JP2020155667A - 圧粉磁心 - Google Patents

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【課題】圧粉磁心の鉄損を抑制する。【解決手段】平均粒子径5μm以上30μm以下の軟磁性金属粒子3と、粒界相6と、を備えてなる圧粉磁心1である。粒界相6は、珪酸ソーダを主成分とするガラスを含有する。圧粉磁心1の断面構造にて100μm×100μmの正方形の範囲で、粒界相6について直線距離30μmの長さのライン分析を3直線おこなった場合に、SiのNaに対するモル比A(Si/Na)が1.8≦A≦3.5を充足する点は、1直線当たり平均して5点〜10点存在する。【選択図】図1

Description

本発明は、圧粉磁心に関する。
形状自由度の高さと、高周波帯域への適用可能性から圧粉磁心の開発が盛んに行われている。
特許文献1では、結晶質磁性材料と、非晶質磁性材料とを均一に混合し、分散させた複合磁性材料粉末に、絶縁材として、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂等の有機高分子樹脂、水ガラスを使用し、作製された高周波用圧粉磁心が開示されている。
特開2005−294458号公報
しかし、この圧粉磁心の鉄損は必ずしも十分に抑制されておらず、更なる鉄損の抑制が望まれていた。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、更なる鉄損の抑制を目的とし、以下の形態として実現することが可能である。
〔1〕平均粒子径5μm以上30μm以下の軟磁性金属粒子と、粒界相と、を備えてなる圧粉磁心であって、
前記粒界相は、珪酸ソーダを主成分とするガラスを含有し、
前記圧粉磁心の断面構造にて100μm×100μmの正方形の範囲で、前記粒界相について直線距離30μmの長さのライン分析を3直線おこなった場合に、SiのNaに対するモル比A(Si/Na)Aが、
1.8≦A≦3.5
を充足する点が、1直線当たり平均して5点〜10点存在することを特徴とする圧粉磁心。
〔2〕前記圧粉磁心の断面構造を150μm×150μmの正方形の第1視野で観察した際に、前記粒界相がH字状に配されている場所において、H字を構成する2本の縦線と1本の横線とが交差する2つの交点同士を直線で結んで、この直線の垂直二等分線を描いたときに、前記垂直二等分線が前記粒界相を横断する場所における横断幅を前記粒界相の厚みTnと定義し、
前記粒界相の厚みを5カ所測定してTn(nは1〜5までの整数)をそれぞれ求め、Tn(nは1〜5までの整数)の平均である平均厚みTaを算出した場合に、
前記平均厚みTaは、10nm以上300nm以下であることを特徴とする〔1〕に記載の圧粉磁心。
〔3〕前記圧粉磁心の断面構造を100μm×100μmの正方形の第2視野で観察した際に、前記第2視野を画する正方形の一辺上で、前記粒界相が存在する場所を始点として、正方形の前記一辺と対向する辺まで前記粒界相が連続して形成され、互いに相違する5以上の連続層を有し、
前記連続層の、前記一辺から前記対向する辺までの経路の平均長さが115μm以上であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の圧粉磁心。
SiのNaに対するモル比Aが、1.8≦A≦3.5を満たす点は、抵抗が高い点である。この点が、直線距離30μmの長さのライン分析の1直線当たり平均して5点〜10点存在することで、圧粉磁心としての抵抗値を良好に保ちつつ、渦電流損失が低減される。
上記〔2〕の発明によれば、ヒステリシス損失を小さくして鉄損を小さく抑えるとともに、抵抗値を保って渦電流損失を小さくすることできる。
上記〔3〕の発明によれば、特定要件を満たす連続層を形成することで、ヒステリシス損失、及び渦電流損失を共に小さくできる。
圧粉磁心を示す模式図である。右図は、圧粉磁心の断面構造を100μm×100μmの正方形の視野で観察した際の模式図を示す。 ライン分析の概念を示す説明図である。 粒界相6の厚みの求め方を説明するための模式図である。 粒界相6の厚みの求め方を説明するための模式図である。 圧粉磁心を示す模式図である。右図は、圧粉磁心の断面構造を100μm×100aμmの正方形の第2視野で観察した際の模式図を示す。 圧粉磁心の製造方法の一例を示す工程図である。
