JP2015054917A - 末端不飽和基含有重合体の精製方法、末端不飽和基含有ポリエーテルの製造方法、および加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造方法 - Google Patents

末端不飽和基含有重合体の精製方法、末端不飽和基含有ポリエーテルの製造方法、および加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物としてアルカリ金属ハロゲン化物を含有する未精製の末端不飽和基含有重合体から、アルカリ金属ハロゲン化物を効率良く除去できるようにする。
【解決手段】末端不飽和基含有重合体と、不純物であるアルカリ金属ハロゲン化物を含有する第1の粗液に、水および界面活性剤を添加した後に脱水して、前記アルカリ金属ハロゲン化物の結晶を含む第2の粗液を得る晶析工程と、前記第2の粗液を固液分離して前記アルカリ金属ハロゲン化物の結晶を除去する固液分離工程を有し、前記固液分離工程において固液分離される前記第2の粗液の液温を100〜150℃とすることを特徴とする末端不飽和基含有重合体の精製方法。
【選択図】なし

Description

本発明は末端不飽和基含有重合体の精製方法、該精製方法を用いて末端不飽和基含有ポリエーテルを製造する方法、および該末端不飽和基含有ポリエーテルの製造方法を用いて加水分解性シリル基含有ポリエーテルを製造する方法に関する。
例えば、末端に加水分解性シリル基を有する重合体を製造する方法として、まず末端に不飽和基を有する重合体(末端不飽和基含有重合体)を製造し、ハイドロシラン化合物と、該末端不飽和基含有重合体とを反応させる方法が知られている。
このような末端不飽和基含有重合体は、例えば、ポリオールの末端水酸基をアルカリ金属アルコキシドと反応させ、次いで不飽和基を有する有機ハロゲン化物を反応させることによって製造することができる。このとき、アルカリ金属ハロゲン化物が副生するため、これを除去することが必要である。
特許文献1には、不純物としてアルカリ金属ハロゲン化物を含有する未精製のポリエーテル類(粗液)から、アルカリ金属ハロゲン化物を除去する精製方法として、下記の方法が記載されている。まず、ポリエーテル類の粗液に界面活性剤および水を添加し、アルカリ金属ハロゲン化物を水で抽出した後に脱水することによって塩(アルカリ金属ハロゲン化物)を析出させ、容易に除去できる大きさの塩の結晶とする。次いで、該塩の結晶を濾過法または遠心分離法で除去することによりアルカリ金属ハロゲン化物が除去されたポリエーテル類を得る。この方法において、ポリエーテル類の粘度が高いと濾過法または遠心分離法における操作が困難であるため、必要に応じて、塩を析出させた後に有機溶媒で希釈する。具体的に、実施例に記載されている方法では、アルカリ金属ハロゲン化物を水で抽出する工程において60℃で撹拌を行い、その後80℃に昇温して脱水し、続いて有機溶媒を加えて常温で30分間撹拌した後に、濾過を行い、得られた濾液から減圧下で有機溶媒を脱気して、精製されたポリエーテル類を得ている。
特許第3140109号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているように、濾過または遠心分離を行う前に有機溶媒で希釈すると、その後、有機溶媒を除去するために長時間の脱気が必要となるため、製造効率の点で好ましくない。また近年、揮発性有機化合物(VOC)に対する規制が強化されていることから、製造時使用した有機溶剤が最終製品に残留することは好ましくない。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、不純物としてアルカリ金属ハロゲン化物を含有する未精製の末端不飽和基含有重合体から、アルカリ金属ハロゲン化物を効率良く除去することができる、末端不飽和基含有重合体の精製方法および末端不飽和基含有ポリエーテルの製造方法、ならびに該末端不飽和基含有ポリエーテルの製造方法を用いた、加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造方法を提供することを目的とする。
また好ましくは、本発明は、低沸点化合物の含有量が低減された加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、末端不飽和基含有重合体と、不純物であるアルカリ金属ハロゲン化物を含有する第1の粗液に、水および界面活性剤を添加した後に脱水して、前記アルカリ金属ハロゲン化物の結晶を含む第2の粗液を得る晶析工程と、前記第2の粗液を固液分離して前記アルカリ金属ハロゲン化物の結晶を除去する固液分離工程を有し、前記固液分離工程において固液分離される前記第2の粗液の液温を100〜150℃とすることを特徴とする末端不飽和基含有重合体の精製方法を提供する。
前記末端不飽和基含有重合体が、末端不飽和基含有ポリエーテルであることが好ましい。
前記固液分離工程において濾過法で固液分離を行うことが好ましい。
前記固液分離工程において、固液分離されるときの液温における第2の粗液の粘度が50〜1300mPa・sであることが好ましい。
また本発明は、開始剤にモノエポキシドを開環付加重合させて、ポリエーテル(モノ)ポリオールを得る工程(a)と、前記ポリエーテル(モノ)ポリオールの末端水酸基をアルカリ金属またはアルカリ金属化合物と反応させた後に、不飽和基を有するハロゲン化合物と反応させて末端不飽和基含有ポリエーテルを生成し、該末端不飽和基含有ポリエーテルと、不純物であるアルカリ金属ハロゲン化物を含有する第1の粗液を得る工程(b)と、前記第1の粗液に、水および界面活性剤を添加した後に脱水して、前記アルカリ金属ハロゲン化物の結晶を含む第2の粗液を得る晶析工程(c)と、前記第2の粗液を固液分離して前記アルカリ金属ハロゲン化物の結晶を除去する固液分離工程(d)を有し、前記固液分離工程(d)において固液分離される前記第2の粗液の液温を100〜150℃とすることを特徴とする末端不飽和基含有ポリエーテルの製造方法を提供する。
