JP7089543B2 - 電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、および電気化学素子製造方法 - Google Patents

電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、および電気化学素子製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電極層と電解質層と対極電極層とを有する電気化学素子などに関する。
従来の電解質支持型の固体酸化物形燃料電池(以下「SOFC」と記す。)や電極支持型のSOFC、あるいは金属支持型のSOFCでは、平坦に形成した電解質層の上に電極層が形成される。
特許文献1には、YSZペレットの表面に燃料極、裏面に空気極を形成した、電解質支持型SOFCが開示されている。なおこのSOFCでは、固体電解質の上に形成された電極に、例えば凸凹形状の応力集中部が設けられて、熱応力が緩和される。なお、固体電解質と電極との接触面では、生じる反応を損なわないよう、凹凸形状の応力集中部は電極層がインターコネクターと接触する面に形成されている。
特許文献2には、塗布された電解質材料を乾燥させた後、プレスを施してから焼成を行い、電解質層を形成するSOFCの製造方法が記載されている。電解質層の上面は、図4に示される様に、プレスにより極めて平坦に形成される。そして電極層は、プレスにより平坦となった電解質層の上に形成される。なおこの製造方法は、金属基板を支持体として用いる場合に加え、電極を支持体として用いる場合にも適用可能とされている。
特開平5-82135号公報 特開2008-234927号公報
特許文献1に示されているように、固体電解質材料と電極材料との熱膨張率差やインターコネクター材料と電極材料との熱膨張率差がそれぞれ異なり、これらの熱膨張差の為に、SOFC用電極作製時及び/又は作動時等の昇温時又は降温時に異種材料間に熱応力がかかり、これらによる電気特性の低下さらには電極の剥離、セルの破損等が問題となっており、凹凸形状を電極層がインターコネクターと接触する面に形成することが為されていたが、電解質表面上への凹凸形状の形成については詳細検討が為されていなかった。しかしながら、SOFCのような電気化学素子では、ガスタイトでかつ高いイオン伝導度を発揮するために緻密に作る必要のある電解質層と、多孔質な電極層等との間では、各種の応力の影響を受けやすいため、電解質層と電極層等との界面での各種の応力を緩和して、SOFC用電極・電解質積層体の作製時やSOFCの起動停止熱サイクル時でもセルの破損等を抑制した、信頼性・耐久性および強度・性能に優れた電気化学素子を得るという課題が残されていた。とりわけ、ジルコニア系電解質を用いた高温域で作動させるSOFCのような電気化学素子の場合には、上記の残された課題解決は重要となっていた。
また、特許文献2の方法では、低温で緻密な電解質を得るために、電解質層を塗布した後にプレスすることで表面が平坦で緻密化した電解質層を得ていたが、電解質層と電極層等との界面での各種の応力を緩和して、信頼性・耐久性および強度・性能に優れた電気化学素子を得るという課題は残されていた。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、信頼性・耐久性をさらに高めた、強度及び性能の高い、SOFCにも適用可能な電気化学素子を実現することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る電気化学素子の特徴構成は、少なくとも電極層と電解質層と対極電極層とを有し、前記電解質層は、材料が金属酸化物であり、前記電極層と前記対極電極層との間に配置されており、前記電解質層における少なくとも前記対極電極層の側である電解質層上側面に、凹部または凸部が1つ以上含まれる凹凸構造部位が形成されており、金属を材料とする金属支持体を有し、前記電極層が前記金属支持体上に形成され、前記電解質層が前記電極層に対して前記金属支持体と反対側に配置されており、
前記電解質層の厚さが20μm以下であり、
前記電解質層は、前記電極層を被覆する第1部分と、前記金属支持体の表側の面に接触する第2部分とを有し、
前記電解質層に垂直な方向を高さ方向とし、前記高さ方向に直交する方向を面内方向とした場合に、
前記凹部の頂点からの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、前記凹部の頂点との高さの差が0.5μm以上である地点と、
前記凸部の頂点からの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、前記凸部の頂点との高さの差が0.5μm以上である地点とのうち、少なくともどちらか1つの地点が前記凹凸構造部位に含まれ、
前記電解質層と前記対極電極層との間に配置される中間層を有し、
前記中間層は前記電解質層の前記電解質層上側面に接触して形成され、前記凹凸構造部位が前記中間層に接触し
前記中間層は前記対極電極層に接触して形成されており、
前記電解質層に垂直な方向を高さ方向とした場合に、
前記中間層における前記対極電極層の側の面である中間層上側面の高さ方向の幅の最大値が、前記凹凸構造部位における高さ方向の幅の最大値よりも小さい点にある。
発明者らは鋭意検討の末、従来とは異なり、電解質層における少なくとも対極電極層の側である電解質層上側面に、凹部または凸部が1つ以上含まれる凹凸構造部位を形成することに思い至った。そしてこのように電気化学素子を構成することで、凹凸構造部位の存在によって、電解質層と対極電極層(もしくは中間層)との接触面積を増大させ、層間の密着強度を高めることができるとともに、各種の応力を緩和できる、信頼性・耐久性を向上しつつ、高い性能を得ることができる。
特に、薄膜の電解質層を有する電気化学素子では、信頼性・耐久性の確保が課題であり、その効果は大きい。また、金属基板を支持体として、その上に薄層の電気化学素子を形成する場合には、従来のような1400℃程度以上の高温焼成による緻密な電解質層の形成手法が使えないため、その信頼性・耐久性と性能・強度の確保の課題は大きかったが、本手法により、大きな効果が得られる。
上記の特徴構成によれば、電極層が金属支持体上に形成され、電解質層が電極層に対して金属支持体と反対側に配置されているから、電極層、電解質層および対極電極層が金属支持体に支持されることになり、加工性に優れ、堅牢性を備えた電気化学素子を実現することができる。また、安価な金属を支持体とするので、高価な電極層や電解質層等を薄層とすることが可能となり、材料コストや加工コストを抑制した低コストで、かつ、高性能で信頼性・耐久性に優れた電気化学素子を実現することができる。
また本発明では、前記電解質層の厚さが20μm以下であるように構成されると、電解質層の内部抵抗の増加を抑制した、電気化学特性の高い素子を得ることができる。なお、前記電解質層の厚さが10μm以下であると電解質層の内部抵抗の増加をより抑制できるのでより好ましい。
更に、本発明では、前記電解質層に垂直な方向を高さ方向とし、前記高さ方向に直交する方向を面内方向とした場合に、
前記凹部の頂点からの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、前記凹部の頂点との高さの差が0.5μm以上である地点と、
前記凸部の頂点からの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、前記凸部の頂点との高さの差が0.5μm以上である地点とのうち、少なくともどちらか1つの地点が前記凹凸構造部位に含まれるよう構成されると、電解質層の凹凸構造部位が対極電極層等の電解質層上の積層物と接触するため、電解質層と対極電極層等との間の密着強度を高めることができるとともに、各種の応力を緩和し、信頼性・耐久性を向上しつつ、高い性能を得ることができる。なお、上述の前記凹部の頂点との高さ、もしくは、前記凸部の頂点との高さの差が、3μm以下であると上記の効果を得ながら前記電解質層の上に対極電極層等を積層しやすくなるので好ましく、2μm以下であると対極電極層等の電解質層上の積層物を薄層化し易くなり対極電極層等の材料コストを低減できるのでより好ましい。
更に、上記の特徴構成によれば、電解質層の凹凸構造部位が中間層に接触しているから、電解質層と中間層との間の密着強度を高めることができるとともに、各種の応力を緩和し、信頼性・耐久性を向上しつつ、高い性能を得ることができる。
また、本発明では、前記中間層は前記対極電極層に接触して形成されており、前記電解質層に垂直な方向を高さ方向とした場合に、前記中間層における前記対極電極層の側の面である中間層上側面の高さ方向の幅の最大値が、前記凹凸構造部位における高さ方向の幅の最大値よりも小さくなるよう構成されているから、対極電極層の形成が容易で、かつ、信頼性・耐久性及び性能に優れた電気化学素子を得ることができる。
上記目的を達成するための本発明に係る電気化学素子の特徴構成は、
少なくとも電極層と電解質層と対極電極層とを有し、
前記電解質層は、材料が金属酸化物であり、前記電極層と前記対極電極層との間に配置されており、
前記電解質層における少なくとも前記対極電極層の側である電解質層上側面に、凹部または凸部が1つ以上含まれる凹凸構造部位が形成されており、
金属を材料とする金属支持体を有し、前記電極層が前記金属支持体上に形成され、前記電解質層が前記電極層に対して前記金属支持体と反対側に配置されており、
前記電解質層の厚さが20μm以下であり、
前記電解質層は、前記電極層を被覆する第1部分と、前記金属支持体の表側の面に接触する第2部分とを有し、
