JP7243076B2 - 感光性ctpフレキソ印刷原版 - Google Patents
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Description
(1)少なくとも支持体、感光性樹脂層、バリヤ層、及び感熱マスク層が順次積層されてなる感光性凸版印刷原版であって、バリヤ層が、分子内に塩基性窒素原子を含有するポリアミド樹脂(A)と、分子内にアルキレングリコール構造単位を40~70質量%含有するポリアミド樹脂(B)とを含有し、且つポリアミド樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の合計量に対するポリアミド樹脂(B)の含有量が53~95質量%であることを特徴とする水現像可能な感光性CTPフレキソ印刷原版。
(2)ポリアミド樹脂(B)が、ポリエーテルアミド又はポリエーテルエステルアミドであり、アルキレングリコール構造単位が、数平均分子量400~1000のポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール共重合体に由来することを特徴とする(1)に記載の水現像可能な感光性CTPフレキソ印刷原版。
(3)ポリアミド樹脂(A)が、ピペラジン環を分子内に含有するポリアミドであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の水現像可能な感光性CTPフレキソ印刷原版。
アルキレングリコール構造単位の由来するポリエチレングリコールやポリエチレングリコール共重合体の数平均分子量としては、バリヤ層の膜物性とガラス転移点の面から400~1000が好ましく、400~800がより好ましい。また、水溶性を向上させるためにポリアミド樹脂(B)の分子中に塩基性窒素原子を含有させても良い。
リコーン系レベリング剤、フッ素-ケイ素系レベリング剤、アセチレングリコール系レベ
リング剤等が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることが
できる。このようなレベリング剤の中でも、アクリル系レベリング剤、ビニルエーテル系レベリング剤、アセチレングリコール系レベリング剤を用いることが好ましい。これにより、得られるバリヤ層の表面を、より平坦化することができる。
まず、感熱マスク層のカーボンブラック以外のバインダー等の成分を適当な溶媒に溶解させ、そこにカーボンブラックを分散させて分散液を作製する。次に、このような分散液を感熱マスク層用支持体(例えばポリエチレンテレフタレートフィルム)上に塗布して、溶媒を蒸発させる。その後、バリヤ層成分を上塗りし、一方の積層体を作製する。さらに、これとは別に、支持体上に塗工により感光性樹脂層を形成し、他方の積層体を作製する。このようにして得られた二つの積層体を、圧力及び/又は加熱下に、感光性樹脂層がバリヤ層に隣接するように積層する。なお、感熱マスク層用支持体は、印刷原版の完成後はその表面の保護フィルムとして機能する。
A-1:ε-カプロラクタム520質量部、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジンアジペート400質量部、3-ビスアミノメチルシクロヘキサンアジペート80質量部と水1000質量部をオートクレーブ中に仕込み、窒素置換後、密閉して徐々に加熱した。内圧が1MPaに達した時点から、その圧力を保持できなくなるまで水を留出させ、約2時間で常圧に戻し、その後1時間常圧で反応させた。最高重合反応温度は255℃であった。これにより、ガラス転移点が54℃、比粘度が1.98の塩基性窒素原子含有ポリアミドを得た。
A-2:ε-カプロラクタム 90質量部、N-(2-アミノエチル)ピペラジンとアジピン酸のナイロン塩 910質量部および水1000質量部をオートクレーブに入れ、内部の空気を窒素ガスで置換した後に200℃で1時間加熱し、次いで水分を除去して水溶性ポリアミド樹脂を得た。得られた水溶性ポリアミド樹脂は、ガラス転移点が47℃、比粘度が の塩基性窒素原子含有ポリアミドであった。
A-3:ε-カプロラクタム540質量部、1,4-ビス(3-アミノエチル)ピペラジンアジペート380質量部、3-ビスアミノメチルシクロヘキサンアジペート80質量部と水1000質量部をオートクレーブ中に仕込み、窒素置換後、密閉して徐々に加熱した。内圧が1MPaに達した時点から、その圧力を保持できなくなるまで水を留出させ、約2時間で常圧に戻し、その後1時間常圧で反応させた。最高重合反応温度は255℃であった。これにより、ガラス転移点が55℃、比粘度が1.95の塩基性窒素原子含有ポリアミドを得た。
B-1:数平均分子量600のポリエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα、ω-ジアミノポリオキシエチレンとアジピン酸との当モル塩790質量部、ε-カプロラクタム210質量部を通常の条件で溶融重合した。得られたポリアミドは、分子中にアルキレングリコール構造単位を59質量%含有するPEG含有ポリアミド樹脂であった。
B-2:数平均分子量600のポリエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα、ω-ジアミノポリオキシエチレンとアジピン酸との当モル塩604質量部、ε-カプロラクタム396質量部をB-1と同様にして溶融重合した。得られたポリアミドは、分子中にアルキレングリコール構造単位を45質量%含有するPEG含有ポリアミド樹脂であった。
