JP2020138301A - 硬質被覆層が優れた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 - Google Patents
硬質被覆層が優れた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 Download PDFInfo
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Abstract
Description
ただ、前記従来のTi−Al系の複合炭窒化物層を被覆形成した被覆工具は、比較的耐摩耗性に優れるものの、高速断続切削条件等で用いた場合にチッピング等の異常損耗を発生しやすいことから、硬質被覆層の改善についての種々の提案がなされている。
「(1)工具基体の表面に、硬質被覆層を設けた表面被覆切削工具であって、
(a)前記硬質被覆層は、ウルツ鉱型の六方晶構造を有するTiとAlとBの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒を90面積%以上含むTiAlBCN層αを工具表面側に、NaCl型の面心立方構造を有するTiとAlの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒を85面積%以上含むTiAlCN層βを前記工具基体側に、それぞれ一層ずつ有する積層構造であり、
(b)前記TiAlBCN層αの組成を組成式:(Ti(1−xα-yα)AlxαByα)(CzαN(1−zα))で表した場合、AlのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合xα、BのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合yαとCのCとNの合量に占める平均含有割合zα(但し、xα、yα、zαはいずれも原子比)が、それぞれ、0.70≦xα+yα≦1.00、0.05≦yα≦0.40、0.000≦zα≦0.015、を満足し、
(c)前記TiAlCN層βの組成を組成式:(Ti(1−xβ)Alxβ)(CzβN(1−zβ))で表した場合、AlのTiとAlの合量に占める平均含有割合xβとCのCとNの合量に占める平均含有割合zβ(但し、xβ、zβはいずれも原子比)が、それぞれ、0.65≦xβ≦0.95、0.000≦zβ≦0.015を満足し、
(d)前記TiAlBCN層αと前記TiAlCN層βは、それぞれの平均層厚をLα、Lβとした場合、0.5μm≦Lα≦10.0μm、1.0μm≦Lβ≦20.0μmを満足する、
ことを特徴とする表面被覆切削工具。
(2)前記xαと前記yαと前記xβは、|xα+yα―xβ|≦0.20を満足することを特徴とする前記(1)に記載の表面被覆切削工具。
(3)前記TiAlBCN層αと前記TiAlCN層βとの間にNaCl型の面心立方構造を有するTiとAlの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒を少なくとも含むTiAlCN層γが存在し、
(a)前記TiAlCN層γの組成を組成式:(Ti(1−xγ)Alxγ)(CzγN(1−zγ))で表した場合、AlのTiとAlの合量に占める平均含有割合xγと、CのCとNの合量に占める平均含有割合zγ(但し、xγ、zγはいずれも原子比)について、
xγが、xα+yα≦xγ<xβまたはxα+yα≧xγ>xβ、
zγが、0.000≦zγ≦0.015、
をそれぞれ満足し、
(b)前記TiAlCN層γは、その平均層厚をLγとした場合、0.1μm≦Lγ≦1.0μmを満たす、
ことを特徴とする前記(1)または(2)に記載の表面被覆切削工具。
(4)前記TiAlBCN層αと前記TiAlCN層βとの間にNaCl型の面心立方構造を有するTiとAlとBの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒を少なくとも含むTiAlBCN層δが存在し、
(a)前記TiAlBCN層δの組成を組成式:(Ti(1−xδ-yδ)AlxδByδ)(CzδN(1−zδ))で表した場合、AlのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合xδ、BのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合yδと、CのCとNの合量に占める平均含有割合zδ(但し、xδ、yδ、zδはいずれも原子比)について、
xδが、xα+yα≦xδ+yδ≦xβもしくはxα+yα≧xδ+yδ≧xβ、
yδが、0.03≦yδ≦0.10、
