JP2003342892A - 抄造用ポリイミド短繊維及びその製造方法並びに抄造物 - Google Patents

抄造用ポリイミド短繊維及びその製造方法並びに抄造物

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JP2003342892A
JP2003342892A JP2002154993A JP2002154993A JP2003342892A JP 2003342892 A JP2003342892 A JP 2003342892A JP 2002154993 A JP2002154993 A JP 2002154993A JP 2002154993 A JP2002154993 A JP 2002154993A JP 2003342892 A JP2003342892 A JP 2003342892A
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short fiber
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Yoshihisa Yamada
良尚 山田
Mikio Furukawa
幹夫 古川
Katsuyuki Toma
克行 当麻
Akira Ito
顕 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリイミド短繊維からなる不織布や紙等の抄
造物を得るに際し、特に薄手のポリイミド抄造物を得る
場合でも地合いを良好なものとできる、相互に絡みやす
く抄造用に適したポリイミド短繊維及びその製造方法、
並びにそのようなポリイミド抄造物を提供する。 【解決手段】 下記構造式(1)で示される繰り返し単
位を有するポリイミドからなる短繊維であって、繊維形
状において分岐点が4個以上の枝分れ構造を有すること
を特徴とする抄造用ポリイミド短繊維。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリイミド不織布
やポリイミド紙の抄造に好適な抄造用ポリイミド短繊維
に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリイミドは、合成樹脂の中で最
高レベルの耐熱性を有し、これに加えて優れた機械特
性、摺動特性、耐薬品性を有していることから、種々形
態に加工されて使用されている。中でも電気、電子分野
もしくは宇宙、航空分野における用途開発が盛んであ
り、ポリイミド成形品もしくはそのプリプレグとして、
主にポリイミド短繊維を加工して得られる不職布もしく
は紙の形態としての利用が大いに試みられている。
【0003】一般に短繊維を不織布や紙等の形態として
利用する場合には、その地合いを均一にするうえで、ま
た、強度を付与するうえで、場合短繊維同士の絡み合い
が重要である。短繊維同士が絡みにくい場合には、別途
パルプ状の成分を添加することが行われているが、異種
の成分を添加することは好ましくない場合も多い。ポリ
イミド不織布の利用において、特にプリント基板等に用
いられる目付けの小さい薄手のポリイミド不織布では、
短繊維同士の絡み合いによる地合いの良好さが厳しく要
求されている。このため、相互に絡みやすく抄造用に適
したポリイミド短繊維が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の課題
は、ポリイミド短繊維からなる不織布や紙等の抄造物を
得るに際し、特に薄手のポリイミド抄造物を得る場合で
も地合いを良好なものとできる、相互に絡みやすく抄造
用に適したポリイミド短繊維及びその製造方法、並びに
そのようなポリイミド抄造物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく、特定の化学構造を有する結晶性熱可塑性ポ
リイミドに着目し、これを短繊維化して絡みやすい形状
とするために鋭意検討を行い、延伸して結晶化度を高め
