JP2020134311A - 環状体の検査方法及びその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被検査物に荷重を付与する検査を効率よく行う。【解決手段】環状体検査装置は、保持台40と、被検査物である環状体の下部を支持する支持部材42と、該支持部材42を環状体に指向する方向に弾発付勢する弾発部材と、環状体を凹部50に指向して押圧することで該環状体に荷重を付与する圧子44と、該圧子44に形成された挿入孔66内に摺動可能に挿入された押圧部材とを備える。押圧部材が支持部材42を押圧すると、環状体の外周壁が、保持台40に形成された凹部50の内壁に当接する。【選択図】図6

Description

本発明は、環状体に対して荷重を付与する環状体の検査方法及びその装置に関する。
自動車には、内燃機関やモータ等の走行駆動力発生機構が発生した駆動力を車輪に伝達するための等速ジョイントが搭載される。ある種の等速ジョイントは、内壁に3本のトラック溝が形成されたカップ形状部を有するアウタ部材と、前記カップ形状部の内部に収容されるとともに前記トラック溝の各々に向かって延在する脚部を有するインナ部材と、前記脚部に回転可能に支持されて前記トラック溝内に挿入される環状ローラとを備え、インナ部材の形状から「トリポート型等速ジョイント」とも指称される。
インナ部材は、その外周壁から前記脚部が突出する環状部を有する。該環状部に形成された嵌合孔には、ドライブシャフトが嵌合される。ドライブシャフトの長手方向がトラック溝の延在方向に対して傾斜すると、これに伴ってインナ部材が傾斜姿勢となる。従って、脚部の長手方向が環状ローラに対して傾く。この傾きにより、脚部から環状ローラの内周壁に対してスラスト荷重が付与される。
環状ローラの、スラスト荷重に対する耐久性が十分でない場合、該環状ローラが破損する懸念がある。そこで、環状ローラに対して荷重を付与する強度検査を行い、該環状ローラが要求される強度を有するものであるか否かを確認することが想起される。しかしながら、環状ローラの形状は球台に類似しており、その外周壁は湾曲面である。このため、検査装置の保持台に環状ローラを位置決めする際に該環状ローラの自重のバランスが崩れると、環状ローラが容易に傾く。すなわち、環状ローラの姿勢を定め、この状態で環状ローラを静止させることは容易ではない。
特許文献1〜3には、検査装置における被検査物の固定や位置決めに関する技術が提案されている。しかしながら、これらの技術はいずれも、環状ローラのように外周壁が湾曲面であるものに適用することは困難である。
特開平2−159502号公報 特開平5−133701号公報 特開2012−112890号公報
以上のような理由から、環状ローラ等、その外周壁が湾曲面である被検査物に対して荷重を付与する検査を行うことは容易ではなく、長時間を要するという不具合が顕在化している。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、外周壁が湾曲面である環状体からなる被検査物の姿勢を保つことが容易であり、検査効率の向上を図り得る環状体の検査方法及びその装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の一実施形態によれば、外周壁が湾曲面である環状体の高さ方向に沿って荷重を付与する環状体の検査方法であって、
保持台の凹部の底部に形成された収容孔内に配設され、弾発部材によって弾発付勢された支持部材に前記環状体を載置することで、前記支持部材で前記環状体の下部を支持する工程と、
前記支持部材を押圧部材で押圧して前記凹部に指向して変位させ、前記支持部材の前記外周壁を前記凹部の内壁に当接させるとともに、前記支持部材を前記環状体から離間させる工程と、
前記外周壁が前記凹部の前記内壁に当接した前記環状体を圧子で押圧して該環状体に荷重を付与する工程と、
を有する環状体の検査方法が提供される。
また、本発明の別の一実施形態によれば、外周壁が湾曲面である環状体の高さ方向に沿って荷重を付与する環状体検査装置であって、
内壁が前記環状体の前記外周壁に当接する凹部が設けられた保持台と、
前記凹部の底部に設けられた収容孔内に配設され、前記環状体の下部を支持する支持部材と、
前記支持部材を前記環状体に指向する方向に弾発付勢する弾発部材と、
前記環状体を前記凹部に指向して押圧することで、前記環状体の高さ方向に沿って荷重を付与する圧子と、
前記圧子に形成された挿入孔内に摺動可能に挿入され、前記支持部材を押圧する押圧部材と、
を備える環状体検査装置が提供される。
