JP2020157556A - インクジェット記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】染料及び顔料の何れのインクで印字した際にも、高い発色性と優れたインク吸収性を奏し、マット調の落ち着いた画像が得られるインクジェット記録材料を提供する。【解決手段】非吸水性支持体から最も離れた位置のインク受容層(A)が、平均二次粒子径が4.0〜20.0μmの湿式法シリカ、シラノール変性ポリビニルアルコール及び両性界面活性剤を含有し、該インク受容層(A)と非吸水性支持体との間に位置するインク受容層(B)が、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録材料に関する。詳しくは染料・顔料いずれのインクによる印字においても発色性やインク吸収性が高く、マット調で深みのある落ち着いた画像が得られるインクジェット記録材料に関する。
近年のインクジェット記録の飛躍的な技術革新に伴い、例えば染料インクを用いたプリンターによる精細な印字画像は、銀塩写真で得ることのできるプリントに匹敵あるいは凌駕しつつある。また印字の高速化はめざましく、プリンターの性能を十分に発揮するために、更に画像品質とインク吸収性の高いインクジェット記録材料が要望されている。
また顔料インクを用いたプリンターに関する技術革新も著しい。顔料インクの色材は色材粒子が一次粒子近くまで分散されており、耐光性等に代表される画像保存性に優れ、画像品質は染料インクを用いた画像に匹敵するところまで向上しつつある。
このように、インクジェット記録において銀塩写真に匹敵する画像品質の写真画像が印刷可能となったことから、記録材料として、一般にはフォトライクな質感や光沢感(一般的には高い光沢度)を有するインクジェット記録材料が求められるが、一方では、ユーザーの趣向等によりフォトライクな質感を有しながら、マット調で深みのある落ち着いた画像が得られる記録材料が要望されている。
染料・顔料いずれのインクによる印字においてもインク吸収性や画像品質が高く、またマット調で深みのある落ち着いた画像が得られるインクジェット記録材料として、例えば特開2008−12774号公報(特許文献1)には、支持体から最も離れた位置のインク受容層(A)が、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有し、該インク受容層(A)と支持体との間に設けられるインク受容層(B)が、平均二次粒子径が1.5〜2.5μmの湿式法シリカを主体に含有するインクジェット記録材料が記載されている。しかしながら該インクジェット記録材料では、染料インクあるいは顔料インクで印字した際のインク吸収性及び発色性の点で、十分満足できるものでは無かった。
一方、染料・顔料両用のインクジェット記録材料において、インク受容層にシラノール変性ポリビニルアルコールを利用できることは従来から知られており、例えば特開2013−22733号公報(特許文献2)、特開2013−184293号公報(特許文献3)等には、光沢感をより優れたものにすることが可能であると記載され、特開2005−231209号公報(特許文献4)には、印字耐水性が改善できるため好ましいと記載される。
他方、特開2005−66866号公報(特許文献5)には、ゼラチンとポリビニルアルコールを含有するインク受容層を形成するための塗布液が両性界面活性剤を含有することによって、インク受容層塗布液の粘度が安定することが記載され、特開2005−111708号公報(特許文献6)には、非イオン性水溶性樹脂とカチオン性ポリビニルアルコールを含有するインク受容層が両性界面活性剤を含有することによって、発色濃度を高めることができると記載される。
特開2008−12774号公報 特開2013−22733号公報 特開2013−184293号公報 特開2005−231209号公報 特開2005−66866号公報 特開2005−111708号公報
本発明は、染料及び顔料の何れのインクで印字した際にも、高い発色性と優れたインク吸収性を奏し、マット調の落ち着いた画像が得られるインクジェット記録材料を提供することを課題とする。
非吸水性支持体上に少なくとも2層のインク受容層を有し、該非吸水性支持体から最も離れた位置のインク受容層(A)が、平均二次粒子径が4.0〜20.0μmの湿式法シリカ、シラノール変性ポリビニルアルコール及び両性界面活性剤を含有し、該インク受容層(A)と非吸水性支持体との間に位置するインク受容層(B)が、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
本発明によって、染料及び顔料の何れのインクで印字した際にも、高い発色性と優れたインク吸収性を奏し、マット調の落ち着いた画像が得られるインクジェット記録材料を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明のインクジェット記録材料は、非吸水性支持体上に少なくとも2層のインク受容層を有する。
非吸収性支持体から最も離れた位置のインク受容層(A)について説明する。
本発明においてインク受容層(A)は平均二次粒子径が4.0〜20.0μmの湿式法シリカを含有する。インク受容層(A)が含有する湿式法シリカの平均二次粒子径が4.0μm未満になると、あるいは平均二次粒子径が20.0μmを超えると、染料インク及び顔料インクで印字した際の発色性が十分でなく、また染料インクで印字した際のインク吸収性が十分でなく、また染料インクで印字した際にマット調の画像が得られない。本発明において平均二次粒子径は、レーザー散乱式の粒度分布測定装置で測定して得られる値であり、例えば(株)堀場製作所製のLA−920を用いて測定することができる。
本発明において湿式法シリカの吸油量は200〜350ml/100gの範囲が好ましい。吸油量は、JIS K 5101−13:2004の記載に基づき測定される。湿式法シリカとしては、沈降法シリカとゲル法シリカに分類されるが、本発明においては特にゲル法シリカが好ましい。これにより染料インクでのインク吸収性に特に優れたインクジェット記録材料を得ることができる。
本発明のインク受容層(A)が含有する湿式法シリカは、分散・粉砕して微粒子化した物や粉砕を粗くした粒状の物を使用することができる。微粒化した粉体としては水澤化学工業(株)からミズカシル(登録商標)、東ソー・シリカ(株)からニップジェル(登録商標)として市販され入手することができる。また、粉砕を粗くした粒状の物としては、一般的にシリカゲルとも表現されており、乾燥剤やクロマトグラフィー充填剤等に利用されている。これらの粒状の物としては豊田化工(株)からQPタイプ、富士シリシア化学(株)からフジシリカゲルとして市販され入手することができる。
