JP7246836B2 - 車両前部構造 - Google Patents
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Description
同文献に記載の車両前部構造においては、車体前部の骨格部材として、左右一対のフロントサイドメンバを備えており、かつこれら一対のフロントサイドメンバの前端部には、枠状体としてのラジエータサポートが取付けられている。一方、前記一対のフロントサイドメンバの下方側のうち、ラジエータサポートよりも車両後方側の位置には、前輪を支持するロアアームなどが取付けられるサスペンションメンバが配設されている。このサスペンションメンバと前記ラジエータサポートの下部とは、車両前後方向に延びるクレードルを用いて連結されている。
このような構成によれば、車両の前突が発生し、衝突荷重が車両前部に入力した際に、この荷重がフロントサイドメンバに伝達することに加え、クレードルやサスペンションメンバにも分散して伝達する。したがって、車両の前突時における衝撃吸収性能および耐荷重性能(耐衝撃性能)を高めることが可能である。
また、ラジエータサポートの下部は、クレードルによってバックアップされた構造となっているため、ラジエータサポートの下部はその分だけ頑強となる。このため、たとえば歩行者衝突が発生し、ラジエータサポートの下部またはその車両前方側領域に衝突荷重が入力した場合に、その衝撃を適切に吸収することが難しいものとなる。
車両前部構造を提供することを、その課題としている。
第1に、クレードルの前端部は、自由端とされ、枠状体の下部といわゆる縁切り状態とされているため、車両の衝突が軽衝突である場合には、枠状体の下部からクレードルに衝突荷重が入力しないようにし、クレードルを介してサスペンションメンバに衝突荷重が伝達しないようにすることができる。したがって、軽衝突によって、サスペンションメンバのアライメントに狂いを生じないようにし、その後の走行に支障を生じたり、修理に苦慮するといった不具合を回避することが可能である。
第2に、枠状体の下部はクレードルによってバックアップされた構成とはなっていない。このため、たとえば歩行者衝突が生じ、その衝突荷重が枠状体の下部またはその車両前方側領域に入力した場合に、前記枠状体の下部の変形、または変位により、適切な衝撃吸収を図ることができる。
第3に、車両の一般的な前突が発生した際には、衝突荷重を受けた枠状体の下部が後退することにより、枠状体の下部とクレードルの前端部が当接し、クレードルおよびサスペンションメンバへの荷重伝達がなされる。その際、前記係合部の存在により、前記荷重伝達の確実化を図ることが可能である。その結果、車両の前突時における衝突荷重を、フロントサイドメンバ側の荷重伝達経路に加えて、クレードルやサスペンションメンバ側の荷重伝達経路にも適切に伝わらせて、優れた衝撃吸収性能および耐荷重性能(耐衝撃性能)を得ることができる。
第4に、車両の組立作業に際し、クレードルを枠状体の下部とサスペンションメンバとの相互間の位置に、車両の側方から横入れ方式で組み込むことも可能となり、組立作業性も良好である。
図られるため、枠状体の下部とクレードルの前端部との当接状態を、より確実に維持させることができる。また、前記傾斜壁部は、凸状部が孔部または凹部に進入する際のガイド部としての役割を果たすことに加え、クレードルの前端部が上下高さ方向に傾斜するように屈曲変形することを許容し、この屈曲変形をコントールする部位として役立たせることもできる。
一方、枠状体およびクレードルの双方に、これらが当接した際に互いに係合する係合部を設ける必要はなくなる。したがって、構成の簡素化、およびクレードルの組み付け作業の一層の容易化を図ることもできる。
各フロントサイドメンバ3は、図5および図8に示されているように、たとえば断面ハット状部材3aに平板部材3bを接合して構成された閉断面構造である。
第2の連結部J2は、後下がり傾斜部31の下面側に溶接されたブラケット部35の下壁部に、サスペンションメンバ4の後部が、ボルト92を用いて締結された部位である。この第2の連結部J2は、後側延設部32に後部がボルト95を用いて固定されたブラケット部36の前部に、サスペンションメンバ4の後部を連結するための部分を兼用しており、2つのブラケット部35,36、サスペンションメンバ4の後部、およびロアアーム18の基端部のゴムブッシュ18aは、ボルト92により共締めされている。
