JP2010059394A - 熱硬化性組成物及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 下記式(1)で表される化合物と下記式(2)で表されるシラン化合物とを含む無機ポリマー構成成分を加水分解縮合させて得られた無機ポリマーと、水溶性多官能(メタ)アクリレートと、重合開始剤とを含む熱硬化性組成物。
M(R1)n(OR2)4−n ・・・式(1)
上記式(1)中、MはSi、Ti又はZrであり、R1はフェニル基、炭素数1〜30のアルキル基、又はエポキシ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは0〜2の整数を表す。
Si(R3)p(OR4)4−p ・・・式(2)
上記式(2)中、R3は重合性二重結合を有する炭素数1〜30の有機基を表し、R4は炭素数1〜6のアルキル基を表し、pは1又は2を表す。
【選択図】なし
Description
本発明に係る熱硬化性組成物に含まれている無機ポリマーは、下記式(1)で表される化合物と、下記式(2)で表されるシラン化合物とを含む無機ポリマー構成成分を加水分解縮合させて得られた無機ポリマーである。なお、下記式(1)で表される化合物は、金属アルコキシドであることが好ましい。
本発明に係る熱硬化性組成物に含まれている水溶性多官能(メタ)アクリレートは、水溶性を有し、かつ2以上の(メタ)アクリル基を有していれば特に限定されない。水溶性多官能(メタ)アクリレートは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る熱硬化性組成物に含まれている重合開始剤は特に限定されない。
本発明に係る熱硬化性組成物は、必要に応じて、チキソ性付与剤、分散剤、難燃剤、着色剤、紫外線吸収剤又は酸化防止剤等を含有してもよい。
本発明に係る熱硬化性組成物は、上記無機ポリマーと、上記水溶性多官能(メタ)アクリレートと、上記重合開始剤と、必要に応じて配合される他の成分とを混合することにより得られる。
本発明に係る熱硬化性組成物を例えば射出成型用金型内に注入し、該射出成型用金型内で硬化させることにより、硬化物層を備える成形品を得ることができる。
エタノール60mlと、テトラエトキシシラン(TEOS)41.7g(0.2モル)と、メチルトリメトキシシラン(MeTS)34.1g(0.25モル)と、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)12.5g(0.05モル)とをフラスコに添加し、混合することにより、混合液を得た。得られた混合液に、水85.6g(5.0モル)と、12N塩酸4.2gとを加えて、3時間室温で攪拌することにより、無機ポリマー含有溶液を得た。
上記エトキシ化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−GLY−9E)32.5gを、上記式(4)で表される水溶性多官能(メタ)アクリレートに相当するトリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業社製、NKエステル3G(p=3))14.3gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、無溶剤の粘稠な溶液73.5gを得た。粘稠な溶液に含まれる水溶性多官能(メタ)アクリレートの量は、19.5重量%であった。
上記エトキシ化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−GLY−9E)の添加量を32.5gから11.8gに変更し、無溶剤の粘稠な溶液71.0gを得た。粘稠な溶液に含まれる水溶性多官能(メタ)アクリレートの量は、16.6重量%であった。
上記エトキシ化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−GLY−9E)の添加量を32.5gから59.0gに変更したこと以外は実施例1と同様にして、無溶剤の粘稠な溶液118.2gを得た。粘稠な溶液に含まれる水溶性多官能(メタ)アクリレートの量は、49.9重量%であった。
エタノール60mlと、テトラエトキシシラン(TEOS)41.7g(0.2モル)と、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)74.5g(0.3モル)とをフラスコに添加し、混合することにより、混合液を得た。得られた混合液に、水85.6g(5.0モル)と、12N塩酸4.2g(0.05N)とを加えて、3時間室温で攪拌することにより、無機ポリマー含有溶液を得た。
上記テトラエトキシシラン(TEOS)の添加量を41.7g(0.2モル)から20.8g(0.1モル)に変更したこと、並びに上記3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)の添加量を74.5g(0.3モル)から99.4g(0.4モル)に変更したこと以外は実施例5と同様にして、無溶剤の粘稠な溶液104.6gを得た。粘稠な溶液に含まれる水溶性多官能(メタ)アクリレートの量は、31.1重量%であった。
第1のフラスコに、2−メトキシエタノール40mlと、12N濃塩酸18gとを添加し、攪拌しながら、チタンテトライソプロポキシド(TiTPr)42.6g(0.15モル)を滴下し、1時間攪拌することにより、第1の溶液を得た。
