JP5638001B2 - セルロースナノファイバー - Google Patents

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Description

本発明は、セルロースナノファイバーに関する。
セルロースナノファイバーは、すべての植物の基本骨格物質(基本エレメント)であり、植物の細胞壁の中では、幅4nm程のセルロースミクロフィブリル(シングルセルロースナノファイバー)が数本集まり束となったセルロースナノファイバーとして存在している。
植物等の繊維からセルロースナノファイバーを製造する方法は、種々の方法が知られている。一般的には、パルプ等のセルロースファイバー含有材料をリファイナー、グラインダー(石臼式磨砕機)、二軸混練機(二軸押出機)、高圧ホモジナイザー等によって磨砕、叩解することによって解繊、微細化して製造される。
これらの方法によって得られたセルロースナノファイバーの集合体をシート状に成形した場合や、セルロースナノファイバーと樹脂とを混合して樹脂複合体とした場合、一般に、セルロースナノファイバーの繊維長と繊維径(幅)の比(アスペクト比)が大きい方が、該シートや樹脂複合体の強度が高いことが知られている。例えば、特公昭48−6641号公報、特公昭50−38720公報には、高アスペクト比のセルロース系ファイバーを得るために、パルプ又はセルロース系繊維の特徴である親水性を利用したミクロフィブリル状化方法について記載されている。これらの文献では、パルプを、リファイナー、更にはホモジナイザー等により高度に繰り返し磨砕、ないし叩解を行うことにより、ミクロフィブリル状ファイバーを得ている。
一方、パルプを解繊する場合、通常、パルプは水の存在下に解繊に供される。解繊後、水と得られたセルロースナノファイバーとを分離する際のろ水時間は、セルロースナノファイバーのアスペクト比が大きくなるほど長くなる。すなわち、強度の高いセルロースナノファイバーのシートや樹脂複合体を得ようとする場合、高アスペクト比のセルロースナノファイバーに解繊することが望ましいが、繊維径が小さく、アスペクト比が大きくなると、ろ水時間が長くなり、工業的にはコストアップの要因になってしまう。
例えば、特許文献1では、脱脂綿を高圧ホモジナイザーで解繊して微小繊維状セルロースを得ている。しかしながら、高圧ホモジナイザーによってパルプ等の原料繊維を解繊すると、一般に繊維径が小さくなりアスペクト比が大きくなるため、高いシート強度を発現させることができるものの、セルロースナノファイバーシートを形成する際のろ水時間がきわめて長くなることから工業的には好ましくない。
また、特許文献2には、グラインダー又は二軸押出機を用いてパルプを解繊する方法が開示されている。グラインダーで磨砕すると、一般に繊維径が小さくなりアスペクト比が大きくなるためシート強度を発現させることができる。しかしながら、この場合もろ水時間がきわめて長くなることから、工業的には好ましくない。また、二軸押出機による解繊は、通常回転数200〜400rpm(スクリュー径が15mmであるため、周速は9.4m/分〜18.8m/分)で行われ、例えば特許文献2では、400rpm(周速18.8m/分)で60分間解繊が行われている。しかしながら、このような条件では、パルプに高いせん断速度がかからず、繊維の解繊よりも切断が優先的に進行するため、ミクロフィブリル化(繊維のナノ化)が不十分であり、シート強度の高いナノファイバーを得ることは困難である。
特許文献3では、リファイナーで予備解繊したパルプをスクリュー回転数300rpm(スクリュー径が15mmであるため、周速は14.1m/分)の条件で二軸押出機を用いて解繊し、微細繊維化している。しかしながら、前記の通り、このような条件では、パルプに高いせん断速度がかからないこと、繊維の解繊よりも切断が優先的に進行することから、ミクロフィブリル化(繊維のナノ化)が不十分となり、シート強度の高いナノファイバーを得ることは困難である。
特開2007−231438号公報 特開2009−19200号公報 特開2008−75214号公報
セルロースナノファイバーの新規な製造方法及び新規なセルロースナノファイバーを提供することを主な課題とする。