また本発明は、本発明の末端不飽和基含有ポリエーテルの製造方法で末端不飽和基含有ポリエーテルを製造する工程と、前記末端不飽和基含有ポリエーテルの末端不飽和基に、加水分解性基を有するハイドロシラン化合物を反応させる工程を有することを特徴とする加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造方法を提供する。
また本発明は、得られる加水分解性シリル基含有ポリエーテルにおける、低沸点化合物の含有量が100ppm未満である、加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造方法を提供する。
本発明の末端不飽和基含有重合体の精製方法によれば、不純物としてアルカリ金属ハロゲン化物を含有する未精製の末端不飽和基含有重合体(第1の粗液)から、アルカリ金属ハロゲン化物を効率良く除去することができる。
本発明の末端不飽和基含有ポリエーテルの製造方法によれば、ポリエーテルポリオールから末端不飽和基含有ポリエーテルを得る際に副生するアルカリ金属ハロゲン化物を効率良く除去することができる。
本発明の加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造方法によれば、ポリエーテルポリオールから末端不飽和基含有ポリエーテルを得る際に副生するアルカリ金属ハロゲン化物を効率良く除去することができるため、該末端不飽和基含有ポリエーテルに加水分解性シリル基が導入された加水分解性シリル基含有ポリエーテルを効率良く製造することができる。
また本発明によれば、ポリエーテルポリオールから末端不飽和基含有ポリエーテルを得る際に副生するアルカリ金属ハロゲン化物を、希釈溶媒を使用しなくても除去することができるため、該末端不飽和基含有ポリエーテルに加水分解性シリル基が導入された加水分解性シリル基含有ポリエーテルにおける、低沸点化合物の含有量を低減させることができる。
具体的には、低沸点化合物の含有量が100ppm未満に低減された加水分解性シリル基含有ポリエーテルを製造することができる。
<定義>
本明細書において、(モノ)ポリオールとは、モノオールまたはポリオールを意味する。
本明細書における粘度の値はE型粘度計を用いて得られる値である。
本明細書における数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)は、分子量既知の標準ポリスチレン試料を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定して得られるポリスチレン換算分子量である。また分子量分布(Mw/Mn)は該質量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割った値をいう。
<末端不飽和基含有重合体の精製方法>
本発明の第1の態様は、末端不飽和基含有重合体と、不純物であるアルカリ金属ハロゲン化物を含有する第1の粗液からアルカリ金属ハロゲン化物を除去する、末端不飽和基含有重合体の精製方法である。
[末端不飽和基含有重合体]
本発明における末端不飽和基含有重合体は、重合体を構成する主鎖の末端に不飽和基を有する重合体であり、少なくとも0〜200℃で液体であるものを意味する。主鎖の末端の全部が不飽和基を有していてもよく、一部が不飽和基を有していてもよい。本明細書における主鎖とは、該主鎖以外のすべての分子鎖が側鎖と見なされるような線状分子鎖を意味する。
末端不飽和基含有重合体の末端の不飽和基は特に限定されないが、例えばアルケニル基が好ましい。アルケニル基としては、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、メタリル基などの炭素数6以下のアルケニル基が好ましく、アリル基(−CH−CH=CH)、メタリル基がより好ましい。
本発明における末端不飽和基含有重合体は、不純物としてアルカリ金属ハロゲン化物が生成する方法で製造されたものである。そのような末端不飽和基含有重合体として、末端に水酸基を有する水酸基含有重合体に、アルカリ金属またはアルカリ金属化合物、およびハロゲン化合物を用いて、不飽和基を導入する方法で製造された末端不飽和基含有重合体が適している。かかる方法で製造された未精製の末端不飽和基含有重合体に不純物として含まれるアルカリ金属ハロゲン化物の量は、アルカリ金属の含有量(質量基準)で表すと、通常、0.5〜1.5質量%程度である。
水酸基含有重合体の末端の水酸基に不飽和基を導入する方法は、例えば以下の方法(A)、(B)が挙げられる。これらは公知の手法を用いて行うことができる。
(A)水酸基含有重合体を、アルカリ金属またはアルカリ金属化合物と反応させて、末端の水酸基を−OM(Mはアルカリ金属)に変換し、次いで末端に不飽和基を有するハロゲン化合物と反応させて、末端不飽和基含有重合体と、副生したアルカリ金属ハロゲン化物を含む反応粗液(第1の粗液)を得る方法。
(B)水酸基含有重合体が、末端官能基として不飽和基1つと水酸基1つを有する場合には、アルカリ金属またはアルカリ金属化合物と反応させて、末端の水酸基を−OM(Mはアルカリ金属)に変換した後、多価ハロゲン化合物を用いて2量化もしくは多量化することによって、末端不飽和基含有重合体と、副生したアルカリ金属ハロゲン化物を含む反応粗液(第1の粗液)を得る方法。