エタノール60mlと、テトラエトキシシラン(TEOS)41.7g(0.2モル)と、メチルトリメトキシシラン(MeTS)44.5g(0.3モル)と、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)12.5g(0.05モル)とをフラスコに添加し、混合することにより、混合液を得た。得られた混合液に、水85.6g(4.8モル)と、12N塩酸4.2g(0.05N)とを加えて、3時間室温で攪拌することにより、無機ポリマー含有溶液を得た。
エタノール60mlと、テトラエトキシシラン(TEOS)41.7g(0.2モル)と、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)74.5g(0.3モル)とをフラスコに添加し、混合することにより、混合液を得た。得られた混合液に、水85.6g(4.8モル)と、12N塩酸4.2g(0.05N)とを加えて、3時間室温で攪拌することにより、無機ポリマー含有溶液を得た。
エタノール60mlと、テトラエトキシシラン(TEOS)104.2g(0.5モル)とをフラスコに入れ、水85.6g(5.0モル)と、12N塩酸4.2g(0.05N)とをさらに加えて、3時間室温で攪拌することにより、無機ポリマー含有溶液を得た。
エタノール95.2gと、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)99.4g(0.4モル)と、メチルトリメトキシシラン(MeTS)107.0g(0.8モル)とをフラスコに添加し、混合することにより、混合液を得た。得られた混合液を0℃に冷却しながら、水30.4gにより12Nの濃塩酸8.75gを希釈した希塩酸を混合液に滴下し、10分攪拌し、室温で10分さらに攪拌し、混合溶液を得た。得られた混合溶液を、80℃に加熱し、エバポレーターにより濃縮することにより、粘稠かつ透明な無機ポリマー含有溶液123.8gを得た。
上記3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)の添加量を99.4g(0.4モル)から24.8g(0.1モル)に変更したこと、並びに上記メチルトリメトキシシラン(MeTS)の添加量を107.0g(0.8モル)から160.5g(1.2モル)に変更したこと以外は実施例8と同様にして、粘稠かつ透明な無機ポリマー含有溶液111.2gを得た。
上記3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)の添加量を99.4g(0.4モル)から223.6g(0.9モル)に変更したこと、並びに上記メチルトリメトキシシラン(MeTS)の添加量を107.0g(0.8モル)から17.8g(0.1モル)に変更としたこと以外は実施例8と同様にして、粘稠かつ透明な無機ポリマー含有溶液144.8gを得た。
上記エトキシ化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−GLY−9E)123.8gを、非水溶性多官能(メタ)アクリレートとしてのトリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−TMPT)123.8gに変更したこと以外は実施例8と同様にして、コーティング溶液を得た。コーティング溶液に含まれる重合開始剤の量は1.0重量%であった。得られたコーティング溶液は、相分離しており、透明かつ均一な溶液ではなかった。
実施例8と同様にして無機ポリマー含有溶液123.8gを得た。得られた無機ポリマー含有溶液に水溶性多官能(メタ)アクリレートを添加せずに、有機過酸化物としてのベンゾイルパーオキサイド(日油社製、ナイパーBW)1.24gを添加し、攪拌することにより、コーティング溶液を得た。コーティング溶液に含まれる重合開始剤の量は1.0重量%であった。このコーティング溶液には、水溶性多官能(メタ)アクリレートを添加しなかった。
市販の無色透明なポリカーボネート板(縦10cm×横10cm×厚み4mm)を用意した。また、表面が離型処理されており、かつ鏡面加工されている金属プレート(縦10cm×横10cm×厚み13mm、重量1kg)を3枚用意した。用意されたポリカーボネート板及び金属プレートを105℃に予め加熱した。
ポリカーボネート板の表面に形成されたハードコート層の状態を目視により観察した。
JIS K7136に準拠し、ヘイズメーター(東京電色社製)により、ハードコート層が表面に形成されたポリカーボネート板のヘイズ値を測定した。なお、ヘイズ値が小さいほど、透明性が高いことを示す。
JIS R3212に準拠し、70回/分の速度で回転する水平な回転テーブルと、65±3mmの間隔で固定された円滑に回転する1対の摩耗輪とにより構成された東洋精機社製のテーバー摩耗試験機「ロータリーアブレーションテスタ」を用いて、耐擦傷性の評価を行った。なお、摩耗輪はCS−10F(タイプIV)を用い、荷重500gにおける、1000サイクル試験後のヘイズと初期ヘイズとのヘイズ差(Δヘイズ%)を測定した。
JIS K5400に準拠し、ポリカーボネート板の上面に形成されたハードコート層に、カミソリ刃を用いて1mm間隔で縦11本及び横11本の切り目を入れて、区切られた合計100個の基盤目を形成した。基盤目が形成されたハードコート層に、市販のセロハンテープを密着させた後、セロハンテープをハードコート層から90度手前方向に急激に剥がした。合計100個の基盤目のうちの、ハードコート層がポリカーボネート板から剥離せずに残存している基盤目の数を数えた。