たポリイミド短繊維を水分散させた後にリファイナー処
理することにより、絡みやすい枝別れ構造を発現させる
ことに成功し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、第一に、下記構造式
(1)で示される繰り返し単位を有するポリイミドから
なる短繊維であって、繊維形状において分岐点が4個以
上の枝分れ構造を有することを特徴とする抄造用ポリイ
ミド短繊維を要旨とする。
【0007】
【化2】
【0008】第二に、上記構造式(1)で示される繰り
返し単位を有するポリイミドを溶融紡糸及び熱延伸する
工程1と、工程1で得られたポリイミド繊維をカットし
て短繊維化する工程2と、工程2で得られたポリイミド
短繊維を分散媒に分散させてスラリー化する工程3と、
工程3で得られたスラリーにせん断力をかけてポリイミ
ド短繊維に枝分れ構造を発現させる工程4とを含んで構
成されることを特徴とする請求項1に記載の抄造用ポリ
イミド繊維の製造方法を要旨とする。
【0009】第三に、上記の抄造用ポリイミド短繊維を
用いてなる抄造物を要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の抄造用ポリイミド短繊維は、短繊維を形成する
ためのポリイミドとして、下記構造式(1)で示される
ポリイミドからなるものである。
【0011】
【化3】
【0012】当該ポリイミドは結晶性かつ熱可塑性のポ
リイミドであり、以下の利点がある。まず、結晶性であ
るため、結晶化させたポリイミド短繊維にせん断力を加
えることにより、枝分かれ構造を具備させやすい。ま
た、熱可塑性であるため溶融紡糸による繊維化が可能で
あることはもとより、抄造物とした後に適当な条件で加
熱することにより、熱接着効果を発揮して抄造物の強度
をより増大させることが可能になる。そのため、本発明
に上記ポリイミドを用いるのである。このようなポリイ
ミドの具体例としては、例えば、三井化学株式会社製
「オーラム」(商品名)が市販されており、このものは、
DSC法によるガラス転移点が250℃、融点が388℃
という特性を有している。
【0013】本発明の抄造用ポリイミド短繊維は、その
繊維形状において枝分かれ構造を有するものであるが、
繊維長としては、3〜15mmが好ましい。3mm未満
では、抄造物の強度が不足する傾向にあり、一方、15
mmを超えると均一な抄造を行なうのが難しいので好ま
しくない。ここでいう繊維長とは、枝分かれ構造を有す
る短繊維において通常最も長く取り得る繊維長、換言す
れば短繊維の幹にあたる部分の長さのことであり、例え
ば図1に示すような形状の短繊維においては、端部Aか
ら端部Bまでの繊維長である。後述する本発明の製造方
法によって得られる本発明の短繊維の場合には、枝分か
れ構造を発現させる前の段階でのカットされた短繊維の
繊維長がここでいう繊維長となる。また、繊維径として
は、3〜30μmが好ましい。3μm未満では、抄造物
の強度が不足したり、湿式抄造時の水抜けが悪くなる傾
向にあるので好ましくない。一方、30μmを超える
と、均一な抄造を行なうのが難しいので好ましくない。
ここでいう繊維径とは、枝分かれ構造を有する短繊維に
おいて最も太い部分の繊維径である。
【0014】本発明においては、抄造用短繊維における
枝分かれ構造を、その分岐点の数で表わす。例えば図1
及び図2において、短い矢印で示した箇所(P)が分岐
点であり、図1に示すものは分岐点が6個、図2に示す
ものは分岐点が2個である。分岐点が多いほど短繊維同
士が絡みやすい傾向にあり、本発明の目的を達するため
には、分岐点が4個以上であることが必要であり、10
個以上であることがより好ましい。
【0015】次に、第二発明である抄造用ポリイミド短
繊維を製造する方法について説明する。本発明の製造方
法は、工程1〜工程4の4つを必須の工程として構成さ
れるものである。以下、各工程に分けて説明する。
【0016】工程1 工程1は、上記構造式(1)で示される繰り返し単位を
