JP2019219624A - 電子写真感光体および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本開示は、基体上の表面被覆層全体を薄く構成する場合でも、印写画像の画質の低下を抑制することができる電子写真感光体およびそれを用いた画像形成装置を提供する。【解決手段】本開示の電子写真感光体は、導電性の基体1と、基体の外表面1aを被覆する表面被覆層2とを備える。表面被覆層2は、表面側の光導電層22と、電荷注入阻止層23と、電荷注入阻止層23よりも基体1側に位置する第1耐電圧層24と、第1耐電圧層24よりも基体1側に位置する第2耐電圧層25と、を含む。第1耐電圧層24および第2耐電圧層25は、アモルファス窒化シリコンを含有する層であり、第2耐電圧層25中の、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率Yは、第1耐電圧層24中の、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率Xよりも、大きい。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体およびこれを備えた画像形成装置に関する。
画像形成装置に用いられる電子写真感光体は、たとえば、円筒状の導電性基体などの外周面の表面である外表面(最表面ともいう)に、電荷注入阻止層,光導電層,表面保護層等からなる表面被覆層を形成した構成をとる。この電子写真感光体に関し、本出願人は、特許文献1において、導電性基体と表面層(感光層)との間に、耐電圧層または耐圧層と呼ばれる、アモルファス窒化シリコン(a−SiN)含有層を含む電子写真感光体を提案している。なお、耐電圧層は、耐圧保持層とも呼ばれる。
上記提案によれば、基体と、表面被覆層の最下層である電荷注入阻止層との間に、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率〔N/(Si+N)〕が0.32以下で、厚さ0.5〜15μmのアモルファス窒化シリコン含有層を耐電圧層(耐圧層)として配置することによって、感光層の厚さが薄い高画質化電子写真感光体であっても、比較的高い耐電圧特性と低い残留電位特性とを、バランス良く維持することができる。
国際公開第2009/104466
前記提案は、耐電圧層および感光層を含む電子写真感光体表面の被覆層全体の厚さを、薄く構成できるため、当該電子写真感光体により得られる印写画像の高画質化に対応できるものである。
しかしながら、さらなる印写画像の高画質化および高精細化を目指して、耐電圧層を含む表面被覆層全体をより薄く構成しようとした場合、耐電圧層の耐電圧特性が不足して、印写動作時に、画像形成装置の現像器または帯電ローラ等から、電流のリークが発生してしまう可能性がある。
ここで、前述の耐電圧層の、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率〔N/(Si+N)〕を高く設定して、耐電圧層の厚さを薄くする解決策が考えられる。しかしながら、電荷注入阻止層に接する耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率は、印写画像の画質に影響する残留電位特性等の観点から、なるべく低く、たとえば残留電位が10V以下となる「0.3以下」に抑えることが好適とされる。そのため、同じ構成,同じ層厚のまま、耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率のみを上げていくことは難しい。
本開示の目的は、基体上の表面被覆層全体を薄く構成する場合でも、印写画像の画質の低下を抑制することができる、高品質な電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供することである。
本開示の電子写真感光体は、導電性の基体と、該基体の外表面を被覆する表面被覆層と、を備え、
該表面被覆層は、表面側の光導電層と、該光導電層よりも前記基体側に位置する電荷注入阻止層と、該電荷注入阻止層よりも前記基体側に位置する第1耐電圧層と、該第1耐電圧層よりも前記基体側に位置する第2耐電圧層と、を含み、
前記第1耐電圧層および前記第2耐電圧層は、アモルファス窒化シリコン含有層であり、
前記第1耐電圧層中の、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率をXとし、前記第2耐電圧層中の、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率をYとしたとき、前記比率Yは前記比率Xよりも大きい。
