JP2020140182A - フレキソ印刷版用原版 - Google Patents
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Abstract
Description
前者の代表例としては、凸版印刷、凹版印刷が挙げられる。
前記凸版印刷では、印刷版の凸部にインキが付着することで印刷が可能となり、一方、凹版印刷では印刷版の凹部にインキが付着することで印刷が可能となる。
フレキソ印刷は凸版印刷の一種であり、樹脂やゴム等、柔軟性を持つ印刷版を用いて印刷を行うため、多様な被印刷体に印刷可能であるという特徴を有している。
フレキソ印刷版用の感光性樹脂組成物は、熱可塑性エラストマー、エチレン性不飽和化合物、及び光重合開始剤を含有するものが一般的である。
次に、所望の画像を有するネガフィルムを感光性樹脂組成物層上に貼り合わせ、ネガフィルムを介して感光性樹脂組成物層に、画像露光(レリーフ露光)を行い、画像部を硬化させ、その後、未露光部分を現像液で洗い流し、未露光部分を取り除き、印刷用の凹凸が形成された感光性樹脂構成体を得る。
その後に、前記凹凸が形成された感光性樹脂構成体の表面に、後処理露光を行うことにより、フレキソ印刷版が得られる。
このデジタル製版技術は、従来のネガフィルムを用いた技術に比べ、時間と労力が節約できるという長所がある。例えば、画像の修正が生じた際、新たにネガフィルムを作製し直す必要がなく、デジタル化された画像データをコンピュータ上で修正することにより、画像の修正が容易に可能である。
アブレーション層にピンホールがある場合、レリーフ露光時にピンホールと接した感光性樹脂組成物層が露光されてしまうため、意図しない画像の形成が起こり、良好な印刷物を得ることができないという問題が生じる。
カバーシート上に塗布されたアブレーション層を感光性樹脂組成物層と貼り合わせる方法によりアブレーション層を感光性樹脂組成物層上に設ける場合、カバーシート上にアブレーション層を塗布した際の塗工ムラ、ハジキによって、アブレーション層にピンホールが生じる可能性があり、また、アブレーション層が塗布されたカバーシートの保管、輸送の際の衝撃によって、さらには感光性樹脂組成物層と貼り合わせる際の、ラミネーション温度・圧力や、混錬押出し樹脂との接触によって、ピンホールが生じるおそれがあるという問題点を有している。
しかしながら、この特許文献1に開示されている技術では、アブレーション層と剥離フィルムとの接着が十分に低くなければ、剥離フィルムを剥離する際にピンホールが発生してしまうという問題点を有している。また、剥離フィルムの離型剤がアブレーション層に転写されることで、アブレーション層と感光性樹脂組成物層との接着性が低下してしまうことがあるという問題点も有している。
この技術では、中間層がアブレーション層を保護するため、アブレーション層と感光性樹脂組成物層との貼り合わせを行う際に、ピンホールが発生しにくいという利点を有している。
しかしながら、アブレーション層と感光性樹脂組成物層との間に設けられた中間層は、印刷版用原版内に残存することとなるため、ピンホールを抑制するために十分な強度を持つ中間層を設けた場合、版全体の柔軟性が損なわれ、赤外レーザーでの描画時に中間層及びアブレーション層に亀裂が入り、意図しない画像形成が起こるという問題点を有している。
この技術では、形成された画像マスクの上から紫外光を全面露光した後、フィルム層ごと画像マスクを剥離除去し、その後、水現像して樹脂凸版印刷版が得られるため、現像液中に画像マスクを構成するアブレーション層の材料が混入することがなく、現像廃液の処理が行いやすいという利点がある。しかしながら、感光性樹脂組成物層とアブレーション層との間にあるフィルム層の膜厚が厚いと、その分だけ紫外光の屈曲や散乱が起こりやすくなり、指向性の低い紫外光の光源を選択すると、画像が太り、画像形成の精度が低下するなどの不利益を被る場合があるという問題点を有している。
すなわち、本発明は以下の通りである。
支持体(A)と、
感光性樹脂組成物層(B)と、
中間層(C)と、
アブレーション層(D)と、
を、前記順序にて有するフレキソ印刷版用原版であって、
前記中間層(C)が、水分散性ラテックス及び水溶性ポリウレタンを含有し、
前記水分散性ラテックス及び水溶性ポリウレタンが極性基を有している、
フレキソ印刷版用原版。
〔2〕
前記水分散性ラテックスが、カルボキシル基又は水酸基を有する、前記〔1〕に記載のフレキソ印刷版用原版。
〔3〕
前記水分散性ラテックスのトルエンゲル分率が、70質量%以上90質量%以下である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のフレキソ印刷版用原版。
〔4〕
前記中間層(C)全量に対する前記水分散性ラテックスの含有割合が、
3質量%以上90質量%以下である、
前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のフレキソ印刷版用原版。
〔5〕
前記水溶性ポリウレタンの熱軟化温度が、80℃〜210℃である、
前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のフレキソ印刷版用原版。
〔6〕
前記水溶性ポリウレタンが、分子内にポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートのいずれかの構造を有する、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のフレキソ印刷版用原版。
〔7〕
前記水溶性ポリウレタンが、分子内にカルボキシル基又は水酸基を有する、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のフレキソ印刷版用原版。
〔8〕
前記中間層(C)全量に対する前記水溶性ポリウレタンの含有割合が、
10質量%以上90質量%未満である、
前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のフレキソ印刷版用原版。
〔9〕
前記中間層(C)が、水溶性ポリアミドを、さらに含有する、
前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載のフレキソ印刷版用原版。
〔10〕
