JP6887741B2 - 車両前部構造 - Google Patents

車両前部構造 Download PDF

Info

Publication number
JP6887741B2
JP6887741B2 JP2019062792A JP2019062792A JP6887741B2 JP 6887741 B2 JP6887741 B2 JP 6887741B2 JP 2019062792 A JP2019062792 A JP 2019062792A JP 2019062792 A JP2019062792 A JP 2019062792A JP 6887741 B2 JP6887741 B2 JP 6887741B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
energy absorbing
front side
cradle
suspension member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019062792A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020158083A (ja
Inventor
祐也 上田
祐也 上田
繁孝 稲岡
繁孝 稲岡
尚之 辻本
尚之 辻本
雄一 岡崎
雄一 岡崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daihatsu Motor Co Ltd
Original Assignee
Daihatsu Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daihatsu Motor Co Ltd filed Critical Daihatsu Motor Co Ltd
Priority to JP2019062792A priority Critical patent/JP6887741B2/ja
Publication of JP2020158083A publication Critical patent/JP2020158083A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6887741B2 publication Critical patent/JP6887741B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、自動車などの車両前部構造に関する。
本出願人は、車両前部構造の一例として、特許文献1に記載のものを先に提案している。
同文献に記載の車両前部構造においては、車体前部の骨格部材として、左右一対のフロントサイドメンバを備えており、かつこれら一対のフロントサイドメンバの前端部には、枠状体としてのラジエータサポートが取付けられている。一方、前記一対のフロントサイドメンバの下方側のうち、ラジエータサポートよりも車両後方側の位置には、前輪を支持するロアアームなどが取付けられるサスペンションメンバが配設されている。このサスペンションメンバと前記ラジエータサポートの下部とは、車両前後方向に延びるクレードルを用いて連結されている。
このような構成によれば、車両の前突が発生し、衝突荷重が車両前部に入力した際に、この荷重がフロントサイドメンバに伝達することに加え、クレードルやサスペンションメンバにも分散して伝達する。したがって、車両の前突時における衝撃吸収性能および耐荷重性能(耐衝撃性能)を高めることが可能である。
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
すなわち、フロントサイドメンバ、クレードル、およびサスペンションメンバなどの各部材は、剛性が大きく相違し、また荷重の伝達速度も相違する。また、これらは連結されているため、クレードルおよびサスペンションメンバの変形が、フロントサイドメンバの変形に悪影響を及ぼすなどの虞もある。このため、衝突荷重を効果的に車両後方側に伝達してその衝撃吸収を図ることは難しいものとなっている。たとえば、クレードルおよびサスペンションメンバの双方または一方と、フロントサイドメンバとが同時に大きな座屈変形を開始したのでは、乗員が受ける衝撃値(G値)が急激に増大し、乗員の傷害値が大きくなる不具合を生じる。したがって、このようなことを適切に回避し、衝撃吸収性能および耐荷重性能を適切に得られるようにすることが望まれる。
特開2010−280238号公報
