JP2020138542A - 感温色素フィルム - Google Patents

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【課題】主として、合成樹脂から主として構成される積層樹脂フィルムであって、一定の温度においてフィルムの発色/消色が確認できる感温色素フィルムを提供することにある。【解決手段】本発明として、例えば、合成樹脂から主として構成される基材層3および表面層1を有する積層樹脂フィルムであって、当該両層の間に感温色素材を含有する樹脂層(感温色素層)2が挟まれていることを特徴とする感温色素フィルムを挙げることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、合成樹脂からなる積層樹脂フィルムの技術分野に属する。本発明は、積層樹脂フィルムであって、間に感温色素材を含有する樹脂層を挟んだ感温色素フィルムに関するものである。
ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂から主として構成される積層樹脂フィルムの発明は、数多く存在する(例えば、特許文献1、2)。それら従来の積層樹脂フィルムは、基本的に無色透明か白色か、最初から着色されているものばかりである。内容物の影響によって曇ることはあっても、使用中に発色したり、一度発色したものが消色するようなことはない。
一方、温度により発色したり消色したりする感温変色性組成物は、種々のものが知られている。例えば、特許文献3には、新規な感温変色性組成物(マイクロカプセル)として、ロイコ染料、顕色性物質、及び特定の変色温度調整剤を含有するものが開示されている。当該変色温度調整剤は、例えば、a:4−ヒドロキシメチルビフェニルデカン酸エステル、b:安息香酸フェニル−n−デシルエーテル、c:4−ヒドロキシベンゾフェノンラウリルエーテル、d:4−クロロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノンラウリン酸エステル、e:4−ヒドロキシメチルビフェニルのデシルエーテルの少なくとも1種以上の化合物である組成物である。当該感温変色性組成物は、広いヒステリシス幅を備えているという。
特許文献4には、当該特許出願以前に公知の感温変色性組成物が使用された感温変色性シートが開示されている。かかるシートは、基本シート、例えば、プラスチック、合成紙、ゴム等をシート状に形成したものの下層に粘着性吸熱層が設けられ、前記基本シートの上層に、25〜36℃の温度範囲で可逆的に変色する可逆熱変色層が設けられている。このものは可逆熱変色層を有することから、吸熱効果の有効性を目視により容易に判別することができるというものである。
特開2018−176690号公報 特開2017−121707号公報 特開2012−188648号公報 特開平9−313520号公報
本発明は、合成樹脂から主として構成される積層樹脂フィルムであって、一定の温度においてフィルムの発色ないし消色(以下、これらを「変色」ともいう。)が確認でき、擦れなどによる色素含有部分の剥がれを防止できる感温色素フィルムを提供することを主な課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、積層樹脂フィルムに感温色素材を含有する樹脂層を挟むことにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明として、例えば、次のものを挙げることができる。
[1]合成樹脂から主として構成される基材層および表面層を有する積層樹脂フィルムであって、当該両層の間に感温色素材を含有する樹脂層(感温色素層)が挟まれていることを特徴とする、感温色素フィルム。
[2]前記感温色素層を有する積層領域と有しない積層領域とが混在する、上記[1]に記載の感温色素フィルム。
[3]前記感温色素層を有する積層領域において、感温色素層を有する部分と感温色素層を有しない部分とが混在する、上記[2]に記載の感温色素フィルム。
[4]感温色素層を有する部分と感温色素層を有しない部分とが共にフィルムの幅方向に対し交互に平行して直線状に形成してなる、上記[3]に記載の感温色素フィルム。
[5]前記感温色素層が複数の温度ポイントにおいて変色する、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の感温色素フィルム。
[6]前記感温色素層の発色/消色が可逆的である、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の感温色素フィルム。
本発明によれば、フィルムの色彩の変化により、ある温度に達したことを一目で確認でき、環境状態を容易に呈示できることに加えて、擦れなどによる色素含有部分の剥がれを防止することができる。また、ある態様においては、他の印刷の内容を容易に把握することができる。また、ある態様においては、変色部分の視認性を高めることができる。