7は、車両1の前突が発生してサスペンションメンバ4が後退したときに、サスペンションメンバ4の後部に当接することにより、それ以上の後退を規制し、サスペンションメンバ4から後側延設部32への衝突荷重の入力を促進する。
図3において、符号17は、ロッカ16とフロントサイドメンバ3とを橋渡し接続するアウタトルクボックスを示し、ブラケット部36および/または追加のブラケット37(同図では不図示)は、このアウタトルクボックス17にボルト締結を図った構成とすることもできる。符号15は、インナトルクボックスに相当する補強部材を示している。
ただし、車両1の前突が発生し、クラッシュボックス53が後退した際には、このクラッシュボックス53とクレードル6の前端部60とは当接する。本実施形態においては、前記両者の当接状態が容易に解除されることを防止または抑制するための係合部として、次に述べる第1組ないし第3組の係合部が設けられている。
なお、本実施形態とは異なり、凸状部61をクラッシュボックス53に設け、かつ孔部53aをクレードル6に設けた構成とすることもできる。また、孔部53a(貫通孔)に
代えて、凹部(非貫通孔)とすることも可能である。
85によって適切に補強することができる。なお、モーメントキャンセラ85は、車両1の前突時において、車両前方側から荷重入力があったときに、フロントサイドメンバ3を上向きに屈曲させようとするモーメントを解消し、フロントサイドメンバ3(クラッシャブル領域30A)の圧縮変形(座屈変形)を促進することにより、車両1の衝撃吸収性能を向上させるためのものである。
クレードル6およびサスペンションメンバ4に前記したような変形を生じている際には、フロントサイドメンバ3において、クラッシャブル領域30Aとは別の部位の変形(た
とえば、フロント部30の後部寄り領域の車幅方向への曲げ変形など)を同時に進行させることも可能である。
すなわち、クレードル6の前端部60は、自由端とされており、通常時において、クラッシュボックス53とは縁切り状態にある。このため、車両1の衝突が軽衝突である場合には、クラッシュボックス53からクレードル6に衝突荷重が入力することはなく、クレードル6からサスペンションメンバ4に衝突荷重が伝達することもない。したがって、軽衝突によって、サスペンションメンバ4のアライメントに狂いを生じないようにし、その後の走行に支障を生じたり、高額の修理費用が必要になるといった不具合を回避可能である。
また、クラッシュボックス53は、クレードル6によって強くバックアップされていない。このため、歩行者衝突が発生し、その衝突荷重がクラッシュボックス53の設置箇所近辺またはその車両前方側領域に入力した場合には、クラッシュボックス53を後退させるなどして適切な衝撃吸収が可能となる。したがって、歩行者保護性能を高めることもできる。
部58b,58cを有している。下側のバルク部58Bは、バルク部58Aと上下対称である。これらバルク部58A,58Bは、アウタサポート50の前側および後側の起立壁部50a,50bの相互間のうち、クレードル6の前端部60の対向領域Sa(前端部60の車両前方側の領域Sa)の上側および下側にそれぞれ位置するように配され、かつ起立壁部50a,50bに接合されている。この接合は、凸状部58b,58cを起立壁部50a,50bにスポット溶接するなどして図られている。バルク部58A,58Bの主板部58aは、略水平状であり、かつ車幅方向に適当な幅を有し、車両前後方向に延びるように設定されている。
さらに、本実施形態によれば、前記実施形態とは異なり、ラジエータサポート5Aとクレードル6の前端部60とが当接した際に、これらを係合させるための係合部を設ける必要はないため、構成の簡素化、およびクレードル6の組み付け作業の容易化を図ることが可能である。
これらの実施形態から理解されるように、バルク部の具体的な形状は種々に変更自在である。なお、図12(b)のバルク部58Eによれば、バルク部58Eが荷重を受けた際に、ビード部58dを起点としてヘ字状などに曲げ変形し易くすることが可能である。
クレードルは、全体が上述した実施形態のへ字状部62とされていてもよい他、へ字状部62を備えない形状、たとえば曲げ部を有しない真直状や、へ字状以外の曲げ形状とされたものとすることもできる。
本発明の車両前部構造は、エンジン自動車に限らず、ハイブリッド車や電気自動車にも適用することができることは勿論である。
