JP2020151826A - 研削装置の制御装置、プログラム、及び研削方法 - Google Patents

研削装置の制御装置、プログラム、及び研削方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ワークへの熱の蓄積を抑制し、かつエアカット時間を短縮することが可能な研削装置の制御装置を提供する。【解決手段】研削装置が、ワークに対して、ワークの表面内の一方向である送り方向に砥石を相対的に移動させる送り動作と、ワークの表面の送り方向と交差する改行方向に砥石を相対的に移動させる改行動作とを繰り返してワークを研削加工する。研削装置の制御装置が、改行動作を行うことなく、送り動作と砥石をワークに近付ける切込動作とを、ワークへの砥石の接触を検知するまで繰り返す接触検知制御を実行する。さらに、ワークへの砥石の接触を検知した後は、送り動作と改行動作とを繰り返して研削加工を行う研削制御を行う。【選択図】図2

Description

本発明は、研削装置の制御装置、研削装置の制御装置で実行されるプログラム、及び研削方法に関する。
砥石を回転させながら、砥石幅より広い幅のワークを研削加工する方法として、間欠トラバース研削方法やシフトプランジ研削方法が知られている。間欠トラバース研削方法では、ワークを砥石に対して幅方向と直交する方向に移動させる動作(送り動作)と、砥石幅以下の長さだけワークに対して砥石を幅方向にトラバースさせる動作(改行動作)とを繰り返す。全面を研削した後、砥石をワークに近付ける動作(切込動作)を行い、2層目の研削加工を行う(特許文献1)。シフトプランジ研削方法では、送り動作と切込動作とを繰り返し、目標とする深さまで研削を行う。その後、改行動作を行い、未加工の領域において送り動作と切込動作とを繰り返す(特許文献2)。
いずれの研削方法においても、砥石がワークに接触しない状態から接触する状態まで切込動作を行う必要がある。砥石がワークに接触していない状態で送り動作や改行動作を行うことをエアカットという。
特開平5−131363号公報 特開2002−307305号公報
間欠トラバース研削方法では、エアカットの期間中に、送り動作と改行動作とをワーク全面に対して行うごとに切込動作を実行する。このため、エアカット時間が長くなる。シフトプランジ研削方法では、エアカット期間中に送り動作と切込動作とを繰り返すため、間欠トラバース研削方法に比べてエアカット時間が短くなる。ただし、シフトプランジ研削方法では、1回の送り動作で研削される領域を継続して研削するため、研削によって発生した熱がワークに蓄積されやすい。その結果、ワークが熱によって歪んでしまう場合がある。
本発明の目的は、ワークへの熱の蓄積を抑制し、かつエアカット時間を短縮することが可能な研削装置の制御装置を提供することである。本発明の他の目的は、この制御装置で実行されるプログラムを提供することである。本発明のさらに他の目的は、ワークへの熱の蓄積を抑制し、かつエアカット時間を短縮することが可能な研削方法を提供することである。
本発明の一観点によると、
ワークに対して、前記ワークの表面内の一方向である送り方向に砥石を相対的に移動させる送り動作と、前記ワークの表面の前記送り方向と交差する改行方向に前記砥石を相対的に移動させる改行動作とを繰り返して前記ワークを研削加工する研削装置に対して、
前記改行動作を行うことなく、前記送り動作と前記砥石を前記ワークに近付ける切込動作とを、前記ワークへの前記砥石の接触を検知するまで繰り返す接触検知制御と、
前記ワークへの前記砥石の接触を検知した後は、前記送り動作と前記改行動作とを繰り返して研削加工を行う研削制御と
を行う研削装置の制御装置が提供される。
本発明の他の観点によると、上記研削装置の制御装置によって実行されるプログラムが
が提供される。
本発明のさらに他の観点によると、
ワークに対して、前記ワークの表面内の一方向である送り方向に砥石を相対的に移動させる送り動作と、前記ワークの表面の前記送り方向と交差する改行方向に前記砥石を相対的に移動させる改行動作とを繰り返して前記ワークを研削加工する研削方法であって、
前記改行動作を行うことなく、前記送り動作と前記砥石を前記ワークに近付ける切込動作とを、前記ワークへの前記砥石の接触を検知するまで繰り返し、
前記ワークへの前記砥石の接触を検知した後は、前記送り動作と前記改行動作とを繰り返して研削加工を行う研削方法が提供される。