前記中間層(C)が、
前記水分散性ラテックス100質量部に対して、
前記水溶性ポリアミドを10〜700質量部、含有する、
前記〔9〕に記載のフレキソ印刷版用原版。
〔11〕
支持体(A)と、
感光性樹脂組成物層(B)と、
中間層(C)と、
アブレーション層(D)と、
を、前記順序にて有するフレキソ印刷版用原版であって、
前記中間層(C)が、塩基性窒素原子を含むモノマー単位と、アルキレングリコール構造単位を有するポリアミド共重合体を含む、
フレキソ印刷版用原版。
〔12〕
前記中間層(C)が、
水分散性ラテックス、水溶性ポリウレタンをさらに含有し、
前記水分散性ラテックス及び水溶性ポリウレタンが極性基を有している、
前記〔11〕に記載のフレキソ印刷版用原版。
〔13〕
前記中間層(C)全量に対する前記ポリアミド共重合体の含有割合が、5質量%以上80質量%未満である、前記〔11〕又は〔12〕に記載のフレキソ印刷版用原版。
〔14〕
前記中間層(C)の厚さが、0.5μm以上20μm以下である、
前記〔1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載のフレキソ印刷版用原版。
〔15〕
前記中間層(C)が、シリコーン化合物を、さらに含有する、
前記〔1〕乃至〔14〕のいずれか一に記載のフレキソ印刷版用原版。
〔16〕
前記アブレーション層(D)が、
カーボンブラック、酸変性したポリマー、モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーと共役ジエンモノマーから構成される共重合体、前記共重合体の水素添加物、及び前記共重合体の変性物、からなる群より選択される少なくとも1種を、さらに含有する、
前記〔1〕乃至〔15〕のいずれか一に記載のフレキソ印刷版用原版。
なお、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施形態のフレキソ印刷版用原版は、支持体(A)と、感光性樹脂組成物層(B)と、中間層(C)と、アブレーション層(D)とを、前記順序にて有するフレキソ印刷版用原版あって、前記中間層(C)が、水分散性ラテックス及び水溶性ポリウレタンを含有し、前記水分散性ラテックス及び水溶性ポリウレタンが、極性基を有している、フレキソ印刷版用原版である。
本実施形態のフレキソ印刷版用原版に用いる支持体(A)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム;ポリアミドフィルム等が挙げられる。
これらの中でもポリエステルフィルムが好ましい。
支持体(A)の厚みについても特に限定されるものではないが、50〜300μmの寸法安定なフィルムが好ましい。
また、支持体(A)と後述する感光性樹脂組成物層(B)との間の接着力を高める目的で、支持体(A)上には接着剤層を設けてもよく、当該接着剤層としては、例えば、国際公開第2004/104701号公報に記載の接着剤層が挙げられる。
感光性樹脂組成物層(B)は、少なくとも1種のエラストマー、光重合性モノマー、光重合開始剤又は光開始剤系(2種類以上の光重合開始剤を使用した系)を含有し、さらに、可塑剤、加工助剤、染料、及びUV吸収剤等の添加剤を1種以上含有することが好ましい。
このようなエラストマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン−ジエンブロックコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシドポリビニルアルコールグラフトコポリマー、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン−イソプレンゴム、ポリノルボルネンゴム、又はエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等の合成ゴムや、天然ゴム、ラテックス、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、部分鹸化ポリ酢酸ビニル(部分鹸化ポリビニルアルコール)、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンオキサイドのような親水性基を導入したポリアミド樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合体、及びこれらの変性体等、水に分散可能な各種樹脂が挙げられる。
これら樹脂は、版形成性に悪影響を及ぼすことがなければ、2種類以上の混合物を使用することができる。特に、水系洗浄液で高い洗浄性が得られる親水性基をもつラテックスが好ましい。
これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
重合禁止剤としては、フェノール類、ハイドロキノン類、カテコール類等が挙げられる。
また、染料、顔料、界面活性剤、シリコーン化合物、紫外線吸収剤、香料、酸化防止剤等を含有してもよい。
本実施形態のフレキソ印刷版用原版は、上述した感光性樹脂組成物層(B)と、後述するアブレーション層(D)との間に中間層(C)を有している。
中間層(C)は、後述するアブレーション層(D)にピンホールが発生することを抑制するために十分な膜強度を有し、かつ感光性樹脂組成物層(B)とアブレーション層(D)との密着性を十分に確保する機能を発揮し、かつフレキソ印刷版用原版の可撓性を損なわないよう、十分な柔軟性を有することが好ましい。
本実施形態において、中間層(C)は、水分散性ラテックス及び水溶性ポリウレタンを含有する。
中間層(C)を設けることにより、中間層(C)と感光性樹脂組成物層(B)及び中間層(C)とアブレーション層(D)の各層間の密着力を向上させることができ、フレキソ印刷版用原版において、アブレーション層(D)上に積層されたカバーシート(E)をアブレーション層(D)から剥離する際の、アブレーション層(D)の破れやキズの発生を防ぐことができる。
これらの中でも、分子鎖中にブタジエン骨格又はイソプレン骨格を含有する水分散ラテックス重合体が、硬度やゴム弾性の観点から好ましい。具体的には、ポリブタジエンラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリイソプレンラテックスが好ましい。
