JP2005162957A - 無機−有機ハイブリッド材料とその製造方法 - Google Patents

無機−有機ハイブリッド材料とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低水分条件下でプロトン伝導性の高いリン酸基含有無機-有機ハイブリッド材料
の提供。
【解決手段】
メタクリロキシアルキル基を有するケイ素アルコキシドと、三官能性ケイ素アルコキシド及び四官能性ケイ素アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種のケイ素アルコキシドと、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種と、リン酸化合物とを含有する原料混合物を、ゾル-ゲル法によって固
化させることにより、従来より低水分条件下でもプロトン伝導性に優れたリン酸基含有無機-有機ハイブリッド材料を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、無機-有機ハイブリッド材料及び該材料の製造方法に関する。
現在、燃料電池などの材料として広く使用されている含フッ素イオン交換膜(“ナフィ
オン”、“フレミオン”などの商標名で市販されている) は、有機高分子膜であるため、耐熱性が十分でなく、80℃以上の高温での使用は難しい。燃料電池システム全体としてのエネルギー効率の改善を考慮すれば、発電時に発生する廃熱を有効利用するために、100
〜150℃程度の温度で使用できる材料の開発が切望されている。また、含フッ素イオン交
換膜においては、水分子がプロトンと共に燃料極から空気極へ移動することから、安定的な出力確保のためには水分管理が重要である。水分管理の方法としては、水素ガスに水を含ませる方法、電池内で生成する水を利用する方法、電池内部の多湿を保って管理する方法等が採用されている。しかしながら、燃料電池システムの水分管理装置の簡素化やエネルギー効率の観点から、水分管理の容易な高分子固体電解質の登場が待たれている。
高温において使用可能である無機の固体電解質として、SiO2-P2O5ガラスが提案されて
いる(非特許文献1)。しかしながら、この固体電解質は、無機物のみにより構成されているため、柔軟性に欠けており、脆いという欠点がある。
特許文献1は、燃料電池におけるプロトン導電部材として、(1)無機プロトン導電材料
と(2)ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキサゾリンおよびポリジ
メチルシロキサンから選ばれた少なくとも1種との混合部材を提案している。しかしなが
ら、このプロトン導電部材は、基本的には、ガラス質無機材料を主とし、これにポリマーが混合状態で存在するガラス系材料である。従って、その柔軟性は、無機材料単独の場合に比して、改善されてはいるものの、自立膜として使用することを考慮すれば、十分ではない。
工業材料、Vol.49、No.1、pp56-59、2001年
従って、本発明は、低水分条件下でもプロトン伝導性が高い材料を得ることを主な目的とする。
本発明者は、上記の様な技術の現状を考慮しつつ研究を重ねた結果、リン酸基を含むシリカマトリックス中にポリマー成分が均一に分散しているという特異な構造を備えており、低水分条件下でもプロトン伝導性が高く、柔軟性、耐熱性、耐化学薬品性(耐食性)に優れた無機-有機ハイブリッド材料を製造することに成功した。
すなわち、本発明は、下記の無機-有機ハイブリッド材料及び該材料の製造方法を提供
するものである。
項1.メタクリロキシアルキル基を有するケイ素アルコキシドと、三官能性ケイ素アルコキシド及び四官能性ケイ素アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種のケイ素アルコキシドと、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群から選
択される少なくとも1種と、リン酸化合物とを含有する原料混合物を、ゾル-ゲル法によ
って固化させることを特徴とする、リン酸基含有無機-有機ハイブリッド材料の製造方法
項2.メタクリロキシプロピル基を有するケイ素アルコキシドが、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及びメタクリロキシプロピルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種のアルコキシドである項1に記載の製造方法。
項3.三官能性ケイ素アルコキシド及び四官能性ケイ素アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種のケイ素アルコキシドが、テトラエトキシシラン及びテトラメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種のアルコキシドである項1又は2に記載の製造方法。
項4.リン酸化合物が、リン酸トリメチル及びリン酸トリエチルからなる群から選択される少なくとも1種のリン酸トリエステルである項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5.原料混合物が、12タングストリン酸、過塩素酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種をさらに含有
することを特徴とする項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