かつ、zδが、0.000≦zδ≦0.015、
をそれぞれ満足し、
(b)前記TiAlBCN層δは、その平均層厚をLδとした場合、0.1μm≦Lδ≦1.0μm、を満たす、
ことを特徴とする前記(1)または(2)に記載の表面被覆切削工具。
(5)前記表面被覆切削工具のすくい面に前記TiAlBCN層αと前記TiAlCN層βとの積層構造を含む前記硬質被覆層を有し、逃げ面の表面に前記TiAlCN層βを含む硬質被覆層を有することを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の表面被覆切削工具。」
である。
本発明に係る被覆工具は、図1に示すように、ウルツ鉱型の六方晶構造を有するTiとAlとBの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒を少なくとも含むTiAlBCN層αを工具表面側に、NaCl型の面心立方構造を有するTiとAlの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒を少なくとも含むTiAlCN層βを工具基体側に、それぞれ、1層ずつ有する積層構造を有している。
以下、各層について詳述する。
TiAlBCN層αは、耐熱亀裂性(耐熱衝撃性)に優れたウルツ鉱型の六方晶構造を有するTiとAlとBの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒を少なくとも含む層であって、工具表面側に設けられる。
TiAlBCN層αは、組成を組成式:(Ti(1−xα−yα)AlxαByα)(CzαN(1−zα))で表した場合、AlのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合xα、BのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合yαおよびCのCとNの合量に占める平均含有割合zα(但し、xα、yα、zαはいずれも原子比)が、それぞれ、0.70≦xα+yα≦1.00、0.05≦yα≦0.40、0.000≦zα≦0.015を満足することが好ましい。
TiAlBCN層αの平均層厚Lαは、0.5μm〜10.0μmが好ましい。この範囲とした理由は、0.5μm未満となると、硬質被覆層がすくい面においても早期に摩滅してしまい、耐熱亀裂性の向上効果が発揮されず、また、10.0μmを超えると、結晶粒が大きくなり層の耐チッピング性が低下するためである。より好ましい平均層厚範囲は、1.0μm〜3.0μmである。
TiAlBCN層αのウルツ鉱型六方晶構造を有する結晶粒の面積割合は、90面積%以上とする。90面積%以上でなければ、ウルツ鉱型六方晶構造を有する結晶粒の量が十分ではなく、耐熱亀裂性、耐チッピング性が低下してしまう。より好ましい面積割合は、95面積%以上である。
TiAlCN層βは、耐摩耗性に優れたNaCl型の面心立方構造を有するTiとAlの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒を少なくとも含む層であって、工具基体側に設けられる。
TiAlCN層βは、組成を組成式:(Ti(1−xβ)Alxβ)(CzβN(1−zβ))で表した場合、AlのTiとAlの合量に占める平均含有割合xβおよびCのCとNの合量に占める平均含有割合zβ(但し、xβ、zβはいずれも原子比)が、それぞれ、0.65≦xβ≦0.95、0.000≦zβ≦0.015を満足するように組成を制御する。
TiAlCN層βの平均層厚Lβは、1.0μm〜20.0μmが好ましい。この範囲とした理由は、1.0μm未満では、層厚が薄いため長期の使用にわたって耐摩耗性を十分確保することができず、一方、20.0μmを超えると、TiAlCN層βの結晶粒が粗大化し易くなり、チッピングを発生しやすくなるため好ましくないためである。より好ましい平均層厚範囲は5.0μm〜12.0μmである。
TiAlCN層βのNaCl型の面心立方構造を有する結晶粒の面積割合は、85面積%以上とする。85面積%以上でなければ、耐摩耗性が低下し、逃げ面の摩耗が進みやすく、早期に被覆工具としての寿命に至ってしまう。より好ましい面積割合は、90面積%以上である。
TiAlBCN層αの平均含有割合xαおよびBの平均含有割合yαとTiAlCN層βの平均含有割合xβの組成差は、|xα+yα−xβ|≦0.20であることが好ましい。この範囲にあると、TiAlBCN層αとTiAlCN層βとの密着性がより向上し、熱亀裂発生後のチッピングの防止が容易となる。
TiAlBCN層αとTiAlCN層βの密着性の向上のために、両層の間にNaCl型の面心立方構造を有するTiAlCN層γを有していることが好ましい。
