JP7132794B2 - 複合樹脂成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、機械的特性に優れた成形体を実現できる複合樹脂成形体に関する。
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)等のいわゆる「汎用プラスチック」は、非常に安価であるだけでなく、成形が容易で、金属、またはセラミックスに比べて重さが数分の一と軽量である。そのため、汎用プラスチックは、袋、各種包装、各種容器、シート類等の多様な生活用品の材料として、また、自動車部品、電気部品等の工業部品、及び日用品、雑貨用品等の材料として、よく利用されている。
しかしながら、汎用プラスチックは、機械的強度が不十分であること等の欠点を有している。そのため、汎用プラスチックは、自動車等の機械製品、及び電気・電子・情報製品をはじめとする各種工業製品に用いられる材料に対して要求される十分な特性を有しておらず、その適用範囲が制限されているのが現状である。
一方、ポリカーボネート、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド等のいわゆる「エンジニアプラスチック」は、機械的特性に優れており、自動車等の機械製品、及び電気・電子・情報製品をはじめとする各種工業製品に用いられている。しかし、エンジニアプラスチックは、高価であり、モノマーリサイクルが難しく、環境負荷が大きいといった課題を有している。
そこで、汎用プラスチックの材料特性(機械的強度等)を大幅に改善することが要望されている。汎用プラスチックを強化する目的で、繊維状フィラーである天然繊維やガラス繊維、炭素繊維などを汎用プラスチックの樹脂中に分散させることにより、その汎用プラスチックの機械的強度を向上させる技術が知られている。また、粒子状フィラーとしてタルク、シリカといった無機系粉体やパルプ粉体、古紙粉体、木屑といったセルロース系粉体などを汎用プラスチックの樹脂中に分散させることにより、その汎用プラスチックの機械的強度を向上させる技術も知られている。これらの中でもセルロースなどの有機フィラーは、安価であり、かつ廃棄時の環境性にも優れていることから、強化用材料として注目されている。
汎用プラスチックの機械的強度を改善するために、各社検討を進めており、特許文献1では、図5に示すように、アスペクト比2以上の10メッシュを通過し、60メッシュを通過しないセルロース系粉体53を樹脂51に添加し、耐衝撃強度を高めている。
特許第3500403号公報
しかしながら、特許文献1では、衝撃強度が高く、外観にも優れた複合樹脂を提供するため、10~60メッシュ、すなわち、開口幅が300μm~1.6mmのメッシュを通過したセルロース系粉体53を使用している。しかし、図5に示すように、フィラーが粉体のみのため、弾性率が低い。フィラーを繊維状とすることで弾性率は向上するが、衝撃強度が落ち、その両立が困難であるという課題があった。また、繊維状フィラーを添加することで、フィラーの凝集物が多くなり、外観不良の課題があった。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、高弾性率および高耐衝撃性と良好な外観性を備える複合樹脂成形体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る複合樹脂成形体は、主剤樹脂と、
前記主剤樹脂中に分散されたフィラーと、
を含有し、
前記フィラーは、繊維状フィラーと、前記繊維状フィラーよりもアスペクト比が小さい粒子状フィラーと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る複合樹脂成形体は、高弾性率および高耐衝撃性を備え、外観に優れた複合樹脂成形体を実現することができる。
実施の形態1における複合樹脂成形体の断面模式図である。 実施の形態1における繊維状フィラーの模式図である。 図2Aの繊維状フィラーの端部の部分拡大図である。 実施の形態1における複合樹脂成形体の製造プロセスの模式図である。 各実施例1~3および各比較例1~8における測定結果を示す表である。 特許文献1における複合樹脂成形体の断面模式図である。
第1の態様に係る複合樹脂成形体は、主剤樹脂と、
前記主剤樹脂中に分散されたフィラーと、
を含有し、
前記フィラーは、繊維状フィラーと、前記繊維状フィラーよりもアスペクト比が小さい粒子状フィラーと、を含む。
第2の態様に係る複合樹脂成形体は、上記第1の態様において、前記繊維状フィラーのアスペクト比が10以上であり、前記粒子状フィラーのアスペクト比が2以下であってもよい。