前記の通り、高圧ホモジナイザー等でセルロースを解繊すると、繊維径が小さくなりアスペクト比が大きくなるため、高いシート強度を発現させることができるものの、セルロースナノファイバーシートを形成する際のろ水時間がきわめて長くなることが知られていた。また、従来の二軸混練機による解繊では、シート強度の高いナノファイバーを得ることは困難であった。これらのことから、ろ水性の良さとシート強度の高さとを両立することは極めて困難であると思われた。ところが、本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、水の存在下、パルプを一軸又は多軸混練機で解繊してセルロースナノファイバーを製造するに際して、該混練機のスクリューの周速を45m/分以上という、従来技術では想定されていない非常に高いせん断速度下でパルプを解繊することにより、相反する性質と考えられていたろ水性の良さとシート強度の高さの両方の点で非常に優れたセルロースナノファイバーが得られることを見出した。すなわち、本発明は下記項1〜7に示すセルロースナノファイバーの製造方法、セルロースナノファイバー、該ファイバーからなるシート、及び該ファイバーと樹脂との複合体を提供する。
項1.水の存在下、パルプを一軸又は多軸混練機で解繊してセルロースナノファイバーを製造する方法であって、前記一軸又は多軸混練機のスクリューの周速が45m/分以上であるセルロースナノファイバーの製造方法。
項2.前記一軸又は多軸混練機が二軸混練機である項1に記載の製造方法。
項3.項1又は2の製造方法によって得られるセルロースナノファイバー。
項4.項1又は2の製造方法によって得られるセルロースナノファイバーであって、該セルロースナノファイバーと水との混合物中のセルロースナノファイバーの濃度が0.33重量%であるスラリー600mLを下記条件:
(1)20℃
(2)ろ過面積200cm
(3)−30kPa減圧度
(4)メッシュサイズ7μm、厚み0.2mmのろ紙
でろ過して脱水シートが得られるまでのろ水時間X(秒)と、
該脱水シートを温度110℃、圧力0.003MPaで10分間、加熱圧縮して得られる100g/mの乾燥シートの引っ張り強度Y(MPa)
との関係が、下式(1):
Y>0.1339X+58.299 (1)
を満たすセルロースナノファイバー。
項5.セルロースナノファイバーと水との混合物中のセルロースナノファイバーの濃度が0.33重量%であるスラリー600mLを下記条件:
(1)20℃
(2)ろ過面積200cm
(3)−30kPa減圧度
(4)メッシュサイズ7μm、厚み0.2mmのろ紙
でろ過して脱水シートが得られるまでのろ水時間X(秒)と、
該脱水シートを温度110℃、圧力0.003MPaで10分間、加熱圧縮して得られる100g/mの乾燥シートの引っ張り強度Y(MPa)
との関係が、下式(1):
Y>0.1339X+58.299 (1)
を満たすセルロースナノファイバー。
項6.項3〜5のいずれかに記載のセルロースナノファイバーからなるシート。
項7.項3〜5のいずれかに記載のセルロースナノファイバーを含有する樹脂複合体。
以下、本願発明のセルロースナノファイバーの製造方法、セルロースナノファイバー、該ファイバーからなるシート、及び該ファイバーと樹脂との複合体について、詳述する。
1.製造方法
本発明のセルロースナノファイバーの製造方法は、水の存在下、パルプを一軸又は多軸混練機で解繊してセルロースナノファイバーを製造するに際して、該混練機のスクリューの周速を45m/分以上にして解繊を行うことを特徴とする。
原料パルプ
本発明において、解繊に供されるパルプとしては、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプ、炭酸ソーダパルプなどの化学パルプ、機械パルプ、ケミグランドパルプ、古紙から再生された再生パルプなどが使用できる。これらのパルプは1種単独で又は2種以上混合して使用することができる。これらのパルプの中でも、強度の点から、クラフトパルプが特に好ましい。
パルプの原料としては、針葉樹チップ、広葉樹チップ、ソーダスト等の木材系セルロース原料、非木材系セルロース原料(例えば、バガス、ケナフ、ワラ、アシ、エスパルト等の一年生植物)を例示することができる。パルプの原料の中でも、木材系セルロース原料、特に針葉樹チップ、広葉樹チップが好ましい。最も好ましい原料パルプは、針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)である。
一軸又は多軸混練機
本発明においては、前記原料パルプを一軸又は多軸混練機(以下、単に「混練機」ということがある)で解繊してセルロースナノファイバーを製造する。混練機(混練押出機)には、一軸混練機、二軸以上の多軸混練機があり、本発明においては、何れを使用してもよい。多軸混練機を用いた場合、原料パルプの分散性、ナノファイバー化の程度をより向上させることができるので好ましい。多軸混練機の中でも、入手のしやすさ等の観点から、二軸混練機が好ましい。
