JP2020140856A - 燃料電池セルスタック、燃料電池モジュール、発電システム及び燃料電池セルスタックを作製する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このうち、固体酸化物形燃料電池(SOFC)(Solid Oxide Fuel Cell)は、電解質としてジルコニアセラミックスなどのセラミックスが用いられ、都市ガス、天然ガス、石油、メタノール、石炭ガス化ガスなどを燃料として運転される燃料電池である。このようなSOFCは、イオン伝導率を高めるために作動温度が約700〜1000℃程度と高く、用途の広い高効率な高温型燃料電池として知られている。SOFCは、例えばガスタービンやマイクロガスタービン及びターボチャージャ等の回転機器と組み合わせ、運転圧力を高めることでより高効率の発電が可能となる。また、このような加圧発電システムにおいて、圧縮機から吐出される圧縮空気を酸化性ガスとしてSOFCの酸素側電極に供給すると共に、SOFCから排出される高温の排燃料ガスを、ガスタービンなどの回転機器入口の燃焼器に供給して燃焼させ、燃焼器で発生した高温の燃焼ガスで回転機器を回転させることで、動力の回収を図ることができる。
基体と、
該基体上に該基体側から順に積層された燃料側電極、固体電解質膜及び酸素側電極を夫々含む複数の燃料電池セルと、
前記複数の燃料電池セルのうち隣り合う前記燃料電池セルの前記燃料側電極と前記酸素側電極とを電気的に接続するインタコネクタ膜と、
隣り合う前記燃料電池セルの前記燃料側電極間の領域において、少なくとも前記インタコネクタ膜を覆う多孔質セラミック膜と、
を備える。
前記インタコネクタ膜は、前記燃料側電極間の領域で第1の燃料側電極から第2の燃料側電極に向かい、前記第2の燃料側電極の手前まで延在する。
上記(2)の構成によれば、インタコネクタ膜が、燃料側電極間領域に延在することで、燃料側電極間領域でインタコネクタ膜と多孔質セラミック膜の二層組織を形成できる。これによって、燃料側電極間領域で耐酸化性を向上できる。
前記インタコネクタ膜は、前記燃料側電極間の領域で第1の燃料側電極から第2の燃料側電極に向かい、前記第2の燃料側電極に達するまで延在する。
上記(3)の構成によれば、インタコネクタ膜は第1の燃料側電極から第2の燃料側電極に達するまで延在するため、燃料側電極間領域の全域を上記二層組織で覆うことができる。これによって、燃料側電極間領域で耐酸化性を向上できる。
前記第2の燃料側電極は、前記第1の燃料側電極に向かって厚さが漸減する傾斜部を有し、前記インタコネクタ膜は前記傾斜部の傾斜方向中間部まで延在する。
上記(4)の構成によれば、インタコネクタ膜が第2の燃料側電極の傾斜部の傾斜方向中間部まで延在することで、燃料側電極間領域で耐酸化性を向上できる。また、インタコネクタ膜は上記傾斜部の中間部を越えて延在しないので、第2の燃料側電極側で形成される発電面積を減少させない。従って、発電性能の低下をまねかない。
前記インタコネクタ膜は、前記傾斜部の傾斜方向30%以上70%以下の領域まで延在する。
上記(5)の構成によれば、インタコネクタ膜が第2の燃料側電極の傾斜部の傾斜方向30〜70%の領域まで延在するため、燃料側電極間領域の耐酸化性を向上できると共に、発電性能の低下をまねかない。
前記多孔質セラミック膜は、前記燃料側電極間の領域で第1の燃料側電極から第2の燃料側電極に向かい、前記第2の燃料側電極まで延在し、
前記第2の燃料側電極は、前記第1の燃料側電極に向かって厚さが漸減する傾斜部を有し、前記多孔質セラミック膜は前記傾斜部の少なくとも一部の領域まで延在する。
上記(6)の構成によれば、多孔質セラミック膜は、第1の燃料側電極から第2の燃料側電極の傾斜部の少なくとも一部の領域まで延在するので、燃料側電極間領域において発生する応力を緩和し、緻密膜の損傷を抑制することで、耐酸化性を向上できる。他方、多孔質セラミック膜は、第2の燃料側電極の傾斜部を越えて第2の燃料側電極側へ延在しないので、第2の燃料側電極側の発電性能を低下させない。
前記多孔質セラミック膜は前記傾斜部の傾斜方向1/2以下の領域まで延在する。
