JP2020133888A - 変速操作装置 - Google Patents

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【課題】簡便な構成で確実に、変速機における誤変速操作を防止することが可能な変速操作装置を提供する。【解決手段】変速機に備わる複数のシフトロッド56をそれぞれ軸方向に移動させることにより、ギヤ段を切り替え可能な変速操作装置10であって、手動操作を介して作動し、複数のシフトロッド56のいずれかに選択的に係合して軸方向に移動させるインターナルレバー14と、インターナルレバー14の作動を規制することにより、現状のギヤ段から特定のギヤ段への切り替えを不能とする規制手段16A、16B、16Cと、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は、変速操作装置に関する。
従来、車両における手動変速機では、運転者が操作レバーを操作してギヤ段を切り替える際に、意図しないギヤ段を選択してしまう誤変速操作を行うおそれがあった。このような誤変速操作を防止するために、例えば特許文献1や特許文献2に記載の技術が既に知られている。
特許文献1には、シフトアンドセレクト軸(コントロールロッド)に対して、シフトアーム(インターナルレバー)とは別に、インターロックプレートを固定した技術が記載されている。特許文献1に記載の技術では、インターロックプレートのスライドを、さらに別に設けた規制部材で規制することにより、誤変速操作を防止している。
特許文献2には、シフトを案内するゲート溝を備えたガイドプレートに対して、シフト溝の開口幅を変化させる案内溝可変部材を設けた技術が記載されている。特許文献2に記載の技術では、案内溝可変部材を、これとは別に設けたガイドピンで移動させることにより、誤変速操作を防止している。
特開2016−138600号公報 特開2010−185536号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、変速動作を規制する側の部品(規制部材)とは別に、規制される側の部品(インターロックプレート)も、本来備わる部品とは別に新たに付加している。このような技術では、部品点数が多くなり構成が複雑になるという問題があった。
また、特許文献2に記載の技術では、本来備わる部品とは別に、シフトの案内を規制するための正確な精度出しや位置決めが必要な部品(案内溝可変部材)を新たに付加している。このような技術でも、部品間の精度出しや位置決めが面倒であり構成が複雑になるという問題があった。
本開示の目的は、簡便な構成で容易かつ確実に、誤変速操作を防止することが可能な変速操作装置を提供することである。
本開示の一態様に係る変速操作装置は、変速機に備わる複数のシフトロッドをそれぞれ軸方向に移動させることにより、ギヤ段を切り替え可能な変速操作装置であって、手動操作を介して作動し、前記複数のシフトロッドのいずれかに選択的に係合して軸方向に移動させるインターナルレバーと、前記インターナルレバーの作動を規制することにより、現状のギヤ段から特定のギヤ段への切り替えを不能とする規制手段と、を備える。
本開示によれば、簡便な構成で確実に、変速機における誤変速操作を防止することが可能となる。
車変速操作装置を概略的に例示した模式図 車両を概略的に例示した模式図 変速機を概略的に例示した模式図 シンクロ機構の要部を例示した断面図 規制手段であるプランジャの駆動を例示した説明図 制御手段であるコントローラの構成を例示したブロック図 車変速操作装置の制御を例示したフローチャート
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は一例であり、本開示はこの実施形態に限定されるものではない。なお、既に周知な事項の詳細な説明や、実質的に同一の構成に対する重複説明等は、適宜省略する場合がある。
[変速操作装置10について]
まず、本開示を適用する変速操作装置10の一例について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る変速操作装置10を概略的に示す模式図である。変速操作装置10は、後述する変速機5における複数のギヤ段を手動操作を介して切り替えるものである。なお、図1に示した各部品の相対的な位置関係や大きさは、あくまで説明の便宜上のものであり、正確を期すものではない。
図1には、前進7段および後進1段のギヤ段(走行段)のシフトパターンSPも記されている。シフトパターンSPにおいて、リバース(Rev)を「R」、1速(1st)を「1」、2速(2nd)を「2」、3速(3rd)を「3」、4速(4th)を「4」、5速(5th)を「5」、6速(6th)を「6」、7速(7th)を「7」として、それぞれ示す。また、各ニュートラル位置を「N1」、「N2」、「N3」、「N4」として、それぞれ示す。
図1には、X軸およびY軸も記されている。以下の説明では、図1におけるコントロールロッド13の軸方向を「X方向」(セレクト方向)とし、X方向の手前側を「+X方向」、X方向の奥側を「−X方向」とする。また、コントロールロッド13の軸方向と直交する水平方向を「Y方向」(シフト方向)とし、Y方向の右側を「+Y方向」、左側を「−Y方向」とする。
図1におけるコントロールロッド13の軸回りの回転方向のうち、時計回り方向を「C1方向」とし、反時計回り方向を「C2方向」とする。そのほか、以下の説明では、コントロールロッド13のX方向(セレクト方向)の変速操作を「セレクト操作」とし、Y方向(シフト方向)の変速操作を「シフト操作」とする。
図1に示すように、変速操作装置10は、操作レバー11と、伝達機構12と、コントロールロッド13(本開示の「操作軸」に相当)と、インターナルレバー14と、を備えている。コントロールロッド13とインターナルレバー14は、コントロールボックス15(本開示の「第1の筐体」に相当)内に収納されている。なお、コントロールボックス15の具体的な形状や大きさは、任意に定め得る設計事項である。