また、本発明は、前記一軸又は多軸混練機のスクリューの周速の下限値は45m/分程度である。スクリューの周速の下限値は60m/分程度が好ましく、90m/分程度が特に好ましい。また、スクリューの周速の上限値は通常200m/分程度である。スクリューの周速の上限値は150m/分程度が好ましく、100m/分程度が特に好ましい。本発明においては、スクリューの周速を45m/分以上に設定することにより、従来よりも高せん断速度下で繊維表面をフィブリル化(ナノ化)でき、ろ水時間が短いにもかかわらず、高いシート強度を発現させることができる。
前記の通り、従来、セルロースナノファイバーを二軸混練機で解繊する場合、該混練機のスクリューの周速は通常10m/分〜20m/分程度であった。このような周速下で解繊した場合には、セルロースに作用するせん断速度が低くなり、繊維の解繊よりも切断が優先的に進行するため、フィブリル化が十分行われず、高いシート強度の発現しないセルロースナノファイバーとなってしまう。
本発明において使用される混練機のL/D(スクリュー径Dと混練部の長さLの比)は、通常15〜60程度、好ましくは30〜60程度である。
一軸又は多軸混練機による解繊時間は、原料パルプの種類、前記混練機のL/D等によっても異なるが、前記のL/Dの範囲内であれば、通常30〜60分程度、好ましくは30〜45分程度である。
パルプを前記混練機による解繊に供する回数(パス)は、目的とするセルロースナノファイバーの繊維径、繊維長、また、前記混練機のL/D等によっても変化するが、通常1〜8回程度、好ましくは1〜4回程度である。パルプを前記混練機による解繊に供する回数(パス)があまりに多くなりすぎると、解繊はより進行するものの、同時に発熱も生じるため、セルロースが着色したり、熱ダメージ(シート強度の低下)につながる。
混練機には、スクリューの存在する混練部は1カ所であってもよいし、2カ所以上存在してもよい。
また、混練部が2カ所以上存在する場合、各混練部の間に1個又は2個以上のせき止め構造(返し)を有していてもよい。なお、本発明においては、スクリューの周速が45m/分以上と従来のスクリューの周速よりもかなり大きいので、混練機への負荷を軽減するためには、せき止め構造を有しない方がより好ましい。
二軸混練機を構成する二本のスクリューの回転方向は異方向、同方向のどちらでもよい。また、二軸混練機を構成する二本のスクリューの噛み合いは、完全噛み合い型、不完全噛み合い型、非噛み合い型があるが、本発明の解繊に用いるものとしては、完全噛み合い型が好ましい。
スクリュー長さとスクリュー直径の比(スクリュー長さ/スクリュー直径)は20〜150程度であればよい。具体的な二軸混練機としては、テクノベル社製「KZW」、日本製鋼所製「TEX」、東芝機械社製「TEM」、コペリオン社製「ZSK」などを用いることができる。
解繊に供する原料パルプと水との混合物中の原料パルプの割合は、通常10〜70重量%程度、好ましくは20〜50重量%程度である。
また、混練時の温度には特別の制約はないが、通常10〜160℃で行うことが可能であり、特に好ましい温度は20〜140℃である。
本発明においては、前記原料パルプを混練機による解繊に供する前に、原料パルプをリファイナー等による予備解繊に供しても良い。リファイナー等による予備解繊の方法は、従来公知の方法が採用でき、例えば、特許文献3に記載の方法が採用できる。リファイナーによる予備解繊を行うことにより、前記混練機にかかる負荷を低減することができ、生産効率の点からも好ましい。
2.セルロースナノファイバー
本発明のセルロースナノファイバーは、以下の特性を有することを特徴とする。
セルロースナノファイバーと水との混合物中のセルロースナノファイバーの濃度が0.33重量%であるスラリー600mLを下記条件:
(1)20℃
(2)ろ過面積200cm
(3)−30kPa減圧度
(4)メッシュサイズ7μm、厚み0.2mmのろ紙でろ過して脱水シートが得られるまでのろ水時間X(秒)と、
該脱水シートを温度110℃、圧力0.003MPaで10分間、加熱圧縮して得られる100g/mの乾燥シートの引っ張り強度Y(MPa)
との関係が、下式(1):
Y>0.1339X+58.299 (1)
を満たす。
すなわち、本発明のセルロースナノファイバーは、図1のグラフに示すように、下式(1c):
Y=0.1339X+58.299 (1c)
で表される直線よりもYの値が大きい範囲にあることを特徴とする。
上記関係式の求め方は以下の通りである。
セルロールナノファイバーの製造に際し、従来の二軸混練機による製造方法を採用してシートを得た比較例1〜4の結果から、下式(1a)の近似曲線を引くことができる(図1)。
Y=0.1339X + 47.871 (1a)
一方、セルロールナノファイバーの製造に際し、従来の二軸混練機による製造方法を採用してシートを得た実施例1〜4の結果から、下式(1b)の近似曲線を引くことができる(図1)。