上記(7)の構成によれば、多孔質セラミック膜は、第1の燃料側電極から第2の燃料側電極の傾斜部の傾斜方向1/2以下の領域まで延在するので、燃料側電極間領域の耐酸化性を向上できると共に、上記傾斜部の傾斜方向1/2を越えて第2の燃料側電極側へ延在しないので、第2の燃料側電極の外側に設けられた酸素側電極の薄肉化をまねかず、そのため、酸素側電極の性能低下をまねかない。
前記固体電解質膜は、前記燃料側電極間の領域において、前記インタコネクタ膜より前記基体側に設けられると共に、第2の燃料側電極から第1の燃料側電極まで延在する。
上記(8)の構成によれば、固体電解質膜が燃料側電極間領域に延在するので、燃料側電極間領域で膜厚が厚い固体電解質膜を形成できる。これによって燃料側電極間領域の固体電解質膜の強度を高めることができ、耐酸化性を向上できる。
前記多孔質セラミック膜は気孔率が10%以上60%以下の材料で構成される。
上記(9)の構成によれば、多孔質セラミック膜は気孔率が10%以上の材料で構成されるため、燃料側電極間領域で発生する応力を緩和でき、60%以下とすることで酸素のガス拡散による透過量を低減できる。また、該多孔質セラミック膜は局所的な応力が発生しにくいので、たとえ固体電解質膜やインタコネクタ膜でクラックが発生しても、多孔質セラミック膜でクラックの伸展を食い止めることができる。
前記インタコネクタ膜は気孔率が0.1%以上5%以下の材料で構成される。
上記(10)の構成によれば、インタコネクタ膜は0.1%以上の気孔率を有しているため微小なクラックの伸展を低減でき、かつ5%以下の気孔率であるため膜を貫通する気孔はなく、燃料側電極間領域を含め、酸化性ガスの侵入を抑制でき、燃料電池セルの耐酸化性を向上できる。
前記固体電解質膜は、膜厚が5μm以上20μm以下ので構成される。
上記(11)の構成によれば、固体電解質膜は膜厚が20μm以下の薄い膜で構成されるため、従来より発電性能を向上できるとともに、5μm以上なので必要な膜強度を維持できる。
前記(1)〜(11)の何れかの構成を有する燃料電池セルスタックを複数集合させて構成される。
上記(12)の構成によれば、耐酸化性(ロバスト性)を向上させた燃料電池セルスタックを備えるため、耐久性を向上できる。これによって、補修頻度を低減でき、運転を長く継続できるので、発電効率を向上できる。
前記(12)の構成を有する燃料電池モジュールと、
前記燃料電池モジュールから排気される排燃料ガスと排酸化性ガスとを用いて回転動力を発生させる回転機器と、
を備え、
前記燃料電池モジュールには、前記回転動力を用いて圧縮された前記酸化性ガスが供給され、前記燃料電池モジュールは、前記燃料ガスと前記圧縮された酸化性ガスを用いて発電する。
上記(13)の構成によれば、本開示に係る上記目的を達成しつつ、燃料電池モジュールに圧縮された酸化性ガスを供給できるので、発電効率を向上できると共に、燃料電池モジュールから排気される排燃料ガスと排酸化性ガスとを用いて回転動力を発生させるため、発電効率を向上できると共に、発電システムの所要動力を低減できる。
前記回転機器は、ガスタービン又はターボチャージャで構成される。
上記(14)の構成によれば、発電効率の向上及び発電システムの所要動力低減に加えて、回転機器がガスタービンである場合、燃料電池モジュールとガスタービンとで複合発電が可能になる。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
(1)負荷が遮断されると発電に伴う発熱がなくなるため燃料電池セル14(固体電解質膜18付近)の温度が急激に低下して収縮し、これによって、領域R0に引張り応力が発生する。固体電解質膜18及びインタコネクタ膜22の膜厚が小さいと、これらの緻密膜にクラックが発生する。なお、基体12は熱容量が他の構成材料にくらべ圧倒的に熱容量が大きく基本的に温度変化しない。
↓
(2)クラックを通して酸素側電極20側から酸素が燃料側電極16側に侵入し、燃料側電極16が酸化され、体積が膨張する。
↓
(3)燃料側電極16の体積膨張によって燃料側電極16に接する固体電解質膜18にクラックが発生し、燃料ガスfのリークが発生する。
↓
(4)燃料電池セル14でリークした燃料ガスfが燃焼し、燃料電池セル14の性能が低下し、損傷が拡大する。