第3の態様に係る複合樹脂成形体は、上記第1又は第2の態様において、前記フィラーのうち前記繊維状フィラーの占める割合が1%以上10%以下であり、前記フィラーのうち前記粒子状フィラーの占める割合が50%以上70%以下であってもよい。
第4の態様に係る複合樹脂成形体は、上記第1から第3のいずれかの態様において、前記複合樹脂成形体の表層に存在するフィラーのうち前記繊維状フィラーの占める割合が、前記複合樹脂成形体の内側に存在するフィラーのうち前記繊維状フィラーの占める割合よりも大きくてもよい。
第5の態様に係る複合樹脂成形体は、上記第1から第4のいずれかの態様において、前記フィラーの、色差測定によるL値が80を超えてもよい。
第6の態様に係る複合樹脂成形体は、上記第1から第5のいずれかの態様において、前記複合樹脂成形体の色差測定によるL値が断面方向で異なり、前記複合樹脂成形体の表層のL値の方が、前記複合樹脂成形体の内側のL値よりも大きくてもよい。
第7の態様に係る複合樹脂成形体は、上記第1から第6のいずれかの態様において、前記複合樹脂成形体中における前記繊維状フィラーの少なくとも一方の端部が解繊されていてもよい。
第8の態様に係る複合樹脂成形体は、上記第1から第7のいずれかの態様において、前記フィラーが天然繊維であってもよい。
第9の態様に係る複合樹脂成形体は、上記第1から第8のいずれかの態様において、前記主剤樹脂がオレフィン樹脂であってもよい。
以下、実施の形態に係る複合樹脂成形体について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、同じ構成部分には同じ符号を付して、適宜説明を省略している。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る複合樹脂成形体10の断面模式図である。図2Aは、実施の形態1における繊維状フィラー2の模式図である。図2Bは、図2Aの繊維状フィラー2の端部Aの部分拡大図である。
実施の形態1における複合樹脂成形体は、主剤樹脂と、フィラーと、分散剤とを含有する溶融混練物からなる。フィラーは、繊維状フィラーと粒子状フィラーを含む。複合樹脂成形体は、図1の断面模式図に示すように、主剤樹脂1中に大きいアスペクト比の繊維状フィラー2、および小さいアスペクト比の粒子状フィラー3が分散されている。
本実施の形態1において、主剤樹脂1は、良好な成形性を確保するために、熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂(環状オレフィン系樹脂を含む)、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂またはその誘導体、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6-キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴムまたはエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などが挙げられる。上記の樹脂は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用されてもよい。なお、主剤樹脂1は、熱可塑性を有していれば上記の材料に限定されるものではない。
これらの熱可塑性樹脂のうち、主剤樹脂1は、比較的低融点であるオレフィン系樹脂であることが好ましい。オレフィン系樹脂としては、オレフィン系単量体の単独重合体の他、オレフィン系単量体の共重合体や、オレフィン系単量体と他の共重合性単量体との共重合体が含まれる。オレフィン系単量体としては、例えば、鎖状オレフィン類(エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンなどのα-C2-20オレフィンなど)、環状オレフィン類などが挙げられる。これらのオレフィン系単量体は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用されてもよい。上記オレフィン系単量体のうち、エチレン、プロピレンなどの鎖状オレフィン類が好ましい。他の共重合性単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル;(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル系単量体;マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸またはその無水物;カルボン酸のビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど);ノルボルネン、シクロペンタジエンなどの環状オレフィン;およびブタジエン、イソプレンなどのジエン類などが挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用されてもよい。オレフィン系樹脂の具体例としては、ポリエチレン(低密度、中密度、高密度または線状低密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン-1などの三元共重合体などの鎖状オレフィン類(特にα-C2-4オレフィン)の共重合体などが挙げられる。