また、本開示の電子写真感光体は、導電性の基体と、該基体の外表面を被覆する表面被覆層と、を備え、
該表面被覆層は、表面側の光導電層と、該光導電層よりも前記基体側に位置する電荷注入阻止層と、該電荷注入阻止層と前記基体との間に位置する第3耐電圧層と、を含み、
該第3耐電圧層は、アモルファス窒化シリコン含有層であり、
前記第3耐電圧層において、前記基体に接する領域の、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率Wが0.30以上0.80以下であり、前記電荷注入阻止層に接する領域の、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率Zが0.30未満である。
そして、本開示の画像形成装置は、前述の電子写真感光体を備える。
本開示の電子写真感光体によれば、基体上の表面被覆層全体を薄く構成する場合でも、印写画像の画質の低下を抑制することができる。また、この電子写真感光体を備える画像形成装置も、画像の印写時に、同様の効果を奏することができる。
(a)は実施形態の電子写真感光体の半断面図であり、(b)は電子写真感光体の外周面を覆う表面被覆層の構成を説明する模式的断面図である。 (a)は図1(b)の耐電圧層における断面方向の窒素原子の比率および分布の状態を説明するイメージ図であり、(b),(c)は他の構成の耐電圧層における窒素原子の分布の状態を説明するイメージ図である。 実施形態に係る画像形成装置の構成を一部断面で示す構造図である。
以下、実施形態の電子写真感光体およびこれを備えた画像形成装置について、図面を参照しつつ説明する。
実施形態の電子写真感光体10は、図3に示す画像形成装置100に、電子写真感光体単体で、または、電子写真感光体ユニットとして、組み込んで使用されるものである。電子写真感光体10は、図1(a)に示すような、導電性基体である円筒状の基体1の外周面1aに、図1(b)に示すような、多層からなる表面被覆層2が、積層形成(成膜)された構成をとる。
表面被覆層2を構成する各層21〜23および導電性を有する基体1について簡単に説明すると、図1(b)に示すように、表面被覆層2の最表面(図示上側)に位置する表面保護層21は、後記の光導電層22の表面を保護する役割を有するものである。表面保護層21は、たとえばアモルファス炭化シリコン(a−SiC)あるいはアモルファス窒化シリコン(a−SiN)などのアモルファスシリコン(a−Si)系材料または、アモルファスカーボン(a−C)を用いるか、あるいはそれらの多層構造とすればよい。実施形態では、耐摩耗性の観点から、耐性の高いa−Cが採用される。表面保護層21の好適な厚さは、たとえば0.1〜2μm、より具体的には0.5〜1.5μmである。
光導電層22は、レーザ光などの光照射によってキャリアを発生させる役割を有するものである。光導電層22は、たとえばアモルファスシリコン(a−Si)系材料ならびにSe−TeあるいはAsSeなどのアモルファスセレン(a−Se)系材料で形成される。実施形態の光導電層22は、a−Siならびにa−Siに、炭素(C),窒素(N)および酸素(O)などを加えたa−Si系材料で形成されており、ドーパントとしてホウ素(B)あるいはリン(P)を含有する。a−Si系材料を用いて光導電層22を形成する場合、その好適な厚さは5〜100μm程度、より具体的には10〜80μmである。
電荷注入阻止層23は、正帯電の場合であれば、導電性の基体1からのキャリアである電子の注入を阻止する役割を有するものであり、たとえばアモルファスシリコン(a−Si)系材料で形成される。この電荷注入阻止層23は、正帯電の場合であれば、たとえばa−Siに、ドーパントとしてホウ素(B)と、場合により窒素(N)もしくは酸素(O)またはその両方を含有させたもので構成する。また、負帯電の場合であれば、たとえばa−Siに、ドーパントとしてリン(P)と、場合により窒素(N)もしくは酸素(O)またはその両方を含有させたものを用いる。電荷注入阻止層23の好適な厚さは、2〜10μmである。
なお、電荷注入阻止層23と光導電層22とを合わせて「感光層」と呼ぶ場合もある。また、図に記載の表面被覆層2は、各層または各膜の厚みを強調して描いているため、層厚さおよび層厚比等は、実際のものとは異なる。
円筒状の基体1は、表面被覆層2の支持体となるものであり、少なくとも基体1の表面は導電性を有し、図1(a)の半断面図に示すように、筒長方向である軸線方向に連続する円周状の外周面1aおよび内周面1bと、軸線方向両端部に形成された基体端面(以下、単に「端面」という)である端面1cとを備える。
