JP2020138166A - 含フッ素有機溶剤を用いた洗浄方法、該含フッ素有機溶剤の保存方法、及び回収方法 - Google Patents

含フッ素有機溶剤を用いた洗浄方法、該含フッ素有機溶剤の保存方法、及び回収方法 Download PDF

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佳則 赤松
冬彦 佐久
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冬彦 佐久
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Naokado Takada
直門 高田
佐藤 公紀
Kiminori Sato
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Abstract

【課題】含フッ素有機溶剤を用いた洗浄方法、該含フッ素有機溶剤の保存方法、回収方法、製造方法及びリサイクルシステムを提供する。【解決手段】含フッ素有機溶剤を用いて物品を洗浄する工程と、洗浄後の前記含フッ素有機溶剤を貯液槽に供給し、前記含フッ素有機溶剤上を第1の液体で被覆する工程と、を含む、物品の洗浄方法。当該洗浄方法によると、貯液槽での有機溶剤の自然蒸発を防止し、有機溶剤の損失量を低減し、作業者の健康リスクを低減することができる。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態の一つは、含フッ素有機溶剤を用いた洗浄方法、該含フッ素有機溶剤の保存方法、及び回収方法に関する。
物品から油脂、塵埃、フラックスなどを落とすための洗浄剤として、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)が従来使用されてきたが、HCFCはオゾン層破壊係数(ODP)が高いという問題がある。そのため、オゾン層保護の観点から、段階的にHCFCの使用が廃止されつつある。現在では、オゾン層に悪影響を及ぼさないハイドロフルオロカーボン(HFC)、ハイドロフルオロエーテル(HFE)などの有機溶剤が主に使用されている。しかしながら、HFCやHFEは地球温暖化係数(GWP)が高く、温暖化への寄与が非常に大きいと懸念されている。このため、地球温暖化係数の低い含フッ素不飽和化合物であるハイドロフルオロオレフィン(HFO)が代替の有機溶剤として提案されている。
例えば、特許文献1には、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(HFO−1233zd)が洗浄剤として開示されている。
特表2011−510119号公報
HFO−1233zdなどの有機溶剤を用いて、金属部品などの物品を洗浄する場合、この洗浄は洗浄装置内(密閉系)で行われる。しかしながら、洗浄装置で洗浄する場合、洗浄する物品のサイズが制限される。例えば、物品が洗浄装置内での洗浄が不可能であるほどのサイズを有する場合、屋外(開放系)で該物品の洗浄が行われることがある。開放系で物品の洗浄を行う際には、貯液槽を準備し、該貯液槽上に洗浄する物品を配置し、該物品に溶剤をかけ流すことにより、物品を洗浄する。物品の洗浄に使用された溶剤は、貯液槽に貯められる。貯液槽に貯められた溶剤は、蒸留により精製されてから、物品の洗浄に再利用されることができる。
開放系で物品の洗浄を行う場合、洗浄に用いる有機溶剤の種類や作業環境によっては、貯液槽に貯められた使用後の溶剤が自然蒸発する。そのため、貯液中に溶剤の損失量が多くなったり、有機溶剤の自然蒸発下にいる作業者の健康リスクが高まるといった問題が発生する。
本発明は、上記観点からなされたものであり、開放系における有機溶剤の自然蒸発を低減することを課題とする。また、本発明は、地球環境に優しい含フッ素有機溶剤を用いた物品の洗浄方法、該溶剤の開放系における保存方法、及び回収方法、該溶剤のリサイクルシステム、該溶剤を用いた物品の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、開放系において貯液された含フッ素有機溶剤の表面を、該溶剤と分離し、該溶剤よりも比重が小さく且つ沸点が高い溶媒層により被覆すれば、該溶剤の自然蒸発を防止することができるという知見を得て、本発明を完成させた。
本発明の一実施形態による物品の洗浄方法は、含フッ素有機溶剤を用いて物品を洗浄する工程と、洗浄後の前記含フッ素有機溶剤を貯液槽に供給し、前記含フッ素有機溶剤上を第1の液体で被覆する工程と、を含む。
前記第1の液体の比重は前記含フッ素有機溶剤の比重よりも小さく、前記第1の液体の沸点は前記含フッ素有機溶剤の沸点よりも高く、且つ、前記第1の液体は前記含フッ素有機溶剤と混和しなくてもよい。