Y=0.1339X + 68.727 (1b)
前記一般式(1a)と(1b)の直線の中間の直線が、一般式(1c)の直線となり、これより上の領域が前記一般式(1)で表される関係式である。例えば、図1の一般式(1c)の直線において、ろ水時間が200秒の場合に、引っ張り強度が80MPaを超える。一方、図1の一般式(1a)の直線から、比較例の解繊方法によって引っ張り強度が80MPaのシートを得るためには、ろ水時間が約300秒と大幅に長くなる程度にまで解繊する必要があることが分かる。同じ強度のシートを得るためのろ水時間が1.5倍になると、工業的な大スケールでシートを製造する際には、極めて不利となる。
ろ水時間X(秒)の上限値は、目的とするシート強度によって異なるが、工業的利用の観点から、通常10〜2000秒程度、好ましくは10〜200秒程度である。ろ水時間が長くなるほど、セルロースナノファイバーのシート化速度が遅くなるため好ましくない。
また、前記シートの引っ張り強度Y(MPa)の上限値は、パルプの種類等によっても異なるが、一般的には20〜200MPa程度、好ましくは50〜200MPa程度である。例えば、クラフトパルプの場合は、50〜200MPa程度、好ましくは80〜200MPa程度である。
なお、本発明において、ろ水時間とは、0.33重量%のセルロースナノファイバーと水のスラリー600mLを上記(1)〜(4)の条件で減圧吸引ろ過を行い、脱水シートが得られる迄の時間をいう。本発明において、脱水シートとは、吸引ろ過によって形成されたセルロースナノファイバーのシートから、水滴がほとんど生じなくなった状態のシートをいう。脱水シートの形成が不十分であり、水が残っている場合には、光の反射によってシートが光って見える。脱水シートが形成された時点で光の反射が無くなることから、脱水シートが得られたことを判断できる。なお、脱水シートの形成後は、水滴はほとんど生じないが、脱水シート中に含まれている水滴が若干生じることはある。
ろ水後の脱水シート中の水分量は、乾燥負荷軽減の観点から、低い方が好ましい。
なお、前記のろ水時間は、前記測定を数回行い、その平均値を算出したものである。また、前記脱水シートにおいて、形成された後は、吸引されるスラリーがなくなるため、エアーの吸い込みが生じる。この際にエアーの吸い込み音がするので、該吸い込み音によっても脱水シートが形成されることが確認できる。
前記の通り、セルロースナノファイバーの集合体をシート状に成形した場合や、セルロースナノファイバーと樹脂とを混合して樹脂複合体とした場合、一般に、セルロースナノファイバーの繊維径(幅)が小さく、アスペクト比が大きい方が、該シートや樹脂複合体の強度が高い。
一方、パルプを解繊する場合、通常、水の存在下に解繊に供される。解繊後、水とセルロースナノファイバーとを分離する際のろ水時間は、セルロースナノファイバーの繊維径が小さくなるほど長くなる。すなわち、図1のグラフからも明らかなように、ろ水時間とセルロースナノファイバーからなるシートの強度とは、直線関係になる。
このように、強度の高いセルロースナノファイバーのシートや樹脂複合体を得ようとすると、繊維径の小さいセルロースナノファイバーに解繊することが望ましいが、繊維径が小さくなるほど、製造工程におけるろ水時間が長くなり、工業的にはコストアップの要因になってしまう。
これに対して、本発明のセルロースナノファイバーは、繊維径の小さい(15〜20nm程度)セルロースナノファイバーと繊維径の比較的大きい(300〜1000nm程度)セルロースナノファイバーとが混合している(図2参照)。また、グラインダー処理等に比べて、解繊によるセルロースナノファイバー表面の損傷が小さく、セルロースナノファイバーのアスペクト比も大きい。よって、本発明のセルロースナノファイバーは、ろ水時間が短いにも関わらず、強度は高いという、従来には無いセルロースナノファイバーの特性を有している。なお、本発明のセルロースナノファイバーには、1〜10μm程度のファイバーも一部含まれているため、このことも、強度が高いにもかかわらず、ろ水時間が短いという本願発明の優れた点に寄与していると考えられる。
また、本発明のセルロースナノファイバーには、幅4nm程のセルロースミクロフィブリル(シングルセルロースナノファイバー)にまで解繊されたファイバーも含まれ得る。
一方、リファイナーによる解繊で得られたセルロースナノファイバーは、解繊が不十分になるため、繊維径の大きなセルロースナノファイバーが多く存在する(図3参照)。このようなセルロースナノファイバーから得られたシートは、ろ水時間は短いものの、強度は低くなってしまう。なお、このときのリファイナーによる解繊条件は、カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)が50mLになるレベルに叩解することを基準として処理条件を決定した。