以下、本発明を詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「〜」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10〜20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10〜20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
1.圧粉磁心1の構成
圧粉磁心1は、図1の右図(断面図)に示すように、平均粒子径5μm以上30μm以下の軟磁性金属粒子3と、粒界相6と、を備えてなる。粒界相6は、珪酸ソーダを主成分とするガラスを含有している。なお、図1におけるハッチング(平行線)は、軟磁性金属粒子3を示している。また、図1の点描は、粒界相6を示している。
以下、本発明の圧粉磁心1の実施形態を詳細に説明する。
圧粉磁心1は、圧粉磁心の断面構造にて100μm×100μmの正方形の範囲で、粒界相6について直線距離30μmの長さのライン分析を3直線おこなった場合に、SiのNaに対するモル比A(Si/Na)が、
1.8≦A≦3.5
を充足する点が、1直線当たり平均して5点〜10点存在することを特徴としている。
図1では、トロイダル形状の圧粉磁心1を例として挙げる。なお、圧粉磁心1の形状は、特に限定されない。図1は、圧粉磁心1を、その軸方向に沿って切断した断面を示している。
(1)軟磁性金属粒子3
軟磁性金属粒子3は、軟磁性の金属粒子であれば、特に限定されず、幅広く用いることができる。軟磁性金属粒子3として、軟磁性である純鉄の粒子、鉄基合金の粒子を幅広く用いることができる。鉄基合金としては、Fe−Si−Cr合金、Fe−Si−Al合金(センダスト)、Ni−Fe合金(パーマロイ)、Ni−Fe−Mo合金(スーパーマロイ)、Fe基アモルファス合金、Fe−Si合金、Ni−Fe合金、Fe−Co合金等を好適に用いることができる。これらの中でもFe−Si−Cr合金、Ni−Fe合金(パーマロイ)、Ni−Fe−Mo合金(スーパーマロイ)、Fe基アモルファス合金が透磁率、保磁力、周波数特性の観点から好ましい。
軟磁性金属粒子3の平均粒子径は、5μm以上30μm以下であり、10μm以上25μm以下が好ましく、15μm以上22μm以下がより好ましい。軟磁性金属粒子3の平均粒子径は、使用する周波数帯域によって適宜変更することができる。特に100kHzを超える高周波帯域での使用を想定した場合は10μm以上25μm以下であることがより好ましい。なお、軟磁性金属粒子3の平均粒子径は、圧粉磁心1の断面をFE−SEM JSM−6330Fによって観察した粒子面積から面積円相当径を算出し、平均粒子径とする。
軟磁性金属粒子3は、表面に金属酸化物層(不動態被膜)を備えていてもよい。金属酸化物層を、表面に備えることによって、粒界相6との密着性をよくすることができる。
金属酸化物層を構成する金属酸化物は特に限定されない。例えば、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化モリブデン、及び酸化タングステンからなる群より選ばれた1種以上の金属酸化物が好ましい。特に、金属酸化物に、酸化クロム及び酸化アルミニウムのうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。これらの好ましい金属酸化物を用いることで、渦電流損失が効果的に抑制される。
なお、軟磁性金属粒子3として、Fe−Si−Cr合金の粒子を用いた場合には、酸化クロム(Cr)を有する金属酸化物層を容易に形成することができる。すなわち、Fe−Si−Cr合金中のCrが酸化することにより軟磁性金属粒子3の外縁部に金属酸化物層が形成される。
また、金属酸化物層の厚みは、特に限定されない。厚みは、好ましくは1nm以上20nm以下とすることができる。なお、金属酸化物層の厚みは、XPS(X線光電子分光法)を用いて測定できる。
(2)粒界相6
(2.1)粒界相6の構成
粒界相6は、珪酸ソーダを主成分とするガラスを含有している。粒界相6は、高抵抗という性質を有している。ここで、主成分とは、含有率(質量%)が50質量%以上の物質をいう。ガラスには、硼酸塩ガラス、フツリン酸ガラス、リン酸ガラス、珪酸ガラス、結晶化ガラスを含んでいてもよい。
粒界相6における、ガラスの含有割合は、特に限定されない。