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、乗員傷害値をできる限り小さくし得るように、従来にも増して衝撃吸収性能および耐荷重性能を優れたものにすることが可能な車両前部構造を提供することを、その課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明により提供される車両前部構造は、車両前部において車幅方向に間隔を隔てた配置で車両前後方向に延び、かつ前端寄り領域が、車両の前突時に圧縮変形を生じさせるための第1のエネルギ吸収部とされている左右一対のフロントサイドメンバと、これら一対のフロントサイドメンバの前部どうしを連結するように設けられ、かつ車両の前突時に圧縮変形を生じさせるための第2のエネルギ吸収部が下部に設けられている枠状体と、前記一対のフロントサイドメンバよりも下方の領域のうち、前記枠状体よりも車両後方側に位置して車幅方向に延びており、かつ前記一対のフロントサイドメンバに取付けられているサスペンションメンバと、前記一対のフロントサイドメンバよりも下方の領域のうち、前記第2のエネルギ吸収部と前記サスペンションメンバとの相互間に位置して車両前後方向に延びており、かつ後端部が前記サスペンションメンバと連結されている左右一対のクレードルと、を備えている、車両前部構造であって、前記各クレードルの前端部と、前記第2のエネルギ吸収部の後端部とは、これらの相互間に車両前後方向の隙間が形成された非連結状態とされており、前記車両の前突が発生することにより、前記第1のエネルギ吸収部が圧縮変形を開始した場合には、この圧縮変形の途中で、前記第2のエネルギ吸収部が後退して前記各クレードルに当接し、かつこの当接の後には、前記第1および第2のエネルギ吸収部のそれぞれの圧縮変形を同時進行させることが可能な構成とされており、前記各フロントサイドメンバのうち、前記第1のエネルギ吸収部よりも車両後方側の位置には、前記サスペンションメンバの前側取付け部が設けられ、かつこの前側取付け部の車両前方側の近傍位置には、前記各フロントサイドメンバの折れ変形のきっかけとなる折れ変形きっかけ部が設けられており、前記車両の前突が発生することにより、前記第1および第2のエネルギ吸収部のそれぞれの圧縮変形が同時進行する過程において、それらの圧縮変形が終了する前の段階で、前記第2のエネルギ吸収部から前記各クレードルに伝達した荷重を、前記サスペンションメンバの前記前側取付け部を介して前記折れ変形きっかけ部またはその周辺に作用させることが可能な構成とされていることを特徴としている。
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、クレードルは、枠状体の下部の第2のエネルギ吸収部とは離間し、いわゆる縁切り状態とされている。このため、車両の前突初期に、クレードルやサスペンションメンバに衝突荷重が即座に伝達して、これらが早期に圧縮変形することは回避される。本発明においては、車両の前突が発生した際には、まずフロントサイドメンバの前端寄り領域の第1のエネルギ吸収部が圧縮変形を開始し、その後、これに遅れたタイミングで枠状体の下部の第2のエネルギ吸収部が圧縮変形を開始することとなる。このため、衝突初期において、乗員が受ける衝撃値が急激に大きくなることを適切に回避し、衝撃値を長い時間にわたって上下変動が少ない状態とすることが可能となる。このようなことから、乗員の傷害値を小さく抑えることが可能となり、優れた衝撃吸収性能および耐荷重性能(耐衝撃性能)を得ることができる。
勿論、本発明によれば、第2のエネルギ吸収部とクレードルの前端部とが当接した後には、クレードルおよびサスペンションメンバへの荷重伝達がなされるため、これらの部分を利用した衝撃吸収作用なども適切に得られる。
さらにこのような構成によれば、クレードルが変形を開始する前の段階で、フロントサイドメンバに設けられた折れ変形きっかけ部に微小な予備変形を生じさせることができる。このため、第1および第2のエネルギ吸収部の圧縮変形が終了した後には、フロントサイドメンバを折れ変形きっかけ部の箇所で的確に折れ変形させることが可能となり、この変形によっても優れた衝撃吸収性能が得られる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
本発明に係る車両前部構造の一例を示す要部概略側面図である。 図1に示す車両前部構造の要部拡大側面図である。 図1の要部概略底面図である。 図1の要部概略平面図である。 図1に示す車両前部構造におけるフロントサイドメンバおよび枠状体としてのラジエータサポートの概略の構成を示す要部斜視図である。 (a)は、図2のVI部の側面断面図であり、(b)は、(a)に示す構成の作用を示す側面断面図である。 図2のVII−VII断面図である。 (a)は、図2のVIIIa部の一部破断概略斜視図であり、(b)は、(a)のVIIIb−VIIIb断面図であり、(c)は、(a)に示すブラケットの分解斜視図である。 (a)〜(e)は、図1に示す車両前部構造の作用を模式的に示す説明図である。 図9に示す作用による衝撃値の変化の例を示すグラフである。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図4に示す車両前部構造Aは、車両1の前部に設けられた左右一対のフロントサイドメンバ3(図1,図3,図4においては、網点模様を付している)、ラジエータサポート5、サスペンションメンバ4、左右一対のクレードル6、および各クレードル6の支持用のブラケット部7を備えている。
