JP2020151739A - 熱延コイルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱間圧延工程において熱延鋼板のコイルを製造するに際し、当該コイルにおけるテレスコープの発生を抑制する。【解決手段】熱間圧延工程において、板幅に対する仕上板厚の比が0.0083以上の熱延鋼板をコイラーにより巻き取ってコイルを製造する方法であって、熱延鋼板の先端が仕上圧延機の最終スタンドを出てから前記コイラーに巻き付くまでは、当該熱延鋼板に中波が形成されるように、前記仕上圧延機の少なくとも前記最終スタンドにおいて熱延鋼板のクラウンを制御する。【選択図】図8

Description

本発明は、熱間圧延工程においてコイラーにより熱延鋼板を巻き取ってコイルを製造する方法に関する。
熱間圧延工程において仕上げ圧延後の熱延鋼板は、仕上圧延機からコイラーまでをランアウトテーブルによって搬送される間に、冷却装置によって所定の温度まで冷却された後、コイラー(マンドレル)に巻き取られてコイル(熱延コイル)として製造される。そして、コイルは、一旦所定の巻き取り温度で巻き取られた後にコイルヤードに搬送され、常温に冷却された後、ユーザーに出荷、あるいは次工程へ搬送される。
このように製造されるコイルには、いわゆるテレスコープが発生する場合がある。テレスコープは、コイラーでの巻き取り時に熱延鋼板がたけのこ状に一方向に巻きずれるたけのこテレスコープ、お椀状に巻きずれるお椀型テレスコープ、段差状に巻きずれるギザ巻きテレスコープ等がある。今回対象とするテレスコープは図1及び図2に示すようにコイルCの側面において、熱延鋼板Hの板幅方向に凹凸が生じるギザ巻きテレスコープ現象である。特に、熱延鋼板Hの板厚が大きい場合には、所定周期で凹凸が繰り返され、ギザギザ状のテレスコープJ(以下、ギザ巻きテレスコープJという場合がある)が発生しやすい。このようにギザ巻きテレスコープが発生すると、例えばコイルを搬送する際に、コイル側面の突出部分が折れ込み、損傷するおそれがある。また次工程において、例えばコイルを巻きほどいて製管する場合、熱延鋼板を適切に溶接することができず、歩留まりが低下する。そこで、ギザ巻きテレスコープを低減することは重要となる。
特許文献1には、熱間圧延ラインの巻取装置において、一対のピンチロールが被圧延材(熱延鋼板)を曲げる曲げモーメントと同方向の曲げモーメントを作用させるガイドロールを、一対のピンチロールに付設することが開示されている。このように熱延鋼板に曲げモーメントを作用させることで、当該熱延鋼板に作用する張力を確保し、テレスコープの抑制を図っている。
特許文献2には、コイラーでのコイルの巻形状を安定化させるため、ピンチロールのレベリングを制御することが開示されている。具体的には、巻取中のコイルについて、コイラー入側での入側オフセンタ量を測定し、その測定結果に基づいて、ピンチロールのレベリングをフィードフォワード制御する。また、巻取り中コイルのテレスコ量および/または巻取前オフセンタ量を測定し、その測定結果に基づいて、ピンチロールのレベリングをフィードバック制御する。
特許文献3には、テレスコープが発生したコイルに対し、その側面に形成された巻不揃いを修正する方法が開示されている。この方法では、吊持ちされたコイルを両端側から押圧して、巻不揃いを修正している。
特開2011−73036号公報 特開2001−179332号公報 特開2005−186073号公報
しかしながら、本発明者らが種々の条件で巻き取られたコイルの形状について詳細に調べたところ、特許文献1に開示されたように熱延鋼板に作用する張力を確保しただけでは、ギザ巻きテレスコープを十分に抑制できないことが分かった。また、特許文献2に開示されたようにピンチロールのレベリングを制御する場合でもやはり、ギザ巻きテレスコープを十分に抑制できないことが分かった。なお、これらギザ巻きテレスコープを抑制できない具体的な原因については、本発明者らが解明した、ギザ巻きテレスコープの発生メカニズムから明らかであり、後述する。