有するポリイミドを溶融紡糸及び熱延伸する工程であ
る。本発明に用いるポリイミドは、上記したように熱可
塑性を有する結晶性ポリイミドからなるポリイミド繊維
であるため、ポリイミドを溶融紡糸することができ、さ
らに熱延伸することにより結晶化及び分子配向の進んだ
ポリイミド繊維とすることができる。この際の熱延伸と
しては、ポリイミド樹脂のガラス転移点以上の温度で行
なうことが好ましく、また、延伸倍率を上げるほど結晶
化及び分子配向が進む傾向にある。
【0017】結晶化及び分子配向の程度としては、X線
回折法により測定される結晶化度が15%以上、さらに
は25%以上であることが好ましく、また、結晶部の配
向度としては、80%以上であることが好ましい。その
ような結晶化の進んだポリイミド繊維は、後の工程でせ
ん断応力を加えた際に枝分かれしやすいものとなるので
好ましい。さらにいえば、結晶化の進んだポリイミド繊
維は、結晶化の進んでいないポリイミド繊維に比べて熱
収縮が小さく、加熱冷却に伴う寸法変化が小さいので、
抄造物もしくはそれから得られる成形品の高温下におけ
る寸法安定性が向上するという利点もある。
【0018】工程1により溶融紡糸及び延伸して得られ
るポリイミド繊維の繊維径としては、3〜30μmが好
ましい。このときの繊維径が本発明の抄造用ポリイミド
短繊維の繊維径となり得る。なお、溶融紡糸及び熱延伸
のための方法としては、特に限定されるものではなく、
公知の溶融紡糸装置、延伸装置を用いて行なえばよい。
【0019】工程2 工程2は、工程1で得られたポリイミド繊維をカットし
て短繊維化する工程である。工程2において、ポリイミ
ド繊維をカットする方法としては、特に限定されるもの
ではないが、例えばスライバー状に束ねたポリイミド繊
維をカッターで所望のカット長に切断することにより行
なうことができる。工程2で得られるポリイミド短繊維
の繊維長、すなわちカット長としては、3〜15mmが
好ましく、このときのカット長が本発明の抄造用ポリイ
ミド短繊維の繊維長となり得る。
【0020】工程3 工程3は、工程2で得られたポリイミド短繊維を分散媒
に分散させてスラリー化する工程である。分散媒として
は、水が好ましく用いられる。分散を良好にするため
に、例えばポリエステル系重合体からなる分散剤を加え
てもよい。スラリー中のポリイミド短繊維の濃度として
は、0.1〜5.0質量%が好ましく、0.1〜1%が
より好ましい。0.1%未満では濃度が低すぎるため
に、後の工程4においてスラリー中のポリイミド短繊維
にせん断力が有効に作用せず、枝分かれ構造を付与する
のが困難になるので好ましくなく、また、せん断力をか
けるのにリファイナーを用いた場合にリファイナーの刃
を損傷する可能性もあるので好ましくはない。一方、
5.0質量%を超えると、濃度が高すぎるために短繊維
が密集しており、この場合もせん断力が有効に作用しな
い傾向にあるので好ましくない。なお、スラリー化の方
法としては特に限定されるものではなく、公知の攪拌
槽、攪拌装置を用いて行なえばよい。
【0021】工程4 工程4は、工程3で得られたスラリーにせん断力をかけ
てポリイミド短繊維に枝分れ構造を発現させる工程であ
る。スラリーにせん断力をかける方法としては、特に限
定されるものではないが、リファイナーによる叩解を行
なう方法によるのが好ましい。リファイナーを用いず、
ビーターによる叩解を行なうこともできるが、リファイ
ナーの方が効率が良い。リファイナーとしては、シング
ルディスク型、ダブルディスク型、マルチディスク型の
いずれのリファイナーを用いてもよい。なお、工程3で
得られた短繊維の形状において、繊維長が3〜15m
m、繊維径が3〜30μmであることは、スラリー中で
の分散性や、リファイナーでのせん断性という点を考慮
した場合にも好ましい態様であるといえる。
【0022】工程4の好ましい態様を、シングルディス
クリファイナーを用いる場合を例にとって説明する。工
程3で得たスラリーを送液ポンプによりリファイナーに