TiAlCN層γの組成を組成式:(Ti(1−xγ)Alxγ)(CzγN(1−zγ))で表した場合、AlのTiとAlの合量に占める平均含有割合xγ、および、CのCとNの合量に占める平均含有割合zγ(但し、xγ、zγはいずれも原子比)が、xα+yα≦xγ<xβまたはxα+yα≧xγ>xβを満足し、かつ、0.000≦zγ≦0.015であることが好ましい。この組成のTiAlCN層γを設けることにより、TiAlBCN層αの結晶粒の初期核発生を容易とし、核密度を向上させることができ、TiAlBCN層αとTiAlCN層βとの密着性がより向上して耐チッピング性を高めることができる。
TiAlCN層γの平均層厚は、0.1〜1.0μmとする。この範囲とする理由は、0.1μm未満であるとTiAlCN層γの平均層厚が薄すぎて、TiAlCN層γによって十分に被覆されていないTiAlCN層βの領域が存在することにより、また、1.0μmを超えるとTiAlCN層γの結晶粒が粗大となって、TiAlBCN層αの結晶粒の初期核発生が十分になされず核密度が向上せず、いずれも、TiAlBCN層αとTiAlCN層βの密着性の向上が期待できないためである。
TiAlBCN層αとTiAlCN層βの密着性の向上のために、TiAlCN層γに替えて、両層の間にNaCl型の面心立方構造を有するTiAlBCN層δを有していることが好ましい。
TiAlBCN層δの組成を組成式:(Ti(1−xδ-yδ)AlxδByδ)(CzδN(1−zδ))で表した場合、AlのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合xδ、BのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合yδと、CのCとNの合量に占める平均含有割合zδ(但し、xδ、yδ、zδはいずれも原子比)について、
xδが、xα+yα≦xδ+yδ≦xβもしくはxα+yα≧xδ+yδ≧xβ、
yδが、0.03≦yδ≦0.10、
かつ、zδが、0.000≦zδ≦0.015、
をそれぞれ満足していることが好ましい。
TiAlBCN層δの平均層厚は、0.1〜1.0μmとする。この範囲とする理由は、0.1μm未満であるとTiAlBCN層δの平均層厚が薄すぎて、TiAlBCN層δによって十分に被覆されていないTiAlCN層βの領域が存在することにより、また、1.0μmを超えるとTiAlBCN層δの結晶粒が粗大となって、TiAlBCN層αの結晶粒の初期核発生が十分になされず核密度が高くないことにより、いずれも、TiAlBCN層αとTiAlCN層βの密着性の向上が期待できないためである。
前記組成のTiAlCN層γとTiAlBCN層δを設けることにより、TiAlBCN層αの結晶粒の初期核発生を容易とし、核密度を向上させることができ、TiAlBCN層αとTiAlCN層βとの密着性が向上して耐チッピング性を高めることができる。
図3に示すように、すくい面にはTiAlBCN層αとTiAlCN層βを含む積層構造の硬質被覆層を設け、逃げ面の表面にはTiAlCN層αを含まずTiAlCN層βを含む硬質被覆層を設けることが好ましい。逃げ面にTiAlBCN層αが設けられていてもよいが、被削材ともっとも擦れ合う逃げ面の表面には耐摩耗性が低いTiAlBCN層αが存在しない方が、TiAlBCN層αと一緒にその下部のTiAlCN層βが脱落することを防止でき、工具寿命がより一層向上する。
本発明の前記積層構造を有する硬質被覆層は、他の層を含んでもよい。例えば、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層のうちの1層または2層以上からなり、0.1〜20.0μmの合計平均層厚を有するTi化合物層を含む下部層を工具基体に隣接して設けた場合には、これらの層が奏する効果と相俟って、一層優れた耐摩耗性および熱的安定性を発揮することができる。
TiAlBCN層α、TiAlCN層β、TiAlCN層γ、TiAlBCN層δの各層の境界は、硬質被覆層を集束イオンビーム装置(FIB:Focused Ion Beam system)、クロスセクションポリッシャー(CP:Cross section Polisher)等を用いて、研磨した縦断面(工具基体に垂直な断面)を作成し、この縦断面において、縦方向を硬質被覆層の層厚、横方向を工具基体に平行な100μmの四角形を測定領域とし、電子線後方散乱解析装置(EBSD:Electron Backscatter Diffraction)を用いて、前記測定領域に70度の入射角度で15kVの加速電圧の電子線を1nAの照射電流にて、0.01μmの間隔で照射して得られる電子線後方散乱回折像に基づき、個々の結晶粒の結晶構造を解析することにより求める。