次に、分散剤について説明する。本実施の形態における複合樹脂成形体は、繊維状フィラー2、および粒子状フィラー3と主剤樹脂1との接着性、あるいは主剤樹脂1中の繊維状フィラー2、および粒子状フィラー3の分散性を向上させるなどの目的で、分散剤を含有してもよい。分散剤としては、各種のチタネート系カップリング剤、シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、またはその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステルなどが挙げられる。上記シランカップリング剤は、不飽和炭化水素系やエポキシ系のものが好ましい。分散剤の表面は、熱硬化性もしくは熱可塑性のポリマー成分で処理され変性処理されても問題ない。本実施の形態における複合樹脂成形体における分散剤の含有量は、0.01質量%以上、20質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上、10質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上、5質量%以下であることがさらに好ましい。分散剤の含有量が、0.01質量%未満であると、分散不良が発生し、一方、分散剤の含有量が20質量%を超えると、複合樹脂成形体の強度が低下する。分散剤は、主剤樹脂1と繊維状フィラー2および粒子状フィラー3の組み合わせにより適切に選択され、分散剤が必要ない組み合わせの場合は添加しなくてもよい。
次に、繊維状フィラー2、および粒子状フィラー3について説明する。粒子状フィラー3は基本的には繊維状フィラー2と同一材料であり、アスペクト比が異なるのみである。そのため以下の説明では繊維状フィラー2について詳細に記述する。本実施の形態における複合樹脂成形体に含まれる繊維状フィラー2(以下、単に「繊維」と称することがある。)は、複合樹脂成形体を用いて成形した樹脂成形体において、機械的特性の向上や、線膨張係数の低下による寸法安定性の向上などを主要な目的として用いられる。この目的のため、繊維状フィラー2は、主剤樹脂1よりも弾性率が高いことが好ましく、具体的にはカーボンファイバー(炭素繊維)、カーボンナノチューブ、パルプ、セルロース、セルロースナノファイバー、リグノセルロース、リグノセルロースナノファイバー、塩基性硫酸マグネシウム繊維(マグネシウムオキシサルフェート繊維)、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維、炭化ケイ素繊維、ワラストナイト、ゾノトライト、各種金属繊維、綿、絹、羊毛あるいは麻等の天然繊維、ジュート繊維、レーヨンあるいはキュプラなどの再生繊維、アセテート、プロミックスなどの半合成繊維、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、アラミド、ポリオレフィンなどの合成繊維、さらにはそれらの表面及び末端に化学修飾した変性繊維などが挙げられる。またさらに、これらの中で、入手性、弾性率の高さ、線膨張係数の低さの観点から、カーボン類、セルロース類が特に好ましい。さらに環境性の観点からはセルロース類の天然繊維が好ましい。
繊維状フィラー2と粒子状フィラー3の形状について説明する。符号Lは、繊維状フィラー2または粒子状フィラー3の長さ(以下、「繊維長」と称することがある。)であって、符号dは、繊維状フィラー2または粒子状フィラー3の幅(以下、「繊維径」と称することがある。)である。繊維状フィラー2と粒子状フィラー3について、アスペクト比(L/d)が大きい繊維が多いと、すなわち繊維状フィラー2が多いと、弾性率が向上する。繊維状フィラー2のアスペクト比としては10以上が好ましい。しかし、アスペクト比が大きい繊維が多いと、耐衝撃性が悪化し、さらに繊維凝集物が多くなり、外観性が悪くなる。一方、アスペクト比が小さい繊維が多いと、すなわち粒子状フィラー2が多いと、耐衝撃性は良化し、繊維凝集物が少なく外観性も良い。粒子状フィラー3のアスペクト比としては2以下が好ましい。しかし、アスペクト比が小さい繊維が多いと、弾性率が低下する。