本発明に係る感温色素フィルムの一態様であって、感温色素材(感温色素層)が発色した状態を表す概略図である。上図は平面図を、下図は上図を横に切断した断面図を、それぞれ表す。 本発明に係る感温色素フィルムの一態様であって、感温色素材(感温色素層)が発色した状態を表す概略図である。A部分は、感温色素層を有する積層領域を、B部分は、感温色素層を有しない積層領域を、それぞれ表す。 本発明に係る感温色素フィルムの一態様であって、感温色素材(感温色素層)が発色した状態を表す写真である。
1 本発明の感温色素フィルムについて
本発明の感温色素フィルム(以下、「本発明フィルム」という)は、合成樹脂から主として構成される基材層および表面層を有する積層樹脂フィルムであって、当該両層の間に感温色素材を含有する樹脂層(感温色素層)が挟まれていることを特徴とする(図1下図参照)。本発明フィルムは、感温色素材を含有する感温色素層が基材層および表面層の間に挟まれ、色素含有部分が外部に露出していないため、外力などによる劣化が少ない。
本発明に係る基材層および表面層は、透明ないし半透明であることが好ましいが、乳白色であったり、着色されていてもよい。
本発明フィルムにおける基材層、表面層、および感温色素層は、それぞれ単層であっても、2層以上の複層であってもよい。また、基材層は、ヒートシール性を有していてもよい。基材層がヒートシール性を有することで、基材層同士を接着し、袋状の本発明フィルムとすることができる。
本発明フィルムは、感温色素層を有する積層領域と有しない積層領域とが混在していてもよい。例えば、本発明フィルムにおいて、基材層/感温色素層/表面層の3層から構成されている領域(図2のA領域)と、感温色素層を有しない、基材層/表面層の2層から構成されている領域(図2のB領域)とが混在していてもよい。発色部分と他の印刷物が存在する場合、フィルムが発色すると、その印刷物の内容を見ることが困難になるおそれがある。図2のB領域や図3の上部のように、本発明フィルムに温度により発色しない部分が存在することで、そこから他の印刷物の内容を見ることができ、そのような問題を解消することができる。
本発明フィルムにおいて、感温色素層を有する積層領域(A領域)と有しない積層領域(B領域)とは、それぞれ単位ごとに1箇所ずつ存在してもよいが、独立して2箇所以上の複数箇所に存在してもよい。
本発明フィルムは、また、感温色素層を有する積層領域(A領域)において、感温色素層を有する部分と感温色素層を有しない部分とが混在していてもよい。そのような態様として、好ましくは、例えば、各図に示すように、両部分が共にフィルムの幅方向に対し交互に平行して直線状ないしストライプ状に形成されていているものを挙げることができる。当該領域の間に感温色素層を有しない部分が不連続に平行して存在することにより、色彩のコントラストが生じ変色部分の視認性を高めることができる。各図に示すようなストライプ状に感温色素層が設置される場合、各感温色素層の幅や間隔は、その用途により適宜設定される。
1.1 本発明フィルムを構成する合成樹脂
本発明フィルムの基材層および表面層は、合成樹脂から主として構成される。本発明フィルムの感温色素層についても、感温色素材を除いては、合成樹脂から主として構成される。かかる合成樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を挙げることができる。
ここで「合成樹脂から主として構成される」とは、通常、50重量%以上の合成樹脂、好ましくは70重量%以上の合成樹脂、より好ましくは90重量%以上の合成樹脂で構成されていることをいう。
当該基材層、表面層、および感温色素層を構成する樹脂は、同じであっても異なっていてもよい。ポリエチレン系樹脂、およびポリプロピレン系樹脂としては、下記のものを挙げることができる。
1.1.1 ポリエチレン系樹脂
本発明において、ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合体、エチレンとそれ以外のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体またはこれらの混合物を好適なものとして挙げることができる。
エチレンの単独重合体としては、エチル基などの短鎖分岐のほか長鎖分岐を含む密度の低い分岐状低密度ポリエチレンが例示できる。これは、高圧法すなわち1000気圧以上の高圧下エチレンのラジカル重合法で製造される。
エチレンとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合体における、原料モノマーであるメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチルまたはメタクリル酸シクロへキシル等を挙げることができる。最も好ましいのはエチレンとメタクリル酸メチルとの共重合体である。
