JP2020147714A - 重合体の製造方法 - Google Patents

重合体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020147714A
JP2020147714A JP2019048342A JP2019048342A JP2020147714A JP 2020147714 A JP2020147714 A JP 2020147714A JP 2019048342 A JP2019048342 A JP 2019048342A JP 2019048342 A JP2019048342 A JP 2019048342A JP 2020147714 A JP2020147714 A JP 2020147714A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
solvent
amount
residual solvent
kpa
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019048342A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7285664B2 (ja
Inventor
章徳 佐藤
Akinori Sato
章徳 佐藤
隆博 齋藤
Takahiro Saito
隆博 齋藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Original Assignee
Kaneka Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp filed Critical Kaneka Corp
Priority to JP2019048342A priority Critical patent/JP7285664B2/ja
Publication of JP2020147714A publication Critical patent/JP2020147714A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7285664B2 publication Critical patent/JP7285664B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】重合体が溶媒に溶解している重合体溶液から、効率よく溶媒を除去して、残存溶媒量が低減された重合体を製造する方法を提供すること。【解決手段】重合体が溶媒に溶解している重合体溶液から、残存溶媒量が低減された重合体を製造する方法であって、前記重合体溶液を含む系の気圧を1kPa以下にまで減圧して溶媒を留去する工程、続いて、0℃での状態が気体である物質を前記系に導入して、前記系の気圧を10kPa以上にまで上昇させる工程、及び、その後、前記系の気圧を1kPa以下にまで減圧して重合体中の残存溶媒量を低減する工程を含み、前記残存溶媒量が低減された重合体の23℃での粘度が0.1Pa・s〜300Pa・sである。【選択図】なし