アルカリ金属としてはナトリウムまたはカリウムが好ましい。アルカリ金属化合物としては、NaH等のアルカリ金属水素化物;NaOR(Rはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、またはブチル等のアルキル基を示す。)で表される金属アルコキシド;水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物が好ましい。
ハロゲンとしては塩素または臭素が好ましい。末端に不飽和基を有するハロゲン化合物としては、アルケニルハライドが好ましく、アリルクロライド、メタリルクロライド等のアルケニルクロライドがより好ましい。多価ハロゲン化合物としては、炭素数1〜2のジクロロ炭化水素、炭素数1〜2のトリクロロ炭化水素等が挙げられる。
例えば、水酸基含有重合体の末端の水酸基に不飽和基を導入する方法において、ナトリウムアルコキシドおよびアリルクロライドを用いた場合、アルカリ金属ハロゲン化物として塩化ナトリウム(NaCl)が副生する。
末端不飽和基含有重合体の主鎖は特に限定されず、用途等に応じて適宜選択できる。例えば加水分解性シリル基含有重合体に用いられる末端不飽和基含有重合体の場合、ポリエーテル単位−OR−(Rはアルキレン基)の1種以上、ポリエステル単位−OC(O)−R−(Rはアルキレン基)の1種以上、ポリカーボネート単位−OC(O)−O−R−(Rはアルキレン基)の1種以上、またはこれらの組合せからなる主鎖が好ましい。
ポリエーテル単位におけるRは炭素数2〜4のアルキレン基であることが好ましい。
ポリエステル単位におけるRは炭素数2〜8のアルキレン基であることが好ましい。
ポリカーボネート単位におけるRは炭素数2〜20のアルキレン基であることが好ましい。
末端不飽和基含有重合体は、ポリエーテル(モノ)ポリオールの末端水酸基の一部または全部に不飽和基が導入された重合体、ポリエステル(モノ)ポリオールの末端水酸基の一部または全部に不飽和基が導入された重合体、ポリカーボネート(モノ)ポリオールの末端水酸基の一部または全部に不飽和基が導入された重合体、ポリエステルエーテル(モノ)ポリオールの末端水酸基の一部または全部に不飽和基が導入された重合体のいずれかであることが好ましい。これらは公知の方法で製造することができる。
特に貯蔵時の安定性の点で、ポリエーテル(モノ)ポリオールの末端水酸基の一部または全部に不飽和基が導入された重合体(本明細書において末端不飽和基含有ポリエーテルということもある。)が好ましい。末端不飽和基含有ポリエーテルの製造方法については後述する。
末端不飽和基含有重合体の分子量は特に限定されないが、末端不飽和基含有重合体中のアルカリ金属ハロゲン化物を結晶化して固液分離する際に、常温では末端不飽和基含有重合体の粘度が高くて固液分離の操作が困難となりやすい場合に、本発明を適用することの効果が大きい。この点からは末端不飽和基含有重合体の数平均分子量が3,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましい。また加熱により濾過可能な粘度に下げやすい点からは40,000以下であることが好ましく、35,000以下であることがより好ましい。
[精製工程]
精製工程では、まず、末端不飽和基含有重合体と、不純物であるアルカリ金属ハロゲン化物(以下、塩ということもある。)を含有する第1の粗液に、水および界面活性剤を添加し、この後に脱水して、前記アルカリ金属ハロゲン化物の結晶を含む第2の粗液を得る(晶析工程)。次いで、前記第2の粗液を固液分離して前記アルカリ金属ハロゲン化物の結晶を除去する(固液分離工程)。
晶析工程において、第1の粗液に水および界面活性剤を添加して撹拌することにより、末端不飽和基含有重合体中のアルカリ金属ハロゲン化物を水で抽出することができる。その後、脱水することによって塩の結晶を析出させることができる。
界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤として一般に知られているものを用いることができる。特に分子中にオキシエチレン基(−O−C−)を5質量%以上有する化合物が好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン脂肪族アルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン脂肪族アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノ脂肪族カルボン酸エステル、ソルビタンモノまたはポリ脂肪族エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、オキシエチレンまたはポリオキシエチレン脂肪族アミン、脂肪酸ジアルカノールアミド、グリセロールモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等が挙げられる。
界面活性剤の分子量は1,000〜10,000が好ましく、4,000〜6,000がより好ましい。界面活性剤中のオキシエチレン基の含有量は5〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
界面活性剤の使用量は、末端不飽和基含有重合体100質量部に対して0.01〜5質量部の割合が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。界面活性剤が0.01質量部以上であると、未精製の末端不飽和基含有重合体中のアルカリ金属ハロゲン化物が水に十分に抽出されやすく、抽出されたアルカリ金属ハロゲン化物が析出しやすい。界面活性剤が5質量部以下であると、精製後の末端不飽和基含有重合体に残存する界面活性剤が十分に低減されやすい。