一対のフロントサイドメンバ3は、エンジンルーム10の車幅方向両側に位置して車両前後方向に延びた一対のフロント部30を有しており、各フロント部30の後側には、後下がり傾斜部31、および略水平状の後側延設部32が順次繋がっている。図1において、符号12は、エンジンルーム10と車室11とを仕切るダッシュパネルを示し、符号13は、フロアパネルを示している。
フロント部30の前端寄り領域は、車両1の前突が発生して所定以上の荷重入力があった際に圧縮変形を生じさせるための第1のエネルギ吸収部30Aとされている。この第1のエネルギ吸収部30Aは、フロント部30の側面部に、たとえば上下高さ方向に延びる複数の凹溝部33(クラッシュビード)が適当な間隔で設けられ、車両1の前突が発生した際には、フロント部30の他の領域よりも圧縮変形を生じ易くされている。一対のフロント部30の前端の相互間には、車幅方向に延びるフロントバンパ用リインフォース80(図3および図4では省略)が橋渡し状に取付けられている。
各フロントサイドメンバ3は、図5および図8に示されているように、たとえば断面ハット状部材3aに平板部材3bを接合して構成された閉断面構造である。
サスペンションメンバ4(サブフレームとも称される)は、車両側面視において、フロントサイドメンバ3の後下がり傾斜部31の下方付近に位置して車幅方向に延びており、フロントサイドメンバ3に支持されている。このサスペンションメンバ4の車幅方向両端部には、前輪19を支持するロアアーム18が取付けられている他、フロントサイドメンバ3との連結を図るための前側取付け部J1および後側取付け部J2が設定されている。
前側取付け部J1は、サスペンションメンバ4の前部寄り領域に上向き起立状に設けられた起立状アーム部41の上部が、ボルトなどの支持部材91を介してフロントサイドメンバ3に固定連結された部位であり、第1のエネルギ吸収部30Aよりも車両後方側に位置している。車両1の前突が発生し、サスペンションメンバ4が車両前方側から荷重を受けた場合、この荷重の一部は、前側取付け部J1を介してフロントサイドメンバ3に作用
することとなる。
フロントサイドメンバ3のうち、前側取付け部J1の車両前方側の近傍位置には、フロントサイドメンバ3の車幅方向の折れ変形のきっかけとなる折れ変形きっかけ部38が設けられている。この折れ変形きっかけ部38は、たとえば凹溝状のビード部であり、支持部材91の取付け強度を高めるために設けられた第1の補強部材90と、それよりも車両前方側に別途設けられた第2の補強部材90Aとの間に位置している。第1および第2の補強部材90,90Aは、たとえばフロントサイドメンバ3内に配されたバルク状である。このような構成により、折れ変形きっかけ部38とその両側に位置する第1および第2の補強部材90,90Aの配置箇所との剛性の差はより大きくなり、折れ変形きっかけ部38を起点とする折れ変形を適切に生じさせ易くなる。
サスペンションメンバ4の後側取付け部J2は、後下がり傾斜部31の下面側に溶接されたブラケット部35の下壁部に、サスペンションメンバ4の後部が、ボルト92を用いて締結された部位である。この後側取付け部J2は、後側延設部32に後部がボルト95を用いて固定されたブラケット部36の前部に、サスペンションメンバ4の後部を連結するための部分を兼用しており、2つのブラケット部35,36、サスペンションメンバ4の後部、およびロアアーム18の基端部のゴムブッシュ18aは、ボルト92により共締めされている。
図2において、フロントサイドメンバ3の後側延設部32には、サスペンションメンバ4の後部に対向する追加のブラケット37が取付けられている。この追加のブラケット37は、車両1の前突が発生してサスペンションメンバ4が後退したときに、サスペンションメンバ4の後部に当接することにより、それ以上の後退を規制し、サスペンションメンバ4から後側延設部32への衝突荷重の入力を促進する。
図3において、符号17は、ロッカ16とフロントサイドメンバ3とを橋渡し接続するアウタトルクボックスを示し、ブラケット部36および/または追加のブラケット37(同図では不図示)は、このアウタトルクボックス17にボルト締結を図った構成とすることもできる。符号15は、インナトルクボックスに相当する補強部材を示している。
ラジエータサポート5は、本発明でいう枠状体の一例に相当し、図5に示すように、一対のフロントサイドメンバ3の前部に接合されて上下高さ方向に延びる左右一対のアウタサポート50、これらの下端部および上端部にそれぞれ橋渡し状に連結されたロアサポート51およびアッパサポート52、ならびに左右一対の第2のエネルギ吸収部53を備えている。ロアサポート51上に、ラジエータ55(他の図では適宜省略)が載設される。
第2のエネルギ吸収部53は、第1のエネルギ吸収部30Aと同様に、車両1の前突時に圧縮変形を生じさせるための部位であり、たとえばクラッシュボックスを用いて構成されている。この第2のエネルギ吸収部53は、たとえばアウタサポート50の下部とロアサポート51との間に設けられている。