操作レバー11は、運転者が手動操作するものであり、他にコントロールレバーやシフトレバーとも称される。操作レバー11は、シフトパターンSPに沿ってセレクト方向およびシフト方向にそれぞれ移動可能に支持されている。操作レバー11に入力された操作力は、伝達機構12を介してコントロールロッド13に伝達される。
伝達機構12は、例えば操作レバー11とコントロールロッド13の間に介在させたリンク等、機械的な連結により操作力を伝達するもの等が該当する。あるいは、手動操作された操作レバー11の位置を検出して、これに基づき後述するコントローラ100の制御により、空気圧や油圧あるいは電動アクチュエータ等を用いてコントロールロッド13を駆動するように構成してもよい。
コントロールロッド13は、コントロールボックス15内でX方向に延びている。コントロールロッド13は、X方向に移動可能かつ軸回りに回転可能に、コントロールボックス15に支持されている。なお、コントロールボックス15の形状や大きさは特に限定されるものではなく、コントロールロッド13を移動および回転を含む変位が可能な状態で収納し支持できるものであれば足りる。
インターナルレバー14は、コントロールボックス15内でコントロールロッド13のX方向の途中に固定されている。よって、インターナルレバー14も、コントロールロッド13と共に、X方向に移動可能かつ軸回りに回転可能に支持されている。インターナルレバー14は、先端が下方を向く状態で、基端がコントロールロッド13に一体に固定されている。
詳しく言えばインターナルレバー14は、コントロールロッド13の途中に挿通させた状態で固定する筒胴部141を備えている。筒胴部141の一端面側には、レバー部142が一体に設けられている。インターナルレバー14は、レバー部142の先端143が下方へ向く状態に配置される。また、筒胴部141の他端面側には、フランジ144が一体に設けられている。
操作レバー11の手動操作は、伝達機構12を介してコントロールロッド13に伝達される。コントロールロッド13のX方向の移動に伴って、インターナルレバー14も同じくX方向に移動する。また、コントロールロッド13の軸回りの回転に伴って、インターナルレバー14も同じ方向に回転する。このように作動するインターナルレバー14の先端143は、後述する変速機5の各シフトロッド56にそれぞれ固定されたシフトブロック57に選択的に係合する。
インターナルレバー14は、いずれかのシフトロッド56のシフトブロック57に係合した状態で、コントロールロッド13が軸回りに回転することにより、当該シフトロッド56を軸方向(Y方向/シフト方向)に移動させる。また、後述するが変速操作装置10は、インターナルレバー14の作動を規制することにより、変速機5における現状のギヤ段から特定のギヤ段への切り替えを不能とする規制手段を備えている。
[車両1全体について]
次に、変速操作装置10を装備する車両1の一例について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る車両1を概略的に示す模式図である。図2に示すように、車両1は、エンジン3と、クラッチ4と、変速機(トランスミッション)5と、プロペラシャフト6と、終減速機(デファレンシャル)7と、ドライブシャフト8,8と、駆動輪9,9と、を備えている。クラッチ4から終減速機7までを、動力伝達系2とする。
車両1では、駆動源であるエンジン3の回転力が、クラッチ4を介して変速機5に伝達され、変速機5により所定の変速比に変速される。変速機5で変速された回転力は、プロペラシャフト6を介して終減速機7に伝達され、終減速機7からドライブシャフト8,8を介して駆動輪9,9に伝達される。上記した変速操作装置10は、変速機5のギヤ段を少なくとも手動操作によって切り替えるものである。
エンジン3は、後述するコントローラ100によって、エンジン回転数(出力回転数)およびエンジン出力トルク(出力トルク)が制御される。エンジン10の出力軸の近傍には、エンジン10の回転数を検出するエンジン回転数センサ101(図6参照)が設けられている。
なお、車両1は、エンジン3等の内燃機関を駆動源とするものに限定されず、他に電動機(例えばモータ/ジェネレータ等)を駆動源とする電気自動車(Electric Vehicle:EV)、あるいは内燃機関と電動機とを組み合わせたハイブリッド車(Hybrid Electric Vehicle:HEV)であってもよい。
[変速機5について]
次に、変速操作装置10の操作対象である変速機5の一例について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る変速機5を概略的に示す模式図である。図3には、図1に合わせて前進7段および後進1段のギヤ段(走行段)が記されている。ただし、図3および図1に示した変速機5の構成要素(ギヤ段等)の具体的な数や配置は、あくまで概略を説明するための便宜上の例示に過ぎない。
変速機5は、クラッチ4を介して伝達されたエンジン3の回転力を、複数あるギヤ段(走行段)の変速比に変速して、プロペラシャフト6を介して終減速機7側へ伝達するものである。変速機5におけるギヤ段の切り替えは、運転者による手動操作(マニュアル操作)と、自動制御により行われる自動操作とがあるが、本実施形態の変速機5では手動操作を前提とする。
変速機5では、運転者が図1に示した操作レバー11を手動操作(セレクト操作およびシフト操作)することにより、現状のギヤ段が所望のギヤ段に切り替えられる。ギヤ段自体の切り替え動作は、手動操作と自動操作とで同様である。自動操作では、操作レバー11を操作することなく、後述するコントローラ100の制御により車速等に応じて自動的に最適なギヤ段に選択される。なお、本開示では手動操作を前提とするが、自動操作も選択的に実行できる構成でもよい。
図3に示すように、変速機5は、インプットシャフト51と、アウトプットシャフト52と、カウンタシャフト53と、複数のギヤ段をなすメインギヤ54およびカウンタギヤ55を備えている。また、各メインギヤ54に対応して、複数のシンクロ機構60が設けられている。さらに、各シンクロ機構60に対応して、複数のシフトロッド56(図1参照)が設けられている。