前記第1の液体は、水であってもよい。
前記含フッ素有機溶剤は、炭素数3以上6以下の、ハイドロフルオロアルカン、ハイドロクロロフルオロアルカン、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、飽和あるいは不飽和のハイドロフルオロエーテル、飽和あるいは不飽和のハイドロクロロフルオロエーテル、又はこれらの混合物であってもよい。
前記貯液槽に供給された前記含フッ素有機溶剤を精製して再利用する工程を含んでもよい。
本発明の一実施形態による物品の製造方法は、含フッ素有機溶剤を用いて物品を洗浄する工程と、洗浄後の前記含フッ素有機溶剤を貯液槽に供給し、前記含フッ素有機溶剤上を第1の液体で被覆する工程と、を含む。
本発明の一実施形態による含フッ素有機溶剤の保存方法は、含フッ素有機溶剤を用いて物品を洗浄する工程と、洗浄後の前記含フッ素有機溶剤を貯液槽に供給し、前記含フッ素有機溶剤上を第1の液体で被覆する工程と、を含む。
本発明の一実施形態に係る含フッ素有機溶剤の回収方法は、含フッ素有機溶剤を用いて物品を洗浄する工程と、洗浄後の前記含フッ素有機溶剤を貯液槽に供給し、前記含フッ素有機溶剤上を第1の液体で被覆する工程と、前記貯液槽に供給された前記含フッ素有機溶剤を精製する工程と、を含む。
本発明の一実施形態に係る含フッ素有機溶剤のリサイクルシステムは、含フッ素有機溶剤を用いて物品を洗浄する工程と、洗浄後の前記含フッ素有機溶剤を貯液槽に供給し、前記含フッ素有機溶剤上を第1の液体で被覆する工程と、前記貯液槽に供給された前記含フッ素有機溶剤を精製する工程と、精製された前記含フッ素有機溶剤を前記物品の洗浄工程に再利用する工程と、を含む。
本発明の一実施形態に係る含フッ素有機溶剤の製造方法は、含フッ素有機溶剤を用いて物品を洗浄する工程と、洗浄後の前記含フッ素有機溶剤を貯液槽に供給し、前記含フッ素有機溶剤上を第1の液体で被覆する工程と、前記貯液槽に供給された前記含フッ素有機溶剤を精製する工程と、を含む。
本発明の物品の洗浄方法によれば、開放系において、物品の洗浄後に貯液された含フッ素有機溶剤の自然蒸発を防止することができる。また、本発明の含フッ素有機溶剤の回収方法によれば、物品の洗浄後に貯液された含フッ素有機溶剤の自然蒸発による損失量を低減し、該溶剤を効率的に再利用することができる。
一実施形態に係る、開放系における物品の洗浄方法の一例を示す概略図である。 一実施形態に係る、含フッ素有機溶剤のリサイクルシステムの一例を示す概略図である。
以下、本発明の各実施形態について説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、以下の実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
<物品の洗浄方法と使用済み洗浄剤の保存方法>
図1は、本発明の一実施形態に係る、開放系における物品の洗浄方法の一例を示す概略図である。図1に示すように、開放系において物品11を洗浄する場合、洗浄される物品11の上から洗浄剤101をかけ流すことにより物品11を洗浄する。物品11が内部が空洞のもの(例えば配管)にあっては、当該内部に洗浄剤101を流通させて物品11を洗浄してもよい。洗浄剤101は、例えば、洗浄剤101を保管するための保管器10に入れられて使用されてもよい。保管器10は、洗浄剤101の組成物と反応しない材料で構成されていれば特に限定されない。物品11の洗浄に使用された使用済みの洗浄剤101は、貯液槽12に貯液される。貯液槽12は、保管器10と同様に、洗浄剤101の組成物と反応しない材料で構成されていれば特に限定されない。
[物品]
洗浄剤101により洗浄される物品11は、金属部品、電子部品、精密機械部品、樹脂加工部品や半導体部品などであってもよいが、特に限定されない。物品11の洗浄を開放系で行う場合、物品11のサイズは制限されない。
[洗浄剤]
洗浄剤101は、物品11表面に付着したパーティクル、加工油、潤滑剤、フラックスなどの汚れを溶解させて、物品11の表面から除去する。洗浄剤101としては、不水溶性の含フッ素有機溶剤を用いる。含フッ素有機溶剤としては、揮発性有機化合物である公知の溶剤を用いることができるが、洗浄時の温度及び圧力条件において液状であるものを選択して用いることが好ましい。例えば、炭素数3以上6以下の、HFO(ハイドロフルオロオレフィン)類、HCFO(ハイドロクロロフルオロオレフィン)類、HFC(ハイドロフルオロカーボン)類、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)類、飽和あるいは不飽和のHFE(ハイドロフルオロエーテル)類、飽和あるいは不飽和のHCFE(ハイドロクロロフルオロエーテル)類、及びこれらの混合物が洗浄用の含フッ素有機溶剤として用いることができる。