アスペクト比と弾性率の関係性について記述する。複合樹脂成形体への応力負荷時に、アスペクト比の大きい繊維があると、樹脂は伸びても、剛性の高い繊維が伸びにくいため、複合樹脂として歪まない。そのため、弾性率が向上する。一方で、アスペクト比が小さい繊維の場合、応力負荷時に繊維による歪み抑制効果が薄れ、複合樹脂として歪んでしまい、弾性率が低下する。
アスペクト比と耐衝撃性の関係性について記述する。複合樹脂成形体への衝撃負荷時に、アスペクト比の大きい繊維があると、樹脂の伸びに繊維が追従できず、樹脂と繊維の間にクラックが入り、そこが起点となって割れへと進展する。一方で、アスペクト比が小さい繊維の場合、繊維が細かいため、衝撃負荷時に樹脂の伸びに繊維が追従し、クラックが入りにくくなり、割れにくくなる。
アスペクト比と外観性の関係性について記述する。アスペクト比の大きい繊維、すなわち繊維状フィラーと、小さい繊維、すなわち粒子状フィラーとがともに混練されることにより、アスペクト比の大きい繊維、すなわち繊維状フィラーの間に、アスペクト比の小さい繊維、すなわち粒子状フィラーが入り、凝集が抑制され、外観性が改善する。
上述の通り、弾性率、耐衝撃性、外観性の観点からアスペクト比の大きい繊維(繊維状フィラー)と小さい繊維(粒子状フィラー)とが複合樹脂成形体中で混合されているのが好ましい。それぞれの繊維の混合割合がどのような関係にあれば、特性が良くなるのかはシミュレーションにより算出され、アスペクト比が10以上の繊維の存在割合が1%以上10%以下であり、アスペクト比2以下の繊維の存在割合が50%以上70%以下であることが好ましい。いいかえると、フィラーのうち繊維状フィラーの占める割合が1%以上10%以下であり、フィラーのうち粒子状フィラーの占める割合が50%以上70%以下であることが好ましい。
また、アスペクト比が2より高く、10未満のその他の繊維の存在割合は、20%以上、49%以下である。
なお、上記存在割合とは、フィラーの総数における、繊維状フィラー、粒子状フィラー、その他のフィラー、のそれぞれの数の割合である。
これまでアスペクト比の異なる繊維の混合状態について説明したが、複合樹脂成形体での繊維の存在状態について説明する。前述の通り、アスペクト比が大きい繊維(繊維状フィラー)の方が、弾性率が高くなり、アスペクト比が小さい繊維(粒子状フィラー)の方が、耐衝撃性が良化することを説明した。複合樹脂成形体としてみたときに、アスペクト比10以上の大きい繊維を複合樹脂成形体の表層に多く存在させ、アスペクト比2以下の小さい繊維を複合樹脂成形体の内側へ存在させてもよい。この場合、外側の弾性率が高いため、複合樹脂成形体の全体としての剛性が増加し、衝撃負荷時に複合樹脂成形体の内側で衝撃を吸収でき、衝撃性も向上する。そのため、アスペクト比10以上の大きい繊維を複合樹脂成形体の表層に多く存在させ、アスペクト比2以下の小さい繊維を複合樹脂成形体の内側へ存在させた方が好ましい。ここで、図1に示すように、複合樹脂成形体10の厚みをT、複合樹脂成形体10の表面からの距離TFとしたとき、「複合樹脂成形体の表層」とは、例えば、TF≦0.2×Tを満たす部分を指す。そして、「複合樹脂成形体の内側」とは、例えば、TF>0.2×Tを満たす部分を指す。なお、「複合樹脂成形体の表層」は、図1に示すように、複合樹脂成形体10の表裏いずれの側にも存在する。
複合樹脂ペレットを白物家電等の白色を含む複数の色への着色が必要な箇所へ適用する場合、繊維状フィラー複合樹脂について着色性が求められる。複合樹脂成形体として着色性を有するには、複合樹脂成形体の白色度が保たれる必要があり、添加する繊維の白色度を保つ必要がある。繊維の色差測定によるL値が高い方が好ましく、複合樹脂成形体の着色度が良くなる繊維のL値については、実験的に算出しており、L値が80を超えることが好ましく、L値が85以上であることがさらに好ましい。
複合樹脂成形体の繊維状態について説明する。複合樹脂成形体としてより着色性を良くするには、複合樹脂成形体の表層側の白色度が高い方が好ましい。したがって複合樹脂成形体の色差測定によるL値が断面方向で異なり、表層側のL値の方が、内側のL値よりも大きいことが好ましい。
更なる機械的特性向上のためには、繊維と主剤樹脂との接合界面が多い方が弾性率向上につながるため、繊維の比表面積が大きいことが好ましい。繊維の比表面積を大きくするには、図2A及び図2Bに示すように繊維1本内で、繊維長方向の少なくとも一方の端部Aが部分的に解繊されている構造が最も好ましい。図2Bにおいて、符号4は、解繊部位を示している。最適な繊維の形状については、実験やシミュレーション結果から下記のように算出されている。解繊部位4としては、繊維状フィラー2全体の繊維長Lの5%以上、50%以下であることが好ましい。解繊部位4が全体の繊維長Lの5%未満であると、比表面積が小さいため弾性率向上がみられず、50%以上であると、アスペクト比が大きい解繊部位4が支配的となるため、射出成形時に配向しやすくなり、衝撃強度が低下する。