この実施形態によれば、インタコネクタ膜22が、領域R0に延在することで、領域R0でインタコネクタ膜22と多孔質セラミック膜24の二層組織を形成できる。これによって、領域R0で燃料側電極側への酸化性ガスaの侵入を抑制でき、耐酸化性を向上できる。
この実施形態によれば、領域R0の全域をインタコネクタ膜22及び多孔質セラミック膜24の二層組織で覆うことができるので、領域R0で燃料側電極16側への酸化性ガスaの侵入を抑制でき、耐酸化性を向上できる。
この実施形態によれば、インタコネクタ膜22が傾斜部32の傾斜方向中間部まで延在するため、領域R0における酸化性ガスaの侵入を抑制できると共に、傾斜部32の中間部を越えて延在しないので、燃料側電極16(16b)側で形成される発電面積を減少させない。そのため、発電性能が低下しない。
この実施形態によれば、インタコネクタ膜22が傾斜部32の傾斜方向30〜70%の領域まで延在するため、領域R0の耐酸化性を向上できると共に、燃料側電極16(16b)側の発電性能が低下しない。
この実施形態によれば、多孔質セラミック膜24は、領域R0において固体電解質膜18及びインタコネクタ膜22に発生する応力を緩和し、固体電解質膜18及びインタコネクタ膜22等の緻密膜の損傷を抑制するため、燃料電池セル14の耐酸化性を向上できる。他方、多孔質セラミック膜24は、傾斜部32を越えて燃料側電極16(16b)側へ延在しないので、燃料側電極16(16b)側で起こる発電反応による発電性能を低下させない。
この実施形態によれば、固体電解質膜18が領域R0に充填されるため、領域R0で膜厚が大きい固体電解質膜を形成できる。これによって、燃料側電極間領域の固体電解質膜18の強度を高めることができ、燃料電池セル14の耐酸化性を向上できる。
なお、別な実施形態では、燃料電池セルスタックは、平板形を有する基体に複数の燃料電池セル14を担持した平板形又は扁平円筒形のセルスタックであってもよい。
この実施形態によれば、燃料電池モジュール42内に耐酸化性(ロバスト性)を向上させた複数の燃料電池セルスタック10を備えるため、モジュール42の耐久性を向上でき、補修頻度を低減できる。これによって、運転を長く継続でき、発電効率を向上できる。
基体12はCSZ材料が選定され、押出成形用バインダ及び水とを適量混ぜ、混練機で混練した後、押出成形し、チューブ状にした。燃料側電極16及び燃料側電極反応層26についてはNiO材料とYSZ材料の混合材料を選定し、この混合材料に有機ビヒクルを加え、3本ロールで混練した後、スラリ状にした。燃料側電極16は前記スラリーを用いて基体12の表面にスクリーン印刷法で成膜した。固体電解質膜18についてはYSZ材料を選定し有機ビヒクルを加え、スラリ状にした。固体電解質膜18の厚みは40μmとした。インタコネクタ膜22についてはSrTiO3材料を選定し、これに有機ビヒクルを加え、スラリ状にした。基体12の表面に燃料側電極16、燃料側電極反応層26、固体電解質膜18、インタコネクタ膜22の順にスクリーン印刷法で成膜し、1400〜1450℃で焼結させた(焼結体)。成膜の構成は図1に示す通りである。
固体電解質膜18の厚みを20μmにした以外は実施例1と同様の工程で燃料電池セル14を作製した。
多孔質セラミック膜24を成膜しないこと以外は実施例1と同様の工程で燃料電池セル104を作製した。
12、102 基体
14、104 燃料電池セル
16(16a、16b)、106 燃料側電極
16(16a) 燃料側電極(第1の燃料側電極)
16(16b) 燃料側電極(第2の燃料側電極)
18、108 固体電解質膜
20、110 酸素側電極
22、112 インタコネクタ膜
24 多孔質セラミック膜
26 燃料側電極反応層
28 酸素側電極反応層
30 インタコネクタ膜中間層
32 傾斜部
40(40A、40B) 発電システム
44 ガスタービン
46、56 圧縮機
48、58 排気タービン
50 燃焼器
52 発電機
54 ターボチャージャ
R0 燃料側電極間領域
a 酸化性ガス
a’ 排酸化性ガス
f 燃料ガス
f’ 排燃料ガス