接触検知制御において改行動作を行わないため、接触を検知するまでの時間(エアカット時間)を短縮することができる。研削制御においては改行動作と送り動作とを繰り返すため、検索により発生する熱が一箇所に蓄積されることを抑制することができる。
図1は、実施例による研削装置の制御装置、及びこの制御装置によって制御される研削装置の概略図である。 図2は、実施例による制御装置が実行する研削装置の制御のフローチャートである。 図3は、ワーク及び砥石の斜視図である。 図4Aは、実施例のステップS04からステップS08(図2)までの動作期間中におけるワークに対する砥石の相対的な移動の軌跡を模式的に示す図であり、図4Bは、従来の間欠トラバース研削方式におけるワークに対する砥石の相対的な移動の軌跡を模式的に示す図である。 図5A〜図5Eは、従来のシフトプランジ研削方式によりワークを砥石で研削する場合の研削途中段階におけるワークと砥石との位置関係を示す断面図である。 図6は、実施例の変形例による制御装置が搭載された研削装置の研削対象となるワークの平面図である。
図1〜図3を参照して、実施例による研削装置の制御装置について説明する。
図1は、実施例による研削装置の制御装置、及びこの制御装置によって制御される研削装置の概略図である。ベッド10に、ワークテーブル11及びコラム15が相互に直交する方向に摺動可能に支持されている。水平面をxy面とし、鉛直方向をz軸方向とするxyz直交座標系を定義する。
駆動装置41が、ベッド10に対してワークテーブル11をx軸方向に並進移動させる。駆動装置41には、例えば電動モータ、油圧シリンダ等が用いられる。駆動装置42が、ベッド10に対してコラム15をy軸方向に並進移動させる。駆動装置42には、例えば電動モータが用いられる。
ワークテーブル11にチャック12が取り付けられている。研削対象のワーク50がチャック12に固定される。
コラム15は、スピンドルヘッド16を介して砥石17をワークテーブル11の上方に支持している。スピンドルヘッド16に搭載された駆動装置43が、砥石17をy軸に平行な回転軸を中心として回転させる。駆動装置43には、例えば電動モータが用いられる。コラム15に搭載された駆動装置44が、コラム15に対してスピンドルヘッド16をz軸方向に昇降させる。
砥石17のドレッシングを行うドレッシング装置18が、例えばワークテーブル11の上に設けられている。なお、図1に破線で示したように、ドレッシング装置18を砥石17の直上に設けてもよい。コラム15を移動させ、スピンドルヘッド16を昇降させることにより、砥石17をドレッシング装置18の加工位置まで移動させることができる。砥石17をドレッシング装置18の加工位置まで移動させて、砥石17のドレッシングを行うことができる。
制御回路35、36、37、38が、それぞれ制御装置30からの指令により駆動装置41、42、43、44を制御する。制御装置30は、例えば中央処理ユニット(CPU)31、記憶装置32等を含むコンピュータで構成される。記憶装置32に、研削装置の動作を制御するためのプログラムが格納されている。CPU31がこのプログラムを実行することにより、研削装置によるワーク50の研削が行われる。
次に、図2を参照して、実施例による制御装置30が実行する制御について説明する。
図2は、実施例による制御装置30が実行する研削装置の制御のフローチャートである。まず、制御装置30は、砥石17の高さ調整、砥石17の回転、及びワーク50の移動の制御を行うことにより、1層目の研削を行う(ステップS01)。図3を参照して、ステップS01の動作について、詳細に説明する。
図3は、ワーク50及び砥石17の斜視図である。ワーク50は、平面視において矩形(正方形または長方形)の形状を持つ。まず、砥石17を昇降させて、過度の切り込みが生じない程度まで砥石17の高さを調整する。通常は、十分な安全性を確保するために、砥石17の下端がワーク50の上面よりもやや上方に位置するように砥石17の高さを調整する。
ワーク50の幅方向(y軸方向)に関して、ワーク50と砥石17との位置合わせを行う。例えば、y軸方向に関して、ワーク50の幅方向の縁が砥石17の幅内に収まり、砥石17の幅方向のほぼ全域がワーク50と重なる位置に砥石17を移動させる。砥石17を回転させた状態で、ワーク50をx軸方向(送り方向)に並進移動させる。ワーク50を送り方向に移動させる動作を送り動作という。ワーク50のx軸方向(長さ方向)に関して、砥石17がワーク50から外れる位置(図3において破線で示した位置)までワーク50が移動すると、砥石17をy軸方向(改行方向)に移動させる。砥石17を改行方向に移動させる動作を改行動作という。改行動作における改行方向への移動距離(改行幅)は、砥石17の幅とほぼ等しくする。