エチレンとそれ以外のα−オレフィンとの共重合体における、エチレン以外のα−オレフィンとしては、例えば、炭素数3〜20のα−オレフィンを挙げることができ、具体的には、例えば、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。この中、炭素数3〜8の、例えば、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンが好ましい。これらエチレン以外のα−オレフィンは1種であっても、また2種以上の併用であってもよい。
エチレンとそれ以外のα−オレフィンとの共重合体の、エチレンとそれ以外のα−オレフィンとの含有割合としては、通常エチレンが75〜99.5重量%、それ以外のα−オレフィンが0.5〜25重量%であり、好ましくはエチレンが85〜99重量%、それ以外のα−オレフィンが1〜15重量%であり、より好ましくはエチレンが90〜98重量%、それ以外のα−オレフィンが2〜10重量%である。
エチレンとそれ以外のα−オレフィンとの共重合体としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を例示することができる。
エチレンと酢酸ビニルとの共重合体としては、酢酸ビニルの含有量が4〜20重量%、好ましくは6〜15重量%である。
当該ポリエチレン系樹脂の中、ISO1133(1997)に準拠して190℃、21.18N(2.16Kg)荷重の条件で測定されたメルトフローレート(MFR)値が0.5〜30g/10分の範囲内であるポリエチレン系樹脂が好ましい。また、当該メルトフローレート値が、2〜10g/10分の範囲内であるポリエチレン系樹脂がより好ましい。
更に当該ポリエチレン系樹脂の中、JIS K 7112に準拠して測定した場合の密度が0.85〜0.94g/cmの範囲内であるポリエチレン系樹脂が好ましく、0.86〜0.934g/cmの範囲内であるポリエチレン系樹脂がより好ましい。
ポリエチレン系樹脂の中で、分岐状低密度ポリエチレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、直鎖状低密度ポリエチレン、またはエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましいのは、溶融時に高い溶融張力を有するため、押出成形等加工の際、厚み精度が良好となるためである。
1.1.2 ポリプロピレン系樹脂
本発明において、ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、プロピレンとそれ以外のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。プロピレン以外のα−オレフィンとしては、例えば、炭素数2〜10のプロピレン以外のα−オレフィンを挙げることができ、具体的には、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンを挙げることができる。この中、炭素数2〜4の、例えば、エチレン、1−ブテンが好ましく、エチレンがより好ましい。これらプロピレン以外のα−オレフィンは、1種であっても、2種以上の併用であっても良い。プロピレン以外のα−オレフィンの含有割合は、1.3重量%以下が適当であり、0.5重量%以下が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の中、ISO1133(1997)に準拠して230℃、21.18N(2.16Kg)荷重の条件で測定された場合のメルトフローレート(MFR)値が0.5〜20g/10分の範囲内にあることが好ましい。また、当該メルトフローレート値が、2〜4g/10分の範囲内である融点155℃〜165℃の結晶性ポリプロピレン系樹脂がより好ましい。なお、重合体のメルトフローレート(MFR)値は、プロピレン以外のα−オレフィンの種類や含有量、重合体の分子量や重合度によって適宜調整することができる。
ポリプロピレン系樹脂の中、13C核磁気共鳴スペクトルによるアイソタクチックペンタッド分率(IP)が94.0%〜96.0%であるものが好ましい。
1.2 感温色素層
感温色素層は、感温色素材を含有する樹脂層である。かかる感温色素層は、前記の通り、基材層と表面層との間に挟まれており、あるいは感温色素材が基材層と表面層との間に内包されており、特許文献4に記載のシートのように外部に露出していない。そのため、感温色素層が擦れなどにより剥がれ難い。
なお、感温色素層の断面形状を示す図1下図では、感温色素層の断面は四角に表されているが、これは概念図であって、実際には、楕円等丸みを帯びた形状になる場合が多い。
1.2.1 感温色素材
感温色素材としては、所定の温度ポイントを境に少なくとも発色する性質を持ち、合成樹脂とブレンドできるものであれば特に制限されない。感温色素材は、通常、当該性質を示すよう複数の化合物が組み合わされた組成物からなる。感温色素材は、公知のものを使用することができ、また発色と消色を繰り返すことができる可逆感温変色性を示すものが好ましい。例えば、次のものを挙げることができる。