また、後述の比較例5の結果からも明らかなように、高圧ホモジナイザーでパルプを解繊した場合には、繊維径の非常に小さいセルロースナノファイバーが得られるものの(図4参照)、ろ水時間が極めて長くなってしまう。さらに、従来の二軸混練条件(スクリューの周速が9.4m/分〜18.8m/分程度)で解繊を行った場合には、パルプに高いせん断力がかからず、繊維の解繊よりも切断が優先的に進行するため、ミクロフィブリル化(繊維のナノ化)が不十分であり、シート強度の高いナノファイバーを得ることが困難である(図5参照)。
上記関係式(1)を満たす本発明のセルロースナノファイバーは、前記本発明の製造方法でパルプを解繊することにより製造することができる。
本発明のセルロースナノファイバーの繊維径は平均値が4〜400nm程度、好ましくは4〜200nm程度、特に好ましくは4〜100nm程度である。また、繊維長は、平均値が50nm〜50μm程度、好ましくは100nm〜10μm程度である。
なお、本発明のセルロースナノファイバーの繊維径及び繊維長の平均値は、電子顕微鏡の視野内のセルロースナノファイバー100本について測定した時の平均値である。
3.シート
前記の通り、本発明のセルロースナノファイバーは、シート状に成形した成形体とすることができる。成形方法は特に限定されないが、例えば、前記の解繊によって得られたセルロースナノファイバーと水との混合液(スラリー)を吸引ろ過し、フィルター上にシート状になったセルロースナノファイバーを乾燥、加熱圧縮等することによって、セルロースナノファイバーをシートに成形することができる。
セルロースナノファイバーをシートに成形する場合、前記スラリー中のセルロースナノファイバーの濃度は、特に限定されない。通常は、0.1〜2.0重量%程度、好ましくは0.2〜0.5重量%程度である。
また、吸引ろ過の減圧度は、通常10〜60kPa程度、好ましくは10〜30kPa程度である。吸引ろ過時の温度は、通常10℃〜40℃程度、好ましくは20℃〜25℃程度である。
フィルターとしては、ワイヤメッシュクロス、ろ紙等を使用することができる。フィルターのメッシュサイズは、解繊後のセルロースナノファイバーをろ過できれば特に限定されないが、ワイヤメッシュクロスを使用する場合、通常1μm〜100μm程度のものが使用できる。また、ろ紙を使用する場合、通常1μm〜100μm程度のものが使用できる。
上記の吸引ろ過によって、セルロースナノファイバーの脱水シート(ウェットウェブ)を得ることができる。そして、得られた脱水シートを加熱圧縮することによって、セルロースナノファイバーの乾燥シートを得ることができる。
加熱圧縮の際の加熱温度は、通常50〜150℃程度、好ましくは90〜120℃程度である。また、圧力は、通常0.0001〜0.05MPa程度、好ましくは0.001〜0.01MPa程度である。加熱圧縮時間は、通常1〜60分程度、好ましくは10〜30分程度である。
本発明のセルロースナノファイバーから得られるシートの引っ張り強度は、シートの坪量や密度等によって異なることがある。本発明では、坪量100g/mのシートを作成し、密度が0.8〜1.0g/cmのセルロースナノファイバーから得られるセルロースナノファイバーシートの引っ張り強度を測定した。なお、引っ張り強度は、以下の方法により測定した値である。坪量100g/mに調製した乾燥セルロースナノファイバーシートを裁断して10mm×50mmの長方形シートを作成し、試験片を得る。試験片を引っ張り試験機に取り付け、荷重を加えながら試験片にかかる応力とひずみを測定する。試験片が破断した際の、試験片単位断面積当たりにかかった荷重を引っ張り強度とする。
4.樹脂複合体
本発明のセルロースナノファイバーは、種々の樹脂と混合して樹脂複合体とすることができる。
樹脂の種類は特に限定されず、例えばポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、フッ素樹脂、アミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート、繊維素プラスチック、ポリグリコール酸、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−4−ヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレートポリエチレンアジペート、ポリカプロラクト ン、ポリプロピオラクトン等のポリエステル、ポリエチレングリコール等のポリエーテル、ポリグルタミン酸、ポリリジン等のポリアミド、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ケイ素樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂等が使用できる。