Description

本発明は、重合体の製造方法に関する。
重合体は、多くの場合、溶媒中でモノマーを重合することにより製造される。製造後の重合体を含む溶液から溶媒を除去し、残存溶媒量が低い重合体を回収するには、通常、重合体を含む溶液を加熱・減圧下に置くことで、溶媒を揮発させて留去する方法が採用されている。
しかし、重合体は粘度が高い場合が多く、残存溶媒量を十分に低減しようとすると、揮発に要する時間を長時間にしたり、揮発時の温度を上昇させたり、気圧を下げる必要が生じ、生産時間やユーティリティコストの点で問題があった。また、以上のように厳しい揮発条件を採用すると、重合体が劣化してしまう懸念もあった。
特許文献1では、反応性二重結合を有する化合物中に含まれる揮発分を減圧状態で除去することによる脱揮方法が開示されているが、重合体の脱揮については開示されていない。
特開2011−252070号公報
本発明は、上記現状に鑑み、重合体が溶媒に溶解している重合体溶液から、効率よく溶媒を除去して、残存溶媒量が低減された重合体を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、重合体溶液から減圧下で溶媒を留去した後、ガス状物質を系に導入して気圧を上昇させ、その後、再度減圧することで、重合体中の残存溶媒量を効率よく低減できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、重合体が溶媒に溶解している重合体溶液から、残存溶媒量が低減された重合体を製造する方法であって、前記重合体溶液を含む系の気圧を1kPa以下にまで減圧して溶媒を留去する工程、続いて、0℃での状態が気体である物質を前記系に導入して、前記系の気圧を10kPa以上にまで上昇させる工程、及び、その後、前記系の気圧を1kPa以下にまで減圧して重合体中の残存溶媒量を低減する工程を含み、前記残存溶媒量が低減された重合体の23℃での粘度が0.1Pa・s〜300Pa・sである、重合体の製造方法に関する。
好ましくは、前記残存溶媒量が低減された重合体中の残存溶媒量が、当該重合体全体に対して2000ppm以下、より好ましくは1000ppm以下である。好ましくは、前記0℃での状態が気体である物質が、不活性ガスである。好ましくは、前記溶媒を留去する工程時の系の温度が、前記溶媒の101kPaでの沸点±20℃である。好ましくは、前記溶媒を留去する工程時の系の温度が、前記溶媒の101kPaでの沸点よりも低い。好ましくは、前記溶媒が、アルコール系溶媒である。好ましくは、前記重合体が、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含む。好ましくは、前記重合体が、反応性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含む。好ましくは、前記溶媒が、前記重合体を形成するための重合反応で使用された溶媒を含む。
本発明の製造方法においては、前記残存溶媒量を低減する工程の後、再度、0℃での状態が気体である物質を前記系に導入して、前記系の気圧を10kPa以上にまで上昇させる工程、及び、その後、前記系の気圧を1kPa以下にまで減圧して重合体中の残存溶媒量をさらに低減する工程を実施することができる。
本発明によれば、重合体が溶媒に溶解している重合体溶液から、効率よく溶媒を除去して、残存溶媒量が低減された重合体を製造することができる。これによって、溶媒を揮発させるために重合体溶液を減圧下に置く時間を短くしたり、減圧時の温度を低く、あるいは気圧を高くしても、十分に残存溶媒量が低減された重合体を製造することが可能になる。
以下に本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明による重合体の製造方法は、重合体が溶媒に溶解している重合体溶液から溶媒を留去して、残存溶媒量が低減された重合体を製造する方法に関するものである。
本発明を適用可能な重合体としては、特に限定されず、有機重合体、無機重合体のいずれであってもよい。有機重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、ポリオキシアルキレン系重合体、ポリオレフィン系重合体、ポリエステル系重合体などが挙げられ、無機重合体としては、例えば、ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。本発明で使用する重合体は、1種類の重合体であってもよいし、2種以上の重合体の混合物であってもよい。2種以上の重合体の混合物としては、同じ主鎖系から構成される2種以上の重合体の混合物でもよいし、異なる主鎖系から構成される2種以上の重合体の混合物でも良い。異なる主鎖系から構成される2種以上の重合体の混合物の場合は、具体的には、(メタ)アクリル酸エステル系重合体とポリオキシアルキレン系重合体の混合物が挙げられる。
有機重合体のなかでも、特に(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、その重合体溶液から溶媒を揮発させて、溶媒を実質的に含まない重合体を取得することが困難であるため、本発明を適用して効率よく残存溶媒量を低減することが好ましい。
本発明では、溶媒などに希釈しなくても重合体単体で流動性を示す重合体を用いることが好ましい。このような重合体を用いると、本発明によって効率よく残存溶媒量を低減することが可能になる。