また、特許文献3に開示された方法は、ギザ巻きテレスコープの発生自体を抑制するものではなく、熱延鋼板を巻き取った後、別途コイルの巻不揃いを修正するものである。したがって、この巻不揃いの修正に手間やコストがかかる。
以上のように、従来、ギザ巻きテレスコープを十分に抑制するには改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、熱間圧延工程において熱延鋼板のコイルを製造するに際し、当該コイルにおけるテレスコープの発生を抑制することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を行った結果、ギザ巻きテレスコープが発生するメカニズムが解明された。具体的に、仕上げ圧延後の熱延鋼板の幅方向端部に耳波と呼ばれる波状の面外変形が生じた場合、あるいは熱延鋼板が平坦の状態では、ギザ巻きテレスコープが発生しやすいことが明らかになった。そこで、本発明者らは、ギザ巻きテレスコープの発生を抑制するためには、仕上げ圧延後の熱延鋼板に中波を形成すればよいことを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、熱間圧延工程において、板幅に対する仕上板厚の比が0.0083以上の熱延鋼板をコイラーにより巻き取ってコイルを製造する方法であって、熱延鋼板の先端が仕上圧延機の最終スタンドを出てから前記コイラーに巻き付くまでは、当該熱延鋼板に中波が形成されるように、前記仕上圧延機の少なくとも前記最終スタンドにおいて熱延鋼板のクラウンを制御することを特徴としている。なお、本発明における中波とは、少なくとも熱延鋼板の幅方向中央部において、圧延方向に周期的に波高さが変動するように形成される波形状を示すものである。
前記熱延コイルの製造方法では、前記コイラーにおいて、巻取張力を7MPa以上として熱延鋼板を巻き取るようにしてもよい。
前記熱延コイルの製造方法では、前記コイラーにおける一対のピンチロール間の間隔を、熱延鋼板の板厚より0.5mm以上大きくした状態で、当該熱延鋼板を前記コイラーにより巻き取るようにしてもよい。
本発明によれば、熱延鋼板の先端が仕上圧延機の最終スタンドを出てからコイラーに巻き付くまでは、当該熱延鋼板に中波が形成されるので、テレスコープの発生を抑制することができる。
熱延コイルにギザ巻きテレスコープが発生した様子を示す説明図である。 熱延コイルにギザ巻きテレスコープが発生した様子を示す説明図である。 熱間圧延設備の仕上圧延機以降の構成の概略を示す説明図である。 コイラーの構成の概略を示す説明図である。 ギザ巻きテレスコープが発生するメカニズムを示す説明図である。 熱延鋼板に耳波が形成された様子を示す説明図である。 熱延鋼板に中波が形成された様子を示す説明図である。 熱延鋼板に作用する張力と熱延鋼板の形状との関係を示す説明図である。 ギザ巻きテレスコープの発生率と巻取張力との関係を示すグラフである。 ピンチロールと熱延鋼板との関係を示す説明図である。 ギザ巻きテレスコープの発生率とピンチロールギャップとの関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<熱間圧延設備>
まず、本発明に係る熱間圧延設備の構成について説明する。図3は、熱間圧延設備1の仕上圧延機2以降の構成の概略を示す説明図である。
熱間圧延設備1には、加熱炉(図示せず)から排出され粗圧延機(図示せず)で圧延された鋼板Hを所定の厚みに連続圧延する仕上圧延機2、仕上げ圧延後の鋼板H(以下、熱延鋼板H)を所定温度まで冷却する冷却装置3、冷却された熱延鋼板Hを巻き取るコイラー4が、熱延鋼板Hの搬送方向にこの順で設けられている。仕上圧延機2とコイラー4との間には、熱延鋼板Hを搬送するランアウトテーブル5が設けられている。そして、仕上圧延機2で圧延された熱延鋼板Hは、ランアウトテーブル5上で搬送中に冷却装置3によって冷却された後、コイラー4に巻き取られてコイルCとして製造される。
仕上圧延機2は、複数の仕上圧延スタンド、例えば図3に示すように第1スタンドF1〜第7スタンドF7の7つの仕上圧延スタンドから構成されている。本実施形態では、第7スタンドF7が最終スタンドとなる。なお、各圧延スタンドにはそれぞれ上下一対の圧延ロール(ワークロール)やバックアップロール等が設けられているが、これら各圧延スタンド等の構成は公知であるため、詳細な説明は省略する。