前記した湿式法シリカの分散・粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。湿式分散機としては、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機及び薄膜旋回型分散機等を使用することもできる。
本発明のインク受容層(A)は、平均二次粒子径が4.0〜20.0μmの湿式法シリカを、インク受容層(A)の全固形分に対して40質量%以上含有することが好ましく、より好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは60質量%以上である。これにより染料・顔料いずれのインクによる印字においても、マット調で深みの優れた画像が得られるインクジェット記録材料を得ることができる。
本発明のインク受容層(A)が含有する平均二次粒子径が4.0〜20.0μmの湿式法シリカの固形分塗布量は、0.5〜5g/mであることが好ましい。0.5g/m未満では、マット感を得ることが困難となる場合があり、5g/mを超えると発色性が低下する場合がある。
本発明のインク受容層(A)は両性界面活性剤を含有する。インク受容層(A)が両性界面活性剤を含有することで、インク受容層(B)上で速やかに広がり、インク受容層(A)で発生する塗布欠陥を抑制することができる。
本発明のインク受容層(A)が含有する両性界面活性剤としては、種々の両性界面活性剤を用いることができる。例えばアミドスルホベタイン型、アミドベタイン型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホアンモニウムベタイン型、アミノ酸型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリニウムベタイン型、ラウリルヒドロキシスルホベタイン型、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン型、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン型、オクタン酸アミドプロピルベタイン型等の両性界面活性剤が挙げられ、米国特許第3,843,368号、特開昭59−49535号、同昭63−236546号、同平5−303205号、同平8−262742号、同平10−282619号公報等に記載されている。
前記した両性界面活性剤は市販品を入手して利用することができる。例えば川研ファインケミカル(株)より市販されるソフタゾリン(登録商標)LSB、ソフタゾリンLSB−R、第一工業製薬(株)より市販されるアモーゲン(登録商標)S−H、花王(株)より市販されるアンヒトール(登録商標)20HD等を例示することができる。
本発明のインク受容層(A)が含有する両性界面活性剤の含有量は、湿式法シリカの含有量に対して0.1質量%以上であることが好ましい。0.1質量%よりも少ないと、ひび割れやハジキ等の塗布欠陥が生じる場合がある。またインク受容層(A)中の両性界面活性剤の濃度上限は10質量%以下であることが好ましい。10質量%を超えるとインク吸収性や発色性に悪影響を与える場合がある。
本発明のインク受容層(A)はシラノール変性ポリビニルアルコールを含有する。該シラノール変性ポリビニルアルコールとは、ポリビニルアルコールにシラノール基を修飾したものである。インク受容層(A)が平均二次粒子径が4.0〜20.0μmの湿式法シリカと共にシラノール変性ポリビニルアルコールを含有することで、染料インク及び顔料インクで印字した際に優れた発色性やインク吸収性が得られる。該シラノール変性ポリビニルアルコールは(株)クラレから、クラレポバール(登録商標)25−98R(旧銘柄名R−1130)が市販されており入手することができる。
前記したシラノール変性ポリビニルアルコールの含有量は、インク吸収性や発色性の観点から、該インク受容層(A)が含有する平均二次粒子径が4.0〜20.0μmの湿式法シリカに対して10〜70質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜65質量%である。
本発明のインク受容層(A)が含有するシラノール変性ポリビニルアルコールと共にその架橋剤を使用することが好ましい。本発明においては特にほう酸、ほう砂またはほう酸塩を用いることが好ましい。
本発明のインク受容層(A)では上記シラノール変性ポリビニルアルコールに加えて、更に他の公知の樹脂バインダーを併用してもよい。例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、澱粉や各種変性澱粉、ゼラチンや各種変性ゼラチン、キトサン、カラギーナン、カゼイン、大豆蛋白、ポリビニルアルコールや各種変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等を必要に応じて併用することができる。更にバインダー樹脂として上記のごとき各種ラテックスを併用してもよい。この場合、他の樹脂バインダーの含有量はシラノール変性ポリビニルアルコールの含有量以下であることが好ましい。
次に本発明のインク受容層(A)と支持体との間に位置するインク受容層(B)について説明する。
本発明のインク受容層(B)が主体に含有する無機微粒子は、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子である。ここで無機微粒子を主体に含有するとは、インク受容層(B)の全固形分に対して前記した無機微粒子を50質量%以上含有することを意味し、より好ましくは60質量%以上であり、特に好ましくは65質量%以上である。上限は95質量%以下であることが好ましい。本発明でいう無機微粒子の平均二次粒子径はレーザー散乱法によって測定して得られる値である。
本発明のインク受容層(B)が含有する平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子としては、非晶質合成シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化チタン等公知の各種微粒子が挙げられる。