項6.SiO2、RSiO3/2(Rはアルキル基、フェニル基又はメタクリロキシアルキル基である)及びP2O5を構成成分として含む非晶質の無機マトリックス相と該無機マトリックス相中に均一に分散したエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種からなる有機相とからなり、無機マトリックスとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種とが水素結合していることを特徴とする無機-有機ハイブリッド材料。
項7.無機マトリックス相重量を基準として、有機相を10〜50重量%含有する項6に記載の無機-有機ハイブリッド材料。
本発明においては、基本的には、ゾル-ゲル法により、有機-無機ハイブリッド材料を製造する。以下、使用する原料、ゾル-ゲル法および得られる有機-無機ハイブリッド材料などについて、具体的に説明する。
I.原料
本発明においては、無機マトリックス相形成材料(シリカ源)として、メタクリロキシアルキル基を有するケイ素アルコキシドと、三官能性ケイ素アルコキシド及び四官能性ケイ素アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種のケイ素アルコキシドとを併せて使用することを必須とする。これらを併用することにより、得られる材料が、低水分条件下においてプロトン伝導性に優れ、耐熱性を備えたものとなる。
メタクリロキシアルキル基を有するケイ素アルコキシドは、ケイ素原子にメタクリロキシアルキル基が少なくとも1個直接結合し、かつアルコキシ基が少なくとも1個直接結合したものである。このようなケイ素アルコキシドは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ケイ素原子に直接結合するメタクリロキシアルキル基の数は1、2又は3個であるが、
好ましいのは1〜2個である。また、ケイ素原子に直接結合するアルコキシ基の数は1、2又は3個であるが、好ましいのは2〜3個である。また、メタクリロキシアルキル基のアルキル部分の炭素数は1〜8個が好ましく、例えばメタクリロキシプロピル基を使用することができる。
また、ケイ素原子に直接結合するアルコキシ基は、炭素数1〜5個のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシなどが使
用できる。より好ましくは、メトキシ又はエトキシである。
ケイ素原子に直接結合するメタクリロキシアルキル基の数とアルコキシ基の数の合計が2又は3個である場合、ケイ素原子に結合する残りの基は炭素数1〜3の直鎖又は分岐状アルキル基が好ましい。ケイ素原子にアルキル基が結合した化合物は、例えば、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン((C2H5O)2Si(CH3)-C3H6-OOC-C(CH3)=CH2)で
ある。
メタクリロキシアルキル基を有するケイ素アルコキシドの具体的な例は、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシエチルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシメチルメチルジエトキシシランなどである。好ましいのは、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランであり、より好ましいのは3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシランである。
上記のメタクリロキシアルキル基を有するケイ素アルコキシドと併用される、三官能性ケイ素アルコキシド及び四官能性ケイ素アルコキシドは、ケイ素原子に3又は4個のアルコキシ基が直接結合したものである。このようなケイ素アルコキシドは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。ケイ素原子に直接結合するアルコキシ基は、炭素数1〜4個のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシなどが使用できる。より好ましくはメトキシ又はエトキシであ
る。
四官能性ケイ素アルコキシドとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのテトラアルコキシシランを好適に使用することができる。
また、三官能性ケイ素アルコキシドにおいて、ケイ素に結合する他の基は、フェニル、炭素数1〜8個の直鎖又は分岐状アルキルなどが好ましく、フェニルがより好ましい。三官能性ケイ素アルコキシドとしては、例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどのフェニルトリアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシランを好適に使用することができる。
メタクリロキシアルキル基を有するケイ素アルコキシドと、三官能性ケイ素アルコキシド及び四官能性ケイ素アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種のケイ素アルコキシドとの使用割合は、前者1モルに対し、後者1〜19モル程度とすることが好ましく
、後者2〜9モル程度とすることがより好ましい。
リン酸化合物は、無機マトリックス相にリン酸基を付与するものであれば制限無く使用できる。リン酸化合物としては、オルトリン酸;二リン酸(ピロリン酸)、三リン酸、メタリン酸等の縮合リン酸;これらのアルキルエステル等を使用することができる。該アルキルエステルにおけるアルキル基の数は、特に限定はなく、モノアルキルエステルから全ての水素原子がアルキル基に置換したものまで使用できる。また、該アルキル基は、例えば炭素数1〜3個のアルキル基を使用することができる。これらのリン酸化合物のうちではオルトリン酸又は縮合リン酸のアルキルエステルが好ましく、例えばリン酸トリメチル、リン酸トリエチルなどのリン酸トリアルキルエステルを好適に用いることができる。リン酸化合物(リン酸源)の使用割合は、シリカ源(即ち、メタクリロキシアルキル基を有するケイ素アルコキシドと、三官能性ケイ素アルコキシド及び四官能性ケイ素アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種のケイ素アルコキシドとの合計)1モルに対
