JP7202060B2 - 電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、および固体酸化物形燃料電池 - Google Patents
電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、および固体酸化物形燃料電池 Download PDFInfo
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Description
上記目的を達成するための電気化学素子の特徴構成は、
電解質層と、電極層と、前記電解質層と前記電極層との間に配置された一層の反応防止層と、前記電解質層の前記反応防止層と前記電極層が配置されている側と反対の側に、前記電極層の対極となる対極電極層とを有し、金属支持体に支持された電気化学素子(ただし、前記電解質層と前記反応防止層との間に密着層を有するものを除く。)であって、
前記反応防止層は、その内部に複数の細孔空間を有し、GDC(ガドリニウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)のいずれかからなり、前記電解質層の上に配置されており、
前記反応防止層の断面において、前記反応防止層の厚さ方向に仮想直線を設定した場合、前記細孔空間の外周面との交点が1μmあたり平均3.3個以上となる仮想直線が存在する点にある。
上記目的を達成するための電気化学素子の特徴構成は、
電解質層と、電極層と、前記電解質層と前記電極層との間に配置された一層の反応防止層と、前記電解質層の前記反応防止層と前記電極層が配置されている側と反対の側に、前記電極層の対極となる対極電極層とを有し、金属支持体に支持された電気化学素子(ただし、前記電解質層と前記反応防止層との間に密着層を有するものを除く。)であって、
前記反応防止層は、その内部に複数の細孔空間を有し、GDC(ガドリニウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)のいずれかからなり、前記電解質層の上に配置されており、
前記反応防止層の断面において、前記反応防止層の厚さ方向に長さ3μmの仮想線分を設定した場合、前記細孔空間の外周面との交点が10個以上となる仮想線分が存在する点にある。
上記の特徴構成によれば、電極層と対極電極層を有する電気化学素子を形成できるから、燃料電池などに適用しやすくなる。
上記の特徴構成によれば、安価で堅牢な金属支持体により電気化学素子を支持することができるため、高価なセラミック材料の使用量を低減できると共に、強度が高く信頼性・耐久性に優れた電気化学素子を得ることができる。さらに加工性にも優れるため、製造コストの低減も可能となる。
前記反応防止層の気孔率が5%以上50%以下であると、反応防止層が十分に応力を吸収緩和でき好ましい。また、前記反応防止層の気孔率が10%以上であると、応力の緩和効果をより高めることができるのでより好ましく、20%以上であるとさらに応力緩和効果を高めることができ好ましい。
前記反応防止層の断面に現われる前記細孔空間の数が、1μm2あたり5個以上20個以下であると、反応防止層が十分に応力を吸収緩和でき好ましい。また、前記細孔空間の数が、1μm2あたり8個以上であると、応力の緩和効果をより高めることができるのでより好ましく、10個以上であるとさらに応力の緩和効果をより高めることができ好ましい。
前記反応防止層が、Sm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有し、これら元素の含有率の合計が5mol%以上25mol%以下であると、高いイオン導電率が得られる。また、前記反応防止層に含有されるSm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素の含有率の合計が10mol%以上20mol%以下であるとさらに高いイオン伝導率が得られるため、より好ましい。
前記反応防止層の厚さが1μmより大きく100μm以下であると、反応防止層が十分に応力を吸収緩和でき好ましい。また、前記反応防止層の厚さが2μmより大きいと反応防止層がより応力を吸収緩和できるため好ましく、厚さが3μmより大きいと、さらに応力を吸収緩和できるため好ましい。また、前記反応防止層の厚さが50μm以下であると、高価な反応防止層の材料コストを抑制できるため好ましく、25μm以下であるとさらにその材料コストを抑制できるため好ましい。
本発明に係る電気化学素子の別の特徴構成は、前記電極層が、La、Sr、Sm、Mn、CoおよびFeからなる群から選ばれる2種類以上の元素を含有するペロブスカイト型酸化物である点にある。
本発明に係る電気化学素子の別の特徴構成は、前記電解質層がジルコニア系セラミックスを含有する点にある。
本発明に係る電気化学モジュールの特徴構成は、上述の電気化学素子が複数集合した状態で配置される点にある。
本発明に係る電気化学装置の特徴構成は、上述の電気化学モジュールと改質器とを少なくとも有し、前記電気化学モジュールに対して還元性成分を含有する燃料ガスを供給する燃料供給部を有する点にある。