送液し、リファイナーによるせん断力をかける処理を繰
り返し行なうものである。すなわち、リファイナーの処
理部は、通常は円形の固定刃と回転刃とが対向してい
て、この間のクリアランスを調節して回転刃を回転させ
つつ、この間にスラリーを通過させて処理するものであ
るが、スラリーをポンプ等で循環させることにより何度
か繰り返し通過させて処理するのである。
【0023】その繰り返し回数としては、リファイナー
の大きさや処理能力、上記クリアランスの大きさ、回転
刃の回転数等の運転条件、あるいは繊維の径や長さ、ス
ラリー濃度等の各条件によって異なり、当該条件下で適
宜サンプリングしつつ実験的に決定することができる。
この回数が少なすぎるとポリイミド短繊維に枝分れ構造
を発現させる効果が十分に得られないが、一方、枝分れ
構造が十分に発現してから必要以上に回数を増しても、
それ以上に枝分かれ構造が発達することはあまり期待で
きない。そのような点から、本発明者らの知見では、適
当な条件を選択することにより、10〜40回行なうの
が好ましい。なお、固定刃と回転刃との間のクリアラン
スとしては、大きすぎると処理効果が悪くなり、一方、
小さすぎると刃を傷めるおそれもあるが、本発明者らの
知見では、0.1〜0.5mmが好ましい。
【0024】以上説明した4つの工程を行なう本発明の
製造方法により、本発明の抄造用ポリイミド短繊維を製
造することができる。次に、本発明の抄造用ポリイミド
短繊維を用いてなる抄造物について説明する。本発明の
抄造用ポリイミド短繊維は、相互に絡みやすい枝分かれ
構造を有しているので、別途パルプ状の成分を特に添加
することを要さず、従来公知の抄造方法により、地合い
が良好で機械的強力にも優れた抄造物とすることができ
る。もっとも、抄造物の使用目的に応じて許容される範
囲内で、別途パルプ状の成分や、抄造用助剤を併用する
ことは一向に差し支えない。
【0025】本発明の抄造物の好ましい製造方法である
湿式抄造法について以下に説明する。湿式抄造法は、乾
式に比べて地合いが向上するので好ましい。湿式抄造法
に用いる湿式抄造装置としては、特に限定されるもので
はなく、公知の抄紙機等を用いればよいが、具体的に例
示すれば、円網式湿式抄紙機、短網式湿式抄紙機、短網
傾斜式湿式抄紙機、長網傾斜式湿式抄紙機等が挙げられ
る。これらの湿式抄造装置には、熱風式、接触式もしく
は輻射式の乾燥機が併設されていることが好ましい。
【0026】湿式抄造を行う工程としては、上記した本
発明の抄造用ポリイミド短繊維と必要に応じて配合され
る他の成分とを水等の分散媒と混合し、パルパー等を用
いて均一に分散させて抄造用スラリーを調製し、上記の
ような湿式抄造装置を用いて湿式抄造した後乾燥するこ
とにより、本発明の抄造物を短繊維不織布として得るこ
とができる。なお、抄造物の機械的強力を向上させる目
的で、あるいは複合材料のプリプレグとする等の目的
で、抄造物にポリイミド前駆体やエポキシ樹脂等を含む
エマルジョン又は溶液を含浸もしくはスプレーする場合
には、湿式抄造装置の抄造部と乾燥部との間に含浸装置
やスプレー装置等を設けて行えばよい。このときのポリ
イミド前駆体とは、本発明の抄造用ポリイミド短繊維を
構成するポリイミドと同じポリイミドの前駆体である必
要はない。
【0027】上記の工程によって湿式抄造された本発明
の抄造物は、通常高い空隙率を有しており、枝分かれ構
造を有するポリイミド短繊維の絡み合いによりある程度
の機械的強度を備えてはいるが、後に使用される際の加
工条件等によっては、より強い強度が求められる場合が
ある。そこで、抄造物の強度をより向上させるべく、加
熱加圧することが好ましく行われる。本発明の抄造物を
構成するポリイミド短繊維は、既に述べたように熱可塑
性ポリイミドからなるものであるため、加熱加圧処理に
よる熱接着が可能であり、飛躍的に強度を向上させるこ
とができるのである。
【0028】上記の目的で加熱加圧する際の加熱温度と
しては、本発明の抄造用ポリイミド短繊維を形成する主
