JP2018174116A - 電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、および電気化学素子の製造方法 - Google Patents

電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、および電気化学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】層間の剥離に対する強度を確保しつつ、量産時のコストを改善した、信頼性・耐久性に優れた高性能な電気化学素子等を提供する。【解決手段】電気化学素子は、電解質層4と、電極層と、電解質層4と電極層との間に配置された反応防止層5とを有する。反応防止層5は、その内部に複数の細孔空間を有し、反応防止層5の断面において、反応防止層5の厚さ方向に長さ3μmの仮想線分Sを設定した場合、細孔空間の外周面との交点が10個以上となる仮想線分Sが存在する。【選択図】図5

Description

本発明は、電気化学素子と、その電気化学素子を備えた固体酸化物形燃料電池に関する。
固体酸化物型燃料電池は高温で作動するため、ヒートサイクル時に層間の熱膨張係数の差に起因して生じる応力によって層間の剥離が生じるという問題が知られている。そこで従来技術では剥離に対する強度を向上させるため、反応防止層に密着層を挿入した2層構造とすることで剥離に対する強度が向上することが開示されている(特許文献1)。
特開2010−3478号公報
しかし従来技術ではそれでも剥離に対する強度が不十分であることや、2層構造とすることで、原料費や製造プロセスが増えコスト増大につながるという課題がある。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、層間の剥離に対する強度を確保しつつ、量産時のコストを改善した、信頼性・耐久性に優れた高性能な電気化学素子等を提供することにある。
〔構成1〕
上記目的を達成するための電気化学素子の特徴構成は、
電解質層と、電極層と、前記電解質層と前記電極層との間に配置された反応防止層とを有する電気化学素子であって、
前記反応防止層は、その内部に複数の細孔空間を有し、
前記反応防止層の断面において、前記反応防止層の厚さ方向に仮想直線を設定した場合、前記細孔空間の外周面との交点が1μmあたり平均3.3個以上となる仮想直線が存在する点にある。
〔構成2〕
上記目的を達成するための電気化学素子の特徴構成は、
電解質層と、電極層と、前記電解質層と前記電極層との間に配置された反応防止層とを有する電気化学素子であって、
前記反応防止層は、その内部に複数の細孔空間を有し、
前記反応防止層の断面において、前記反応防止層の厚さ方向に長さ3μmの仮想線分を設定した場合、前記細孔空間の外周面との交点が10個以上となる仮想線分が存在する点にある。
上記の特徴構成のように、反応防止層を多孔質かつ微細な構造とすることで、燃料電池セルのヒートサイクルや発電時に起こるセルの膨張収縮に起因する応力を反応防止層で吸収緩和することができ、反応防止層・電解質間あるいは反応防止層・空気極間の剥離が抑制できる。また、1層構造とすることでコストの低減にもつながる。
〔構成3〕
前記反応防止層の気孔率が5%以上50%以下であると、反応防止層が十分に応力を吸収緩和でき好ましい。また、前記反応防止層の気孔率が10%以上であると、応力の緩和効果をより高めることができるのでより好ましく、20%以上であるとさらに応力緩和効果を高めることができ好ましい。
〔構成4〕
前記反応防止層の断面に現われる前記細孔空間の数が、1μm2あたり5個以上20個以下であると、反応防止層が十分に応力を吸収緩和でき好ましい。また、前記細孔空間の数が、1μm2あたり8個以上であると、応力の緩和効果をより高めることができるのでより好ましく、10個以上であるとさらに応力の緩和効果をより高めることができ好ましい。
〔構成5〕
前記反応防止層がCeを含有する材料を含んでいると、イオン導電率が高く、反応防止層の抵抗値増加を抑制できるため、高性能な電気化学素子を実現することができ好ましい。
〔構成6〕
前記反応防止層が、Sm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有すると、反応防止層を構成する材料内に酸素欠陥が導入され、反応防止層が高いイオン導電率を有するものとすることができ、高性能な電気化学素子を実現することができるので好ましい。
〔構成7〕
前記反応防止層が、Sm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有し、これら元素の含有率の合計が5mol%以上25mol%以下であると、高いイオン導電率が得られる。また、前記反応防止層に含有されるSm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素の含有率の合計が10mol%以上20mol%以下であるとさらに高いイオン伝導率が得られるため、より好ましい。
〔構成8〕
前記反応防止層の厚さが1μmより大きく100μm以下であると、反応防止層が十分に応力を吸収緩和でき好ましい。また、前記反応防止層の厚さが2μmより大きいと反応防止層がより応力を吸収緩和できるため好ましく、厚さが3μmより大きいと、さらに応力を吸収緩和できるため好ましい。また、前記反応防止層の厚さが50μm以下であると、高価な反応防止層の材料コストを抑制できるため好ましく、25μm以下であるとさらにその材料コストを抑制できるため好ましい。
〔構成9〕
本発明に係る電気化学素子の別の特徴構成は、前記電極層が、La、Sr、Sm、Mn、CoおよびFeからなる群から選ばれる2種類以上の元素を含有するペロブスカイト型酸化物である点にある。
上記の特徴構成によれば、高性能な電極層を有する電気化学素子とすることができるため好ましい。
〔構成10〕
本発明に係る電気化学素子の別の特徴構成は、前記電解質層がジルコニア系セラミックスを含有する点にある。
上記の特徴構成によれば、イオン伝導率が高く、高温、酸化・還元雰囲気において熱力学的に安定である電解質層とすることができるため、信頼性・耐久性に優れた高性能な電気化学素子を得ることができる。
〔構成11〕
本発明に係る電気化学素子の別の特徴構成は、前記電解質層の前記反応防止層と前記電極層が配置されている側と反対の側に、前記電極層の対極となる対極電極層を有している点にある。
上記の特徴構成によれば、電極層と対極電極層を有する電気化学素子を形成できるから、燃料電池などに適用しやすくなるので好ましい。
〔構成12〕
本発明に係る電気化学素子の別の特徴構成は、金属支持体に支持される点にある。
上記の特徴構成によれば、安価で堅牢な金属支持体により電気化学素子を支持することができるため、高価なセラミック材料の使用量を低減できると共に、強度が高く信頼性・耐久性に優れた電気化学素子を得ることができる。さらに加工性にも優れるため、製造コストの低減も可能となる。
〔構成13〕
本発明に係る電気化学モジュールの特徴構成は、上述の電気化学素子が複数集合した状態で配置される点にある。
上記の特徴構成によれば、上述の電気化学素子が複数集合した状態で配置されるので、材料コストと加工コストを抑制しつつ、コンパクトで高性能な、強度と信頼性に優れた電気化学モジュールを得ることができる。