樹脂は、一種単独又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましくは、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等の生分解性樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;フェノール樹脂;エポキシ樹脂;不飽和ポリエステル樹脂である。
生分解性樹脂の例としては、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、コハク酸、ε−カプロラクトン、N−メチルピロリドン、炭酸トリメチレン、パラジオキサノン、1,5−ジオキセパン−2−オン、水酸化酪酸、水酸化吉草酸などのホモポリマー、コポリマー又はこれらポリマーの混合物が挙げられ、一種単独又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい生分解性樹脂は、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトンであり、より好ましいのはポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートである。
セルロースナノファイバーと樹脂とを複合化する方法は特に限定されず、通常のセルロースナノファイバーを樹脂と複合化する方法を採用できる。例えば、セルロースナノファイバーより構成されるシート又は成形体に樹脂モノマー液を十分に含浸させて、熱、UV照射、重合開始剤等によって重合する方法、セルロースナノファイバーにポリマー樹脂溶液又は樹脂粉末分散液を十分に含浸させて乾燥する方法、セルロースナノファイバーを樹脂モノマー液中に十分に分散させて熱、UV照射、重合開始剤等によって重合する方法、セルロースナノファイバーをポリマー樹脂溶液又は樹脂粉末分散液に十分に分散させて乾燥する方法、セルロースナノファイバーを熱溶融した樹脂液中に混練分散させてプレス成形、押し出し成形若しくは射出成形する方法等が挙げられる。
複合体中のセルロースナノファイバーの含有割合としては、10〜90重量%程度が好ましく、10〜50重量%程度がより好ましい。セルロースナノファイバーの含有割合を上記の数値範囲に設定することにより、軽量、かつ高強度な成形材料が得られる。
複合化にあたっては、界面活性剤、でんぷん類、アルギン酸等の多糖類、ゼラチン、ニカワ、カゼイン等の天然たんぱく質、タンニン、ゼオライト、セラミックス、金属粉末等の無機化合物、着色剤、可塑剤、香料、顔料、流動調整剤、レベリング剤、導電剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、紫外線分散剤、消臭剤の添加剤を配合してもよい。
以上のようにして本発明の樹脂複合体を製造することができる。本発明のセルロースナノファイバーによれば、ろ水時間が短いにも関わらず、強度が高いので、樹脂複合体とする際の製造工程におけるコスト削減に加えて、強度の高い樹脂複合体を得ることができる。この複合化樹脂は他の成形可能な樹脂と同様に成形可能であり、例えば金型成形による加熱圧縮、押出成形、射出成形等により成形することができる。成形の条件は樹脂の成形条件を必要に応じて適宜調整して適用すればよい。
本発明の樹脂複合体は、高い機械強度を有しているので、例えば、従来のセルロースナノファイバーの成形体、セルロースナノファイバー含有樹脂成形体が使用されていた分野に加え、より高い機械強度(引っ張り強度等)が要求される分野にも使用できる。例えば、自動車、電車、船舶、飛行機等の輸送機器の内装材、外装材、構造材等;パソコン、テレビ、電話、時計等の電化製品等の筺体、構造材、内部部品等;携帯電話等の移動通信機器等の筺体、構造材、内部部品等;携帯音楽再生機器、映像再生機器、印刷機器、複写機器、スポーツ用品等の筺体、構造材、内部部品等;建築材;文具等の事務機器等として有効に使用することができる。
本発明によれば、水の存在下、パルプを一軸又は多軸混練機で解繊してセルロースナノファイバーを製造するに際して、該混練機のスクリューの周速を45m/分以上という、従来技術では想定されていない非常に高いせん断下でパルプを解繊することにより、相反する性質と考えられていたろ水性の良さとシート強度の高さの両方の点で非常に優れたセルロースナノファイバーが得られる。