図4は、コイラー4の構成の概略を示す説明図である。なお、図4の例は、コイラー4での巻き取り操業開始の状態を示している。コイラー4は、ピンチロール10、シュート11、マンドレル12、及びラッパーロール13を有している。
コイラー4では、熱延鋼板Hを一対のピンチロール10a、10bでマンドレル12の方向にベンディングし、シュート11を通過させる。ここで、熱延鋼板Hの先端がマンドレル12に到達する前までは、ラッパーロール13は閉となっており(マンドレル12と接触)、互いに鋼板速度より数%増速した速度で回転しながら待機している。そして、熱延鋼板Hがマンドレル12とラッパーロール13に到達すると、これらマンドレル12とラッパーロール13で熱延鋼板Hを挟み込みながら巻き取る。
<ギザ巻きテレスコープの発生メカニズム>
本実施形態では、以上の構成の熱間圧延設備1で製造されるコイルCにおいて、図1及び図2に示したギザ巻きテレスコープの発生を抑制する。まず、本発明らはギザ巻きテレスコープが発生するメカニズムを解明した。
図5は、ギザ巻きテレスコープが発生するメカニズムを示す説明図である。なお、図5において、マンドレル12から離れた位置に図示された熱延鋼板Hは、マンドレル12に巻き取られる直前の熱延鋼板Hの状態を示している。
仕上圧延機2の第7スタンドF7の出側において熱延鋼板Hは蛇行し、図5(a)に示すように熱延鋼板Hの先端がマンドレル12に到達した際にキャンバー(横曲がり)が発生する場合がある。すなわち、熱延鋼板Hの巻き取り開始時にオフセンターが生じ、圧延ラインの中心Rcに対して熱延鋼板Hの先端の中心Hcがずれる。かかる場合、熱延鋼板Hには張力T(図5中の斜線部)が作用する。例えば熱延鋼板Hが左側に曲がると、幅方向の右側端部に作用する張力Tは、左側端部に作用する張力Tよりも大きくなり、左右端部で張力差が生じる。そうすると張力Tの復元力、いわゆる糸巻効果により、図5(b)に示すように熱延鋼板Hは中立位置に戻る。中立位置は、オフセンターでない位置であり、熱延鋼板Hの先端の中心Hcと圧延ラインの中心Rcが一致する位置である。
しかしながら、図5(a)に示すように熱延鋼板Hが中立位置からずれている間に、上述したように例えば熱延鋼板Hが左側に曲がると、板幅方向の右側端部に作用する張力Tが大きくなり、当該熱延鋼板Hの右側が伸びる。すなわち、熱延鋼板Hが巻きずれる進行方向側の幅方向断面張力Tが大きくなり伸びる。そうすると、この熱延鋼板Hの右側の巻き付きが遅れ、図5(b)に示すように中立位置になっても、熱延鋼板Hのマンドレル12への巻き付け角度が3次元的な湾曲変形で直角に戻らない。このため、中立位置になっても板幅方向の張力差は解消されず、図5(b)中の矢印で示すように熱延鋼板Hは中立位置より反対側に移動する。そして、図5(c)に示すように熱延鋼板Hの幅方向に幾何学的な中立点、すなわち左右端部の接触状態が同じ位置になると、幅方向の張力差がなくなり、巻きずれが停止する。
巻きずれが停止した状態で、図5(d)に示すように熱延鋼板Hが巻き重なると、それまでの巻きずれによってコイルの下面の面圧が低下し、反対側の面圧が増加するため、幅方向の張力差がつき始める。そうすると、図5(d)中の矢印で示すように熱延鋼板Hは反対側に向かって移動し、巻きずれが発生する。このように図5(a)〜(d)の状態が周期的に繰り返され、熱延鋼板Hが振動して、ギザ巻きテレスコープが発生する。
また別の見方として、ギザ巻きテレスコープのメカニズムは糸巻効果だけでも説明できる。
(1)一旦巻き取り開始時に曲がり等でオフセンターが発生し、糸巻き効果でマンドレルに対し、熱延鋼板が直角(幾何学的中立点、すなわちマクロ的にピンチロールとマンドレルで幅方向板位置が一致する状態)に巻き付こうとする。しかしマンドレルに対し熱延鋼板が見掛けの直角で巻き付く位置になっても、さらに巻きずれが生じるのは1周前の熱延鋼板からの巻きずれの影響で幾何学的には進行方向に3次元的に(板厚及び幅方向)湾曲しており、左右等しく接触して巻き取るまでには至っていないからである。