本実施形態のフレキソ印刷版用原版を構成する中間層(C)に含有される水分散性ラテックスは、極性基を有しているものとし、当該極性基としては、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、リン酸機、スルホン酸基、それらの塩等が好ましいものとして挙げられる。
これら極性基を含む水分散性ラテックスは、1種類のみを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。
一塩基酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、桂皮酸、及びこれらの一塩基酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
二塩基酸単量体としては、例えば、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、ムコン酸、及びこれらの二塩基酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
本実施形態において、カルボキシル基を有する不飽和単量体は、1種類のみを単独で用いてもよく、複数種類のカルボキシル基を有する不飽和単量体を同時に用いてもよい。
また、べたつきを抑制する観点から、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。
中間層(C)における水分散性ラテックスの含有割合が3質量%以上であることにより、十分な密着性が得られ、また、含有割合が90質量%以下であることにより、十分な膜強度を有し、タックの少ないフレキソ印刷版用原版が得られる。
水分散性ラテックスのトルエンゲル分率が70質量%以上90質量%以下の範囲であると、十分なゴム弾性・膜強度を維持しつつ、べたつきの少ないフレキソ印刷版用原版が得られる。
水分散性ラテックスの乳化重合後の分散液を、130℃で30分間乾燥させた皮膜を0.5g取り、25℃のトルエン30mLに浸漬させ、振とう器を用いて3時間振とうさせた後に320SUSメッシュで濾過し、不通過分を130℃で1時間乾燥させた後、質量X(g)を測定する。
ゲル分率は以下の式より算出される。
ゲル分率(質量%)=X(g)/0.5(g)×100
前記水分散性ラテックスのトルエンゲル分率は、重合温度、モノマー組成、連鎖移動剤量、粒子径を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
前記水溶性ポリウレタンを安定的に有機溶剤及び/又は水に、溶解又は分散させるため、ポリオール化合物及びポリイソシアネートに加えて、重合成分として親水基含有化合物を添加することも好ましい。
これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、密着性の観点から、ポリエーテルポリオールが好ましい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、多価アルコールにイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られるポリエーテルポリオール、すなわち、多価アルコールとイオン重合性環状化合物との反応物が挙げられる。
これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのイオン重合性環状化合物の開環共重合体はランダムに結合していてもよいし、ブロック状に結合をしていてもよい。
ポリイソシアネートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(又は6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。
これらのポリイソシアネートは、一種のみを単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、110℃〜180℃であることがより好ましく、120℃〜170℃であることがさらに好ましい。
水溶性ポリウレタンの熱軟化温度は、高化式フローテスターにより測定することができる。
また、水溶性ポリウレタンの熱軟化温度は、水溶性ポリウレタンを構成しているジオール成分とジイソシアネート成分の種類・組み合わせを調整することによって上記数値範囲に制御することができる。
アブレーション層(D)の耐ピンホール性(耐PH性)に影響を与える特性は、中間層(C)に含有される水溶性ポリウレタン単独膜の熱溶融温度、伸度、破断強度の3つのパラメータである。
フレキソ印刷版用原版の製造時に、混練後の押し出し樹脂(感光性樹脂組成物層の材料)温度は、120〜140℃程度となる。その際に、中間層(C)に含有される水溶性ポリウレタン単独膜の熱軟化温度が混練後の押し出し樹脂温度に近い、あるいは低いものほど、また、水溶性ポリウレタン単独膜の伸度が大きいものほど、混練後の押し出し樹脂のせん断応力に追随するため、アブレーション層及び中間層がシート化しやすくなる。
また、水溶性ポリウレタン単独膜の破断強度は、感光性樹脂組成物層を構成する材料である混錬樹脂(混錬不良のゲル状物質も含有)と、アブレーション層及び中間層との熱ラミネート時に、ゲル状物よる引っ掻きによって、直接混錬樹脂と接している中間層が破断し、アブレーション層(D)にピンホールが発生するため、水溶性ポリウレタン単独膜の破断強度が大きいものほどよい。
初期の密着性に関しては、水溶性ポリウレタンが主に前記樹脂密着力に寄与し、水溶性ポリウレタンのTgが低い方が、感光性樹脂組成物層に濡れやすいため樹脂密着力が優れたものとなる傾向にある。
また、フレキソ印刷版用原版を長期放置した後の密着力は、水分散性ラテックスのアンカー効果が寄与する。
感光性樹脂組成物層中のスチレンブタジエン系の樹脂は中間層(C)中の水分散性ラテックスと相溶しやすいため、長期保存時に移行することでアンカー効果が発現し、長期保存後でも樹脂密着力が維持される。
また、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましい。
中間層(C)全量に対する水溶性ポリウレタンの含有割合が10質量%以上であることにより、十分な耐ピンホール性が得られ、また、含有割合が90質量%以下であることにより、十分な密着性が得られる。