たるポリイミドのガラス転移点以上の温度とする。加熱
温度が当該ガラス転移点未満の温度であると、機械的強
度特性を向上させる効果が得られない。同時に、加熱温
度としては、当該ポリイミドの融点以下の温度が好まし
く、特に融点より10℃以上低い温度であることが好ま
しい。加熱温度が当該ポリイミドの融点を超えると、ポ
リイミド短繊維同士が極度に融着してしまい、不織布等
の抄造物としての性能を期待できなくなるおそれがある
ので好ましくない。また、加熱加圧する際の加圧圧力と
しては、特に限定されるものではないが、加圧圧力が高
いほど得られるポリイミド不織布の気孔率が減少する傾
向にあり、本発明では通常0.05〜10MPa程度の
加圧圧力を採用すればよい。
【0029】上記のような加熱加圧を行う装置として
は、特に限定されるものではなく、従来公知の加熱プレ
ス装置等を用いればよいが、長尺の不織布を連続的に加
熱加圧できるという点から、カレンダーロール装置や、
対向する一対の金属製等のベルト間で加熱プレスの行え
るダブルベルトプレス装置等が好ましく用いられる。
【0030】以上説明したように本発明の抄造用ポリイ
ミド短繊維を用いることにより、地合いが良好で機械的
強度にも優れた抄造物が得られ、抄造物の種類を選ばな
いが、上記の利点を大いに発揮できるのは、目付けが1
00g/m2以下、特に15〜80g/m2以下という薄
手のポリイミド不織布もしくはポリイミド紙であり、薄
手でも地合いが良好で破れにくいものを得ることができ
る。
【0031】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
する。なお、実施例において、ポリイミド抄造物にスプ
レーするポリイミド前駆体水溶液としては、次の方法で
調製したものを用いた。 ・ポリイミド前駆体水溶液の調製方法 室温下約20℃にて、水1520gおよびトリエチルア
ミン188gからなる溶媒に3’,4,4’−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸333.6g(0.931mo
l)を加えて懸濁させたのち、懸濁液を攪拌しながら、
m−キシレンジアミン126.8g(0.931mo
l)を15分かけて徐々に加えた。この時、m-キシレン
ジアミンの添加による発熱が見られたので20℃に保温
した。m-キシレンジアミンをすべて添加し終わった
後、しばらくすると塩が形成され、懸濁液は褐色の均一
溶液となってポリイミド前駆体水溶液が得られた。この
ポリイミド前駆体水溶液の濃度は20質量%であり、2
0℃における溶液粘度は0.3ポイズであった。なお、
上記の溶液中のポリイミド前駆体を閉環して得られるポ
リイミドのDSC測定によるガラス転移点は230℃で
あった。
【0032】実施例1〜3 ポリイミド繊維を形成するためのポリイミドとしては、
熱可塑性を有する結晶性ポリイミド樹脂(三井化学製
「オーラムPL450」、DSC測定によるガラス転移点25
0℃、同じく融点387℃)を用いた。このポリイミド
を400℃に加熱して溶融させ、紡糸速度500m/m
inで溶融紡糸し、温度300℃、延伸倍率2.5倍で
加熱延伸することにより、繊維径15μmの結晶化させた
ポリイミド繊維を得た。このポリイミド繊維の結晶化度
をX線回折法により測定したところ、結晶化度は30%。
結晶部の配向度は90%であった。このポリイミド繊維を
繊維長5mmにカットして、ポリイミド短繊維を得た。
次に、水60リットル中に上記のポリイミド短繊維を実
施例1,3では600g、実施例2では300g及び分
散剤としてポリエステル系重合体エマルジョン(松本油
脂製薬株式会社製EN−500、固形分濃度25%)を
実施例1,3では6g、実施例2では3g投入し、1分
間攪拌することにより、枝分かれ構造を発現させるため
のリファイナー処理用スラリーとした。そして、このリ
ファイナー処理用スラリーを、シングルディスク型リフ
ァイナー(熊谷理器製、固定刃及び回転刃の直径300