このうち、固体酸化物形燃料電池(SOFC)(Solid Oxide Fuel Cell)は、電解質としてジルコニアセラミックスなどのセラミックスが用いられ、都市ガス、天然ガス、石油、メタノール、石炭ガス化ガスなどを燃料として運転される燃料電池である。このようなSOFCは、イオン伝導率を高めるために作動温度が約700〜1000℃程度と高く、用途の広い高効率な高温型燃料電池として知られている。SOFCは、例えばガスタービンやマイクロガスタービン及びターボチャージャ等の回転機器と組み合わせ、運転圧力を高めることでより高効率の発電が可能となる。また、このような加圧発電システムにおいて、圧縮機から吐出される圧縮空気を酸化性ガスとしてSOFCの酸素側電極に供給すると共に、SOFCから排出される高温の排燃料ガスを、ガスタービンなどの回転機器入口の燃焼器に供給して燃焼させ、燃焼器で発生した高温の燃焼ガスで回転機器を回転させることで、動力の回収を図ることができる。
基体と、
該基体上に積層された燃料側電極、固体電解質膜及び酸素側電極を夫々含む複数の燃料電池セルと、
前記複数の燃料電池セルのうち隣り合う前記燃料電池セルの一方の前記燃料電池セルの前記燃料側電極と他方の前記燃料電池セルの前記酸素側電極とを電気的に接続するインタコネクタ膜と、
隣り合う前記燃料電池セルの一方の前記燃料電池セルの第1の燃料側電極と他方の前記燃料電池セルの第2の燃料側電極との間の領域において、少なくとも前記インタコネクタ膜を覆う多孔質セラミック膜と、
を備える。
前記インタコネクタ膜は、前記燃料側電極間の領域で前記第1の燃料側電極から前記第2の燃料側電極に向かい、前記第2の燃料側電極の手前まで延在する。
上記(2)の構成によれば、インタコネクタ膜が、燃料側電極間領域に延在することで、燃料側電極間領域でインタコネクタ膜と多孔質セラミック膜の二層組織を形成できる。これによって、燃料側電極間領域で耐酸化性を向上できる。
前記インタコネクタ膜は、前記燃料側電極間の領域で前記第1の燃料側電極から前記第2の燃料側電極に向かい、前記第2の燃料側電極に達するまで延在する。
上記(3)の構成によれば、インタコネクタ膜は第1の燃料側電極から第2の燃料側電極に達するまで延在するため、燃料側電極間領域の全域を上記二層組織で覆うことができる。これによって、燃料側電極間領域で耐酸化性を向上できる。
前記第2の燃料側電極は、前記第1の燃料側電極に向かって厚さが漸減する傾斜部を有し、前記インタコネクタ膜は前記傾斜部の傾斜領域中間部まで延在する。
上記(4)の構成によれば、インタコネクタ膜が第2の燃料側電極の傾斜部の傾斜領域中間部まで延在することで、燃料側電極間領域で耐酸化性を向上できる。また、インタコネクタ膜は上記傾斜部の中間部を越えて延在しないので、第2の燃料側電極側で形成される発電面積を減少させない。従って、発電性能の低下をまねかない。
前記インタコネクタ膜は、前記傾斜部の傾斜方向30%以上70%以下の領域まで延在する。
上記(5)の構成によれば、インタコネクタ膜が第2の燃料側電極の傾斜部の傾斜方向30〜70%の領域まで延在するため、燃料側電極間領域の耐酸化性を向上できると共に、発電性能の低下をまねかない。
前記多孔質セラミック膜は、前記燃料側電極間の領域で前記第1の燃料側電極から前記第2の燃料側電極に向かい、前記第2の燃料側電極まで延在し、
前記第2の燃料側電極は、前記第1の燃料側電極に向かって厚さが漸減する傾斜部を有し、前記多孔質セラミック膜は前記傾斜部の少なくとも一部の領域まで延在する。
上記(6)の構成によれば、多孔質セラミック膜は、第1の燃料側電極から第2の燃料側電極の傾斜部の少なくとも一部の領域まで延在するので、燃料側電極間領域において発生する応力を緩和し、緻密膜の損傷を抑制することで、耐酸化性を向上できる。他方、多孔質セラミック膜は、第2の燃料側電極の傾斜部を越えて第2の燃料側電極側へ延在しないので、第2の燃料側電極側の発電性能を低下させない。
前記多孔質セラミック膜は前記傾斜部の傾斜方向1/2以下の領域まで延在する。
上記(7)の構成によれば、多孔質セラミック膜は、第1の燃料側電極から第2の燃料側電極の傾斜部の傾斜方向1/2以下の領域まで延在するので、燃料側電極間領域の耐酸化性を向上できると共に、上記傾斜部の傾斜方向1/2を越えて第2の燃料側電極側へ延在しないので、第2の燃料側電極の外側に設けられた酸素側電極の薄肉化をまねかず、そのため、酸素側電極の性能低下をまねかない。