前述した(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、反応性官能基を含むものであっても良い。反応性官能基としては特に限定されないが、好ましい反応性官能基として、ケイ素原子上にアルコキシ基等を有し、加水分解・脱水縮合反応によって互いに結合し得る、反応性シリル基や、ヒドロキシ基、エポキシ基、イソシアネート基を挙げることができる。特に、反応性シリル基が好ましい。一般に、反応性シリル基を有する重合体から溶媒を留去する際には、その時の加熱条件や、減圧下での水分混入を原因として不必要に反応性シリル基の縮合反応が進行してしまう場合があるが、本発明によると、そのような縮合反応の進行を抑制しつつ、重合体の残存溶媒量を低減することができる。
本発明によって除去する溶媒としては、重合体を溶解させる溶媒であれば特に限定されない。例えば、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、t−ブチルメチルエーテル(MTBE)、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、1,2−ジメトキシエタン(グライム)などのエーテル類などが挙げられる。これらのうち1種類のみを用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
なかでも、アルコール系溶媒は、蒸発速度が低く、揮発させることが難しい溶媒として知られている。アルコール系溶媒のなかでも、イソブチルアルコール等の炭素数3〜4のアルコール系溶媒は、同程度の領域の沸点を示す他の溶媒と比べて蒸発速度が低く、揮発して除去することが困難な溶媒である。特に、(メタ)アクリル酸エステル系重合体がアルコール系溶媒に溶解している重合体溶液からは、従来、アルコール系溶媒を留去して、残存溶媒量を低減することが難しかった。しかし、本発明によると、このように残存溶媒量の低減が従来困難であった重合体溶液からも、効率よく残存溶媒量を低減することが可能である。
本発明によって除去する溶媒は、前記重合体を形成するための重合反応で使用された溶媒であってもよい。すなわち、溶媒の存在下でモノマーの重合を行って、前記重合体を含む溶液を得た後、当該溶液から溶媒を留去するために本発明を適用してもよい。すなわち、本発明の製造方法は、溶媒を低減する工程の前に、溶媒の存在下でモノマーの重合を行って、重合体溶液を得る工程を実施してもよく、重合工程で得られた反応液に対して直接、次に説明する溶媒を留去する工程を実施すればよい。この態様によると、溶媒の存在下で重合を行って得られた反応液から効率よく溶媒を除去して、残存溶媒量が低減された重合体を取得することが可能になる。
重合工程から連続的に溶媒を留去する工程を実施する場合、重合時の反応温度を維持して、その温度で、溶媒を留去する工程を実施してもよい。このようにすると、系の温度制御が簡素になり好ましい。
重合方法としては、その重合体を形成するための重合方法であれば特に限定されないが、例えば重合体が(メタ)アクリル酸エステル系重合体である場合、ラジカル重合法を使用することができ、フリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法いずれでもあってもよい。
本発明を適用可能な重合体溶液の重合体濃度としては特に限定されない。例えば、0.1〜80重量%程度の重合体濃度であってもよい。
本発明によると、まず、重合体溶液を含む系の気圧を1kPa以下にまで減圧して溶媒を留去する工程(以下、1回目の減圧工程ともいう)を実施する。この工程を実施することにより、重合体の残存溶媒量をある程度まで減少させる。この工程で達成すべき残存溶媒量は特に限定されるものではないが、100000ppm以下が好ましく、10000ppm以下がより好ましく、5000ppm以下がさらに好ましく、3000ppm以下がより更に好ましい。
この工程で達成される残存溶媒量の下限は、重合体の粘度や溶媒の種類、あるいは当該工程の条件によるため特に限定されないが、ゼロになることはない。通常、この1回目の減圧工程のみで達成できる残存溶媒量には限界があり、ある程度の残存溶媒量に達すると更なる低減は困難になることが多い。具体的には、通常、1000ppm以上であり、また、2000ppm以上であり得る。
1回目の減圧工程は常法によって実施することができるが、後述する2回目の減圧工程を実施するため、この1回目の減圧工程における温度や減圧度、減圧時間は、比較的緩い条件を採用してもよく、すなわち、比較的低い温度、比較的高い気圧、比較的短い減圧時間であってもよい。
具体的には、1回目の減圧工程における系の温度は、その減圧度における溶媒の沸点を考慮して適宜設定することができ、特に限定されない。しかし、1回目の減圧工程における系の温度は、比較的低温であってもよく、前記溶媒の101kPa(大気圧)での沸点±20℃の範囲にあることが好ましく、また、前記溶媒の101kPaでの沸点よりも低いことが好ましい。具体的には、前記系の温度は、50〜150℃程度が好ましい。比較的低温で減圧工程を実施すると、重合体の劣化を回避できるため好ましい。
また、1回目の減圧工程における系の気圧は、1kPa以下にまで減圧すればよく、その下限は通常の真空装置で達成できる値であれば特に限定されない。