〔構成14〕
本発明に係る電気化学装置の特徴構成は、上述の電気化学モジュールと改質器とを少なくとも有し、前記電気化学モジュールに対して還元性成分を含有する燃料ガスを供給する燃料供給部を有する点にある。
上記の特徴構成によれば、電気化学モジュールと改質器を有し電気化学モジュールに対して還元性成分を含有する燃料ガスを供給する燃料供給部を有するので、都市ガス等の既存の原燃料供給インフラを用い、耐久性・信頼性に優れた高性能な電気化学モジュールを運転させることができる。また、電気化学モジュールから排出される未利用の燃料ガスをリサイクルするシステムを構築し易くなるため、高効率な電気化学装置を実現することができる。
〔構成15〕
本発明に係る電気化学装置の別の特徴構成は、前記電気化学モジュールから電力を取り出すインバータとを有する点にある。
上記の特徴構成によれば、電気化学モジュールから電力を取り出すことができ、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学装置を実現することができる。
〔構成16〕
本発明に係るエネルギーシステムの特徴構成は、上述の電気化学装置と、前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部を有する点にある。
上記の特徴構成によれば、電気化学装置と、電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部を有するので、耐久性・信頼性および性能に優れ、かつエネルギー効率にも優れたエネルギーシステムを実現することができる。なお、電気化学装置から排出される未利用の燃料ガスの燃焼熱を利用して発電する発電システムと組み合わせてエネルギー効率に優れたハイブリットシステムを実現することもできる。
〔構成17〕
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の特徴構成は、前記対極電極層が燃料極もしくは空気極となり、前記電極層が空気極もしくは燃料極となる点にある。
上記の特徴構成によれば、ヒートサイクルや発電時に起こるセルの膨張収縮に起因する応力を吸収緩和できる反応防止層と電解質層と燃料極及び空気極を備えた固体酸化物形燃料電池を実現できるので好ましい。なお、固体酸化物形燃料電池が定格運転時に650℃以上の温度域で運転可なものであると、都市ガス等の炭化水素系ガスを原燃料とする燃料電池システムにおいて、原燃料を水素に変換する際に必要となる熱を燃料電池の排熱で賄うことが可能なシステムを構築できるため、燃料電池システムの発電効率を高めることができるので、より好ましい。また、固体酸化物形燃料電池が定格運転時に900℃以下の温度域で運転されるものであると、金属支持体を用いる場合は、支持体の損傷を抑制できるため好ましい。また、定格運転時に850℃以下の温度域で運転されると支持体の損傷を更に抑制できるためより好ましい。
〔構成18〕
本発明に係る電気化学素子の製造方法の特徴構成は、金属支持体と、電解質層と、電極層と、前記電解質層と前記電極層との間に配置された反応防止層とを有する電気化学素子の製造方法であって、前記反応防止層の焼成を1100℃以下で行う点にある。
上記の特徴構成によれば、反応防止層の焼成を1100℃以下で行うことにより、多孔質かつ微細な構造を有し、例えば燃料電池セルで用いる場合、ヒートサイクルや発電時に起こるセルの膨張収縮に起因する応力を吸収緩和することができ、さらには隣接する層との剥離が抑制できる反応防止層を得ることができるので好ましい。また1050℃以下の温度で反応防止層の焼成を行うと上述の効果が得やすくなるので更に好ましい。さらに金属基板1の劣化を抑制するため、反応防止層の焼成を1100℃以下の温度で行うことが好ましく、1050℃以下の温度で行うと更に好ましい。
電気化学素子の構成を示す概略図 電気化学素子および電気化学モジュールの構成を示す概略図 電気化学装置およびエネルギーシステムの構成を示す概略図 電気化学モジュールの構成を示す概略図 電気化学素子の断面の電子顕微鏡写真 電気化学素子の断面の電子顕微鏡写真 電気化学素子の断面の電子顕微鏡写真
<第1実施形態>
以下、図1を参照しながら、本実施形態に係る電気化学素子Eおよび固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)について説明する。電気化学素子Eは、例えば、水素を含む燃料ガスと空気の供給を受けて発電する固体酸化物形燃料電池の構成要素として用いられる。なお以下、層の位置関係などを表す際、例えば電解質層4から見て第2電極層6の側を「上」または「上側」、第1電極層2の側を「下」または「下側」という場合がある。また、金属基板1における第1電極層2が形成されている側の面を「表側」、反対側の面を「裏側」という場合がある。
(電気化学素子)
電気化学素子Eは、図1に示される通り、金属基板1(金属支持体)と、金属基板1の上に形成された第1電極層2(対極電極層)と、第1電極層2の上に形成された中間層3と、中間層3の上に形成された電解質層4とを有する。そして電気化学素子Eは、更に、電解質層4の上に形成された反応防止層5と、反応防止層5の上に形成された第2電極層6(電極層)とを有する。つまり第2電極層6は電解質層4の上に形成され、反応防止層5は電解質層4と第2電極層6との間に形成されている。本実施形態に係る電気化学素子Eは、電解質層4と、電解質層4と第2電極層との間に配置された反応防止層5とを有する。第1電極層2は多孔質であり、電解質層4は緻密である。
(金属基板)
金属基板1は、第1電極層2、中間層3および電解質層4等を支持して電気化学素子Eの強度を保つ、支持体としての役割を担う。金属基板1の材料としては、電子伝導性、耐熱性、耐酸化性および耐腐食性に優れた材料が用いられる。例えば、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、ニッケル基合金などが用いられる。特に、クロムを含む合金が好適に用いられる。なお本実施形態では、金属支持体として板状の金属基板1が用いられるが、金属支持体としては他の形状、例えば箱状、円筒状などの形状も可能である。
なお、金属基板1は、支持体として電気化学素子を形成するのに充分な強度を有すれば良く、例えば、0.1mm〜2mm程度、好ましくは0.1mm〜1mm程度、より好ましくは0.1mm〜0.5mm程度の厚みのものを用いることができる。
金属基板1は、表側の面と裏側の面とを貫通して設けられる複数の貫通孔1aを有する。なお、例えば、貫通孔1aは、機械的、化学的あるいは光学的穿孔加工などにより、金属基板1に設けることができる。貫通孔1aは、金属基板1の裏側の面から表側の面へ気体を透過させる機能を有する。金属基板1に気体透過性を持たせるために、多孔質金属を用いることも可能である。例えば、金属基板1は、焼結金属や発泡金属等を用いることもできる。
