりも前記基体側に位置する耐電圧層と、を含み、該耐電圧層は、アモルファス窒化シリコン含有層である。
前記耐電圧層に関して測定されたラマンスペクトルを波形分離またはフィッティング処理して得られる複数のピーク波形のうち、縦光学フォノンに対応するピーク波形の面積をLO、横光学フォノンに対応するピーク波形の面積をTO、としたとき、
前記TOに対する前記LOの比である〔LO/TO〕の値が、1.56以上1.90以下である。
また、本開示の画像形成装置は、前述の電子写真感光体を備える。
本開示の電子写真感光体によれば、温度条件等を変えながら、基体上に表面被覆層を順次積層する場合でも、基体に最も近い耐電圧層のひび割れまたは欠け、剥離等の発生が抑制される。これにより、印写画像の画質の低下を抑制することができる。また、この電子写真感光体を備える画像形成装置も、画像の印写時に、同様の効果を奏することができる。
(a)は実施形態の電子写真感光体の断面模式図であり、(b)は(a)のP部を拡大した図である。 実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。 実施形態の電子写真感光体における耐電圧層のラマンスペクトルと、フィッティング処理した縦光学(LO)フォノンのピーク波形Lおよび横光学(TO)フォノンのピーク波形Tを示すグラフ図である。 電子写真感光体の耐電圧層のラマンスペクトルから波形分離した縦光学フォノンのピーク波形Lの面積LOを説明する図である。 電子写真感光体の耐電圧層のラマンスペクトルから波形分離した横光学フォノンのピーク波形Tの面積TOを説明する図である。
以下、実施形態の電子写真感光体およびこれを備えた画像形成装置について、図面を参照しつつ説明する。
実施形態の電子写真感光体10は、図3に示す画像形成装置100に、電子写真感光体単体で、または、電子写真感光体ユニットとして、組み込んで使用されるものである。電子写真感光体10は、図1(a)に示すような、導電性基体である円筒状の基体1の外周面1a上に、図1(b)に示すような、多層からなる表面被覆層が、積層形成(成膜)されている。
表面被覆層を構成する各層11および21〜23と、導電性を有する基体1とについて簡単に説明する。
図1(b)に示すように、表面被覆層の最表面(図示上側)に位置する表面保護層23は、後記の光導電層22の表面を保護する役割を有するものである。表面保護層23は、たとえばアモルファス炭化シリコン(a−SiC)あるいはアモルファス窒化シリコン(a−SiN)などのアモルファスシリコン(a−Si)系材料または、アモルファスカーボン(a−C)を用いるか、あるいはそれらの多層構造とすればよい。実施形態では、耐摩耗性の観点から、耐性の高いa−Cが採用される。表面保護層23の好適な厚さは、たとえば0.1〜2μm、より具体的には0.5〜1.5μmである。
光導電層22は、レーザー光などの光照射によってキャリアを発生させる役割を有するものである。光導電層22は、たとえばアモルファスシリコン(a−Si)系材料ならびにSe−TeあるいはAsSeなどのアモルファスセレン(a−Se)系材料で形成される。実施形態の光導電層22は、a−Siならびにa−Siに、炭素(C),窒素(N)および酸素(O)などを加えたa−Si系材料で形成されており、ドーパントとしてホウ素(B)あるいはリン(P)を含有する。a−Si系材料を用いて光導電層22を形成する場合、その好適な厚さは5〜100μm程度、より具体的には10〜80μmである。
電荷注入阻止層21は、正帯電の場合であれば、導電性の基体1からのキャリアである電子の注入を阻止する役割を有するものであり、たとえばアモルファスシリコン(a−Si)系材料で形成される。この電荷注入阻止層21は、正帯電の場合であれば、たとえばa−Siに、ドーパントとしてホウ素(B)と、場合により窒素(N)もしくは酸素(O)またはその両方を含有させたもので構成する。また、負帯電の場合であれば、たとえばa−Siに、ドーパントとしてリン(P)と、場合により窒素(N)もしくは酸素(O)またはその両方を含有させたものを用いる。電荷注入阻止層23の好適な厚さは、2〜10μmである。