水の使用量は、末端不飽和基含有重合体100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。水の使用量が1質量部以上であると、脱水後に析出する塩の結晶が十分大きくなりやすい。水の使用量が50質量部以下であると、脱水工程に要する時間と熱量が少なくて済み、経済的に好ましい。
具体的に、アルカリ金属ハロゲン化物を水で抽出する際には、不活性ガス雰囲気中で、第1の粗液に界面活性剤と水を加えて撹拌混合することが好ましい。この操作を不活性ガス雰囲気中で行うことによって、末端不飽和基含有重合体の不飽和基が酸化されるのを防止することができる。不活性ガスとしては窒素ガスが好ましい。
次いで、水で抽出したアルカリ金属ハロゲン化物を析出させる際には、第1の粗液に界面活性剤と水を加えて混合した混合物を、気相中に不活性ガスを流しながら、水の沸点よりも低い脱水温度に加温して、該混合物中の水を徐々に蒸発させることにより、塩の結晶を成長させることが好ましい。
脱水温度は50〜95℃が好ましく、70〜90℃がより好ましい。脱水温度が上記範囲の上限値以下であると水の沸騰で発生する気泡によって塩の成長を妨げることがなく、下限値以上であると水を効率的に蒸発させることができる。
脱水を行う際に、気相中に不活性ガスを流すことにより、末端不飽和基含有重合体の不飽和基の酸化を防止しつつ、水の蒸発を促進することができる。不活性ガスとしては窒素ガスが好ましい。
脱水を開始してから終了するまでの時間(脱水時間)は特に限定されず、塩の結晶が次の固液分離工程で容易に除去できる大きさに成長するまで行うことが好ましい。脱水を終了して得られた第2の粗液中に水分が残存していてもよい。
固液分離工程では、アルカリ金属ハロゲン化物(塩)の結晶を含む第2の粗液を固液分離して該結晶を除去する。固液分離は濾過法または遠心分離法を用いて行うことが好ましい。エネルギーコストの点で濾過法が好ましく、加圧濾過法がより好ましい。加圧濾過法を用いる場合の加圧力は特に限定されないが、濾過速度を速める効果が得られやすい点で、例えば10kPa以上が好ましく、50kPa以上がより好ましい。該加圧力の上限は、フィルターの耐圧圧力以下とすることが好ましく、例えば500kPa以下が好ましく、400kPa以下がより好ましい。
本発明では、固液分離工程において第2の粗液の液温が100〜150℃の状態で固液分離を行う。本明細書において、固液分離される第2の粗液の液温(固液分離時の液温ということもある。)は、濾過器または遠心分離器に導入される直前の液温を意味する。
具体的には、晶析工程で得られた第2の粗液を、固液分離する前に100〜150℃に昇温する。固液分離される第2の粗液を昇温することにより、該第2の粗液を低粘度化することができる。
従来法では、晶析工程で得られた第2の粗液に希釈溶媒を加えて粘度を低下させていたが、本発明では希釈溶媒は添加しなくてもよい。希釈溶媒を添加しないと、希釈溶媒を除去するための工程が不要となり、製造効率が向上する。また最終製品である加水分解性シリル基含有ポリエーテルにおける低沸点化合物の残存量をより低減させることができる。本願明細書において、低沸点化合物とは、1気圧における沸点が130℃以下である化合物である。
本発明においては第2の粗液に希釈溶媒を添加しないことが、最終製品における低沸点化合物の残存量を低減させるうえで好ましい。希釈溶媒を用いた場合、固液分離工程で用いる希釈溶媒の残留量と加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造工程で用いるハイドロシラン化合物の残留量の合計量が、低沸点化合物の含有量となる。
固液分離される第2の粗液の液温が100℃以上であると、該第2の粗液を低粘度化する効果が十分に得られやすい。該液温が150℃以下であると昇温に必要な時間が長くなりすぎず、また酸素の混入による末端不飽和基含有重合体(ポリエーテル)の熱分解が防止されやすい。該固液分離される第2の粗液の液温は、より好ましくは100〜145℃であり、特に好ましくは120〜145℃である。
固液分離される第2の粗液の粘度は50~1300mPa・sが好ましく、100〜700mPa・sがより好ましく、200〜400mPa・sがより好ましい。本明細書において、固液分離される第2の粗液の粘度(固液分離時の粘度ということもある。)は、濾過器または遠心分離器に導入される直前の状態における粘度を意味する。
固液分離時の第2の粗液の温度が高くて粘度が低いほど、固液分離に必要な時間、すなわち濾過法の場合は濾過時間が短くなり、昇温に必要な時間は長くなる。固液分離時の第2の粗液の粘度が上記の範囲内であると、該第2の粗液を昇温して低粘度化することによる、製造効率の向上効果が良好に得られやすい。
なお、第1の粗液に塩基性化合物が含まれる場合は、界面活性剤と水を添加する前か、添加すると同時に酸を添加して中和することが好ましい。中和用の酸としては、有機酸、無機酸、固体酸のいずれでもよく、中和によって生成する塩が末端不飽和基含有重合体に溶解しにくい点で、無機酸または固体酸が好ましい。
無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、過塩素酸等が例示できる。固体酸としては活性白土、マグネシアシリケート、アルミノシリケート、ハイドロタルサイト等の固体イオン交換体としても知られる吸着剤等が例示できる。
固液分離工程において、濾過により得られた濾液、または遠心分離により得られた液を、減圧して脱気することにより、水分を十分に低減させることが好ましい。これにより、製造時に副生したアルカリ金属ハロゲン化物(塩)が十分に除去され、第1の粗液に添加した水分も十分に除去された末端不飽和基含有重合体(精製品)が得られる。