クレードル6は、フロントサイドメンバ3のフロント部30の直下であって、第2のエネルギ吸収部53とサスペンションメンバ4との相互間に位置し、車両前後方向に延びている。このクレードル6は、たとえば図7および図8に示すように、上下2つの断面コ字状部材6a,6bが接合された角パイプ状である。図1〜図3に示すように、クレードル6の後端部には、サスペンションメンバ4との連結を図るための連結部J3が設定されている。サスペンションメンバ4には、その本体部分とは別部材で構成され、かつ前記本体部分から車両前方側に突出するように前記本体部分に接合された延設部44が具備されている。この延設部44の前部は、たとえば図7に示すように、クレードル6の後端部を内側に進入させる断面略コ字状であり、連結部J3においては、ボルト93を利用してクレードル6の後端部が延設部44の前部に締結されている。
クレードル6の前端部60は、第2のエネルギ吸収部53の後端部に、隙間を介して対向接近した配置に設定されている。前端部60は、ラジエータサポート5の第2のエネルギ吸収部53やその他の各部には連結されておらず、自由端とされている。好ましくは、図6(a)に示すように、クレードル6の前端部60には、車両前方側に向けて突出した凸状部61が設けられ、かつ第2のエネルギ吸収部53の後端部には、凸状部61に対向する孔部53aが設けられている。車両1の前突が発生して第2のエネルギ吸収部53が後退した際には、図6(b)に示すように、第2のエネルギ吸収部53とクレードル6とが当接し、第2のエネルギ吸収部53からクレードル6への衝突荷重の伝達が可能となるが、その際には凸状部61が孔部53aに進入した係合状態となるため、第2のエネルギ吸収部53とクレードル6との当接状態が容易に解除されないようにすることが可能である。なお、本実施形態とは異なり、凸状部61を第2のエネルギ吸収部53に設け、かつ孔部53aをクレードル6に設けた構成とすることもできる。また、孔部53a(貫通孔)に代えて、凹部(非貫通孔)とすることも可能である。ただし、第2のエネルギ吸収部53とクレードル6との位置ずれを規制してそれらの当接状態を維持させるための手段としては、前記以外の係合手段を用いることが可能である。
図1および図2に示すように、クレードル6のうち、サスペンションメンバ4の延設部44との連結が図られている略水平状の後端部よりも車両前方側の部分は、側面視略へ字状の形態を有するへ字状部62とされている。このへ字状部62は、前端部寄り領域62aが後上がり傾斜状または略水平状とされ、かつその後部側に後下がりの傾斜部62bが繋がった構成である。このような構成によれば、後述するように、車両1の前突が発生してクレードル6に衝突荷重が入力した際に、上向き分力としてのベクトルを生じさせて、クレードル6が即座に大きく座屈変形しないようにすることが可能である。クレードル6のうち、へ字状部62の前端部寄り領域62aと後下がりの傾斜部62bとの境界部は、上向き凸の曲げ部B1であり、へ字状部62と略水平状の後端部との境界部は、下向き凸の曲げ部B2である。
クレードル6の前端部寄り領域62aには、フロントサイドメンバ3との連結を図るための連結部J4が設定されている。フロントサイドメンバ3のフロント部30のうち、前端部寄り領域62aの直上位置には、クレードル6支持用のブラケット部7が接合されている。連結部J4においては、クレードル6の上面部がブラケット部7の下部に当接した状態で、これらがボルト94を利用して締結されている。ブラケット部7としては、たとえば図8に示すように、板金製の第1および第2の部材7a,7bを組み合わせて接合したものが用いられている。第1および第2の部材7a,7bの上部は、フロントサイドメンバ3の下側のフランジ部3cを車幅方向両側から挟み付ける格好でフランジ部3cに溶接されている。このような構成によれば、フロントサイドメンバ3に対するブラケット部7の車幅方向の取付け強度を高め、クレードル6の安定的な支持が可能となる。
図1および図2に示すように、好ましくは、ブラケット部7の上部は、第1のエネルギ吸収部30Aの車両後方側近傍に位置するように設けられている。また、フロントサイドメンバ3には、モーメントキャンセラ85の前側下端部が接続されているが、このモーメントキャンセラ85の下端部は、ブラケット部7の上方に位置するように設定されている。このような構成によれば、フロントサイドメンバ3のうち、クレードル6からブラケット部7に既述した衝突荷重の上向き分力のベクトルが作用する箇所をモーメントキャンセラ85によって適切に補強することができる。なお、モーメントキャンセラ85は、車両1の前突時において、車両前方側から荷重入力があったときに、フロントサイドメンバ3を上向きに屈曲させようとするモーメントを解消し、フロントサイドメンバ3(第1のエネルギ吸収部30A)の圧縮変形(座屈変形)を促進することにより、車両1の衝撃吸収性能を向上させるためのものである。
図9は、前記した車両前部構造Aの作用説明図である。