非晶質合成シリカは、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ及びその他に大別することができる。湿式法シリカは、更に製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。沈降法シリカはケイ酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップシール(登録商標)として、丸尾カルシウム(株)からはトクシール(登録商標)として市販されている。ゲル法シリカはケイ酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造する。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子を形成する。ゲル法シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)からニップジェルとして、水澤化学工業(株)からミズカシルとして市販されている。
気相法シリカは、湿式法に対して乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカとしては、例えば日本アエロジル(株)からAEROSIL(登録商標)として、(株)トクヤマからレオロシール(登録商標)として市販されている。
本発明のインク受容層(B)には、気相法シリカが好ましく使用できる。インク受容層(B)が含有する気相法シリカの平均一次粒子径は30nm以下が好ましく、平均一次粒子径が3〜15nmでかつBET法による比表面積が200m/g以上のものがより好ましく、平均一次粒子径が3〜10nmでかつBET法による比表面積が250〜500m/gのものが特に好ましい。気相法シリカの平均二次粒子径は、好ましくは10〜300nmである。なお、本発明でいう平均一次粒子径とは、微粒子の電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径としてその平均値を求めたものである。また本発明でいうBET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、すなわち比表面積を求める方法である。通常吸着気体としては、窒素ガスが多く用いられ吸着量を被吸着気体の圧、または容積の変化から測定する方法が最も多く用いられている。多分子吸着の等温線を表すのに最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であってBET式と呼ばれ表面積決定に広く用いられている。BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けて表面積が得られる。また、本発明でいう平均二次粒子径とは、レーザー散乱式の粒度分布計(例えば(株)堀場製作所製LA920)を用いて、個数メジアン径として測定したものを指す。
気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散したものが好ましく使用できる。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次にボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散を行うことが好ましい。
本発明のインク受容層(B)には、湿式法シリカも好ましく使用できる。インク受容層(B)が含有する湿式法シリカとしては沈降法シリカあるいはゲル法シリカが好ましく、特に沈降法シリカが好ましい。本発明に用いられる湿式法シリカとしては、平均一次粒子径は50nm以下が好ましく、より好ましくは3〜40nmであり、平均二次粒子径は、好ましくは20〜300nmである。
前記した湿式法シリカは、カチオン性化合物の存在下で分散・粉砕したものが好ましく使用できる。粉砕方法としては、水性媒体中に分散したシリカを機械的に粉砕する湿式分散法が好ましく使用できる。本発明に用いられる湿式法シリカを粉砕する好ましい方法について説明する。まず、水を主体とする分散媒中にシリカ粒子とカチオン性化合物を混合し、のこぎり歯状ブレード型分散機、プロペラ羽根型分散機、またはローターステーター型分散機等の分散装置の少なくとも一つを用いてシリカ予備分散液を得る。必要であれば水分散媒中に適度の低沸点溶剤等を添加してもよい。シリカ予備分散液の固形分濃度は高い方が好ましいが、あまり高濃度になると分散不可能となるため、好ましい範囲としては15〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%である。次に、シリカ予備分散液をより強い剪断力を持つ機械的手段にかけてシリカ粒子を粉砕することが好ましい。機械的手段としては公知の方法が採用でき、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機及び薄膜旋回型分散機等を使用することができる。
前記した気相法シリカ及び湿式法シリカの分散あるいは粉砕に使用するカチオン性化合物としては、カチオン性ポリマーを好ましく使用できる。カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号公報、特開昭59−33176号公報、特開昭59−33177号公報、特開昭59−155088号公報、特開昭60−11389号公報、特開昭60−49990号公報、特開昭60−83882号公報、特開昭60−109894号公報、特開昭62−198493号公報、特開昭63−49478号公報、特開昭63−115780号公報、特開昭63−280681号公報、特開平1−40371号公報、特開平6−234268号公報、特開平7−125411号公報、特開平10−193776号公報等に記載された1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましく用いられる。特に、カチオン性ポリマーとしてジアリルアミン誘導体が好ましく用いられる。分散性及び分散液粘度の面で、これらのカチオン性ポリマーの質量平均分子量は2000〜10万程度が好ましく、特に2000〜3万程度が好ましい。
本発明のインク受容層(B)が含有するアルミナとしては、酸化アルミニウムのγ型結晶であるγ−アルミナが好ましく、中でもδグループ結晶が好ましい。γ−アルミナは一次粒子を10nm程度まで小さくすることが可能であるが、通常は数千から数万nmの二次粒子結晶を超音波や高圧ホモジナイザー、対向衝突型ジェット粉砕機等で粉砕したものが使用できる。アルミナの平均二次粒子径は、好ましくは20〜300nmである。
