JP2020148249A - 耐圧容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い耐圧性を得ることができる技術を提供する。【解決手段】耐圧容器100は、本体部11と、本体部11を補強する抄造部12と、を備え、抄造部12は、合成樹脂と、当該合成樹脂中に分散した繊維フィラーとを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、耐圧容器に関する。
従来、耐圧容器として、容器本体の外面に繊維強化部材を巻き付けてその容器本体を補強したものが知られている。例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂からなる容器の外周面に補強用の繊維フィラメントを巻きつけて当該容器の耐圧力を高めることが開示されている。
特開2017−20651号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術は、繊維強化部材を容器本体の外面に巻きつけるものであるため、巻きつけるための高度な技術や設備が必要となり、繊維強化部材が適切に巻きつけなければ十分な耐圧性が得られない場合があった。そのため、安定的に耐圧性が得られるものではなかった。
そこで、本発明者は、より安定的に高い耐圧性を得る観点から検討を行った結果、合成樹脂と、当該合成樹脂中に分散した繊維フィラーとを含む抄造部を用いることで、容器本体を安定的に補強でき、より高い耐圧性が得られることを知見した。
本発明によれば、
本体部と、
前記本体部を補強する抄造部と、
を備え、
前記抄造部は、合成樹脂と、当該合成樹脂中に分散した繊維フィラーとを含む、耐圧容器が提供される。
本発明によれば、高い耐圧性が得られる耐圧容器を提供できる。
第1施形態の耐圧容器を示す断面模式図である。 第2実施形態の耐圧容器を示す断面模式図である。 本実施形態の抄造体を得る工程を示す工程模式図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態の耐圧容器100は、本体部11と、本体部11を補強する抄造部12と、を備える。以下、各部材に関し、詳細を説明する。
〔本体部〕
本体部11は、液体や気体等の媒体を収容するものであり、内面に液圧や気圧がかかる構成となっている。本実施形態において本体部11は、筒状胴部101と、底部102とを有し、底部102の外面に抄造部12が設けられている。すなわち、抄造部12が、本体部11の外面に設けられている。
本体部11の形状は、特に限定されないが、効果的に応力を分散できる観点から、円筒状であることが好ましい。
本体部11の厚みは、耐圧容器の用途に応じて適宜設計することができる。
本体部11は、樹脂組成物により形成されたものである。強度を得る観点から、本体部11は、熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。これにより、機械的強度が得られ、より安定的に耐圧性を高めることができる。熱硬化性樹脂としては、後述する抄造部12と同様のものを用いることができる。本体部11の熱硬化性樹脂は、抄造部12と同じであってもよく、異なっていてもよい。本体部11と抄造部12の密着性を高める観点からは、両者は同じ熱硬化性樹脂であることが好ましい。
〔抄造部〕
本実施形態において抄造部12は、本体部11を補強するよう構成されている。すなわち、抄造部12は内圧による耐圧容器100の変形を安定的に抑制するために、本体部11の少なくとも一部に一体化されている。
ここで、本発明者の知見によれば、耐圧容器100の変形や破壊のメカニズムは、以下のように考えられる。まず、耐圧容器100の底部102の中心が形状的に最も変形する箇所であり、底部102の中心が凸部となるように、底部102全体が変形する。そして、かかる底部102の変形に引っ張られるようにして、底部102と筒状胴部101との接合部(底部102の外縁)に応力がかかり、底部102や筒状胴部101が破壊すると考えられる。そのため、本実施形態においては、抄造部12により、底部102にかかる変形を抑制して底部102のひずみを低減したり、底部102と筒状胴部101との接合部に応力が集中することを抑制することが重要となる。
本実施形態において、抄造部12は、本体部11の底部102全体を覆うようにして配置されている。これにより、底部102に集中する内圧に対し、底部102の変形を抑制し、その結果、高い耐圧性を発揮することができる。