粒界相6全体を100質量部とした場合に、ガラス成分の含有量は、85質量部以上が好ましく、90質量部以上がより好ましく、93質量部以上が更に好ましい。
なお、粒界相6は、他の成分として、例えば、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、無機繊維、結晶化ガラス等の絶縁性物質を含有することができる。
(2.2)第1要件
本発明の圧粉磁心1は、次の第1要件を満たしている。

<第1要件>
圧粉磁心1は、その断面構造にて100μm×100μmの正方形の範囲で、粒界相6について直線距離30μmの長さのライン分析を3直線おこなった場合に、SiのNaに対するモル比A(Si/Na)が、
1.8≦A≦3.5
を充足する点が、1直線当たり平均して5点〜10点存在する。

この第1要件は、例えば、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製 JSM−7001F)によって測定できる。なお、ライン分析のデータは、粒界相6を0.2μm毎に分析した結果で構成されている。すなわち、ライン分析は、直線状に、0.2μm間隔で測定している。図1,2に、ライン分析の概念を模式図に示す。図1に示すように、圧粉磁心1の断面構造にて100μm×100μmの正方形の範囲を指定する。そして、その範囲内における粒界相6について、直線距離30μmの3直線L1,L2,L3を選定して、それぞれについてライン分析する。その際、分析点は、図2に示すように、0.2μm間隔である。
本発明者らは、圧粉磁心1の特性を改善すべく鋭意検討を重ねた。その結果、粒界相に、珪酸ソーダを主成分とするガラスを含有させ、さらに、上記第1要件を満たすと、圧粉磁心1としての抵抗値を良好に保ちつつ、渦電流損失を低減できるという予想外の事実を発見した。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
このように本発明において、所望の効果が得られる理由は定かではないが、次のように推測される。すなわち、粒界相に、珪酸ソーダを主成分とするガラスを含有させることで、圧粉磁心1としての抵抗値を良好に保つことができる。更に、第1要件を満たすことで、部分的な高抵抗化(マクロ的にはわからないレベルでの高抵抗化)がなされ、渦電流損失を低減できるものと推測される。
(2.3)第2要件
本発明の圧粉磁心1は、次の第2要件を満たしていることが好ましい。

<第2要件>
圧粉磁心1の断面構造を150μm×150μmの正方形の第1視野で観察する。粒界相6がH字状に配されている場所において、H字を構成する2本の縦線と1本の横線とが交差する2つの交点同士を直線で結ぶ。この直線の垂直二等分線を描いたときに、垂直二等分線が粒界相を横断する場所における横断幅を前記粒界相の厚みTnと定義する。粒界相6の厚みを5カ所測定してTn(nは1〜5までの整数)をそれぞれ求め、Tn(nは1〜5までの整数)の平均である平均厚みTaを算出する。この平均厚みTaが、10nm以上300nm以下であることが第2要件である。
第2要件を図3,4を参照して説明する。
本発明では、粒界相6の厚みは、次のように規定されている。
まず、粒界相6の厚みの測定について図3を参照しつつ説明する。
粒界相6の厚みの測定では、圧粉磁心1の断面構造を150μm×150μmの正方形の第1視野でSEM(走査型電子顕微鏡)の反射電子像にて観察する。なお、圧粉磁心1がトロイダル形状の場合には、図1に示されるように上面に垂直に切断した断面を観察する。
ここで、粒界相6が図3に示すように、H字状に配されている場所を選択する。H字を構成する2本の縦線と1本の横線とが交差する2つの交点O1,O2同士を直線で結んで、この直線の垂直二等分線LHを描いたときに、垂直二等分線LHが粒界相6を横断する場所における横断幅を粒界相6の厚みTnと定義する。
なお、交点O1を決定する際には、H字を構成する2本の縦線と1本の横線とが交差する場所周りに存在する3つの軟磁性金属粒子31,32,33の全てに接する仮想円C1の中心を交点O1と定義する(図4参照)。同様にして、交点O2を決定する際には、H字を構成する2本の縦線と1本の横線とが交差する場所周りに存在する3つの軟磁性金属粒子32,33,34の全てに接する仮想円C2の中心を交点O2と定義する(図4参照)。