インプットシャフト51の近傍には、動力伝達系2の入力側回転数を検出するインプットシャフト回転数センサ102が設けられている。アウトプットシャフト52の近傍には、動力伝達系2の出力側回転数を検出するアウトプットシャフト回転数センサ103が設けられている。なお、変速機5の各部品は、ギヤボックス59(本開示の「第2の筐体」に相当)内に収納されている。
インプットシャフト51は、入力側がクラッチ4を介してエンジン3に連結されている。インプットシャフト51には、インプットメインギヤ51Aが一体回転するように設けられている。
アウトプットシャフト52は、インプットシャフト51と同軸上に配置され、出力側がプロペラシャフト6を介して終減速機7に連結される(図2参照)。アウトプットシャフト52には、入力側から順にメインギヤ54A,54B,54C,54D,54E,54F,54G,54Hが回転自在に設けられている。なお、メインギヤ54A,54B,54C,54D,54E,54F,54G,54Hを総称するときは、単にメインギヤ54と表記する。
カウンタシャフト53は、インプットシャフト51およびアウトプットシャフト52と平行に配置されている。カウンタシャフト53には、入力側から順に前記インプットメインギヤ51Aと噛み合うインプットカウンタギヤ53Aの他、複数のカウンタギヤ55A,55B,55C,55D,55E,55F,55G,55Hが一体回転するように設けられている。なお、カウンタギヤ55A,55B,55C,55D,55E,55F,55G,55Hを総称するときは、単にカウンタギヤ55と表記する。
アウトプットシャフト52側のメインギヤ54A,54B,54C,54D,54E,54F,54G,54Hと、カウンタシャフト53側のカウンタギヤ55A,55B,55C,55D,55E,55F,55G,55Hとは、互いに対応するもの同士が噛み合っており、それぞれ「ギヤ段」(変速ギヤ)をなしている。なお、カウンタギヤ55Aは、アイドラギヤ53Bを介してメインギヤ54Aと噛み合っており、アウトプットシャフト52を逆回転させる。
メインギヤ54とカウンタギヤ55との組み合わせである「ギヤ段」のうち、メインギヤ54Aおよびカウンタギヤ55Aは、リバース(Rev)に相当する。メインギヤ54Bおよびカウンタギヤ55Bは、1速(1st)に相当する。メインギヤ54Cおよびカウンタギヤ55Cは、2速(2nd)に相当する。メインギヤ54Dおよびカウンタギヤ55Dは、3速(3rd)に相当する。
続いて、メインギヤ54Eおよびカウンタギヤ55Eは、4速(4th)に相当する。メインギヤ54Fおよびカウンタギヤ55Fは、5速(5st)に相当する。メインギヤ54Gおよびカウンタギヤ55Gは、6速(6th)に相当する。メインギヤ54Hおよびカウンタギヤ55Hは、7速(7th)に相当する。
[変速機5のシンクロ機構60]
アウトプットシャフト52上には、各メインギヤ54間の配置に合わせて、複数のシンクロ機構60A,60B,60C,60Dが設けられていている。シンクロ機構60A,60B,60C,60Dは、変速機5におけるギヤ段の切り替えを円滑に行うために、変速時の入力側と出力側との回転数差を摩擦により同期させるものである。いずれのシンクロ機構60A,60B,60C,60Dも、それぞれ共通の構成である。なお、シンクロ機構60A,60B,60C,60Dを総称するときは、単にシンクロ機構60と表記する。
図4は、シンクロ機構60の構成の要部を例示した断面図である。図4に示すように、シンクロ機構60は、シンクロハブ61と、カップリングスリーブ62と、ドグクラッチ63と、シンクロナイザリング64と、を備えている。図4では、シンクロハブ61とカップリングスリーブ62の軸方向の中心線CLより片側半分(入力側となる紙面左側)の一部のみ図示したが、中心線CLを境に左右対称となるもう片側半分(出力側となる紙面右側)も存在する。
シンクロハブ61は、アウトプットシャフト52(図3参照)に対して、一体的に回転するように固定されている。アウトプットシャフト52とシンクロハブ61の中心軸は互いに一致し、上記のY方向に延びている。図1における−Y方向は、図3および図4において矢印で示す−Y方向(紙面左側)と一致し、図1における+Y方向は、図3および図4において矢印で示す+Y方向(紙面右側)と一致している。
カップリングスリーブ62は、シンクロハブ61の外周に対して、Y方向に移動可能にスプライン係合されている。また、カップリングスリーブ62には、外周面にある凹溝621に対して、それぞれ対応するシフトフォーク58の先端が係合されている。シフトフォーク58は、後述するシフトロッド56(図1参照)に一体に取り付けられている。
ドグクラッチ63は、メインギヤ54と一体に設けられている。ここでドグクラッチ63は、メインギヤ54と別体のものを後から固定してもよい。メインギヤ54は、ドグクラッチ63を介してカップリングスリーブ62と噛み合うことになる。また、メインギヤ54のシンクロハブ61側はコーン形状であり、その外周面は、先端に向けて縮径する外側摩擦面541となっている。なお、ドグクラッチ63や外側摩擦面541は、各メインギヤ54毎にそれぞれ設けられている。
シンクロナイザリング64は、シンクロハブ61とドグクラッチ63との間に設けられている。シンクロナイザリング64は円筒形状であり、その内周面は、メインギヤ54の外側摩擦面541と摩擦係合するテーパー状の内側摩擦面641となっている。なお、シンクロナイザリング64において内側摩擦面641を含む内周側の部位は、摩擦材によって形成してもよい。
シンクロナイザリング64の内側摩擦面641は、シンクロナイザリング64がドグクラッチ63側に押し付けられたとき、メインギヤ54の外側摩擦面541と接触する。このときの摩擦力によって、シンクロナイザリング64は、メインギヤ54との回転速度差を減らしながら同期させる。
また、シンクロナイザリング64の外周面には、径方向外側に向けて突出する歯642が複数個設けられている。歯642の数については、本開示では特に限定しない。歯642の手前側には、カップリングスリーブ62のスプラインにあるチャンファ622に係脱するチャンファ643が設けられている。