し、通常0.1〜2モル程度であり、好ましくは0.1〜1モル程度である。
エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種は、有機相を形成するための有機成分源であり、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(通常、重量平均分子量200〜50000程度、好ましくは600〜20000程度)、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(通常、重量平均分子量200〜50000程度、
好ましくは400〜20000程度)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(通常、重量平均分子量200〜50000程度、好ましくは400〜20000程度)、ポリエ
チレングリコールモノアクリレート(通常、重量平均分子量200〜50000程度、好
ましくは400〜20000程度)、ポリエチレングリコールジアクリレート(通常、重量平均分子量200〜50000程度、好ましくは400〜20000程度)などである。
使用量は、シリカ源とリン酸源の合計100重量部に対し、通常5〜50重量部程度であり、好ましくは10〜30重量部程度である。
上記の原料以外に、触媒として酸を使用することができる。ゾル-ゲル反応に関与する
酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、酢酸などを使用することができる。酸の使用割合は、シリカ源とリン酸源の合計1モルに対して、通常0.01〜0.5モル程度であり、好ましくは0.01〜0.1モル程度である。なお、上記のリン酸化合物として、オルトリン酸を使用する場合
には、オルトリン酸が酸としても作用するため、他の酸の添加を省略することが可能である。
ゾル-ゲル法における反応溶媒としては、エタノール、メタノール、プロパノールなど
のアルコール類を使用できる。反応溶媒の使用量は、シリカ源とリン酸源の合計1モルに
対し、2〜20モル程度であり、好ましくは5〜10モル程度である。
なお、無機-有機ハイブリッド材料のプロトン伝導率を向上させるために、プロトン源
として、12タングストリン酸、過塩素酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどを反応原料混合物に添加することが好ましい。これらのプロトン源は1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。プロトン源の添加量は、特に制限されるものではないが、シリカ源とリン酸源の合計100重量部に対し、通常1〜30重量部程度であり、好ましくは5〜20重量部程度である。
また、有機成分源として、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種を使用する場合、
重合開始剤を使用することにより、柔軟性に優れた、丈夫な無機-有機ハイブリッド材料
を得ることができる。重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾフェノン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オンなどを例示できる。重合開始剤は原料混合物に添
加して使用され、その添加量は、特に制限されるものではないが、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート及びポリエチレングリコールジアクリレートの合計100重量部に対
し、通常0.5〜10重量部程度であり、好ましくは1〜5重量部程度である。
II.ゾル-ゲル法
上記の原料を用いて行うゾル-ゲル反応は、反応系内にグリコール類の有機成分源を存
在させる点を除けば、公知の手法に準じて実施することができる。すなわち、上記の各原料を所定の割合で混合して、ゾルを形成させた後、所望の形状、例えば膜状に固化させ、次いで乾燥させることにより、所望の無機-有機ハイブリッド材料を得ることができる。
III.無機-有機ハイブリッド材料
本発明の無機-有機ハイブリッド材料は、SiO2、RSiO3/2(Rはアルキル基、フェニル基
又はメタクリロキシアルキル基である)及びP2O5を構成成分として含む非晶質の無機マトリックス相と該無機マトリックス相中に均一に分散したエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種からなる有機相とからなっている。無機マトリックス相における化学組成(モル%)は、特に限定されないが、通常、SiO2が0〜92.7%程度、RSiO3/2が2.5〜95.2%程度、P2O5が4.8〜50.0%程度、好ましくはSiO2が0〜88.5%程度、RSiO3/2が6.7〜95.2%程度、P2O5が4.8〜33.3%程度である。この材料中では、リン酸基を含む無機マトリックス中に有機高分子が分子オーダーで分散しており、シラノール基及び/又はリン酸基と、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種とが水素結合して、無機マトリックス相と有機相とが一体化(ハイブリッド化)している。
この無機-有機ハイブリッド材料は、従来より低水分条件下でも優れたプロトン伝導性
を示す。例えば、大気中の非加湿条件下(温度120℃)で1×10-7S/cm以上、好ましくは1×10-5S/cm以上のプロトン伝導性を有する。