前記電解質層に垂直な方向を高さ方向とし、前記高さ方向に直交する方向を面内方向とした場合に、
前記凹部の頂点からの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、前記凹部の頂点との高さの差が0.5μm以上である地点と、
前記凸部の頂点からの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、前記凸部の頂点との高さの差が0.5μm以上である地点とのうち、少なくともどちらか1つの地点が前記凹凸構造部位に含まれ、
前記電解質層と前記対極電極層との間に配置される中間層を有し、
前記中間層は前記電解質層の前記電解質層上側面に接触して形成され、前記凹凸構造部位が前記中間層に接触し、
前記中間層は前記対極電極層に接触して形成されており、
前記中間層における前記対極電極層の側の面である中間層上側面の表面粗さ(Sa)が0.3μm未満である点にある。
特に、当該電気化学素子の如く、前記中間層は前記対極電極層に接触して形成されており、前記中間層における前記対極電極層の側の面である中間層上側面の表面粗さ(Sa)が、0.3μm未満であるよう構成されると、対極電極層の形成が容易で、かつ、信頼性・耐久性及び性能に優れた電気化学素子を得ることができる。なお、本願での表面粗さ(Sa)は10μm角の範囲での値としている。
上記目的を達成するための本発明に係る電気化学素子の特徴構成は、
少なくとも電極層と電解質層と対極電極層とを有し、
前記電解質層は、材料が金属酸化物であり、前記電極層と前記対極電極層との間に配置されており、
前記電解質層における少なくとも前記対極電極層の側である電解質層上側面に、凹部または凸部が1つ以上含まれる凹凸構造部位が形成されており、
金属を材料とする金属支持体を有し、前記電極層が前記金属支持体上に形成され、前記電解質層が前記電極層に対して前記金属支持体と反対側に配置されており、
前記電解質層の厚さが20μm以下であり、
前記電解質層は、前記電極層を被覆する第1部分と、前記金属支持体の表側の面に接触する第2部分とを有し、
前記電解質層に垂直な方向を高さ方向とし、前記高さ方向に直交する方向を面内方向とした場合に、
前記凹部の頂点からの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、前記凹部の頂点との高さの差が0.5μm以上である地点と、
前記凸部の頂点からの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、前記凸部の頂点との高さの差が0.5μm以上である地点とのうち、少なくともどちらか1つの地点が前記凹凸構造部位に含まれ、
前記電解質層と前記対極電極層との間に配置される中間層を有し、
前記中間層は前記電解質層の前記電解質層上側面に接触して形成され、前記凹凸構造部位が前記中間層に接触し、
前記電解質層と前記中間層の厚さの和の変動幅が20μmの面内幅のうちで2μm以下である点にある。
特に、当該電気化学素子の如く、前記電解質層と前記中間層の厚さの和の変動幅が20μmの面内幅のうちで2μm以下であるように構成されると、電解質層と中間層の積層部分全体の厚みが均一となり電気化学素子全体の厚みを均一化し易くなるので、電気化学素子を複数積層してモジュール化することが容易となる。
また本発明では、前記電解質層に垂直な方向を高さ方向とした場合に、前記凹凸構造部位における高さ方向の幅が前記電解質層の厚さの5%以上となる部分が前記凹凸構造部位に含まれているよう構成されると、電解質層の凹凸構造部位が対極電極層等の電解質層上の積層物と接触するため、電解質層と対極電極層等との間の密着強度を高めることができるとともに、各種の応力を緩和し、信頼性・耐久性を向上しつつ、高い性能を得ることができるので好適であり、前記電解質層の厚さの10%以上となる部分が前記凹凸構造部位に含まれているよう構成されると、より上述の効果が大きく得られるのでより好適である。なお、上記の前記凹凸構造部位における高さ方向の幅が前記電解質層の厚さの30%以下であると、上記の効果を得ながら前記電解質層の上に対極電極層等を積層しやすくなるので好ましい。
また本発明では、前記凹凸構造部位に、表面粗さ(Sa)が0.3μm以上である部分が含まれるよう構成されると、電解質層の凹凸構造部位が対極電極層等の電解質層上の積層物と接触するため、電解質層と対極電極層等との間の密着強度を高めることができるとともに、各種の応力を緩和し、信頼性・耐久性を向上しつつ、高い性能を得ることができるので好適である。なお、本願での表面粗さ(Sa)は10μm角の範囲での値としている。なお、上記の前記表面粗さ(Sa)が1.5μm以下であると、上記の効果を得ながら前記電解質層の上に対極電極層等を積層しやすくなるので好ましく、1μm以下であると対極電極層等の電解質層上の積層物を薄層化し易くなり対極電極層等の材料コストを低減できるのでより好ましい。
ここで、中間層は電解質層ほどの緻密度は不要であるため、中間層はある程度ポーラスにすることが可能であり、多孔質な対極電極層と中間層との間ではある程度応力の緩和効果があるため、対極電極層の側の面である中間層上側面を平坦にし、応力緩和効果よりも、対極電極層の積層のしやすさを優先することが可能となり、対極電極層の形成が容易で、かつ、信頼性・耐久性及び性能に優れた電気化学素子を得ることができるので好適である。
本発明では、前記対極電極層がカソードとして機能するように構成することも可能である。SOFCの場合、アノードには電解質材料と触媒金属を含む複合材料を使う場合が多く、一方で、カソードには複合酸化物を使う場合が多いが、前記対極電極層がカソードであると、カソード材料と電解質材料との材料組成が大きく異なるので、前記凹凸構造部位を設ける効果が大きく、好適である。
また本発明では、前記電極層と前記電解質層との間に配置される挿入層を有するように構成することも可能である。前記電極層と前記電解質層との間に挿入層を配置すると、電気化学素子での各種応力への緩和効果がより大きくなるので好適である。
本発明に係る電気化学素子の別の特徴構成は、前記金属支持体の一方の面に前記電極層が形成され、前記金属支持体が一方の面から他方の面へ貫通する貫通孔を有している点にある。
上記の特徴構成によれば、金属支持体が一方の面から他方の面へ貫通する貫通孔を有しているから、他方の面から貫通孔を通じて電極層へ気体を容易に供給できるので、燃料電池のような気体を反応に用いる電気化学素子に好適である。
本発明に係る電気化学素子の別の特徴構成は、前記電解質層が安定化ジルコニアを含有する点にある。
上記の特徴構成によれば、電解質層が安定化ジルコニアを含むから、例えば600℃以上、好ましくは650℃以上の比較的高い温度域でも高い電気化学性能を発揮可能な素子を実現できる。
本発明では、前記電解質層の厚さが1μm以上であるように構成されると、電解質層を薄層として形成する電気化学素子であっても必要な機械的強度が得られるので、好適である。なお、前記電解質層の厚さが2μm以上であると機械的強度をより高くすることができるのでより好ましい。
本発明に係る電気化学モジュールの特徴構成は、上述の電気化学素子が複数積層した状態で配置される点にある。
上記の特徴構成によれば、上述の電気化学素子が複数積層した状態で配置されるので、材料コストと加工コストを抑制しつつ、コンパクトで高性能な、強度と信頼性に優れた電気化学モジュールを得ることができる。
本発明に係る電気化学装置の特徴構成は、上述の電気化学モジュールと改質器を少なくとも有し、前記電気化学モジュールに対して還元性成分を含有する燃料ガスを供給する燃料供給部と、前記電気化学モジュールから電力を取り出すインバータとを有する点にある。
上記の特徴構成によれば、電気化学モジュールと改質器を有し電気化学モジュールに対して還元性成分を含有する燃料ガスを供給する燃料供給部と、電気化学モジュールから電力を取り出すインバータとを有するので、都市ガス等の既存の原燃料供給インフラを用い、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学モジュールから電力を取り出すことができ、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学装置を実現することができる。また、電気化学モジュールから排出される未利用の燃料ガスをリサイクルするシステムを構築し易くなるため、高効率な電気化学装置を実現することができる。
本発明に係るエネルギーシステムの特徴構成は、上述の電気化学装置と、前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部を有する点にある。
上記の特徴構成によれば、電気化学装置と、電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部を有するので、耐久性・信頼性および性能に優れ、かつエネルギー効率にも優れたエネルギーシステムを実現することができる。なお、電気化学装置から排出される未利用の燃料ガスの燃焼熱を利用して発電する発電システムと組み合わせてエネルギー効率に優れたハイブリットシステムを実現することもできる。
上記目的を達成するための本発明に係る固体酸化物形燃料電池の特徴構成は、上述した電気化学素子を備え、定格運転時に前記電気化学素子を600℃以上750℃以下の温度において発電反応を生じさせる点にある。