得られたコーティング溶液を透明なガラス容器に入れ、室温で2週間放置した。放置後のコーティング溶液の流動性を目視で確認し、下記の評価基準で評価した。
○:放置前後でコーティング溶液の流動性がほとんど変化しない
△:放置後に、コーティング溶液の粘度の上昇が認められる
×:放置後に、ゲル化しており、コーティング溶液が流動しない
2)メチルトリメトキシシラン(MeTS)
3)上記式(3)で表される水溶性多官能(メタ)アクリレートに相当するエトキシ化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−GLY−9E(x+y+z=9))
4)上記式(4)で表される水溶性多官能(メタ)アクリレートに相当するポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業社製、NKエステルA−400(p=9))
5)1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(有機過酸化物、パーオクタO、日油社製)
エタノール95.2gと、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MPTS)99.4g(0.4モル)と、メチルトリメトキシシラン(MeTS)109.0g(0.8モル)とをフラスコに添加し、混合することにより、混合液を得た。得られた混合液を0℃に冷却しながら、水30.4gにより12Nの濃塩酸8.75gを希釈した希塩酸を混合液に滴下し、10分攪拌し、室温で10分さらに攪拌し、混合溶液を得た。得られた混合溶液を、80℃に加熱し、エバポレーターにより濃縮することにより、粘稠かつ透明な無機ポリマー含有溶液125.0gを得た。
使用した材料の種類及び配合量を下記の表4,5に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、コーティング溶液を得た。
コーティング溶液の外観を評価した。また、実施例1〜10及び比較例1〜5と同様の評価項目について評価を実施した。
2…樹脂成形体
2A…熱硬化性組成物
3,4…第1,第2の表面層
3A,4A…熱硬化性組成物
11…成形装置
12…固定型
12a…凹部
12b…樹脂注入孔
13…可動型
13a…下面
16,17…樹脂注入装置
Claims (8)
- 下記式(1)で表される化合物と、下記式(2)で表されるシラン化合物とを含む無機ポリマー構成成分を加水分解縮合させて得られた無機ポリマーと、
水溶性多官能(メタ)アクリレートと、
重合開始剤とを含む、熱硬化性組成物。
M(R1)n(OR2)4−n ・・・式(1)
上記式(1)中、MはSi、Ti又はZrであり、R1はフェニル基、炭素数1〜30のアルキル基、又はエポキシ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜6のアルキル基を表し、nは0〜2の整数を表す。nが2であるとき、複数のR1は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数のR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
Si(R3)p(OR4)4−p ・・・式(2)
上記式(2)中、R3は重合性二重結合を有する炭素数1〜30の有機基を表し、R4は炭素数1〜6のアルキル基を表し、pは1又は2を表す。pが2であるとき、複数のR3は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数のR4は同一であってもよく、異なっていてもよい。 - 前記式(1)で表される化合物が、下記式(11)で表されるシラン化合物である、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
Si(R11)m(OR12)4−m ・・・式(11)
上記式(11)中、R11はフェニル基、炭素数1〜30のアルキル基、又はエポキシ基を有する炭素数1〜30の炭化水素基を表し、R12は炭素数1〜6のアルキル基を表し、mは0〜2の整数を表す。mが2であるとき、複数のR11は同一であってもよく、異なっていてもよい。複数のR12は同一であってもよく、異なっていてもよい。 - 前記無機ポリマー構成成分が、前記式(1)で表される化合物として、下記式(1A)で表される化合物を含む、請求項1に記載の熱硬化性組成物。
M(OR2a)4 ・・・式(1A)
上記式(1A)中、R2aは炭素数1〜6のアルキル基を表す。複数のR2aは同一であってもよく、異なっていてもよい。 - 前記無機ポリマー構成成分が、前記式(11)で表される化合物として、下記式(11A)で表される化合物を含む、請求項2に記載の熱硬化性組成物。
Si(OR12a)4 ・・・式(11A)
上記式(11A)中、R12aは炭素数1〜6のアルキル基を表す。複数のR12aは同一であってもよく、異なっていてもよい。 - 前記重合開始剤が有機過酸化物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
- 有機溶剤を含まない、請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱硬化性組成物を射出成形用金型内に注入し、該射出成形用金型内で前記熱硬化性組成物を熱硬化させることにより得られた硬化物層を備える、成形品。
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