JP2020158082A - 車両前部構造 - Google Patents
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Abstract
Description
同文献に記載の車両前部構造においては、車体前部の骨格部材として、左右一対のフロントサイドメンバを備えており、かつこれら一対のフロントサイドメンバの前端部には、枠状体としてのラジエータサポートが取付けられている。一方、前記一対のフロントサイドメンバの下方側のうち、ラジエータサポートよりも車両後方側の位置には、前輪を支持するロアアームなどが取付けられるサスペンションメンバが配設されている。このサスペンションメンバと前記ラジエータサポートの下部とは、車両前後方向に延びるクレードルを用いて連結されている。
このような構成によれば、車両の前突が発生し、衝突荷重が車両前部に入力した際に、この荷重がフロントサイドメンバに伝達することに加え、クレードルやサスペンションメンバにも分散して伝達する。したがって、車両の前突時における衝撃吸収性能および耐荷重性能(耐衝撃性能)を高めることが可能である。
このようなことを解消する手段としては、クレードルの厚肉化や大型化を図り、その剛性を高めることが考えられる。ところが、このような手段を採用したのでは、車両重量の増加や、製造コストの上昇を招いてしまう。
フロントサイドメンバよりも下方の領域のうち、前記枠状体よりも車両後方側に位置して車幅方向に延びており、かつ前記一対のフロントサイドメンバに取付けられているサスペンションメンバと、前記一対のフロントサイドメンバよりも下方の領域のうち、前記枠状体の下部と前記サスペンションメンバとの相互間に位置して車両前後方向に延びており、かつ後端部が前記サスペンションメンバの車幅方向両端部と連結され、前端部が前記枠状体の前記下部に対向接近または当接するように設定されている左右一対のクレードルと、を備えている、車両前部構造であって、前記各クレードルは、前端部寄り領域が、後上がり傾斜状または略水平状とされ、かつその後部側には後下がりの傾斜部が繋がった側面視略へ字状のヘ字状部を具備する構成とされており、前記前端部寄り領域は、前記各フロントサイドメンバと連結されていることを特徴としている。
すなわち、クレードルは、前記へ字状部を有しているため、車両の前突が発生し、その衝突荷重の一部が、クレードルの前端部寄り領域に入力した際には、この入力荷重のベクトルとして上向き分力としてのベクトルを生じさせ、このベクトルをフロントサイドメンバによって受けさせることができる。したがって、その分だけクレードルに座屈変形を生じ難くし、クレードルに大きな座屈変形が即座に生じないようにすることが可能となる。その結果、クレードルを衝撃吸収に好ましい時期または態様で変形させることが可能となる他、クレードルからその車両後方側に位置するサスペンションメンバなどへの荷重伝達性をよくし、車両の前突時における衝撃吸収性能を優れたものとすることができる。また、耐荷重性能(耐衝撃性能)も優れたものとすることができる。
クレードルの剛性をさほど高くする必要はないため、クレードルの薄肉化または小型化を図り、車両重量の増加や製造コストの上昇を適切に抑制することも可能である。
さらに、本発明によれば、車両の前突の後期においては、クレードルのへ字状部の前端部寄り領域と後下がりの傾斜部との境界部分(曲げ部)を起点として、クレードルを的確に曲げ変形させることができるため、衝突エネルギ吸収のコントロールも容易となる。
略へ字状のヘ字状部を具備する構成とされており、前記前端部寄り領域は、前記各フロントサイドメンバとブラケット部を介して連結されており、前記ブラケット部の上部は、前側部分が前記各フロントサイドメンバの車幅方向内側に位置し、かつ後側部分が前記各フロントサイドメンバの車幅方向外側に位置するように前記各フロントサイドメンバを車幅方向において挟み付けた状態で、前記各フロントサイドメンバに連結されていることを特徴としている。
加えて、クレードルとフロントサイドメンバとを連結するブラケット部については、図9を参照して後述する説明から理解されるように、車両の前突時において、フロントサイドメンバが車幅方向に変形したとしても、フロントサイドメンバとの連結状態を適切に維持可能なものとすることができる。その結果、クレードルの取付け状態を安定させ、クレードルとフロントサイドメンバとが車幅方向に意図しない位置ずれを生じるといったことも適切に抑制することが可能である。
各フロントサイドメンバ3は、図5および図8に示されているように、たとえば断面ハット状部材3aに平板部材3bを接合して構成された閉断面構造である。
第2の連結部J2は、後下がり傾斜部31の下面側に溶接されたブラケット部35の下壁部に、サスペンションメンバ4の後部が、ボルト92を用いて締結された部位である。この第2の連結部J2は、後側延設部32に後部がボルト95を用いて固定されたブラケット部36の前部に、サスペンションメンバ4の後部を連結するための部分を兼用しており、2つのブラケット部35,36、サスペンションメンバ4の後部、およびロアアーム18の基端部のゴムブッシュ18aは、ボルト92により共締めされている。
図3において、符号17は、ロッカ16とフロントサイドメンバ3とを橋渡し接続するアウタトルクボックスを示し、ブラケット部36および/または追加のブラケット37(同図では不図示)は、このアウタトルクボックス17にボルト締結を図った構成とすることもできる。符号15は、インナトルクボックスに相当する補強部材を示している。
設定されている。サスペンションメンバ4には、その本体部分とは別部材で構成され、かつ前記本体部分から車両前方側に突出するように前記本体部分に接合された延設部44が具備されている。この延設部44の前部は、たとえば図7に示すように、クレードル6の後端部を内側に進入させることが可能な断面略コ字状である。クレードル6の後端部は、ボルト93を利用して延設部44の前部に締結されており、この部分が、第3の連結部J3である。