なお、内周面1bにおける円筒の両端開口縁部で、かつ、前記の端面1cと隣接する領域には、フランジ3と呼ばれるドラムアタッチメントを、一点鎖線で示す基体1の回転軸に芯出しして精密にインロー(印籠)嵌合するための円周段部1dが、それぞれ形成される。
基体1は、円筒状で、たとえばアルミニウム(Al),ステンレススチール(SUS),亜鉛(Zn),銅(Cu),鉄(Fe),チタン(Ti),ニッケル(Ni),クロム(Cr),タンタル(Ta),スズ(Sn),金(Au),銀(Ag),マグネシウム(Mg)およびマンガン(Mn)などの金属材料、あるいはこれら例示した金属材料を含む合金によって、全体が導電性を有するものとして形成される。また、基体1は、樹脂,ガラスあるいはセラミックスなどの表面に、例示した金属材料あるいはITO(Indium Tin Oxide)または二酸化すず(SnO)などの透明導電性材料による導電性膜を被着したものであってもよい。
これらの例示した材料のうち、基体1を形成するための材料としては、アルミニウム(Al)系材料を用いればよく、実施形態の基体1は、全体をアルミニウム系材料で形成した。アルミニウム系材料は、電子写真感光体10を軽量かつ低コストで製造可能であり、その上、電荷注入阻止層23および光導電層22をアモルファスシリコン(a−Si)系材料で形成する場合には、それらの層と基体1との間の密着性が高くなって信頼性を向上させることができる。
ここで、本実施形態の電子写真感光体10では、表面被覆層2における、最も基体1側(図示下側)の、基体1に密着する部位に、比較的高い耐電圧特性を有する第2耐電圧層25が形成され、その外側にある電荷注入阻止層23側(図示上側)には、比較的低い耐電圧特性を有する第1耐電圧層24が形成されている。
これら第1耐電圧層24と第2耐電圧層25とは、アモルファス窒化シリコン(a−SiN)を含有する層であり、本実施形態においては、第1耐電圧層24中の、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率〔N/(Si+N)〕を変数Xと定義し、第2耐電圧層25中の、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率〔N/(Si+N)〕を変数Yと定義すると、第2耐電圧層25の〔N/(Si+N)〕比率を表すYは、第1耐電圧層24の〔N/(Si+N)〕比率を表すXよりも、大きい。すなわち、比率Xと比率Yとの間には、「X<Y」の関係式が成り立つ。
なお、各層中の、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率を、簡略に、「〔N/(Si+N)〕比率」という場合がある。
さらに、本実施形態の電子写真感光体10において、第1耐電圧層24の〔N/(Si+N)〕比率Xの好適範囲は、0.05以上0.30未満であり、第2耐電圧層25の〔N/(Si+N)〕比率Yの好適範囲は、0.30以上0.80以下である。そして、比率Xに対する比率Yの比である「Y/X」は、1.2以上6.0以下になっている。
なお、以降、〔N/(Si+N)〕比率が0.30未満の第1耐電圧層24を「低耐電圧層」と、〔N/(Si+N)〕比率が0.30以上の第2耐電圧層25を「高耐電圧層」と呼ぶ場合がある。
以上の構成を有する、実施形態の電子写真感光体10によれば、第1耐電圧層24(低耐電圧層)の基体1側に、より高〔N/(Si+N)〕比率の第2耐電圧層25(高耐電圧層)を設けることによって、従来品のような単層の耐電圧層全体の〔N/(Si+N)〕比率を高くする場合に比べ、厚さを厚くすることなく、耐電圧特性と残留電位特性とを向上させることができる。これにより、電子写真感光体10は、基体1上の表面被覆層2全体を、薄く構成することが可能になる。したがって、本実施形態の電子写真感光体10は、印写画像の画質の低下を抑制しつつ、表面被覆層2全体を薄く構成することができる。さらに、その結果、電子写真感光体10およびそれを組み込んだ画像形成装置の、印写画質の向上に貢献する。
また、円筒状基体1の表面に、成膜前から、アルミ粉等の導電性異物が付着していた場合、その導電性異物が核となって、成膜時に突起状の欠陥を生じ、この欠陥に帯電ローラ等から電流が流れ込んで、画像上で黒点サイズが大きくなる現象が知られている。このような場合でも、本実施形態の電子写真感光体10であれば、帯電ローラ等からの電流の流れ込みが抑制されるため、前述のような黒点サイズの拡大を、抑えることができる。したがって、この場合でも、印画品質が維持される。
本実施形態の電子写真感光体10の構成およびそれによる効果は、後記の実施例において具体的に説明する。