(2)ギザ巻きテレスコープ現象は中立位置で熱延鋼板のウォークが停止せず行き過ぎる。その原因は熱延鋼板が中立位置からずれている間、寄った側の板張力が大きくなることにある。すなわち、板張力が大きくなることで寄った側の熱延鋼板がマンドレル入側で伸びるため、マンドレルへの巻きつきが遅れ、この遅れによって中立位置になっても熱延鋼板のマンドレルへの巻きつけ角が直角に戻らないため、行き過ぎて振動現象になるのである。
なお、以上のメカニズムでギザ巻きテレスコープが発生するが、上述した特許文献1に開示されたように熱延鋼板に作用する張力を確保する場合や、特許文献2に開示されたようにピンチロールのレベリングで板を弾性変形させて制御する場合では、熱延鋼板の振動までを抑制することはできない。このため、従来の方法ではギザ巻きテレスコープを十分に抑制すことはできない。
<ギザ巻きテレスコープと熱延鋼板の板幅及び仕上板厚との関係>
次に、ギザ巻きテレスコープと熱延鋼板の板幅及び仕上板厚との関係について説明する。本発明者らは、熱延鋼板の板幅と仕上板厚を変動させてシミュレーションを行った。このシミュレーションでは、板幅と仕上板厚に対して、ギザ巻きテレスコープが発生したか否かを調べた。なお、ここでは、図2に示されるギザ巻きの高さが2mm以上の場合をギザ巻きの発生有りとし、ギザ巻きの高さが2mm未満の場合をギザ巻きの発生無しとした。一般に、ギザ巻きの高さが2mm未満であれば、コイルを搬送する場合に、コイル側面の突出部分が折れ込むことはなく、また、コイルを巻きほどいて製管する場合にも、熱延鋼板を適切に溶接することができるからである。
シミュレーション結果を表1に示す。表1を参照すると、板幅wに対する仕上板厚tが大きいと、ギザ巻きテレスコープが発生しやすいことが分かった。これは、板幅wに対する仕上板厚tが大きいと、熱延鋼板に作用する張力が大きくなり、上述した熱延鋼板の振動が継続しやすいためであると推察される。そして具体的には、板幅wに対する仕上板厚tの比t/wが、0.0083以上(t/w≧10/1200)の場合、ギザ巻きテレスコープが発生した。そこで、本実施形態は、t/wが0.0083以上の熱延鋼板を対象とする。
Figure 2020151739
<ギザ巻きテレスコープと熱延鋼板の形状との関係>
次に、ギザ巻きテレスコープと熱延鋼板の形状との関係について説明する。ここで、仕上げ圧延後の熱延鋼板の形状としては、例えば平坦形状、耳波が形成された形状、中波が形成された形状が挙げられる。
耳波は、熱延鋼板の幅方向端部において、圧延方向に周期的に波高さが変動するように形成される波形状の面外変形である。図6(a)は理解し易いように非常にシンプルに示した熱延鋼板Hの平面図であり、図6(b)は熱延鋼板HのA−A断面のプロファイルを示している。熱延鋼板Hの幅方向端部(図6(a)中の斜線部)には耳波が存する耳波部Weが形成され、幅方向中央部には平坦部Fが形成されている。なお、熱延鋼板Hにおいて、図6(a)の板幅中心Hcを回転軸にした矢印方向、すなわち板幅方向の曲げ変形に対する耳波部Weの剛性は小さく、平坦部Fの剛性は大きい。
中波は、熱延鋼板の幅方向中央部において、圧延方向に周期的に波高さが変動するように形成される波形状の面外変形である。図7(a)は熱延鋼板Hの平面図であり、図7(b)は熱延鋼板HのB−B断面とC−C断面のプロファイルを示している。熱延鋼板Hの幅方向中央部(図7(a)中の斜線部)には中波が存する中波部Wmが形成され、幅方向端部には平坦部Fが形成されている。なお、熱延鋼板Hにおいて、図7(a)の板幅中心Hcを回転軸にした矢印方向、すなわち板幅方向の曲げ変形に対する中波部Wmの剛性は小さく、平坦部Fの剛性は大きくなる。耳波に対して中波は幅中央部の回転中心に対して離れたエッジ部で剛性が高いため曲げ剛性が高い。
上述した図5に示したように、熱延鋼板Hの先端がマンドレル12に到達した際にキャンバーが発生すると、当該熱延鋼板Hには張力Tが作用する。図8は、この張力Tと熱延鋼板Hの形状との関係を示している。