1回目の減圧工程における減圧時間についても特に限定されず、当業者は適宜設定することができるが、この1回目の減圧工程を長時間行っても、重合体の残存溶媒量が大きく低減されるわけではないので、比較的短時間であってよい。短時間で減圧工程を行うと、生産性を高めることができるため好ましい。重合体溶液の容積や濃度にもよるが、具体的には、1回目の減圧工程における減圧時間は300分以下であってよく、また、200分以下であってよく、150分以下であってもよく、100分以下であってもよい。下限も特に限定されないが、10分以上が好ましく、30分以上がより好ましい。
以上述べた1回目の減圧工程の後、0℃での状態が気体である物質(以下、ガス状物質ともいう)を前記系に導入して、前記系の気圧を10kPa以上にまで上昇させる工程(以下、ガス状物質の導入工程ともいう)を実施する。このガス状物質の導入工程を行った後に、次の2回目の減圧工程を実施することで、効率よく重合体の残存溶媒量を低減することが可能になる。
本工程で用いるガス状物質としては、次の2回目の減圧工程によって容易に除去され得る物質であればよく、特に限定されない。例えば、空気や酸素ガスであってもよく、メタン等の炭化水素系ガスであってもよい。しかし、重合体を劣化させたり、重合体が有する反応性官能基と反応することを回避するため、ガス状物質は、不活性ガスであることが好ましい。このような不活性ガスとしては、取り扱いの容易さから、例えば、窒素ガス、アルゴン、ヘリウム、ネオンが好ましく、窒素ガスが特に好ましい。
前記ガス状物質を系に導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、系の気相部にガス状物質を気体として供給してもよいし、重合体中にガス状物質をバブリングさせてもよい。
前記ガス状物質を系に導入することで、1回目の減圧工程で減圧した系の気圧を、10kPa以上にまで上昇させる。このように系の気圧を一旦上昇させることで、次の2回目の減圧工程での効率的な残存溶媒量の低減が可能になる。上昇後の気圧は、50kPa以上が好ましく、80kPa以上がより好ましい。また、操作が簡便になり残存溶媒量の低減も効果的であることから、101kPa(大気圧)にまで上昇させてもよい。更に、101kPaを超える加圧条件にしてもよい。
前記ガス状物質を系に導入する際の系の温度は特に限定されないが、1回目の減圧工程を実施する際の系の温度が維持されてもよく、この場合、プロセスが簡便となり、好ましい。
以上のように系の気圧を一旦上昇させた後、再度、前記系の気圧を1kPa以下にまで減圧して溶媒を低減する工程(以下、2回目の減圧工程ともいう)を実施する。この工程を実施することによって、残存溶媒量が低減された重合体を取得することができる。本発明の好ましい態様によると、1回の減圧工程を長時間実施しても達成できないほどの低い残存溶媒量を示す重合体を取得することが可能になる。
2回目の減圧工程も、1回目の減圧工程と同様に、常法によって実施することができる。この2回目の減圧工程における温度や減圧度、減圧時間も、比較的緩い条件であってよく、すなわち、比較的低い温度、比較的高い気圧、比較的短い減圧時間であってもよい。1回目の減圧工程に関して詳述した温度、気圧、減圧時間を、2回目の減圧工程にも適用することができる。2回目の減圧工程における温度や気圧は、1回目の減圧工程における温度や気圧と同じであってもよい。特に、温度は、1回目の減圧工程、ガス状物質の導入工程、及び2回目の減圧工程を通じて同じ温度であってよく、この場合、プロセスが簡便となり、好ましい。また、2回目の減圧工程における減圧時間は、1回目の減圧工程における減圧時間よりも短くてもよく、例えば80分以下であってもよく、60分以下であってもよく、30分以下であってもよい。
本発明によると、1回目の減圧工程、ガス状物質の導入工程、及び2回目の減圧工程を同一の容器内で実施できる利点がある。同一の容器内で実施すると、簡便に、重合体溶液から、残存溶媒量が低減された重合体を取得することができるため極めて好ましい。また、重合工程で得られた反応液に対して直接、本発明を適用する態様の場合には、同一の容器内で、重合工程、1回目の減圧工程、ガス状物質の導入工程、及び2回目の減圧工程を連続的に実施することができる。この場合、溶媒中で重合を行った容器から、溶媒を実質的に含まない重合体を回収することが可能になる。
本発明は、以上述べた1回目の減圧工程、ガス状物質の導入工程、及び2回目の減圧工程から構成されるものであってよいが、2回目の減圧工程を実施した後に、さらに、2回目のガス状物質の導入工程、及び3回目の減圧工程を実施してもよい。これにより、重合体の残存溶媒量を更に低減することが可能になる。2回目のガス状物質の導入工程、及び3回目の減圧工程の具体的な条件は、最初のガス状物質の導入工程、及び2回目の減圧工程の条件に準ずることができる。また、さらに続けて、3回目以降のガス状物質の導入工程、及び4回目以降の減圧工程を実施してもよい。
本発明の好ましい態様によると、各減圧工程それぞれに要する時間が短くても、重合体の残存溶媒量を効率的に低減することが可能になり、また、複数回にわたる減圧工程に要する合計時間を短くすることもできる。このように減圧に要する合計時間が短いにも関わらず、1回のみの減圧工程によって到達し得る残存溶媒量よりも低い残存溶媒量を達成することが可能であり、生産性の観点から極めて好ましい。