そして、粒界相6の厚みを20カ所測定してTn(nは1〜5までの整数)をそれぞれ求め、Tn(nは1〜5までの整数)の平均である平均厚みTaを算出する。本発明では、平均厚みTaは、10nm〜300nmが好ましく、20nm〜200nmがより好ましい。
(2.4)第3要件
本発明の圧粉磁心1は、圧粉磁心1の断面構造を100μm×100μmの正方形の第2視野で観察した際に、次の第3要件及び第4要件を満たしていることが好ましい。
第3要件を説明する。図5の右図は、圧粉磁心1の断面構造を観察した際の、100μm×100μmの正方形の第2視野を模式図に示している。
第2視野を画する正方形の一辺11上で、粒界相6が存在する場所を始点Sとする。一辺11上の始点Sから、正方形の一辺11と対向する辺13まで粒界相6が連続しているところを辿っていくと、互いに相違する5以上ルート(経路)が存在していることが第1要件である。すなわち、互いに相違する5以上の連続層21が存在していることが第1要件である。なお、途中で、分岐点にさしかかったときには、対向する辺13に辿り着くために最短となるルートを選択する。また、互いに相違するルートは5以上であれば、ルート数の上限値はないが、通常の上限値は30である。
図5は、一辺11上の5つの異なる始点S1,S2,S3,S4,S5から始まり、それぞれ異なる終点E1,E2,E3,E4,E5で終わる5つの相違する連続層21A,21B,21C,21D,21Eが存在する例を示している。
この第3要件を満たすと、圧粉磁心1内に多くの連続層21が存在することになるから、粒界相6の抵抗値が高くなり渦電流損失を低減することができる。また、この要件を満たすと、圧粉磁心1の熱引き性が良好となる。また、隣り合う軟磁性金属粒子3同士が、粒界相6によって、効果的に絶縁され耐電圧特性が高くなる。更に、粒界相6の連続層21が、軟磁性金属粒子3同士を結着させて、圧粉磁心1の機械的強度が向上する。
なお、第1要件は、圧粉磁心1の断面構造を観察した際に、100μm×100μmの正方形の視野を複数観察して、そのうちの少なくとも1つの視野において満たしていればよい。
(2.5)第4要件
次に、第4要件を説明する。第4要件は、連続層21の、一辺11から対向する辺13までの経路の平均長さが115μm以上という要件である。
連続層21の経路の平均長さは120μm以上がより好ましく、130μm以上が更に好ましい。連続層21の経路の平均長さの上限値は、150μmである。
図5の例では、この第4要件は、連続層21A,21B,21C,21D,21Eの経路の平均長さが115μm以上という要件となる。
この第4要件を満たすと、連続層21の平均長さが、第1視野の一辺の長さ100μmよりも長くなる。すなわち、連続層21は、一辺11から対向する辺13までの経路の間で、蛇行していることになる。連続層21が直線状の場合と比べて、連続層21が蛇行していると、粒界相6の抵抗値が高くなり、渦電流損失を低減される。また、この要件を満たすと、圧粉磁心1の熱引き性が良好となる。
なお、連続層21の平均長さは、後述するプレス成形時のプレス圧力等によって制御される。例えば、60℃〜300℃にて、プレス圧力を1.0MPa〜2.5MPaとすることで軟磁性金属粒子3が入り組み、蛇行した構造になる。
なお、第4要件は、圧粉磁心1の断面構造を観察した際に、100μm×100μmの正方形の視野を複数観察して、そのうちの少なくとも1つの視野において満たしていればよい。
2.圧粉磁心1の製造方法
圧粉磁心1の製造方法は、特に限定されない。図6に、圧粉磁心1の製造方法の一例を示し、この製造方法について以下に説明する。
(1)軟磁性金属粉末の準備
まず、原料としての軟磁性金属粉末(軟磁性金属粒子3)を用意する(ステップS1)。
(2)熱処理
次に、軟磁性金属粉末を熱処理する(ステップS2)。この熱処理の条件は、特に限定されない。熱処理条件として、例えば、熱処理温度:700℃〜900℃、昇温速度:1℃〜10℃/min、保持時間:1分〜120分、不活性雰囲気(N雰囲気、Ar雰囲気)の条件が好適に採用される。
(3)バインダーコーティング
次に、軟磁性金属粉末にバインダーをコーティングする(ステップS3)。コーティング方法は、特に限定されず、例えば、スプレーコーディング法、ディッピング法、湿式混合法が好適に用いられる。バインダーは、珪酸ソーダを主成分とするガラス(例えば、水ガラス)を含有させてなる。バインダーには、他の成分としてアルミナゾル、ガラス粉末等を混合してもよい。コーディングした軟磁性金属粉末は、例えば乾燥温度:60℃〜150℃、乾燥時間:30分〜120分の条件で乾燥される。