上記の構成を採用したことにより、被検査物である環状体の外周壁を凹部の内壁に当接させる際、該環状体を、凹部の内壁及び支持部材で支持することが可能となる。従って、該環状体の姿勢が容易に定まる。また、その後に支持部材を環状体から離間させたときに該環状体の姿勢が保たれる。
従って、本発明によれば、環状体を、姿勢を保った状態で静止させることが容易となる。このため、検査の開始から終了に至るまでを可及的に短くすることが可能となる。従って、検査効率の向上を図ることができる。
本発明の実施の形態に係る環状体検査装置を構成する被検査物保持部の要部概略斜視図である。 被検査物である環状体(環状ローラ)の概略分解斜視図である。 図2の環状体の高さ方向に沿う概略縦断面図である。 被検査物保持部を構成する支持部材に環状体、圧子及び押圧部材(インナロッド)を載置した状態を示す概略正面断面図である。 環状体検査装置を構成する押圧用パンチで支持部材を押圧し、保持台に形成された凹部の内壁に環状ローラの外周壁を当接させた状態を示す概略正面断面図である。 図5に続き、押圧用パンチで支持部材をさらに押圧した状態を示す概略正面断面図である。
以下、本発明に係る環状体の検査方法につき、それを実施するための環状体検査装置との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る強度検査装置(環状体検査装置)を構成する被検査物保持部10の要部概略斜視図である。この強度検査装置は、被検査物である環状ローラ20(環状体)に対して荷重を付与するためのものである。
はじめに、環状ローラ20につき概略説明する。環状ローラ20は、例えば、特開2016−61424号公報に記載されるように、トリポート型等速ジョイントを構成するインナ部材の脚部(「トラニオン」とも指称される)に対して回転自在に保持される。この場合、環状ローラ20は、図2及び図3に示すように、内側環状部材としての内側ローラ22と、複数本のニードルベアリング24(転動部材)を介して該内側ローラ22に外嵌される外側環状部材としての外側ローラ26とを有する組立体からなる。
外側ローラ26は、内側ローラ22を覆う(図3参照)。従って、外側ローラ26の外周壁、内側ローラ22の内周壁は、それぞれ、環状ローラ20の外周壁、内周壁に相当する。また、内側ローラ22の内径、外側ローラ26の外径は、それぞれ、環状ローラ20の内径、外径に相当する。
図3を参照して諒解されるように、内側ローラ22の内壁部は、その高さ方向略中間で内径が最小となるように膨出している。環状ローラ20がインナ部材の脚部に装着された際、この内径が最小となった部位(最小内径部)が、脚部の外壁に当接する。
外側ローラ26の内壁には、環状溝28が形成される。この環状溝28にサークリップ30が嵌合されることにより、保持リング32が外側ローラ26内で位置決め固定される。前記複数本のニードルベアリング24は、この保持リング32と、外側ローラ26に形成されたフランジ部34とによって、外側ローラ26内に転動自在に保持されている。なお、インナ部材の脚部は、環状ローラ20の、サークリップ30及び保持リング32が設けられた側から内側ローラ22の内部に通される。
次に、強度検査装置の被検査物保持部10につき、図1及び図4を参照して説明する。被検査物保持部10は、ダイ38上に取り付けられた保持台40と、支持部材42と、圧子44と、押圧部材としてのインナロッド46とを備える。この中の保持台40には、断面が略半円形状をなす凹部50が形成されている。すなわち、凹部50の内壁は湾曲面である。さらに、該凹部50の底部には収容孔52が形成されており、前記支持部材42は、収容孔52に収容されて一端がダイ38に着座したコイルスプリング54(弾発部材)によって弾発付勢されている。コイルスプリング54が最大に伸張しているときには支持部材42の上部が収容孔52から露呈する。一方、コイルスプリング54が圧縮されたときには、支持部材42が収容孔52内に収容される(図5及び図6参照)。
支持部材42は、その上面に円柱状突部56(突部)を有する。該円柱状突部56は、外側ローラ26の、図1における最下端の内径と略同等である。なお、円柱状突部56に代替して円環状突部を設けるようにしてもよい。
圧子44は、保持台40に臨む下方から上方に向かうにつれて直径が段階的に大きくなる。すなわち、圧子44は、小径部60、中径部62、大径部64を下方からこの順序で有する。中径部62の下面は、圧子44が下降したときに内側ローラ22の上面に当接する。
圧子44の中心には、長手方向(高さ方向)に沿って延在する挿入孔66が形成される。該挿入孔66には、押圧部材である前記インナロッド46が摺動可能に挿入される。インナロッド46の長さは圧子44に比して大きく、このため、図4に示すように、小径部60及びインナロッド46の下面が支持部材42の上面に当接したとき、インナロッド46の上部は挿入孔66から露呈する。また、この場合、インナロッド46の直径は、内側ローラ22の内径、換言すれば、環状ローラ20の内径に比して小さく設定されている。