なお、抄造部12は、本体部11の底部102の少なくとも一部を覆うものであればよく、その平面形状は、本体部11の底部102の形状に合わせて適宜設定される。抄造部12は、少なくとも、本体部11の底部102のうち最も圧力が高くなる領域に配置されていることが好ましい。具体的には、底部102の中心を含む領域であることが好ましい。
また、抄造部12の平面視における面積(mm)は、本体部11の底面積(mm)に対して、90〜100%であることが好ましい。本体部11の底面積(mm)に対する抄造部12の平面視における面積(mm)を上記下限値以上とすることで、底部102の変形を抑制し、その結果、高い耐圧性を発揮することができる。
抄造部12の厚み(mm)は、特に限定されないが、本体部11の底部102の厚み(mm)に対して、0.1〜1.0倍が好ましく、0.25〜0.5倍であることがより好ましい。
本実施形態において抄造部12は、合成樹脂と、当該合成樹脂中に分散した繊維フィラーとを含む。抄造部12は、いわゆる抄造体からなるものであり、抄造体を完全硬化させた硬化物である。
なお、抄造体は、繊維材料を漉く手法を使用して得られた物の状態を示す技術用語として一般的に使用されている。この状態は、例えば、特許第4675276号公報、特許第5426399号公報に記載されている。同文献によれば、当該抄造体は、繊維や樹脂等の原料を分散媒に分散させた原料スラリーから、液体分が脱水され、フィルター上に残った湿潤状態の固形分を指す、と記載されている。ここでいう上記湿潤状態とは、乾燥及び加熱処理を施す前の硬化状態、すなわち、ポストキュア前の硬化状態を意味する。
また、同文献によれば、当該抄造体は、成形型内で加熱して乾燥成形することにより得られる成形体に利用される。すなわち、抄造体は成形材料として用いられると記載されている。
[合成樹脂]
上記の合成樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられるが、高い耐圧性を得る観点から、熱硬化性樹脂を含むことが好ましい。
上記の熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、及びポリウレタンの中から選択される一種又は二種以上が挙げられる。なかでも、高い耐圧性を得る観点から、フェノール樹脂、エポキシ樹脂を含むことが好ましく、フェノール樹脂を含むことがより好ましい。これにより、耐圧容器100の全体の強度を向上でき、単繊維の分散性をより向上できる。
合成樹脂の含有量は、抄造部12全体に対して、好ましくは5重量%以上であり、より好ましくは15重量%以上であり、さらに好ましくは20重量%以上である。これにより、耐圧容器100の加工性や軽量性をより効果的に向上させることができる。
一方で、合成樹脂の含有量は、抄造部12全体に対して、好ましくは80重量%以下であり、より好ましくは60重量%以下であり、さらに好ましくは、45重量%以下である。これにより、抄造部12の強度をより効果的に向上させることが可能となる。
[繊維フィラー]
本実施形態で用いられる繊維フィラーとしては、金属繊維;木材繊維、木綿、麻、羊毛などの天然繊維;レーヨン繊維などの再生繊維;セルロース繊維などの半合成繊維;ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、エチレンビニルアルコール繊維などの合成繊維;炭素繊維;ガラス繊維、セラミック繊維などの無機繊維などが挙げられるがこれらに限定されない。繊維フィラーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
なかでも、高い耐圧性を得る観点から、炭素繊維、及び無機繊維が好ましい。
繊維フィラーの繊維長さは、要求される特性に応じて使い分けることが望ましく、例えば、500μm以上10mm以下であることが好ましい。繊維長さを上記下限値以上とすることで、機械的強度、剛性などの特性を発現させることができる。一方、繊維長さを上記上限値以下とすることで、良好な成形加工性を確保することができる。
繊維フィラーの径は、1μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上80μm以下であることがより好ましい。
繊維フィラーの径を上記下限値以上とすることで、耐圧容器100の機械的強度を確保することができ、上記上限値以下とすることで、成形加工性を確保することができる。
繊維フィラーの繊維長さ及び径は、例えば、得られた抄造部12を電子顕微鏡で観察することにより、確認することができる。さらに、平均繊維長さ、平均径は、得られた抄造部12の表面から観察される繊維フィラーを合計で100本選び、その平均値を算出することで、求めることができる。