本発明に係る電気化学装置の別の特徴構成は、前記電気化学モジュールから電力を取り出すインバータとを有する点にある。
本発明に係るエネルギーシステムの特徴構成は、上述の電気化学装置と、前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部を有する点にある。
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の特徴構成は、前記対極電極層が燃料極もしくは空気極となり、前記電極層が空気極もしくは燃料極となる点にある。
以下、図1を参照しながら、本実施形態に係る電気化学素子Eおよび固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)について説明する。電気化学素子Eは、例えば、水素を含む燃料ガスと空気の供給を受けて発電する固体酸化物形燃料電池の構成要素として用いられる。なお以下、層の位置関係などを表す際、例えば電解質層4から見て第2電極層6の側を「上」または「上側」、第1電極層2の側を「下」または「下側」という場合がある。また、金属基板1における第1電極層2が形成されている側の面を「表側」、反対側の面を「裏側」という場合がある。
電気化学素子Eは、図1に示される通り、金属基板1(金属支持体)と、金属基板1の上に形成された第1電極層2(対極電極層)と、第1電極層2の上に形成された中間層3と、中間層3の上に形成された電解質層4とを有する。そして電気化学素子Eは、更に、電解質層4の上に形成された反応防止層5と、反応防止層5の上に形成された第2電極層6(電極層)とを有する。つまり第2電極層6は電解質層4の上に形成され、反応防止層5は電解質層4と第2電極層6との間に形成されている。本実施形態に係る電気化学素子Eは、電解質層4と、電解質層4と第2電極層との間に配置された反応防止層5とを有する。第1電極層2は多孔質であり、電解質層4は緻密である。
金属基板1は、第1電極層2、中間層3および電解質層4等を支持して電気化学素子Eの強度を保つ、支持体としての役割を担う。金属基板1の材料としては、電子伝導性、耐熱性、耐酸化性および耐腐食性に優れた材料が用いられる。例えば、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、ニッケル基合金などが用いられる。特に、クロムを含む合金が好適に用いられる。なお本実施形態では、金属支持体として板状の金属基板1が用いられるが、金属支持体としては他の形状、例えば箱状、円筒状などの形状も可能である。
なお、金属基板1は、支持体として電気化学素子を形成するのに充分な強度を有すれば良く、例えば、0.1mm~2mm程度、好ましくは0.1mm~1mm程度、より好ましくは0.1mm~0.5mm程度の厚みのものを用いることができる。
また、最大厚さが約1.1μm以下であることが好ましい。
金属酸化物層1bは種々の手法により形成されうるが、金属基板1の表面を酸化させて金属酸化物とする手法が好適に利用される。また、金属基板1の表面に、金属酸化物層1bをスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、スパッタリング法やPLD法等のPVD法、CVD法などにより形成しても良いし、メッキと酸化処理によって形成しても良い。更に、金属酸化物層1bは導電性の高いスピネル相などを含んでも良い。
第1電極層2は、図1に示すように、金属基板1の表側の面であって貫通孔1aが設けられた領域より大きな領域に、薄層の状態で設けることができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは、5μm~50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。貫通孔1aが設けられた領域の全体が、第1電極層2に覆われている。つまり、貫通孔1aは金属基板1における第1電極層2が形成された領域の内側に形成されている。換言すれば、全ての貫通孔1aが第1電極層2に面して設けられている。
すなわち第1電極層2は、多孔質な層として形成される。第1電極層2は、例えば、その緻密度が30%以上80%未満となるように形成される。細孔のサイズは、電気化学反応を行う際に円滑な反応が進行するのに適したサイズを適宜選ぶことができる。なお緻密度とは、層を構成する材料の空間に占める割合であって、(1-空孔率)と表すことができ、また、相対密度と同等である。
中間層3は、図1に示すように、第1電極層2を覆った状態で、第1電極層2の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは2μm~50μm程度、より好ましくは4μm~25μm程度とすることができる。このような厚さにすると、高価な中間層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な性能を確保することが可能となる。中間層3の材料としては、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)やGDC(ガドリニウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)等を用いることができる。特にセリア系のセラミックスが好適に用いられる。