なお、本実施形態の電子写真感光体10の構成における、表面被覆層2の第1耐電圧層24および第2耐電圧層25(両者を合わせて、単に「耐電圧層」と呼ぶ場合もある)は、成膜時の製造方法や製造条件等によっては、図1(b)に示すような、はっきりとした境界(層界)が、顕微鏡観察等でも視認できないか、あるいは分析等によっても境界が特定できず、単層構成であるように見える場合がある。
たとえば、プラズマCVD装置等の堆積膜形成装置を用いて、前述の耐電圧層を含む表面被覆層2を構成する各層の形成処理を行なう場合、第2耐電圧層25(高耐電圧層)の形成の後、一旦、堆積膜形成装置を停止して真空反応室を開放し、その後、改めて堆積膜形成を再開して第1耐電圧層24(低耐電圧層)を形成すれば、図1(b)およびその断面イメージである図2(a)に示すような、明確な境界(層界)を有する耐電圧層を形成することができる。
これに対して、膜形成操作の効率化のために、堆積膜形成装置の真空反応室内の真空状態を維持したまま、各層の表面被覆層2を構成する各層の形成を、連続的に行なう場合がある。その場合、先に基体1側に形成される第2耐電圧層25(高耐電圧層)の〔N/(Si+N)〕比率と、後にその上に形成される第1耐電圧層24(低耐電圧層)の〔N/(Si+N)〕比率の変更および制御は、たとえば、真空反応室内へ供給する原料ガスである、NHガスとSiHガスとの流量比(NH/SiH)を、膜形成操作の途中に変えて対応する。
すなわち、基体1側の第2耐電圧層25(高耐電圧層)の形成終了と同時に、原料ガスの流量比(NH/SiH)を急激に変更した場合、図2(b)の窒素の濃度分布のイメージ図に示すように、第1耐電圧層24と第2耐電圧層25との境界は、特定が難しい曖昧なものとなる。なお、図2(b)中の二点鎖線は、仮想的な2層の境界を示すものである。
また、原料ガスの流量比(NH/SiH)を、基体1側の第2耐電圧層(高耐電圧層)の形成開始から徐々に変更した場合、第1耐電圧層と第2耐電圧層との境界は、より曖昧ではっきりしないものとなる。すなわち、窒素の濃度分布は、図2(c)のイメージ図に示すような、〔N/(Si+N)〕比率が基体1側(図示下側)から電荷注入阻止層23側(図示上側)にかけて漸次低下する、いわゆる濃度傾斜層または濃度勾配層(第3耐電圧層26)として形成される。
なお、これらの例のように、高耐電圧層と低耐電圧層との境界が不明瞭な場合でも、たとえば第3耐電圧層26における、基体1に接する図示下側の領域の〔N/(Si+N)〕比率を表す変数Wは、0.30以上0.80以下であり、電荷注入阻止層23に接する図示上側の領域の〔N/(Si+N)〕比率を表す変数Zは、0.30未満となるように構成されている。
また、明確な2層構成である、第1耐電圧層24と第2耐電圧層25とからなる耐電圧層の場合と同様、第3耐電圧層26においても、比率Wに対する比率Zの比である「W/Z」は、1.2以上6.0以下になっている。
したがって、前記2例のように、耐電圧層の境界(層界)が顕微鏡観察等でも視認できない、図2(b)のような場合や、分析等によっても境界が特定できず単層構成であるように見える、第3耐電圧層26の場合でも、先に説明した明確な境界を有する耐電圧層の場合と同様、従来品のように耐電圧層全体の〔N/(Si+N)〕比率を高くする場合に比べ、厚さを厚くすることなく、耐電圧特性と残留電位特性とを向上させることができる。
また、電子写真感光体10は、図2(b),(c)に示した前記2例のような場合でも、基体1上の表面被覆層2全体を、薄く構成することが可能で、その結果、画像形成装置に組み込んだ際は、印写画像の画質の低下を抑制できるという効果を奏する。
つぎに、以上のようにして製造された電子写真感光体10が組み込まれる画像形成装置100の構成例を、図3に示す。
実施形態に係る画像形成装置100は、画像形成方式としてカールソン法を採用したものであり、先述の電子写真感光体10と、帯電器111、露光器112、現像ローラ113Aを含む現像器113、転写器114、定着器115である115Aおよび115Bと、電子写真感光体に接触するクリーニングローラ116Bとクリーニングブレード116Aとを含むクリーニング器116、および、除電器117等を備える。なお、図中の記録媒体Pに沿った矢印は、記録媒体Pである用紙の移動方向を示す。
画像形成装置100の構成を簡単に説明する。
帯電器(帯電ローラ)111は、たとえば負帯電の電子写真感光体10の表面を負極性に帯電させる役割を有するものである。本実施形態において帯電器111は、たとえば芯金を導電性ゴムあるいはPVDF(ポリフッ化ビニリデン)によって被覆して構成される接触型帯電器が採用される。