例えば、含フッ素有機溶剤としては、CHF2−CF=CHCl(HCFO−1233yd:シス体、トランス体またはこれらの混合物)、CF3−CH=CHCl(HCFO−1233zd:シス体、トランス体またはこれらの混合物)、CF3−CCl=CHCl(HCFO−1223xd:シス体、トランス体またはこれらの混合物)、CF3−CH=CCl2(HCFO−1223za)、2−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HCFO−1224xe:シス体、トランス体またはこれらの混合物)、CF3−CH2−CHF2−CH3(HFC−365mfc)、C49−O−CH3、C49−O−C25、CH3−O−CH(CF32(HFE−356mmz)、CF3−CH=CHOCH(CF32、CF3−CH=CHOCH2CF3、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンと(HCFC−225ca)、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC−225cb)、1−クロロ−2,2,3,3−テトラフルオロプロパン(HCFC−244ca)等またはこれらの混合物が挙げられる。しかしながら、含フッ素有機溶剤は、これらに限定されるわけではない。
洗浄剤101には、洗浄時の環境下に応じて安定化剤を添加してもよい。添加される安定化剤は特に限定されないが、例えば、フェノール類、ニトロ化合物、エーテル類、エポキシド類、炭化水素類、アミン類、アルコール類、エステル類等が挙げられる。これらの安定化剤は、単独で使用されてもよく、2種以上組み合わせて使用されてもよい。フェノール類としては、具体的には、フェノール、ベンゼンジオール、ジターシャリーブチルメチルフェノール、クレゾール、ジメチルフェノール、イソプロピルメチルフェノール、トコフェノール等が挙げられる。ニトロ化合物としては、具体的には、ニトロメタン等の脂肪族ニトロ化合物、ニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合物等が挙げられる。、エーテル類としては、具体的には、ジオキサン、トリオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。エポキシド類としては、具体的には、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、グリシドール、メチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エピクロルヒドリン等が挙げられる。炭化水素類とは、直鎖、分岐鎖または環状構造の炭化水素分子を有する、飽和炭化水素または不飽和炭化水素を指し、具体的には、n−ペンタン、シクロペンタン等のペンタン異性体、n−ヘキサン、シクロヘキサン等のヘキサン異性体、n−ヘプタン、シクロヘプタン等のヘプタン異性体、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン等のペンテン異性体、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、3−エチル−1−ブテン、3−エチル−2−ブテン、2−メチル−2−ペンテン、3−メチル−2−ペンテン、4−メチル−2−ペンテン、2,3−ジメチル−2−ブテン等のヘキセン異性体、1−ヘプテン、2−ヘプテン、3−ヘプテン、4−ヘプテン、3−エチル−2−ペンテン等のへプテン異性体、1−オクテン、2,4,4−トリメチル−1−ペンテン、2,4,4−トリメチル−2−ペンテン等のオクテン異性体、ブタジエン、ペンタジエン、オクタジエン等のジエン化合物、、シクロオクテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等の不飽和環状化合物等が挙げられる。、アミン類としては、具体的には、ピロール、ピリジン、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アルキルモルホリン等が挙げられる。アルコール類としては、具体的には、アリルアルコール等のオレフィン系アルコール類、3−メチル−1−ブチン−3−オール等のアセチレン系アルコール類等が挙げられる。、エステル類としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ビニル等のアクリル酸エステル類等が挙げられる。
[第1の液体]
第1の液体103は、貯液槽12において貯液された使用済みの洗浄剤101の表面を全面に亘って被覆する。第1の液体103によって使用済みの洗浄剤101が外気と接触することが防止される。その結果、洗浄剤101が貯液槽12に貯液されている間の自然蒸発を効果的に防止することができる。