脱気条件は特に限定されないが、温度は100〜150℃が好ましく、120〜140℃が特に好ましい。脱気工程は、後述の測定方法による水分含有量(質量基準)が100ppm未満となるまで行う。具体的には、反応器を常圧に戻してサンプリングを行い、サンプルの該水分含有量が100ppm未満であれば脱気を終了する。サンプルの該水分含有量(質量基準)が100ppm以上である場合は、さらに脱気を延長して行う。
これにより、後述の測定方法による水分含有量(質量基準)が100ppm未満である末端不飽和基含有重合体(精製品)が得られる。含有量が100ppm未満であると、ハイドロシラン化合物が水によって分解される反応が充分に抑制される。
脱気工程を終えた末端不飽和基含有重合体(精製品)は、必要に応じて冷却することが好ましい。
<末端不飽和基含有ポリエーテルの製造方法>
本発明の第2の態様は、まずポリエーテル(モノ)ポリオールを製造し(工程(a))、該ポリエーテル(モノ)ポリオールの末端水酸基に不飽和基を導入して、末端不飽和基含有ポリエーテルと、不純物であるアルカリ金属ハロゲン化物を含有する第1の粗液を得た後(工程(b))、晶析工程(c)および固液分離工程(d)を経て、末端不飽和基含有ポリエーテルの精製品を得る方法である。
本態様において、ポリエーテル(モノ)ポリオールの末端水酸基に不飽和基を導入する方法は、前記第1の態様において水酸基含有重合体の末端の水酸基に不飽和基を導入する方法(A)と同様の方法を用いる。
[工程(a)]
工程(a)では、開始剤にモノエポキシドを開環付加重合させて、ポリエーテル(モノ)ポリオールを得る。開環付加重合反応は公知の開環付加重合触媒を用い、公知の手法で行うことができる。
(開始剤)
ポリエーテルポリオールを製造する場合、開始剤としては、多価アルコール、多価フェノール、多価カルボン酸などの活性水素含有化合物;得ようとするポリエーテルポリオールよりも低分子量の、前記活性水素含有化合物のモノエポキシド付加物などが挙げられる。これらのうち、2〜8価の多価アルコールが好ましい。特に、3〜4価の多価アルコール、または2価アルコールと3〜8価の多価アルコールとの混合物等が好ましい。
ポリエーテルモノオールを製造する場合、開始剤としては、一価アルコール、一価フェノール、モノカルボン酸などの活性水素含有化合物;得ようとするポリエーテル(モノ)ポリオールよりも低分子量の、前記活性水素含有化合物のモノエポキシド付加物などが挙げられる。
(モノエポキシド)
モノエポキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、エピクロルヒドリンなどの炭素原子数2以上、好ましくは炭素原子数2〜4の脂肪族アルキレンオキシド;スチレンオキシドなどの芳香族アルキレンオキシド;等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を共重合させてもよい。
これらのうち、脂肪族アルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドが好ましい。
(触媒)
開環付加重合触媒としては、アルカリ金属化合物触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、ホスファゼン化合物触媒、ホウ素系カチオン触媒等、公知の触媒を用いることができる。
特に、複合金属シアン化物錯体触媒を用いると、分子量分布が狭いポリエーテル(モノ)ポリオールが得られやすい点で好ましい。
[工程(b)]
工程(b)は、前記第1の態様における方法(A)を用いて行う。すなわち、工程(a)で生成したポリエーテル(モノ)ポリオールの末端水酸基を、アルカリ金属またはアルカリ金属化合物と反応させて−OM(Mはアルカリ金属)に変換する。次いで末端に不飽和基を有するハロゲン化合物と反応させることにより、末端のM(アルカリ金属)が、該ハロゲン化合物からハロゲン原子を除いた残基で置換されて末端に不飽和基が導入されるとともに、アルカリ金属ハロゲン化物が副生する。こうして末端不飽和基含有ポリエーテルと、不純物であるアルカリ金属ハロゲン化物を含有する第1の粗液を得る。
アルカリ金属またはアルカリ金属化合物、および末端に不飽和基を有するハロゲン化合物は、前記第1の態様と同様である。
[晶析工程(c)・固液分離工程(d)]
晶析工程(c)では、工程(b)で得た第1の粗液に、水および界面活性剤を添加した後に脱水して、アルカリ金属ハロゲン化物の結晶を含む第2の粗液を得る。
固液分離工程(d)では、工程(c)で得た第2の粗液を固液分離してアルカリ金属ハロゲン化物の結晶を除去する。本発明では、第2の粗液の液温が100〜150℃の状態で固液分離を行う。
本態様において、晶析工程(c)および固液分離工程(d)は、前記第1の態様における晶析工程および固液分離工程と、それぞれ同様である。
第1の態様で得られる末端不飽和基含有重合体(精製品)、または第2の態様で得られる末端不飽和基含有ポリエーテル(精製品)は、それ自身を硬化性樹脂の硬化成分として利用できる。また、末端不飽和基に加水分解性シリル基を導入して硬化成分とすることもできる。
<加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造方法>
本態様は、第2の態様で末端不飽和基含有ポリエーテル(精製品)を製造し、該末端不飽和基含有ポリエーテルの末端不飽和基に、加水分解性基を有するハイドロシラン化合物を反応させて、加水分解性シリル基含有ポリエーテルを製造する方法である。該反応は公知の手法により行うことができ、好ましくは触媒が用いられる。