次に、改行動作後に、1回目の送り動作におけるワーク50の移動方向とは反対方向にワーク50を並進移動させる。その後、1回目の改行動作における砥石17の移動方向と同一方向に、同一距離だけ砥石17を移動させる。送り動作と改行動作とを繰り返すことにより、ワーク50の全面を砥石17で走査することができる。砥石17がワーク50に接触しない状態で行う走査をエアカットという。砥石17がワーク50に接触した時点から研削が始まる。研削が始まった後、ワーク50の全域の走査が終了するまで改行動作と送り動作とを繰り返す。これにより、1層目の研削が終了する。
次に、図2に示すように、砥石17のドレッシングを行うか否かを判定する(ステップS02)。例えば、ある決められた面積の研削を行うごとにドレッシングを行う。制御装置30がドレッシングを行うと判定した場合には、砥石17のドレッシングを行う制御を実行する(ステップS03)。ドレッシングが終了したら、砥石17を直近の研削表面の目標高さよりもやや高い位置まで昇降させる(ステップS04)。
実際に研削して得たれたワーク50の表面の高さは、砥石17の摩耗や、砥石17に加わる上方への力による砥石17の機械的な逃げ量等によって、目標とする表面の高さ(目標高さ)と一致するとは限らない。ステップS04では、ワーク50の表面の目標高さと、研削後の実際の高さとの誤差を考慮し、ワーク50の最終研削表面の目標高さよりも、例えば1層分の目標切り込み深さ(研削取り代の深さ)の1倍〜2倍程度高い位置に、砥石17の高さを設定する。
その後、制御装置30は、砥石17を回転させながら、1回の送り動作を行う(ステップS05)。この送り動作の期間中に砥石17がワーク50に接触したか否かを判定する(ステップS06)。砥石17のワーク50への接触の有無は、例えば駆動装置43の負荷を検出することにより判定することができる。砥石17がワーク50に接触していない状態では砥石17が空転するため、駆動装置43の負荷は回転軸の摩擦等のみであり、極わずかである。砥石17がワーク50に接触すると、駆動装置43の負荷が急激に大きくなる。駆動装置43の負荷の大きさは、駆動装置43の電動モータに流れる駆動電流の大きさに反映されるため、駆動電流の変動から、砥石17がワーク50に接触したか否かを判定することができる。なお、その他に、接触によって発生する音(アコースティックエミッション)を音響センサで検出することによって、砥石17がワーク50に接触したか否かを判定してもよい。
砥石17がワーク50に接触していない場合には、砥石17の切込動作を実行する(ステップS07)。具体的には、1回の切り込み量に相当する高さ分だけ砥石17を下降させる。切り込み動作後、ステップS05の送り動作を実行する。すなわち、改行動作を行うことなく、ワーク50の幅方向(y軸方向)の同じ位置に対して送り動作を行う。このように、制御装置30は、改行動作を行うことなく砥石17とワーク50との接触を検知する接触検知制御(ステップS05〜ステップS07)を行う。
ステップS06でワーク50への砥石17の接触を検出した場合には、送り動作と改行動作とを繰り返す研削制御を、ワーク50の全面に対して行う(ステップS08)。具体的には、1回の送り動作を行う度に、1回の改行動作を行う。このとき、改行動作時の改行幅は、砥石17の幅とほぼ等しくする。ステップS02でドレッシングを実行しないと判定した場合には、砥石17の1層分の切込動作を実行し(ステップS09)、その後ステップS08を実行する。
ステップS08においてワーク50の1層分の研削を行った後、目標深さまで研削したか否かを判定する(ステップS10)。目標深さまで研削していない場合には、ステップS02においてドレッシングを実行するか否かを判定する。その後は、ステップS03からステップS10までの手順を再度実行する。目標深さまで研削した場合には、ワーク50の研削加工を終了する。
次に、図4A及び図4Bを参照して、上記実施例の優れた効果を、従来の間欠トラバース研削方式と比較して説明する。