前記固体電解質膜は、前記燃料側電極間の領域において、前記インタコネクタ膜より前記基体側に設けられると共に、前記第2の燃料側電極から前記第1の燃料側電極まで延在する。
上記(8)の構成によれば、固体電解質膜が燃料側電極間領域に延在するので、燃料側電極間領域で膜厚が厚い固体電解質膜を形成できる。これによって燃料側電極間領域の固体電解質膜の強度を高めることができ、耐酸化性を向上できる。
前記多孔質セラミック膜は気孔率が10%以上60%以下の材料で構成される。
上記(9)の構成によれば、多孔質セラミック膜は気孔率が10%以上の材料で構成されるため、燃料側電極間領域で発生する応力を緩和でき、60%以下とすることで酸素のガス拡散による透過量を低減できる。また、該多孔質セラミック膜は局所的な応力が発生しにくいので、たとえ固体電解質膜やインタコネクタ膜でクラックが発生しても、多孔質セラミック膜でクラックの伸展を食い止めることができる。
前記インタコネクタ膜は気孔率が0.1%以上5%以下の材料で構成される。
上記(10)の構成によれば、インタコネクタ膜は0.1%以上の気孔率を有しているため微小なクラックの伸展を低減でき、かつ5%以下の気孔率であるため膜を貫通する気孔はなく、燃料側電極間領域を含め、酸化性ガスの侵入を抑制でき、燃料電池セルの耐酸化性を向上できる。
前記固体電解質膜は、膜厚が5μm以上20μm以下で構成される。
上記(11)の構成によれば、固体電解質膜は膜厚が20μm以下の薄い膜で構成されるため、従来より発電性能を向上できるとともに、5μm以上なので必要な膜強度を維持できる。
前記多孔質セラミック膜と前記インタコネクタ膜とは同じ材質である。
上記(12)の構成によれば、多孔質セラミック膜は固体電解質膜及びインタコネクタ膜の応力を緩和でき、酸素ガス透過性を低くでき、還元ガスの影響で膨張しないようにすることができる。
前記(1)〜(12)の何れかの構成を有する燃料電池セルスタックを複数集合させて構成される。
上記(13)の構成によれば、耐酸化性(ロバスト性)を向上させた燃料電池セルスタックを備えるため、耐久性を向上できる。これによって、補修頻度を低減でき、運転を長く継続できるので、発電効率を向上できる。
前記(13)の構成を有する燃料電池モジュールと、
前記燃料電池モジュールから排気される排燃料ガスと排酸化性ガスとを用いて回転動力を発生させる回転機器と、
を備え、
前記燃料電池モジュールには、前記回転動力を用いて圧縮された前記酸化性ガスが供給され、前記燃料電池モジュールは、前記燃料ガスと前記圧縮された酸化性ガスを用いて発電する。
上記(14)の構成によれば、本開示に係る上記目的を達成しつつ、燃料電池モジュールに圧縮された酸化性ガスを供給できるので、発電効率を向上できると共に、燃料電池モジュールから排気される排燃料ガスと排酸化性ガスとを用いて回転動力を発生させるため、発電効率を向上できると共に、発電システムの所要動力を低減できる。
前記回転機器は、ガスタービン又はターボチャージャで構成される。
上記(15)の構成によれば、発電効率の向上及び発電システムの所要動力低減に加えて、回転機器がガスタービンである場合、燃料電池モジュールとガスタービンとで複合発電が可能になる。
基板上に、燃料側電極と、燃料側電極反応層と、固体電解質膜と、インタコネクタ膜とを成膜し焼結させて焼結体を得るステップと、
前記焼結体上に、多孔質セラミック膜と、インタコネクタ中間層と、酸素側電極反応層と、酸素側電極とを成膜して焼成して焼成体を得るステップと、
前記焼成体に還元処理を施すステップと
を含む。
上記(16)の方法によれば、前記(1)〜(12)のいずれかの燃料電池セルスタックを作製することができる。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
(1)負荷が遮断されると発電に伴う発熱がなくなるため燃料電池セル14(固体電解質膜18付近)の温度が急激に低下して収縮し、これによって、領域R0に引張り応力が発生する。固体電解質膜18及びインタコネクタ膜22の膜厚が小さいと、これらの緻密膜にクラックが発生する。なお、基体12は熱容量が他の構成材料にくらべ圧倒的に熱容量が大きく基本的に温度変化しない。
↓