次に、繊維状フィラー2の特性について説明する。主剤樹脂1、および繊維状フィラー2の種類については、上記の通りであるが、主剤樹脂1に対して、繊維状フィラー2が柔らかすぎる、すなわち弾性率が小さいと、複合樹脂成形体は、全体として弾性率が小さくなり、結果として強度が低下する。一方で主剤樹脂1に対して、繊維状フィラー2が硬すぎる、すなわち弾性率が大きいと、衝撃時に発生する衝撃波が伝播されずに、主剤樹脂1と繊維状フィラー2との界面で吸収されるため、その界面付近にヒビやクレーズが発生しやすくなり、結果として耐衝撃強度が落ちる。そのため、主剤樹脂1と繊維状フィラー2との弾性率の関係は、繊維状フィラー2の弾性率の方が高く、その差は極力小さい方が好ましい。最適な関係についてはシミュレーション結果から算出され、主剤樹脂1と繊維状フィラー2との弾性率差は20GPa以内であることが好ましい。
また、これら繊維状フィラー2は、主剤樹脂1との接着性あるいは複合樹脂成形体中での分散性を向上させるなどの目的で、各種のチタネート系カップリング剤、シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、またはその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステルなどによって表面処理したものを用いてもよい。あるいは熱硬化性もしくは熱可塑性のポリマー成分で表面処理されたものでも問題ない。
次に、製造方法について記載する。図3は、本実施の形態1における複合樹脂成形体の製造プロセスを例示するフロー図である。
(1)溶融混練処理装置内に、主剤樹脂、粒子状フィラーも含む繊維状フィラーおよび、必要に応じて分散剤が投入され、装置内で溶融混練される。これにより、主剤樹脂が溶融し、溶融された主剤樹脂に、繊維状フィラーと分散剤が分散される。また同時に装置の剪断作用により、繊維状フィラーの凝集塊の解繊が促進され、繊維状フィラーを主剤樹脂中に細かく分散させることができる。
従来、繊維状フィラー、粒子状フィラーとしては、湿式分散などの前処理により、事前に繊維を解繊したものが使用されていた。しかし、湿式分散で用いられる溶媒中で事前に繊維状フィラーを解繊すると、溶融した主剤樹脂中で解繊されるよりも解繊されやすいため、端部のみ解繊することが難しく、繊維状フィラー全体が解繊された状態となってしまう。また前処理を合わせることで工程が増え、生産性が悪くなるといった課題があった。
これに対して、本実施の形態における複合樹脂成形体の製造プロセスでは、繊維状フィラー、粒子状フィラーの解繊、変性を目的とした湿式分散による前処理を行わずに、主剤樹脂や分散剤などと一緒に溶融混練処理(全乾式工法)を行う。この工法では、繊維状フィラーの湿式分散処理を行わないことにより、繊維状フィラーを上記のように端部のみ部分的に解繊することができ、また工程数も少なく、生産性を向上させることができる。
全乾式工法で本発明の形態の繊維を作製するには混練時に高せん断応力をかけられることが好ましく、具体的な混練手法としては、単軸混練機、二軸混練機、ロール混練機、バンバリーミキサー、およびそれらの組み合わせなどが挙げられる。高せん断をかけやすく、また量産性も高いという観点から、連続式二軸混練機、連続式ロール混練機が特に好ましい。高せん断応力をかけることができる方法であれば、上記以外の混練手法でも構わない。
(2)溶融混練装置から押し出された複合樹脂成形体は、ペレタイザー等の切断工程を経て、ペレット形状に作製される。ペレット化の方式として、樹脂溶融後すぐに行う方式としては、空中ホットカット方式、水中ホットカット方式、ストランドカット方式などがある。あるいは、一度、成形体やシートを成形したあとで、粉砕、切断することによる粉砕方式などもある。
このペレットを射出成形することにより、複合樹脂成形体としての射出成形品を作製することができる。ペレット中の繊維状フィラー、粒子状フィラーは、上記のように、混合していることで、弾性率、耐衝撃性、外観性に優れた射出成形品を得ることができる。以下、発明者らが行った実験における各実施例および各比較例について説明する。
(実施例1)
以下の製造方法によってパルプ分散ポリプロピレン複合樹脂成形体を製造した。
繊維状フィラー、粒子状フィラーの出発原料として針葉樹パルプ(三菱製紙株式会社製 商品名:NBKP Celgar)を使用した。この針葉樹パルプを粉砕機で粉砕し、繊維状フィラーと粒子状フィラーとの混合体を得た。それぞれのアスペクト比については粉砕プロセスで調整した。主剤樹脂としてのポリプロピレン(株式会社プライムポリマー製 商品名:J108M)と、上記繊維状フィラーと粒子状フィラーとの混合体と、分散剤として無水マレイン酸(三洋化成工業株式会社製 商品名:ユーメックス)とを重量比で85:15:5となるよう秤量し、ドライブレンドした。その後、二軸混練機(株式会社クリモト鉄工所製 KRCニーダ)にて溶融混練分散した。二軸混練機のスクリュー構成を変えることでせん断力を変えることができ、実施例1では中せん断タイプの仕様とした。樹脂溶融物をホットカットし、パルプ分散ポリプロピレンペレットを作製した。