極性基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヒロドキシ基、アルコキシ基、エチレンオキシド基、プロピレンオキシド基等のポリエーテル基;カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ウレア基、シアノ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。
これらの中でも、カルボキシル基、又は水酸基を有する水溶性ポリウレタンが好ましい。
水溶性ポリアミドとしては、ポリアミド結合を有するポリマーであれば特に限定されず、炭素数4〜40のラクタム、アミノカルボン酸、ジアミンとジカルボン酸との等モル塩等が挙げられる。
前記ポリアミド結合を有するポリマーとしては、従来公知の可溶性合成高分子化合物を使用でき、たとえばポリエーテルアミド(たとえば特開昭55−79437号公報などを参照)、ポリエーテルエステルアミド(たとえば特開昭58−113537号公報などを参照)、三級窒素含有ポリアミド(たとえば特開昭50−76055号公報などを参照)、アンモニウム塩型三級窒素原子含有ポリアミド(たとえば特開昭53−36555号公報などを参照)、アミド結合を1つ以上有するアミド化合物と有機ジイソシアネート化合物の付加重合体(たとえば特開昭58−140737号公報などを参照)、アミド結合を有しないジアミンと有機ジイソシアネート化合物の付加重合体(たとえば特開平4−97154号公報などを参照)等が挙げられる。
これらの水溶性ポリアミドは、一種のみを単独で用いてもよく、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
その中でも中間層(C)に適度な硬度を付与できる三級窒素原子含有ポリアミド及びアンモニウム塩型三級窒素原子含有ポリアミドが好ましく用いられる。
水溶性ポリアミドの含有割合が10質量部以上であると中間層の膜強度を維持できるため、十分な耐ピンホール性が得られる。
また、水溶性ポリアミドの含有割合が700質量部以下であることにより、樹脂密着性を維持できる。
本実施形態においては、支持体(A)と、感光性樹脂組成物層(B)と、中間層(C)と、アブレーション層(D)と、を、前記順序にて有し、前記中間層(C)が、塩基性窒素原子を含むモノマー単位とアルキレングリコール構造単位とを有するポリアミド共重合体を含む形態のフレキソ印刷版用原版が、好ましい他の形態として挙げられる。
かかる形態のフレキソ版印刷用原版においては、中間層(C)が効果的に感光性樹脂組成物層(B)への酸素の侵入を防止するため、酸素による重合障害を受けることがなく、かつ中間層(C)のHazeが低いため、優れた画像再現性が得られる。
分子内に塩基性窒素原子を含むモノマー単位を含有するポリアミド共重合体は、主鎖又は側鎖の一部分にアミド基とは別に、塩基性窒素原子を含むモノマー単位を有するポリアミド共重合体であり、そのようなポリアミド共重合体としては、第3級窒素原子を主鎖中に有するポリアミドが好ましい。
塩基性窒素としては、ピペラジンやN,N−ジアルキルアミノ基が好ましく、より好ましくはピペラジンである。
ポリアミド共重合体にポリアルキレン成分を含有させるためには、ポリアルキレングリコールの両末端をジアミンやジカルボン酸に変性したものを用いることが好ましい。ポリアルキレングリコールの両末端をジアミンに変性したものとしては、例えば、ビスアミノプロピルポリエチレングリコールが挙げられ、ポリアルキレングリコールの両末端をジカルボン酸に変性したものとしては、例えば、ビスカルボキシポリエチレングリコールが挙げられる。
この場合、アルキレングリコール構造単位の数平均分子量に関しては、特に限定されないが、水溶性の観点から400〜4000が好ましい。
また、上記範囲であることにより、タックが少なく取り扱いに優れ、かつ酸素による重合阻害を受けにくく、画像再現性に優れたフレキソ印刷版用原版が得られる。
本実施形態のフレキソ印刷版用原版を構成する中間層(C)には、上述した水溶性ポリウレタン、水分散性ラテックス、水溶性ポリアミド、他の形態のフレキソ印刷版用原版におけるポリアミド共重合体の他、性能を損なわない範囲で他のポリマーを併用してもよい。
他のポリマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース誘導体、ポリエステル、ポリイミド、シリコンゴム、ブチルゴム、及び、イソプレンゴム等が挙げられる。
水溶性ポリウレタン、水分散性ラテックス、水溶性ポリアミド、ポリアミド共重合体との相溶性の観点から、併用するポリマーも水溶性であることが好ましい。
これらのポリマーは、一種のみを単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
前記アブレーション層(D)に、中間層(C)形成用の組成物を均一に塗布することを目的として、アブレーション層(D)の表面エネルギーと同等になるように、中間層(C)中にシリコーン化合物や界面活性剤を含有させてもよい。
さらに、ポリシロキサン構造に特定の有機基を導入した化合物を用いることができる。具体的には、ポリシロキサンの側鎖に有機基を導入した化合物、ポリシロキサンの両末端に有機基を導入した化合物、ポリシロキサンの片末端に有機基を導入した化合物、ポリシロキサンの側鎖と末端の両方に有機基を導入した化合物等が挙げられる。
感光性樹脂組成物層(B)からアブレーション層(D)へのモノマー等の移行を防ぐことができるという観点から、ポリエーテルを導入したシリコーン化合物を用いることが好ましい。
中間層(C)の紫外線透過率は365nmの波長において、40%以上であることが好ましい。40%以上である場合、感光性樹脂組成物層(B)の硬化が十分に行われ、十分な画像形成を得ることができる。50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。
本実施形態のフレキソ印刷版用原版のアブレーション層(D)は、紫外光を遮断し、描画時には赤外レーザー光を吸収し、その熱により瞬間的に一部又は融除するものが好ましい。これによって描画加工が可能であり、感光性樹脂組成物層(B)を露光硬化させる際にマスク画像の役割も果たす。前記露光が終了してから感光性樹脂組成物層(B)の未露光部を洗い出しする際に、このアブレーション層(D)も同時に除去される。