(2)クラックを通して酸素側電極20側から酸素が燃料側電極16側に侵入し、燃料側電極16が酸化され、体積が膨張する。
↓
(3)燃料側電極16の体積膨張によって燃料側電極16に接する固体電解質膜18にクラックが発生し、燃料ガスfのリークが発生する。
↓
(4)燃料電池セル14でリークした燃料ガスfが燃焼し、燃料電池セル14の性能が低下し、損傷が拡大する。
この実施形態によれば、インタコネクタ膜22が、領域R0に延在することで、領域R0でインタコネクタ膜22と多孔質セラミック膜24の二層組織を形成できる。これによって、領域R0で燃料側電極側への酸化性ガスaの侵入を抑制でき、耐酸化性を向上できる。
この実施形態によれば、領域R0の全域をインタコネクタ膜22及び多孔質セラミック膜24の二層組織で覆うことができるので、領域R0で燃料側電極16側への酸化性ガスaの侵入を抑制でき、耐酸化性を向上できる。
この実施形態によれば、インタコネクタ膜22が傾斜部32の傾斜領域中間部まで延在するため、領域R0における酸化性ガスaの侵入を抑制できると共に、傾斜部32の中間部を越えて延在しないので、燃料側電極16(16b)側で形成される発電面積を減少させない。そのため、発電性能が低下しない。
この実施形態によれば、インタコネクタ膜22が傾斜部32の傾斜方向30〜70%の領域まで延在するため、領域R0の耐酸化性を向上できると共に、燃料側電極16(16b)側の発電性能が低下しない。
この実施形態によれば、多孔質セラミック膜24は、領域R0において固体電解質膜18及びインタコネクタ膜22に発生する応力を緩和し、固体電解質膜18及びインタコネクタ膜22等の緻密膜の損傷を抑制するため、燃料電池セル14の耐酸化性を向上できる。他方、多孔質セラミック膜24は、傾斜部32を越えて燃料側電極16(16b)側へ延在しないので、燃料側電極16(16b)側で起こる発電反応による発電性能を低下させない。
この実施形態によれば、固体電解質膜18が領域R0に充填されるため、領域R0で膜厚が大きい固体電解質膜を形成できる。これによって、燃料側電極間領域の固体電解質膜18の強度を高めることができ、燃料電池セル14の耐酸化性を向上できる。
なお、別な実施形態では、燃料電池セルスタックは、平板形を有する基体に複数の燃料電池セル14を担持した平板形又は扁平円筒形のセルスタックであってもよい。
この実施形態によれば、燃料電池モジュール42内に耐酸化性(ロバスト性)を向上させた複数の燃料電池セルスタック10を備えるため、モジュール42の耐久性を向上でき、補修頻度を低減できる。これによって、運転を長く継続でき、発電効率を向上できる。
基体12はCSZ材料が選定され、押出成形用バインダ及び水とを適量混ぜ、混練機で混練した後、押出成形し、チューブ状にした。燃料側電極16及び燃料側電極反応層26についてはNiO材料とYSZ材料の混合材料を選定し、この混合材料に有機ビヒクルを加え、3本ロールで混練した後、スラリ状にした。燃料側電極16は前記スラリーを用いて基体12の表面にスクリーン印刷法で成膜した。固体電解質膜18についてはYSZ材料を選定し有機ビヒクルを加え、スラリ状にした。固体電解質膜18の厚みは40μmとした。インタコネクタ膜22についてはSrTiO3材料を選定し、これに有機ビヒクルを加え、スラリ状にした。基体12の表面に燃料側電極16、燃料側電極反応層26、固体電解質膜18、インタコネクタ膜22の順にスクリーン印刷法で成膜し、1400〜1450℃で焼結させた(焼結体)。成膜の構成は図1に示す通りである。
固体電解質膜18の厚みを20μmにした以外は実施例1と同様の工程で燃料電池セル14を作製した。
多孔質セラミック膜24を成膜しないこと以外は実施例1と同様の工程で燃料電池セル104を作製した。
12、102 基体
14、104 燃料電池セル
16(16a、16b)、106 燃料側電極
16(16a) 燃料側電極(第1の燃料側電極)
16(16b) 燃料側電極(第2の燃料側電極)
18、108 固体電解質膜
20、110 酸素側電極
22、112 インタコネクタ膜
24 多孔質セラミック膜
26 燃料側電極反応層
28 酸素側電極反応層
30 インタコネクタ膜中間層
32 傾斜部
40(40A、40B) 発電システム