上記の特徴構成によれば、定格運転時に600℃以上750℃以下の温度において発電反応を生じさせるから、高い発電性能を発揮しつつ、金属支持型電気化学素子の劣化を抑制して燃料電池の性能を長期間維持することが可能となる。なお、定格運転時に650℃以上750℃以下の温度域で運転可能とされると、都市ガス等の炭化水素系ガスを原燃料とする燃料電池システムにおいて、原燃料を水素に変換する際に必要となる熱を燃料電池の排熱で賄うことが可能なシステムを構築できるため、燃料電池システムの発電効率を高めることができるので、より好ましい。
上述の電気化学素子を製造するための、本発明に係る電気化学素子製造方法は、金属酸化物粉末を前記電極層の上にスプレーコートすることで前記電解質層を形成する点を特徴構成とする。あるいは、金属酸化物粉末を前記挿入層の上にスプレーコートすることで前記電解質層を形成する点を特徴構成とする。
上記の特徴構成によれば、簡便な方法で前記凹凸構造部位を形成できるため、低コストな電気化学素子を得ることができ、好適である。
電気化学素子の構成を示す概略図 電気化学素子の断面の電子顕微鏡写真 電気化学素子の断面の電子顕微鏡写真 電気化学素子の断面の電子顕微鏡写真 電気化学素子および電気化学モジュールの構成を示す概略図 電気化学装置およびエネルギーシステムの構成を示す概略図 電気化学モジュールの構成を示す概略図
<第1実施形態>
以下、図1を参照しながら、本実施形態に係る電気化学素子Eおよび固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)について説明する。電気化学素子Eは、例えば、水素を含む燃料ガスと空気の供給を受けて発電する固体酸化物形燃料電池の構成要素として用いられる。なお以下、層の位置関係などを表す際、例えば電解質層4から見て対極電極層6の側を「上」または「上側」、電極層2の側を「下」または「下側」という場合がある。また、金属基板1における電極層2が形成されている側の面を「表側」、反対側の面を「裏側」という場合がある。また図3および4に示すように、電解質層4に垂直な方向を「高さ方向」または「Y方向」、高さ方向に直交する方向を「面内方向」または「X方向」という場合がある。
(電気化学素子)
電気化学素子Eは、図1に示される通り、金属基板1(金属支持体)と、金属基板1の上に形成された電極層2と、電極層2の上に形成された緩衝層3(挿入層)と、緩衝層3の上に形成された電解質層4とを有する。そして電気化学素子Eは、更に、電解質層4の上に形成された反応防止層5(中間層)と、反応防止層5の上に形成された対極電極層6とを有する。つまり対極電極層6は電解質層4の上に形成され、反応防止層5は電解質層4と対極電極層6との間に形成されている。電極層2は多孔質であり、電解質層4は緻密である。
そして本実施形態に係る電気化学素子Eは、電解質層4における対極電極層6の側である電解質層上側面4a(図2参照)に、凹部Aまたは凸部Bが1つ以上含まれる凹凸構造部位Sが形成されている。図2の、実施例1(後述)に係る電気化学素子Eの断面の電子顕微鏡写真では、1つの凹部A1と1つの凸部B1とを有する凹凸構造部位S1が示されている。凹凸構造部位Sについては後述する。
(金属基板)
金属基板1は、電極層2、緩衝層3および電解質層4等を支持して電気化学素子Eの強度を保つ、支持体としての役割を担う。金属基板1の材料としては、電子伝導性、耐熱性、耐酸化性および耐腐食性に優れた材料が用いられる。例えば、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、ニッケル合金などが用いられる。特に、クロムを含む合金が好適に用いられる。なお本実施形態では、金属支持体として板状の金属基板1が用いられるが、金属支持体としては他の形状、例えば箱状、円筒状などの形状も可能である。
なお、金属基板1は、支持体として電気化学素子を形成するのに充分な強度を有すれば良く、例えば、0.1mm~2mm程度、好ましくは0.1mm~1mm程度、より好ましくは0.1mm~0.5mm程度の厚みのものを用いることができる。
金属基板1は、表側の面と裏側の面とを貫通して設けられる複数の貫通孔1aを有する。なお、例えば、貫通孔1aは、機械的、化学的あるいは光学的穿孔加工などにより、金属基板1に設けることができる。貫通孔1aは、金属基板1の裏側の面から表側の面へ気体を透過させる機能を有する。金属基板1に気体透過性を持たせるために、多孔質金属を用いることも可能である。例えば、金属基板1は、焼結金属や発泡金属等を用いることもできる。
金属基板1の表面に、拡散抑制層としての金属酸化物層1bが設けられる。すなわち、金属基板1と後述する電極層2との間に、拡散抑制層が形成されている。金属酸化物層1bは、金属基板1の外部に露出した面だけでなく、電極層2との接触面(界面)および貫通孔1aの内側の面にも設けられる。この金属酸化物層1bにより、金属基板1と電極層2との間の元素相互拡散を抑制することができる。例えば、金属基板1としてクロムを含有するフェライト系ステンレスを用いた場合は、金属酸化物層1bが主にクロム酸化物となる。そして、金属基板1のクロム原子等が電極層2や電解質層4へ拡散することを、クロム酸化物を主成分とする金属酸化物層1bが抑制する。金属酸化物層1bの厚さは、拡散防止性能の高さと電気抵抗の低さを両立させることのできる厚みであれば良い。例えばサブミクロンオーダーであることが好ましく、具体的には、平均的な厚さが0.3μm以上0.7μm以下程度であることがより好ましい。また、最小厚さは約0.1μm以上であることがより好ましい。
また、最大厚さが約1.1μm以下であることが好ましい。
金属酸化物層1bは種々の手法により形成されうるが、金属基板1の表面を酸化させて金属酸化物とする手法が好適に利用される。また、金属基板1の表面に、金属酸化物層1bをスパッタリング法やPLD法、CVD法、スプレーコーティング法などにより形成しても良いし、メッキと酸化処理によって形成しても良い。更に、金属酸化物層1bは導電性の高いスピネル相などを含んでも良い。
金属基板1としてフェライト系ステンレス材を用いた場合、電極層2や電解質層4の材料として用いられるYSZ(イットリア安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア、CGOとも呼ぶ)等と熱膨張係数が近い。従って、低温と高温の温度サイクルが繰り返された場合も電気化学素子Eがダメージを受けにくい。よって、長期耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できるので好ましい。
(電極層)
電極層2は、図1に示すように、金属基板1の表側の面であって貫通孔1aが設けられた領域より大きな領域に、薄層の状態で設けることができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは、5μm~50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。貫通孔1aが設けられた領域の全体が、電極層2に覆われている。つまり、貫通孔1aは金属基板1における電極層2が形成された領域の内側に形成されている。換言すれば、全ての貫通孔1aが電極層2に面して設けられている。
電極層2の材料としては、例えばNiO-GDC、Ni-GDC、NiO-YSZ、Ni-YSZ、CuO-CeO2、Cu-CeO2などの複合材を用いることができる。これらの例では、GDC、YSZ、CeO2を複合材の骨材と呼ぶことができる。なお、電極層2は、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法、スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能なプロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに、良好な電極層2が得られる。そのため、金属基板1を傷めることなく、また、金属基板1と電極層2との元素相互拡散を抑制することができ、耐久性に優れた電気化学素子を実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
電極層2は、気体透過性を持たせるため、その内部および表面に複数の細孔を有する。
すなわち電極層2は、多孔質な層として形成される。電極層2は、例えば、その緻密度が30%以上80%未満となるように形成される。細孔のサイズは、電気化学反応を行う際に円滑な反応が進行するのに適したサイズを適宜選ぶことができる。なお緻密度とは、層を構成する材料の空間に占める割合であって、(1-空孔率)と表すことができ、また、相対密度と同等である。
(緩衝層)
緩衝層3(挿入層)は、図1に示すように、電極層2を覆った状態で、電極層2の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは2μm~50μm程度、より好ましくは5μm~20μm程度とすることができる。このような厚さにすると、高価な緩衝層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な性能を確保することが可能となる。緩衝層3の材料としては、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)等を用いることができる。特にセリア系のセラミックスが好適に用いられる。
緩衝層3は、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法、スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能な成膜プロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに緩衝層3が得られる。そのため、金属基板1を傷めることなく、金属基板1と電極層2との元素相互拡散を抑制することができ、耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できる。