金属基板1の表面に、拡散抑制層としての金属酸化物層1bが設けられる。すなわち、金属基板1と後述する第1電極層2との間に、拡散抑制層が形成されている。金属酸化物層1bは、金属基板1の外部に露出した面だけでなく、第1電極層2との接触面(界面)および貫通孔1aの内側の面にも設けられる。この金属酸化物層1bにより、金属基板1と第1電極層2との間の元素相互拡散を抑制することができる。例えば、金属基板1としてクロムを含有するフェライト系ステンレスを用いた場合は、金属酸化物層1bが主にクロム酸化物となる。そして、金属基板1のクロム原子等が第1電極層2や電解質層4へ拡散することを、クロム酸化物を主成分とする金属酸化物層1bが抑制する。金属酸化物層1bの厚さは、拡散防止性能の高さと電気抵抗の低さを両立させることのできる厚みであれば良い。例えばサブミクロンオーダーであることが好ましく、具体的には、平均的な厚さが0.3μm以上0.7μm以下程度であることがより好ましい。また、最小厚さは約0.1μm以上であることがより好ましい。
また、最大厚さが約1.1μm以下であることが好ましい。
金属酸化物層1bは種々の手法により形成されうるが、金属基板1の表面を酸化させて金属酸化物とする手法が好適に利用される。また、金属基板1の表面に、金属酸化物層1bをスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、スパッタリング法やPLD法等のPVD法、CVD法などにより形成しても良いし、メッキと酸化処理によって形成しても良い。更に、金属酸化物層1bは導電性の高いスピネル相などを含んでも良い。
金属基板1としてフェライト系ステンレス材を用いた場合、第1電極層2や電解質層4の材料として用いられるYSZ(イットリア安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア、CGOとも呼ぶ)等と熱膨張係数が近い。従って、低温と高温の温度サイクルが繰り返された場合も電気化学素子Eがダメージを受けにくい。よって、長期耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できるので好ましい。
(第1電極層)
第1電極層2は、図1に示すように、金属基板1の表側の面であって貫通孔1aが設けられた領域より大きな領域に、薄層の状態で設けることができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm〜100μm程度、好ましくは、5μm〜50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。貫通孔1aが設けられた領域の全体が、第1電極層2に覆われている。つまり、貫通孔1aは金属基板1における第1電極層2が形成された領域の内側に形成されている。換言すれば、全ての貫通孔1aが第1電極層2に面して設けられている。
第1電極層2の材料としては、例えばNiO−GDC、Ni−GDC、NiO−YSZ、Ni−YSZ、CuO−CeO、Cu−CeOなどの複合材を用いることができる。これらの例では、GDC、YSZ、CeOを複合材の骨材と呼ぶことができる。なお、第1電極層2は、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法やパルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能なプロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに、良好な第1電極層2が得られる。そのため、金属基板1を傷めることなく、また、金属基板1と第1電極層2との元素相互拡散を抑制することができ、耐久性に優れた電気化学素子を実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
第1電極層2は、気体透過性を持たせるため、その内部および表面に複数の細孔を有する。
すなわち第1電極層2は、多孔質な層として形成される。第1電極層2は、例えば、その緻密度が30%以上80%未満となるように形成される。細孔のサイズは、電気化学反応を行う際に円滑な反応が進行するのに適したサイズを適宜選ぶことができる。なお緻密度とは、層を構成する材料の空間に占める割合であって、(1−空孔率)と表すことができ、また、相対密度と同等である。
(中間層)
中間層3は、図1に示すように、第1電極層2を覆った状態で、第1電極層2の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm〜100μm程度、好ましくは2μm〜50μm程度、より好ましくは4μm〜25μm程度とすることができる。このような厚さにすると、高価な中間層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な性能を確保することが可能となる。中間層3の材料としては、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)等を用いることができる。特にセリア系のセラミックスが好適に用いられる。
中間層3は、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能な成膜プロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに中間層3が得られる。そのため、金属基板1を傷めることなく、金属基板1と第1電極層2との元素相互拡散を抑制することができ、耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できる。
また、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
中間層3としては、酸素イオン(酸化物イオン)伝導性を有することが好ましい。また、酸素イオン(酸化物イオン)と電子との混合伝導性を有すると更に好ましい。これらの性質を有する中間層3は、電気化学素子Eへの適用に適している。
(電解質層)
電解質層4は、図1に示すように、第1電極層2および中間層3を覆った状態で、中間層3の上に薄層の状態で形成される。また、厚さが10μm以下の薄膜の状態で形成することもできる。詳しくは電解質層4は、図1に示すように、中間層3の上と金属基板1の上とにわたって(跨って)設けられる。このように構成し、電解質層4を金属基板1に接合することで、電気化学素子全体として堅牢性に優れたものとすることができる。
また電解質層4は、図1に示すように、金属基板1の表側の面であって貫通孔1aが設けられた領域より大きな領域に設けられる。つまり、貫通孔1aは金属基板1における電解質層4が形成された領域の内側に形成されている。
また電解質層4の周囲においては、第1電極層2および中間層3からのガスのリークを抑制することができる。説明すると、電気化学素子EをSOFCの構成要素として用いる場合、SOFCの作動時には、金属基板1の裏側から貫通孔1aを通じて第1電極層2へガスが供給される。電解質層4が金属基板1に接している部位においては、ガスケット等の別部材を設けることなく、ガスのリークを抑制することができる。なお、本実施形態では電解質層4によって第1電極層2の周囲をすべて覆っているが、第1電極層2および中間層3の上部に電解質層4を設け、周囲にガスケット等を設ける構成としてもよい。