(4)成形(プレス成形)
圧粉磁心1の形状を作るためには、通常、プレス成形(例えば金型一軸成形)が用いられる(ステップS4)。プレス成形の際の成形圧は1.2GPa〜2.4GPaが好ましく、高密度の成形体を得るためには高圧でプレスした方がよい。また、プレス成形時に室温〜200℃の範囲で金型を加熱してもよい。金型を加熱することで軟磁性金属粉末が塑性変形しやすくなり、高密度の成形体を得ることができる。他方、200℃を超える温度でのプレス成形は、大気雰囲気下では、軟磁性金属粉末の酸化が問題となりあまり好ましくない。
(5)熱処理
得られた成形体について、プレス成形の際に加えられた歪みを開放するため、熱処理(焼鈍)する(ステップS5)。熱処理条件として、例えば、熱処理温度:700℃〜900℃、昇温速度:1℃〜10℃/min、保持時間:1分〜120分、不活性雰囲気(N雰囲気、Ar雰囲気)の条件が好適に採用される。
熱処理の条件は、使用する軟磁性金属粉末の種類によって適宜変更される。
3.本実施形態の圧粉磁心1の作用効果
本実施形態の圧粉磁心1は、SiのNaに対するモル比Aが1.8≦A≦3.5を満たす抵抗が高い点が、直線距離30μmの長さのライン分析の1直線当たり平均して5点〜10点存在する。これにより、圧粉磁心1は、抵抗値が良好に保たれ、渦電流損失が低減される。
圧粉磁心1は、粒界相6の平均厚みTaが10nm以上300nm以下である場合には、ヒステリシス損失が小さくなり、渦電流損失も小さくなる。
圧粉磁心1は、特定要件を満たす連続層21を形成することで、ヒステリシス損失、及び渦電流損失を共に小さくできる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
なお、実験例1〜15は実施例であり、実験例16〜20は比較例である。
表において、実験例を「no.」を用いて示す。また、表において「16*」のように、「*」が付されている場合には、比較例であることを示している。
1.圧粉磁心の作製
(1)実験例1〜17(no.1〜17)
軟磁性金属粒子(原料粉末)には、表1に記載の各種粒子を用いた。なお、表1中、「Fe−Si−Cr」の記載は、水アトマイズ法によって作製したFe−5.5質量%Si−4.0質量%Cr粒子を意味している。
まず、軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:450℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気(Ar)とした。
次に軟磁性金属粒子を、コーティング液を用いてコーディングした。コーティング液としては、水ガラス2gと、水4gを混合したものを用いた。そして、コーティング後の軟磁性金属粒子を、60℃、乾燥時間:60分の条件で乾燥した。
次いで、コーディングした軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:150℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気(N)とした。
そして、1.2GPa〜2.4GPaの成形圧でプレス成形して成形体(トロイダル形状(外径:8mm、内径:4.5mm、高さ:1.5mm)とした。この成形体を熱処理温度:センダストの場合は800℃、それ以外の場合は500℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:10分、不活性雰囲気(Ar)の条件で熱処理した。以上のようにして、実験例1〜17に係る圧粉磁心を得た。
プレス成形の成形圧を変えることで、粒界層の平均厚みTaと、連続層の平均長さをコントロールした。
(2)実験例18(no.18)
軟磁性金属粒子(原料粉末)には、表1に記載の粒子を使用した。
まず、軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:250℃、昇温速度:15℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気とした。
次に軟磁性金属粒子を、コーティング液を用いてコーディングした。コーティング液としては、水ガラス7gと、水1gを混合したものを用いた。そして、コーティング後の軟磁性金属粒子を、150℃、乾燥時間:100分の条件で乾燥した。