第1の液体103は、洗浄剤101と混和せず、使用済み洗浄剤101と層分離可能であれば特に限定されない。第1の液体103は、使用済み洗浄剤101よりも比重が小さく、且つ使用済み洗浄剤101よりも沸点が高いものが好ましく、人体に対する毒性が低いものがさらに好ましい。これらを考慮すると、第1の液体103としては、例えば、水を用いることが好ましい。
貯液槽12に貯液された洗浄剤101の表面を被覆する第1の液体103の層の厚さ(第1の液体103の量)は、洗浄剤101の表面が露出しなければ特に限定されない。第1の液体103は、洗浄剤101が貯液される前に貯液槽12に予め添加されていてもよく、洗浄剤101が貯液槽12に貯液されている間に添加されてもよい。また、第1の液体103が洗浄剤101が貯液槽12に貯液されている間に自然蒸発して、洗浄剤101の表面が露出する可能性がある。そのため、第1の液体103は、洗浄剤101が貯液槽12に貯液されている間に必要に応じて追加されてもよい。
上述したように、本発明の一実施形態に係る使用済み洗浄剤の保存方法では、開放系での物品11の洗浄に用いた使用済みの洗浄剤101を貯液槽12に貯液する際、貯液されている洗浄剤101の表面全体を第1の液体103によって被覆する。これにより、貯液された洗浄剤101の自然蒸発を防止することができ、洗浄剤101の損失量を低減することができる。また、物品11の洗浄作業に従事する作業者の健康上のリスクも低減することができる。
<含フッ素有機溶剤の回収方法、及びリサイクルシステム、含フッ素有機溶剤を含む洗浄剤の製造方法>
上述した本発明の一実施形態に係る物品11の洗浄方法に用いられ、貯液槽12に貯液された使用済みの洗浄剤101は、回収されて物品11の洗浄剤101として再利用することができる。以下では、洗浄剤101として使用されている含フッ素有機溶剤の回収方法、製造方法及びリサイクルシステムについて説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る、含フッ素有機溶剤のリサイクルシステムの一例を示す概略図である。リサイクルシステム200は、含フッ素有機溶剤を含む洗浄剤101を保管する保管器10と、使用済みの洗浄剤101を貯液する貯液槽12と、貯液された洗浄剤101を精製するための蒸留塔20と、蒸留によって精製された洗浄剤101を凝縮するための凝縮器21と、を含んでもよい。
保管器10に保管された洗浄剤101は、物品11の洗浄に用いられる。物品11の洗浄方法は、図1を参照して説明した、開放系における物品の洗浄方法と同様のため、詳細な説明は省略する。物品11の洗浄に使用された洗浄剤101は、図1を参照して説明した、使用済み洗浄剤の保管方法と同様に貯液槽12に貯液される。貯液槽12において、貯液された洗浄剤101の表面は、洗浄剤101と層分離している第1の液体103によって被覆されている。
貯液槽12に貯液された、使用済みの洗浄剤101は、第1の液体103と分離して回収し、物品11の洗浄に用いる洗浄剤101として再利用することができる。貯液槽12において洗浄剤101と第1の液体103とは層分離しているため、貯液槽12から洗浄剤101だけを取り出す、或は第1の液体103だけを抜くことにより、洗浄剤101のみを回収することができる。貯液槽12の下部から槽内の液体を取り出す場合、下層に貯まった洗浄剤101だけを容易に取り出すことができる。尚、回収した洗浄剤101を再利用する場合、回収した洗浄剤101を精製することが好ましい。また、貯液槽12に貯液された洗浄剤101と第1の液体103とを含む液体を精製して洗浄剤101だけを取り出してもよい。尚、洗浄剤101や、洗浄剤101と第1の液体103とを含む液体の精製においては、例えば、洗浄剤101や、洗浄剤101と第1の液体103とを含む液体に、脱水剤や乾燥剤(例えばゼオライト)等を用いて脱水処理を施したり、蒸留操作を施してもよい。図2においては、一例として、リサイクルシステム200が、貯液槽12に貯液された洗浄剤101と第1の液体103とを含む液体を蒸留して洗浄剤101を精製するための蒸留塔20を含む場合を示している。
図2を参照すると、貯液槽12に貯液された洗浄剤101と第1の液体103とは、蒸留塔20を使用して分離される。洗浄剤101は第1の溶液103よりも低温で気化し、気化した洗浄剤101は凝縮器21によって凝縮される。凝縮された洗浄剤101は、保管器10に戻されて、物品11を洗浄するために再利用されることができる。また、凝縮された洗浄剤101の一部は、蒸留塔20に還流されてもよい。