mm)を使用して、下記表1に示す条件で、スラリーを
循環させつつリファイナー処理部を通過させる処理を行
なうことにより、ポリイミド短繊維に枝分かれ構造を発
現させて、本発明の抄造用ポリイミド短繊維を得た。
【0033】比較例1〜3 リファイナー処理用スラリーの濃度及びリファイナー処
理条件を下記表1に示すように変更する以外は、実施例
1〜3と同様にして行なった。
【0034】実施例1〜3及び比較例1〜3のリファイ
ナー処理条件を下記表1に示す。なお、表1中のクリア
ランスとは、リファイナーの固定刃と回転刃との間のク
リアランスをいう。また、繰り返し回数とは、スラリー
の循環時間(分)と循環ポンプの送液能力(リットル/
分)を乗じて得られるスラリーの延べ処理量(リット
ル)を、実際に処理したスラリーの量(リットル)で除
することにより求めた、リファイナー処理の繰り返し回
数のことである。
【0035】
【表1】
【0036】実施例4,5及び比較例4,5 シングルディスクリファイナーの代わりにダブルディス
クリファイナー(相川鉄工所製AW−1400)を使用
して、下記表2に示す条件でリファイナー処理を行なう
以外は、実施例1〜3と同様に行なった。なお、クリア
ランスについては、当該リファイナーが油圧によりクリ
アランスの調整を行なう形式のもの(クリアランスの設
定値を読み取る目盛りがついていない)であったため、
実施例1,2の場合と同程度(約0.15mm)のクリ
アランスとなるよう油圧を調整(油圧ゲージ表示値50
kg/cm2)して行なった。
【0037】比較例6 リファイナー処理を全く行なわないこと以外は、実施例
1と同様に行なった。
【0038】
【表2】
【0039】上記の実施例1〜5で得られた本発明の抄
造用ポリイミド短繊維並びに比較例1〜6で得られた比
較用のポリイミド短繊維について、枝分かれ構造を評価
した結果を表3に示す。なお、枝分かれ構造の評価とし
ては、繊維長5mmの短繊維1本あたりの分岐点の個数
を、倍率500倍の実体顕微鏡により、各10本につい
て観察して計数した値の平均値を算出し、以下の基準に
より評価した。 ◎:分岐点10個以上 ○:分岐点4〜9個 ×:分岐点0個を超え3個以下 ××:分岐点0個
【0040】
【表3】
【0041】実施例6 実施例1で得られた抄造用ポリイミド短繊維を用いて、
次のようにして短繊維不織布を製造した。50℃の温水
500ml中に、分散剤としてポリエステルポリエーテ
ル共重合物エマルジョン(松本油脂製薬製薬株式会社製
EN−500、固形分濃度25%)50gを加え1分間
攪拌させたものを、攪拌槽内の水5m3中に添加して攪
拌混合することにより、ポリエステルポリエーテル共重
合体の含有率が2.5×10-4質量%である分散媒を得
た。この分散媒に抄造用ポリイミド短繊維を2.5Kg
投入して30分間攪拌混合することにより、ポリイミド
短繊維を0.05質量%含有する抄造用スラリーを得
た。このときのポリイミド短繊維の分散性は良好であ
り、発泡もごく少なかった。
【0042】この抄造用スラリーを用い、傾斜式連続抄
紙機(齋藤鐵工株式会社製)で抄造し、引き続きスプレ
ーガンを用いて、前述したポリイミド前駆体水溶液(濃
度10質量%となるように水で希釈したもの)をスプレー
して含浸させた。このとき、ポリイミド前駆体(固形
分)の質量がポリイミド不織布を構成する抄造用ポリイ
ミド短繊維の乾燥重量に対して10%となるように設定し
た。引き続き、抄紙機に付属の循環透過型熱風乾燥機
(井上金属株式会社製)にて乾燥(140℃×2分間)
してロール状に巻き取ることにより、長尺のポリイミド
不織布(幅62cm)を得た。さらに上記で得られたポリ
イミド不織布の機械的強度を増す目的で、連続プレス機
(ダブルベルトプレス;サンドビック社製)を用いて線
圧196N/cm(面圧約0.08MPaに相当すると考えら
れる)の加圧条件で、240℃×2分間、300℃×5
分間の条件で連続的に加熱し、引き続き約5分間冷却す
るという連続的な工程により、加熱加圧処理を行った.