<A> 特許文献3に記載の感温変色性組成物
具体的には、ロイコ染料(発色剤)、顕色性物質(電子受容性化合物)、変色温度調整剤を含有する感温変色性組成物において、変色温度調整剤が下記化合物a〜eのいずれか1種以上の化合物である組成物、またはその組成物を内包するマイクロカプセル。
<B>電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物と呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体の三成分を含む感温色素材(例、特公昭51−35414号公報、特公昭51−44706号公報、特公平1−17154号公報等参照)。具体的には、
(1)(イ)電子供与性呈色性有機化合物と(ロ)フェノール性水酸基を有する化合物と(ハ)鎖式脂肪族1価アルコールの三成分を必須成分とした感温色素材。
(2)(イ)電子供与性呈色性有機化合物と(ロ)フェノール性水酸基を有する化合物と(ハ)脂肪族1価アルコールと脂肪族モノカルボン酸から得たエステルより選んだ化合物の三成分を必須成分とした感温色素材。
(3)(イ)電子供与性呈色性有機化合物と(ロ)フェノール性水酸基を有する化合物と(ハ)高級脂肪族1価アルコールと、脂肪族モノカルボン酸と鎖式脂肪族1価アルコールから得たエステルのいずれかより選んだ化合物の三成分を必須成分とし、これを微小カプセルに内包した感温色素材。
(4)(イ)電子供与性呈色性有機化合物と(ロ)フェノール性水酸基を有する化合物と(ハ)高級脂肪族1価アルコールと、脂肪族モノカルボン酸と鎖式脂肪族1価アルコールとから得たエステルより選んだ化合物の三成分を必須成分とし、これをビヒクル中に溶解又は分散してなる感温色素材。あるいは、特開平7−186546号公報に記載されている、発色時には蛍光性を有する黄色、黄橙色、橙色、赤橙色、赤色等の高発色濃度且つ明るさに富む色を呈し、消色時には、色残りがなく無色を呈する、(イ)ピリジン系、キナゾリン系、及びビスキナゾリン系から選ばれる電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)前記電子供与性呈色性有機化合物に対して電子受容性である化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体である化合物の3成分を必須成分とする相溶体からなる感温色素材。特公平1−29398号公報に記載された、温度変化による色濃度−温度曲線に関し、3℃以下のヒステリシス幅をもつ、高感度の感温色素材。
(5)その他、特公平4−17154号公報に記載されている、大きなヒステリシス特性を示して変色する感温変色性色彩記憶性感温色素材。また、電子供与性呈色性有機化合物、フェノール性水酸基を有する化合物および前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の三者の均質相溶体を塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂等に微粒子状に分散させて得られる、特開平6−135144号公報に記載の感温色素材。
以上の感温色素材は、そのままの適用でも有効であるが、微小カプセルに内包して使用するのが好ましい。種々の使用条件において可逆熱変色性材料は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができるからである。前記微小カプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成でき、粒子径0.1〜100μm、好ましくは3〜30μmの範囲が実用的である。なお、微小カプセル化は、公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更に微小カプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することも可能である。
感温色素材は、取扱性の観点などからマイクロカプセル化されているものが好ましい。より具体的な感温色素材としては、例えば、サクラクレパス社製の「TCカラー」を挙げることができる。
感温色素材は、1種であっても2種以上の併用であってもよい。
感温色素層における感温色素材の含有量は、所定温度ポイントにおける発色が確認できる量であれば特に制限されず、用いる感温色素材や合成樹脂の種類などによって異なるが、通常、0.001〜40重量%の範囲内であり、好ましくは0.1〜10重量%の範囲内であり、より好ましくは1〜20重量%の範囲内である。感温色素材の含有量がこの範囲であると、色の変化が確認しやすく好ましい。
1.2.2 感温色素層の態様