次いで、コーディングした軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:400℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気とした。
そして、2.0GPaの成形圧でプレス成形して成形体(トロイダル形状(外径:8mm、内径:4.5mm、高さ:1mm)とした。この成形体を熱処理温度:800℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:10分、不活性雰囲気(Ar)の条件で熱処理した。以上のようにして、実験例18に係る圧粉磁心を得た。
(3)実験例19(no.19)
軟磁性金属粒子(原料粉末)には、表1に記載の粒子を使用した。
まず、軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:200℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:5分、不活性雰囲気(Ar)とした。
次に軟磁性金属粒子を、コーティング液を用いてコーディングした。コーティング液としては、アルミナゾル5gと、水1gを混合したものを用いた。そして、コーティング後の軟磁性金属粒子を、225℃、乾燥時間:30分の条件で乾燥した。
次いで、コーディングした軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:200℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気とした。
そして、2.0GPaの成形圧でプレス成形して成形体(トロイダル形状(外径:8mm、内径:4.5mm、高さ:1mm)とした。この成形体を熱処理温度:800℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:10分、不活性雰囲気(Ar)の条件で熱処理した。以上のようにして、実験例19に係る圧粉磁心を得た。
(4)実験例20(no.20)
軟磁性金属粒子(原料粉末)には、表1に記載の粒子を使用した。
まず、軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:200℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、不活性雰囲気とした。
次に軟磁性金属粒子を、コーティング液を用いてコーディングした。コーティング液としては、水ガラス3gと水2gを混合したものを用い後に、水ガラス1gと水3gを混合したものを用いた。そして、コーティング後の軟磁性金属粒子を、60℃、乾燥時間:60分の条件で乾燥した。
次いで、コーディングした軟磁性金属粉末を熱処理した。熱処理条件は、熱処理温度:400℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:15分、真空中とした。
そして、2.0GPaの成形圧でプレス成形して成形体(トロイダル形状(外径:8mm、内径:4.5mm、高さ:1mm)とした。この成形体を熱処理温度:800℃、昇温速度:5℃/min、保持時間:10分、不活性雰囲気の(Ar)条件で熱処理した。以上のようにして、実験例20に係る圧粉磁心を得た。
表1に各実験例の軟磁性金属粒子、粒界層の特性をまとめて記載する。なお、珪酸ソーダの欄の「○」は、バインダーとして水ガラスを用いたことを意味し、この欄の「×」は、バインダーとして水ガラスを用いていないことを意味している。「Si/Na比」の欄は、上述の第1要件を満たしているか否かを示しており、「○」は第1要件を満たしていることを意味し、「×」は第1要件を満たしていないことを意味する。
2.鉄損の評価方法
測定装置(B−Hアナライザ、岩崎通信機株式会社製、型番SY−8218)により、下記の鉄損に関する修正steinmetz方程式を用いて、以下の条件にて鉄損を評価した。

コア条件:外径φ8mm−内径φ4.5mm 厚み1.5mm
エナメル線φ0.3 15巻 バイファイラ巻
評価は以下のようにした。

ヒステリシス損失(kW/m
「☆」…600未満
「◎」…600以上700未満
「○」…700以上800未満
「△」…800以上900未満
「×」…900以上

渦電流損失(kW/m
「☆」…15未満
「◎」…15以上30未満