作製したパルプ分散ポリプロピレンペレットを用いて射出成形機(日本製鋼所製 180AD)により複合樹脂成形体の試験片を作製した。試験片の作製条件は、樹脂温度190℃、金型温度60℃、射出速度60mm/s、保圧80Paとした。試験片の形状は、下記に述べる評価項目によって変更し、弾性率測定用に1号サイズのダンベルを作製し、落下衝撃試験用と外観確認用に60mm角、厚さ1.6mmの平板を作製した。また着色性を評価するために、着色剤を成形時にドライブレンドして上記平板の複合樹脂成形体を作成した。得られたパルプ分散ポリプロピレン複合樹脂成形体の試験片を以下の方法により評価を行った。
(繊維のアスペクト比、端部解繊性)
得られたパルプ分散ポリプロピレンペレットをキシレン溶媒に浸漬して、ポリプロピレンを溶解させ、残ったパルプ繊維についてSEMにより繊維の形状を観察した。代表的な繊維を約50本、5箇所の場所を測定した結果、アスペクト比10以上の割合が5~10%、アスペクト比が2以下の割合が50~60%であった。繊維の端部は解繊した状態であった。
(繊維の色差L値)
パルプ繊維をカップにすり切り一杯まで投入し、表面を平らにして色差計(コニカミノルタジャパン株式会社製 色彩色差計CR-400)を用いて、測定を実施した。白色度の尺度としてL値を用いた。L値は90であった。
(表層側と内側との樹脂の繊維アスペクト比、色差L値)
複合樹脂成形体の表層側と内側とを切削加工により切り分け、上述の通りそれぞれの繊維アスペクト比と色差L値とを比較した。繊維のアスペクト比については、内側よりも表層側の方が大きかった。色差L値については、内側よりも表層側の方が大きかった。
(複合樹脂成形体の弾性率)
得られた1号ダンベル形状の試験片を用いて、引張試験を実施した。ここで、弾性率の評価方法として、その数値が1.7GPa未満のものを×とし、1.7GPa以上2.1GPa未満のものを△とし、2.1GPa以上のものを〇とした。同試験片の弾性率は2.2GPaで、その評価は〇であった。
(複合樹脂成形体の落下試験結果)
得られた平板形状の試験片を用いて、落下衝撃試験を実施した。具体的には、重さ250gの重錐を高さ80cmから試験片の板面に向けて落下させ、ヒビが入るかどうかを確認した。この評価方法として、ヒビが確認されなかったものを〇とし、表面にのみヒビが確認され、かつ、そのヒビの長さが10mm未満であったものを△とし、貫通したヒビが確認された、または、ヒビの長さが10mm以上であったものを×とした。同試験片は、ヒビが確認されず、その評価は〇であった。
(複合樹脂成形体の着色性)
複合樹脂成形体の製造時に白の着色剤を添加して、成形し、着色均一性、色むらなどの着色性について官能評価を行った。色むらなどなく、均一に白に着色されているものを○とし、面積で1cm2以下レベルの色むらが一部あるものを△とし、それ以上の色むら、白く着色されていないものを×とした。同試験片は色むらなく着色できており、その評価は○であった。
(複合樹脂成形体の外観性)
複合樹脂成形体に目視レベルの繊維の凝集物が白点として見えるか官能評価を行った。複合樹脂成形体に白点がないものを○とし、白点が存在し、その白点の長片の長さが2mm以下のものを△とし、それ以上の白点が存在した場合は×とした。同試験片は白点が存在せず、その評価は○であった。
(実施例2)
実施例2ではパルプの粉砕時間を少し長めに変更し、それ以外の材料条件、およびプロセス条件は実施例1と同様にパルプ分散ポリプロピレンペレット、ならびに複合樹脂成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(実施例3)
実施例3ではパルプの粉砕後、篩により、アスペクト比の大きい繊維を取り除き、アスペクト比の小さい繊維のみを使用した。それ以外の材料条件、およびプロセス条件は実施例1と同様にパルプ分散ポリプロピレンペレット、ならびに複合樹脂成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例1)
比較例1ではパルプの粉砕時間を短めに変更し、それ以外の材料条件、およびプロセス条件は実施例1と同様にパルプ分散ポリプロピレンペレット、ならびに複合樹脂成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例2)