本発明に係る感温色素層の変色は、一つの温度ポイントで生じても、2以上の複数の温度ポイントで生じてもよい。複数の温度ポイントで変色するものである場合、各温度ポイントにおいて変色する色は同じであっても異なってもよいが、2つの変色温度ポイントが近い場合には、その温度ポイントにおける2つは目視で区別できる色であることが好ましい。
複数の温度ポイントでの変色は、単一の感温色素層に異なる温度ポイントで変色する複数の感温色素材を含有することにより実現することができる。また、感温色素層を2層以上とし、そのそれぞれの層に異なる温度ポイントで変色する感温色素材を含有することにより実現することもできる。感温色素層が3層以上の場合には、同一の感温色素材が含有された層があってもよい。
感温色素層の変色(発色/消色)は、繰り返し行われる可逆的であることが好ましい。そのような感温色素層を有する本発明フィルムは、再利用することができる。そのためには、通常、当該可逆性を有する感温色素材が用いられる。
1.3 その他
本発明フィルムには、本発明の効果を損なわない範囲で、アンチブロッキング剤、滑剤、防曇剤などを含むことができる。かかるアンチブロッキング剤としては、一般的に用いられている無機系のシリカやカオリン、ゼオライト等、又は有機系の架橋アクリルビーズ等が挙げられる。滑剤としては、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。防曇剤としては、例えば、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルの3系が挙げられる。アンチブロッキング剤、滑剤、防曇剤は、いずれも1種のみでも、また2種以上を併用してもよい。
上記アンチブロッキング剤、滑剤、防曇剤などの添加量は、本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂の種類等に応じて適宜調整することができる。
本発明フィルムには、また、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の添加剤を適量更に配合することができる。かかる添加剤としては、造核剤、酸化防止剤、難燃剤、静電気防止剤、充填剤、顔料等を挙げることができる。
本発明フィルムにおける基材層の厚みは、通常、2〜200μmの範囲内であり、好ましくは10〜125μmの範囲内であり、より好ましくは20〜50μmの範囲内である。本発明フィルムにおける表面層の厚みは、通常、2〜200μmの範囲内であり、好ましくは10〜125μmの範囲内であり、より好ましくは20〜50μmの範囲内である。本発明フィルムにおける感温色素層の厚みは、通常、10〜380μmの範囲内であり、好ましくは20〜300μmの範囲内であり、より好ましくは30〜200μmの範囲内である。
本発明フィルムの総厚みとしては、通常、10〜400μmの範囲内であり、好ましくは15〜250μmの範囲内であり、より好ましくは20〜100μmの範囲内である。
本発明フィルムの総厚みに対する基材層の厚み比は、通常、10〜95%の範囲内であり、好ましくは30〜90%の範囲内であり、より好ましくは、50〜90%の範囲内である。本発明フィルムの総厚みに対する基材層の厚みの比がこの範囲であると、色の変化が目視で確認しやすく好ましい。
2 本発明フィルムの製造方法
本発明フィルムの製造方法は、特に制限はなく積層樹脂フィルムにおける公知の方法を用いることができるが、生産性や出来上がったフィルムの物性等を考慮すると、フラット状シートを押出成形により製膜して製造するのが好ましい。
より具体的には、適正な温度に設定された3台の押出機に、基材層を構成する樹脂、感温色素層を構成する樹脂、および表面層を構成する樹脂をそれぞれ投入し、押出機内で樹脂を溶融・混練した後、180℃〜250℃のTダイスよりシート状に押出す。この場合、3層の積層構成を形成するのに、フィードブロック方式を用いても、マルチマニホールド方式を用いてもよい。押出されたシート(フィルム)は25〜70℃の引き取りロールにて冷却固化される。冷却、固定されたのち、巻き取り機にて巻き取ってフィルムロールとなる。
本発明フィルムの製造においては、巻き取り機で巻き取る前に、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等公知の表面処理を施すことができる。簡便性の点から特に、コロナ放電処理を行うことが好ましい。当該表面処理を施すことにより、フィルムの表面にぬれ張力を持たせ、防曇効果を高めることができるだけでなく、フィルム表面に印刷をする場合の印刷インキとの密着性を高めることもできる。このコロナ放電処理は表面層面、シール層面の両面を処理しても良いし、表面層面又はシール層面のどちらか一方の面を処理しても良い。コロナ放電処理の強度としては、1.8×10〜9.0×10J/mの範囲内にあるのが好ましく、両面処理する場合に、両面とも同じ強度であっても、異なっていてもよい。