カーボンブラックの粒径は任意の範囲で選択可能であるが、一般に粒径が小さいほど赤外線に対する感度が高くなり、分散性が悪くなる。かかる観点から、カーボンブラックの粒径は、20nm以上80nm以下であることが好ましく、25nm以上70nm以下であることがより好ましく、30nm以上60nm以下であることがさらに好ましい。
レーザー光線の感度は、アブレーション層(D)中に均一に分散しているカーボンブラック量が増加するほど高くなるが、カーボンブラック量が多くなりすぎて凝集等を起こすと逆に低下する傾向にある。このような観点から、アブレーション層(D)全体に対するカーボンブラックの含有割合は、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上80質量%以下がより好ましく、30質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。
アブレーション層(D)の現像時間を短縮する他の方法としてはアブレーション層(D)を薄くする方法が挙げられる。一方、アブレーション層(D)の強度を十分に確保するためには、アブレーション層(D)の現像速度を向上させ、アブレーション層(D)の厚さを確保する方法がより好ましい。このような観点から、アブレーション層(D)が中性の水には難溶又は不溶で、アルカリ性の水に溶解又は分散する性質が必要となる。
なお、非水溶性とは、その物質1gを溶解するために100mL以上の水が必要になる特性を表す。
これらのポリマーは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのポリマーの中でも酸性基による変性のしやすさと吸湿による皺の抑制という観点から、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリイミド系樹脂が好ましく、特にアクリル系樹脂が好ましい。
アブレーション層(D)の吸湿による皺の抑制、硬度向上、アブレーション層(D)と中間層(C)との密着性向上の観点から、前記酸変性したポリマーとは別種のポリマーを添加することが好ましい。
かかる観点から、前記別種のポリマーとしては、モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーと共役ジエンモノマーの共重合体から構成される共重合体、及び前記共重合体の水素添加物、及び前記共重合体の変性物が好ましい。
モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーと共役ジエンモノマーの比率は任意に設定できる。一般的にはモノビニル置換芳香族炭化水素モノマーの比率が大きくなるほど硬度の向上には有効であり、共役ジエンモノマーの比率が大きくなるほど柔軟性の向上に有効である。かかる観点から、モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーの割合は10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上80質量%以下がより好ましく、30質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。
具体的には、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体等が挙げられる。
共重合体としては交互共重合したもの、ランダム共重合したもの、ブロック共重合したもの、グラフト共重合したもののいずれでもよい。
変性剤としては、例えば、無水マレイン酸アミンによる変性等が挙げられる。
これらのポリマーは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのポリマーの添加量は上述した物性の発現という観点から、アブレーション層中、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。
また、カーボンブラックや酸変性したポリマーの添加割合を十分に確保する観点から80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。
本実施形態のフレキソ印刷版用原版は、アブレーション層(D)を保護してフレキソ印刷版用原版の取扱性を向上させる観点から、アブレーション層(D)の上にカバーシート(E)が積層されていることが好ましい。
本実施形態のフレキソ印刷版用原版に用いるカバーシート(E)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム;ポリアミドフィルム;等が挙げられる。
これらの中でも厚みが75〜300μmの範囲の寸法安定なポリエステルフィルムが好ましい。
本実施形態のフレキソ印刷版用原版は、以下の工程を含む製造方法によって製造することができる。
支持体(A)上に接着剤層を積層する工程;
カバーシート(E)にアブレーション層(D)を積層する工程;
アブレーション層(D)が積層されたカバーシート(E)の当該アブレーション層(D)の上に中間層(C)を積層する工程;
前記接着剤層の上に感光性樹脂組成物層(B)を積層し、前記カバーシート(E)に積層された中間層(C)が感光性樹脂組成物層(B)と面するように、該感光性樹脂組成物層(B)を支持体(A)とカバーシートとで挟み込む工程;
接着剤層の形成材料は、塗布の作業性の観点から、トルエン等の有機溶媒に溶解された溶液であることが好ましく、固形分が5〜40%の、有機溶媒に溶解された溶液であることがより好ましい。接着剤層の形成材料を塗布した後、乾燥することによって、接着剤層を有する支持体(A)を得ることができる。
アブレーション層(D)の形成する材料は、塗布の作業性の観点から、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の有機溶媒に溶解された溶液であることが好ましく、固形分が5〜30%の、有機溶媒に溶解された溶液であることがより好ましい。
アブレーション層(D)を形成する材料を塗布した後、乾燥することによって、アブレーション層(D)を有するカバーシート(E)を得ることができる。