繊維フィラーの含有量は、得られる耐圧容器100の用途に応じて適宜選択できる。
[その他の材料]
本実施形態において抄造部12は、上記繊維フィラーに加え、パルプ繊維を用いてもよい。パルプ繊維とは、有機繊維をフィブリル化したものをいう。有機繊維とは、天然繊維、合成繊維のうち、有機物質を主成分とする繊維の総称である。パルプ繊維としては、具体的には、リンターパルプや木材パルプ等のセルロース繊維、ケナフ、ジュート、竹などの天然繊維;パラ型全芳香族ポリアミド繊維やその共重合体、芳香族ポリエステル繊維、ポリベンザゾール繊維、メタ型アラミド繊維やその共重合体、アクリル繊維、アクリロニトリル繊維、ポリイミド繊維、ポリアミド繊維などの合成繊維をフィブリル化したパルプ状繊維が挙げられる。パルプ繊維は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
パルプの含有量は、抄造部12全体に対して0.5重量%以上であることが好ましく、1.5重量%以上であることがより好ましく、2重量%以上であることがさらに好ましい。これにより、製造工程中における合成樹脂の凝集をより効果的に発生させて、さらに安定的な成形体の製造を実現することができる。
一方、パルプの含有量は、抄造部12全体に対して、15重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、8重量%以下であることがさらに好ましい。これにより、抄造部12の機械的特性や熱的特性をより効果的に向上させることが可能となる。
本実施形態において抄造部12は、例えば、凝集剤を含むことができる。凝集剤は、後述する抄造法を用いた抄造部12の製造方法において、熱硬化性樹脂、繊維材料をフロック状に凝集させる機能を有する。このため、より安定的な樹脂シートの製造を実現することができる。
凝集剤は、例えば、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤、ノニオン性高分子凝集剤、及び両性高分子凝集剤から選択される一種又は二種以上を含むことができる。このような凝集剤の例示としては、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、ホフマンポリアクリルアミド、マンニックポリアクリルアミド、両性共重合ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、両性澱粉、ポリエチレンオキサイドなどを挙げることができる。また、凝集剤において、そのポリマー構造や分子量、水酸基やイオン性基などの官能基量などは、必要特性に応じて特に制限無く調整することが可能である。
本実施形態において抄造部12は、例えば、特性向上を目的とした酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、離型剤、可塑剤、難燃剤、樹脂の硬化触媒や硬化促進剤、顔料、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤などの紙力向上剤、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、サイズ定着剤、消泡剤、酸性抄紙用ロジン系サイズ剤、中性製紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系サイズ剤、アルケニルコハク酸無水物系サイズ剤、特殊変性ロジン系サイズ剤などのサイズ剤、硫酸バンド、塩化アルミ、ポリ塩化アルミなどの凝結剤などの添加剤から選択される一種又は二種以上を、生産条件調整や、要求される物性を発現させることを目的として含むことができる。
次に、抄造法を用いて抄造部12を形成する方法について説明する。
〔耐圧容器の製造方法〕
次に、本実施形態の耐圧容器100の製造方法の一例について説明する。ただし、耐圧容器100の製造方法は、これに限られない。また、以下では、抄造部12を構成する合成樹脂として熱硬化性樹脂を用いた場合を例として説明する。
まず、本実施形態の耐圧容器100は、湿式抄造法を用いて抄造体を得る工程(ステップ1)と、得られた抄造体を硬化して耐圧容器を得る工程(ステップ2)により製造される。
・ステップ1
抄造体を得る工程は、熱硬化性樹脂と、繊維フィラーを分散媒中で混合して、スラリーを調製する工程と、底面にメッシュを備える容器に、得られたスラリーを入れ、分散媒を分離する工程と、メッシュ上に残った固形分を乾燥させ、プレスすることで、抄造体を得る工程とを含む。