末端不飽和基含有ポリエーテル(精製品)を製造した後、引き続いてハイドロシラン化合物と反応させる場合、末端不飽和基含有ポリエーテル(精製品)を得るための、固液分離後の脱気工程において、脱気後の精製品の液温が上記シリル化反応温度と同じ範囲になるように温度調節することが好ましい。
ハイドロシラン化合物は、下記式(1)で表される化合物が好ましい。
HSiX’(3−k)R’ ・・・(1)
式(1)において、R’は1価の炭化水素基または1価のハロゲン化炭化水素基であり、X’は加水分解性基であり、kは0、1または2である。kが1である場合、2個のX’は互いに同じであってもよく異なっていてもよい。kが2である場合、2個のR’は互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
R’としての炭化水素基は、アルキル基またはアリール基が好ましく、炭素原子数6以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数3以下のアルキル基が特に好ましい。
R’としてのハロゲン化炭化水素基としては、塩素原子またはフッ素原子を1以上有するアルキル基が好ましく、該アルキル基の炭素原子数は6以下が好ましく、3以下がより好ましい。
X’としての加水分解性基は、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミド基、アミノ基、アミノオキシ基、またはケトキシメート基が好ましい。好ましいX’として、メトキシ基、エトキシ基などの炭素数4以下のアルコキシ基;アセトキシ基などのアシルオキシ基;アセトキシメート基、ジメチルケトキシメート基などのケトキシメート基;N,N−ジメチルアミノ基;N−メチルアセトアミド基;などが挙げられる。特に好ましくは、メトキシ基またはエトキシ基である。
触媒としてはVIII族遷移金属系触媒を用いることが好ましい。VIII族遷移金属系触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウムなどの金属、塩化白金酸などの金属化合物、白金−オレフィン錯体などの金属錯体化合物等が挙げられる。
加水分解性シリル基含有ポリエーテルは、加水分解性シリル基が水分と反応して硬化反応を生じる。
加水分解性シリル基含有ポリエーテルに、必要に応じて補強剤、充填剤、可塑剤、タレ止め剤、架橋剤など公知の添加剤を添加して湿気硬化性組成物とすることができる。
該湿気硬化性組成物は、例えば、建造物、航空機、自動車等の被覆組成物およびシーリング組成物またはこれらの類似物として好適に使用することができる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
測定方法は以下の方法を用いた。
<粘度の測定方法>
試料を1mL採取し、E型粘度計(東機産業社製、製品名:RE80型)を用いて、測定温度25℃、ローターNo.4の条件で粘度を測定した。校正用標準液としては、JS14000(日本グリース社製)を使用した。
<水分含有量の測定方法>
試料を0.1g〜10g程度採取し、電量滴定式水分測定装置(三菱化学アナリテック社製、製品名:CA−200型)で、陽極液にアクアミクロンAS(エーピーアイコーポレーション社製)を使用し、陰極液にアクアミクロンCXU(エーピーアイコーポレーション社製)を使用して水分含有量(質量基準)を測定した。
<ナトリウム含有量の測定方法>
試料30gを白金皿に秤量し、ガスバーナーを用いて燃焼、灰化した後、さらに600℃の電気炉にて完全に灰化させ、灰化残渣を6N塩酸2mlに溶解し、蒸留水にて100mlに定容した。灰化残渣のナトリウム含有量は、原子吸光光度計(島津製作所社製、AA−6200)を用いて測定した。ナトリウム含有量の定量は、金属標準液で作成した検量線から求めた。
<希釈溶媒(ヘキサン)含有量の測定方法>
ガスクロマトグラフィー法を用い、下記の条件で希釈溶媒(ヘキサン)含有量を測定した。
装置:SHIMADZU GC−2010(製品名、島津製作所社製)。
カラム:DB−1301(製品名、ジーエルサイエンス株式会社製)。
サンプル調製方法:試料2gを内標液(エチルベンゼン0.2gをジメチルホルムアミド100gに溶かした溶液)2g、ジメチルホルムアミド6gに溶解した。
データ解析方法:エチルベンゼンとヘキサンのピーク面積比を重量比に換算して、試料中のヘキサンの含有量を算出した。
<低沸点化合物の含有量の測定方法>
本明細書において低沸点化合物とは、1気圧における沸点が130℃以下の化合物である。
低沸点化合物の測定は、ガスクロマトグラフィー法により、下記のデータ解析方法を用いるほかは、希釈溶媒(ヘキサン)含有量の測定と同様にして行った。
データ解析方法:低沸点化合物のピーク面積の合計とエチルベンゼンのピーク面積の比を重量比に換算して、試料中の低沸点化合物の含有量を算出した。
<実施例1>
[末端不飽和基含有ポリエーテル(第1の粗液)の製造]
グリセリンにプロピレンオキシドを開環付加重合させて得られたトリオール(Mn1,000)を開始剤として用いた。
反応器内で、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、開始剤にプロピレンオキシドを開環付加重合させて、ポリオキシプロピレントリオールを得た。
続いて、得られたポリオキシプロピレントリオールに、窒素雰囲気下でナトリウムメトキシドのメタノール溶液を加え、130℃で反応させた。ナトリウムメトキシドの添加量は、ポリオキシプロピレントリオールの水酸基に対して1.05当量とした。この反応によりポリオキシプロピレントリオールの末端の水酸基が−ONa基に変換され、メタノールが副生する。