44 ガスタービン
46、56 圧縮機
48、58 排気タービン
50 燃焼器
52 発電機
54 ターボチャージャ
R0 燃料側電極間領域
a 酸化性ガス
a’ 排酸化性ガス
f 燃料ガス
f’ 排燃料ガス
Claims (14)
- 基体と、
該基体上に該基体側から順に積層された燃料側電極、固体電解質膜及び酸素側電極を夫々含む複数の燃料電池セルと、
前記複数の燃料電池セルのうち隣り合う前記燃料電池セルの前記燃料側電極と前記酸素側電極とを電気的に接続するインタコネクタ膜と、
隣り合う前記燃料電池セルの前記燃料側電極間の領域において、少なくとも前記インタコネクタ膜を覆う多孔質セラミック膜と、
を備えることを特徴とする燃料電池セルスタック。 - 前記インタコネクタ膜は、前記燃料側電極間の領域で第1の燃料側電極から第2の燃料側電極に向かい、前記第2の燃料側電極の手前まで延在することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セルスタック。
- 前記インタコネクタ膜は、前記燃料側電極間の領域で第1の燃料側電極から第2の燃料側電極に向かい、前記第2の燃料側電極に達するまで延在することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池セルスタック。
- 前記第2の燃料側電極は、前記第1の燃料側電極に向かって厚さが漸減する傾斜部を有し、前記インタコネクタ膜は前記傾斜部の傾斜方向中間部まで延在することを特徴とする請求項3に記載の燃料電池セルスタック。
- 前記インタコネクタ膜は、前記傾斜部の傾斜方向30%以上70%以下の領域まで延在することを特徴とする請求項4に記載の燃料電池セルスタック。
- 前記多孔質セラミック膜は、前記燃料側電極間の領域で第1の燃料側電極から第2の燃料側電極に向かい、前記第2の燃料側電極まで延在し、
前記第2の燃料側電極は、前記第1の燃料側電極に向かって厚さが漸減する傾斜部を有し、前記多孔質セラミック膜は前記傾斜部の少なくとも一部の領域まで延在することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の燃料電池セルスタック。 - 前記多孔質セラミック膜は前記傾斜部の傾斜方向1/2以下の領域まで延在することを特徴とする請求項6に記載の燃料電池セルスタック。
- 前記固体電解質膜は、前記燃料側電極間の領域において、前記インタコネクタ膜より前記基体側に設けられると共に、第2の燃料側電極から第1の燃料側電極まで延在することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の燃料電池セルスタック。
- 前記多孔質セラミック膜は気孔率が10%以上60%以下の材料で構成されることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の燃料電池セルスタック。
- 前記インタコネクタ膜は気孔率が0.1%以上5%以下の材料で構成されることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の燃料電池セルスタック。
- 前記固体電解質膜は、膜厚が5μm以上20μm以下の膜で構成されることを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の燃料電池セルスタック。
- 請求項1乃至11の何れか一項に記載の燃料電池セルスタックを複数集合させて構成されたことを特徴とする燃料電池モジュール。
- 請求項12に記載の燃料電池モジュールと、
前記燃料電池モジュールから排気される排燃料ガスと排酸化性ガスとを用いて回転動力を発生させる回転機器と、
を備え、
前記燃料電池モジュールには、前記回転動力を用いて圧縮された前記酸化性ガスが供給され、前記燃料電池モジュールは、前記燃料ガスと前記圧縮された酸化性ガスを用いて発電することを特徴とする発電システム。 - 前記回転機器は、ガスタービン又はターボチャージャで構成されることを特徴とする請求項13に記載の発電システム。
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