同図(a)は、理解の容易のため、上述した車両前部構造Aを簡略化して示したものであり、車両1の未衝突状態である。車両1の前突が発生し、車両前方側から車両1の前部に所定以上の大きな衝突荷重の入力があった場合、同図(b)に示すように、第1および第2のエネルギ吸収部30A,53うち、第1のエネルギ吸収部30Aが先に圧縮変形を開始し、これに遅れて同図(c)に示すように、第2のエネルギ吸収部53も圧縮変形を開始する。第2のエネルギ吸収部53の圧縮変形は、この第2のエネルギ吸収部53が後退し、かつクレードル6の前端部60に当接した後に本格化するが、この段階以降は、第1および第2のエネルギ吸収部30A,53の圧縮変形は同時進行する。
一方、図9(c)の段階では、第2のエネルギ吸収部53からクレードル6への十分な荷重伝達を生じているため、この荷重は、クレードル6、サスペンションメンバ4を介して前側取付け部J1に伝達し、フロントサイドメンバ3の前側取付け部J1の周辺部(折れ変形きっかけ部38も含む)は、車両後方側に向かう力を受ける。このことにより、前側取付け部J1の周辺部には、折れ変形きっかけ部38を起点とする後述の折れ変形を円滑とする微小変形を生じる。
その後、図9(d)に示すように、第1および第2のエネルギ吸収部30A,53の圧縮変形が完了すると、これに引き続いて、クレードル6およびフロントサイドメンバ3の折れ変形きっかけ部38の周辺部が同時に変形し始める。この変形により、衝撃吸収作用を継続することができる。また、その後の同図(e)の段階においては、クレードル6を2の曲げ部B1,B2を起点として十分に曲げ変形させることができる。一方、フロントサイドメンバ3については、折れ変形きっかけ部38の箇所(フロント部30よりも後部側の領域)で車幅方向に大きく曲げ変形させることができる。最終的には、エンジンルーム10内におけるパワープラント(不図示)を挟みきった底付き状態(衝突終期)まで、座屈変形を連続的に発生させることができる。
前記したような一連の動作によれば、図10の実線で示すような衝撃値の変化が得られる(横軸の時間ta〜teは、図9に記載の時間と対応したものとなっている)。図10の鎖線は、本実施形態との対比例であり、この対比例として採用された構成は、クレードル6を第2のエネルギ吸収部53に連結した構成である。対比例においては、乗員が受ける衝撃値は、車両1の前突の初期に急激に増大した後に急減し、その差n1は、相当に大きい。これに対し、本実施形態によれば、車両1の前突初期における衝撃値の増加は緩やかとなっており、また衝撃値が一時的に減少に転じたときとの差n2は小さい。本実施形態によれば、比較的長い時間にわたって衝撃値の上下変動を少なくすることが可能であり、優れた衝撃吸収性能および耐荷重性能(耐衝撃性能)を得ることが可能である。
また、本実施形態によれば、フロントサイドメンバ3の第1のエネルギ吸収部30Aが圧縮し尽くした後に、それよりも車両後方側の位置において、折れ変形きっかけ部38を起点とする折れ変形を生じさせるが、クレードル6が変形を開始する前の段階で、サスペンションメンバ4の前側取付け部J1を利用した荷重伝達によって、折れ変形きっかけ部38に微小な予備変形を生じさせているため、前記した折れ変形を確実かつ適切に行なわせることができる。
なお、クレードル6は、へ字状部62を有しているため、第2のエネルギ吸収部53からクレードル6に衝突荷重が入力した際には、この入力荷重のベクトルとして上向き分力としてのベクトルを生じさせ、このベクトルをブラケット部7およびフロントサイドメンバ3によって受けさせることができる。したがって、その分だけクレードル6には、水平方向の荷重に起因する座屈変形を生じ難くし、クレードル6の座屈変形のタイミングを適
切にコントロールすることが可能となる。その他、本実施形態によれば、サスペンションメンバ4が後退し、追加のブラケット37に当接することによって、サスペンションメンバ4からフロントサイドメンバ3への荷重伝達も図られる。
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る車両前部構造の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
クレードルは、全体が上述した実施形態のへ字状部62とされていてもよい他、へ字状部62を備えない形状、たとえば曲げ部を有しない真直状や、へ字状以外の曲げ形状とされたものとすることもできる。
本発明でいう第1および第2のエネルギ吸収部の具体的な構成も問わず、たとえば第2のエネルギ吸収部を、クラッシュボックス以外の部材を用いて構成することもできる。
本発明でいう枠状体は、ラジエータサポートに限らず、たとえば枠状のフロントバルクヘッドなどであってもよい。一対のフロントサイドメンバの前部に接合されて上下高さに起立する左右一対の柱部と、これら一対の柱部どうしを橋渡しするように車幅方向に延びる少なくとも1の部材(クロスメンバ)とを具備する部材は、本発明でいう枠状体に含まれる。
本発明の車両前部構造は、エンジン自動車に限らず、ハイブリッド車や電気自動車にも適用することができることは勿論である。
A 車両前部構造
J1 前側取付け部(サスペンションメンバの)
1 車両
3 フロントサイドメンバ
30A 第1のエネルギ吸収部
4 サスペンションメンバ
5 ラジエータサポート(枠状体)
53 第2のエネルギ吸収部
6 クレードル
60 前端部(クレードルの)