変速機5ではインプットシャフト51の回転力が、インプットメインギヤ51Aからインプットカウンタギヤ53Aに伝達され、カウンタシャフト53を回転させる。カウンタシャフト53の回転は、各カウンタギヤ55A,55B…から各メインギヤ54A,54B…に伝達され、各メインギヤ54A,54B…をアウトプットシャフト52上で回転させる。ギヤが接続された段では、メインギヤ54と一体のドグクラッチ63とシンクロナイザリング64が回転する。
シンクロナイザリング64がドグクラッチ63側へ押し付けられると、シンクロナイザリング64の内側摩擦面641とメインギヤ54の外側摩擦面541とが摩擦係合する。この摩擦力によって、シンクロハブ61の回転が、カップリングスリーブ62やシンクロナイザリング64を介してメインギヤ54に伝達されて回転の同期がなされる。同期が完了した後、カップリングスリーブ62が、シンクロナイザリング64を介してドグクラッチ63と噛み合うことで変速動作は完了する。
次いで、図3に示す各シンクロ機構60毎の作動について説明する。
第1のシンクロ機構60Aでは、図4においてカップリングスリープ62が−Y方向に移動すると、メインギヤ54Aのドグクラッチ63とスプライン係合する。すると、カウンタギヤ55Aからアイドラギヤ53Bを介してメインギヤ54Aに回転力が逆方向に伝達され、アウトプットシャフト52はリバースで回転する。一方、カップリングスリープ62が+Y方向に移動して、メインギヤ54Bのドグクラッチ63とスプライン係合すると、カウンタギヤ55Bからメインギヤ54Bに回転力が伝達され、アウトプットシャフト52は1速で回転する。
第2のシンクロ機構60Bでは、図4においてカップリングスリープ62が−Y方向に移動すると、メインギヤ54Cのドグクラッチ63とスプライン係合する。すると、カウンタギヤ55Cからメインギヤ54Cに回転力が伝達され、アウトプットシャフト52は2速で回転する。一方、カップリングスリープ62が+Y方向に移動して、メインギヤ54Dのドグクラッチ63とスプライン係合すると、カウンタギヤ55Dからメインギヤ54Dに回転力が伝達され、アウトプットシャフト52は3速で回転する。
第3のシンクロ機構60Cでは、図4においてカップリングスリープ62が−Y方向に移動すると、メインギヤ54Eのドグクラッチ63とスプライン係合する。すると、カウンタギヤ55Eからメインギヤ54Eに回転力が伝達され、アウトプットシャフト52は4速で回転する。一方、カップリングスリープ62が+Y方向に移動して、メインギヤ54Fのドグクラッチ63とスプライン係合すると、カウンタギヤ55Fからメインギヤ54Fに回転力が伝達され、アウトプットシャフト52は5速で回転する。
第4のシンクロ機構60Dでは、図4においてカップリングスリープ62が−Y方向に移動すると、メインギヤ54Gのドグクラッチ63とスプライン係合する。すると、カウンタギヤ55Gからメインギヤ54Gに回転力が伝達され、アウトプットシャフト52は6速で回転する。一方、カップリングスリープ62が+Y方向に移動して、メインギヤ54Hのドグクラッチ63とスプライン係合すると、カウンタギヤ55Hからメインギヤ54Hに回転力が伝達され、アウトプットシャフト52は7速で回転する。
[変速機5のシフトロッド56]
図1に示すように、変速機5は、互いに平行に延びる複数のシフトロッド56A,56B,56C,56Dを備えている。各シフトロッド56A,56B,56C,56Dは、図1では図示しないギヤボックス59(図3参照)内で、コントロールロッド13と平面視で直交する向きに配置され、それぞれ軸方向であるY方向(シフト方向)に移動可能に支持されている。なお、シフトロッド56A,56B,56C,56Dを総称するときは、単にシフトロッド56と表記する。
第1のシフトロッド56Aは、シンクロ機構60Aにおいてギヤ段をリバースまたは1速に選択的に切り替えるものである。第2のシフトロッド56Bは、シンクロ機構60Bにおいてギヤ段を2速または3速に選択的に切り替えるものである。第3のシフトロッド56Cは、シンクロ機構60Cにおいてギヤ段を4速または5速に選択的に切り替えるものである。第4のシフトロッド56Dは、シンクロ機構60Dにおいてギヤ段を6速または7速に選択的に切り替えるものである。
各シフトロッド56には、インターナルレバー14によって移動されるシフトブロック57が設けられている。本実施形態では、第1のシフトロッド56Aにはシフトブロック57Aが設けられ、第2のシフトロッド56Bにはシフトブロック57Bが設けられ、第3のシフトロッド56Cにはシフトブロック57Cが、第4のシフトロッド56Dにはシフトブロック57Dが設けられている。なお、シフトブロック57A,57B,57C,57Dを総称するときは、単にシフトブロック57と表記する。
各シフトブロック57は、それぞれニュートラル位置(シフトパターンSPのN1,N2,N3,N4)にある状態で、X方向(セレクト方向)に直線上に並んでいる。各シフトブロック57の上面には、上記したインターナルレバー14の先端143が遊びを持って係合する係合溝が設けられている。
変速操作装置10のインターナルレバー14は、その先端143がコントロールロッド13のX方向の移動に応じて、各シフトブロック57の一列に連なる係合溝内を移動し、いずれか一つのシフトブロック57の係合溝に係合する。このとき、コントロールロッド13の軸回りの回転によって、インターナルレバー14が係合しているシフトブロック57はY方向(シフト方向)に移動される。
また、各シフトロッド56には、上記したカップリングスリーブ62を移動させるシフトフォーク58が設けられている。図1では、シフトロッド56Aに設けたシフトフォーク58のみを図示したが、各シフトフォーク58は、それぞれ対応するシフトロッド56A,56B,56C,56D上で、互いに軸方向(Y方向)に位置をずらして配置されている。
各シフトフォーク58の先端は、それぞれ対応するシンクロ機構60におけるカップリングスリーブ621の凹溝621に係合している。ここで各シフトフォーク58の先端は、一本のインプットシャフト51上に並ぶカップリングスリーブ62に向かうように延びている。シフトブロック57のY方向の移動に伴って、シフトロッド56と共にシフトフォーク58も移動し、カップリングスリーブ62を移動させる。これにより、シンクロ機構60において現状のギヤ段が所望のギヤ段に切り替えられる。