本発明のインク受容層(B)が含有するアルミナ水和物はAl・nHO(n=1〜3)の構成式で表される。本発明に使用されるアルミナ水和物はアルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の製造方法により得られる。本発明に使用されるアルミナ水和物の平均二次粒子径は、好ましくは20〜300nmである。アルミナ及びアルミナ水和物は、酢酸、乳酸、ぎ酸、硝酸等の公知の分散剤によって分散されたものが好ましく用いられる。
前記した無機微粒子の中から2種以上の無機微粒子を選択し併用することもできる。例えば、微粉砕した湿式法シリカと気相法シリカとの併用、微粉砕した湿式法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用、気相法シリカとアルミナあるいはアルミナ水和物との併用が挙げられる。
本発明のインク受容層(B)は水溶性バインダーを含有することが好ましい。水溶性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、澱粉、デキストリン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸エステル系やそれらの誘導体が使用されるが、中でも完全ケン化または部分ケン化のポリビニルアルコールが好ましく、特にケン化度が80%以上のものが特に好ましい。また、ポリビニルアルコールの平均重合度は500〜6000が好ましく、1000〜5000がより好ましい。
前記したポリビニルアルコールとしては、一般的なポリビニルアルコールに加え、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びその他ポリビニルアルコールの誘導体も含まれる。ポリビニルアルコールは1種単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のインク受容層(B)が含有する水溶性バインダーの含有量は、無機微粒子の総量に対して3〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
本発明のインク受容層(B)は、前記した水溶性バインダーに加えて架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、水溶性バインダーの架橋剤として公知のものが使用できるが、水溶性バインダーとしてポリビニルアルコールを使用する場合には、ほう酸またはほう酸塩が特に好ましい。また、ポリビニルアルコールが活性の高い変性基を含有する場合には、変性基に応じて公知の架橋剤を使用してもよい。架橋剤の添加量は水溶性バインダーに対して0.1〜40質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜30質量%である。
本発明のインク受容層(A)及び(B)は、前述の非晶質合成シリカのカチオン化に使用されるものと同様のカチオン性ポリマーを、更に添加剤として含有してもよい。また、インク受容層は、耐水性向上等のため水溶性多価金属化合物を含有してもよい。水溶性多価金属化合物としては水溶性アルミニウム化合物が好ましく利用できる。
水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。更に、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られている。
これらの水溶性アルミニウム化合物の中でも、インク受容層を形成する塗布液に安定に添加できるものが好ましく、塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が好ましく用いられる。この化合物は、主成分が下記の式1、2または3で示され、例えば[Al(OH)153+、[Al(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
[Al(OH)Cl6−n ・・式1
[Al(OH)AlCl ・・式2
Al(OH)Cl(3n−m) 0<m<3n ・・式3
これらのものは、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学工業(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードのものが容易に入手できる。
前記した水溶性多価金属化合物の含有量は、インク受容層が含有する無機微粒子に対して0.1〜10質量%の範囲が好ましい。
本発明のインク受容層(A)及び(B)は、更に着色染料、着色顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調節剤などの公知の各種添加剤を添加することもできる。
本発明のインク受容層(A)及び(B)合計の乾燥塗布量は10〜60g/mであることが好ましく、支持体が樹脂被覆紙のような非吸収性支持体である場合には、乾燥塗布量は20〜60g/mであることが好ましい。
本発明のインク受容層(A)及び(B)の塗布方法は、特に限定されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、スライドビード方式、カーテン方式、エクストルージョン方式、エアナイフ方式、ロールコーティング方式、ロッドバーコーティング方式等がある。
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。なお、部及び%は質量基準である。
<インクジェット記録材料1の作製>
<ポリオレフィン樹脂被覆紙支持体の作製>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5%、強度剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5%添加し、水で希釈して0.2%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/mになるように抄造し、乾燥調湿してポリオレフィン樹脂被覆紙の原紙とした。抄造した原紙に、密度0.918g/cmの低密度ポリエチレン100部の樹脂に対して、10部のアナターゼ型二酸化チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で厚さ35μmになるように押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し表面とした。もう一方の面には密度0.962g/cmの高密度ポリエチレン樹脂70部と密度0.918g/cmの低密度ポリエチレン樹脂30部のブレンド樹脂組成物を同様に320℃で溶融し、厚さ30μmになるように押出コーティングし、粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆し裏面とした。