B-3:数平均分子量600のポリエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα、ω-ジアミノポリオキシエチレンとアジピン酸との当モル塩839質量部、ε-カプロラクタム261質量部をB-1と同様にして溶融重合した。得られたポリアミドは、分子中にアルキレングリコール構造単位を55質量%含有するPEG含有ポリアミド樹脂であった。
B-4:数平均分子量500のポリエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα、ω-ジアミノポリオキシエチレンとアジピン酸との当モル塩790質量部、ε-カプロラクタム210質量部を通常の条件で溶融重合した。得られたポリアミドは、分子中にアルキレングリコール構造単位を54質量%含有するPEG含有ポリアミド樹脂であった。
B-5:数平均分子量800のポリエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα、ω-ジアミノポリオキシエチレンとアジピン酸との当モル塩730質量部、ε-カプロラクタム270質量部を通常の条件で溶融重合した。得られたポリアミドは、分子中にアルキレングリコール構造単位を57質量%含有するPEG含有ポリアミド樹脂であった。
B-6:数平均分子量600のポリエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα、ω-ジアミノポリオキシエチレンとアジピン酸との当モル 987質量部、ε-カプロラクタム13質量部をB-1と同様にして溶融重合した。得られたポリアミドは、分子中にアルキレングリコール構造単位を74質量%含有するPEG含有ポリアミド樹脂であった。
B-7:数平均分子量600のポリエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα、ω-ジアミノポリオキシエチレンとアジピン酸との当モル塩605質量部、ε-カプロラクタム395質量部を通常の条件で溶融重合した。得られたポリアミドは、分子中にアルキレングリコール構造単位を35質量%含有するPEG含有ポリアミド樹脂であった。
B-8:数平均分子量200のポリエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα、ω-ジアミノポリオキシエチレンとアジピン酸との当モル塩868質量部、ε-カプロラクタム132質量部をB-1と同様にして溶融重合した。得られたポリアミドは、分子中にアルキレングリコール構造単位を54質量%含有するPEG含有ポリアミド樹脂であった。
B-9:数平均分子量1200のポリエチレングリコールの両末端にアクリロニトリルを付加し、これを水素還元して得たα、ω-ジアミノポリオキシエチレンとアジピン酸との当モル塩633質量部、ε-カプロラクタム367質量部をB-1と同様にして溶融重合した。得られたポリアミドは、分子中にアルキレングリコール構造単位を55質量%含有するPEG含有ポリアミド樹脂であった。
なお、得られたポリアミド樹脂B-1~B-9の分子中のアルキレングリコール構造単位の含有率は、原料の仕込み投入量から計算した。
表1の組成比率のポリアミド樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)とを固形分濃度が10質量%となるように60℃でエタノールに溶解し、バリヤ層用塗工液を作製した。
感熱マスク層の塗工液には、カーボンブラック分散液(オリエント化学工業(株)製、AMBK-8)と共重合ポリアミドの混合物を用いた。混合物中の各成分の混合割合は、固形分質量比でカーボンブラック:ブチラール樹脂:共重合ポリアミド=35:28:37であった。次にPETフィルム(東洋紡(株)、E5000、厚さ100μm)の両面に離型処理を施した後、感熱マスク層塗工液をバーコーター♯12を用いて塗工し、120℃×5分乾燥した。この時の光学濃度は2.3であった。この光学濃度は白黒透過濃度計DM-520(大日本スクリーン製造(株))によって測定した。
作成した感熱マスク層の上に、バリヤ層用塗工液を所定の厚みになるように適切な種類のバーコーターを用いて塗工し、120℃×5分乾燥し、バリヤ層を最上層に設けた感熱マスク層積層体のフィルムを得た。
アクリロニトリル-ブタジエンラテックス(Nipol SX1503 不揮発分42% 日本ゼオン(株)製)10質量部、ブタジエンラテックス(Nipol LX111NF 不揮発分55% 日本ゼオン(株)製)58質量部、オリゴブタジエンアクリレート(ABU-2S 共栄社化学(株)製)28質量部、ラウリルメタクリレート(ライトエステルL 共栄社化学(株)製)4質量部、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート4質量部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1質量部、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.1質量部、その他の添加剤としてノニオン系界面活性剤0.1質量部をトルエン15質量部とともに容器中で混合し、次に加圧ニーダーを用いて105℃で混練し、その後トルエンと水を減圧除去することにより、感光性樹脂層に用いる感光性樹脂組成物を得た。この組成物の押し込み変位量を測定したところ、15μmであった。