強度検査装置は、さらに、図示しない昇降機構(例えば、空気圧ピストンやボールネジ機構)の作用下に昇降する押圧用パンチ70を備える。該押圧用パンチ70の下面は、先ず、インナロッド46の上面に当接し、インナロッド46の押し下げを終了した際に圧子44の上面に当接して該圧子44を押圧する。
本実施の形態に係る強度検査装置は、基本的に以上のように構成される被検査物保持部10を備えるものであり、次に、その作用効果につき、本実施の形態に係る強度検査方法(環状体の検査方法)との関係で説明する。
はじめに、第1工程S1において、図4に示すように、コイルスプリング54に弾発付勢されて凹部50の底部から露呈した支持部材42に、保持リング32が上方を臨む姿勢として環状ローラ20を載置する。支持部材42の直径が外側ローラ26の端面の内径よりも十分に大きく且つ該外側ローラ26の外径よりも十分に小さいので、支持部材42の上面に環状ローラ20を容易に載置することができる。また、支持部材42の上面に設けられた円柱状突部56が、外側ローラ26の内部に挿入される。この挿入により、環状ローラ20が位置ズレを起こすことが防止される。
次に、挿入孔66にインナロッド46が挿入された圧子44の小径部60を内側ローラ22の内部に通し、さらに、該小径部60の下面及びインナロッド46の下面を支持部材42の上面に当接させて図4に示す状態とする。この時点では、環状ローラ20の外周壁(外側ローラ26の外周壁)は、凹部50の内壁から離間している。また、この時点で中径部62の下面を内側ローラ22の上面に当接させるようにしてもよいし、離間させるようにしてもよい。
次に、第2工程S2において、インナロッド46で支持部材42を押圧する。このためには、前記昇降機構の作用下に下降した押圧用パンチ70で、挿入孔66から露呈したインナロッド46の上部を押圧すればよい。この押圧に伴ってコイルスプリング54が圧縮されるとともに、支持部材42が下降する。従って、支持部材42に載置された環状ローラ20も支持部材42に追従して下降する。
下降した環状ローラ20の外周壁は、図5中にA、Bで示すように、少なくとも2点が凹部50の内壁に当接する。また、環状ローラ20の下面が支持部材42によって支持されている。すなわち、環状ローラ20が支持部材42及び保持台40に支持される。以上の支持により、環状ローラ20が傾斜することが防止される。すなわち、環状ローラ20の姿勢が定まるとともに、該環状ローラ20が位置決めされる。
押圧用パンチ70をさらに下降させて支持部材42を一層下降させると、支持部材42の上面が環状ローラ20の下面から離間する。その結果、環状ローラ20の支持物が支持部材42から保持台40に切り替わる。ここで、環状ローラ20は、その外周壁が凹部50の内壁に当接することで姿勢が定まっている。従って、支持部材42が環状ローラ20から離間した後も、外周壁が凹部50の内壁に当接した姿勢が維持される。換言すれば、環状ローラ20を、姿勢を保った状態で静止させることが容易である。
次に、環状ローラ20を構成する内側ローラ22に荷重を付与する第3工程S3を行う。すなわち、押圧用パンチ70をさらに下降させて支持部材42を一層下降させる。圧子44の下降は、中径部62の下面が内側ローラ22の上面に当接した時点で終了する。一方、インナロッド46は、図6に示すように、その上面が圧子44の大径部64の上面と面一となるまで、挿入孔66内を下方に向かって摺動することが可能である。
インナロッド46の上面が圧子44の大径部64の上面と面一となると、押圧用パンチ70が下方の環状ローラ20に向かって圧子44を押圧する。上記したように圧子44の中径部62の下面が内側ローラ22の上面に当接しているので、圧子44が押圧されることに伴い、該圧子44から内側ローラ22に、該内側ローラ22の高さ方向に沿い且つ下方に指向する荷重が付与される。圧子44の移動方向、すなわち、荷重の指向方向は、トリポート型等速ジョイントにおいて、環状ローラ20に作用するスラスト力の指向方向に合致する。
一方、外側ローラ26に荷重が直接付与されることはない。従って、内側ローラ22に荷重が付与されると、荷重の大きさによっては、内側ローラ22が外側ローラ26から離脱することがあり得る。すなわち、環状ローラ20が分解されるに至る。上記したように荷重の指向方向はスラスト力の指向方向に合致することから、強度検査にて所定の荷重を付与した際に分解した環状ローラ20は所定のスラスト力が作用したときに分解に至る可能性があるものと評価される。