また、本発明の無機-有機ハイブリッド材料は、従来の固体電解質が使用されていた分
野で使用することができる。例えば、燃料電池の固体電解質膜、水電解用膜、センサー用電解質膜などとして使用できる。
例えば、本発明の無機-有機ハイブリッド材料を固体電解質膜として使用し、燃料電池
を製造する場合、固体電解質膜の片側に燃料極を設け、もう一方の側に空気極を設け、必要に応じて両電極の外側に多孔質の支持層を設け、電極(支持層を設けた場合には支持層)の外側にセパレータ(仕切り板)を設けて、(支持層)−燃料極−電解質膜−空気極−(支持層)を挟持することによって、燃料電池のセルとすることができる。なお、燃料極に水素を、空気極に酸素(空気でも良い)を供給するため、セパレータと両電極(支持層を設ける場合には支持層)の間には水素又は酸素を供給可能な溝が備えられていることが多い。なお、燃料極に水素を供給する際に水分も供給することで、水分調整を行うことが好ましい。また、空気極に供給する酸素(又は空気)を加湿することもある。固体電解質膜以外の燃料電池を構成する部材としては、公知の燃料電池用部材を使用することができ
る。例えば電極としては、白金又は白金−ルテニウム合金担持カーボンブラック粉末をポリテトラフルオロエチレンなどの撥水性樹脂結着材で保持させたものなどを使用でき、支持層としてはカーボンペーパー等を使用できる。カーボンペーパーは、集電体としても作用する。
本発明による無機-有機ハイブリッド材料は、従来より低水分条件下でもプロトン伝導
性に優れる。また、マトリックス相が無機材料で構成されているので、耐熱性および耐化学薬品性(耐食性)に優れており、100〜150℃程度の高温度においても、使用可能である。
また、本発明の材料は、無機マトリックス相と一体化した有機相を含むので、柔軟性にも優れている。
以下、実施例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1
テトラエトキシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシラン、リン酸トリメチル、エタノール、水、硝酸及びポリエチレングリコール(分子量600)をモル比で0.636:0.182:0.182:10:4:0.01:0.091で混合し、80℃還流下で一晩攪拌することにより、ゾルを作製した。得られたゾルは透明で均質であった。得られたゾルをフッ素樹脂製シャーレ内にて40℃でゲル化させた後、100℃で6時間焼成して膜を得た。得られた膜(以下、膜1と称する)を目視により観察したところ、膜は均質であった。
本膜を電気炉に入れ、60、80、100、120℃におけるプロトン伝導率を大気中の非加湿条件下にて測定した。測定結果を表1に示す。
実施例2
ゾル作製用原料に、過塩素酸アンモニウムをアルコキシド(テトラエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、リン酸トリメチルの合計)の5重量%添加し
た以外は、実施例1と同様にして膜を作製した。得られた膜(以下、膜2と称する)は均質であった。本膜の60、80、100、120℃におけるプロトン伝導率を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表1に示す。
実施例3
テトラエトキシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシラン、リン酸トリメチル、エタノール、水、硝酸及びポリエチレングリコール(分子量600、1000又は2000)をモル
比で0.636:0.182:0.182:10:4:0.01:0.091で混合し、過塩素酸アンモニウムをアル
コキシド(テトラエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、リン酸トリメチルの合計)の5重量%添加し、80℃還流下で一晩攪拌することにより、ゾルを作
製した。得られたゾルは透明で均質であった。得られたゾルをフッ素樹脂製シャーレ内にて40℃でゲル化させた後、100℃で6時間焼成して膜を得た。得られた膜は均質であった。分子量600、1000、2000のポリエチレングリコールを使用して得られた膜をそれぞれ膜3
、膜4、膜5と称する。本膜の60、80、100、120℃におけるプロトン伝導率を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表1に示す。
実施例4
テトラエトキシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシラン、リン酸トリメチル、
エタノール、水及び硝酸をモル比で0.654:0.164:0.182:10:4:0.01で混合し、ポリエチレングリコール(分子量1000)、過塩素酸アンモニウムを、それぞれ、アルコキシド(テトラエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、リン酸トリメチルの合計)の20重量%、5重量%添加し、80℃還流下で一晩攪拌することにより、ゾルを作
製した。得られたゾルは透明で均質であった。得られたゾルをフッ素樹脂製シャーレ内にて40℃でゲル化させた後、100℃で6時間焼成して膜を得た。得られた膜(以下、膜7と称する)は均質であった。
また、テトラエトキシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシラン、リン酸トリメチル、エタノール、水及び硝酸の混合モル比を0.409:0.409:0.182:10:4:0.01に変更した以外は膜7の作製と同様にして膜を得た。得られた膜(以下、膜8と称する)は均質であった。
本膜の60、80、100、120℃におけるプロトン伝導率を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表1に示す。