図4Aは、上記実施例のステップS04からステップS08(図2)までの動作期間中におけるワーク50に対する砥石17の相対的な移動の軌跡を模式的に示す図である。図4Aでは、3層分の切込動作(ステップS07)を行った後に、砥石17がワーク50に接触する例を示している。また、ワーク50の全面を研削するために3回の改行動作と4回の送り動作を行う例を示している。
図4Aのx軸方向の軌跡21は、ステップS05における送り動作を表している。軌跡21の終点から、直下の軌跡21の始点までのz軸方向の軌跡22は、ステップS07の切込動作を表している。上から1〜3本目の軌跡21が、エアカット期間中の軌跡に相当する。最も下の軌跡21が、砥石17がワーク50に接触したときの送り動作(ステップS05)に相当する。改行動作と送り動作とを繰り返している軌跡23は、ステップS08の研削の動作を表している。
図4Aに示すように、砥石17がワーク50に接触するまでは改行動作を行うことなく、送り動作と切込動作とを繰り返すため、図4Aに示した例では、エアカット期間中に3回の送り動作が行われる。
図4Bは、従来の間欠トラバース研削方式におけるワーク50に対する砥石17の相対的な移動の軌跡を模式的に示す図である。従来は、砥石17がワーク50に接触するまでの3層分のエアカット期間中も改行動作を行っている。3層分の切込動作を行った直後の送り動作において、砥石17がワーク50に接触する。このため、エアカット期間中に、12回の送り動作が実行される。
図4Aと図4Bとを比較してわかるように、実施例による制御装置30(図1)を用いて研削を行う場合には、従来の間欠トラバース研削と比べて、エアカット期間中の送り動作の回数が少なくなる。その結果、エアカット時間を短縮することが可能である。
次に、砥石17のドレッシング(図2のステップS03)を行った後、研削制御(図2のステップS08)を行う前に、砥石17がワーク50に接触するまでエアカットを行うことの効果について説明する。
砥石17で研削を継続していると、砥石17の摩耗が進み、実際に研削される深さが、目標とする研削深さより浅くなる。さらに、砥石17の目潰れや目詰まりにより、ワーク50から砥石17に対して加わるく上向きの力が大きくなる。その結果、上方向への砥石17の機械的な逃げ量が大きくなる。砥石17の機械的な逃げ量によっても、実際に研削される深さが、目標とする研削深さより浅くなる。
このように、砥石17のドレッシングを行う直前に研削したワーク50の表面の実際の高さは、目標とする高さよりも高くなっている。目標とする高さは、砥石17の切込量から求めることができるが、実際の高さを求めることは困難である。目標とする高さと実際の高さとの差を吸収するために、砥石17のドレッシング後は、砥石17の下端を、目標とする高さから一定の逃し量だけ高く設定して、エアカットを行う。本実施例では、砥石17のドレッシングを行った後に実行しなければならないエアカットの時間を短縮することができる。
次に、図5A〜図5Eを参照して、上記実施例の優れた効果を、従来のシフトプランジ研削方式と比較して説明する。
図5A〜図5Eは、従来のシフトプランジ研削方式によりワーク50を砥石17で研削する場合の研削途中段階におけるワーク50と砥石17との位置関係を示す断面図である。図5Aは、1回目の送り動作の1層目の研削時におけるワーク50と砥石17との位置関係を示す。ワーク50の表面からの切り込みの深さをD1で表している。砥石17の改行方向(y軸方向)に関して砥石17の大部分がワーク50に掛かり、端の極一部分がワーク50から外れている。砥石17の端の極一部分がワーク50から外れているのは、ワーク50と砥石17との位置合わせマージンを見込んでいるためである。
図5Bは、図5Aと同一の領域に対する送り動作の、最も下の層の研削時におけるワーク50と砥石17との位置関係を示す。直近の送り動作で現れた表面からの切り込み深さD1は、図5Aの送り動作のときの切り込み深さD1と等しい。同一の領域に対する複数回の送り動作によって、ワーク50の研削された領域と研削されていない領域との境界に段差51が形成される。砥石17の表面のうちワーク50に接触する領域は研削によって摩耗する。このため、砥石17の表面のうち、ワーク50に接触している領域とワーク50から外れている領域との境界にも段差19が形成される。