比較例2ではパルプの粉砕時間をかなり長めに変更し、それ以外の材料条件、およびプロセス条件は実施例1と同様にパルプ分散ポリプロピレンペレット、ならびに複合樹脂成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例3)
比較例3ではパルプの粉砕をせずに、それ以外の材料条件、およびプロセス条件は実施例1と同様にパルプ分散ポリプロピレンペレット、ならびに複合樹脂成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例4)
比較例4ではパルプの粉砕時間をかなり長めに変更し、さらに篩により、アスペクト比の大きい繊維を取り除き、アスペクト比の小さい繊維のみを使用した。それ以外の材料条件、およびプロセス条件は実施例1と同様にパルプ分散ポリプロピレンペレット、ならびに複合樹脂成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例5)
比較例5では成形時の金型温度を120℃とし、樹脂を徐冷することで、アスペクト比の大きい繊維が内側に流動するようにした。それ以外の材料条件、およびプロセス条件は実施例1と同様にパルプ分散ポリプロピレンペレット、ならびに複合樹脂成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例6)
比較例6では、針葉樹パルプのロットを変更し、白色度がL値70と低い繊維を用いた。それ以外の材料条件、およびプロセス条件は実施例1と同様にパルプ分散ポリプロピレンペレット、ならびに複合樹脂成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例7)
比較例7では、複合樹脂成形体の作製後に、複合樹脂成形体を約140℃で約1h熱処理を実施し、表層側の炭化度を高め、表層側のL値を低くした。それ以外の材料条件、およびプロセス条件は実施例1と同様にパルプ分散ポリプロピレンペレット、ならびに複合樹脂成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
(比較例8)
比較例8では、低せん断タイプの混練機を使用して、繊維が解繊しないようにした。それ以外の材料条件、およびプロセス条件は実施例1と同様にパルプ分散ポリプロピレンペレット、ならびに複合樹脂成形体を作製した。評価についても実施例1と同様の評価を実施した。
各実施例1~3および各比較例1~8における測定結果を図4の表に示す。
図4の表から明らかなように、パルプの粉砕時間を少し長めに変更した実施例2では、アスペクト比2以下の繊維割合が60~70%と少し増えた。パルプの粉砕後、篩により、アスペクト比の大きい繊維を取り除き、アスペクト比の小さい繊維のみを使用した実施例3では、アスペクト比10以上の繊維割合が0~5%と少なくなった。実施例2、3はアスペクト比の大きい繊維の割合が少し減ったため、弾性率が2.1GPaと少し減少したが問題なく、衝撃強度、着色性、外観性についても問題ないことを確認した。アスペクト比が10以上の繊維存在割合が1%以上10%以下であり、アスペクト比2以下の繊維存在割合が50%以上70%以下、アスペクト比10以上の大きい繊維を複合樹脂成形体の表層に多く存在させ、アスペクト比2以下の小さい繊維を複合樹脂成形体の内側へ存在していれば、高強度化樹脂が得られることを確認した。
パルプの粉砕時間を短めに変更した比較例1では、繊維の粉砕があまり進行せず、アスペクト比10以上の繊維割合が15~30%、アスペクト比2以下の繊維割合が35~45%となった。これにより、弾性率は少し高くなったが、耐衝撃性が低下し、落下衝撃試験にて割れる結果となった。またアスペクト比の大きい繊維が凝集することで複合樹脂成形体に白点が見られた。
パルプの粉砕時間をかなり長めに変更した比較例2では、繊維の粉砕がよく進行し、アスペクト比10以上の繊維割合が1~5%、アスペクト比2以下の繊維割合が75~85%となった。これにより、アスペクト比の小さい繊維量が増えたため、弾性率が1.8GPaと低下する結果となった。
パルプの粉砕をしなかった比較例3では、アスペクト比10以上の繊維割合が80~90%、アスペクト比2以下の繊維割合が0~5%となった。これにより、弾性率は少し高くなったが、耐衝撃性が低下し、落下衝撃試験にて割れる結果となった。またアスペクト比の大きい繊維が凝集することで複合樹脂成形体に白点が見られた。
パルプの粉砕時間をかなり長めに変更し、さらに篩により、アスペクト比の大きい繊維を取り除き、アスペクト比の小さい繊維のみを使用した比較例4では、アスペクト比10以上の繊維割合が0%、アスペクト比2以下の繊維割合が80~90%となった。これにより、アスペクト比の小さい繊維のみとなったため、弾性率が1.6GPaと大幅に低下する結果となった。