なお、電荷注入阻止層21と光導電層22とを合わせて感光層20と呼ぶ場合もある。また、図に記載の各表面被覆層は、各層または各膜の厚みを強調して描いているため、層厚さおよび層厚比等は、実際のものとは異なる。
円筒状の基体1は、表面被覆層の支持体となるものであり、少なくとも基体1の表面は導電性を有し、図1(a)の断面図に示すように、筒長方向である軸線方向に連続する円周状の外周面1aおよび内周面と、軸線方向両端部に形成された基体端面1c(以下、単に「端面」という)とを含む。
基体1は、円筒状で、たとえばアルミニウム(Al),ステンレススチール(SUS),亜鉛(Zn),銅(Cu),鉄(Fe),チタン(Ti),ニッケル(Ni),クロム(Cr),タンタル(Ta),スズ(Sn),金(Au),銀(Ag),マグネシウム(Mg)およびマンガン(Mn)などの金属材料、あるいはこれら例示した金属材料を含む合金によって、全体が導電性を有するものとして形成される。また、基体1は、樹脂,ガラスあるいはセラミックスなどの表面に、例示した金属材料あるいはITO(Indium Tin Oxide)または二酸化すず(SnO)などの透明導電性材料による導電性膜を被着したものであってもよい。
これらの例示した材料のうち、基体1を形成するための材料としては、アルミニウム(Al)系材料を用いればよく、実施形態の基体1は、全体をアルミニウム系材料で形成した。アルミニウム系材料は、電子写真感光体10を軽量かつ低コストで製造可能であり、その上、電荷注入阻止層21および光導電層22をアモルファスシリコン(a−Si)系材料で形成する場合には、それらの層と基体1との間の密着性が高くなって信頼性を向上させることができる。
ここで、本実施形態の電子写真感光体10では、表面被覆層における、最も基体1側(図示下側)の、基体1に密着する部位に、比較的高い耐電圧特性を有する耐電圧層11が形成されている。
この耐電圧層11は、アモルファス窒化シリコン(a−SiN)を含有する、本開示の耐電圧層の一例である。そして、図3に示すような、耐電圧層11に関して測定されたラマンスペクトルをフィッティング処理(フィッティングラインF)または波形分離処理して得られる複数のピーク波形のうち、図4に示す縦光学(LO)フォノンによるピーク波形Lの面積をLOとし、図5に示す横光学(TO)フォノンによるピーク波形Tの面積をTOとした場合、TOに対するLOの比(面積比)である〔LO/TO〕の値は、1.56以上1.90以下になっている。
従来、電子写真感光体の製造においては、積層・成膜中の雰囲気温度およびそれにより影響を受ける基体1の温度は、一定ではなく、各層の形成に適した温度に変更される。その際、この基体1の温度変化(熱伸縮)による応力を最も受け易い、基体1側の耐電圧層11に、ひび割れまたは亀裂等が生じ、それが起点となって、表面被覆層が、その厚みが薄い基体端面1c、あるいは、基体端面1cと面取り面1bとの境界部分である図1(b)のQ部等から、剥離してしまう場合があった。
これに対して、本実施形態の電子写真感光体10に形成された耐電圧層11は、その層のアモルファス性(無秩序性)を表す指標である〔LO/TO〕値が1.56以上になっている。すなわち、従来のものより、層(膜)を構成する原子の自由度が高く、層が変形し易くなっている。そのため、応力を受けても、層剥離等の起点となるひび割れまたは亀裂等が、生じ難くなっていることがわかった。
以上の構成により、本実施形態の電子写真感光体10は、表面被覆層の積層時における、円筒状基体端部の面取り面からの層の剥離または脱落等を抑制することができる。したがって、後記の画像形成装置に搭載された場合、前述の層の剥離等に起因する画像異常の発生を、抑制することができる。
なお、耐電圧層11の好適な厚さは、0.5〜20μmである。耐電圧層11の厚さが0.5μm未満の場合、耐電圧が低下し、画像品質が悪化する傾向にある。また、耐電圧層11の厚さが20μmを超える場合、残留電位が大きくなり、この場合も画像品質が悪化する傾向にある。