また、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
緩衝層3としては、酸素イオン(酸化物イオン)伝導性を有することが好ましい。また、酸素イオン(酸化物イオン)と電子との混合伝導性を有すると更に好ましい。これらの性質を有する緩衝層3は、電気化学素子Eへの適用に適している。
なお、緩衝層3はNiやCu等の触媒金属成分を含まないことが好ましい。NiやCu等の触媒金属成分を含むと所望の緩衝層3が得られにくくなるからである。
(電解質層)
電解質層4は、図1に示すように、電極層2および緩衝層3を覆った状態で、緩衝層3の上に薄層の状態で形成される。詳しくは電解質層4は、図1に示すように、緩衝層3の上と金属基板1の上とにわたって(跨って)設けられる。このように構成し、電解質層4を金属基板1に接合することで、電気化学素子全体として堅牢性に優れたものとすることができる。
また電解質層4は、図1に示すように、金属基板1の表側の面であって貫通孔1aが設けられた領域より大きな領域に設けられる。つまり、貫通孔1aは金属基板1における電解質層4が形成された領域の内側に形成されている。
また電解質層4の周囲においては、電極層2および緩衝層3からのガスのリークを抑制することができる。説明すると、電気化学素子EをSOFCの構成要素として用いる場合、SOFCの作動時には、金属基板1の裏側から貫通孔1aを通じて電極層2へガスが供給される。電解質層4が金属基板1に接している部位においては、ガスケット等の別部材を設けることなく、ガスのリークを抑制することができる。なお、本実施形態では電解質層4によって電極層2の周囲をすべて覆っているが、電極層2および緩衝層3の上部に電解質層4を設け、周囲にガスケット等を設ける構成としてもよい。
電解質層4の材料としては、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)、LSGM(ストロンチウム・マグネシウム添加ランタンガレート)等を用いることができる。特にジルコニア系のセラミックスが好適に用いられる。電解質層4をジルコニア系セラミックスとすると、電気化学素子Eを用いたSOFCの稼働温度をセリア系セラミックスに比べて高くすることができる。例えば電気化学素子EをSOFCに用いる場合、電解質層4の材料としてYSZのような650℃程度以上の高温域でも高い電解質性能を発揮できる材料を用い、システムの原燃料に都市ガスやLPG等の炭化水素系の原燃料を用い、原燃料を水蒸気改質等によってSOFCのアノードガスとするシステム構成とすると、SOFCのセルスタックで生じる熱を原燃料ガスの改質に用いる高効率なSOFCシステムを構築することができる。
電解質層4は、低温焼成法(例えば1100℃以上の高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法、スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能な成膜プロセスにより、例えば1100℃以上の高温域での焼成を用いずに、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層4が得られる。そのため、金属基板1の損傷を抑制し、また、金属基板1と電極層2との元素相互拡散を抑制することができ、性能・耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、スプレーコーティング法を用いると、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層が低温域で容易に得られやすいので更に好ましい。
電解質層4は、アノードガスやカソードガスのガスリークを遮蔽し、かつ、高いイオン伝導性を発現するために、緻密に構成される。電解質層4の緻密度は90%以上が好ましく、95%以上であるとより好ましく、98%以上であると更に好ましい。電解質層4は、均一な層である場合は、その緻密度が95%以上であると好ましく、98%以上であるとより好ましい。また、電解質層4が、複数の層状に構成されているような場合は、そのうちの少なくとも一部が、緻密度が98%以上である層(緻密電解質層)を含んでいると好ましく、99%以上である層(緻密電解質層)を含んでいるとより好ましい。このような緻密電解質層が電解質層の一部に含まれていると、電解質層が複数の層状に構成されている場合であっても、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層を形成しやすくできるからである。
(反応防止層)
反応防止層5(中間層)は、電解質層4の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは2μm~50μm程度、より好ましくは5μm~20μm程度とすることができる。このような厚さにすると、高価な反応防止層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な性能を確保することが可能となる。反応防止層5の材料としては、電解質層4の成分と対極電極層6の成分との間の反応を防止できる材料であれば良い。例えばセリア系材料等が用いられる。反応防止層5を電解質層4と対極電極層6との間に導入することにより、対極電極層6の構成材料と電解質層4の構成材料との反応が効果的に抑制され、電気化学素子Eの性能の長期安定性を向上できる。反応防止層5の形成は、1100℃以下の処理温度で形成できる方法を適宜用いて行うと、金属基板1の損傷を抑制し、また、金属基板1と電極層2との元素相互拡散を抑制でき、性能・耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できるので好ましい。例えば、低温焼成法、スプレーコーティング法、スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法、CVD法などを適宜用いて行うことができる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
(対極電極層)
対極電極層6は、電解質層4もしくは反応防止層5の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは、5μm~50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な対極電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。対極電極層6の材料としては、例えば、LSCF、LSM等の複合酸化物を用いることができる。以上の材料を用いて構成される対極電極層6は、カソードとして機能する。
なお、対極電極層6の形成は、1100℃以下の処理温度で形成できる方法を適宜用いて行うと、金属基板1の損傷を抑制し、また、金属基板1と電極層2との元素相互拡散を抑制でき、性能・耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できるので好ましい。例えば、低温焼成法、スプレーコーティング法、スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法、CVD法などを適宜用いて行うことができる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
(固体酸化物形燃料電池)
以上のように電気化学素子Eを構成することで、電気化学素子Eを固体酸化物形燃料電池の発電セルとして用いることができる。例えば、金属基板1の裏側の面から貫通孔1aを通じて水素を含む燃料ガスを電極層2へ供給し、電極層2の対極となる対極電極層6へ空気を供給し、例えば、600℃以上750℃以下の温度で作動させる。そうすると、対極電極層6において空気に含まれる酸素O2が電子e-と反応して酸素イオンO2-が生成される。その酸素イオンO2-が電解質層4を通って電極層2へ移動する。電極層2においては、供給された燃料ガスに含まれる水素H2が酸素イオンO2-と反応し、水H2Oと電子e-が生成される。以上の反応により、電極層2と対極電極層6との間に起電力が発生する。この場合、電極層2はSOFCの燃料極(アノード)として機能し、対極電極層6は空気極(カソード)として機能する。
(電気化学素子の製造方法)
次に、電気化学素子Eの製造方法について説明する。
(電極層形成ステップ)
電極層形成ステップでは、金属基板1の表側の面の貫通孔1aが設けられた領域より広い領域に電極層2が薄膜の状態で形成される。金属基板1の貫通孔はレーザー加工等によって設けることができる。電極層2の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法、スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属基板1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
電極層形成ステップを低温焼成法で行う場合には、具体的には以下の例のように行う。
まず電極層2の材料粉末と溶媒とを混合して材料ペーストを作成し、金属基板1の表側の面に塗布し、800℃~1100℃で焼成する。
(拡散抑制層形成ステップ)