また、変速機5には、図1および図3では図示しないが、現状のギヤ段を検出する手段としてギヤポジションセンサ104(図6参照)が設けられている。ギヤポジションセンサ104は、例えばシンクロ機構60のカップリングスリーブ62を軸方向に移動させる各シフトロッド56の位置に基づいてギヤ段の位置を検出し、ギヤ段情報を出力する。あるいは、ギヤ段を検出する別の手段として、例えば操作レバー11の位置を検出するセンサを用いてもよい。
[変速操作装置10の規制手段]
変速操作装置10は、インターナルレバー14の作動を規制することにより、現状のギヤ段から特定のギヤ段への切り替えを不能とする規制手段を備えている。図1に示すように、本実施形態に係る規制手段は、インターナルレバー14に直接当接する複数のプランジャ16A,16B,16Cを備えてなる。
図1に示すように、複数のプランジャ16A,16B,16Cは、コントロールロッド13の軸方向に沿って並ぶようにコントロールボックス15に取り付けられている。ここで各プランジャ16A,16B,16Cは、コントロールロッド13の軸方向に沿って上方から平面視で重なる位置に、互いに等間隔で密に並ぶように配置されている。
各プランジャ16A,16B,16Cは、それぞれ筒状の部品本体17A,17B,17Cから上下方向(コントロールロッド13の軸方向と直交する方向)に出没可能に構成されている。なお、プランジャ16A,16B,16Cを総称するときは、単にプランジャ16と表記する。
各プランジャ16は、図示しないアクチュエータによって、突出位置と没入位置とに選択的に駆動される。各プランジャ16は、それぞれ選択されて駆動されたとき、それぞれの取り付け位置からコントロールロッド13に向かって突出し、インターナルレバー14に対するコントロールロッド13の軸方向への移動止めとなる。
プランジャ16を駆動させるアクチュエータは、例えばモータやソレノイド等のように電動力で駆動するものに限らず、他の駆動系から流用した空気圧や油圧を用いたものでもよい。いずれのアクチュエータであっても、プランジャ16の駆動(突出(ON)および没入(OFF))は、後述するコントローラ100によって制御される。なお、プランジャ16は、通常時は没入(OFF)しているが、駆動されると突出(ON)するように設定されている。
図5は、コントロールロッド13およびインターナルレバー14のX方向(セレクト方向)の移動と、各プランジャ16の位置関係とを示す説明図である。図5において、各プランジャ16の符号の引出線は、紙面スペースの関係上、各プランジャ16の部品本体17(図1参照)を指標している。また、図5において、部品本体17(図1参照)が薄墨色に塗りつぶされたものが、突出しているプランジャ16を意味し、薄墨色に塗りつぶされていないものが、没入しているプランジャ16を示している。
第1のプランジャ16Aが突出すると、インターナルレバー14のフランジ144に対して、図5(b)に示す位置で当接する。このとき、インターナルレバー14の先端143は、第2(2−3速用)のシフトロッド56B(のシフトブロック57B)から第1(リバース−1速用)のシフトロッド56A(のシフトブロック57A)までの移動が不能となる。
第2のプランジャ16Bが突出すると、インターナルレバー14のフランジ144に対して、図5(c)に示す位置で当接する。このとき、インターナルレバー14の先端143は、第3(4−5速用)のシフトロッド56C(のシフトブロック57C)から第2(2−3速用)のシフトロッド56B(のシフトブロック57B)までの移動が不能となる。
第3のプランジャ16Cが突出すると、インターナルレバー14のフランジ144に対して、図5(d)に示す位置で当接する。このとき、インターナルレバー14の先端143は、第4(6−7速用)のシフトロッド56D(のシフトブロック57D)から第3(4−5速用)のシフトロッド56C(のシフトブロック57C)までの移動が不能となる。
[変速操作装置10および変速機5の作動]
次に、変速操作装置10および変速機5の作動について説明する。図1において、操作レバー11が例えばニュートラル位置N1にあるとき、インターナルレバー14の先端143は、第1(リバース−1速用)のシフトロッド56Aにあるシフトブロック57Aに係合している。
このとき、操作レバー11を操作して、コントロールロッド13の軸回りにインターナルレバー14が時計回り方向(C1方向)または反時計回り方向(C2方向)に回転すると、インターナルレバー14の先端143が係合しているシフトブロック57Aが−Y方向または+Y方向に移動し、ギヤ段はリバースまたは1速へシフトする。
ギヤ段を1速から2速へ変速する場合は、まず操作レバー11を操作してニュートラル位置N1に戻してから、操作レバー11をセレクト方向のうち−X方向へニュートラル位置N2まで移動させる。すると、コントロールロッド13と共にインターナルレバー14も−X方向へ移動し、インターナルレバー14の先端143は、第2(2−3速用)のシフトロッド56Bにあるシフトブロック57Bに係合する。
続いて、操作レバー11を操作して、コントロールロッド13の軸回りにインターナルレバー14が時計回り方向(C1方向)に回転すると、インターナルレバー14が係合しているシフトブロック57Bが−Y方向に移動し、ギヤ段は2速へシフトする。
ギヤ段を2速から3速へ変速する場合は、操作レバー11を操作してニュートラル位置N2にいったん戻してから、さらに、コントロールロッド13の軸回りにインターナルレバー14を反時計回り方向(C2方向)に回転させる。すると、インターナルレバー14が係合しているシフトブロック57Bが+Y方向に移動し、ギヤ段は3速へシフトする。
このように、操作レバー11のセレクト操作により、コントロールロッド13をX方向(セレクト方向)に移動させる。そして、コントロールロッド13と一体のインターナルレバー14を、各シフトロッド56のいずれかに選択的に係合させてから、操作レバー11のシフト操作により、各シフトロッド56のいずれかをY方向(シフト方向)に移動させる。これにより、現状のギヤ段から所望のギヤ段に順次切り替えることができる。
[変速操作装置10の制御手段]