クレードル6のうち、へ字状部62の前端部寄り領域62aと後下がりの傾斜部62bとの境界部は、上向き凸の曲げ部B1であり、へ字状部62と略水平状の後端部との境界部は、下向き凸の曲げ部B2である。
領域30Aの車両後方側近傍に位置するように設けられている。また、フロントサイドメンバ3には、モーメントキャンセラ85(本発明でいう補強部材の一例)の前側下端部が接続されているが、このモーメントキャンセラ85の下端部は、ブラケット部7の上方に位置するように設定されている。この構成による作用についても後述するが、モーメントキャンセラ85は、本来的には、車両1の前突時において、車両前方側から荷重入力があったときに、フロントサイドメンバ3を上向きに屈曲させようとするモーメントを解消し、フロントサイドメンバ3(クラッシャブル領域30A)の圧縮変形(座屈変形)を促進することにより、車両1の衝撃吸収性能を向上させるためのものである。
ドメンバ3のうち、ブラケット部7の取付け箇所に作用するが、その上方には、モーメントキャンセラ85が設けられ、補強されている。このため、前記ベクトルに起因してフロントサイドメンバ3に上向きの大きな曲げ変形が生じるといったことは適切に回避される。
クレードル6およびサスペンションメンバ4に前記したような変形を生じている際には、フロントサイドメンバ3において、クラッシャブル領域30Aとは別の部位の変形(たとえば、フロント部30の後部寄り領域の車幅方向への曲げ変形など)を同時に進行させることも可能である。
クレードルは、全体が上述した実施形態のへ字状部62として構成されていてもよい。また、上述の実施形態においては、クレードルの前端部を自由端としているが、これに限定されず、クレードルの前端部を、ラジエータサポートの下部(上述したクラッシュボッ
クス53を含む)に当接させたり、あるいは連結してもよい。
クレードルの支持用のブラケット部の上部をフロントサイドメンバに連結するための手段としては、溶接に代えて、または加えて、ボルトなどの締結部材を用いてもよい。
本発明でいう補強部材としては、モーメントキャンセラに代えて、または加えて、エンジンマウント用のブラケットを用いることもできる。
本発明の車両前部構造は、エンジン自動車に限らず、ハイブリッド車や電気自動車にも適用することができることは勿論である。
1 車両
3 フロントサイドメンバ
4 サスペンションメンバ
5 ラジエータサポート(枠状体)
53 クラッシュボックス(枠状体の下部)
6 クレードル
62 へ字状部
62a 前端部寄り領域(へ字状部の)
62b 後下がりの傾斜部(へ字状部の)
7 ブラケット部(クレードル用の)
70a 前側部分(ブラケット部の上部の)
70b 後側部分(ブラケット部の上部の)
85 モーメントキャンセラ(補強部材)
Claims (3)
- 車幅方向に間隔を隔てて車両前部に位置し、かつ車両前後方向に延びる左右一対のフロントサイドメンバと、
これら一対のフロントサイドメンバの前部どうしを連結するように設けられた枠状体と、
前記一対のフロントサイドメンバよりも下方の領域のうち、前記枠状体よりも車両後方側に位置して車幅方向に延びており、かつ前記一対のフロントサイドメンバに取付けられているサスペンションメンバと、
前記一対のフロントサイドメンバよりも下方の領域のうち、前記枠状体の下部と前記サスペンションメンバとの相互間に位置して車両前後方向に延びており、かつ後端部が前記サスペンションメンバの車幅方向両端部と連結され、前端部が前記枠状体の前記下部に対向接近または当接するように設定されている左右一対のクレードルと、
を備えている、車両前部構造であって、
前記各クレードルは、前端部寄り領域が、後上がり傾斜状または略水平状とされ、かつその後部側には後下がりの傾斜部が繋がった側面視略へ字状のヘ字状部を具備する構成とされており、
前記前端部寄り領域は、前記各フロントサイドメンバと連結されていることを特徴とする、車両前部構造。 - 請求項1に記載の車両前部構造であって、
前記各フロントサイドメンバのうち、前記各クレードルの前記前端部寄り領域との連結が図られた箇所またはその上側には、この箇所の上下高さ方向の曲げ強度を高める補強部材が設けられている、車両前部構造。 - 車幅方向に間隔を隔てて車両前部に位置し、かつ車両前後方向に延びる左右一対のフロントサイドメンバと、
これら一対のフロントサイドメンバの前部どうしを連結するように設けられた枠状体と、
前記一対のフロントサイドメンバよりも下方の領域のうち、前記枠状体よりも車両後方側に位置して車幅方向に延びており、かつ前記一対のフロントサイドメンバに取付けられているサスペンションメンバと、
前記一対のフロントサイドメンバよりも下方の領域のうち、前記枠状体の下部と前記サスペンションメンバとの相互間に位置して車両前後方向に延びており、かつ後端部が前記サスペンションメンバの車幅方向両端部と連結され、前端部が前記枠状体の前記下部に対向接近または当接するように設定されている左右一対のクレードルと、
を備えている、車両前部構造であって、
前記各クレードルは、前端部寄り領域が、後上がり傾斜状または略水平状とされ、かつその後部側には後下がりの傾斜部が繋がった側面視略へ字状のヘ字状部を具備する構成とされており、
前記前端部寄り領域は、前記各フロントサイドメンバとブラケット部を介して連結されており、
前記ブラケット部の上部は、前側部分が前記各フロントサイドメンバの車幅方向内側に位置し、かつ後側部分が前記各フロントサイドメンバの車幅方向外側に位置するように前記各フロントサイドメンバを車幅方向において挟み付けた状態で、前記各フロントサイドメンバに連結されていることを特徴とする、車両前部構造。
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