ここで、ギザ巻きテレスコープと熱延鋼板Hの形状との関係は、張力Tに基づいて、次の2つの指標から説明される。1つ目の指標は、張力Tが作用する見かけ上の板幅である。上述した表1に示したように、この張力Tが作用する見かけ上の板幅が大きいとギザ巻きテレスコープが発生しにくい。一方、板幅が小さいとギザ巻きテレスコープが発生しやすい。2つ目の指標は、張力Tによる摩擦力である。熱延鋼板Hに作用する張力Tが小さいと巻きつく際の張力によって生じる鋼板間の面圧が小さくなることで巻きずれに対して抑制しようと働く摩擦力が低減するその結果、ギザ巻きテレスコープが発生し易くなる。一方、張力Tが大きいと面圧が大きくなり、摩擦力が大きくなりギザ巻きテレスコープが発生し難くなる。
図8(a)に示すように熱延鋼板Hの幅方向端部に耳波部Weが形成される場合、耳波部Weの剛性が小さいため、当該耳波部Weには張力Tが作用しない。一方、平坦部Fの剛性は大きいため、当該平坦部Fに張力Tが作用する。かかる場合、1つ目の指標である、張力Tが作用する見かけ上の板幅が小さくなるため、ギザ巻きテレスコープが発生しやすくなる。
図8(b)に示すように熱延鋼板Hの幅方向全体が平坦部Fとなる場合、当該平坦部Fに張力Tが作用する。かかる場合、2つ目の指標である、張力Tによる平均的な摩擦力が生じ、ギザ巻きテレスコープが発生しやすくなる。
一方、図8(c)に示すように熱延鋼板Hの幅方向中央部に中波部Wmが形成される場合、中波部Wmの剛性が小さいため、当該中波部Wmには張力Tが作用しない。一方、平坦部Fの剛性は大きいため、当該平坦部Fに張力Tが作用する。かかる場合、1つ目の指標である、張力Tが作用する見かけ上の板幅は、図8(a)に示した耳波部Weが形成される場合に比べて大きく、ギザ巻きテレスコープは発生しにくい。また、2つ目の指標である、張力Tによる摩擦力は、図8(b)に示した幅方向全体が平坦部Fとなる場合に比べて面圧が大きく摩擦力が大きくなるため、ギザ巻きテレスコープは発生しにくい。そうすると、板幅に対する平坦部Fの比率で摩擦力が上昇するため耳波でも中波でも平坦部Fの面積が等しければ摩擦力は上昇するが、中波の場合は1つ目の指標(曲げ剛性)の影響で総合的にギザ巻きテレスコープは発生しにくくなる。
以上のように、仕上げ圧延後の熱延鋼板Hに耳波部Weが形成される場合、あるいは熱延鋼板Hの幅方向全体が平坦部Fとなる場合は、ギザ巻きテレスコープが発生しやすい。一方、熱延鋼板Hに中波部Wmが形成される場合は、若干剛性は低下するが、接触面積が小さくなることで面圧が大きくなり、摩擦力が大きくなることでギザ巻きテレスコープが発生しにくい。
<ギザ巻きテレスコープの抑制方法>
以上の知見に基づき、本発明者らは、ギザ巻きテレスコープの発生を抑制するためには、仕上げ圧延後の熱延鋼板に中波を形成すればよいことを見出した。なお、上述したように熱延鋼板の対象は、板幅に対する仕上板厚の比が0.0083以上の鋼板である。
仕上げ圧延後の熱延鋼板に中波を形成する範囲は、熱延鋼板の先端がマンドレルに巻き付くまでであり、例えば先端から150m〜200mの範囲である。以下の説明においては、この熱延鋼板の範囲を先端部という場合がある。なお、熱延鋼板の先端部以降の範囲では、仕上げ圧延後の第7スタンドにおいて熱延鋼板に張力が発生するため、中波は発生し難くなるし、上述したギザ巻きテレスコープの発生メカニズムからも先端部のキャンバーを含む横曲り量の大小で発生するので先端で発生しなければギザ巻きテレスコープは発生しにくい。
図3に示した熱間圧延設備1において、ギザ巻きテレスコープを抑制するために、仕上圧延機2で熱延鋼板Hに中波を形成する方法は任意である。例えば仕上圧延機2の第7スタンドF7において、熱延鋼板Hのクラウンを制御する方法がある。具体的には、ワークロールにベンダー(図示せず)によりモーメントをかけ、当該ワークロールの幅方向中央部を突出させる。そうすると、このワークロールにより熱延鋼板Hの幅方向中央部が押圧されることになるので、当該熱延鋼板Hに中波が形成される。なお、仕上圧延機2の他の仕上圧延スタンドF1〜F6においても同様に、熱延鋼板Hに中波を形成してもよい。また、仕上圧延機2における圧延荷重を変動させることにより、熱延鋼板Hに中波を形成することも可能である。