このようにして、各結晶粒を決定し、その結晶構造を鑑別することにより、前記各層の特定がなされ、各層におけるウルツ鉱型の六方晶構造、NaCl型の面心立方構造の結晶粒の面積率を求めることができる。
工具基体は、この種の工具基体として従来公知の基材であれば、本発明の目的を達成することを阻害するものでない限り、いずれのものも使用可能である。一例を挙げるならば、超硬合金(WC基超硬合金、WCの他、Coを含み、あるいはTi、Ta、Nb等の炭窒化物を添加したものも含むもの等)、サーメット(TiC、TiN、TiCN等を主成分とするもの等)、セラミックス(炭化チタン、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムなど)、cBN焼結体、またはダイヤモンド焼結体のいずれかであることが好ましい。
本発明の各TiAlBCN層、各TiAlCN層は、例えば、工具基体もしくは当該工具基体上にあるTiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層および炭窒酸化物層の少なくとも一層以上の下部層の上に、例えば、次の組成のガス群Aとガス群Bとからなる2種の反応ガスを所定の位相差で供給することによって得ることができる。
(1)TiAlBCN層α形成用の反応ガスα
ガス群A:NH3:5.0〜10.0%、N2:3.0〜5.0%、
Ar:1.0〜5.0%、H2:50〜60%
ガス群B:AlCl3:0.40〜1.10%、BCl3:0.07〜0.50%
TiCl4:0.00〜0.30%、N2:3.0〜12.0%、
HCl:0.00〜0.10%、C2H4:0.0〜1.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:4.5〜5.0kPa
反応雰囲気温度:700〜850℃
供給周期:4.0〜12.0秒
1周期当たりのガス供給時間:0.20〜0.70秒
ガス群Aとガス群Bの供給の位相差:0.18〜0.60秒
ガス群A:NH3:1.0〜2.0%、N2:1.0〜5.0%、Ar:1.0〜5.0%、H2:50〜60%
ガス群B:AlCl3:0.60〜1.40%、TiCl4:0.05〜0.50%、
N2:1.0〜5.0%、Ar:0.1〜5.0%、
C2H4:0.0〜1.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:4.5〜5.0kPa
反応雰囲気温度:700〜850℃
供給周期:4.0〜12.0秒
1周期当たりのガス供給時間:0.20〜0.70秒
ガス群Aとガス群Bの供給の位相差:0.18〜0.60秒
ガス群A:NH3:3.0〜4.0%、N2:1.0〜2.0%、
Ar:1.0〜5.0%、H2:50〜60%
ガス群B:AlCl3:0.60〜1.20%、TiCl4:0.10〜0.30%、
N2:0.0〜5.0%、C2H4:0.0〜1.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:4.5〜5.0kPa
反応雰囲気温度:700〜850℃
供給周期:4.0〜12.0秒
1周期当たりのガス供給時間:0.20〜0.70秒
ガス群Aとガス群Bの供給の位相差:0.18〜0.60秒
ガス群A:NH3:3.0〜4.0%、N2:1.0〜2.0%、
Ar:1.0〜5.0%、H2:50〜60%
ガス群B:AlCl3:0.60〜1.00%、BCl3:0.02〜0.10%、
TiCl4:0.10〜0.30%、N2:0.0〜5.0%、
C2H4:0.0〜1.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:4.5〜5.0kPa
反応雰囲気温度:700〜850℃
供給周期:4.0〜12.0秒
1周期当たりのガス供給時間:0.20〜0.70秒
ガス群Aとガス群Bの供給の位相差:0.18〜0.60秒
ここでは、本発明被覆工具の具体例として、工具基体としてWC基超硬合金を用いたインサート切削工具に適用したものについて述べるが、工具基体として、他に前述のものを用いた場合であっても同様であるし、ドリル、エンドミル等に適用した場合も同様である。
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr3C2粉末およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、このプレス成形体を5Paの真空中、1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結し、焼結後、ISO規格SEEN1203AFSNのインサート形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A〜Cをそれぞれ製造した。