次に、変速操作装置10の制御手段の一例について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る制御手段の構成を示すブロック図である。制御手段は、例えば車両1に搭載されるコントローラ100の一機能として実現される。コントローラ100は、例えばマイクロコンピュータや周辺の電子機器で構成された電子制御ユニットECU(Electronic Control Unit)である。
図6に示すように、コントローラ100(本開示の「制御手段」に相当)は、入力部111と、制御部112と、出力部113と、記憶部114と、を備えている。コントローラ100は、制御部112等の各機能を実現するために、記憶部114に記録された制御プログラムに従って動作し、入力部111から上記した各センサ等からの各種情報を入力し、また出力部113より各種情報を出力する。
コントローラ100には、エンジン回転数センサ101、インプットシャフト回転数センサ102、アウトプットシャフト回転数センサ103、ギヤポジションセンサ104等が、それぞれ接続されている。なお、コントローラ100の関連機器であるセンサは、本開示に関係するものだけを例示する。
入力部111は、エンジン回転数センサ101からのエンジン回転数情報、インプットシャフト回転数センサ102からの入力側回転数情報、アウトプットシャフト回転数センサ103からの出力側回転数情報、ギヤポジションセンサ104からのギヤ段情報等の各種信号の入力を受け付けるものである。
制御部112は、入力部111に入力されたエンジン回転数情報、入力側回転数情報、出力側回転数情報、ギヤ段情報等の車両の走行情報に基づいて各プランジャ16の駆動を制御し、現状のギヤ段から誤操作対象である特定のギヤ段への切り替えを不能とする。ここで誤操作対象(特定)のギヤ段について、詳しくは後述する。
出力部113は、制御部112により決定された各プランジャ16の駆動に関する信号を出力する。ここで出力部113からの信号の出力先は、主として各プランジャ16を駆動するためのアクチュエータであるが、プランジャ16のアクチュエータのみに限定されることはない。
記憶部114は、制御部112における誤操作対象のギヤ段の決定に用いられる各種データを記憶する。記憶部114には、各種データとして、例えば車速に応じて定められる最適なギヤ段や車速をパラメータとしたシフトマップ等が記憶されている。
[変速操作装置10の制御]
続いて、コントローラ100による各プランジャ16の駆動制御の一例について説明する。図7は、本実施形態に係る各プランジャ16の駆動制御を説明するためのフローチャートである。図7に示す処理は、車両1の走行中に所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS1において、制御部112は、入力部111に入力された出力側回転数情報に基づいて、車両1の走行情報の一つである現在の車速を公知の演算方法を用いて算出する。そして、制御部112は、現在の車速が、予め定められた比較値である速度S以上であるか否かを判断する。ここで速度Sは、比較的低い値に定められている。
制御部112は、現在の車速が速度S未満であった場合には(ステップS1:NO)、各プランジャ16の駆動を制御することなく、そのまま処理を終了する。すなわち、図5(a)に示すように、各プランジャ16によってインターナルレバー14の作動が規制されることはなく、運転者は現状のギヤ段から所望のギヤ段に任意に切り替えることができる。
一方、現在の車速が速度S以上であった場合には(ステップS1:YES)、ステップS2に続く。ステップS2において、制御部112は、まず、入力部111に入力されたギヤ段情報に基づいて、現状のギヤ段を識別する。そして、制御部112は、現状のギヤ段が2速以上であるか否かを判断する。
制御部112は、現状のギヤ段が2速以上でない場合には(ステップS2:NO)、そのまま処理を終了する。すなわち、現状のギヤ段はリバースまたは1速となるため、これ以下にシフトダウンすることはなく、各プランジャ16の駆動を制御する必要はない。
一方、現状のギヤ段が2速以上である場合には(ステップS2:YES)、ステップS3に続く。ステップS3において、制御部112は、第1のプランジャ16Aを駆動して突出させる。図5(b)に示すように、第1のプランジャ16Aが突出すると、当該位置よりインターナルレバー14のフランジ144に対して−X方向から当接する。
従って、インターナルレバー14の先端143は、第2(2−3速用)のシフトロッド56Bのから第1(リバース−1速用)のシフトロッド56Aまでの移動が不能となる。このように、現在の車速が速度S以上であれば、リバースまたは1速のギヤ段は、2速以上ある現状のギヤ段からの切り替えに適さない誤操作対象(特定)と決定されて、シフトダウンは規制される。
次に、ステップS4において、制御部112は、現在の車速が、予め定められた別の比較値である速度S以上であるか否かを判断する。ここで速度Sは、速度Sより速い値(S>S)に定められている。
制御部112は、現在の車速が速度S未満であった場合には(ステップS4:NO)、新たに各プランジャ16の駆動を制御することなく、そのまま処理を終了する。すなわち、図5(b)に示した各プランジャ16の状態が維持される。
一方、現在の車速が速度S以上であった場合には(ステップS4:YES)、ステップS5に続く。ステップS5において、制御部112は、まず、入力部111に入力されたギヤ段情報に基づいて、現状のギヤ段を識別する。そして、制御部112は、現状のギヤ段が4速以上であるか否かを判断する。
制御部112は、現状のギヤ段が4速以上でない場合には(ステップS5:NO)、新たに各プランジャ16の駆動を制御することなく、そのまま処理を終了する。すなわち、図5(b)に示した各プランジャ16の状態が維持される。
一方、現状のギヤ段が4速以上である場合には(ステップS5:YES)、ステップS6に続く。ステップS6において、制御部112は、第2のプランジャ16Bを駆動して突出させる。図5(c)に示すように、第2のプランジャ16Bが突出すると、当該位置よりインターナルレバー14のフランジ144に対して−X方向から当接する。