実施例1〜4及び比較例1〜5で得られたシートのろ水時間と引っ張り強度との関係を示すグラフ 実施例1で得られたセルロースナノファイバーの電子顕微鏡写真 リファイナー処理によって得られたセルロースナノファイバーの電子顕微鏡写真 市販のセルロースナノファイバー(セリッシュ:ダイセル化学工業社製)の電子顕微鏡写真 比較例3で得られたセルロースナノファイバーの電子顕微鏡写真
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)のスラリー(パルプスラリー濃度2重量%の水懸濁液)をシングルディスクリファイナー(熊谷理機工業製)に通液させ、カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)値が100mL以下になるまで、繰返しリファイナー処理を行った。次に、得られたスラリーを遠心脱水機(株式会社コクサン製)を用いて2000rpm、15分の条件で脱液し、パルプ濃度を25重量%にまで濃縮した。得られた含水パルプを二軸混練機(テクノベル社製のKZW)に投入し、解繊処理を行った。二軸混練機による解繊条件は以下の通りである。
[解繊条件]
スクリュー直径15mm
スクリュー回転数:2000rpm(スクリュー周速:94.2m/分)
解繊時間:150gの針葉樹未漂白クラフトパルプを500g/hr〜600g/hrの処理条件で解繊した。原料を投入してからセルロースナノファイバーが得られる迄の時間は15分であった。
L/D: 45
解繊処理に供した回数:1回(1パス)
せき止め構造:0個。
次に、解繊によって得られたスラリーに水を加え、セルロースナノファイバーの濃度を0.33重量%に調製した。スラリーの温度は20℃とした。次に、スラリー600mLをジャー入れ、攪拌棒で攪拌後、素早く減圧ろ過を開始した。ろ過条件は以下の通りである。
[ろ過条件]
ろ過面積:約200cm
減圧度:−30kPa
ろ紙:アドバンテック東洋株式会社製の5Aろ紙
ろ過量:セルロースナノファイバー濃度0.33重量%のスラリー600mL。
減圧ろ過開始から脱水シート(ウェットウェブ)が形成される迄の時間をろ水時間Y(秒)とした。得られたウェットウェブを110℃、圧力0.003MPaで10分間加熱圧縮し、乾燥シートが100g/mになるように調製した。得られた乾燥シートの引っ張り強度を測定した。得られた乾燥シートの各物性値を表1に示す。なお、前記乾燥シートは、水分が残っている場合には、光の反射によってシートが光って見える。一方、脱水シートが得られると、前記光の反射は無くなるため、光の反射がなくなったときの時間をろ水時間とした。前記ろ水時間は、前記測定を数回行い、その平均値を算出したものである。また、引っ張り強度の測定方法は前記の通りである。
実施例2
解繊処理に供した回数を4回(4パス)とした以外は、実施例1と同様にして、シートを作製した。得られたシートの物性値を表1に示す。
実施例3
解繊処理に供したパルプを針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)の代わりに針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)とした以外は、実施例1と同様にして、シートを作製した。得られたシートの各物性値を表1に示す。
実施例4
解繊処理に供した回数を4回(4パス)とした以外は、実施例3と同様にして、シートを作製した。得られたシートの各物性値を表1に示す。
比較例1
スクリューの周速を94.2m/分とする代わりに18.8m/分とした以外は、実施例1と同様にして、シートを作製した。得られたシートの物性値を表1に示す。
比較例2
せき止め構造を0個の代わりに1個とした以外は、比較例1と同様にして、シートを作製した。得られたシートの物性値を表1に示す。
比較例3
せき止め構造を0個の代わりに2個とした以外は、比較例1と同様にして、シートを作製した。得られたシートの物性値を表1に示す。
比較例4
針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)と水を混合し、十分に攪拌して、パルプ濃度を2重量%に調製した。得られた懸濁液をシングルディスクリファイナーに投入し、カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)が50mLになるように叩解し、得られたスラリーに水を加え、セルロースナノファイバーの濃度を0.33重量%に調製した。その後は実施例1と同様にして、シートを作製した。得られたシートの物性値を表1に示す。
比較例5
ダイセル化学工業社製セリッシュ(パルプ濃度10%)を用いた以外は比較例4と同様にしてシートを作製した。得られたシートの物性値を表1に示す。