露光器112は、電子写真感光体10に静電潜像を形成する役割を有するものである。露光器112としては、たとえば複数のLED素子(波長:680nm)を配列させてなるLED(発光ダイオード:Light Emitting Diode)ヘッドを採用することができる。
現像器113は、電子写真感光体10の静電潜像を現像してトナー像を形成する役割を有するものである。本例における現像器113は、現像剤(以下、トナー)Tを磁気的に保持する磁気ローラ113Aを備える。
トナーTは、電子写真感光体10の表面上に形成されるトナー像を構成するものであり、現像器113において摩擦帯電する。トナーTとしては、たとえば、磁性キャリアおよび絶縁性トナーを含んでなる2成分系現像剤と、磁性トナーを含んでなる1成分系現像剤とが挙げられる。
磁気ローラ113Aは、電子写真感光体10の表面の現像領域にトナーTを搬送する役割を有するものである。磁気ローラ113Aは、現像器113において摩擦帯電したトナーTを一定の穂長に調整された磁気ブラシの形で電子写真感光体10の表面に搬送する。
転写器114は、電子写真感光体10と転写器114との間の転写領域に供給された、紙等の記録媒体Pに、電子写真感光体10のトナー像を転写する役割を有するものである。本例における転写器114は、転写用チャージャ114Aおよび分離用チャージャ114Bを備える。
定着器115は、記録媒体Pに転写されたトナー像を記録媒体Pに定着させる役割を有するものであり、一対の定着ローラ115A,115Bを備える。定着ローラ115A,115Bは、たとえば金属ローラ上に四フッ化エチレンなどで表面被覆したものである。
クリーニング器116は、電子写真感光体10の表面に残存するトナーTを除去する役割を有するものであり、クリーニングローラ116Bおよびクリーニングブレード116Aを備える。
除電器117は、電子写真感光体10の表面電荷を除去する役割を有するものであり、特定波長(たとえば630nm以上)の光を出射可能なデバイスが用いられる。
本実施形態の画像形成装置100は、先に述べた、基体1上の表面被覆層2全体が薄く構成された電子写真感光体10が用いられているため、印写画質が向上している。
以下、本実施形態にかかる電子写真感光体10の構成およびそれによる効果について、具体的な例をあげて説明する。
実施例においては、まず、電荷注入阻止層23側(図示上側でかつ反基体1側)に設ける第1耐電圧層24(低耐電圧層)の〔N/(Si+N)〕比率を0.05から0.30まで変化させて、後記の2つの判断基準を満たす、最適な[第2耐電圧層25(高耐電圧層)の〔N/(Si+N)〕比率/第1耐電圧層24(低耐電圧層)の〔N/(Si+N)〕比率](以下、[〔N/(Si+N)〕の高/低比]と略称する)を設定した。
なお、本実施例における、好適な第1耐電圧層24(低耐電圧層)の〔N/(Si+N)〕比率は、0.05以上0.30未満を基準とするものであるため、後記の第1耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率が0.02の結果、および、比率が0.30〜0.35の結果は、参考として示しているものである。また、各表中では、(括弧)付きで表示している。
判断基準(1)
・基体1上の耐電圧層全体(第1耐電圧層24+第2耐電圧層25)の耐電圧特性
耐電圧は、接触針耐圧法にて測定した。より具体的には、電極針を、電子写真感光体(サンプル:層厚さ 第1耐電圧層5μm、第2耐電圧層0.5μm)の表面と接触させた状態で、定電圧電源(TREK社製 MODEL:610C)を用いて感光体表面に電圧を印加し、絶縁破壊が生じた電圧を、耐電圧とした。電極針としては、先端径が1.4mmφのものを用い、測定温度は23℃とした。
耐電圧の測定結果の評価については、表1,表2に示した。なお、本実施例(表1,表2)における良結果の基準は、耐電圧が2.6kV以上のものとしている。その理由は、耐電圧が2.6kV以上であれば、電子写真プロセスにおいて、リークの発生を抑えることができるからである。また、耐電圧が2.6kVを下回る表中の結果に、不良を示す「×」印を付与した。
判断基準(2)
・基体1上の耐電圧層全体(第1耐電圧層24+第2耐電圧層25)の残留電位特性
残留電位は、電子写真感光体(サンプル:層厚さ 第1耐電圧層5μm、第2耐電圧層0.5μm)を組み込んだ画像形成装置を用いて、帯電・露光・除電のサイクルを1回行なうとともに、そのサイクルにおける除電後に電位検査機(QEA社製 PDT1000)を用いて計測される電圧値とした。帯電・露光・除電のサイクルにおいては、電子写真感光体の表面温度は23℃、回転速度は150mm/秒、帯電圧は350V、除電光量は3μJ/cmに設定した。