中間層(C)を構成する材料を塗布した後、乾燥することによって、中間層(C)及びアブレーション層(D)を有するカバーシート(E)を得ることができる。
本実施形態のフレキソ印刷版用原版を用いたフレキソ印刷版の製造方法は、支持体(A)と、前記支持体(A)の上に配設される感光性樹脂組成物層(B)と、前記感光性樹脂組成物層(B)の上に配設される中間層(C)と、当該中間層(C)の上に配設されるアブレーション層(D)とを含むフレキソ印刷版用原版に対し、前記支持体(A)側から紫外線照射する工程と、前記アブレーション層(D)に赤外線を照射してパターンを描画加工した後の紫外線照射工程において、中間層(C)を経由して感光性樹脂組成物層(B)に紫外線照射を行い、前記アルカリ性現像液により、アブレーション層(D)、中間層(C)、及び未露光の感光性樹脂組成物層(B)を除去する。
その後、必要に応じて後露光処理する工程を行い、感光性樹脂組成物層(B)の硬化物による版(フレキソ印刷版)が得られる。
なお、剥離性付与の観点から、印刷版の表面をシリコーン化合物及び/又はフッ素化合物を含有する液と接触させてもよい。
紫外線としては、波長150〜500nmの紫外線を使用でき、特に波長300〜400nmの紫外線を好ましく使用できる。
光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、カーボンアーク灯、紫外線用蛍光灯等を使用できる。
なお、この紫外線照射する工程は、アブレーション層(D)へパターンを描画加工する工程の前に行ってもよく、パターンを描画加工する工程の後に行ってもよい。
フレキソ印刷版用原版がカバーフィルム(E)を有している場合には、まずカバーフィルム(E)を剥離する。その後、アブレーション層(D)に赤外線をパターン照射して、感光性樹脂組成物層(B)上にマスクを形成する。好適な赤外線レーザーの例としては、ND/YAGレーザー(例えば、1064nm)又はダイオードレーザー(例えば、830nm)が挙げられる。
CTP製版技術に適当なレーザーシステムは市販されており、例えば、ダイオードレーザーシステムCDI Spark(ESKO GRAPHICS社)を使用できる。
このレーザーシステムは、フレキソ印刷版用原版を保持する回転円筒ドラム、IRレーザーの照射装置、及びレイアウトコンピュータを含み、画像情報は、レイアウトコンピュータからレーザー装置に直接送信される。
上述したように、パターン描画した後、感光性樹脂組成物層(B)にマスクを介して紫外線を全面照射する。これは、版をレーザーシリンダに取り付けた状態で行うことができるが、一般的には版をレーザー装置から取り外し、慣用の照射ユニットを用いて照射する。照射ユニットは、支持体(A)側からの紫外線照射で用いたものと同様のユニットを使用できる。
本実施形態のフレキソ印刷版用原版の中間層(C)における紫外線の吸収量が多く、パターン露光工程において無視できない場合は、中間層(C)により吸収される紫外線量を予め勘案して適宜紫外線照射量を調整することが好ましい。
現像工程においては、従来公知の方法を適用できる。
具体的には、上記のように感光性樹脂組成物層(B)を露光し、その後、現像液に浸漬し、ブラシ等により未露光部分を溶解又は掻き落とす方法、スプレー等により版面に現像液を作用させた後、ブラシ等により未露光部分を溶解又は掻き落とす方法等が挙げられる。
シリコーン成分は、中間層(C)におけるシリコーン化合物と同様のものを使用することができる。シリコーン化合物の中でも、現像液に含ませるシリコーン成分としては、好ましくはアミノ基、ポリエーテル基、カルビノール基等で変性されたシリコーンオイルである。
((a)樹脂密着力の評価)
実施例及び比較例で製造したフレキソ印刷版用原版を、2.54cm×10cmの大きさに切り出した。これを、「感光性樹脂構成体」と称する。
この感光性樹脂構成体のカバーシートを剥離した後、アブレーション層に粘着テープ(ニチバン株式会社製セロテープ(登録商標)CT−15、幅15mm)を互いが約5mm重なるように2列に貼り付け、その後、粘着テープをアブレーション層と感光性樹脂組成物層とが剥離する方向に剥がした。
このときの引っ張り強度を測定し、これを「樹脂密着力」とした。
初期の樹脂密着力を測定し、下記の基準により評価した。
また、感光性樹脂構成体を40℃・80%湿度の恒温槽に入れ、1か月後に同様の測定・評価を行った。
<樹脂密着力の評価基準>
◎:感光性樹脂組成物層の破壊が起きたもの
○:感光性樹脂組成物層の破壊は起きなかったが、引っ張り強度が100g/inch以上のもの ×:感光性樹脂組成物層の破壊が起きず、かつ引っ張り強度が100g/inch未満のもの なお、引っ張り強度の測定試験においては、粘着テープ側を180°の方向へ剥離し、Autograph AGS−100G(島津製作所製)を使用し、クロスヘッドスピード50mm/minで測定した。
実施例及び比較例で製造したフレキソ印刷版用原版を、10cm×10cmサイズに5枚切り出した。これを「サンプル」と称する。
これらサンプルにおいて、アブレーション層のカバーシートを除去した後、ライトテーブル上に置き、顕微鏡検査を行った。
アブレーション層において、長径20μm以上のサイズのピンホールの個数を数え、平均値を算出し、かつ(個/m2)の値を算出し、下記の1〜5により評価した。
下記評価において、〇以上であれば実用上問題なく使用することができる。
<耐ピンホール性の評価基準>
◎:ピンホールの数が、平均2(個/m2)より少ない。
〇:ピンホールの数が、平均2(個/m2)以上で5個(個/m2)より少ない。
△:ピンホールの数が、平均5(個/m2)以上で10(個/m2)より少ない。
×:ピンホールの数が、平均10(個/m2)以上である。
実施例及び比較例で製造したフレキソ印刷版用原版を、2cm×10cmサイズに切り出した。これを「サンプル」と称する。
このサンプルにおいて、アブレーション層のカバーシートを剥離し、測定装置としてピクマタックテスタ(商標登録第5857095号、東洋精機)を用いて、直径5mmのプローブとアブレーション層の表面とを10mm/分の速度で4秒間接触させた後、10mm/分の速度でプローブをアブレーション層の表面から垂直方向に剥離する方法でタック性(べたつき性)を測定し、下記の基準により評価した。
<べたつき性の評価基準>
◎:タック力が、1N以下のもの
○:タック力が、1Nより大きく〜2N以下のもの ×:タック力が、2Nより大きいもの