次いで、減圧下でメタノールを留去した後、アリルクロライドを加え、110℃で反応させた。アリルクロライドの添加量は、末端の−ONa基に対して1.20当量とした。この反応により末端の−ONa基が−O−CHCH=CH基に変換され、NaClが副生する。
次いで、減圧下で未反応のアリルクロライドを除去して、副生塩としてNaClを含むアリル基末端オキシプロピレン重合体(第1の粗液、末端不飽和基含有ポリエーテル)を得た。アリル基末端オキシプロピレン重合体の数平均分子量(Mn)は17,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.3であった。
[精製工程]
反応器内の、アリル基末端オキシプロピレン重合体100質量部に対して、界面活性剤としてポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー1質量部、および水3質量部を加え、窒素雰囲気下、液温60℃で撹拌混合することにより、重合体から副生塩を水で抽出した。
次いで、反応器内に窒素を流しながら、反応器内の液を80℃に加温して5時間保持することによって水分を蒸発させて塩の結晶を析出させ、第2の粗液を得た(晶析工程)。
次いで、反応器内の第2の粗液を120℃まで昇温して、濾紙を装着した濾過器に移液し、最大200kPaまで圧力をかけて濾過した。本例において、80℃から120℃に昇温するのに要した昇温時間は1時間であり、固液分離される第2の粗液は液温120℃であり、該液温における粘度は400mPa・sであった。
次いで、得られた濾液を加熱しながら、温度130℃で減圧脱気し、水分含有量(質量基準)が100ppm未満の、精製されたアリル基末端オキシプロピレン重合体を得た。
濾過に要した濾過時間は3時間、減圧脱気に要した脱気時間は2時間であった。減圧脱気後の、精製されたアリル基末端オキシプロピレン重合体を冷却した。
得られたアリル基末端オキシプロピレン重合体の水分含有量は80ppm、25℃における粘度は12.3Pa・sであった。副生塩の残存量の指標としてNaの含有量(質量基準)を測定したところ、2.3ppmであった。これらの測定結果を表1に示す。表1には精製工程における主な製造条件を合わせて示す(以下、同様)。
[加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造]
塩化白金酸六水和物の存在下、精製工程で得られたアリル基末端オキシプロピレン重合体(精製品)のアリル基に対して0.80当量のメチルジメトキシシランを加えて反応させた。
この後、減圧下で未反応のジメトキシメチルシランを除去して、主鎖末端にジメトキシメチルシリル基を有するオキシプロピレン重合体(加水分解性シリル基含有ポリエーテル)を得た。
得られた加水分解性シリル基含有ポリエーテルの数平均分子量(Mn)は17,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.30、25℃における粘度は15.2Pa・sであった。また該加水分解性シリル基含有ポリエーテル中に残存する低沸点化合物の含有量は80ppmであった。これらの結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1と同様にして晶析工程まで行った。次いで、反応器内の第2の粗液を145℃まで昇温して、実施例1と同様にして濾過した。本例において、80℃から145℃に昇温するのに要した昇温時間は2時間であり、固液分離される第2の粗液は液温145℃で、粘度200mPa・sであった。
次いで、得られた濾液を加熱しながら、温度130℃で減圧脱気し、水分含有量(質量基準)が100ppm未満の、精製されたアリル基末端オキシプロピレン重合体を得た。
濾過に要した濾過時間は2.5時間、減圧脱気に要した脱気時間は2時間であった。
実施例1と同様にして、得られたアリル基末端オキシプロピレン重合体(精製品)の25℃における粘度、水分含有量、Naの含有量を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
[加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造]
実施例1と同様にして、精製工程で得られたアリル基末端オキシプロピレン重合体(精製品)のアリル基を、ジメトキシメチルシリル基に置換して加水分解性シリル基含有ポリエーテルを得た。
実施例1と同様に、得られた加水分解性シリル基含有ポリエーテルの数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)、25℃における粘度、残存する低沸点化合物の含有量を測定した。これらの結果を表1に示す。
<実施例3>
実施例1と同様にして晶析工程まで行った。次いで、反応器内の第2の粗液を100℃まで昇温して、実施例1と同様にして濾過した。本例において、80℃から100℃に昇温するのに要した昇温時間は0.5時間であり、固液分離される第2の粗液は液温100℃で、粘度700mPa・sであった。
次いで、得られた濾液を加熱しながら、温度130℃で減圧脱気し、水分含有量(質量基準)が100ppm未満の、精製されたアリル基末端オキシプロピレン重合体を得た。
濾過に要した濾過時間は5時間、減圧脱気に要した脱気時間は2時間であった。
実施例1と同様にして、得られたアリル基末端オキシプロピレン重合体(精製品)の25℃における粘度、水分含有量、Naの含有量を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
[加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造]