また、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
電解質層4は、図1に示すように、第1電極層2および中間層3を覆った状態で、中間層3の上に薄層の状態で形成される。また、厚さが10μm以下の薄膜の状態で形成することもできる。詳しくは電解質層4は、図1に示すように、中間層3の上と金属基板1の上とにわたって(跨って)設けられる。このように構成し、電解質層4を金属基板1に接合することで、電気化学素子全体として堅牢性に優れたものとすることができる。
反応防止層5は、電解質層4の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、1μmより大きく100μm以下であると、反応防止層が十分に応力を吸収緩和でき好ましい。また、前記反応防止層の厚さが2μmより大きいと反応防止層がより応力を吸収緩和できるため好ましく、厚さが3μmより大きいと、さらに応力を吸収緩和できるため好ましい。また、前記反応防止層の厚さが50μm以下であると、高価な反応防止層の材料コストを抑制できるため好ましく、25μm以下であるとさらにその材料コストを抑制できるため好ましい。
そして反応防止層5は、断面に現われる細孔空間の数が、1μm2あたり5個以上20個以下であるように形成されている。また、前記細孔空間の数が、1μm2あたり8個以上であると、応力の緩和効果をより高めることができるのでより好ましく、10個以上であるとさらに好ましい。
第2電極層6は、反応防止層5の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは、5μm~50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な第2電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。第2電極層6の材料としては、例えば、LSCF、LSM等の複合酸化物、セリア系酸化物およびこれらの混合物を用いることができる。特に第2電極層6が、La、Sr、Sm、Mn、CoおよびFeからなる群から選ばれる2種類以上の元素を含有するペロブスカイト型酸化物を含むことが好ましい。以上の材料を用いて構成される第2電極層6は、カソードとして機能する。
以上のように電気化学素子Eを構成することで、電気化学素子Eを固体酸化物形燃料電池の発電セルとして用いることができる。例えば、金属基板1の裏側の面から貫通孔1aを通じて水素を含む燃料ガスを第1電極層2へ供給し、第1電極層2の対極となる第2電極層6へ空気を供給し、例えば、500℃以上900℃以下の温度で作動させる。そうすると、第2電極層6において空気に含まれる酸素O2が電子e-と反応して酸素イオンO2-が生成される。その酸素イオンO2-が電解質層4を通って第1電極層2へ移動する。第1電極層2においては、供給された燃料ガスに含まれる水素H2が酸素イオンO2-と反応し、水H2Oと電子e-が生成される。以上の反応により、第1電極層2と第2電極層6との間に起電力が発生する。この場合、第1電極層2はSOFCの燃料極(アノード)として機能し、第2電極層6は空気極(カソード)として機能する。
次に、本実施形態に係る電気化学素子Eの製造方法について説明する。
第1電極層形成ステップでは、金属基板1の表側の面の貫通孔1aが設けられた領域より広い領域に第1電極層2が薄膜の状態で形成される。金属基板1の貫通孔はレーザー加工等によって設けることができる。第1電極層2の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属基板1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
まず、第1電極層2の材料粉末と溶媒(分散媒)とを混合して材料ペーストを作成し、金属基板1の表側の面に塗布する。そして第1電極層2を圧縮成形し(電極層平滑化工程)、1100℃以下で焼成する(電極層焼成工程)。第1電極層2の圧縮成形は、例えば、CIP(Cold Isostatic Pressing 、冷間静水圧加圧)成形、ロール加圧成形、RIP(Rubber Isostatic Pressing)成形などにより行うことができる。また、電極層の焼成は、800℃以上1100℃以下の温度で行うと好適である。また、電極層平滑化工程と電極層焼成工程の順序を入れ替えることもできる。
なお、中間層を有する電気化学素子を形成する場合では、電極層平滑化工程や電極層焼成工程を省いたり、電極層平滑化工程や電極層焼成工程を後述する中間層平滑化工程や中間層焼成工程に含めることもできる。