電解質層4の材料としては、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)、LSGM(ストロンチウム・マグネシウム添加ランタンガレート)等を用いることができる。特にジルコニア系のセラミックスが好適に用いられる。電解質層4をジルコニア系セラミックスとすると、電気化学素子Eを用いたSOFCの稼働温度をセリア系セラミックスに比べて高くすることができる。例えば電気化学素子EをSOFCに用いる場合、電解質層4の材料としてYSZのような650℃程度以上の高温域でも高い電解質性能を発揮できる材料を用い、システムの原燃料に都市ガスやLPG等の炭化水素系の原燃料を用い、原燃料を水蒸気改質等によってSOFCのアノードガスとするシステム構成とすると、SOFCのセルスタックで生じる熱を原燃料ガスの改質に用いる高効率なSOFCシステムを構築することができる。
電解質層4は、低温焼成法(例えば1100℃を越える高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能な成膜プロセスにより、例えば1100℃を越える高温域での焼成を用いずに、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層4が得られる。そのため、金属基板1の損傷を抑制し、また、金属基板1と第1電極層2との元素相互拡散を抑制することができ、性能・耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、スプレーコーティング法を用いると、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層が低温域で容易に得られやすいので更に好ましい。
電解質層4は、アノードガスやカソードガスのガスリークを遮蔽し、かつ、高いイオン伝導性を発現するために、緻密に構成される。電解質層4の緻密度は90%以上が好ましく、95%以上であるとより好ましく、98%以上であると更に好ましい。電解質層4は、均一な層である場合は、その緻密度が95%以上であると好ましく、98%以上であるとより好ましい。また、電解質層4が、複数の層状に構成されているような場合は、そのうちの少なくとも一部が、緻密度が98%以上である層(緻密電解質層)を含んでいると好ましく、99%以上である層(緻密電解質層)を含んでいるとより好ましい。このような緻密電解質層が電解質層の一部に含まれていると、電解質層が複数の層状に構成されている場合であっても、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層を形成しやすくできるからである。
(反応防止層)
反応防止層5は、電解質層4の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、1μmより大きく100μm以下であると、反応防止層が十分に応力を吸収緩和でき好ましい。また、前記反応防止層の厚さが2μmより大きいと反応防止層がより応力を吸収緩和できるため好ましく、厚さが3μmより大きいと、さらに応力を吸収緩和できるため好ましい。また、前記反応防止層の厚さが50μm以下であると、高価な反応防止層の材料コストを抑制できるため好ましく、25μm以下であるとさらにその材料コストを抑制できるため好ましい。
反応防止層5の材料としては、電解質層4の成分と第2電極層6の成分との間の反応を防止できる材料が用いられる。反応防止層5を電解質層4と第2電極層6との間に導入することにより、第2電極層6の構成材料と電解質層4の構成材料との反応が効果的に抑制され、電気化学素子Eの性能の長期安定性を向上できる。
本実施形態では、反応防止層5の材料としてはCeを含有する材料が用いられる。また反応防止層5の材料として、Sm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有する材料が好適に用いられる。形成された反応防止層5が、反応防止層が、Sm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有し、これら元素の含有率の合計が5mol%以上25mol%以下であると高いイオン伝導率が得られるため好ましい。また、前記反応防止層に含有されるSm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素の含有率の合計が10mol%以上20mol%以下であるとさらに高いイオン伝導率が得られるため、より好ましい。具体的には反応防止層5の材料としては、GDC(ガドリウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)等を用いることができる。
反応防止層5の形成は、1100℃以下の処理温度で形成できる方法を適宜用いて行うと、金属基板1の損傷を抑制し、また、金属基板1と第1電極層2との元素相互拡散を抑制でき、性能・耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できるので好ましい。例えば、低温焼成法(例えば1100℃を越える高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などを適宜用いて行うことができる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
本実施形態では、多孔質かつ微細な構造に形成される。すなわち反応防止層5は、内部に複数の細孔空間を有する状態に形成される。特に、反応防止層の厚さ方向に仮想直線を設定した場合、細孔空間の外周面との交点が1μmあたり平均3.3個以上となる仮想直線が存在するよう、反応防止層5が十分に多数の細孔空間を有する状態に形成される。換言すれば、反応防止層の厚さ方向に長さ3μmの仮想線分を設定した場合、細孔空間の外周面との交点が10個以上となる仮想線分が存在するよう、反応防止層5が十分に多数の細孔空間を有する状態に形成される。
また本実施形態では、反応防止層5の気孔率が5.0%以上50%以下であるよう、反応防止層5が十分に多数の細孔空間を有する状態に形成されると十分に応力を吸収緩和でき好ましい。また、前記反応防止層の気孔率が10%以上であると、応力の緩和効果をより高めることができるのでより好ましく、20%以上であるとさらに好ましい。
そして反応防止層5は、断面に現われる細孔空間の数が、1μm2あたり5個以上20個以下であるように形成されている。また、前記細孔空間の数が、1μm2あたり8個以上であると、応力の緩和効果をより高めることができるのでより好ましく、10個以上であるとさらに好ましい。
(第2電極層)
第2電極層6は、反応防止層5の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm〜100μm程度、好ましくは、5μm〜50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な第2電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。第2電極層6の材料としては、例えば、LSCF、LSM等の複合酸化物、セリア系酸化物およびこれらの混合物を用いることができる。特に第2電極層6が、La、Sr、Sm、Mn、CoおよびFeからなる群から選ばれる2種類以上の元素を含有するペロブスカイト型酸化物を含むことが好ましい。以上の材料を用いて構成される第2電極層6は、カソードとして機能する。