実施例1と同様にして、精製工程で得られたアリル基末端オキシプロピレン重合体(精製品)のアリル基を、ジメトキシメチルシリル基に置換して加水分解性シリル基含有ポリエーテルを得た。
実施例1と同様に、得られた加水分解性シリル基含有ポリエーテルの数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)、25℃における粘度、残存する低沸点化合物の含有量を測定した。これらの結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1と同様にして晶析工程まで行った。次いで、反応器内の第2の粗液(80℃)に希釈溶媒としてヘキサンを添加した。ヘキサン添加後の希釈液(65℃)におけるヘキサンの含有量は27質量%である。
この希釈液を、濾紙を装着した濾過器に移液し、最大200kPaまで圧力をかけて濾過した。本例において、固液分離される希釈液の昇温は行わず、液温65℃、粘度は1200mPa・sであった。
次いで、得られた濾液を、加熱しながら、温度130℃で減圧脱気し、水分含有量(質量基準)が100ppm未満の、精製されたアリル基末端オキシプロピレン重合体を得た。
濾過に要した濾過時間は2.5時間、減圧脱気に要した脱気時間は5.5時間であった。
実施例1と同様にして、得られたアリル基末端オキシプロピレン重合体(精製品)の25℃における粘度、水分含有量、Naの含有量を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
[加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造]
実施例1と同様にして、精製工程で得られたアリル基末端オキシプロピレン重合体(精製品)のアリル基を、ジメトキシメチルシリル基に置換して加水分解性シリル基含有ポリエーテルを得た。
実施例1と同様に、得られた加水分解性シリル基含有ポリエーテルの数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)、25℃における粘度、残存する低沸点化合物の含有量を測定した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2015054917
表1の結果に示されるように、第2の粗液を希釈して固液分離を行った比較例1は、昇温時間はゼロであるが、希釈溶媒を除去するために脱気に長時間を要した。
これに対して、第2の粗液を昇温させて固液分離を行った実施例1〜3は、脱気時間も短くて済むため、昇温に必要な時間を加味しても固液分離工程における合計の操作時間を短縮することができた。
また、得られた精製品を用いて得られた加水分解性シリル基含有ポリエーテルにおいて、実施例1〜3は、低沸点化合物の含有量が、比較例1に比べて顕著に少なかった。

Claims (7)

  1. 末端不飽和基含有重合体と、不純物であるアルカリ金属ハロゲン化物を含有する第1の粗液に、水および界面活性剤を添加した後に脱水して、前記アルカリ金属ハロゲン化物の結晶を含む第2の粗液を得る晶析工程と、前記第2の粗液を固液分離して前記アルカリ金属ハロゲン化物の結晶を除去する固液分離工程を有し、
    前記固液分離工程において固液分離される前記第2の粗液の液温を100〜150℃とすることを特徴とする末端不飽和基含有重合体の精製方法。
  2. 前記末端不飽和基含有重合体が、末端不飽和基含有ポリエーテルである、請求項1記載の末端不飽和基含有重合体の精製方法。
  3. 前記固液分離工程において濾過法で固液分離を行う、請求項1または2に記載の末端不飽和基含有重合体の精製方法。
  4. 前記固液分離工程において、固液分離されるときの液温における第2の粗液の粘度が50〜1300mPa・sである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の末端不飽和基含有重合体の精製方法。
  5. 開始剤にモノエポキシドを開環付加重合させて、ポリエーテル(モノ)ポリオールを得る工程(a)と、
    前記ポリエーテル(モノ)ポリオールの末端水酸基をアルカリ金属またはアルカリ金属化合物と反応させた後に、不飽和基を有するハロゲン化合物と反応させて末端不飽和基含有ポリエーテルを生成し、該末端不飽和基含有ポリエーテルと、不純物であるアルカリ金属ハロゲン化物を含有する第1の粗液を得る工程(b)と、
    前記第1の粗液に、水および界面活性剤を添加した後に脱水して、前記アルカリ金属ハロゲン化物の結晶を含む第2の粗液を得る晶析工程(c)と、
    前記第2の粗液を固液分離して前記アルカリ金属ハロゲン化物の結晶を除去する固液分離工程(d)を有し、
    前記固液分離工程(d)において固液分離される前記第2の粗液の液温を100〜150℃とすることを特徴とする末端不飽和基含有ポリエーテルの製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法で末端不飽和基含有ポリエーテルを製造する工程と、
    前記末端不飽和基含有ポリエーテルの末端不飽和基に、加水分解性基を有するハイドロシラン化合物を反応させる工程を有することを特徴とする加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造方法。
  7. 得られる加水分解性シリル基含有ポリエーテルにおける、低沸点化合物の含有量が100ppm未満である、請求項6に記載の加水分解性シリル基含有ポリエーテルの製造方法。
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