本発明によって得られる、残存溶媒量が低減された重合体は、23℃での粘度が0.1Pa.s〜300Pa.sのものである。本発明によると、このような粘度を示す重合体を効率よく製造することができる。粘度が前記範囲よりも低い重合体に対しては本発明を適用する意義が小さく、粘度が前記範囲よりも高い重合体からは溶媒を留去することが困難となる。前記粘度は、好ましくは1Pa.s〜200Pa.sであり、より好ましくは5Pa.s〜150Pa.sである。
また本発明によると、製造される重合体中の残存溶媒量は、限定されるものではないが、好ましい態様によると、重合体全体に対して2000ppm以下を達成することができ、更には、1000ppm以下を達成することもできる。このように低い残存溶媒量は、一回の溶媒留去工程を行うだけでは達成することが困難であったが、本発明によって達成が可能となった。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(合成例)
フラスコにイソブチルアルコール(101kPaでの沸点:107℃)77重量部を添加し、105℃に加熱して窒素置換を行った。その後、攪拌しながら、窒素雰囲気下で、モノマーとしてメタクリル酸メチル3.0重量部、アクリル酸ブチル73.2重量部、メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル1.9重量部、メタクリル酸3−(メチルジメトキシシリリル)プロピル1.9重量部、アクリル酸2−エチルヘキシル20重量部と、重合開始剤としてジメチル 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)2.6重量部、イソブチルアルコール13重量部の溶液を5時間かけて滴下し、その後2時間重合を行った。以上により、重量平均分子量8,600の反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体のイソブチルアルコール溶液を得た。
重量平均分子量は、送液システムとして東ソー(株)製HLC−8220GPCを用い、カラムは東ソー(株)製TSKgel SuperHシリーズを用い、溶媒はTHFを用いて測定したポリスチレン換算分子量である。
(実施例1〜4)
合成例で得られた反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体のイソブチルアルコール溶液の温度を105℃に維持して、以下のとおりイソブチルアルコールの減圧脱揮を行った。
まず、1kPa未満に減圧して、表1に記載の減圧時間維持した(1回目脱揮)。その後、系に窒素ガスを5分かけて導入し、系の気圧を常圧に戻した(1回目圧戻し)。
次いで、2回目脱揮を行った。まず、表1に記載の1kPa到達までの減圧時間をかけて1kPaまで減圧し、その後、1kPa未満の気圧を、表1に記載の1kPa未満での減圧時間維持した(2回目脱揮)。その後、再度、系に窒素ガスを5分かけて導入し、系の気圧を常圧に戻した(2回目圧戻し)。
続けて、3回目脱揮を行った。まず、表1に記載の1kPa到達までの減圧時間をかけて1kPaまで減圧し、その後、1kPa未満の気圧を、表1に記載の1kPa未満での減圧時間維持した(3回目脱揮)。
各減圧を行った後、(メタ)アクリル酸エステル系重合体に含まれるイソブチルアルコールの含有量を定量した。イソブチルアルコールの定量は、ガスクロマトグラフィー(GCシステムとしてアジレント・テクノロジー(株)製Agilent 7890A、カラムはアジレント・テクノロジー(株)製HP−INNOWAXを用い、測定溶媒としてアセトンを用い、FIDで検出)を用いて行った。そのイソブチルアルコールの定量結果を、残存溶媒量として表1に示した。
実施例1〜4のいずれにおいても、3回目脱揮後に、重合体中の残存溶媒量が500ppm前後となり、また、得られた重合体の23℃における粘度は、いずれも約30Pa・sであった。
Figure 2020147714
実施例1〜4の1回目の脱揮では、減圧時間の長短(50〜190分)にかかわらず、いずれも残存溶媒量が2000ppmを超える同程度の高い数値を示している。このことから、1回の脱揮では、減圧時間を長くしても、残存溶媒量を2000ppm未満に低下させることは難しいことが分かる。これに対し、いずれの実施例でも、1回目の脱揮の後に、ガス導入と2回目の脱揮を実施することによって、残存溶媒量を1,000ppm未満にまで大きく低減させることができた。以上より、1回目の脱揮の後に、ガス導入と2回目の脱揮を実施することにより、重合体中の残存溶媒量を大きく低減できることが分かる。
また、例えば、実施例2の1回目の減圧時間は190分で残存溶媒量が2,000ppm以上であったが、実施例4では、1回目の脱揮と2回目の脱揮を含む合計時間が95分と、実施例2の1回目の減圧時間の半分であるにも関わらず、残存溶媒量が1,000ppm未満にまで低下している。これにより、1回目の脱揮の後に、ガス導入と2回目の脱揮を実施することにより、脱揮に要する時間を大幅に短縮しながらも、重合体中の残存溶媒量を大きく低減できることが分かる。
さらに、各実施例より、2回目の脱揮の後に、2回目のガス導入と3回目の脱揮を実施することにより、さらに、重合体中の残存溶媒量を低減できることが分かる。例えば実施例1の1回目の脱揮と、実施例4の3回目の脱揮を比較すると、要した時間はほぼ同程度であるにも関わらず、実施例4では残存溶媒量が4分の1程度にまで低下していることが分かる。