成形時の金型温度を120℃とし、樹脂を徐冷することで、アスペクト比の大きい繊維が内側に流動するようにした比較例5では、複合樹脂成形体中の繊維アスペクト比の存在比が、内側≧表層側となった。これにより、弾性率が2.0GPaと少し減少し、さらに耐衝撃性も少し悪くなる結果となった。
針葉樹パルプのロットを変更し、白色度が70と低い繊維を用いた比較例6では、繊維の白色度が低いため、複合樹脂成形体として着色が均一にできず、色むらが残る結果となった。
複合樹脂成形体の作製後に、複合樹脂成形体を約140℃で約1h熱処理を実施し、表層側の炭化度を高め、表層側のL値を低くした比較例7では、複合樹脂成形体中の樹脂の色差L値が、内側≧表層側となった。これにより、着色性がやや悪化し、同時に白点による色むらもやや悪化する結果となった。
低せん断タイプの混練機を使用して、繊維が解繊しないようにした比較例8では、複合樹脂成形体中で繊維があまり解繊せず、端部解繊した繊維がなかった。これにより、弾性率が2.0GPaとやや減少し、さらに耐衝撃性も少し悪くなる結果となった。
以上の評価から、複合樹脂成形体中に添加されている繊維の、アスペクト比10以上の繊維存在割合が1%以上10%以下であり、アスペクト比2以下の繊維存在割合が50%以上70%以下、アスペクト比10以上の大きい繊維を複合樹脂成形体の表層に多く存在させ、アスペクト比2以下の小さい繊維を複合樹脂成形体の内側へ存在していることにより、高い弾性率と高い衝撃強度を両立でき、さらに繊維の凝集物なく外観性の良い複合樹脂成形体を得ることができる。また、繊維の少なくとも一方の端部のみ解繊されている樹脂材料を用いて複合樹脂成形体を作製することにより、アスペクト比がそれほど高くなくても、高弾性率化を実現できる。さらに、繊維の色差L値が80以上の白色度の高い繊維を用いて、複合樹脂成形体中の表層側のL値を内側よりも大きくすることで均一な着色性を付加できることが分かった。
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
本発明に係る複合樹脂成形体は、従来の汎用樹脂よりも機械的強度に優れた複合樹脂成形体を提供することができる。本発明により、主剤樹脂の特性を向上させることができるので、エンジニアリングプラスチックの代替物、または金属材料の代替物として利用され得る。従って、エンジニアリングプラスチック製または金属製の各種工業製品、または生活用品の製造コストを大幅に削減し得る。さらには家電筐体、建材、自動車部材への利用が可能である。
1 主剤樹脂
2 繊維状フィラー(フィラー)
3 粒子状フィラー(フィラー)
4 解繊部位
10 複合樹脂成形体
51 樹脂
53 セルロース系粉体

Claims (6)

  1. 主剤樹脂と、
    前記主剤樹脂中に分散されたフィラーと、
    を含有し、
    前記フィラーは、繊維状フィラーと、前記繊維状フィラーよりもアスペクト比が小さい粒子状フィラーと、を含むと共に、
    前記繊維状フィラーのアスペクト比が10以上であり、前記粒子状フィラーのアスペクト比が2以下であって、
    前記複合樹脂成形体中における前記繊維状フィラーの少なくとも一方の端部が前記繊維状フィラー全体の繊維長の5%以上、50%以下が解繊されていると共に、
    前記フィラーのうち前記繊維状フィラーの占める割合が1%以上10%以下であり、前記フィラーのうち前記粒子状フィラーの占める割合が50%以上70%以下であることを特徴とする複合樹脂成形体。
  2. 前記複合樹脂成形体の表層に存在するフィラーのうち前記繊維状フィラーの占める割合が、前記複合樹脂成形体の内側に存在するフィラーのうち前記繊維状フィラーの占める割合よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の複合樹脂成形体。
  3. 前記フィラーの、色差測定によるL値が80を超えることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合樹脂成形体。
  4. 前記複合樹脂成形体の色差測定によるL値が断面方向で異なり、前記複合樹脂成形体の表層のL値の方が、前記複合樹脂成形体の内側のL値よりも大きいことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の複合樹脂成形体。
  5. 前記フィラーが天然繊維であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の複合樹脂成形体。
  6. 前記主剤樹脂がオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の複合樹脂成形体。
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