実施例5
テトラエトキシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシラン、リン酸トリメチル、エタノール、水、硝酸及びポリエチレングリコール(分子量600)をモル比で0.430:0.108:0.462:10:4:0.01:0.054で混合し、過塩素酸アンモニウムをアルコキシド(テトラエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、リン酸トリメチルの合計)の5重量%添加し、80℃還流下で一晩攪拌することにより、ゾルを作製した。得られた
ゾルは透明で均質であった。得られたゾルをフッ素樹脂製シャーレ内にて40℃でゲル化させた後、100℃で6時間焼成して膜を得た。得られた膜(以下、膜9と称する)は均質であった。
また、テトラエトキシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシラン、リン酸トリメチル、エタノール、水、硝酸及びポリエチレングリコール(分子量600)の混合モル比を0.266:0.067:0.667:10:4:0.01:0.33に変更した以外は膜9の作製と同様にして膜を
得た。得られた膜(以下、膜10と称する)は均質であった。
本膜の60、80、100、120℃におけるプロトン伝導率を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表1に示す。
実施例6
テトラエトキシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシラン、リン酸トリメチル、エタノール、水及び硝酸をモル比で0.654:0.164:0.182:10:4:0.01で混合し、ポリエチレングリコールジメタクリレート(日本油脂製ブレンマーPDE400)、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合開始剤、チバスペシャリティーケミカルズ製イルガキュア184)、過塩素酸アンモニウムを、それぞれ、アルコキシド(テトラエトキシシラン
、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、リン酸トリメチルの合計)の20重量%、0.8重量%、5重量%添加し、80℃還流下で一晩攪拌することにより、ゾルを作製した。得られたゾルは透明で均質であった。得られたゾルをフッ素樹脂製シャーレ内にて40℃でゲル化させた後、低圧水銀ランプを用いて紫外線照射を5分間行い、100℃で6時間焼成して
膜を得た。得られた膜(以下、膜11と称する)は均質であった。
本膜の60、80、100、120℃におけるプロトン伝導率を実施例1と同様にして測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2005162957

Claims (7)

  1. メタクリロキシアルキル基を有するケイ素アルコキシドと、三官能性ケイ素アルコキシド及び四官能性ケイ素アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種のケイ素アルコキシドと、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種と、リン酸化合物とを含有する原料混合物を、ゾル-ゲル法によって固化
    させることを特徴とする、リン酸基含有無機-有機ハイブリッド材料の製造方法。
  2. メタクリロキシプロピル基を有するケイ素アルコキシドが、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及びメタクリロキシプロピルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種のアルコキシドである請求項1に記載の製造方法。
  3. 三官能性ケイ素アルコキシド及び四官能性ケイ素アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1種のケイ素アルコキシドが、テトラエトキシシラン及びテトラメトキシシランからなる群から選択される少なくとも1種のアルコキシドである請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. リン酸化合物が、リン酸トリメチル及びリン酸トリエチルからなる群から選択される少なくとも1種のリン酸トリエステルである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 原料混合物が、12タングストリン酸、過塩素酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種をさらに含有すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. SiO2、RSiO3/2(Rはアルキル基、フェニル基又はメタクリロキシアルキル基である)及びP2O5を構成成分として含む非晶質の無機マトリックス相と該無機マトリックス相中に均一に分散したエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種からなる有機相とからなり、無機マトリックスとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート及びポリエチレングリコールジアクリレートからなる群から選択される少なくとも1種とが水素結合していることを特徴とする無機-有機ハイブリッド材料。
  7. 無機マトリックス相重量を基準として、有機相を10〜50重量%含有する請求項6に記載の無機-有機ハイブリッド材料。
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