精製された洗浄剤101は、そのまま保管器10に戻されてもよい。また、洗浄剤101に含フッ素有機溶剤に加えて安定化剤などの添加剤が含まれている場合は、精製された洗浄剤101をさらに精製して、含フッ素有機溶剤と、添加物成分とを分離してもよい。精製された含フッ素有機溶剤は、洗浄剤101として保管器10に戻してもよい。
このように、貯液槽12に貯液された使用済みの洗浄剤101を精製することによって、物品11を洗浄するための洗浄剤101として再利用することが可能になる。
精製された含フッ素有機溶剤を再び物品11の洗浄に使用する場合、精製された含フッ素有機溶剤に安定化剤を添加し、含フッ素有機溶剤と安定化剤とが所定の組成比になるように調整する工程を追加してもよい。また、洗浄剤101に2種以上の含フッ素化合物が含まれる場合、精製された含フッ素有機溶剤に含まれる2種以上の含フッ素化合物の含フッ素有機層材における組成比を調整する工程を追加してもよい。これにより、使用済みの洗浄剤101を精製することにより回収した含フッ素有機溶剤から物品11を洗浄するための洗浄剤101を製造することができる。
<含フッ素有機溶剤の蒸発試験>
以下、物品の洗浄剤として使用可能な含フッ素有機溶剤の蒸発試験について説明する。
[実施例1]
以下の方法に従い、含フッ素有機溶剤であるシス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233zd(Z))の自然蒸発量を調べた。
[実験方法]
シス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(1233zd(Z))100gのみを入れたガラス製ビーカー(100cc、内径50mm。以下、いずれのビーカーにおいても同じ形状のものを用いた。)と、1233zd(Z)100gと純水(21g、ビーカーにおける純水の平均膜厚:11mm)とを入れたガラス製ビーカー(100cc、内径50mm)とを準備し、25℃に制御されたブースに設置された電子天秤上で、経時的な質量変化を計測した。また、1233zd(Z)100gを入れたガラス製ビーカー(100cc、内径50mm)に純水を徐々に滴下し、1233zd(Z)の表面全体を覆った時点(純水14g添加、ビーカーにおける純水の平均膜厚:7mm)で、25℃に制御されたブースに設置された電子天秤上で、経時的な質量変化を計測した。
[結果]
実験の結果、1233zd(Z)100gのみを入れたビーカー内の液体の蒸発速度が3.28kg/m2・h(ビーカーの面積(1m2)あたりの蒸発速度。以下同じ。)であった。一方、1233zd(Z)100gと純水21gを入れたビーカー内の液体の蒸発速度は0.12kg/m2・hであった。また、1233zd(Z)100gと純水14gを入れたビーカー内の液体の蒸発速度は、1233zd(Z)100gと純水21gを入れたビーカー内の液体の蒸発速度と略同一であった。
[実施例2]
1233zd(Z)の替わりに、シス−1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(1233yd(Z))と、トランス−1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(1233yd(E))との混合物(96質量%の1233yd(Z)と、4質量%の1233yd(E)との混合物)(以下、「1233yd混合物」とも記す)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、1233yd混合物の自然蒸発量を調べた。
実験の結果、1233yd混合物100gのみを入れたビーカー内の液体の蒸発速度が1.62kg/m2・hであった。一方、1233yd混合物100gと純水21gを入れたビーカー内の液体(ビーカーにおける純水の平均膜厚:11mm)の蒸発速度は0.07kg/m2・hであった。また、1233yd混合物100gと純水14gを入れたビーカー内の液体(ビーカーにおける純水の平均膜厚:7mm)の蒸発速度は、1233yd混合物100gと純水21gを入れたビーカー内の液体の蒸発速度と略同一であった。
[実施例3]
1233zd(Z)の替わりに、1233zd(Z)と1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(365mfc)との混合物(50質量%の1233zd(Z)と50質量%の365mfc)(以下、「1233zd(Z)−365mfc混合物」とも記す)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、1233zd(Z)−365mfc混合物の自然蒸発量を調べた。尚、ここでは、1233zd(Z)−365mfc混合物に加えた純水は21gのみとした。