Claims (11)

  1. 重合体が溶媒に溶解している重合体溶液から、残存溶媒量が低減された重合体を製造する方法であって、
    前記重合体溶液を含む系の気圧を1kPa以下にまで減圧して溶媒を留去する工程、
    続いて、0℃での状態が気体である物質を前記系に導入して、前記系の気圧を10kPa以上にまで上昇させる工程、及び
    その後、前記系の気圧を1kPa以下にまで減圧して重合体中の残存溶媒量を低減する工程を含み、
    前記残存溶媒量が低減された重合体の23℃での粘度が0.1Pa・s〜300Pa・sである、重合体の製造方法。
  2. 前記残存溶媒量が低減された重合体中の残存溶媒量が、当該重合体全体に対して2000ppm以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記残存溶媒量が低減された重合体中の残存溶媒量が、当該重合体全体に対して1000ppm以下である、請求項2に記載の製造方法。
  4. 前記0℃での状態が気体である物質が、不活性ガスである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記溶媒を留去する工程時の系の温度が、前記溶媒の101kPaでの沸点±20℃である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記溶媒を留去する工程時の系の温度が、前記溶媒の101kPaでの沸点よりも低い、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記溶媒が、アルコール系溶媒である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記重合体が、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記重合体が、反応性シリル基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含む、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記溶媒が、前記重合体を形成するための重合反応で使用された溶媒を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記残存溶媒量を低減する工程の後、
    再度、0℃での状態が気体である物質を前記系に導入して、前記系の気圧を10kPa以上にまで上昇させる工程、及び
    その後、前記系の気圧を1kPa以下にまで減圧して重合体中の残存溶媒量をさらに低減する工程を実施する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
JP2019048342A 2019-03-15 2019-03-15 重合体の製造方法 Active JP7285664B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019048342A JP7285664B2 (ja) 2019-03-15 2019-03-15 重合体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019048342A JP7285664B2 (ja) 2019-03-15 2019-03-15 重合体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020147714A true JP2020147714A (ja) 2020-09-17
JP7285664B2 JP7285664B2 (ja) 2023-06-02