これにより、目付けが70g/m2で、強度に優れたポ
リイミド不織布を得た。
【0043】実施例7 抄造用ポリイミド短繊維として、実施例2で得られたも
のを用いること以外は、実施例6と同様に行なった。
【0044】比較例7 本発明の抄造用ポリイミド短繊維の代わりに、比較例5
のポリイミド短繊維を用いること以外は、実施例6と同
様に行なった。
【0045】比較例8 本発明の抄造用ポリイミド短繊維の代わりに、比較例6
のポリイミド短繊維を用いること以外は、実施例6と同
様に行なった。
【0046】実施例6,7及び比較例7,8で得られた
ポリイミド不織布について、両耳部1cmずつをカット
して幅60cmとし、さらに長さ20cmに裁断して得
られた60×20cmの試料について、さらに5cm角
に裁断した48個の小片に細分化してそれぞれの質量を
測定することにより、細分化した小片毎に算出した目付
けのばらつきを評価した結果を下記表4に示す。
【0047】
【表4】
【0048】以上の結果から明らかなように、本発明の
抄造用ポリイミド短繊維は、互いに絡みやすい枝別れ構
造を有しており、枝分かれ構造が顕著なほど、すなわち
分岐点の個数が多いほど、これを用いて得られる不織布
の目付けのばらつきが小さくなり、地合いが向上してお
り、機械的強度にも優れた破れにくいものであった。こ
れに対して、比較用のポリイミド短繊維は、枝分かれに
乏しい構造のため、不織布とした場合の目付けのばらつ
きが大きくて地合いの良好さが劣り、さらに、熱処理前
においては、繊維の脱落が見られ、破れやすいものであ
った。
【0049】
【発明の効果】本発明の抄造用ポリイミド短繊維は、相
互に絡みやすい枝別れ構造を有しているので、目付けの
小さな薄手の不織布を抄造するのに使用しても目付けの
ばらつきが小さく地合いの良好なものが得られる。した
がって、そのような本発明の抄造用ポリイミド短繊維を
用いた本発明の抄造物は、ポリイミドプリント基板用途
や航空用ハニカムコア、さらに絶縁紙用途等に最適であ
る。また、本発明の製造方法によれば、そのようなポリ
イミド短繊維を簡便に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリイミド短繊維の形状を説明するための模式
図である。
【図2】ポリイミド短繊維の形状を説明するための模式
図である。
【符号の説明】
1・・・・・ポリイミド短繊維 A,B・・・・・ポリイミド短繊維の端部 P・・・・・分岐点
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 顕 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4L055 AF34 AF44 AF46 AG82 AH20 AH33 BB03 EA15 FA09 GA01 GA02 GA37 GA39 GA50

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記構造式(1)で示される繰り返し単位
    を有するポリイミドからなる短繊維であって、繊維形状
    において分岐点が4個以上の枝分れ構造を有することを
    特徴とする抄造用ポリイミド短繊維。 【化1】
  2. 【請求項2】上記構造式(1)で示される繰り返し単位
    を有するポリイミドを溶融紡糸及び熱延伸する工程1
    と、工程1で得られたポリイミド繊維をカットして短繊
    維化する工程2と、工程2で得られたポリイミド短繊維
    を分散媒に分散させてスラリー化する工程3と、工程3
    で得られたスラリーにせん断力をかけてポリイミド短繊
    維に枝分れ構造を発現させる工程4とを含んで構成され
    ることを特徴とする請求項1に記載の抄造用ポリイミド
    繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の抄造用ポリイミド短繊維
    を用いてなる抄造物。
JP2002154993A 2002-05-29 2002-05-29 抄造用ポリイミド短繊維及びその製造方法並びに抄造物 Pending JP2003342892A (ja)

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