上述した電極層形成ステップにおける焼成工程時に、金属基板1の表面に金属酸化物層1b(拡散抑制層)が形成される。なお、上記焼成工程に、焼成雰囲気を酸素分圧が低い雰囲気条件とする焼成工程が含まれていると元素の相互拡散抑制効果が高く、抵抗値の低い良質な金属酸化物層1b(拡散抑制層)が形成されるので好ましい。電極層形成ステップを、焼成を行わないコーティング方法とする場合を含め、別途の拡散抑制層形成ステップを含めても良い。いずれにおいても、金属基板1の損傷を抑制可能な1100℃以下の処理温度で実施することが望ましい。
(緩衝層形成ステップ)
緩衝層形成ステップでは、電極層2を覆う形態で、電極層2の上に緩衝層3が薄層の状態で形成される。緩衝層3の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法、スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属基板1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
緩衝層形成ステップを低温焼成法で行う場合には、具体的には以下の例のように行う。
まず緩衝層3の材料粉末と溶媒とを混合して材料ペーストを作成し、電極層2の上に塗布し、800℃~1100℃で焼成する。
(電解質層形成ステップ)
電解質層形成ステップでは、電極層2および緩衝層3を覆った状態で、電解質層4が緩衝層3の上に薄層の状態で形成される。電解質層4の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法、スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属基板1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
緻密で気密性およびガスバリア性能の高い、良質な電解質層4を1100℃以下の温度域で形成するためには、電解質層形成ステップをスプレーコーティング法で行うことが望ましい。その場合、電解質層4の材料を金属基板1上の緩衝層3に向けて噴射し、電解質層4を形成する。
上述した凹凸構造部位Sを形成するために、電解質層形成ステップを次の様に行う場合がある。例えば、スクリーン印刷による低温焼成法を用いる場合には、形成しようとする凹凸構造部位Sの形状に応じた形状の表面加工を施したスクリーンを用いて、電解質層4の材料を含有するペーストの印刷を行い、印刷されたペースト層の表面に凹凸構造を形成し、その後に1100℃以下の温度で焼成して電解質層4を形成することが可能である。
あるいは、通常のスクリーンを用いて電解質層4の材料を含有するペーストの印刷した後、印刷されたペースト層の表層部を機械的に除去する操作を加え、ペースト層の表面に凹凸構造を形成し、その後に1100℃以下の温度で焼成することによっても電解質層4を形成することが可能である。また、スプレーコーティング法を用いる場合には、電解質の原材料を金属基板1上の緩衝層3に向けて噴射する速度を変動させたり、供給成膜原料中の原材料濃度を変動させたり、噴射口と金属基板1の相対位置の変位速度を変動させたり、供給成膜原料中の電解質材料に粒径が異なる材料を混在させたりして、電解質層4を形成することが可能である。なお、供給成膜原料濃度等を積極的に変動させずとも、原材料の特性や噴射速度、圧力、基板の移動速度等の成膜条件によっては、適切な凹凸構造部位Sが形成される場合もある。また、いずれの成膜方法を採用した場合でも、電解質層4を形成した後にブラスト処理を施して、電解質層4の表面に凹凸構造部位Sを形成することも可能である。
(反応防止層形成ステップ)
反応防止層形成ステップでは、反応防止層5が電解質層4の上に薄層の状態で形成される。反応防止層5の形成は、上述したように、低温焼成法、スプレーコーティング法、スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属基板1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。なお反応防止層5(中間層)の上側の面(中間層上側面5a)を平坦にするために、例えば反応防止層5の形成後にレベリング処理や表面を切削・研磨処理を施したり、湿式形成後焼成前に、プレス加工を施してもよい。
(対極電極層形成ステップ)
対極電極層形成ステップでは、対極電極層6が反応防止層5の上に薄層の状態で形成される。対極電極層6の形成は、上述したように、低温焼成法、スプレーコーティング法、スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属基板1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
以上の様にして、電気化学素子Eを製造することができる。
なお電気化学素子Eにおいて、緩衝層3(挿入層)と反応防止層5(中間層)とは、何れか一方、あるいは両方を備えない形態とすることも可能である。すなわち、電極層2と電解質層4とが接触して形成される形態、あるいは電解質層4と対極電極層6とが接触して形成される形態も可能である。この場合に上述の製造方法では、緩衝層形成ステップ、反応防止層形成ステップが省略される。なお、他の層を形成するステップを追加したり、同種の層を複数積層したりすることも可能であるが、いずれの場合であっても、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
(実施例1)
厚さ0.3mm、直径25mmの円形のcrofer22APUの金属板に対して、中心から半径2.5mmの領域にレーザー加工により貫通孔1aを複数設けて、金属基板1を作製した。なお、この時、金属基板1の表面の貫通孔1aの直径が10~15μm程度となるようにレーザー加工により貫通孔を設けた。
次に、60重量%のNiO粉末と40重量%のGDC粉末を混合し、有機バインダーと有機溶媒を加えてペーストを作製した。そのペーストを用いて、金属基板1の中心から半径3mmの領域に電極層2を積層した。なお、電極層2の形成にはスクリーン印刷を用いた。
次に、電極層2を積層した金属基板1に対して、850℃で焼成処理を行った(電極層形成ステップ、拡散抑制層形成ステップ)。
このように電極層2を積層した状態での金属基板1のHeリーク量は、0.2MPaの圧力下で50mL/分・cm2を越える量であった。このことから、電極層2は緻密度およびガスバリア性の低い多孔質な層として形成されていると分かる。
次に、GDCの微粉末に有機バインダーと有機溶媒を加えてペーストを作製した。そのペーストを用いて、スクリーン印刷により、電極層2を積層した金属基板1の中心から半径5mmの領域に緩衝層3を積層した。
次に、緩衝層3を積層した金属基板1に対して、1050℃で焼成処理を行った(緩衝層形成ステップ)。
以上のステップで得られた電極層2の厚さは約10μmであり、緩衝層3の厚さは約8μmであった。また、このように電極層2と緩衝層3を積層した状態での金属基板1のHeリーク量は、0.2MPaの圧力下で13.5mL/分・cm2であった。
続いて、8YSZ(イットリア安定化ジルコニア)成分を供給量を0.3g/分~7.2g/分の間で変動させながら、金属基板1の緩衝層3の上に、緩衝層3を覆うように15mm×15mmの範囲で5mm/秒のスキャン速度で基板を移動させながら噴射し、表面に凹凸部を有する電解質層4を形成した(スプレーコート)。なお、その際、金属基板1は加熱しなかった(電解質層形成ステップ)。
以上のステップで得られた電解質層4の厚さは5.0~5.7μmであった。このように電極層2と緩衝層3と電解質層4を積層した状態での金属基板1のHeリーク量を0.2MPaの圧力下で測定したところ、Heリーク量は検出下限(1.0mL/分・cm2)未満であった。つまり、緩衝層3までを積層した状態でのHeリーク量に比べ、電解質層4を積層した状態でのHeリーク量は大幅に小さくなり、検出限界を下回るものとなった。従って、形成された電解質層4は、緻密でガスバリア性能の高い、良質なものであることが確認された。
次に、GDC粉末とLSCF粉末とを混合し、有機バインダーと有機溶媒を加えてペーストを作製した。そのペーストを用いて、スクリーン印刷により、電解質層4の上に対極電極層6を形成した。最後に、対極電極層6を形成した電気化学素子Eを900℃にて焼成し(対極電極層形成ステップ)、電気化学素子Eを得た。
得られた電気化学素子Eについて、電極層2に水素ガス、対極電極層6に空気を供給して固体酸化物形燃料電池セルとしての開回路電圧(OCV)を測定した。結果は、750℃で1.03Vであった。
このようにして得られた実施例1に係る電気化学素子Eの断面の電子顕微鏡写真を図2(2500倍)および図3(5000倍)に示す。図2および図3に示される様に、実施例1に係る電気化学素子Eでは、対極電極層6が電解質層4の電解質層上側面4aに接触して形成され、凹凸構造部位Sが対極電極層6に接触している。そして層間の剥離や亀裂等の発生も見られず、非常に均一で密着強度の高い状態で形成されている。
図3は、図2に示された凹凸構造部位S1を倍率5000倍で撮影した画像である。凹凸構造部位S1には、比較的大きい凹部A1と、凸部B1と、凸部B2とが含まれるが、その他にも様々な寸法の凹部と凸部とが多数含まれる。
以下、凹凸構造部位S1の凹部A1と凸部B1について、その頂点C1と頂点D1との間の位置関係について説明する。頂点C1と頂点D1との間の距離は、面内方向(X方向)の距離L1が3.62μmであり、高さ方向(Y方向)の距離H1が0.64μmである。そうすると頂点D1は、凹部A1の頂点C1からみて、面内方向の距離(L1)が5μm以内で、高さの差(H1)が0.5μm以上である地点(P1)である。また逆に頂点C1は、凸部B1の頂点D1からみて、面内方向の距離(L1)が5μm以内で、高さの差(H1)が0.5μm以上である地点(P2)である。