Figure 0005638001
実施例5
実施例2と同じ解繊条件で針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)の水懸濁液からセルロールナノファイバーのスラリーを得た。得られたスラリーをろ過してセルロースナノファイバーのシートを得た。なお、ろ過条件は、ろ過面積:約200cm、減圧度:−30kPa、ろ紙:アドバンテック東洋株式会社製の5Aとした。次に、得られたシートを幅30mm×長さ40mmにカットして105℃で2時間乾燥させ、重量を測定した。さらに、不飽和ポリエステル樹脂(ディーエイチ・マテリアル株式会社製「サンドマーFG283」)100重量部にベンゾイルパーオキサイド(日油株式会社製「ナイパーFF」)1重量部を加えた樹脂液に該シートを浸漬させた。浸漬は減圧下(真空度0.01MPa、時間30分)で行い、不飽和ポリエステル樹脂含浸シートを得た。次に、該不飽和ポリエステル樹脂含浸シートを、それぞれ同じものを12枚重ねた。余分な樹脂をはき出した後、金型に入れ、過熱プレス(温度:90℃、時間:30分)を行って、セルロースナノファイバー不飽和ポリエステル複合体の成形物を得た。なお、得られた成形物の重量を測定し、前記シートの乾燥重量との差から繊維含有率(重量%)を算出した。
前記成形物の長さ、幅をノギス(株式会社ミツトヨ製)で正確に測定した。厚さを数か所マイクロメーター(株式会社ミツトヨ製)で測定し、成形物の体積を計算した。別途成形物の重量を測定した。得られた重量、体積より密度を算出した。
前記成形物から厚さ1.2mm、幅7mm、長さ40mmのサンプルを作成し、変形速度5mm/分で曲げ弾性率及び曲げ強度を測定した(ロードセル5kN)。測定機として万能材料試験機インストロン3365型(インストロンジャパンカンパニイリミテッド製)を用いた。実施例5で得られた樹脂複合体の繊維含有率、密度及び曲げ強度を表2に示す。
比較例6
比較例3と同じ解繊条件で針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)の水懸濁液からセルロールナノファイバーのスラリーを得た。得られたスラリーから、実施例5と同様にして不飽和ポリエステルとセルロールナノファイバーとの複合体の成形物を作製した。比較例6で得られた樹脂複合体の成形物の繊維含有率、密度及び曲げ強度を表2に示す。
Figure 0005638001

Claims (7)

  1. 水の存在下、パルプを一軸又は多軸混練機で解繊してセルロースナノファイバーを製造する方法であって、前記一軸又は多軸混練機のスクリューの周速が45m/分以上であるセルロースナノファイバーの製造方法。
  2. 前記一軸又は多軸混練機が二軸混練機である請求項1に記載の製造方法。
  3. 請求項1又は2の製造方法によって得られるセルロースナノファイバー。
  4. 請求項1又は2の製造方法によって得られるセルロースナノファイバーであって、該セルロースナノファイバーと水との混合物中のセルロースナノファイバーの濃度が0.33重量%であるスラリー600mLを下記条件:
    (1)20℃
    (2)ろ過面積200cm
    (3)−30kPa減圧度
    (4)メッシュサイズ7μm、厚み0.2mmのろ紙
    でろ過して脱水シートが得られるまでのろ水時間X(秒)と、
    該脱水シートを温度110℃、圧力0.003MPaで10分間、加熱圧縮して得られる100g/mの乾燥シートの引っ張り強度Y(MPa)
    との関係が、下式(1):
    Y>0.1339X+58.299 (1)
    を満たすセルロースナノファイバー。
  5. セルロースナノファイバーと水との混合物中のセルロースナノファイバーの濃度が0.33重量%であるスラリー600mLを下記条件:
    (1)20℃
    (2)ろ過面積200cm
    (3)−30kPa減圧度
    (4)メッシュサイズ7μm、厚み0.2mmのろ紙
    でろ過して脱水シートが得られるまでのろ水時間X(秒)と、
    該脱水シートを温度110℃、圧力0.003MPaで10分間、加熱圧縮して得られる100g/mの乾燥シートの引っ張り強度Y(MPa)
    との関係が、下式(1):
    Y>0.1339X+58.299 (1)
    を満たすセルロースナノファイバー。
  6. 請求項3〜5のいずれかに記載のセルロースナノファイバーからなるシート。
  7. 請求項3〜5のいずれかに記載のセルロースナノファイバーを含有する樹脂複合体。
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