また、実施形態における「ピーク波形の面積」とは、たとえば薄膜からの反射光(ラマン散乱光)を測定して、図3のような、横軸を波長、縦軸を散乱光強度とするラマンスペクトル(実線M)を得た場合、この実測スペクトルMに対して、フィッティングラインFを利用した波形分離処理(フィッティング処理)を施すことにより得られる2つの「ピーク波形」(L,T)と、ベースラインBとに囲まれた領域内(図4,図5を参照)の散乱光強度を、波長単位で積算あるいは積分したものをいう。
具体的には、図3の、窒化ケイ素(SiN)を含有する薄膜層から得られるラマンスペクトルにおいて、フィッティング処理を行なって得られる複数のピーク波形のうち、縦光学(LO)フォノンモードに由来する、波長330cm−1付近にピークを有する波形Lの場合、そのピーク波形の面積は、図4に例示するように、ピーク波形LとベースラインBとに囲まれた領域内の光強度を、波長(横軸cm−1)方向に積算あるいは積分することにより得られる。
同様に、同ラマンスペクトルにおける、横光学(TO)フォノンモードに由来するピーク波形Tが、図5に例示するような、波長470cm−1付近に一方のピークを有する波形Tの場合、そのピーク波形の面積は、ピーク波形T(二山状)とベースラインBとに囲まれた2つの領域内の光強度を、波長(横軸cm−1)方向に積算あるいは積分して合計することにより得られる。
なお、本開示のピーク波形の面積は、ピークの面積強度、または、ピーク強度面積等と呼ばれる場合があるが、これらはいずれも、同じパラメータを示すものである。
つぎに、前述の電子写真感光体10を搭載する画像形成装置100の構成を、簡単に紹介する。図2は、電子写真感光体10を備える画像形成装置100の構成例を示す図である。
実施形態の画像形成装置100は、画像形成方式としてカールソン法を採用したものであり、先述の電子写真感光体10と、帯電器111、露光器112、現像ローラ113Aを含む現像器113、転写器114、定着器115である115Aおよび115Bと、電子写真感光体に接触するクリーニングローラ116Bとクリーニングブレード116Aとを含むクリーニング器116、および、除電器117等を備える。なお、図中の記録媒体Pに沿った矢印Xは、記録媒体である用紙の移動方向を示す。
帯電器(帯電ローラ)111は、たとえば負帯電の電子写真感光体10の表面を負極性に帯電させる役割を有するものである。本実施形態において帯電器111は、たとえば芯金を導電性ゴムあるいはPVDF(ポリフッ化ビニリデン)によって被覆して構成される接触型帯電器が採用される。
露光器112は、電子写真感光体10に静電潜像を形成する役割を有するものである。露光器112としては、たとえば複数のLED素子(波長:680nm)を配列させてなるLED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)ヘッドを採用することができる。
現像器113は、電子写真感光体10の静電潜像を現像してトナー像を形成する役割を有するものである。本例における現像器113は、現像剤(以下、トナー)Tを磁気的に保持する磁気ローラ113Aを備える。
トナーTは、電子写真感光体10の表面上に形成されるトナー像を構成するものであり、現像器113において摩擦帯電する。トナーTとしては、たとえば、磁性キャリアおよび絶縁性トナーを含んでなる2成分系現像剤と、磁性トナーを含んでなる1成分系現像剤とが挙げられる。
磁気ローラ113Aは、電子写真感光体10の表面の現像領域にトナーTを搬送する役割を有するものである。磁気ローラ113Aは、現像器113において摩擦帯電したトナーTを一定の穂長に調整された磁気ブラシの形で電子写真感光体10の表面に搬送する。
転写器114は、電子写真感光体10と転写器114との間の転写領域に供給された、紙等の記録媒体Pに、電子写真感光体10のトナー像を転写する役割を有するものである。本例における転写器114は、転写用チャージャ114Aおよび分離用チャージャ114Bを備える。