以下に、図3に基づいて各工程の詳細を説明する。
(スラリーの調製)
スラリーの調製は、図3(a)に示すように、熱硬化性樹脂Aと、繊維フィラーBとを分散媒中で混合、撹拌することにより行われる。
上記材料を分散媒中で混合する工程は、例えば、攪拌機を備える容器中で撹拌する方法を用いることができる。
分散媒としては限定されず、具体的には、水;エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸メチルなどのエステル類;テトラヒドロフラン、イソプロピルエーテル、ジオキサン、フルフラールなどのエーテル類などが挙げられる。分散媒としては、上記具体例のうち、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、入手が容易であり、環境負荷が低く、安全性が高いことから、水を用いることが好ましい。
ここで、スラリーは、上記材料に加えて、ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョン、パルプ繊維を含むものであってもよい。
上記のポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンは、熱硬化性樹脂A、繊維フィラーB、必要に応じてパルプ繊維、及び必要に応じて他の成分を分散媒中で混合し、撹拌した後に添加してもよいし、上記成分と同時に混合してもよい。各成分をより高度に分散させるために、ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンは、上記各成分を分散媒中で混合し撹拌した後に加えるのが好ましい。
また、パルプ繊維が配合されることにより、繊維フィラーBを高度に分散させることができる。
又は、熱硬化性樹脂、繊維フィラー、及びポリエーテルオキサイドを分散媒中で混合して、第一のスラリーを得た後に、当該第一の混合水性スラリーに、ポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョンを混合して、第二のスラリーを調製してもよい。
(分離工程)
分離工程では、図3(b)に示すように底面にメッシュ60を備える容器に、スラリーを入れ、分散媒と、固形分とを分離する。これにより、図3(c)に示すようにメッシュ60上に、シート状の凝集物が残存する。なお、凝集物は、例えば、スラリーの原料成分を含む。
ここで、メッシュ60の形状を適宜選択することによって、のちに得られる抄造体10の形状を調整することが可能である。例えば、平坦なシート形状のメッシュ60を用いた場合、シート様の形状を有する抄造体10が得られる。また、例えば、波型、凹凸等の立体形状を有するメッシュ60を用いた場合、立体形状を有する抄造体10が得られる。
抄造体10の形状は、これを硬化成型して得られる耐圧容器100の形状、金型の形状等に応じて適宜選択することができる。また、抄造体10の厚みは、材料スラリー中の上記各材料の量を調整したり、再度スラリーを作製して分離工程を行ったりすることによって調整することができる。
次いで、凝集物を脱水プレスすることで、抄造体10を作製する(図示なし)。
脱水プレスの条件は、例えば、温度20℃以上30℃以下で、圧力1kgf/cm以上50kgf/cm以下とすることができる。
ここで、脱水プレスは、例えば、抄造体10の脱水率が20%以下となるように行われることが好ましい。なお、本実施形態にかかる脱水率とは、脱水処理する前に凝集物に含まれる分散媒の質量を100%としたとき、脱水処理した後の凝集物(抄造体)に含まれる分散媒の質量を示す。
(乾燥工程)
乾燥工程では、図3(d)に示すように、オーブン70内で抄造体10を熱処理する。これにより、抄造体10から分散媒をさらに取り除く。なお、乾燥する方法としては、限定されず、オーブン70以外の方法を用いてもよい。
ここで、乾燥する温度は、熱硬化性樹脂の融点以上反応温度以下とすることができる。なお、反応温度とは、示差走査熱量(DSC:Differential scanning calorimetry)測定における昇温過程において、算出される反応率が0%を最初に越える温度である。ここで、反応率とは、次のように求められる。まず、硬化反応を行っていない抄造体について、DSC測定により温度プロファイルを測定する。これにより得られる硬化反応の温度プロファイルから算出される、硬化反応の発熱ピークの単位質量あたりに換算した発熱量をA[mJ/mg]とする。次いで、反応率を算出する抄造体についても、同様に、硬化反応の発熱ピークの単位質量あたりに換算した発熱量B[mJ/mg]を算出する。上記A及びBを用いて、以下の式より、反応率が求められる。