成膜条件は、表2〜5に記載したとおりであるが、概ね、次のとおりである。ガス組成の%は容量%(ガス群Aとガス群Bの和を全体(100容量%)としている)である。
ガス群A:NH3:5.0〜10.0%、N2:3.0〜5.0%、
Ar:1.0〜5.0%、H2:50〜60%
ガス群B:AlCl3:0.40〜1.10%、BCl3:0.07〜0.50%
TiCl4:0.00〜0.30%、N2:3.0〜12.0%、
HCl:0.00〜0.10%、C2H4:0.0〜1.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:4.5〜5.0kPa
反応雰囲気温度:700〜850℃
供給周期:4.0〜12.0秒
1周期当たりのガス供給時間:0.20〜0.70秒
ガス群Aとガス群Bの供給の位相差:0.18〜0.60秒
ガス群A:NH3:1.0〜2.0%、N2:1.0〜5.0%、
Ar:1.0〜5.0%、H2:50〜60%
ガス群B:AlCl3:0.60〜1.40%、TiCl4:0.05〜0.50%、
N2:1.0〜5.0%、Ar:0.1〜5.0%、
C2H4:0.0〜1.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:4.5〜5.0kPa
反応雰囲気温度:700〜850℃
供給周期:4.0〜12.0秒
1周期当たりのガス供給時間:0.20〜0.70秒
ガス群Aとガス群Bの供給の位相差:0.18〜0.60秒
ガス群A:NH3:3.0〜4.0%、N2:1.0〜2.0%、
Ar:1.0〜5.0%、H2:50〜60%
ガス群B:AlCl3:0.60〜1.20%、TiCl4:0.10〜0.30%、
N2:0.0〜5.0%、C2H4:0.0〜1.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:4.5〜5.0kPa
反応雰囲気温度:700〜850℃
供給周期:4.0〜12.0秒
1周期当たりのガス供給時間:0.20〜0.70秒
ガス群Aとガス群Bの供給の位相差:0.18〜0.60秒
ガス群A:NH3:3.0〜4.0%、N2:1.0〜2.0%、
Ar:1.0〜5.0%、H2:50〜60%
ガス群B:AlCl3:0.60〜1.00%、BCl3:0.02〜0.10%、
TiCl4:0.10〜0.30%、N2:0.0〜5.0%、
C2H4:0.0〜1.0%、H2:残
反応雰囲気圧力:4.5〜5.0kPa
反応雰囲気温度:700〜850℃
供給周期:4.0〜12.0秒
1周期当たりのガス供給時間:0.20〜0.70秒
ガス群Aとガス群Bの供給の位相差:0.18〜0.60秒
なお、本発明被覆工具4〜6、8〜10は、表6に示された成膜条件により表7に示された下部層を形成した。
なお、比較被覆工具4〜6、8〜10は、表6に示された成膜条件により表7に示された下部層を形成した。
カッタ径:85mm
被削材:JIS・FCD800 幅60mm、長さ400mmのブロック材
回転速度:1123min−1
切削速度:300m/min
切り込み:2.0mm
一刃送り量:0.1mm/刃
切削時間:8分
(通常の切削速度は、200m/min)
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、ZrC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr3C2粉末、TiN粉末およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表10に示される配合組成に配合し、さらにワックスを加えてアセトン中で24時間ボールミル混合し、減圧乾燥した。その後、98MPaの圧力で所定形状の圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を5Paの真空中、1370〜1470℃の範囲内の所定の温度に1時間保持の条件で真空焼結した。焼結後、切刃部にR:0.07mmのホーニング加工を施すことによりISO規格CNMG120412のインサート形状をもったWC基超硬合金製の工具基体α〜γをそれぞれ製造した。
なお、本発明被覆工具14〜16、18、19は、表6に記載された成膜条件により、表11に示された下部層を形成した。
なお、比較被覆工具14〜16、18、19については、表6に示される形成条件により、表11に示された下部層を形成した。
被削材:JIS・FCD800 長さ方向等間隔8本縦溝入り丸棒