なお、第2電極層6の形成は、1100℃以下の処理温度で形成できる方法を適宜用いて行うと、金属基板1の損傷を抑制し、また、金属基板1と第1電極層2との元素相互拡散を抑制でき、性能・耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できるので好ましい。例えば、低温焼成法(例えば1100℃を越える高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などを適宜用いて行うことができる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
(固体酸化物形燃料電池)
以上のように電気化学素子Eを構成することで、電気化学素子Eを固体酸化物形燃料電池の発電セルとして用いることができる。例えば、金属基板1の裏側の面から貫通孔1aを通じて水素を含む燃料ガスを第1電極層2へ供給し、第1電極層2の対極となる第2電極層6へ空気を供給し、例えば、500℃以上900℃以下の温度で作動させる。そうすると、第2電極層6において空気に含まれる酸素Oが電子eと反応して酸素イオンO2−が生成される。その酸素イオンO2−が電解質層4を通って第1電極層2へ移動する。第1電極層2においては、供給された燃料ガスに含まれる水素Hが酸素イオンO2−と反応し、水HOと電子eが生成される。以上の反応により、第1電極層2と第2電極層6との間に起電力が発生する。この場合、第1電極層2はSOFCの燃料極(アノード)として機能し、第2電極層6は空気極(カソード)として機能する。
(電気化学素子の製造方法)
次に、本実施形態に係る電気化学素子Eの製造方法について説明する。
(第1電極層形成ステップ)
第1電極層形成ステップでは、金属基板1の表側の面の貫通孔1aが設けられた領域より広い領域に第1電極層2が薄膜の状態で形成される。金属基板1の貫通孔はレーザー加工等によって設けることができる。第1電極層2の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属基板1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
第1電極層形成ステップを低温焼成法で行う場合には、具体的には以下の例のように行う。
まず、第1電極層2の材料粉末と溶媒(分散媒)とを混合して材料ペーストを作成し、金属基板1の表側の面に塗布する。そして第1電極層2を圧縮成形し(電極層平滑化工程)、1100℃以下で焼成する(電極層焼成工程)。第1電極層2の圧縮成形は、例えば、CIP(Cold Isostatic Pressing 、冷間静水圧加圧)成形、ロール加圧成形、RIP(Rubber Isostatic Pressing)成形などにより行うことができる。また、電極層の焼成は、800℃以上1100℃以下の温度で行うと好適である。また、電極層平滑化工程と電極層焼成工程の順序を入れ替えることもできる。
なお、中間層を有する電気化学素子を形成する場合では、電極層平滑化工程や電極層焼成工程を省いたり、電極層平滑化工程や電極層焼成工程を後述する中間層平滑化工程や中間層焼成工程に含めることもできる。
なお、電極層平滑化工程は、ラップ成形やレベリング処理、表面の切削・研磨処理などを施すことでもできる。
(拡散抑制層形成ステップ)
上述した第1電極層形成ステップにおける焼成工程時に、金属基板1の表面に金属酸化物層1b(拡散抑制層)が形成される。なお、上記焼成工程に、焼成雰囲気を酸素分圧が低い雰囲気条件とする焼成工程が含まれていると元素の相互拡散抑制効果が高く、抵抗値の低い良質な金属酸化物層1b(拡散抑制層)が形成されるので好ましい。第1電極層形成ステップを、焼成を行わないコーティング方法とする場合を含め、別途の拡散抑制層形成ステップを含めても良い。いずれにおいても、金属基板1の損傷を抑制可能な1100℃以下の処理温度で実施することが望ましい。また、後述する中間層形成ステップにおける焼成工程時に、金属基板1の表面に金属酸化物層1b(拡散抑制層)が形成されても良い。
(中間層形成ステップ)
中間層形成ステップでは、第1電極層2を覆う形態で、第1電極層2の上に中間層3が薄層の状態で形成される。中間層3の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属基板1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
中間層形成ステップを低温焼成法で行う場合には、具体的には以下の例のように行う。
まず、中間層3の材料粉末と溶媒(分散媒)とを混合して材料ペーストを作成し、金属基板1の表側の面に塗布する。そして中間層3を圧縮成形し(中間層平滑化工程)、1100℃以下で焼成する(中間層焼成工程)。中間層3の圧延は、例えば、CIP(Cold Isostatic Pressing 、冷間静水圧加圧)成形、ロール加圧成形、RIP(Rubber Isostatic Pressing)成形などにより行うことができる。また、中間層の焼成は、800℃以上1100℃以下の温度で行うと好適である。このような温度であると、金属基板1の損傷・劣化を抑制しつつ、強度の高い中間層3を形成できるためである。また、中間層3の焼成を1050℃以下で行うとより好ましく、1000℃以下で行うと更に好ましい。これは、中間層3の焼成温度を低下させる程に、金属基板1の損傷・劣化をより抑制しつつ、電気化学素子Eを形成できるからである。また、中間層平滑化工程と中間層焼成工程の順序を入れ替えることもできる。
なお、中間層平滑化工程は、ラップ成形やレベリング処理、表面の切削・研磨処理などを施すことでもできる。
(電解質層形成ステップ)
電解質層形成ステップでは、第1電極層2および中間層3を覆った状態で、電解質層4が中間層3の上に薄層の状態で形成される。また、厚さが10μm以下の薄膜の状態で形成されても良い。電解質層4の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属基板1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
緻密で気密性およびガスバリア性能の高い、良質な電解質層4を1100℃以下の温度域で形成するためには、電解質層形成ステップをスプレーコーティング法で行うことが望ましい。その場合、電解質層4の材料を金属基板1上の中間層3に向けて噴射し、電解質層4を形成する。
(反応防止層形成ステップ)
反応防止層形成ステップでは、反応防止層5が電解質層4の上に薄層の状態で形成される。反応防止層5の形成は、上述したように、低温焼成法、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属基板1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが好ましく、1050℃以下の温度で行うと更に好ましい。なお反応防止層5の上側の面を平坦にするために、例えば反応防止層5の形成後にレベリング処理や表面を切削・研磨処理を施したり、湿式形成後焼成前に、プレス加工を施してもよい。