残留電位の測定結果の評価については、表3,表4に示した。なお、本実施例(表3,表4)における良結果の基準は、残留電位が10V以下のものとしている。その理由は、残留電位が10V以下であれば、電子写真プロセスの設計を、より容易に行なうことができるからである。また、残留電位が10Vを超える表中の結果に、不良を示す「×」印を付与した。
また、サンプルの〔N/(Si+N)〕比率は、XPS(X線光電子分光法)の測定により、窒素含有量(原子数比率)を算出した。また、表面被覆層2を構成する各層は、たとえばプラズマCVD装置等の堆積膜形成装置を用いて、基体1上に積層形成されたものであるため、第1耐電圧層24の〔N/(Si+N)〕比率は、電荷注入阻止層23(図示上側でかつ反基体1側)から0.5μm距離をあけた低耐電圧層(厚さ5μm)中の位置において計測したものである。また、第2耐電圧層25の〔N/(Si+N)〕比率は、基体1(図示下側)から0.2μm距離をあけた高耐電圧層(厚さ0.5μm)中の位置において計測したものである。
また、各層の層厚さ(膜厚)は、光学式膜厚計(大塚電子社製 型番:MC−850A)を用いて測定した。
「耐電圧」測定の結果
なお、表内で「X」印を付けた数値は、不良(基準に不適合)であることを示す。
また、(括弧)内の数値は、参考値であり、「----」は、測定を行なっていないことを意味する。
「残留電位」測定の結果
なお、表内で「X」印を付けた数値は、不良(基準に不適合)であることを示す。
また、(括弧)内の数値は、参考値であり、「----」は、測定を行なっていないことを意味する。
以下の表5,表6は、前述の「耐電圧」特性と「残留電位」特性の測定結果をまとめたものであり、両特性が共に良評価(×印なし)の部分に該当する[〔N/(Si+N)〕の高/低比]を記載したものである。なお、表中の「△」印は、[〔N/(Si+N)〕の高/低比]が本実施例における好適範囲ではあるが、どちらか一方の特性(特に残留電位特性)が、判定基準を超えるものを示す。すなわち、表中の「△」印の部分は、本開示の実施例の適用除外(参考例)の部分である。
表5,表6より、第1耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率が下限の「0.05」の時、好適な第2耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率は「0.30」であり、第1耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率が上限に近い「0.25」の時の、好適な第2耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率は「0.30〜0.75」であることがわかる。
すなわち、言い換えれば、第2耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率が「0.30〜0.80」である場合、それを満たす好適な[高耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率/耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率]の範囲は、表5,表6の結果から、1.2以上6.0以下であるといえる。
つぎに、第1耐電圧層24および第2耐電圧層25の好適な層厚さについて、検討を行なった。
後記の表7〜表10は、前述の表5,表6中にある4つの条件にて、第1耐電圧層24または第2耐電圧層25の層厚さ(膜厚)を変えて、耐電圧(kV)および残留電位(V)の変化を測定したものである。
[第1耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率]=0.28
[第2耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率/第1耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率]=1.5
ただし、第2耐電圧層(高耐電圧層)の層厚さは0.5μmである。
[第1耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率]=0.14
[第2耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率/第1耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率]=5.5
ただし、第2耐電圧層(高耐電圧層)の層厚さは0.5μmである。