図5Cは、1回の改行動作を行った後の1層目の研削時におけるワーク50と砥石17との位置関係を示す。切り込み深さD1は、図5Aの送り動作のときの切り込み深さD1と等しい。改行幅は、砥石17の幅(y軸方向の寸法)とほぼ等しい。このため、ワーク50に形成されている段差51と、砥石17に形成されている段差19とのy軸方向の位置が一致する。段差19を境として高い方の面(砥石17の中心からの距離が遠い方の面)は、ワーク50に接触しない。このため、研削によって砥石17に形成されている段差19がますます高くなる。
図5Dは、図5Cと同一の領域に対する送り動作の、最も下の層の研削時におけるワーク50と砥石17との位置関係を示す。直近の送り動作で現れた表面からの切り込み深さD1は、図5Bの送り動作のときの切り込み深さD1と等しい。このとき、砥石17に形成された段差19を境として高い方の面がワーク50の表面に接触するため、接触領域が研削されてしまう。
図5Eは、図5Dに示した送り動作後のワーク50の表面形状を示している。図5Aから図5Bまでの複数の送り動作で現れた表面52Aと、図5Cから図5Dまでの複数の送り動作で現れた表面52Bとは、ほぼ同一の高さになる。ただし、砥石17に形成された段差19を境として高い方の面によって研削された位置に溝53が現れてしまう。仕上研削でこの溝53を除去する必要があるため、仕上研削に必要な時間が長くなってしまう。
これに比べて本実施例では、1回の送り動作を行うごとに改行動作を行う。1回目の送り動作で砥石17に段差19が形成されたとしても、その高さは、シフトプランジ研削方式の複数回の送り動作によって形成される段差19より低い。また、1回の送り動作で形成された段差19を境として高い方の面は、改行動作後の送り動作時にワーク50の表面に接触する。このため、段差19が累積的に高くなることはない。従って、本実施例では、図5Eに示した溝53の発生を抑制することができる。
また、従来のシフトプランジ研削方式では、ワーク50の同一の領域に対して繰り返し送り動作と切込動作とを行うため、研削により発生した熱が蓄積してワーク50が高温になりやすい。これに対し、本実施例では、砥石17がワーク50に接触する前は、改行動作を行うことなく同一の領域に対して送り動作と切込動作とを繰り返すが、砥石17がワーク50に接触した後は、改行動作と送り動作とを繰り返す。このため、ワーク50の特定の領域に熱が蓄積されることを抑制し、ワーク50の過度の温度上昇を抑制することができる。
次に、1層目の研削(図2のステップS01)においてエアカット期間中に改行動作を行わない手法を採用していないことの効果について説明する。
ワーク50は、前工程の影響により変形し、表面の平坦性が悪い場合がある。ワーク50の表面の最も高い箇所を見つけ出すことは困難である。図3のy軸方向(幅方向)に関して1箇所のみで送り動作と切込動作とを繰り返して砥石17がワーク50に接触するまで砥石17を下降させると、接触を検出した箇所より高い表面において、切り込みの深さが過度に大きくなってしまう場合がある。本実施例では、1層目の研削前にワーク50の全域に対してエアカットを実行するため、表面の高さが最も高い領域において切り込み深さが過度に大きくなってしまうことを抑制することができる。
次に、上記実施例の変形例について説明する。
上記実施例では、1層目の研削(図2のステップS01)を行う時には、ワーク50の全域に対してエアカットを行っている。これは、上述のように、ワーク50の表面高さにばらつきがあり、どの部分が最も高いかわからないからである。研削を行う前のワーク50の表面がほぼ平坦である場合には、1層目の研削時にも、ステップS05〜ステップS07の、改行動作を行わないエアカット(接触検知制御)を行ってもよい。
また、上記実施例では、ステップS08でワーク50の全域を1層分研削した後に、ステップS02で砥石17のドレッシングを行うか否かを判定しているが、ワーク50の表面の途中まで研削した時点で、砥石17のドレッシングを行うか否かを判定してもよい。この場合には、砥石17のドレッシングを行った後に、研削を中断した箇所からステップS04の手順を開始すればよい。
また、上記実施例では、ステップS08の研削時における改行動作の改行幅を、砥石17の幅とほぼ等しくしたが、砥石17の幅より小さくしてもよい。例えば、改行幅を砥石17の幅の約50%にしてもよい。
また、上記実施例による制御装置30は、平板の研削を行う研削装置の制御を行っているが、円柱状のワークの側面を研削する研削装置の制御を行うことも可能である。この場合、送り動作は、ワークを中心軸の周りに回転させる動作に対応し、送り方向はワークの側面の周方向に対応する。改行方向は、ワークの中心軸の方向に対応する。