つまり実施例1の電気化学素子Eでは、凹部A1の頂点C1からの面内方向の距離(L1)が5μm以内の地点であって、凹部A1の頂点C1との高さの差(H1)が0.5μm以上である地点P1と、凸部B1の頂点D1からの面内方向の距離(L1)が5μm以内の地点であって、凸部B1の頂点D1との高さの差(H1)が0.5μm以上である地点P2とが、凹凸構造部位S1に含まれるといえる。
また図3から明らかな通り、凹凸構造部位S1において凹部A1の頂点C1が高さ(高さ方向の座標)が最も低く、凸部B1の頂点D1が高さが最も高い。従って、凹凸構造部位S1における高さ方向(Y方向)の幅は、距離H1であり、0.64μmである。一方、図3に示された電解質層4の厚さT1は、5.02μmである。距離H1は、厚さT1の12%にあたる。従って実施例1の電気化学素子Eでは、凹凸構造部位における高さ方向の幅が、電解質層4の厚さの5%以上であるといえる。
(実施例2)
厚さ0.3mm、直径25mmの円形のcrofer22APUの金属板に対して、中心から半径2.5mmの領域にレーザー加工により貫通孔1aを複数設けて、金属基板1を作成した。なお、この時、金属基板1の表面の貫通孔1aの直径が10~15μm程度となるようにレーザー加工により貫通孔を設けた。
次に、60重量%のNiO粉末と40重量%のGDC粉末を混合し、有機バインダーと有機溶媒を加えてペーストを作製した。そのペーストを用いて、金属基板1の中心から半径3mmの領域に電極層2を積層した。なお、電極層2の形成にはスクリーン印刷を用いた。
次に、電極層2を積層した金属基板1に対して、850℃で焼成処理を行った(電極層形成ステップ、拡散抑制層形成ステップ)。
このように電極層2を積層した状態での金属基板1のHeリーク量は、0.2MPaの圧力下で50mL/分・cm2を越える量であった。このことから、電極層2は緻密度およびガスバリア性の低い多孔質な層として形成されていると分かる。
次に、GDCの微粉末に有機バインダーと有機溶媒を加えてペーストを作製した。そのペーストを用いて、スクリーン印刷により、電極層2を積層した金属基板1の中心から半径5mmの領域に緩衝層3を積層した。
次に、緩衝層3を積層した金属基板1に対して、1050℃で焼成処理を行った(緩衝層形成ステップ)。
以上のステップで得られた電極層2の厚さは約9μmであり、緩衝層3の厚さは約8μmであった。また、このように電極層2と緩衝層3を積層した状態での金属基板1のHeリーク量は、0.2MPaの圧力下で7.5mL/分・cm2であった。
続いて、8YSZ(イットリア安定化ジルコニア)成分を供給量を0.4g/分~9.3g/分の間で変動させながら、金属基板1の緩衝層3の上に、緩衝層3を覆うように15mm×15mmの範囲で5mm/秒のスキャン速度で基板を移動させながら噴射し、表面に凹凸部を有する電解質層4を形成した(スプレーコート)。なお、その際、金属基板1は加熱しなかった(電解質層形成ステップ)。
以上のステップで得られた電解質層4の厚さは5.4~7.6μmであった。このように電極層2と緩衝層3と電解質層4を積層した状態での金属基板1のHeリーク量を0.2MPaの圧力下で測定したところ、Heリーク量は検出下限(1.0mL/分・cm2)未満であった。つまり、緩衝層3までを積層した状態でのHeリーク量に比べ、電解質層4を積層した状態でのHeリーク量は大幅に小さくなり、検出限界を下回るものとなった。従って、形成された電解質層4は、緻密でガスバリア性能の高い、良質なものであることが確認された。
次に、GDCの微粉末に有機バインダーと有機溶媒を加えてペーストを作製した。そのペーストを用いて、スクリーン印刷により、電気化学素子Eの電解質層4の上に、反応防止層5を形成した。
その後、反応防止層5を形成した電気化学素子Eに対して、300MPaの圧力でCIP成形した後、1000℃で焼成処理を行うことで、表面が平坦な反応防止層5を形成した(反応防止層形成ステップ)。
更に、GDC粉末とLSCF粉末とを混合し、有機バインダーと有機溶媒を加えてペーストを作製した。そのペーストを用いて、スクリーン印刷により、反応防止層5の上に対極電極層6を形成した。最後に、対極電極層6を形成した電気化学素子Eを900℃にて焼成し(対極電極層形成ステップ)、電気化学素子Eを得た。
得られた電気化学素子Eについて、電極層2に水素ガス、対極電極層6に空気を供給して固体酸化物形燃料電池セルとしての開回路電圧(OCV)を測定した。結果は、750℃で1.1Vであった。また、750℃で0.28W/cm2の出力が得られた。
このようにして得られた実施例2に係る電気化学素子Eの断面の電子顕微鏡写真を図4(2500倍)に示す。図4に示される様に、実施例2に係る電気化学素子Eでは、反応防止層5(中間層)が電解質層4の電解質層上側面4aに接触して形成され、凹凸構造部位Sが反応防止層5に接触している。反応防止層5における対極電極層6の側の面(中間層上側面5a)は、平坦に形成されている。そして層間の剥離や亀裂等の発生も見られず、非常に均一で密着強度の高い状態で形成されている。
図4に示される様に、凹凸構造部位S2には、比較的大きい凹部A2と、凹部A3と、凸部B3とが含まれるが、その他にも様々な寸法の凹部と凸部とが多数含まれる。凹凸構造部位S3には、比較的大きい凹部A4と、凹部A5と、凸部B4とが含まれるが、その他にも様々な寸法の凹部と凸部とが多数含まれる。
以下、凹凸構造部位S2の凹部A2について、その頂点C2と地点P3との間の位置関係について説明する。地点P3は、頂点C2の図中右上側の地点である。頂点C2と地点P3との間の距離は、面内方向(X方向)の距離L2が3.08μmであり、高さ方向(Y方向)の距離H2が0.98μmである。そうすると地点P3は、凹部A2の頂点C2からみて、面内方向の距離(L2)が5μm以内で、高さの差(H2)が0.5μm以上である地点である。
つまり実施例2の電気化学素子Eでは、凹部A2の頂点C2からの面内方向の距離(L2)が5μm以内の地点であって、凹部A2の頂点C2との高さの差(H2)が0.5μm以上である地点P3が、凹凸構造部位S2に含まれるといえる。
次に、凹凸構造部位S2の凹部A3と凸部B3について、その頂点C3と頂点D2との間の位置関係について説明する。頂点C3と頂点D2との間の距離は、面内方向(X方向)の距離L3が3.04μmであり、高さ方向(Y方向)の距離H3が1.36μmである。そうすると頂点D2は、凹部A3の頂点C3からみて、面内方向の距離(L3)が5μm以内で、高さの差(H3)が0.5μm以上である地点(P5)である。また逆に頂点C3は、凸部B3の頂点D2からみて、面内方向の距離(L3)が5μm以内で、高さの差(H3)が0.5μm以上である地点(P4)である。
つまり実施例2の電気化学素子Eでは、凹部A3の頂点C3からの面内方向の距離(L3)が5μm以内の地点であって、凹部A3の頂点C3との高さの差(H3)が0.5μm以上である地点P5と、凸部B3の頂点D2からの面内方向の距離(L3)が5μm以内の地点であって、凸部B3の頂点D2との高さの差(H3)が0.5μm以上である地点P4とが、凹凸構造部位S2に含まれるといえる。
続いて、凹凸構造部位S3の凹部A5と凸部B4について、その頂点C5と頂点D3との間の位置関係について説明する。頂点C5と頂点D3との間の距離は、面内方向(X方向)の距離L4が3.55μmであり、高さ方向(Y方向)の距離H4が0.98μmである。そうすると頂点D3は、凹部A5の頂点C5からみて、面内方向の距離(L4)が5μm以内で、高さの差(H4)が0.5μm以上である地点(P7)である。また逆に頂点C5は、凸部B4の頂点D3からみて、面内方向の距離(L4)が5μm以内で、高さの差(H4)が0.5μm以上である地点(P6)である。
つまり実施例2の電気化学素子Eでは、凹部A5の頂点C5からの面内方向の距離(L4)が5μm以内の地点であって、凹部A5の頂点C5との高さの差(H4)が0.5μm以上である地点P7と、凸部B4の頂点D3からの面内方向の距離(L4)が5μm以内の地点であって、凸部B4の頂点D3との高さの差(H4)が0.5μm以上である地点P6とが、凹凸構造部位S3に含まれるといえる。
また図4に示された各点の間の高さ方向の距離H2、H3およびH4のうち、H3が一番大きく1.36μmである。一方、図4に示された電解質層4の厚さT2は、6.26μmである。距離H3は、厚さT2の21%にあたる。従って実施例2の電気化学素子Eでは、凹凸構造部位における高さ方向の幅が、電解質層4の厚さの5%以上であるといえる。
また図4に示される、反応防止層5における対極電極層6の側の面(中間層上側面5a)の高さ方向の幅Wは、0.65μm(図4に示された反応防止層5における対極電極層6の側の面の高さ方向の幅の最大値)である。一方、凹凸構造部位S2における頂点C3と頂点D2との間の高さ方向の距離H3は、上述の通り1.36μm(図4に示された凹凸構造部位における高さ方向の幅の最大値)である。従って実施例2の電気化学素子Eでは、反応防止層5における対極電極層6の側の面(中間層上側面5a)の高さ方向の幅の最大値(W)が、凹凸構造部位Sにおける高さ方向の幅の最大値(H3)よりも小さいことが分かる。