定着器115は、記録媒体Pに転写されたトナー像を記録媒体Pに定着させる役割を有するものであり、一対の定着ローラ115A,115Bを備える。定着ローラ115A,115Bは、たとえば金属ローラ上に四フッ化エチレンなどで表面被覆したものである。
クリーニング器116は、電子写真感光体10の表面に残存するトナーTを除去する役割を有するものであり、クリーニングローラ116Bおよびクリーニングブレード116Aを備える。
除電器117は、電子写真感光体10の表面電荷を除去する役割を有するものであり、特定波長(たとえば630nm以上)の光を出射可能なデバイスが用いられる。
以上の構成を有する実施形態の画像形成装置100は、先に述べた、ラマンスペクトル(図3)において、面積TO(図4)に対する面積LO(図5)の比である〔LO/TO〕の値が1.56以上である耐電圧層11を含む電子写真感光体10を備える。このように、基体端部の面取り面からの層の剥離または脱落等が抑制された電子写真感光体10を使用しているため、この画像形成装置100においても、前述の層の剥離等に起因する画像異常の発生が抑制されている。すなわち、実施形態の画像形成装置100は、高い印写画質を長期にわたり維持することができる。
つぎに、本実施形態にかかる電子写真感光体10の構成およびそれによる効果について、具体的な実施例をあげて説明する。
以下の[実施例]では、電子写真感光体の耐電圧層に関するラマンスペクトルにおいて、横光学フォノンによるピーク波形の「面積TO」に対する、縦光学フォノンによるピーク波形の「面積LO」の比である〔LO/TO〕値が異なる電子写真感光体を複数種、作製し、その上に光導電層等を順次積層して、供試品(サンプル)となる電子写真感光体とした。そして、サンプルの電子写真感光体(基体)の端部に、層または膜の剥離または脱落等が発生していないか否かを、目視で確認して評価を行なった。
[実施例]
<電子写真感光体の作製>
供試品(サンプル)となる電子写真感光体は、アルミニウム合金製の円筒管(外径30mmφ、筒長254mm)準備し、その管の外周面に鏡面加工を施して洗浄したものを、成膜用の基体として用意した。そして、グロー放電分解成膜装置を使用して、下記の「表1」に示す条件で、前述の基体の表面に、各層を順次形成した。
なお、「耐電圧層」の結晶の秩序性または「アモルファス性(無秩序性)」を示す〔LO/TO〕値の調整は、表1中の「投入電力(W)」の値を変更することにより行なった。また、耐電圧層に関するラマンスペクトルの測定は、耐電圧層の形成後、電荷注入阻止層の形成前に、サンプルとなる電子写真感光体(基体)を、真空チャンバーから取り出して行なった。
<サンプル群の作製>
複数個作製した電子写真感光体のうち、測定したラマンスペクトルにおける耐電圧層の〔LO/TO〕値が1.32〜1.34の範囲内のもの10本を選び、この耐電圧層が形成された各基体の上に、前述の表面被覆層の積層を続行して、「サンプルA群」(グループ)の電子写真感光体を作製した。なお、10本平均の耐電圧層の〔LO/TO〕値は1.33であった。
同様にして、成膜途中で測定された耐電圧層の〔LO/TO〕値が1.55〜1.57(10本平均1.56)の電子写真感光体を「サンプルB群」、耐電圧層の〔LO/TO〕値が1.65〜1.67(10本平均1.66)の電子写真感光体を「サンプルC群」、耐電圧層の〔LO/TO〕値が1.69〜1.71(10本平均1.70)の電子写真感光体を「サンプルD群」、耐電圧層の〔LO/TO〕値が1.79〜1.81(10本平均1.80)の電子写真感光体を「サンプルE群」、として作製した。
(ラマンスペクトルの測定)
サンプルの耐電圧層のラマンスペクトルの測定は、以下の条件にて行なった。なお、測定に用いた機器は、レーザーラマン顕微鏡(ナノフォトン社製 RAMANtouch)である。
・測定条件
レーザー波長:532nm
レーザー強度:436mW
露光時間:120秒