(式) (反応率)=B/A×100[%]
以上の工程により、Bステージの状態の抄造体10が得られる。
・ステップ2
次に、得られた抄造体10を硬化して耐圧容器100を得る工程について説明する。
まず、下金型の底部に得られた抄造体10を配置し、その上に、のちの本体部11を構成する樹脂材料を投入する。その後、上金型を降下させ、樹脂材料を抄造体10に押し付けながら、金型の形状に沿うように変形させ、樹脂材料と抄造体10とを加熱圧着させる。これにより、樹脂材料の一部が、抄造体10の表面から含浸するとともに、抄造体10を完全硬化させ、本体部11と抄造部22とを一体化する。その結果、耐圧容器100を得ることができる(図1)。
加熱温度は、使用原料等によって適宜決定されるが、熱硬化性樹脂の硬化温度以上に加熱することが好ましい。例えば、フェノール樹脂が用いられている場合、150〜200℃とすることが好ましく、160〜180℃とすることがより好ましい。
また、加圧条件として、圧力は、10〜80MPaとすることが好ましく、30〜60MPaとすることがより好ましい。また、加圧時間は、好ましくは1〜10分間である。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、本体部11の底部102の外面に抄造部12が設けられている例について説明したが、第2実施形態では、抄造部22が、本体部11の筒状胴部101の内周面に設けられている例について説明する。以下、第1実施形態と同様の構成、効果についての説明は適宜省略する。
図2に示すように、本実施形態の耐圧容器200は、抄造部22が、本体部11の筒状胴部101の内周面全体に亘り抄造部22が設けられている。すなわち、本体部11の内面に抄造部22が設けられている。これにより、内周方向に加わる圧力に対する耐圧性を向上できる。さらに、底部102に集中しやすい内圧により、底部102が変形し、これに引っ張られるようにして、底部102近傍の筒状胴部101(内壁)が変形することを抑制することができる。
ただし、抄造部22は、本体部11の筒状胴部101の内周面の少なくとも一部に設けられたものであってもよい。また、筒状胴部101の高さ方向において、底部102側に設けられていることが好ましい。また、筒状胴部101の全周において連続配置されたものではなく、非連続であってもよい。
また、さらに、本実施形態の耐圧容器200は、内面の底部においても抄造部22が設けられている。これにより、底部に集中しやすい内圧に対する耐圧性を高くすることができる。
〔耐圧容器の製造方法〕
本実施形態の耐圧容器200は、上述した湿式抄造法を用いて抄造体10を得る工程(ステップ1)と同様の方法で抄造体を得ることができる。
以下、得られた抄造体10を硬化して本実施形態の耐圧容器200を得る工程の一例について、説明する。
まず、予め、容器の内面形状に合うように賦形した抄造体10を上金型に設置する。成形した完全硬化前の、Bステージ本体部を用意する。次に、下金型底部に、本体部11の原料を投入し、その後、上金型を降下させ、抄造体10の形状に沿うようにして本体部11の原料を押し付けながら、抄造体10に加熱圧着させる。これにより、本体部11の原料及び抄造体10を完全硬化させ、本体部11と抄造部22とを一体化する。その結果、耐圧容器200を得ることができる(図2)。
以上説明した本実施形態の耐圧容器は、建築材料、自動車及び航空機等の各種輸送機械、スポーツ用品等の種々の用途に広く利用できる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
・成形前材料(抄造部)の作製
表1に示す含有量となるように、分散媒としての水に、熱硬化性樹脂1(レゾール型フェノール樹脂、住友ベークライト株式会社製「スミライトレジンPR−51723」)、繊維フィラー1(リサイクルカーボン、平均繊維長6mm)、およびパルプ繊維1(アラミド微小繊維、ダイセルファインケム株式会社製「ティアラ KY−400S」平均繊維長500〜600μm)を加え、20分間撹拌して、固形分濃度0.15重量%のスラリーを得た。得られたスラリーに、あらかじめ調製したポリ(メタ)アクリル酸エステルエマルジョン(ハイモ株式会社製の「ハイモロック DR−9300」)を、スラリー中の固形分に対して300ppmとなるように添加し、スラリー中の固形分を凝集させた。次いで、凝集物を含むスラリーを、30メッシュの金属網(スクリーン)で濾過し、スクリーン上に残ったシート状の凝集物を、圧力3MPaでプレスして脱水した。脱水した凝集物を、70℃で3時間乾燥させて、シート状の成形前材料(抄造体)を得た。