前記ポリオレフィン樹脂被覆紙表面に高周波コロナ放電処理を施した後、下記組成のプライマー層をゼラチンが50mg/m(約0.05μm)となるように塗布乾燥してポリオレフィン樹脂被覆紙支持体を作製した。
<下引き層組成>
石灰処理ゼラチン 100部
スルフォコハク酸2−エチルヘキシルエステル塩 2部
クロム明ばん 10部
<インク受容層塗布液(A)の作製>
<湿式法シリカ分散液1の作製>
イオン交換水に第4級アンモニウム塩ポリマー(大和化学工業(株)製、サンブライト(登録商標)KH−55)8.0部と市販のゲル法シリカ(東ソー・シリカ(株)製、ニップジェルAZ−6A0、吸油量310ml/100g)100部を添加混合し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速20m/秒)にて60分間分散して湿式法シリカ分散液1を得た。湿式法シリカ分散液1が含有するシリカ粒子の平均二次粒子径を粒度分布計((株)堀場製作所製、LA−920)にて測定した結果、12.0μmであった。
<インク受容層塗布液(A−1)組成>
湿式法シリカ分散液1 (ゲル法シリカの固形分として) 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール
((株)クラレ製、クラレポバール25−98R) 25部
ほう酸 8.7部
第4級アンモニウム塩カチオンポリマー
(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55) 30部
両性界面活性剤(川研ファインケミカル(株)製、ソフタゾリンLSB−R) 0.1部
塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
<インク受容層(B)塗布液の作製>
<気相法シリカ分散液1の作製>
水にジメチルアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(第一工業製薬(株)製、シャロール(登録商標)DC902P、分子量9,000)3部と気相法シリカ(日本アエロジル(株)製、AEROSIL300、平均一次粒子径7nm、BET比表面積300m/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速20m/秒)を使用して分散液を得た。次に該分散液を圧力ホモジナイザーにて50MPaの条件で2回通過させて、固形分濃度20%の気相法シリカ分散液1を得た。該気相法シリカ分散液1が含有する気相法シリカの平均二次粒子径を粒度分布計((株)堀場製作所製、LA−920)にて測定した結果、140nmであった。
<インク受容層塗布液(B−1)組成>
気相法シリカ分散液1 (気相法シリカの固形分として) 100部
ほう酸 4部
ポリビニルアルコール
((株)クラレ製、クラレポバール95−88、ケン化度88%、平均重合度3500)
23部
塗布液に対して6質量%となるようにエタノールを添加した。
前記したポリオレフィン樹脂被覆紙の下引き層を設けた面に、前記組成のインク受容層塗布液(B−1)を1層目として固形分塗布量が20.2g/m、前記組成のインク受容層塗布液(A−1)を最上層として、湿式法シリカの固形分塗布量が3.2g/mとなるようにスライドビードコーターで塗布した。塗布後10℃で20秒間冷却し、その後30〜55℃の加熱空気を吹き付けて乾燥し、インクジェット記録材料1を得た。
<インクジェット記録材料2の作製>
インクジェット記録材料1の作製において、インク受容層塗布液(A−1)に代えて下記組成のインク受容層塗布液(A−2)を使用した以外は同様にして、インクジェット記録材料2を得た。
<インク受容層塗布液(A−2)組成>
湿式法シリカ分散液1 (ゲル法シリカの固形分として) 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール
((株)クラレ製、クラレポバール25−98R) 25部
ほう酸 8.7部
第4級アンモニウム塩カチオンポリマー
(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55) 30部
両性界面活性剤(川研ファインケミカル(株)製、ソフタゾリンLSB−R) 1部
塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
<インクジェット記録材料3の作製>
インクジェット記録材料1の作製において、インク受容層塗布液(A−1)に代えて下記組成のインク受容層塗布液(A−3)を使用した以外は同様にして、インクジェット記録材料3を得た。
<インク受容層塗布液(A−3)組成>
湿式法シリカ分散液1 (ゲル法シリカの固形分として) 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール
((株)クラレ製、クラレポバール25−98R) 25部
ほう酸 8.7部
第4級アンモニウム塩カチオンポリマー
(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55) 30部
両性界面活性剤(川研ファインケミカル(株)製、ソフタゾリンLSB−R) 10部
前記塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
<インクジェット記録材料4の作製>
<湿式法シリカ分散液2の作製>
イオン交換水に第4級アンモニウム塩ポリマー(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55)8.0部と市販のゲル法シリカ(東ソー・シリカ(株)製、ニップジェルAZ−6A0)100部を添加混合し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速20m/秒)にて60分間分散して分散液を得た。次に該分散液を圧力ホモジナイザーにて50MPaの条件で3回通過させて、固形分濃度20%の湿式法シリカ分散液2を得た。湿式法シリカ分散液2が含有するシリカ粒子の平均二次粒子径を粒度分布計(堀場製作所社製、LA−920)にて測定した結果、4.5μmであった。