(第2電極層形成ステップ)
第2電極層形成ステップでは、第2電極層6が反応防止層5の上に薄層の状態で形成される。第2電極層6の形成は、上述したように、低温焼成法、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属基板1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
以上の様にして、電気化学素子Eを製造することができる。なお、以上述べた第1電極層形成ステップおよび中間層形成ステップを行って、金属支持型電気化学素子用の電極層付基板Bを製造することができる。すなわち本実施形態に係る製造方法は、金属基板1(金属支持体)と、金属基板1の上に形成された第1電極層2と、第1電極層2の上に形成された中間層3とを有する金属支持型電気化学素子用の電極層付基板Bの製造方法であって、中間層3をの表面を平滑化する中間層平滑化工程を含み、中間層3の焼成を1100℃以下で行う中間層焼成工程を含む。
なお電気化学素子Eにおいて、中間層3を備えない形態とすることも可能である。すなわち、第1電極層2と電解質層4とが接触して形成される形態も可能である。この場合に上述の製造方法では、中間層形成ステップが省略される。なお、他の層を形成するステップを追加したり、同種の層を複数積層したりすることも可能であるが、いずれの場合であっても、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
<実施例1>
厚さ0.3mm、crofer22APUの金属板に対して、中心の領域にレーザー加工により貫通孔1aを複数設けて、金属基板1を作製した。
次に、60重量%のNiO粉末と40重量%のGDC粉末を混合し、有機バインダーと有機溶媒(分散媒)を加えてペーストを作製した。そのペーストを用いて、金属基板1の中心から半径3mmの領域に第1電極層2を積層した。なお、第1電極層2の形成にはスクリーン印刷を用いた。そして第1電極層2を積層した金属基板1に対して、950℃で焼成処理を行った(第1電極層形成ステップ、拡散抑制層形成ステップ)。
次に、GDCの微粉末に有機バインダーと有機溶媒(分散媒)を加えてペーストを作製した。そのペーストを用いて、スクリーン印刷により、第1電極層2を積層した金属基板1の中心から半径5mmの領域に中間層3を積層した。次に、中間層3を積層した金属基板1に対してCIP成形した後、1000℃で焼成処理を行うことで、表面が平坦な中間層3を形成した(中間層形成ステップ)。
以上のステップで得られた第1電極層2の厚さは約15μmであり、中間層3の厚さは約10μmであった。第1電極層2と中間層3を積層した金属基板1はガスの流通性を有する電極層付基板となっている。
続いて、モード径が約0.7μmの8YSZ(イットリア安定化ジルコニア)成分を7.4g/分の供給速度で、金属基板1の中間層3の上に、中間層3を覆うように15mm×15mmの範囲で5mm/秒のスキャン速度で基板を移動させながら噴射し、電解質層4を形成した(スプレーコート)。なお、その際、金属基板1は加熱しなかった(電解質層形成ステップ)。
以上のステップで得られた電解質層4の厚さは10μm程度であった。このように第1電極層2と中間層3と電解質層4を積層した状態での金属基板1のHeリーク量を0.2MPaの圧力下で測定したところ、Heリーク量は検出下限(1.0mL/分・cm)未満であった。従って、形成された電解質層4は、ガスバリア性を有することが分かる。
次に、GDCの微粉末に有機バインダーと有機溶媒(分散媒)を加えてペーストを作製した。そのペーストを用いて、スクリーン印刷により、電気化学素子Eの電解質層4の上に、反応防止層5を形成した。
その後、反応防止層5を形成した電気化学素子Eに対して、300MPaの圧力でCIP成形した後、1000℃で10時間の焼成処理を行うことで、表面が平坦な反応防止層5を形成した(反応防止層形成ステップ)。
更に、GDC粉末とLSCF粉末とを混合し、有機バインダーと有機溶媒(分散媒)を加えてペーストを作製した。そのペーストを用いて、スクリーン印刷により、反応防止層5の上に第2電極層6を形成した。最後に、第2電極層6を形成した電気化学素子Eを900℃にて焼成し(第2電極層形成ステップ)、電気化学素子Eを得た。
得られた電気化学素子Eについて、第1電極層2に水素ガス、第2電極層6に空気を供給して固体酸化物形燃料電池セルとしての開回路電圧(OCV)を測定した。結果は、750℃で1.08Vであった。
この電気化学素子Eの断面の電子顕微鏡写真を図5に示す。この電子顕微鏡写真から分かるように、反応防止層5が、内部に複数の細孔空間(黒く示された部位)を有する状態に形成されている。図5に示す位置に長さ3μmの仮想線分Sを設定すると、この仮想線分Sは、図5から分かるように、5個の細孔空間に渡って配置される。そうすると、この仮想線分Sと細孔空間の外周面との交点は10個となり、10個以上である。ここでこの仮想線分Sに重なる仮想直線を設定した場合、長さ3μmあたり10個の交点(細孔空間の外周面との交点)が存在することになるから、この仮想直線は、細孔空間の外周面との交点が1μmあたり平均3.3個程度となり、すなわち平均3.3個以上となる。
<実施例2>
実施例1の電解質層形成ステップの8YSZ(イットリア安定化ジルコニア)成分の供給速度を0.53g/分に変更した以外は同様の方法で、反応防止層形成ステップまでを実施し、電気化学素子Eを得た。得られたサンプルの第1電極層2の厚さは約10μmであり、中間層3の厚さは約10μmであり、電解質層4の厚さは約1μmであった。
第1電極層2と中間層3を積層した金属基板1はガスの流通性を有する電極層付基板である。また、電解質層4を積層した状態での金属基板1のHeリーク量を0.2MPaの圧力下で測定したところ、Heリーク量は検出下限(1.0mL/分・cm)未満であった。従って、形成された電解質層4は、ガスバリア性を有することが分かる。
このようにして得られた電気化学素子Eの断面の電子顕微鏡写真を図6に示す。この電子顕微鏡写真から分かるように、反応防止層5が、内部に複数の細孔空間(黒く示された部位)を有する状態に形成されている。図6に示す位置に長さ3μmの仮想線分Sを設定すると、この仮想線分Sは、図6から分かるように、7個の細孔空間に渡って配置される。そうすると、この仮想線分Sと細孔空間の外周面との交点は14個となる。ここでこの仮想線分Sに重なる仮想直線を設定した場合、長さ3μmあたり10個の交点(細孔空間の外周面との交点)が存在することになるから、この仮想直線は、細孔空間の外周面との交点が1μmあたり平均4.8個となる。
<比較例>
反応防止層形成ステップにおける焼成処理を1300℃で1時間に変更したこと以外は、全て実施例2と同様にして、電気化学素子Eを得た。得られたサンプルの第1電極層2の厚さは約10μmであり、中間層3の厚さは約10μmであり、電解質層4の厚さは約5μmであった。
第1電極層2と中間層3を積層した金属基板1はガスの流通性を有する電極層付基板である。また、電解質層4を積層した状態での金属基板1のHeリーク量を0.2MPaの圧力下で測定したところ、Heリーク量は検出下限(1.0mL/分・cm)未満であった。従って、形成された電解質層4は、ガスバリア性を有することが分かる。