支持体(A)は以下の手順で作製した。
ネオペンチルグリコール624g、エチレングリコール93g、セバシン酸485g、イソフタル酸382gを、空気雰囲気中、反応温度180℃、10mmHgの減圧下で、6時間縮合反応させた。
その後、87gのトリレンジイソシアネートを加えて、さらに80℃で5時間反応させ、ポリオールを得た。
このようにして得られたポリオールの数平均分子量をゲルパーメーションクロマトグラフィ法で測定したところ、ポリスチレン換算で約32000であった。
次に、前記ポリオール:100質量部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート:2質量部、トリメチロールプロパン(1モル)のトリレンジイソシアネート(3モル)付加物:17質量部、「バリファストイエロー」(オリエンタル化成製、商品名):5質量部、酢酸エチル:300質量部を混合し、均一な溶液を得た。
次に、125μmの膜厚のPETフィルム「A4100」(東洋紡績株式会社製、商品名)上に、乾燥後の塗布量が10〜14g/m2となるように、ナイフコーターを用いて上記溶液を塗布した。
これを80℃で2分間乾燥させ、次に40℃雰囲気で3日間放置してウレタン系接着剤層を具備する支持体(A)を得た。
次に、前記支持体(A)と、感光性樹脂組成物層(B)との積層体の製造方法を下記に示す。
後述する<製造例2>で製造した感光性樹脂組成物を、120℃の熱プレス機を使用して、前記支持体(A)と粘着防止フィルム(シリコーン系剥離材が塗布されたPETフィルム)との間に投入し、加熱プレスして、1mmの厚さに成形し、支持体(A)と感光性樹脂組成物層(B)と粘着防止フィルムとの積層体(以下、積層体1と記載する。)を得た。
実施例及び比較例においては、フレキソ印刷版用原版を製造した。
<製造例1:感光性樹脂組成物層中に含有させる親水性共重合体(B−1)の合成>
撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に、水125質量部と、反応性乳化剤として(α−スルフォ(1−ノニルフェノキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩「アデカリアソープSE1025」(旭電化工業製)2質量部とを初期仕込みし、内温を80℃に昇温し、スチレン10質量部、ブタジエン60質量部、ブチルアクリレート23質量部、メタアクリル酸5質量部、及び、アクリル酸2質量部からなる単量体混合物とt−ドデシルメルカプタン2質量部の油性混合液と、水28質量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1.2質量部、水酸化ナトリウム0.2質量部、(α−スルフォ(1−ノニルフェノキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩2質量部からなる水溶液を、それぞれ5時間及び6時間かけて一定の流速で添加した。
ついで、80℃の温度をそのまま1時間保って、重合反応を完了し、共重合体ラテックスを生成し、その後、冷却した。
さらに、生成した共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムでpHを7に調整した後、スチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し、最終的に、ろ液の固形分濃度が40質量%になるように調整して後述する感光性樹脂組成物層中に含有させる親水性共重合体(B−1)の水分散液を得た。
前記<製造例1>で製造した親水性共重合体(B−1)110質量部と、エラストマー:スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体[D−KX405:クレイトン製]75質量部を、加圧ニーダーを用いて140℃の条件下で混合後、液状ポリブタジエン[LBR−352クラレ製]40質量部、液状カルボン酸変性アクリルポリマー[CB−3060:綜研化学製]5質量部、光重合性モノマー:1,9−ノナンジオールジアクリレート10質量部、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート10質量部、光重合開始剤:2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノン5質量部、界面活性剤[ポリオキシエチレンアルキルエーテル(NT−12):第一工業製薬製]2質量部、及び、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール5質量部の混合物を、15分掛けて少しずつ加えて、加え終えた後、さらに20分混練し、感光性樹脂組成物を得た。
カルボン酸変性アクリルポリマーであるUC−3510(東亞合成株式会社製、商品名、酸価70mgKOH/g、ガラス転移温度−50℃、数平均分子量2000)0.5質量部、赤外線吸収剤であるカーボンブラックの分散液として、ブラック分散液(2)(株式会社昭和インク工業所製、商品名、カーボンブラック40質量%及び分散剤7.5質量%の分散液)7.3質量部、スチレン−ブタジエン−スチレンエラストマーの水素添加物としてタフテック H1051(旭化成株式会社製、登録商標、スチレン含量42質量%)1.3質量部、シリコーン樹脂としてKF−351(信越化学工業株式会社製、商品名)0.4質量部、及びトルエン44質量部を混合し、アブレーション層形成用の塗工溶液を得た。
このアブレーション層形成用の塗工溶液を、カバーシートとなる約100μmの厚さのPETフィルムに、乾燥後の膜厚が3μmとなるようにコーティングし、90℃で2分間の乾燥処理を施して、アブレーション層とカバーシートとの積層体を得た。
水溶性ポリウレタンとしてWLS−202(DIC社製、商品名)を87質量部、水分散性ラテックスとしてXL−006(旭化成社製)を3質量部、離型剤としてKF−351A(信越化学社製)10質量部を、水とエタノールを75対25で混合した混合溶媒に溶解し、固形分濃度10%の均一な溶液を調製した。
この溶液を、上述のようにして製造したアブレーション層(D)とカバーシートの積層体の、アブレーション層形成面上に、乾燥後の厚さが2μmとなるようにナイフコーターを用いて塗布し、90℃2分間乾燥して、アブレーション層(D)上に前記水溶性ポリウレタン及び水分散性ラテックスを含有する中間層(C)を積層したカバーシートを作製した。