インクジェット記録材料1の作製において、インク受容層塗布液(A−1)に代えて下記組成のインク受容層塗布液(A−4)を使用した以外は同様にして、インクジェット記録材料4を得た。
<インク受容層塗布液(A−4)組成>
湿式法シリカ分散液2 (ゲル法シリカの固形分として) 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール
((株)クラレ製、クラレポバール25−98R) 25部
ほう酸 8.7部
第4級アンモニウム塩カチオンポリマー
(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55) 30部
両性界面活性剤(川研ファインケミカル(株)製、ソフタゾリンLSB−R) 1部
前記塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
<インクジェット記録材料5の作製>
<湿式法シリカ分散液3の作製>
イオン交換水に4級アンモニウム塩ポリマー(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55)8.0部と市販のゲル法シリカ(東ソー・シリカ(株)製、ニップジェルAZ−6A0)100部を添加混合し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速20m/秒)にて30分間分散して湿式法シリカ分散液3を得た。湿式法シリカ分散液3が含有するシリカ粒子の平均二次粒子径を粒度分布計((株)堀場製作所製、LA−920)にて測定した結果、18μmであった。
インクジェット記録材料1の作製において、インク受容層塗布液(A−1)に代えて下記組成のインク受容層塗布液(A−5)を使用した以外は同様にして、インクジェット記録材料5を得た。
<インク受容層塗布液(A−5)組成>
湿式法シリカ分散液3 (ゲル法シリカの固形分として) 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール
((株)クラレ製、クラレポバール25−98R) 25部
ほう酸 8.7部
第4級アンモニウム塩カチオンポリマー
(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55) 30部
両性界面活性剤(川研ファインケミカル(株)製、ソフタゾリンLSB−R) 1部
塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
<インクジェット記録材料6の作製>
インクジェット記録材料1の作製において、インク受容層塗布液(A−1)に代えて下記組成のインク受容層塗布液(A−6)を使用した以外は同様にして、インクジェット記録材料2を得た。
<インク受容層塗布液(A−6)組成>
湿式法シリカ分散液1 (ゲル法シリカの固形分として) 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール
((株)クラレ製、クラレポバール25−98R) 25部
ほう酸 8.7部
第4級アンモニウム塩カチオンポリマー
(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55) 30部
両性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、アモーゲンS−H) 1部
塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
<インクジェット記録材料7の作製>
インクジェット記録材料1の作製において、インク受容層塗布液(A−1)に代えて下記組成のインク受容層塗布液(A−7)を使用した以外は同様にして、インクジェット記録材料7を得た。
<インク受容層塗布液(A−7)組成>
湿式法シリカ分散液1 (ゲル法シリカの固形分として) 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール
((株)クラレ製、クラレポバール25−98R) 25部
ほう酸 8.7部
第4級アンモニウム塩カチオンポリマー
(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55) 30部
両性界面活性剤(花王(株)製、アンヒトール20HD) 1部
塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
<インクジェット記録材料8の作製>
<湿式法シリカ分散液4の作製>
イオン交換水に4級アンモニウム塩ポリマー(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55)8.0部と市販のゲル法シリカ(東ソー・シリカ(株)製、ニップジェルAZ−6A0)100部を添加混合し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速20m/秒)にて60分間分散して分散液を得た。次に該分散液を圧力ホモジナイザーにて50MPaの条件で5回通過させて、固形分濃度20%の湿式法シリカ分散液4を得た。湿式法シリカ分散液4が含有するシリカ粒子の平均二次粒子径を粒度分布計((株)堀場製作所製、LA−920)にて測定した結果、3.1μmであった。
インクジェット記録材料1の作製において、インク受容層塗布液(A−1)に代えて下記組成のインク受容層塗布液(A−8)を使用した以外は同様にして、インクジェット記録材料8を得た。
<インク受容層塗布液(A−8)組成>
湿式法シリカ分散液4 (ゲル法シリカの固形分として) 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール
((株)クラレ製、クラレポバール25−98R) 25部
ほう酸 8.7部
第4級アンモニウム塩カチオンポリマー
(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55) 30部
両性界面活性剤(川研ファインケミカル(株)製、ソフタゾリンLSB−R) 1部
塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
<インクジェット記録材料9の作製>
<湿式法シリカ分散液5の作製>