ラマン散乱光の測定は、耐電圧層の表面(上面)にレーザー光を照射して行なった。なお、耐電圧層の厚さは、各サンプルとも1μmであった。また、得られたラマンスペクトルのフィッティング処理(波形分離演算)と〔LO/TO〕値の算出とは、前述の実施形態で説明した処理の様式に沿って、レーザーラマン顕微鏡の制御装置(コンピュータ)が内包するプログラムにより実行した。
得られたサンプル各群の評価は、各電子写真感光体の端部を顕微鏡を用いて観察し、「層剥離の発生状況」をカウントすることにより行なった。評価した項目は、以下の、10本あたりの「端部の層剥離の発生率」と、サンプル1本あたりの「層剥離の発生頻度」である。観察による結果を、下記の「表2」にまとめて示す。
[端部の層剥離の発生率(本/10本あたり)]
顕微鏡を用いた、サンプルの端部の観察により、長径が0.2μmを超える「層剥離」が、1箇所でも見られたものを「1本」とカウントして、サンプル群(10本)あたりの、層剥離が発生したサンプル本数を評価した。なお、結果は、10本あたりの剥離確認本数を、%で表示している(1本=10%)。
[層剥離箇所の平均個数(箇所/1本あたり)]
同様に、顕微鏡を用いた端部の観察により、長径が0.2μmを超える「層剥離」が1箇所以上見られたサンプルについて、この0.2μmを超える層剥離が何箇所存在するかを、目視によりカウントした。サンプル群10本を全て観察し、層剥離の発生箇所数(個数)を合計して、1本あたりの、層剥離の発生箇所の平均個数(発生の頻度)を算出し、評価とした。なお、平均値計算の母数には、「層剥離」が1つも見られないサンプルも含まれている。
上記「表2」の結果から、「サンプルB群」のように、耐電圧層の〔LO/TO〕値を1.56以上とすれば、最終製品である電子写真感光体の、基体端面または面取り面から生じる層剥離の発生を、充分に抑えることができることがわかった。また、表2の結果からは、「サンプルE群」の評価のように、耐電圧層の〔LO/TO〕値を1.80以上に上げ過ぎても、層の密着性が低下してしまう可能性が見てとれる。
すなわち、実施例の結果から、基体端部の面取り面等からの層の剥離または脱落等を抑制することができる、耐電圧層の〔LO/TO〕値の好適な範囲は、1.56以上1.90以下であるといえる。
したがって、アモルファス窒化シリコン(a−SiN)からなる耐電圧層を含む電子写真感光体において、この耐電圧層に関する「ラマンスペクトルにおける、横光学フォノンによるピーク波形の面積TOに対する縦光学フォノンによるピーク波形の面積LOの比である〔LO/TO〕値」を1.56以上1.90以下とした、本開示ならびに本実施形態の電子写真感光体は、表面被覆層の積層時に発生する、円筒状基体端部の面取り面からの層の剥離または脱落等を、効果的に抑制することができるものである。
1 基体
1a 外周面
1b 端面
1c 面取り面
10 電子写真感光体
11 耐電圧層
21 電荷注入阻止層
22 光導電層
23 表面保護層
100 画像形成装置

Claims (3)

  1. 導電性の基体と、前記基体の外表面を被覆する表面被覆層と、を備え、
    該表面被覆層は、
    表面側の光導電層と、
    該光導電層よりも前記基体側に位置する電荷注入阻止層と、
    該電荷注入阻止層よりも前記基体側に位置する耐電圧層と、を含み、
    該耐電圧層は、アモルファス窒化シリコン含有層であり、
    前記耐電圧層に関して測定されたラマンスペクトルを波形分離して得られる複数のピーク波形のうち、
    縦光学フォノンに対応するピーク波形の面積をLO、
    横光学フォノンに対応するピーク波形の面積をTO、としたとき、
    前記TOに対する前記LOの比である〔LO/TO〕の値が、1.56以上である、電子写真感光体。
  2. 前記耐電圧層の厚さが、0.5〜20μmである、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 請求項1または2に記載の電子写真感光体を備える画像形成装置。
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