実験の結果、1233zd(Z)−365mfc混合物100gのみを入れたビーカー内の液体の蒸発速度が3.44kg/m2・hであった。一方、1233zd(Z)−365mfc混合物100gと純水21gを入れたビーカー内の液体(ビーカーにおける純水の平均膜厚:11mm)の蒸発速度は0.10kg/m2・hであった。
[実施例4]
1233zd(Z)の替わりに、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパンと(HCFC−225ca)と1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HCFC−225cb)との混合物(45質量%の225caと55質量%の225cb)(以下、「HCFC−225混合物」とも記す)を用い、HCFC−225混合物に純水15gを加えたこと以外は、実施例1と同様の方法により、HCFC−225混合物の混合物の自然蒸発量を調べた。
実験の結果、HCFC−225混合物100gと純水15gを入れたビーカー内の液体(ビーカーにおける純水の平均膜厚:8mm)の蒸発速度は、HCFC−225混合物100gのみを入れたビーカー内の液体の蒸発速度と比べて、低い値を示した。
以上の実験結果から、含フッ素有機溶剤が入ったビーカーに水を入れて含フッ素有機溶剤の液面を被覆することにより、含フッ素有機溶剤の自然蒸発が防止されていることが分かる。
本発明に係る含フッ素有機溶剤を用いた洗浄方法、該含フッ素有機溶剤の保存方法、及び回収方法は、開放系での物品の洗浄に適用することができる。また、該含フッ素有機溶剤の保存方法は、有機溶剤の生成過程において、該有機溶剤を含む液体を開放系で一時的に貯蔵する際にも適用することができる。
10…保管器、11…物品、12…貯液槽、20…蒸留塔、21…凝縮器、101…洗浄剤、103…第1の液体

Claims (10)

  1. 含フッ素有機溶剤を用いて物品を洗浄する工程と、
    洗浄後の前記含フッ素有機溶剤を貯液槽に供給し、前記含フッ素有機溶剤上を第1の液体で被覆する工程と、
    を含む、物品の洗浄方法。
  2. 前記第1の液体の比重は前記含フッ素有機溶剤の比重よりも小さく、前記第1の液体の沸点は前記含フッ素有機溶剤の沸点よりも高く、且つ、前記第1の液体は前記含フッ素有機溶剤と混和しない、請求項1に記載の物品の洗浄方法。
  3. 前記第1の液体は水である、請求項2に記載の物品の洗浄方法。
  4. 前記含フッ素有機溶剤は、炭素数3以上6以下の、ハイドロフルオロアルカン、ハイドロクロロフルオロアルカン、ハイドロフルオロオレフィン、ハイドロクロロフルオロオレフィン、飽和あるいは不飽和のハイドロフルオロエーテル、飽和あるいは不飽和のハイドロクロロフルオロエーテル、又はこれらの混合物である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の物品の洗浄方法。
  5. 前記貯液槽に供給された前記含フッ素有機溶剤を精製して再利用する工程を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の物品の洗浄方法。
  6. 含フッ素有機溶剤を用いて物品を洗浄する工程と、
    洗浄後の前記含フッ素有機溶剤を貯液槽に供給し、前記含フッ素有機溶剤上を第1の液体で被覆する工程と、
    を含む、物品の製造方法。
  7. 含フッ素有機溶剤を用いて物品を洗浄する工程と、
    洗浄後の前記含フッ素有機溶剤を貯液槽に供給し、前記含フッ素有機溶剤上を第1の液体で被覆する工程と、
    を含む、含フッ素有機溶剤の保存方法。
  8. 含フッ素有機溶剤を用いて物品を洗浄する工程と、
    洗浄後の前記含フッ素有機溶剤を貯液槽に供給し、前記含フッ素有機溶剤上を第1の液体で被覆する工程と、
    前記貯液槽に供給された前記含フッ素有機溶剤を精製する工程と、
    を含む、含フッ素有機溶剤の回収方法。
  9. 含フッ素有機溶剤を用いて物品を洗浄する工程と、
    洗浄後の前記含フッ素有機溶剤を貯液槽に供給し、前記含フッ素有機溶剤上を第1の液体で被覆する工程と、
    前記貯液槽に供給された前記含フッ素有機溶剤を精製する工程と、
    精製された前記含フッ素有機溶剤を前記物品の洗浄工程に再利用する工程と、
    を含む、含フッ素有機溶剤のリサイクルシステム。
  10. 含フッ素有機溶剤を用いて物品を洗浄する工程と、
    洗浄後の前記含フッ素有機溶剤を貯液槽に供給し、前記含フッ素有機溶剤上を第1の液体で被覆する工程と、
    前記貯液槽に供給された前記含フッ素有機溶剤を精製する工程と、
    を含む、含フッ素有機溶剤の製造方法。
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