イオン交換水に4級アンモニウム塩ポリマー(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55)8.0部と市販のゲル法シリカ(東ソー・シリカ(株)製、ニップジェルAZ−6A0)100部を添加混合し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速20m/秒)にて5分間分散して湿式法シリカ分散液5を得た。湿式法シリカ分散液5が含有するシリカ粒子の平均二次粒子径を粒度分布計((株)堀場製作所製、LA−920)にて測定した結果、24μmであった。
インクジェット記録材料1の作製において、インク受容層塗布液(A−1)に代えて下記組成のインク受容層塗布液(A−9)を使用した以外は同様にして、インクジェット記録材料9を得た。
<インク受容層塗布液(A−9)組成>
湿式法シリカ分散液5 (ゲル法シリカの固形分として) 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール
((株)クラレ製、クラレポバール25−98R) 25部
ほう酸 8.7部
第4級アンモニウム塩カチオンポリマー
(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55) 30部
両性界面活性剤(川研ファインケミカル(株)製、ソフタゾリンLSB−R) 1部
塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
<インクジェット記録材料10の作製>
インクジェット記録材料1の作製において、インク受容層塗布液(A−1)に代えて下記組成のインク受容層塗布液(A−10)を使用した以外は同様にして、インクジェット記録材料10を得た。
<インク受容層塗布液(A−10)組成>
湿式法シリカ分散液1 (ゲル法シリカの固形分として) 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール
((株)クラレ製、クラレポバール25−98R) 25部
ほう酸 8.7部
第4級アンモニウム塩カチオンポリマー
(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55) 30部
カチオン性界面活性剤(花王(株)製、コータミン(登録商標)24P) 1部
塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
<インクジェット記録材料11の作製>
インクジェット記録材料1の作製において、インク受容層塗布液(A−1)に代えて下記組成のインク受容層塗布液(A−11)を使用した以外は同様にして、インクジェット記録材料11を得た。
<インク受容層塗布液(A−11)組成>
湿式法シリカ分散液1 (ゲル法シリカの固形分として) 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール
((株)クラレ製、クラレポバール25−98R) 25部
ほう酸 8.7部
第4級アンモニウム塩カチオンポリマー
(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55) 30部
アニオン性界面活性剤
(東邦化学工業(株)製、ペグノール(登録商標)T−6) 1部
塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
<インクジェット記録材料12の作製>
<気相法シリカ分散液2の作製>
水にジメチルアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(第一工業製薬(株)製、シャロールDC902P、分子量9,000)3部と気相法シリカ(日本アエロジル(株)製、AEROSIL300、平均一次粒子径7nm、BET比表面積300m/g)100部を添加し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速20m/秒)を使用して気相法シリカ分散液2を得た。該気相法シリカ分散液2が含有する気相法シリカの平均二次粒子径を粒度分布計((株)堀場製作所製、LA−920)にて測定した結果、10.5μmであった。
気相法シリカ分散液2を用いて下記組成のインク受容層塗布液(B−2)を作製し、インクジェット記録材料1の作製において、インク受容層塗布液(B−1)に代えてインク受容層塗布液(B−2)を用いた以外は同様にして、インクジェット記録材料12を得た。
<インク受容層塗布液(B−2)組成>
気相法シリカ分散液2 (気相法シリカの固形分として) 100部
ほう酸 4部
ポリビニルアルコール((株)クラレ製、クラレポバール95−88) 23部
塗布液に対して6%となるようにエタノールを添加した。
<インクジェット記録材料13の作製>
<気相法シリカ分散液3の作製>
イオン交換水に第4級アンモニウム塩ポリマー(大和化学工業(株)製、サンブライト(登録商標)KH−55)8.0部と気相法シリカ(日本アエロジル(株)製、AEROSIL50、平均一次粒子径30nm、BET比表面積50m/g)100部を添加混合し、のこぎり歯状ブレード型分散機(ブレード周速20m/秒)にて60分間分散して気相法シリカ分散液3を得た。該気相法シリカ分散液3が含有する気相法シリカの平均二次粒子径を粒度分布計((株)堀場製作所製、LA−920)にて測定した結果、13.0μmであった。
気相法シリカ分散液3を用いて下記組成のインク受容層塗布液(A−12)を作製し、インクジェット記録材料1の作製において、インク受容層塗布液(A−1)に代えてインク受容層塗布液(A−12)を用いた以外は同様にして、インクジェット記録材料13を得た。
<インク受容層塗布液(A−12)組成>
気相法シリカ分散液3 (気相法シリカの固形分として) 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール
((株)クラレ製、クラレポバール25−98R) 25部
ほう酸 8.7部
第4級アンモニウム塩カチオンポリマー
(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55) 30部
両性界面活性剤(川研ファインケミカル(株)製、ソフタゾリンLSB−R) 1部
塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
<インクジェット記録材料14の作製>
インクジェット記録材料1の作製において、インク受容層塗布液(A−1)に代えて下記組成のインク受容層塗布液(A−13)を使用した以外は同様にして、インクジェット記録材料14を得た。
<インク受容層塗布液(A−13)組成>
湿式法シリカ分散液1 (ゲル法シリカの固形分として) 100部
シラノール変性ポリビニルアルコール