「○」…30以上50未満
「△」…50以上80未満
「×」…80以上
3.評価結果
評価結果を表1に示す。
実施例である実験例1〜15は、下記要件(a)(b)(c)を満たしている。
・要件(a):軟磁性金属粒子の平均粒子径が5μm以上30μm以下である。
・要件(b):粒界相は、珪酸ソーダを主成分とするガラスを含んでいる。
・要件(c):圧粉磁心の断面構造にて50μm×50μmの正方形の範囲で、粒界相について直線距離30μmの長さのライン分析を3直線おこなった場合に、SiのNaに対するモル比A(Si/Na)Aが、
1.8≦A≦3.5
を充足する点が、1直線当たり平均して5点〜10点存在する(第1要件)。
これに対して、比較例である実験例16〜20は以下の要件を満たしていない。
実験例16では、要件aを満たしてない。
実験例17では、要件aを満たしてない。
実験例18では、要件cを満たしてない。
実験例19では、要件b、cを満たしてない。
実験例20では、要件cを満たしてない。
実施例である実験例1〜15は、比較例である実験例16〜20と比較して、ヒステリシス損失及び渦電流損失が共に少なかった。
また、実施例である実験例1〜15のうち、更に下記要件(d)を満たしている実験例5〜15は、ヒステリシス損失及び渦電流損失がより少なかった。
また、実施例である実験例5〜15のうち、更に下記要件(e)を満たしている実験例10〜15は、渦電流損失がより少なかった。

・要件(d):粒界相の平均厚みTaは、10nm以上300nm以下である((2.3)の第2要件に相当)
・要件(e):粒界相が連続して形成され、互いに相違する5以上の連続層を有し((2.4)の第3要件に相当)、かつ連続層の平均長さが115μm以上である((2.5)の第4要件に相当)。
4.実施例の効果
本実施例の圧粉磁心は、ヒステリシス損失及び渦電流損失が共に少なかった。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形又は変更が可能である。
本発明の圧粉磁心は、モーターコア、トランス、チョークコイル、ノイズ吸収体等の用途に特に好適に使用される。
1 …圧粉磁心
3 …軟磁性金属粒子
6 …粒界相
11 …一辺
13 …対向する辺
21 …連続層
C1 …仮想円
C2 …仮想円
E1 …終点
LH …垂直二等分線
O1 …交点
O2 …交点
S(S1〜S5)…始点
E(E1〜E5)…終点
Ta …平均厚み
Tn …厚み

Claims (3)

  1. 平均粒子径5μm以上30μm以下の軟磁性金属粒子と、粒界相と、を備えてなる圧粉磁心であって、
    前記粒界相は、珪酸ソーダを主成分とするガラスを含有し、
    前記圧粉磁心の断面構造にて100μm×100μmの正方形の範囲で、前記粒界相について直線距離30μmの長さのライン分析を3直線おこなった場合に、SiのNaに対するモル比A(Si/Na)が、
    1.8≦A≦3.5
    を充足する点が、1直線当たり平均して5点〜10点存在することを特徴とする圧粉磁心。
  2. 前記圧粉磁心の断面構造を150μm×150μmの正方形の第1視野で観察した際に、前記粒界相がH字状に配されている場所において、H字を構成する2本の縦線と1本の横線とが交差する2つの交点同士を直線で結んで、この直線の垂直二等分線を描いたときに、前記垂直二等分線が前記粒界相を横断する場所における横断幅を前記粒界相の厚みTnと定義し、
    前記粒界相の厚みを5カ所測定してTn(nは1〜5までの整数)をそれぞれ求め、Tn(nは1〜5までの整数)の平均である平均厚みTaを算出した場合に、
    前記平均厚みTaは、10nm以上300nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 前記圧粉磁心の断面構造を100μm×100μmの正方形の第2視野で観察した際に、前記第2視野を画する正方形の一辺上で、前記粒界相が存在する場所を始点として、正方形の前記一辺と対向する辺まで前記粒界相が連続して形成され、互いに相違する5以上の連続層を有し、
    前記連続層の、前記一辺から前記対向する辺までの経路の平均長さが115μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧粉磁心。
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