Claims (1)

  1. 車両前部において車幅方向に間隔を隔てた配置で車両前後方向に延び、かつ前端寄り領域が、車両の前突時に圧縮変形を生じさせるための第1のエネルギ吸収部とされている左右一対のフロントサイドメンバと、
    これら一対のフロントサイドメンバの前部どうしを連結するように設けられ、かつ車両の前突時に圧縮変形を生じさせるための第2のエネルギ吸収部が下部に設けられている枠状体と、
    前記一対のフロントサイドメンバよりも下方の領域のうち、前記枠状体よりも車両後方側に位置して車幅方向に延びており、かつ前記一対のフロントサイドメンバに取付けられているサスペンションメンバと、
    前記一対のフロントサイドメンバよりも下方の領域のうち、前記第2のエネルギ吸収部と前記サスペンションメンバとの相互間に位置して車両前後方向に延びており、かつ後端部が前記サスペンションメンバと連結されている左右一対のクレードルと、
    を備えている、車両前部構造であって、
    前記各クレードルの前端部と、前記第2のエネルギ吸収部の後端部とは、これらの相互間に車両前後方向の隙間が形成された非連結状態とされており、
    前記車両の前突が発生することにより、前記第1のエネルギ吸収部が圧縮変形を開始した場合には、この圧縮変形の途中で、前記第2のエネルギ吸収部が後退して前記各クレードルに当接し、かつこの当接の後には、前記第1および第2のエネルギ吸収部のそれぞれの圧縮変形を同時進行させることが可能な構成とされており、
    前記各フロントサイドメンバのうち、前記第1のエネルギ吸収部よりも車両後方側の位置には、前記サスペンションメンバの前側取付け部が設けられ、かつこの前側取付け部の車両前方側の近傍位置には、前記各フロントサイドメンバの折れ変形のきっかけとなる折れ変形きっかけ部が設けられており、
    前記車両の前突が発生することにより、前記第1および第2のエネルギ吸収部のそれぞれの圧縮変形が同時進行する過程において、それらの圧縮変形が終了する前の段階で、前記第2のエネルギ吸収部から前記各クレードルに伝達した荷重を、前記サスペンションメンバの前記前側取付け部を介して前記折れ変形きっかけ部またはその周辺に作用させることが可能な構成とされていることを特徴とする、車両前部構造。
JP2019062792A 2019-03-28 2019-03-28 車両前部構造 Active JP6887741B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019062792A JP6887741B2 (ja) 2019-03-28 2019-03-28 車両前部構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019062792A JP6887741B2 (ja) 2019-03-28 2019-03-28 車両前部構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020158083A JP2020158083A (ja) 2020-10-01
JP6887741B2 true JP6887741B2 (ja) 2021-06-16