なお凹凸構造部位Sに、凹部Aの頂点Cからの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、凹部Aの頂点Cとの高さの差が0.5μm以上である地点や、凸部Bの頂点Dからの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、凸部Bの頂点Dとの高さの差が0.5μm以上である地点が含まれるということは、凹凸構造部位Sに傾斜が急峻な領域が含まれることを意味する。詳しくは、凹凸構造部位Sに傾斜(=高さの差/面内方向の距離)が10%以上となる領域が含まれることを意味する。このように傾斜が急峻な領域が、電解質層4と対極電極層6、あるいは電解質層4と反応防止層5(中間層)との間の密着強度を高めていると考えられる。
また図4から明らかな通り、電解質層4と反応防止層5とを合わせた厚さは、ほぼ一定となっており、両層の厚さの環の変動幅は、上述のW(=0.65μm)と同程度である。すなわち実施例2の電気化学素子Eでは、電解質層4と反応防止層5(中間層)の厚さの和の変動幅が、20μmの面内幅のうちで2μm以下であるように構成されている。なお面内幅とは、面内方向の幅を意味する。
実施例2と同様にして作製した電気化学素子の電解質層表面の10μm角の範囲の任意の15カ所について、レーザー顕微鏡による画像処理で表面粗さ(Sa)を測定したところ、0.57μm、0.53μm、0.50μm、0.44μm、0.44μm、0.37μm、0.34μm、0.34μm、0.32μm、0.30μm、0.25μm、0.25μm、0.24μm、0.23μm、0.22μmであり、前記凹凸構造部位に、表面粗さ(Sa)が0.3μm以上である部分が10カ所含まれていた。
実施例2と同様にして作製した電気化学素子の中間層表面の10μm角の範囲の任意の15カ所について、レーザー顕微鏡による画像処理で表面粗さ(Sa)を測定したところ、0.08μm、0.09μm、0.09μm、0.09μm、0.10μm、0.10μm、0.10μm、0.10μm、0.11μm、0.13μm、0.14μm、0.15μm、0.17μm、0.20μm、0.28μmであり、中間層上側面の表面粗さ(Sa)が0.3μm未満であった。
<第2実施形態>
図5・図6を用いて、第2実施形態に係る電気化学素子E、電気化学モジュールM、電気化学装置YおよびエネルギーシステムZについて説明する。
第2実施形態に係る電気化学素子Eは、金属基板1の裏面にU字部材7が取り付けられており、金属基板1とU字部材7とで筒状支持体を形成している。
そして集電部材26を間に挟んで電気化学素子Eが複数積層されて、電気化学モジュールMが構成されている。集電部材26は、電気化学素子Eの対極電極層6と、U字部材7とに接合され、両者を電気的に接続している。
電気化学モジュールMは、ガスマニホールド17、集電部材26、終端部材27および電流引出し部28を有する。複数積層された電気化学素子Eは、筒状支持体の一方の開口端部がガスマニホールド17に接続されて、ガスマニホールド17から気体の供給を受ける。供給された気体は、筒状支持体の内部を通流し、金属基板1の貫通孔1aを通って電極層2に供給される。
図6には、エネルギーシステムZおよび電気化学装置Yの概要が示されている。
エネルギーシステムZは、電気化学装置Yと、電気化学装置Yから排出される熱を再利用する排熱利用部としての熱交換器53とを有する。
電気化学装置Yは、電気化学モジュールMと、脱硫器31と改質器34とを有し電気化学モジュールMに対して還元性成分を含有する燃料ガスを供給する燃料供給部と、電気化学モジュールMから電力を取り出すインバータ38とを有する。
詳しくは電気化学装置Yは、脱硫器31、改質水タンク32、気化器33、改質器34、ブロア35、燃焼部36、インバータ38、制御部39、収納容器40および電気化学モジュールMを有する。
脱硫器31は、都市ガス等の炭化水素系の原燃料に含まれる硫黄化合物成分を除去(脱硫)する。原燃料中に硫黄化合物が含有される場合、脱硫器31を備えることにより、硫黄化合物による改質器34あるいは電気化学素子Eに対する影響を抑制することができる。気化器33は、改質水タンク32から供給される改質水から水蒸気を生成する。改質器34は、気化器33にて生成された水蒸気を用いて脱硫器31にて脱硫された原燃料を水蒸気改質して、水素を含む改質ガスを生成する。
電気化学モジュールMは、改質器34から供給された改質ガスと、ブロア35から供給された空気とを用いて、電気化学反応させて発電する。燃焼部36は、電気化学モジュールMから排出される反応排ガスと空気とを混合させて、反応排ガス中の可燃成分を燃焼させる。
電気化学モジュールMは、複数の電気化学素子Eとガスマニホールド17とを有する。
複数の電気化学素子Eは互いに電気的に接続された状態で並列して配置され、電気化学素子Eの一方の端部(下端部)がガスマニホールド17に固定されている。電気化学素子Eは、ガスマニホールド17を通じて供給される改質ガスと、ブロア35から供給された空気とを電気化学反応させて発電する。
インバータ38は、電気化学モジュールMの出力電力を調整して、商用系統(図示省略)から受電する電力と同じ電圧および同じ周波数にする。制御部39は電気化学装置YおよびエネルギーシステムZの運転を制御する。
気化器33、改質器34、電気化学モジュールMおよび燃焼部36は、収納容器40内に収納される。そして改質器34は、燃焼部36での反応排ガスの燃焼により発生する燃焼熱を用いて原燃料の改質処理を行う。
原燃料は、昇圧ポンプ41の作動により原燃料供給路42を通して脱硫器31に供給される。改質水タンク32の改質水は、改質水ポンプ43の作動により改質水供給路44を通して気化器33に供給される。そして、原燃料供給路42は脱硫器31よりも下流側の部位で、改質水供給路44に合流されており、収納容器40外にて合流された改質水と原燃料とが収納容器40内に備えられた気化器33に供給される。
改質水は気化器33にて気化され水蒸気となる。気化器33にて生成された水蒸気を含む原燃料は、水蒸気含有原燃料供給路45を通して改質器34に供給される。改質器34にて原燃料が水蒸気改質され、水素ガスを主成分とする改質ガス(還元性成分を有する第1気体)が生成される。改質器34にて生成された改質ガスは、改質ガス供給路46を通して電気化学モジュールMのガスマニホールド17に供給される。
ガスマニホールド17に供給された改質ガスは、複数の電気化学素子Eに対して分配され、電気化学素子Eとガスマニホールド17との接続部である下端から電気化学素子Eに供給される。改質ガス中の主に水素(還元性成分)が、電気化学素子Eにて電気化学反応に使用される。反応に用いられなかった残余の水素ガスを含む反応排ガスが、電気化学素子Eの上端から燃焼部36に排出される。
反応排ガスは燃焼部36で燃焼され、燃焼排ガスとなって燃焼排ガス排出口50から収納容器40の外部に排出される。燃焼排ガス排出口50には燃焼触媒部51(例えば、白金系触媒)が配置され、燃焼排ガスに含有される一酸化炭素や水素等の還元性成分を燃焼除去する。燃焼排ガス排出口50から排出された燃焼排ガスは、燃焼排ガス排出路52により熱交換器53に送られる。
熱交換器53は、燃焼部36における燃焼で生じた燃焼排ガスと、供給される冷水とを熱交換させ、温水を生成する。すなわち熱交換器53は、電気化学装置Yから排出される熱を再利用する排熱利用部として動作する。
なお、排熱利用部の代わりに、電気化学モジュールMから(燃焼されずに)排出される反応排ガスを利用する反応排ガス利用部を設けてもよい。反応排ガスには、電気化学素子Eにて反応に用いられなかった残余の水素ガスが含まれる。反応排ガス利用部では、残余の水素ガスを利用して、燃焼による熱利用や、燃料電池等による発電が行われ、エネルギーの有効利用がなされる。
<第3実施形態>
図7に、電気化学モジュールMの他の実施形態を示す。第3実施形態に係る電気化学モジュールMは、上述の電気化学素子E、すなわち電解質層上側面に凹凸構造部位を有する電気化学素子Eを、セル間接続部材71を間に挟んで積層することで、電気化学モジュールMを構成する。
セル間接続部材71は、導電性を有し、かつ気体透過性を有さない板状の部材であり、表面と裏面に、互いに直交する溝72が形成されている。セル間接続部材71はステンレス等の金属や、金属酸化物を用いることができる。
図7に示すように、このセル間接続部材71を間に挟んで電気化学素子Eを積層すると、溝72を通じて気体を電気化学素子Eに供給することができる。詳しくは一方の溝72が第1気体流路72aとなり、電気化学素子Eの表側、すなわち対極電極層6に気体を供給する。他方の溝72が第2気体流路72bとなり、電気化学素子Eの裏側、すなわち金属基板1の裏側の面から貫通孔1aを通じて電極層2へ気体を供給する。
この電気化学モジュールMを燃料電池として動作させる場合は、第1気体流路72aに酸素を供給し、第2気体流路72bに水素を供給する。そうすると電気化学素子Eにて燃料電池としての反応が進行し、起電力・電流が発生する。発生した電力は、積層された電気化学素子Eの両端のセル間接続部材71から、電気化学モジュールMの外部に取り出される。
なお、本第3実施形態では、セル間接続部材71の表面と裏面に、互いに直交する溝72を形成したが、セル間接続部材71の表面と裏面に、互いに並行する溝72を形成することもできる。
(他の実施形態)
(1)上記の実施形態では、電気化学素子Eを固体酸化物形燃料電池に用いたが、電気化学素子Eは、固体酸化物形電解セルや、固体酸化物を利用した酸素センサ等に利用することもできる。