((株)クラレ製、クラレポバール25−98R) 25部
ほう酸 8.7部
第4級アンモニウム塩カチオンポリマー
(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55) 30部
塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
<インクジェット記録材料15の作製>
インクジェット記録材料1の作製において、インク受容層塗布液(A−1)に代えて下記組成のインク受容層塗布液(A−14)を使用した以外は同様にして、インクジェット記録材料15を得た。
<インク受容層塗布液(A−14)組成>
湿式法シリカ分散液1 (ゲル法シリカの固形分として) 100部
ポリビニルアルコール((株)クラレ製、クラレポバール95−88) 25部
ほう酸 8.7部
第4級アンモニウム塩カチオンポリマー
(大和化学工業(株)製、サンブライトKH−55) 30部
両性界面活性剤(川研ファインケミカル(株)製、ソフタゾリンLSB−R) 1部
塗布液に対して3%となるようにエタノールを添加した。
得られた記録材料について、以下の項目を評価し、その結果を表1に表した。
<発色性評価1>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、EP−807AB:染料インク)において黒のベタ印字を行った後、印刷画像の光学濃度(OD値)を光学濃度計((株)きもと製、Gretag Machbeth AG SpectroEye No.16228)で測定した。本発明において、数値が高い方が印字濃度は高く良好である。
<発色性評価2>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、SC−PX5VII:顔料インク)において黒のベタ印字を行った後、印刷画像の光学濃度(OD値)を光学濃度計((株)きもと製、Gretag Machbeth AG SpectroEye No.16228)で測定した。本発明において、数値が高い方が印字濃度は高く良好である。
<インク吸収性評価1>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、EP−807AB:染料インク)を用いて画像を印刷し、印刷画像をルーペ(50×)で目視観察した。インク吸収性については下記の基準にて評価を行った。なお、評価に用いた画像は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ブルー、レッド、グリーンの各色ベタ画像及び各色ベタ画像部中に白抜き文字を組み入れたパターンからなる。本発明において、○あるいは△の評価であればインク吸収性が優れるものとする。
○:速やかに各インクが吸収され、印字部が隣接する境界にも滲みは認められない。
△:各インクがややあふれ、印字部が隣接する境界に少し滲みが認められるが、実使用上は問題とならない。
×:各インクが明確にあふれている。また印字部が隣接する境界にも滲みが認められ、実使用上問題となる。
<インク吸収性評価2>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、SC−PX5VII:顔料インク)を用いて画像を印刷し、印刷画像をルーペ(50×)で目視観察した。インク吸収性については下記の基準にて評価を行った。なお、評価に用いた画像は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ブルー、レッド、グリーンの各色ベタ印刷画像及び各色ベタ画像部中に白抜き文字を組み入れたパターンからなる。本発明において、○あるいは△の評価であればインク吸収性が優れるものとする。
○:速やかに各インクが吸収され、印字部が隣接する境界にも滲みは認められない。
△:各インクがややあふれ、印字部が隣接する境界に少し滲みが認められるが、実使用上は問題とならない。
×:各インクが明確にあふれている。また印字部が隣接する境界にも滲みが認められ、実使用上問題となる。
<画像評価1>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、EP−807AB:染料インク)で風景画を印字し、マット調でかつ深みのある落ち着いた画像が得られているのかを視覚的に下記の基準にて評価した。△以上がマット調でかつ深みのある落ち着いた画像を満たしている。
○:マット調でかつ印字濃度が高く深みのある落ち着いた画像が得られている。
△:画像の深みではやや劣るが十分にマット調の風合いがある。
×:光沢感がありマット調の風合いが得られていないか、もしくは印字濃度が低く画像の深みが劣る。
<画像評価2>
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、SC−PX5VII:顔料インク)で風景画を印字し、マット調でかつ深みのある落ち着いた画像が得られているのかを視覚的に下記の基準にて評価した。△以上がマット調でかつ深みのある落ち着いた画像を満たしている。
○:マット調でかつ印字濃度が高く深みのある落ち着いた画像が得られている。
△:画像の深みではやや劣るが十分にマット調の風合いがある。
×:光沢感がありマット調の風合いが得られていないか、もしくは印字濃度が低く画像の深みが劣る。
<塗布欠陥>
得られたインクジェット記録材料のインク受容層塗布面を目視観察し、以下の基準で評価した。○の評価であれば塗布欠陥に問題が認められず、△は実使用可である。
○:ひび割れ、ハジキ等が全く無い。
△:僅かにひび割れ、ハジキ等の発生が認められる。
×:ひび割れ、ハジキ等の発生が明確に認められる。
Figure 2020157556
表1の結果から明らかなように、本発明によって、染料及び顔料の何れのインクで印字した際にも、高い発色性と優れたインク吸収性を奏し、マット調の落ち着いた画像が得られるインクジェット記録材料を提供することができる。

Claims (1)

  1. 非吸水性支持体上に少なくとも2層のインク受容層を有し、該非吸水性支持体から最も離れた位置のインク受容層(A)が、平均二次粒子径が4.0〜20.0μmの湿式法シリカ、シラノール変性ポリビニルアルコール及び両性界面活性剤を含有し、該インク受容層(A)と非吸水性支持体との間に位置するインク受容層(B)が、平均二次粒子径が500nm以下の無機微粒子を主体に含有することを特徴とするインクジェット記録材料。
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