Family

ID=72430206

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019048342A Active JP7285664B2 (ja) 2019-03-15 2019-03-15 重合体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7285664B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5398383A (en) * 1977-02-08 1978-08-28 Nippon Zeon Co Ltd Continuous production of cyclopentadiene resin and oil
JP2000143721A (ja) * 1998-11-06 2000-05-26 Sanyo Chem Ind Ltd 樹脂中の残存単量体の脱揮方法
JP2011074373A (ja) * 2009-09-04 2011-04-14 Idemitsu Kosan Co Ltd 重合溶液の揮発成分除去装置、その方法、および、重合装置
JP2015054917A (ja) * 2013-09-11 2015-03-23 旭硝子株式会社 末端不飽和基含有重合体の精製方法、末端不飽和基含有ポリエーテルの製造方法、および加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造方法
JP2015124247A (ja) * 2013-12-25 2015-07-06 出光興産株式会社 重合溶液の揮発成分除去装置、および重合溶液の揮発成分除去方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5398383A (en) * 1977-02-08 1978-08-28 Nippon Zeon Co Ltd Continuous production of cyclopentadiene resin and oil
JP2000143721A (ja) * 1998-11-06 2000-05-26 Sanyo Chem Ind Ltd 樹脂中の残存単量体の脱揮方法
JP2011074373A (ja) * 2009-09-04 2011-04-14 Idemitsu Kosan Co Ltd 重合溶液の揮発成分除去装置、その方法、および、重合装置
JP2015054917A (ja) * 2013-09-11 2015-03-23 旭硝子株式会社 末端不飽和基含有重合体の精製方法、末端不飽和基含有ポリエーテルの製造方法、および加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造方法
JP2015124247A (ja) * 2013-12-25 2015-07-06 出光興産株式会社 重合溶液の揮発成分除去装置、および重合溶液の揮発成分除去方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
"飽和水蒸気量", ウィキペディア, JPN6023000301, 5 December 2022 (2022-12-05), ISSN: 0004964720 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP7285664B2 (ja) 2023-06-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106842835B (zh) 在纳米压印光刻中减少填充时间的基材预处理
CN110366703B (zh) 用于纳米压印光刻的基板预处理组合物
CN104507990B (zh) 含硅高支化聚合物及含有该聚合物的固化性组合物
KR101615795B1 (ko) 광경화성 임프린트용 조성물 및 상기 조성물을 이용한 패턴의 형성 방법
JP5049426B2 (ja) アクリル系粘着剤の製造法
JP7081024B2 (ja) 片末端に官能基を有する(メタ)アクリル系重合体の製造方法
JP2012109551A (ja) 光硬化性ナノインプリント用組成物、該組成物を用いたパターンの形成方法、及び該組成物の硬化体を有するナノインプリント用レプリカ金型
EP3805282A1 (en) Method for producing vinyl-ether-group-containing (meth)acrylic acid ester polymer, vinyl-ether-group-containing (meth)acrylic acid ester polymer, and polymer composition
KR20210025594A (ko) 박리지 또는 박리 필름용 오가노폴리실록산 조성물
Zorn et al. Synthesis of a Macromonomer Library from High‐Temperature Acrylate Polymerization
CN103980215A (zh) 一种水性聚氨酯丙烯酸酯低聚体、其制备方法和水性紫外光固化涂料
JP2020147714A (ja) 重合体の製造方法
CN101121760A (zh) 在超临界流体中制备聚乙烯衍生物的方法
JPWO2015186649A1 (ja) ポリビニルホスホン酸ジメチル及びポリビニルホスホン酸の製造方法
KR101403067B1 (ko) 자외선 경화성 코팅조성물 및 이를 이용한 고 경도 코팅막
JP2010059394A (ja) 熱硬化性組成物及び成形品
JP2007126626A (ja) 半導体微細ギャップフィリング用重合体及びこれを利用したコーティング組成物
CA2703194A1 (en) Production of solutions of vinyl polymers in reactive monomers
JP2019094381A (ja) 光硬化性組成物およびその硬化物
JP2016094499A (ja) ビニル系重合体及びその製造方法、並びに、硬化性組成物
US9932421B2 (en) Emulsion polymerization of esters of itaconic acid
Kohsaka et al. Synthesis of isotactic poly [α-(hydroxymethyl) acrylate] by anionic polymerization of the protected monomer
EP3294779B1 (en) Emulsion polymerization of esters of itaconic acid
KR101408487B1 (ko) 스타 폴리머 및 그 제법
Zhao et al. Influences for preparation of PMMA-b-P t BA block copolymer mediated by DPE-containing macroinitiator

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220113

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230516

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230523

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7285664

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150