なお、電極層平滑化工程は、ラップ成形やレベリング処理、表面の切削・研磨処理などを施すことでもできる。
上述した第1電極層形成ステップにおける焼成工程時に、金属基板1の表面に金属酸化物層1b(拡散抑制層)が形成される。なお、上記焼成工程に、焼成雰囲気を酸素分圧が低い雰囲気条件とする焼成工程が含まれていると元素の相互拡散抑制効果が高く、抵抗値の低い良質な金属酸化物層1b(拡散抑制層)が形成されるので好ましい。第1電極層形成ステップを、焼成を行わないコーティング方法とする場合を含め、別途の拡散抑制層形成ステップを含めても良い。いずれにおいても、金属基板1の損傷を抑制可能な1100℃以下の処理温度で実施することが望ましい。また、後述する中間層形成ステップにおける焼成工程時に、金属基板1の表面に金属酸化物層1b(拡散抑制層)が形成されても良い。
中間層形成ステップでは、第1電極層2を覆う形態で、第1電極層2の上に中間層3が薄層の状態で形成される。中間層3の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属基板1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
まず、中間層3の材料粉末と溶媒(分散媒)とを混合して材料ペーストを作成し、金属基板1の表側の面に塗布する。そして中間層3を圧縮成形し(中間層平滑化工程)、1100℃以下で焼成する(中間層焼成工程)。中間層3の圧延は、例えば、CIP(Cold Isostatic Pressing 、冷間静水圧加圧)成形、ロール加圧成形、RIP(Rubber Isostatic Pressing)成形などにより行うことができる。また、中間層の焼成は、800℃以上1100℃以下の温度で行うと好適である。このような温度であると、金属基板1の損傷・劣化を抑制しつつ、強度の高い中間層3を形成できるためである。また、中間層3の焼成を1050℃以下で行うとより好ましく、1000℃以下で行うと更に好ましい。これは、中間層3の焼成温度を低下させる程に、金属基板1の損傷・劣化をより抑制しつつ、電気化学素子Eを形成できるからである。また、中間層平滑化工程と中間層焼成工程の順序を入れ替えることもできる。
なお、中間層平滑化工程は、ラップ成形やレベリング処理、表面の切削・研磨処理などを施すことでもできる。
電解質層形成ステップでは、第1電極層2および中間層3を覆った状態で、電解質層4が中間層3の上に薄層の状態で形成される。また、厚さが10μm以下の薄膜の状態で形成されても良い。電解質層4の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属基板1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
反応防止層形成ステップでは、反応防止層5が電解質層4の上に薄層の状態で形成される。反応防止層5の形成は、上述したように、低温焼成法、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属基板1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが好ましく、1050℃以下の温度で行うと更に好ましい。なお反応防止層5の上側の面を平坦にするために、例えば反応防止層5の形成後にレベリング処理や表面を切削・研磨処理を施したり、湿式形成後焼成前に、プレス加工を施してもよい。
第2電極層形成ステップでは、第2電極層6が反応防止層5の上に薄層の状態で形成される。第2電極層6の形成は、上述したように、低温焼成法、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属基板1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
厚さ0.3mm、crofer22APUの金属板に対して、中心の領域にレーザー加工により貫通孔1aを複数設けて、金属基板1を作製した。
実施例1の電解質層形成ステップの8YSZ(イットリア安定化ジルコニア)成分の供給速度を0.53g/分に変更した以外は同様の方法で、反応防止層形成ステップまでを実施し、電気化学素子Eを得た。得られたサンプルの第1電極層2の厚さは約10μmであり、中間層3の厚さは約10μmであり、電解質層4の厚さは約1μmであった。
反応防止層形成ステップにおける焼成処理を1300℃で1時間に変更したこと以外は、全て実施例2と同様にして、電気化学素子Eを得た。得られたサンプルの第1電極層2の厚さは約10μmであり、中間層3の厚さは約10μmであり、電解質層4の厚さは約5μmであった。
図2・図3を用いて、本実施形態に係る電気化学素子E、電気化学モジュールM、電気化学装置YおよびエネルギーシステムZについて説明する。
エネルギーシステムZは、電気化学装置Yと、電気化学装置Yから排出される熱を再利用する排熱利用部としての熱交換器53とを有する。