これとは逆に、所定の荷重を付与しても分解されることなく構成を保つ環状ローラ20は、所定のスラスト力が作用したとしても十分な耐久性を示すものと評価することができる。以上のように、強度検査を行うことにより、所定のスラスト力が作用したときに分解されることなく構成を保つことが可能な環状ローラ20であるか否かを判断することができる。
この強度検査を行うに際し、環状ローラ20を、上記したように保持台40の凹部50にて姿勢を保った状態で静止させることができるので、強度検査の開始から終了までを可及的短時間で遂行することが可能となる。すなわち、環状ローラ20の検査効率が向上する。従って、トリポート型等速ジョイントの生産効率の向上を図ることができる。
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、被検査物は、外周壁が湾曲した形状を有する環状体であればよく、トリポート型等速ジョイントを構成する環状ローラ20に特に限定されるものではない。
また、凹部50の内壁の曲率半径を、被検査物の外周壁の曲率半径に合致させる必要は特にない。このことから諒解されるように、被検査物保持部10は、外周壁の曲率半径が様々である被検査物の姿勢を定めることが可能であり、汎用性に優れる。
10…被検査物保持部 20…環状ローラ
22…内側ローラ 24…ニードルベアリング
26…外側ローラ 32…保持リング
40…保持台 42…支持部材
44…圧子 46…インナロッド
50…凹部 52…収容孔
54…コイルスプリング 56…円柱状突部
66…挿入孔 70…押圧用パンチ
前記の目的を達成するために、本発明の一実施形態によれば、外周壁が湾曲面である環状体の高さ方向に沿って荷重を付与する環状体の検査方法であって、
保持台の凹部の底部に形成された収容孔内に配設され、弾発部材によって弾発付勢された支持部材に前記環状体を載置することで、前記支持部材で前記環状体の下部を支持する工程と、
前記支持部材を押圧部材で押圧することで、前記環状体を前記凹部に指向して変位させ、前記環状体の前記外周壁を前記凹部の内壁に当接させるとともに、前記支持部材を前記環状体から離間させる工程と、
前記外周壁が前記凹部の前記内壁に当接した前記環状体を圧子で押圧して該環状体に荷重を付与する工程と、
を有する環状体の検査方法が提供される。

Claims (6)

  1. 外周壁が湾曲面である環状体の高さ方向に沿って荷重を付与する環状体の検査方法であって、
    保持台の凹部の底部に形成された収容孔内に配設され、弾発部材によって弾発付勢された支持部材に前記環状体を載置することで、前記支持部材で前記環状体の下部を支持する工程と、
    前記支持部材を押圧部材で押圧して前記凹部に指向して変位させ、前記支持部材の前記外周壁を前記凹部の内壁に当接させるとともに、前記支持部材を前記環状体から離間させる工程と、
    前記外周壁が前記凹部の前記内壁に当接した前記環状体を圧子で押圧して該環状体に荷重を付与する工程と、
    を有する環状体の検査方法。
  2. 請求項1記載の検査方法において、前記環状体は、内側環状部材と、転動部材を介して前記内側環状部材の外方を覆う外側環状部材とを有する組立体からなり、前記圧子で前記内側環状部材のみを押圧する環状体の検査方法。
  3. 外周壁が湾曲面である環状体の高さ方向に沿って荷重を付与する環状体検査装置であって、
    内壁が前記環状体の前記外周壁に当接する凹部が設けられた保持台と、
    前記凹部の底部に設けられた収容孔内に配設され、前記環状体の下部を支持する支持部材と、
    前記支持部材を前記環状体に指向する方向に弾発付勢する弾発部材と、
    前記環状体を前記凹部に指向して押圧することで、前記環状体の高さ方向に沿って荷重を付与する圧子と、
    前記圧子に形成された挿入孔内に摺動可能に挿入され、前記支持部材を押圧する押圧部材と、
    を備える環状体検査装置。
  4. 請求項3記載の検査装置において、前記押圧部材の直径が前記環状体の内径に比して小さい環状体検査装置。
  5. 請求項3又は4記載の検査装置において、前記環状体は、内側環状部材と、転動部材を介して前記内側環状部材の外方を覆う外側環状部材とを有する組立体からなり、前記圧子は前記内側環状部材のみを押圧する環状体検査装置。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の検査装置において、前記支持部材に、前記環状体の内径側に挿入される突部が設けられている環状体検査装置。
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