・耐圧容器サンプルの作製
上記にて得られたシート状の抄造体(厚み1〜2mm)を、Φ57mmの円板になるようカットした。次に、カットされた抄造体を金型底部に配置し、その上から、本体部の原料を投入した。続けて、上金型を降下させ、圧力20kg/cm、温度170℃の条件で5分間熱処理して、本体部の原料と抄造体とを加熱圧着して、図1に示されるような底部に抄造部を有する耐圧容器サンプルを得た。抄造部の平面視における面積(mm)は、本体部の底面積(mm)に対して、ほぼ100%であった。
耐圧容器サンプルは、高さ50mm、直径90mm、厚さ4mmの円筒状の容器であって、上部に開口部を有するものであった。
また、本体部の原料として、以下のものを用いた。
・フェノール樹脂成形材料1:PM−9640(住友ベークライト株式会社製)
<実施例2>
以下の手順で抄造部を配置した以外は、実施例1と同様にして、耐圧容器を作製した。
予め、上記にて得られたシート状の抄造体を、高さ40mm、底部の直径41mmのコップ型に賦形した。
次に、コップ型の抄造体を上金型の内径を作るピンにはめて固定し、下金型の底部に本体部の原料を投入した。続けて、上金型を降下させ、圧力20kg/cm、温度170℃の条件で5分間熱処理して、本体部の原料と抄造体とを加熱圧着して、図2に示されるような本体部の全内面に抄造部を有する耐圧容器モデルを得た。
耐圧容器サンプルは、高さ50mm、直径90mm、厚さ4mmの円筒状の容器であって、上部に開口部を有するものであった。
また、本体部の原料として、以下のものを用いた。
・フェノール樹脂成形材料2:PM−5245(住友ベークライト株式会社製)
<比較例1>
抄造部を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、耐圧容器を作製した。
<比較例2>
抄造部を形成しなかった以外は、実施例2と同様にして、耐圧容器を作製した。
各実施例および比較例で得られた耐圧容器について、以下の測定・評価を行った。結果を、表1に示す。
・耐圧試験:得られた耐圧容器サンプルの開口部を覆うように、耐圧容器のサンプル上に鉄板(厚み10mm)を乗せ、鉄板と耐圧容器サンプルとをボルトで固定した。次に、当該鉄板の上から耐圧容器サンプルに対して、圧力上昇速度を0.1MPa/secとして、油圧をかけた。耐圧容器サンプルの破壊が起きた時点での油圧(液圧)と、ひずみ量を測定した。また、比較例1,2においては、破壊が起きた時点ではなく、それぞれ実施例1,2と同じ油圧(液圧)とした時のひずみ量を測定した。ひずみ量を測定することで、破壊が起こる寸前までのひずみ抑制効果(耐圧性)が評価できる。
Figure 2020148249
10 抄造体
11 本体部
12 抄造部
22 抄造部
60 メッシュ
70 オーブン
100 耐圧容器
101 筒状胴部
102 底部
200 耐圧容器
A 熱硬化性樹脂
B 繊維フィラー

Claims (9)

  1. 本体部と、
    前記本体部を補強する抄造部と、
    を備え、
    前記抄造部は、合成樹脂と、当該合成樹脂中に分散した繊維フィラーとを含む、耐圧容器。
  2. 前記抄造部が、前記本体部の外面に設けられている、請求項1に記載の耐圧容器。
  3. 前記抄造部が、前記本体部の内面に設けられている、請求項1または2に記載の耐圧容器。
  4. 前記本体部は、筒状胴部と、底部とを有し、
    当該底部の外面に前記抄造部が設けられている、請求項1乃至3いずれか一項に記載の耐圧容器。
  5. 前記本体部は、筒状胴部と、底部とを有し、
    当該筒状胴部の内周面に前記抄造部が設けられている、請求項1乃至4いずれか一項に記載の耐圧容器。
  6. 前記本体部は熱硬化性樹脂を含む、請求項1乃至5いずれか一項に記載の耐圧容器。
  7. 前記抄造部は、前記合成樹脂として熱硬化性樹脂を含む、請求項1乃至6いずれか一項に記載の耐圧容器。
  8. 前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、およびポリウレタンの中から選択される一種または二種以上である、請求項7に記載の耐圧容器。
  9. 前記繊維フィラーが、金属繊維、炭素繊維、無機繊維、天然繊維、再生繊維、半合成繊維、および合成繊維からなる群より選択される少なくとも1つの繊維を含む、請求項1乃至8いずれか一項に記載の耐圧容器。
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