電気化学装置Yは、電気化学モジュールMと、脱硫器31と改質器34とを有し電気化学モジュールMに対して還元性成分を含有する燃料ガスを供給する燃料供給部と、電気化学モジュールMから電力を取り出すインバータ38とを有する。
複数の電気化学素子Eは互いに電気的に接続された状態で並列して配置され、電気化学素子Eの一方の端部(下端部)がガスマニホールド17に固定されている。電気化学素子Eは、ガスマニホールド17を通じて供給される改質ガスと、ブロア35から供給された空気とを電気化学反応させて発電する。
図4に、電気化学モジュールMの他の実施形態を示す。本実施形態に係る電気化学モジュールMは、上述の電気化学素子Eを、セル間接続部材71を間に挟んで積層し集合させることで、電気化学モジュールMを構成する。
(1)上記の実施形態では、電気化学素子Eを固体酸化物形燃料電池に用いたが、電気化学素子Eは、固体酸化物形電解セルや、固体酸化物を利用した酸素センサ等に利用することもできる。
1a :貫通孔
2 :第1電極層(対極電極層)
3 :中間層
4 :電解質層
4a :電解質層上側面
5 :反応防止層
6 :第2電極層(電極層)
B :電極層付基板
E :電気化学素子
M :電気化学モジュール
Y :電気化学装置
S :仮想線分
Z :エネルギーシステム
Claims (13)
- 電解質層と、電極層と、前記電解質層と前記電極層との間に配置された一層の反応防止層と、前記電解質層の前記反応防止層と前記電極層が配置されている側と反対の側に、前記電極層の対極となる対極電極層とを有し、金属支持体に支持された電気化学素子(ただし、前記電解質層と前記反応防止層との間に密着層を有するものを除く。)であって、
前記反応防止層は、その内部に複数の細孔空間を有し、GDC(ガドリニウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)のいずれかからなり、前記電解質層の上に配置されており、
前記反応防止層の断面において、前記反応防止層の厚さ方向に仮想直線を設定した場合、前記細孔空間の外周面との交点が1μmあたり平均3.3個以上となる仮想直線が存在する、電気化学素子。 - 電解質層と、電極層と、前記電解質層と前記電極層との間に配置された一層の反応防止層と、前記電解質層の前記反応防止層と前記電極層が配置されている側と反対の側に、前記電極層の対極となる対極電極層とを有し、金属支持体に支持された電気化学素子(ただし、前記電解質層と前記反応防止層との間に密着層を有するものを除く。)であって、
前記反応防止層は、その内部に複数の細孔空間を有し、GDC(ガドリニウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)のいずれかからなり、前記電解質層の上に配置されており、
前記反応防止層の断面において、前記反応防止層の厚さ方向に長さ3μmの仮想線分を設定した場合、前記細孔空間の外周面との交点が10個以上となる仮想線分が存在する、電気化学素子。 - 前記反応防止層の気孔率が5%以上50%以下である請求項1または2に記載の電気化学素子。
- 前記反応防止層の断面に現われる前記細孔空間の数が、1μm2あたり5個以上20個以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の電気化学素子。
- 前記反応防止層が、Sm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有し、これら元素の含有率の合計が5mol%以上25mol%以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の電気化学素子。
- 前記反応防止層の厚さが1μmより大きく100μm以下である請求項1から5のいずれか1項に記載の電気化学素子。
- 前記電極層が、La、Sr、Sm、Mn、CoおよびFeからなる群から選ばれる2種類以上の元素を含有するペロブスカイト型酸化物である請求項1から6のいずれか1項に記載の電気化学素子。
- 前記電解質層がジルコニア系セラミックスを含有する請求項1から7のいずれか1項に記載の電気化学素子。
- 請求項1から8のいずれか1項に記載の電気化学素子が複数集合した状態で配置される電気化学モジュール。
- 請求項9に記載の電気化学モジュールと改質器とを少なくとも有し、前記電気化学モジュールに対して還元性成分を含有する燃料ガスを供給する燃料供給部を有する電気化学装置。
- 請求項9に記載の電気化学モジュールと、前記電気化学モジュールから電力を取り出すインバータとを有する電気化学装置。
- 請求項10または11に記載の電気化学装置と、前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部を有するエネルギーシステム。
- 請求項1から8のいずれか1項に記載の電気化学素子を有し、前記対極電極層が燃料極もしくは空気極となり、前記電極層が空気極もしくは燃料極となる固体酸化物形燃料電池。
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