従って、インターナルレバー14の先端143は、第3(4−5速用)のシフトロッド56Cから第2(2−3速用)のシフトロッド56Bまでの移動が不能となる。このように、現在の車速が速度S以上であれば、2−3速以下のギヤ段は、4速以上ある現状のギヤ段からの切り替えに適さない誤操作対象(特定)と決定されて、かかる変速操作は規制される。
続くステップS7において、制御部112は、現在の車速が、予め定められたさらに別の比較値である速度S以上であるか否かを判断する。ここで速度Sは、速度Sより速い値(S>S)に定められている。
制御部112は、現在の車速が速度S未満であった場合には(ステップS7:NO)、新たに各プランジャ16の駆動を制御することなく、そのまま処理を終了する。すなわち、図5(c)に示した各プランジャ16の状態が維持される。
一方、現在の車速が速度S以上であった場合には(ステップS7:YES)、ステップS8に続く。ステップS8において、制御部112は、まず、入力部111に入力されたギヤ段情報に基づいて、現状のギヤ段を識別する。そして、制御部112は、現状のギヤ段が6速以上であるか否かを判断する。
制御部112は、現状のギヤ段が6速以上でない場合には(ステップS8:NO)、新たに各プランジャ16の駆動を制御することなく、そのまま処理を終了する。すなわち、図5(c)に示した各プランジャ16の状態が維持される。
一方、現状のギヤ段が6速以上である場合には(ステップS8:YES)、ステップS9に続く。ステップS9において、制御部112は、第3のプランジャ16Cを駆動して突出させる。図5(d)に示すように、第3のプランジャ16Cが突出すると、当該位置よりインターナルレバー14のフランジ144に対して−X方向から当接する。
従って、インターナルレバー14の先端143は、第4(6−7速用)のシフトロッド56Dから第3(4−5速用)のシフトロッド56Cまでの移動が不能となる。このように、現在の車速が速度S以上であれば、4−5速以下のギヤ段も、6速以上ある現状のギヤ段からの切り替えに適さない誤操作対象(特定)と決定されて、かかる変速操作は規制される。
以上のように、本開示の変速操作装置10の制御によれば、コントローラ100は、現在の車速と現状のギヤ段に関する情報に応じて、インターナルレバー14の作動を規制する。すなわち、各プランジャ16を選択的に駆動することにより、現状のギヤ段から誤変速操作と決定されたギヤ段への切り替えを不能とする。
これにより、特にシフトダウン時に問題となるシンクロ機構60の過回転による劣化を防止することが可能となる。例えば、高速走行中における下位のギヤ段へのスキップシフトは、シンクロ機構60に大きな負荷がかかり劣化を早める原因となる。なお、図7中ではステップを省略したが、各プランジャ16の突出(ON)は、車速の減速に応じて没入(OFF)するように設定されている。
また、図5(c)において、第2のプランジャ16Bを突出させた後も、第1のプランジャ16Aは特に制御することなく、既に突出したままの状態に維持されているが、第2のプランジャ16Bの突出に応じて没入するように駆動しても良い。第3のプランジャ16Cを突出させた後の第1のプランジャ16Aおよび第2のプランジャ16Bの作動についても同様である。
[本開示の構成と作用効果]
以上に説明した本実施形態から導かれる本開示は、変速機5に備わる複数のシフトロッド56をそれぞれ軸方向に移動させることにより、ギヤ段を切り替え可能な変速操作装置10であって、手動操作を介して作動し、複数のシフトロッド56のいずれかに選択的に係合して軸方向に移動させるインターナルレバー14と、インターナルレバー14の作動を規制することにより、現状のギヤ段から特定のギヤ段への切り替えを不能とする規制手段と、を備える。
このような変速操作装置10によれば、規制手段によってインターナルレバー14自体の作動を規制する。そのため、規制部材によって規制される側の部品は、本来備わる部品(インターナルレバー14)とは別に新たに付加する必要はない。従って、変速操作装置10の構成をなるべく簡便にすることができ、コストアップを抑えることができる。また、インターナルレバー14自体の作動を規制するため、誤変速操作の対象とする特定のギヤ段への切り替えを容易に防止することができる。
また、本開示では、規制手段は、アクチュエータにより駆動するプランジャ16を備え、プランジャ16をインターナルレバー14に直接当接させて作動を規制する。これにより、規制手段を簡便に構成することができ、規制手段自体のコストを低減することができる。
しかも、プランジャ16は、インターナルレバー14に直接当接させるので、インターナルレバー14の作動を確実に規制することができる。なお、インターナルレバー14は、操作レバー11からシフトロッド56に至る伝達系の中で、最もシフトロッド56に近い位置にある部品であるから、なおさら部品間の精度出しも容易となる。
また、本開示では、インターナルレバー14は、コントロールボックス15(筐体)に支持されたコントロールロッド13(操作軸)に固定され、コントロールロッド13は、手動操作を介して軸方向に移動可能かつ軸回りに回転可能である。また、プランジャ16を複数備え、複数のプランジャ16は、コントロールロッド13の軸方向に沿って並ぶようにコントロールボックス15に取り付けられている。
前記各プランジャ16は、それぞれ選択されて駆動されたとき、それぞれの取り付け位置からコントロールロッド13に向かって突出し、インターナルレバー14に対する軸方向への移動止めとなる。この場合、プランジャ16の突出した位置が、単にフランジ144の軸方向の軌跡上に重なる程度の精度出しで足りる。
プランジャ16をインターナルレバー14に当接させる具体的な態様は、特に限定されるものではないが、上記したように、プランジャ16をコントロールロッド13の軸方向と直交する方向に出没させる場合、プランジャ16の外周を、インターナルレバー14のフランジ144に対して軸方向と平行な方向から当接させればよい。
また、本開示では、コントロールロッド13は、コントロールボックス15(第1の筐体)に収納された状態で支持され、シフトロッド56は、ギヤボックス59(第2の筐体)に収納された状態で支持されている。また、本開示では、プランジャ16を、コントロールボックス15に取り付けている。