以上の表7,表8の結果から、2つの特性を満たす、第1耐電圧層(低耐電圧層)の好適な層厚さは、耐電圧が「2.6kV以上」の0.5μm以上15μm以下であることがわかる。
[第1耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率]=0.28
[第2耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率/第1耐電圧層の〔N/(Si+N)〕比率]=1.5
ただし、第1耐電圧層(低耐電圧層)の層厚さは5μmである。
[第1耐電圧層(耐電圧層)の〔N/(Si+N)〕比率]=0.14
[第2耐電圧層(高耐電圧層)の〔N/(Si+N)〕比率/第1耐電圧層(耐電圧層)の〔N/(Si+N)〕比率]=5.5
ただし、第1耐電圧層(低耐電圧層)の層厚さは5μmである。
以上の表9,表10の結果から、2つの特性を満たす、第2耐電圧層(高耐電圧層)の好適な層厚さは、残留電位が「10V以下」の、1.0μm以下であることがわかる。
以上のように、実施例の電子写真感光体10によれば、図2(a),(b)に記載のように、第1耐電圧層24(低耐電圧層)の基体1側に、より高〔N/(Si+N)〕比率の第2耐電圧層25(高耐電圧層)が設けられているため、耐電圧層の厚みを厚くしなくても、耐電圧特性と残留電位特性とが、向上している。
なお、詳細な結果は省略するが、耐電圧層を、図2(c)に記載の第3耐電圧層26のような濃度勾配層とした場合でも、前述の、耐電圧層を第2耐電圧層25(高耐電圧層)と第1耐電圧層24(低耐電圧層)とから構成した電子写真感光体(実施例)と同様の結果が得られることを、確認している。
本発明は上述の実施形態および実施例に示したものだけに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で改良または変更ができる。
1 基体
2 表面被覆層
21 表面保護層
22 光導電層
23 電荷注入阻止層
24 第1耐電圧層
25 第2耐電圧層
26 第3耐電圧層
10 電子写真感光体
100 画像形成装置

Claims (6)

  1. 導電性の基体と、該基体の外表面を被覆する表面被覆層と、を備え、
    該表面被覆層は、
    表面側の光導電層と、
    該光導電層よりも前記基体側に位置する電荷注入阻止層と、
    該電荷注入阻止層よりも前記基体側に位置する第1耐電圧層と、
    該第1耐電圧層よりも前記基体側に位置する第2耐電圧層と、を含み、
    前記第1耐電圧層および前記第2耐電圧層は、アモルファス窒化シリコン含有層であり、
    前記第1耐電圧層中の、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率をXとし、前記第2耐電圧層中の、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率をYとしたとき、
    前記比率Yは前記比率Xよりも大きい、電子写真感光体。
  2. 前記第1耐電圧層の比率Xは、0.30未満であり、
    前記第2耐電圧層の比率Yは0.30以上0.80以下である、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記比率Xに対する前記比率Yの比であるY/Xが、1.2以上6.0以下である、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 導電性の基体と、該基体の外表面を被覆する表面被覆層と、を備え、
    該表面被覆層は、
    表面側の光導電層と、
    該光導電層よりも前記基体側に位置する電荷注入阻止層と、
    該電荷注入阻止層と前記基体との間に位置する第3耐電圧層と、を含み、
    該第3耐電圧層は、アモルファス窒化シリコン含有層であり、
    前記第3耐電圧層において、
    前記基体に接する領域の、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率Wが0.30以上0.80以下であり、
    前記電荷注入阻止層に接する領域の、窒素原子数とシリコン原子数との合計に対する窒素原子数の比率Zが0.30未満である、電子写真感光体。
  5. 前記比率Wに対する前記比率Zの比であるZ/Wが、1.2以上6.0以下である、請求項4に記載の電子写真感光体。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の電子写真感光体を備える画像形成装置。
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