1 車両
3 フロントサイドメンバ
4 サスペンションメンバ
5,5A ラジエータサポート(枠状体)
53 クラッシュボックス(枠状体の下部)
53a 孔部(係合部)
53b 傾斜壁部
56 係合用板部(係合部)
57 係合用突出板部(係合部)
58A~58E バルク部
6 クレードル
60 前端部(クレードルの)
61 凸状部(係合部)
66 上側フランジ部(係合部)
67 フック状板部(係合部)
Claims (3)
- 車幅方向に間隔を隔てて車両前部に位置し、かつ車両前後方向に延びる左右一対のフロントサイドメンバと、
これら一対のフロントサイドメンバの前部どうしを連結するように設けられた枠状体と、
前記一対のフロントサイドメンバよりも下方の領域のうち、前記枠状体よりも車両後方側に位置して車幅方向に延びており、かつ前記一対のフロントサイドメンバに取付けられているサスペンションメンバと、
前記一対のフロントサイドメンバよりも下方の領域のうち、前記枠状体の下部と前記サスペンションメンバとの相互間に位置して車両前後方向に延びており、かつ後端部が前記サスペンションメンバの車幅方向両端部と連結されている左右一対のクレードルと、
を備えている、車両前部構造であって、
前記各クレードルの前端部は、前記枠状体の前記下部の後端部に対向接近する自由端とされており、
前記各クレードルの前記前端部、および前記枠状体の前記下部の後端部の両端部には、前記後端部が後退して前記両端部が互いに当接した際に、この当接方向とは交差する方向への前記両端部の相対変位を規制可能な複数の係合部が設けられており、
前記複数の係合部の一部として、前記両端部の一方に設けられ、かつ車幅方向外方側に突出した係合用突出板部と、前記両端部の他方に設けられ、かつ前記係合用突出板部をその前方側、後方側、および車幅方向外方側から囲むフック状板部と、を備えており、車両の前突が発生することにより、前記各フロントサイドメンバの前端側が車幅方向内方側に変形し、前記後端部が車幅方向外方側に回転しようとしたときに、この回転を前記係合用突出板部と前記フック状板部との係合により規制可能な構成とされており、
前記複数の係合部の他の一部として、前記前端部よりも高い位置に存在するように前記後端部に設けられ、かつ前記前端部が前記後端部に相対して上昇しようとしたときに、この変位を規制するように前記前端部に係合可能な略水平状の係合用板部を、さらに備えていることを特徴とする、車両前部構造。 - 請求項1に記載の車両前部構造であって、
前記複数の係合部として、他の1組の係合部をさらに備えており、
前記他の1組の係合部のうち、一方の係合部は、他方の係合部に向けて車両前後方向に突出した凸状部であり、かつ前記他方の係合部は、前記凸状部が進入可能なように前記凸状部に対向した位置に設けられた孔部または凹部であり、
この孔部または凹部の開口周縁部の少なくとも上側縁部および下側縁部は、奥側ほど上下高さ方向の内幅または内径が小さくなる傾斜壁部として形成されている、車両前部構造。 - 車幅方向に間隔を隔てて車両前部に位置し、かつ車両前後方向に延びる左右一対のフロントサイドメンバと、
これら一対のフロントサイドメンバの前部どうしを連結するように設けられた枠状体と、
前記一対のフロントサイドメンバよりも下方の領域のうち、前記枠状体よりも車両後方側に位置して車幅方向に延びており、かつ前記一対のフロントサイドメンバに取付けられているサスペンションメンバと、
前記一対のフロントサイドメンバよりも下方の領域のうち、前記枠状体の下部と前記サスペンションメンバとの相互間に位置して車両前後方向に延びており、かつ後端部が前記サスペンションメンバの車幅方向両端部と連結されている左右一対のクレードルと、
を備えている、車両前部構造であって、
前記各クレードルの前端部は、前記枠状体の前記下部の後端部に対向接近する自由端とされており、
前記枠状体には、前記各クレードルの前記前端部に対向する領域の上側および下側にそれぞれ位置し、かつ少なくとも一部が車両前後方向に延びている上下一対のバルク部が設定され、
前記枠状体の前記下部の後端部が後退してこの後端部と前記各クレードルの前記前端部とが当接した際に、前記一対のバルク部の相互間に、前記各クレードルの前記前端部が突入可能な構成とされていることを特徴とする、車両前部構造。
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