)上記の実施形態では、電極層2の材料として例えばNiO-GDC、Ni-GDC、NiO-YSZ、Ni-YSZ、CuO-CeO2、Cu-CeO2などの複合材を用い、対極電極層6の材料として例えばLSCF、LSM等の複合酸化物を用いた。このように構成された電気化学素子Eは、電極層2に水素ガスを供給して燃料極(アノード)とし、対極電極層6に空気を供給して空気極(カソード)とし、固体酸化物形燃料電池セルとして用いることが可能である。この構成を変更して、電極層2を空気極とし、対極電極層6を燃料極とすることが可能なように、電気化学素子Eを構成することも可能である。すなわち、電極層2の材料として例えばLSCF、LSM等の複合酸化物を用い、対極電極層6の材料として例えばNiO-GDC、Ni-GDC、NiO-YSZ、Ni-YSZ、CuO-CeO2、Cu-CeO2などの複合材を用いる。このように構成した電気化学素子Eであれば、電極層2に空気を供給して空気極とし、対極電極層6に水素ガスを供給して燃料極とし、電気化学素子Eを固体酸化物形燃料電池セルとして用いることができる。
なお、上記の実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
電気化学素子および固体酸化物形燃料電池セルとして利用可能である。
1 :金属基板(金属支持体)
1a :貫通孔
2 :電極層
3 :緩衝層(挿入層)
4 :電解質層
4a :電解質層上側面
5 :反応防止層(中間層)
5a :中間層上側面
6 :対極電極層
A :凹部
B :凸部
C :頂点
D :頂点
E :電気化学素子
M :電気化学モジュール
S :凹凸構造部位
Y :電気化学装置
Z :エネルギーシステム

Claims (16)

  1. 少なくとも電極層と電解質層と対極電極層とを有し、
    前記電解質層は、材料が金属酸化物であり、前記電極層と前記対極電極層との間に配置されており、
    前記電解質層における少なくとも前記対極電極層の側である電解質層上側面に、凹部または凸部が1つ以上含まれる凹凸構造部位が形成されており、
    金属を材料とする金属支持体を有し、前記電極層が前記金属支持体上に形成され、前記電解質層が前記電極層に対して前記金属支持体と反対側に配置されており、
    前記電解質層の厚さが20μm以下であり、
    前記電解質層は、前記電極層を被覆する第1部分と、前記金属支持体の表側の面に接触する第2部分とを有し、
    前記電解質層に垂直な方向を高さ方向とし、前記高さ方向に直交する方向を面内方向とした場合に、
    前記凹部の頂点からの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、前記凹部の頂点との高さの差が0.5μm以上である地点と、
    前記凸部の頂点からの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、前記凸部の頂点との高さの差が0.5μm以上である地点とのうち、少なくともどちらか1つの地点が前記凹凸構造部位に含まれ、
    前記電解質層と前記対極電極層との間に配置される中間層を有し、
    前記中間層は前記電解質層の前記電解質層上側面に接触して形成され、前記凹凸構造部位が前記中間層に接触し、
    前記中間層は前記対極電極層に接触して形成されており、
    前記電解質層に垂直な方向を高さ方向とした場合に、
    前記中間層における前記対極電極層の側の面である中間層上側面の高さ方向の幅の最大値が、前記凹凸構造部位における高さ方向の幅の最大値よりも小さい電気化学素子。
  2. 少なくとも電極層と電解質層と対極電極層とを有し、
    前記電解質層は、材料が金属酸化物であり、前記電極層と前記対極電極層との間に配置されており、
    前記電解質層における少なくとも前記対極電極層の側である電解質層上側面に、凹部または凸部が1つ以上含まれる凹凸構造部位が形成されており、
    金属を材料とする金属支持体を有し、前記電極層が前記金属支持体上に形成され、前記電解質層が前記電極層に対して前記金属支持体と反対側に配置されており、
    前記電解質層の厚さが20μm以下であり、
    前記電解質層は、前記電極層を被覆する第1部分と、前記金属支持体の表側の面に接触する第2部分とを有し、
    前記電解質層に垂直な方向を高さ方向とし、前記高さ方向に直交する方向を面内方向とした場合に、
    前記凹部の頂点からの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、前記凹部の頂点との高さの差が0.5μm以上である地点と、
    前記凸部の頂点からの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、前記凸部の頂点との高さの差が0.5μm以上である地点とのうち、少なくともどちらか1つの地点が前記凹凸構造部位に含まれ、
    前記電解質層と前記対極電極層との間に配置される中間層を有し、
    前記中間層は前記電解質層の前記電解質層上側面に接触して形成され、前記凹凸構造部位が前記中間層に接触し、
    前記中間層は前記対極電極層に接触して形成されており、
    前記中間層における前記対極電極層の側の面である中間層上側面の表面粗さ(Sa)が0.3μm未満である電気化学素子。
  3. 少なくとも電極層と電解質層と対極電極層とを有し、
    前記電解質層は、材料が金属酸化物であり、前記電極層と前記対極電極層との間に配置されており、
    前記電解質層における少なくとも前記対極電極層の側である電解質層上側面に、凹部または凸部が1つ以上含まれる凹凸構造部位が形成されており、
    金属を材料とする金属支持体を有し、前記電極層が前記金属支持体上に形成され、前記電解質層が前記電極層に対して前記金属支持体と反対側に配置されており、
    前記電解質層の厚さが20μm以下であり、
    前記電解質層は、前記電極層を被覆する第1部分と、前記金属支持体の表側の面に接触する第2部分とを有し、
    前記電解質層に垂直な方向を高さ方向とし、前記高さ方向に直交する方向を面内方向とした場合に、
    前記凹部の頂点からの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、前記凹部の頂点との高さの差が0.5μm以上である地点と、
    前記凸部の頂点からの面内方向の距離が5μm以内の地点であって、前記凸部の頂点との高さの差が0.5μm以上である地点とのうち、少なくともどちらか1つの地点が前記凹凸構造部位に含まれ、
    前記電解質層と前記対極電極層との間に配置される中間層を有し、
    前記中間層は前記電解質層の前記電解質層上側面に接触して形成され、前記凹凸構造部位が前記中間層に接触し、
    前記電解質層と前記中間層の厚さの和の変動幅が20μmの面内幅のうちで2μm以下である電気化学素子。
  4. 前記電解質層に垂直な方向を高さ方向とした場合に、
    前記凹凸構造部位における高さ方向の幅が前記電解質層の厚さの5%以上となる部分が前記凹凸構造部位に含まれる請求項1~3の何れか一項に記載の電気化学素子。
  5. 前記凹凸構造部位に、表面粗さ(Sa)が0.3μm以上である部分が含まれている請求項1~4のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  6. 前記対極電極層がカソードとして機能する請求項1~5のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  7. 前記電極層と前記電解質層との間に配置される挿入層を有する請求項1~6のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  8. 前記金属支持体の一方の面に前記電極層が形成され、前記金属支持体が一方の面から他方の面へ貫通する貫通孔を有している請求項1~7のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  9. 前記電解質層が安定化ジルコニアを含有する請求項1~8のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  10. 前記電解質層の厚さが1μm以上である請求項1~9のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  11. 請求項1~10のいずれか一項に記載の電気化学素子が複数積層した状態で配置される電気化学モジュール。
  12. 請求項11に記載の電気化学モジュールと改質器を少なくとも有し、前記電気化学モジュールに対して還元性成分を含有する燃料ガスを供給する燃料供給部と、前記電気化学モジュールから電力を取り出すインバータとを有する電気化学装置。
  13. 請求項12に記載の電気化学装置と、前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部を有するエネルギーシステム。
  14. 請求項1~10のいずれか1項に記載の電気化学素子を備え、定格運転時に前記電気化学素子を600℃以上750℃以下の温度において発電反応を生じさせる固体酸化物形燃料電池。
  15. 請求項1~6のいずれか1項に記載の電気化学素子を製造する電気化学素子製造方法であって、金属酸化物粉末を前記電極層の上にスプレーコートすることで前記電解質層を形成する電気化学素子製造方法。
  16. 請求項7に記載の電気化学素子を製造する電気化学素子製造方法であって、金属酸化物粉末を前記挿入層の上にスプレーコートすることで前記電解質層を形成する電気化学素子製造方法。
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