Family

ID=72641475

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019062792A Active JP6887741B2 (ja) 2019-03-28 2019-03-28 車両前部構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6887741B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7440454B2 (ja) 2021-04-09 2024-02-28 トヨタ自動車株式会社 自動車用のサスペンション

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3606252B2 (ja) * 2001-11-14 2005-01-05 日産自動車株式会社 車体前部構造
JP4103834B2 (ja) * 2004-04-06 2008-06-18 日産自動車株式会社 車体前部構造
JP2006137326A (ja) * 2004-11-12 2006-06-01 Toyota Motor Corp 車体前部構造
JP4534991B2 (ja) * 2006-01-13 2010-09-01 トヨタ自動車株式会社 車体前部構造
JP5482987B2 (ja) * 2009-03-30 2014-05-07 マツダ株式会社 車両の前部車体構造
JP2010280238A (ja) * 2009-06-02 2010-12-16 Daihatsu Motor Co Ltd 車両の車体前下部構造
JP5383359B2 (ja) * 2009-07-15 2014-01-08 ダイハツ工業株式会社 自動車の前部車体構造
DE112009005339B4 (de) * 2009-10-23 2015-04-02 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Fahrzeugkarosseriestruktur
WO2013018401A1 (ja) * 2011-07-30 2013-02-07 本田技研工業株式会社 車体前部構造
ITTO20130474A1 (it) * 2013-06-07 2014-12-08 Fiat Group Automobiles Spa Autoveicolo provvisto di un sistema di sgancio per staccare una traversa nel vano motore in caso d'urto frontale
JP6102870B2 (ja) * 2014-09-19 2017-03-29 トヨタ自動車株式会社 車体前部構造
CN206885170U (zh) * 2017-02-15 2018-01-16 北京汽车股份有限公司 发动机前舱结构和车辆

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020158083A (ja) 2020-10-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8267429B2 (en) Lower structure of automotive vehicle
JP2007038839A (ja) 自動車の後部車体構造
US20120187719A1 (en) Vehicle front portion structure
US9415806B2 (en) Vehicle front portion structure
US20120119542A1 (en) Car body with reinforcing structure
JP4794985B2 (ja) 車両用フレーム構造
JP4604378B2 (ja) 自動車の前部車体構造
JP4601837B2 (ja) バッテリブラケット構造
JP6887741B2 (ja) 車両前部構造
CN111746445A (zh) 车体结构
JP2002274423A (ja) 自動車の前部車体構造
US11345404B2 (en) Front vehicle-body structure of vehicle
JP4604368B2 (ja) 自動車の前部車体構造
US20180273097A1 (en) Vehicle front structure
JP4788045B2 (ja) 自動車の前部車体構造
JP6027448B2 (ja) 車体前部構造
JP6925761B2 (ja) 車両前部構造
JP3613175B2 (ja) 車体前部構造
JP2002120755A (ja) 自動車の前部車体構造
JP5760979B2 (ja) 車両の前部構造
JP4737397B2 (ja) 自動車の後部車体構造
JP6935980B2 (ja) 車両前部構造
JP4069833B2 (ja) キャブオーバー型車の車体前部構造
KR20070118688A (ko) 자동차
JP5207932B2 (ja) 自動車のフェンダパネル取付け構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200427

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210303

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210427

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210518

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210518

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6887741

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250