共重合ポリエステル系接着剤を塗工したPETフィルム支持体(東洋紡(株)、E5000、厚さ125μm)上に上記感光性樹脂組成物を配置し、その上からバリヤ層を最上層に設けた感熱マスク層積層体のフィルムを重ね合わせた。ヒートプレス機を用いて100℃でラミネートし、PET支持体、接着層、感光性樹脂層、保護層、感熱マスク層および離型処理PET保護フィルム(カバーフィルム)からなるフレキソ印刷原版を得た。版の総厚は1.90mmであった。
原版のPET支持体側から化学線(光源Philips10R、365nmにおける照度8mW/cm2)を1分間照射した。続いて、離型処理PETフィルム(カバーフィルム)を剥離した。この版を、Digital Imager Spark(バルコ社製)の回転ドラムに感熱マスク層が表側にくるように巻き付け、真空引き後、画像形成を行った。アブレーション後、版を取り出し平面に戻し、化学線(光源Philips10R、365nmにおける照度8mW/cm2)を6分照射した。その後、A&V(株)製現像機(Stuck System)で、40℃で8分現像を行った。現像液には、食器洗剤Cascade(米国P&G製)を1%添加した水道水を使用した。現像後、60℃で10分乾燥し、化学線を10分間照射し、最後に表面粘着性を除去するために殺菌灯を5分間照射した。
耐皺性:作製したフレキソ印刷版原版を幅20cm長さ20cmにカットし、評価サンプルとした。サンプルを10℃又は30℃の恒温室で相対湿度25%の条件下、平面台の上に24時間保存し、サンプルを調整した。その後にサンプルのカバーシートを剥がし、直径15cmの円筒状のロールにバリヤ層が外側になるように巻き付けて10分間固定した後、これを取り外して平坦な場所に5分間静置した。その後、目視でバリヤ層の表面を観察し、以下の基準で判定した。
○:バリヤ層に皺が確認されなかったもの
△:バリヤ層の一部に皺が確認されたもの
×:バリヤ層の全面に皺が確認されたもの
○:バリヤ層のコート面が平滑なもの
×:バリヤ層のコート面にスジ・ハジキのような欠点が確認されたもの
○:バリヤ層の水現像が可能なもの
×:バリヤ層の水現像が不可能なもの
○:網点トップにおいてフラットな部分の直径がネガフィルム150線2%相当を再現し、端部の形状に丸みがない。
△:網点トップにおいてフラットな部分がネガフィルム150線2%相当よりも小さくなり、端部の形状に少し丸みがある。
×:網点トップにおいてフラットな部分が見られず、端部の形状が丸くなっている。
<感熱マスク層作成>で作成した感熱マスク層を準備した。次に、表1に示す実施例1のバリヤ層組成比率で<バリヤ層用塗工液組成物の作製に従って塗工液組成物を作製した。次に、<バリヤ層を設けた感熱マスク層積層体のフィルムの作製>に従って、バリヤ層を厚みが1.5μmとなるように感熱マスク層上に塗布・乾燥し、バリヤ層を最上層に設けた感熱マスク層積層体のフィルムを得た。得られた感熱マスク層積層体のフィルムを<印刷原版作成>に従って感光性樹脂層とラミネートし、PET支持体、接着層、感光性樹脂層、保護層、感熱マスク層および離型処理PET保護フィルム(カバーフィルム)からなるフレキソ印刷原版を得た。版の総厚は1.90mmであった。なお、実施例1に用いた感光性樹脂層は、<感光性樹脂層用感光性樹脂組成物の作製>で作製したものを用いた。
実施例1の製造方法に従って、表1に記載の感熱マスク層組成(質量比)で作成した感熱マスク層を設けたフィルムを用いて実施例1の感光性樹脂層を設け、PET支持体、接着層、感光性樹脂層、保護層、感熱マスク層および離型処理PET保護フィルム(カバーフィルム)からなるフレキソ印刷原版を得た。版の総厚は1.90mmであった。得られたバリヤ層及びCTPフレキソ印刷原版を用いて性能評価を行った。これらの性能評価の結果を以下の表1に示す。
Claims (5)
- 少なくとも支持体、感光性樹脂層、バリヤ層、及び感熱マスク層が順次積層されてなる感光性CTPフレキソ印刷原版であって、
前記バリヤ層が、単一の層内で、分子内に塩基性窒素原子を含有するポリアミド樹脂(A)と、分子内にアルキレングリコール構造単位を40~70質量%含有するポリアミド樹脂(B)とを含有し、且つポリアミド樹脂(A)とポリアミド樹脂(B)の合計量に対するポリアミド樹脂(B)の含有量が53~95質量%である
ことを特徴とする水現像可能な感光性CTPフレキソ印刷原版。 - ポリアミド樹脂(B)が、ポリエーテルアミド又はポリエーテルエステルアミドであり、アルキレングリコール構造単位が、数平均分子量400~1000のポリエチレングリコール又はポリエチレングリコール共重合体に由来することを特徴とする請求項1に記載の水現像可能な感光性CTPフレキソ印刷原版。
- ポリアミド樹脂(A)が、ピペラジン環を分子内に含有するポリアミドであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水現像可能な感光性CTPフレキソ印刷原版。
- 請求項1から3のいずれかに記載の感光性CTPフレキソ印刷原版から得られる印刷版。
- 請求項1から3のいずれかに記載の感光性CTPフレキソ印刷原版から印刷版を製造する、印刷版の製造方法。
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