以上のように、仕上げ圧延後の熱延鋼板に中波を形成することで、ギザ巻きテレスコープの発生を抑えることができる。なお、熱延鋼板に形成する中波の急峻度は特に限定されるものではないが、例えば0%より大きく、かつ4%以下である。4%より大きくなるとコイルを巻き解いた時の平坦度が悪く、形状を矯正しなければならなくなるので適当ではない。
<ギザ巻きテレスコープと巻取張力との関係>
次に、ギザ巻きテレスコープと熱延鋼板の巻取張力との関係について説明する。本発明者らは、上述したようにギザ巻きテレスコープを抑制するためには、仕上げ圧延後の熱延鋼板に中波を形成すればよいが、さらにギザ巻きテレスコープを抑制するためには、コイラー(マンドレル)で熱延鋼板を巻き取る際の巻取張力を大きくすればよいことを見出した。
本発明者らは、巻取張力を変動させてシミュレーションを行った。そして、巻取張力に対するギザ巻きテレスコープの発生率を調べた。そのシミュレーションの結果を図9に示す。図9を参照すると、巻取張力が7MPaより小さいと、ギザ巻きテレスコープが発生する場合があることが分かった。換言すれば、巻取張力が7MPa以上になると、ギザ巻きテレスコープの発生を抑制できることが分かった。
<ギザ巻きテレスコープとピンチロールの間隔との関係>
次に、ギザ巻きテレスコープとピンチロールの間隔との関係について説明する。本発明者らは、上述したようにギザ巻きテレスコープを抑制するためには、仕上げ圧延後の熱延鋼板に中波を形成すればよいが、さらにギザ巻きテレスコープを抑制するためには、ピンチロールの間隔を熱延鋼板の板厚より大きくすればよいことを見出した。すなわち、図10に示すように一対のピンチロール10a、10bの間隔L1は、熱延鋼板Hの板厚L2よりも大きい。
本発明者らは、ピンチロールの間隔を変動させてシミュレーションを行った。そして、ピンチロールの間隔に対するギザ巻きテレスコープの発生率を調べた。そのシミュレーションの結果を図11に示す。図11には、ピンチロールギャップとして、ピンチロール10a、10bの間隔L1と熱延鋼板Hの板厚L2の差(=L1−L2)を示している。図11を参照すると、ピンチロールギャップが0.5mmより大きいと、ギザ巻きテレスコープが発生する場合があることが分かった。換言すれば、ピンチロールギャップが0.5mm以上になると、ギザ巻きテレスコープの発生を抑制できることが分かった。
なお、ピンチロールのそもそもの作用は、熱延鋼板をベンディングすることであるが、上述したようにピンチロールギャップを大きくしても熱延鋼板のベンディング作用には問題はない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、熱間圧延工程においてコイラーにより熱延鋼板を巻き取ってコイルを製造する際に有用である。
1 熱間圧延設備
2 仕上圧延機
3 冷却装置
4 コイラー
5 ランアウトテーブル
10(10a、10b) ピンチロール
11 シュート
12 マンドレル
13 ラッパーロール
F1〜F7 仕上圧延スタンド
C コイル
H 熱延鋼板

Claims (3)

  1. 熱間圧延工程において、板幅に対する仕上板厚の比が0.0083以上の熱延鋼板をコイラーにより巻き取ってコイルを製造する方法であって、
    熱延鋼板の先端が仕上圧延機の最終スタンドを出てから前記コイラーに巻き付くまでは、当該熱延鋼板に中波が形成されるように、前記仕上圧延機の少なくとも前記最終スタンドにおいて熱延鋼板のクラウンを制御することを特徴とする、熱延コイルの製造方法。
  2. 前記コイラーにおいて、巻取張力を7MPa以上として熱延鋼板を巻き取ることを特徴とする、請求項1に記載の熱延コイルの製造方法。
  3. 前記コイラーにおける一対のピンチロール間の間隔を、熱延鋼板の板厚より0.5mm以上大きくした状態で、当該熱延鋼板を前記コイラーにより巻き取ることを特徴とする、請求項1又は2項に記載の熱延コイルの製造方法。
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