次に、上述のようにして製造した「支持体(A)と感光性樹脂組成物層(B)との積層体1」、「中間層(C)とアブレーション層(D)とを有するカバーシート」を用いて、中間層(C)を有するフレキソ印刷版用原版を製造した。
前記「支持体(A)と感光性樹脂組成物層(B)との積層体1」から粘着防止フィルムを剥がし、「中間層(C)とアブレーション層(D)とを有するカバーシート」の中間層(C)側を感光性樹脂組成物層(B)に面するように、支持体(A)とカバーシートで挟み込み、全体が1.5mmになるように、120℃で加熱及び圧縮成型し、フレキソ印刷版用原版を得た。
実施例1で作製したフレキソ印刷版用原版は、柔軟であり、良好な水現像性を示した。
また、耐ピンホール性、樹脂密着力、べたつき性の結果を、表5に示す。
また、印刷パターンを作製したところ、優れた版再現性が得られた。
前記(実施例1)の<中間層(C)とアブレーション層(D)を有するカバーシートの製造>において、水溶性ポリウレタン(WLS−202)と水分散性ラテックス(XL−006)の混合比を変更した。
その他の条件は、(実施例1)と同様にして、表1〜表4に示す中間層組成を有するフレキソ印刷版用原版を得た。
前記(実施例1)の(中間層(C)とアブレーション層(D)とを有するカバーシートの製造)において、水溶性ポリウレタンの種類、及び水分散性ラテックス(旭化成社製、XL−006)との混合比を変更した。
その他の条件は、(実施例1)と同様にして、表1〜表4に示す中間層組成を有するフレキソ印刷版用原版を得た。
前記(実施例2)の(中間層(C)とアブレーション層(D)とを有するカバーシートの製造)において、水溶性ポリウレタンの一部を水溶性ポリアミド(東レ社製、AQナイロンT−70)に置換した。
その他の条件は、実施例2と同様にして、表1〜表4に示す中間層組成を有するフレキソ印刷版用原版を得た。
前記(実施例2)の(中間層(C)とアブレーション層(D)とを有するカバーシートの製造)において、水分散性ラテックスを、(ZEON社製、LX−111NF)に変更した。
その他の条件は、(実施例2)と同様にして、表1〜表4に示す中間層組成を有するフレキソ印刷版用原版を得た。
Claims (16)
- 支持体(A)と、
感光性樹脂組成物層(B)と、
中間層(C)と、
アブレーション層(D)と、
を、前記順序にて有するフレキソ印刷版用原版であって、
前記中間層(C)が、水分散性ラテックス及び水溶性ポリウレタンを含有し、
前記水分散性ラテックス及び水溶性ポリウレタンが極性基を有している、
フレキソ印刷版用原版。 - 前記水分散性ラテックスが、カルボキシル基又は水酸基を有する、請求項1に記載のフレキソ印刷版用原版。
- 前記水分散性ラテックスのトルエンゲル分率が、70質量%以上90質量%以下である、請求項1又は2に記載のフレキソ印刷版用原版。
- 前記中間層(C)全量に対する前記水分散性ラテックスの含有割合が、
3質量%以上90質量%以下である、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキソ印刷版用原版。 - 前記水溶性ポリウレタンの熱軟化温度が、80℃〜210℃である、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のフレキソ印刷版用原版。 - 前記水溶性ポリウレタンが、分子内にポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートのいずれかの構造を有する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のフレキソ印刷版用原版。 - 前記水溶性ポリウレタンが、分子内にカルボキシル基又は水酸基を有する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のフレキソ印刷版用原版。 - 前記中間層(C)全量に対する前記水溶性ポリウレタンの含有割合が、
10質量%以上90質量%未満である、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のフレキソ印刷版用原版。 - 前記中間層(C)が、水溶性ポリアミドを、さらに含有する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のフレキソ印刷版用原版。 - 前記中間層(C)が、
前記水分散性ラテックス100質量部に対して、
前記水溶性ポリアミドを10〜700質量部、含有する、
請求項9に記載のフレキソ印刷版用原版。 - 支持体(A)と、
感光性樹脂組成物層(B)と、
中間層(C)と、
アブレーション層(D)と、
を、前記順序にて有するフレキソ印刷版用原版であって、
前記中間層(C)が、塩基性窒素原子を含むモノマー単位と、アルキレングリコール構造単位を有するポリアミド共重合体を含む、
フレキソ印刷版用原版。 - 前記中間層(C)が、水分散性ラテックス、水溶性ポリウレタンをさらに含有し、
前記水分散性ラテックス及び水溶性ポリウレタンが極性基を有している、
請求項11に記載のフレキソ印刷版用原版。 - 前記中間層(C)全量に対する前記ポリアミド共重合体の含有割合が、5質量%以上80質量%未満である、
請求項11又は12に記載のフレキソ印刷版用原版。 - 前記中間層(C)の厚さが、0.5μm以上20μm以下である、
請求項1乃至13のいずれか一項に記載のフレキソ印刷版用原版。 - 前記中間層(C)が、シリコーン化合物を、さらに含有する、
請求項1乃至14のいずれか一項に記載のフレキソ印刷版用原版。 - 前記アブレーション層(D)が、
カーボンブラック、酸変性したポリマー、モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーと共役ジエンモノマーから構成される共重合体、前記共重合体の水素添加物、及び前記共重合体の変性物、からなる群より選択される少なくとも1種を、さらに含有する、
請求項1乃至15のいずれか一項に記載のフレキソ印刷版用原版。
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