これにより、規制手段をなすプランジャ16の取り付け場所は、特別な部品を用意することなく、既存のコントロールボックス15をそのまま利用することができる。また、コントロールロッド13を収納するコントロールボックス15であれば、プランジャ16を容易にコントロールロッド13上のインターナルレバー14に向けて近接するように配置することも容易である。
もちろん、プランジャ16の取り付け場所は、コントロールボックス15に限られることはなく、実質的な配置スペースを確保できればギヤボックス59側や、あるいは別の既存の部品に取り付けてもかまわない。
また、本開示では、車両の走行情報に基づいて現状のギヤ段からの切り替えに適さない誤操作対象となるギヤ段を、特定のギヤ段として決定が可能なコントローラ100(制御手段)を備える。コントローラ100は、前記決定の結果に基づいてプランジャ16の作動を制御し、現状のギヤ段から誤操作対象となる特定のギヤ段への切り替えを不能とする。
これにより、誤操作対象(特定)のギヤ段を正確に把握することができると共に、確実に誤変速操作を防止することが可能となる。ここで誤操作対象(特定)のギヤ段は、例えば車両1の走行情報の一つである車速と、現状のギヤ段との情報に基づいて決定される。具体的には例えば、高速走行中において、7速から6速へのシフトダウンは問題ないが、7速から2速や3速へのスキップシフトや、車速の程度によっては、7速から4速や5速へのシフトダウンも問題となることがある。
誤操作対象のギヤ段への変更操作は、シンクロ機構60に大きな負荷がかかり劣化を早める原因となる。そこで、本開示の変速操作装置10の制御により、現状のギヤ段から誤変速操作と決定された特定のギヤ段への切り替えを不能とする。これにより、特にシフトダウン時に問題となるシンクロ機構60の過回転による劣化を防止することができる。
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示は上記の例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素は任意に組み合わせてられてもよい。
例えば上記した実施形態では、ギヤ段の変速操作のうち高位のギヤ段から下位のギヤ段へ切り替えるシフトダウンに関する規制について説明したが、逆に下位のギヤ段から高位のギヤ段へ切り替えるシフトアップに関しても、車速等に応じた特定の条件下で規制手段によってインターナルレバー14の作動を規制するように構成してもよい。
また、上記した実施形態では、コントローラ100は、車両の走行情報のうち車速と、現状のギヤ段との情報に基づいて、誤操作対象とする特定のギヤ段を決定するようにしたが、例えば車速の代わりにエンジン回転数等の走行情報に応じて、特定のギヤ段を決定するように構成してもよい。
さらに、上記した実施形態では、コントローラ100が、エンジン3、変速機4、および変速操作装置10を統括して制御しているが、コントローラ100とは別に、変速操作装置10の制御手段を備えるように構成してもよい。
本開示は、簡便な構成で確実に、変速機における誤変速操作を防止することが可能となり、産業上の利用可能性は多大である。
1 車両
2 動力伝達系
3 エンジン
4 クラッチ
5 変速機
6 プロペラシャフト
7 終減速機
8 ドライブシャフト
9 駆動輪
10 変速操作装置
11 操作レバー
12 伝達機構
13 コントロールロッド
14 インターナルレバー
15 コントロールボックス
16 プランジャ
51 インプットシャフト
52 アウトプットシャフト
53 カウンタシャフト
54 メインギヤ
55 カウンタギヤ
56 シフトロッド
57 シフトブロック
58 シフトフォーク
59 ギヤボックス
100 コントローラ
101 エンジン回転数センサ
102 インプットシャフト回転数センサ
103 アウトプットシャフト回転数センサ
104 ギヤポジションセンサ
111 入力部
112 制御部
113 出力部
114 記憶部

Claims (6)

  1. 変速機に備わる複数のシフトロッドをそれぞれ軸方向に移動させることにより、ギヤ段を切り替え可能な変速操作装置であって、
    手動操作を介して作動し、前記複数のシフトロッドのいずれかに選択的に係合して軸方向に移動させるインターナルレバーと、
    前記インターナルレバーの作動を規制することにより、現状のギヤ段から特定のギヤ段への切り替えを不能とする規制手段と、を備える
    変速操作装置。
  2. 前記規制手段は、アクチュエータにより駆動するプランジャを備え、前記プランジャを前記インターナルレバーに直接当接させて作動を規制する
    請求項1に記載の変速操作装置。
  3. 前記インターナルレバーは、筐体に支持された操作軸に固定され、前記操作軸は、手動操作を介して軸方向に移動可能かつ軸回りに回転可能であり、
    前記規制手段は、複数の前記プランジャを備え、前記複数のプランジャは、前記操作軸の軸方向に沿って並ぶように前記筐体に取り付けられ、
    前記複数のプランジャは、それぞれ選択されて駆動されたとき、それぞれの取り付け位置から前記操作軸に向かって突出し、前記インターナルレバーに対する前記操作軸の軸方向への移動止めとなる
    請求項2に記載の変速操作装置。
  4. 前記筐体は、前記操作軸が収納され支持された第1の筐体、または前記シフトロッドが収納され支持された第2の筐体のいずれかである
    請求項3に記載の変速操作装置。
  5. 車両の走行情報に基づいて前記現状のギヤ段からの切り替えに適さない誤操作対象となるギヤ段を、前記特定のギヤ段として決定が可能な制御手段を備え、
    前記制御手段は、前記決定の結果に基づいて前記規制手段の作動を制御し、前記現状のギヤ段から前記特定のギヤ段への切り替えを不能とする
    請求項1から4のいずれか一項に記載の変速操作装置。
  6. 前記車両の走行情報の一つに車速が含まれ、
    前記制御手段は、前記車速と前記現状のギヤ段との情報に基づいて前記特定のギヤ段を決定する
    請求項5に記載の変速操作装置。
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