このようにして得られた電気化学素子Eの断面の電子顕微鏡写真を図7に示す。この電子顕微鏡写真から分かるように、反応防止層5は緻密に形成され、内部の細孔空間は少ない。このサンプルでは、細孔空間の外周面との交点が10個以上となる仮想線分や、細孔空間の外周面との交点が1μmあたり平均3.3個以上となる仮想直線は、反応防止層5に存在し得ない。
<第2実施形態>
図2・図3を用いて、本実施形態に係る電気化学素子E、電気化学モジュールM、電気化学装置YおよびエネルギーシステムZについて説明する。
本実施形態に係る電気化学素子Eは、図2に示すように、金属基板1の裏面にU字部材7が取り付けられており、金属基板1とU字部材7とで筒状支持体を形成している。
そして集電部材26を間に挟んで電気化学素子Eが複数積層され、集合されている、電気化学モジュールMが構成されている。集電部材26は、電気化学素子Eの第2電極層6と、U字部材7とに接合され、両者を電気的に接続している。
電気化学モジュールMは、ガスマニホールド17、集電部材26、終端部材および電流引出し部を有する。複数集合した電気化学素子Eは、筒状支持体の一方の開口端部がガスマニホールド17に接続されて、ガスマニホールド17から気体の供給を受ける。供給された気体は、筒状支持体の内部を通流し、金属基板1の貫通孔1aを通って第1電極層2に供給される。
図3には、エネルギーシステムZおよび電気化学装置Yの概要が示されている。
エネルギーシステムZは、電気化学装置Yと、電気化学装置Yから排出される熱を再利用する排熱利用部としての熱交換器53とを有する。
電気化学装置Yは、電気化学モジュールMと、脱硫器31と改質器34とを有し電気化学モジュールMに対して還元性成分を含有する燃料ガスを供給する燃料供給部と、電気化学モジュールMから電力を取り出すインバータ38とを有する。
詳しくは電気化学装置Yは、脱硫器31、改質水タンク32、気化器33、改質器34、ブロア35、燃焼部36、インバータ38、制御部39、収納容器40および電気化学モジュールMを有する。
脱硫器31は、都市ガス等の炭化水素系の原燃料に含まれる硫黄化合物成分を除去(脱硫)する。原燃料中に硫黄化合物が含有される場合、脱硫器31を備えることにより、硫黄化合物による改質器34あるいは電気化学素子Eに対する影響を抑制することができる。気化器33は、改質水タンク32から供給される改質水から水蒸気を生成する。改質器34は、気化器33にて生成された水蒸気を用いて脱硫器31にて脱硫された原燃料を水蒸気改質して、水素を含む改質ガスを生成する。
電気化学モジュールMは、改質器34から供給された改質ガスと、ブロア35から供給された空気とを用いて、電気化学反応させて発電する。燃焼部36は、電気化学モジュールMから排出される反応排ガスと空気とを混合させて、反応排ガス中の可燃成分を燃焼させる。
電気化学モジュールMは、複数の電気化学素子Eとガスマニホールド17とを有する。
複数の電気化学素子Eは互いに電気的に接続された状態で並列して配置され、電気化学素子Eの一方の端部(下端部)がガスマニホールド17に固定されている。電気化学素子Eは、ガスマニホールド17を通じて供給される改質ガスと、ブロア35から供給された空気とを電気化学反応させて発電する。
インバータ38は、電気化学モジュールMの出力電力を調整して、商用系統(図示省略)から受電する電力と同じ電圧および同じ周波数にする。制御部39は電気化学装置YおよびエネルギーシステムZの運転を制御する。
気化器33、改質器34、電気化学モジュールMおよび燃焼部36は、収納容器40内に収納される。そして改質器34は、燃焼部36での反応排ガスの燃焼により発生する燃焼熱を用いて原燃料の改質処理を行う。
原燃料は、昇圧ポンプ41の作動により原燃料供給路42を通して脱硫器31に供給される。改質水タンク32の改質水は、改質水ポンプ43の作動により改質水供給路44を通して気化器33に供給される。そして、原燃料供給路42は脱硫器31よりも下流側の部位で、改質水供給路44に合流されており、収納容器40外にて合流された改質水と原燃料とが収納容器40内に備えられた気化器33に供給される。
改質水は気化器33にて気化され水蒸気となる。気化器33にて生成された水蒸気を含む原燃料は、水蒸気含有原燃料供給路45を通して改質器34に供給される。改質器34にて原燃料が水蒸気改質され、水素ガスを主成分とする改質ガス(還元性成分を有する第1気体)が生成される。改質器34にて生成された改質ガスは、改質ガス供給路46を通して電気化学モジュールMのガスマニホールド17に供給される。
ガスマニホールド17に供給された改質ガスは、複数の電気化学素子Eに対して分配され、電気化学素子Eとガスマニホールド17との接続部である下端から電気化学素子Eに供給される。改質ガス中の主に水素(還元性成分)が、電気化学素子Eにて電気化学反応に使用される。反応に用いられなかった残余の水素ガスを含む反応排ガスが、電気化学素子Eの上端から燃焼部36に排出される。
反応排ガスは燃焼部36で燃焼され、燃焼排ガスとなって燃焼排ガス排出口50から収納容器40の外部に排出される。燃焼排ガス排出口50には燃焼触媒部51(例えば、白金系触媒)が配置され、燃焼排ガスに含有される一酸化炭素や水素等の還元性成分を燃焼除去する。燃焼排ガス排出口50から排出された燃焼排ガスは、燃焼排ガス排出路52により熱交換器53に送られる。
熱交換器53は、燃焼部36における燃焼で生じた燃焼排ガスと、供給される冷水とを熱交換させ、温水を生成する。すなわち熱交換器53は、電気化学装置Yから排出される熱を再利用する排熱利用部として動作する。
なお、排熱利用部の代わりに、電気化学モジュールMから(燃焼されずに)排出される反応排ガスを利用する反応排ガス利用部を設けてもよい。反応排ガスには、電気化学素子Eにて反応に用いられなかった残余の水素ガスが含まれる。反応排ガス利用部では、残余の水素ガスを利用して、燃焼による熱利用や、燃料電池等による発電が行われ、エネルギーの有効利用がなされる。
<第3実施形態>
図4に、電気化学モジュールMの他の実施形態を示す。本実施形態に係る電気化学モジュールMは、上述の電気化学素子Eを、セル間接続部材71を間に挟んで積層し集合させることで、電気化学モジュールMを構成する。
セル間接続部材71は、導電性を有し、かつ気体透過性を有さない板状の部材であり、表面と裏面に、互いに直交する溝72が形成されている。セル間接続部材71はステンレス等の金属や、金属酸化物を用いることができる。
図4に示すように、このセル間接続部材71を間に挟んで電気化学素子Eを積層し集合させると、溝72を通じて気体を電気化学素子Eに供給することができる。詳しくは一方の溝72が第1気体流路72aとなり、電気化学素子Eの表側、すなわち第2電極層6に気体を供給する。他方の溝72が第2気体流路72bとなり、電気化学素子Eの裏側、すなわち金属基板1の裏側の面から貫通孔1aを通じて第1電極層2へ気体を供給する。