また、上記実施例では、1回の送り動作を行うごとに改行動作を行うこととしたが、ワーク50の材料や切込条件によって、ワーク50への切込深さが浅く設定されている場合は、複数回(2回や3回)の送り動作を行うごとに改行動作を行ってもよい。この方法を採用すると、ワーク50の材質等によって精度よく加工することができる。
次に、図6を参照して上記実施例のさらに他の変形例について説明する。
図6は、本変形例による制御装置が搭載された研削装置の研削対象となるワーク50の平面図である。本変形例においては、ワーク50の表面を複数のゾーン55に区画する。制御装置30は、ゾーン55ごとに図2に示したフローチャートの手順を実行する。
ワーク50の改行方向の寸法が大きい場合、ステップS01においてワーク50の全域に対してエアカットを行っても、砥石17の耐久性から来る制約によって、一度に全域を研削できない場合がある。この場合、研削できない領域に対して行われたエアカットは無駄になってしまう。ワーク50の表面を複数のゾーン55に区分することにより、無駄なエアカットをなくすことができる。
上述の実施例及び変形例は例示であり、実施例及び変形例で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施例及び変形例の同様の構成による同様の作用効果については実施例及び変形例ごとには逐次言及しない。さらに、本発明は上述の実施例及び変形例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
10 ベッド
11 ワークテーブル
12 チャック
15 コラム
16 スピンドルヘッド
17 砥石
18 ドレッシング装置
19 段差
21、22、23、25 軌跡
30 制御装置
31 中央処理ユニット(CPU)
32 記憶装置
35、36、37、38 制御回路
41、42、43、44 駆動装置
50 ワーク
51 段差
52A、52B 研削によって現れた表面
53 溝
55 ワークの表面を区分したゾーン

Claims (5)

  1. ワークに対して、前記ワークの表面内の一方向である送り方向に砥石を相対的に移動させる送り動作と、前記ワークの表面の前記送り方向と交差する改行方向に前記砥石を相対的に移動させる改行動作とを繰り返して前記ワークを研削加工する研削装置に対して、
    前記改行動作を行うことなく、前記送り動作と前記砥石を前記ワークに近付ける切込動作とを、前記ワークへの前記砥石の接触を検知するまで繰り返す接触検知制御と、
    前記ワークへの前記砥石の接触を検知した後は、前記送り動作と前記改行動作とを繰り返して研削加工を行う研削制御と
    を行う研削装置の制御装置。
  2. 前記砥石のドレッシングを行う制御を行った後、前記研削制御を行う前に、前記接触検知制御を行う請求項1に記載の研削装置の制御装置。
  3. 前記ワークの表面を複数のゾーンに区画し、ゾーンごとに前記接触検知制御及び前記研削制御を行う請求項1または2に記載の研削装置の制御装置。
  4. ワークに対して、前記ワークの表面内の一方向である送り方向に砥石を相対的に移動させる送り動作と、前記ワークの表面の前記送り方向と交差する改行方向に前記砥石を相対的に移動させる改行動作とを繰り返して前記ワークを研削加工する研削装置に対して、
    前記改行動作を行うことなく、前記送り動作と前記砥石を前記ワークに近付ける切込動作とを、前記ワークへの前記砥石の接触を検知するまで繰り返す接触検知制御と、
    前記ワークへの前記砥石の接触を検知した後は、前記送り動作と前記改行動作とを繰り返して研削加工を行う研削制御と
    を行う研削装置の制御装置に実行させるプログラム。
  5. ワークに対して、前記ワークの表面内の一方向である送り方向に砥石を相対的に移動させる送り動作と、前記ワークの表面の前記送り方向と交差する改行方向に前記砥石を相対的に移動させる改行動作とを繰り返して前記ワークを研削加工する研削方法であって、
    前記改行動作を行うことなく、前記送り動作と前記砥石を前記ワークに近付ける切込動作とを、前記ワークへの前記砥石の接触を検知するまで繰り返し、
    前記ワークへの前記砥石の接触を検知した後は、前記送り動作と前記改行動作とを繰り返して研削加工を行う研削方法。
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