切削速度:300m/min
切り込み:2.0mm
送り:0.1mm/rev
切削時間:5分
(通常の切削速度は、200m/min)
Claims (5)
- 工具基体の表面に、硬質被覆層を設けた表面被覆切削工具であって、
(a)前記硬質被覆層は、ウルツ鉱型の六方晶構造を有するTiとAlとBの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒を90面積%以上含むTiAlBCN層αを工具表面側に、NaCl型の面心立方構造を有するTiとAlの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒を85面積%以上含むTiAlCN層βを前記工具基体側に、それぞれ一層ずつ有する積層構造であり、
(b)前記TiAlBCN層αの組成を組成式:(Ti(1−xα-yα)AlxαByα)(CzαN(1−zα))で表した場合、AlのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合xα、BのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合yαとCのCとNの合量に占める平均含有割合zα(但し、xα、yα、zαはいずれも原子比)が、それぞれ、0.70≦xα+yα≦1.00、0.05≦yα≦0.40、0.000≦zα≦0.015、を満足し、
(c)前記TiAlCN層βの組成を組成式:(Ti(1−xβ)Alxβ)(CzβN(1−zβ))で表した場合、AlのTiとAlの合量に占める平均含有割合xβとCのCとNの合量に占める平均含有割合zβ(但し、xβ、zβはいずれも原子比)が、それぞれ、0.65≦xβ≦0.95、0.000≦zβ≦0.015を満足し、
(d)前記TiAlBCN層αと前記TiAlCN層βは、それぞれの平均層厚をLα、Lβとした場合、0.5μm≦Lα≦10.0μm、1.0μm≦Lβ≦20.0μmを満足する、
ことを特徴とする表面被覆切削工具。 - 前記xαと前記yαと前記xβは、|xα+yα―xβ|≦0.20を満足することを特徴とする請求項1に記載の表面被覆切削工具。
- 前記TiAlBCN層αと前記TiAlCN層βとの間にNaCl型の面心立方構造を有するTiとAlの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒を少なくとも含むTiAlCN層γが存在し、
(a)前記TiAlCN層γの組成を組成式:(Ti(1−xγ)Alxγ)(CzγN(1−zγ))で表した場合、AlのTiとAlの合量に占める平均含有割合xγと、CのCとNの合量に占める平均含有割合zγ(但し、xγ、zγはいずれも原子比)について、
xγが、xα+yα≦xγ<xβまたはxα+yα≧xγ>xβ、
zγが、0.000≦zγ≦0.015、
をそれぞれ満足し、
(b)前記TiAlCN層γは、その平均層厚をLγとした場合、0.1μm≦Lγ≦1.0μmを満たす、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表面被覆切削工具。 - 前記TiAlBCN層αと前記TiAlCN層βとの間にNaCl型の面心立方構造を有するTiとAlとBの複合窒化物または複合炭窒化物の結晶粒を少なくとも含むTiAlBCN層δが存在し、
(a)前記TiAlBCN層δの組成を組成式:(Ti(1−xδ-yδ)AlxδByδ)(CzδN(1−zδ))で表した場合、AlのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合xδ、BのTiとAlとBの合量に占める平均含有割合yδと、CのCとNの合量に占める平均含有割合zδ(但し、xδ、yδ、zδはいずれも原子比)について、
xδが、xα+yα≦xδ+yδ≦xβもしくはxα+yα≧xδ+yδ≧xβ、
yδが、0.03≦yδ≦0.10、
かつ、zδが、0.000≦zδ≦0.015、
をそれぞれ満足し、
(b)前記TiAlBCN層δは、その平均層厚をLδとした場合、0.1μm≦Lδ≦1.0μm、を満たす、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表面被覆切削工具。 - 前記表面被覆切削工具のすくい面に前記TiAlBCN層αと前記TiAlCN層βとの積層構造を含む前記硬質被覆層を有し、逃げ面の表面に前記TiAlCN層βを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の表面被覆切削工具。
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