この電気化学モジュールMを燃料電池として動作させる場合は、第1気体流路72aに酸素を供給し、第2気体流路72bに水素を供給する。そうすると電気化学素子Eにて燃料電池としての反応が進行し、起電力・電流が発生する。発生した電力は、積層された電気化学素子Eの両端のセル間接続部材71から、電気化学モジュールMの外部に取り出される。
なお、本本実施形態では、セル間接続部材71の表面と裏面に、互いに直交する溝72を形成したが、セル間接続部材71の表面と裏面に、互いに並行する溝72を形成することもできる。
(他の実施形態)
(1)上記の実施形態では、電気化学素子Eを固体酸化物形燃料電池に用いたが、電気化学素子Eは、固体酸化物形電解セルや、固体酸化物を利用した酸素センサ等に利用することもできる。
(2)上記の実施形態では、金属基板1を支持体とする金属支持型の固体酸化物形燃料電池に用いたが、本願は、第1電極層2もしくは第2電極層6を支持体とする電極支持型の固体酸化物形燃料電池や電解質層4を支持体とする電解質支持型の固体酸化物形燃料電池に利用することもできる。それらの場合は、第1電極層2もしくは第2電極層6、または、電解質層4を必要な厚さとして、支持体としての機能が得られるようにすることができる。
(3)上記の実施形態では、第1電極層2の材料として例えばNiO−GDC、Ni−GDC、NiO−YSZ、Ni−YSZ、CuO−CeO、Cu−CeOなどの複合材を用い、第2電極層6の材料として例えばLSCF、LSM等の複合酸化物を用いた。このように構成された電気化学素子Eは、第1電極層2に水素ガスを供給して燃料極(アノード)とし、第2電極層6に空気を供給して空気極(カソード)とし、固体酸化物形燃料電池セルとして用いることが可能である。この構成を変更して、第1電極層2を空気極とし、第2電極層6を燃料極とすることが可能なように、電気化学素子Eを構成することも可能である。すなわち、第1電極層2の材料として例えばLSCF、LSM等の複合酸化物を用い、第2電極層6の材料として例えばNiO−GDC、Ni−GDC、NiO−YSZ、Ni−YSZ、CuO−CeO、Cu−CeOなどの複合材を用いる。このように構成した電気化学素子Eであれば、第1電極層2に空気を供給して空気極とし、第2電極層6に水素ガスを供給して燃料極とし、電気化学素子Eを固体酸化物形燃料電池セルとして用いることができる。
なお、上記の実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
電気化学素子および固体酸化物形燃料電池セルとして利用可能である。
1 :金属基板(金属支持体)
1a :貫通孔
2 :第1電極層(対極電極層)
3 :中間層
4 :電解質層
4a :電解質層上側面
5 :反応防止層
6 :第2電極層(電極層)
B :電極層付基板
E :電気化学素子
M :電気化学モジュール
Y :電気化学装置
S :仮想線分
Z :エネルギーシステム

Claims (18)

  1. 電解質層と、電極層と、前記電解質層と前記電極層との間に配置された反応防止層とを有する電気化学素子であって、
    前記反応防止層は、その内部に複数の細孔空間を有し、
    前記反応防止層の断面において、前記反応防止層の厚さ方向に仮想直線を設定した場合、前記細孔空間の外周面との交点が1μmあたり平均3.3個以上となる仮想直線が存在する、電気化学素子。
  2. 電解質層と、電極層と、前記電解質層と前記電極層との間に配置された反応防止層とを有する電気化学素子であって、
    前記反応防止層は、その内部に複数の細孔空間を有し、
    前記反応防止層の断面において、前記反応防止層の厚さ方向に長さ3μmの仮想線分を設定した場合、前記細孔空間の外周面との交点が10個以上となる仮想線分が存在する、電気化学素子。
  3. 前記反応防止層の気孔率が5%以上50%以下である請求項1または2に記載の電気化学素子。
  4. 前記反応防止層の断面に現われる前記細孔空間の数が、1μm2あたり5個以上20個以下である請求項1から3のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  5. 前記反応防止層がCeを含有する請求項1から4のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  6. 前記反応防止層が、Sm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有する請求項1から5のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  7. 前記反応防止層が、Sm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有し、これら元素の含有率の合計が5mol%以上25mol%以下である請求項1から6のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  8. 前記反応防止層の厚さが1μmより大きく100μm以下である請求項1から7のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  9. 前記電極層が、La、Sr、Sm、Mn、CoおよびFeからなる群から選ばれる2種類以上の元素を含有するペロブスカイト型酸化物である請求項1から8のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  10. 前記電解質層がジルコニア系セラミックスを含有する請求項1から9のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  11. 前記電解質層の前記反応防止層と前記電極層が配置されている側と反対の側に、前記電極層の対極となる対極電極層を有している請求項1から10のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  12. 金属支持体に支持されることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  13. 請求項1から12のいずれか1項に記載の電気化学素子が複数集合した状態で配置される電気化学モジュール。
  14. 請求項13に記載の電気化学モジュールと改質器とを少なくとも有し、前記電気化学モジュールに対して還元性成分を含有する燃料ガスを供給する燃料供給部を有する電気化学装置。
  15. 請求項13に記載の電気化学モジュールと、前記電気化学モジュールから電力を取り出すインバータとを有する電気化学装置。
  16. 請求項14または15に記載の電気化学装置と、前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部を有するエネルギーシステム。
  17. 請求項11に記載の電気化学素子を有し、前記対極電極層が燃料極もしくは空気極となり、前記電極層が空気極もしくは燃料極となる固体酸化物形燃料電池。
  18. 金属支持体と電解質層と、電極層と、前記電解質層と前記電極層との間に配置された反応防止層とを有する電気化学素子の製造方法であって、
    前記反応防止層の焼成を1100℃以下で行う、電気化学素子の製造方法。
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