3 本発明フィルムの用途
本発明フィルムは、本発明フィルムを適用することができるものであり、所定の温度に達すると少なくとも一部が発色することから、ある所定の温度に達したことを目視で識別したいものであれば特に制限されず、そのような天然物ないし人工物に対し使用することができる。
以下に実施例、試験例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら限定されるものではない。
[実施例]本発明フィルムの製造
(1)使用した原料は、次のとおりである。
PE−1:直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.92g/cm MFR:2.0g/10分)
CL−1:TCカラー(サクラクレパス社製、青色、変色点:−5℃)
CL−2:TCカラー(サクラクレパス社製、赤色、変色点:20℃)
(2)基材層および表面層を構成する樹脂として、PE−1を用いた。感温色素層を構成する樹脂としてPE−1を98重量%用い、これに感温色素材であるCL−1とCL−2をそれぞれ1重量%ずつ含有させた。
上記各樹脂をバレル温度が180〜200℃の押出機に夫々投入し、205℃の多層ダイスから、シート状に押出し、40℃の引き取りロールにて冷却固化してフィルムを得た。得られたフィルムを図3に示す。当該フィルムは、図1の下図(断面図)に示すように、感温色素層が基材層と表面層との間に挟まれており、感温色素層を有する積層領域(A領域)と感温色素層を有しない積層領域(B領域)との多層構造領域を有し、A領域においては、感温色素層がフィルムの幅方向に一定間隔をもって帯状に形成された。
得られたフィルムは、総厚みが50μmであった。
[試験例1]温度による変色の確認
白地の紙の上に、上記実施例で作製した本発明フィルムを置いた。20℃以上の温度から徐々に温度を下げていき、色の変化を分光測色計CM−600d(コニカミノルタセンシング社製)を真上から当てて、正反射光を含んで処理するモードで、観察視野10°、観察光源測色用標準イルミナントD65で、L*a*b*表色系を測定した。
なお、測定箇所は、本発明フィルムの傷のない部分とした。測定は、低温時を−5℃、高温時を20℃とし、フィルム温度が設定温度と一致するまで設定温度環境下にフィルムを十分放置した後、行った。
そして、低温時(−5℃)と高温時(20℃)との色差(ΔE)を、以下の計算式を用いて算出した。
ΔEが、1.0以下では、色の差を目視で識別することができない。
ΔEが、1.0を超えると色の変化を識別でき、3.0以上であるとはっきりと色の変化を識別することができる。
結果を表1に示す。色の評価(色座標)は、日本産業規格(JIS)Z8730に準じた。表中、a*の値が増加すると赤色が強くなっていることを、b*の値が減少すると青色が強くなっていることを示す。
表1に示す通り、本発明フィルムの色素含有部(感温色素層)においてのみa*とb*の値が大きく変化し、赤色と青色が増加したことが示され、紫色に変色したことが裏付けられた。本発明フィルムの色素非含有部(非感温色素層)では、温度によるa*とb*の値の変化は殆ど見られなかった。
本発明フィルムの色素含有部(感温色素層)において、低温時(−5℃)と高温時(20℃)との色差は、大きな値を示し、本発明フィルムの色素非含有部(非感温色素層)では小さな値しか示さなかった。
本発明フィルムは、一定の温度で発色したり消色したりと変色することから、ある温度に達したことを一目で確認したい物に対するフィルム材として有用である。
1 表面層
2 感温色素層
3 基材層
A 感温色素層を有する積層領域
B 感温色素層を有しない積層領域

Claims (6)

  1. 合成樹脂から主として構成される基材層および表面層を有する積層樹脂フィルムであって、当該両層の間に感温色素材を含有する樹脂層(感温色素層)が挟まれていることを特徴とする、感温色素フィルム。
  2. 前記感温色素層を有する積層領域と有しない積層領域とが混在する、請求項1に記載の感温色素フィルム。
  3. 前記感温色素層を有する積層領域において、感温色素層を有する部分と感温色素層を有しない部分とが混在する、請求項2に記載の感温色素フィルム。
  4. 感温色素層を有する積層部分と感温色素層を有しない積層部分とが共にフィルムの幅方向に対し交互に平行して直線状に形成してなる、請求項3に記載の感温色素フィルム。
  5. 前記感温色素層が複数の温度ポイントにおいて変色する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感温色素フィルム。
  6. 前記感温色素層の発色/消色が可逆的である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の感温色素フィルム。
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