JP2009287624A - 車両の異常検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】レンジ変更信号に基づいてアクチュエータを制御して走行レンジを変更する車両のシフト制御装置において、シフト制御装置の異常を的確に検出することができる車両のシフト制御装置を提供する。
【解決手段】電動アクチュエータ34とマニュアルバルブ31との間にフェールが発生したとしても、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82による回転位置(θROT、θNSW)の前後関係の変化に基づいて、そのフェールを判定することができる。すなわち、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82が電動アクチュエータ34に内蔵された形式、或いは、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82が電動アクチュエータ34に近い位置に配設された形式であっても、それら位置検出手段よりもマニュアルバルブ側で発生するフェールをも判定することができる。
【選択図】図5
【解決手段】電動アクチュエータ34とマニュアルバルブ31との間にフェールが発生したとしても、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82による回転位置(θROT、θNSW)の前後関係の変化に基づいて、そのフェールを判定することができる。すなわち、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82が電動アクチュエータ34に内蔵された形式、或いは、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82が電動アクチュエータ34に近い位置に配設された形式であっても、それら位置検出手段よりもマニュアルバルブ側で発生するフェールをも判定することができる。
【選択図】図5
Description
本発明は、レンジ変更信号に基づいてアクチュエータを制御して走行レンジを変更する車両のシフト制御装置に係り、特に、シフト制御装置の異常検出に関するものである。
レンジ変更信号に基づいてアクチュエータを制御して走行レンジを変更する所謂シフトバイワイヤシステムと呼ばれる車両のシフト制御装置が実現されている。例えば、特許文献1の車両制御システムがその一例である。上記のようなシフトバイワイヤシステムのシフト制御装置においては、運転者による走行レンジ指示が、従来のように自動変速機のマニュアルバルブを機械的に操作するのではなく、マニュアルバルブをアクチュエータを介して操作することから、アクチュエータの異常などによりシフトバイワイヤシステムに異常が発生することが考えられ、シフトバイワイヤシステムの異常を正確に検知することが望まれる。
そこで、特許文献1の車両制御システムでは、アクチュエータ内に内蔵されたエンコーダ(角度検出装置)と、ディテントプレートに設けられたシフトレンジ検出装置とから走行レンジを検出し、エンコーダとシフトレンジ検出装置とから検出される走行レンジが一致しないとき、車両の異常を判定する技術が開示されている。
ところで、特許文献1では、シフトレンジ検出装置がディテントプレートに設けられているため、装置が複雑になって大型化する問題があった。そこで、装置をさらにコンパクトに構成するため、例えば、アクチュエータ内に2つの位置検出手段(特許文献1において、エンコーダとシフトレンジ検出装置に相当)を設ける機構が考案されている。しかし、上記のような機構では、2つの位置検出手段よりもマニュアルバルブ側でフェールが発生した場合、その異常が判定できないという課題があった。例えば、アクチュエータの出力軸に連結されるマニュアルシャフトとの連結が遮断された場合であっても、2つの位置検出手段は、それぞれの位置検出手段が正常に作動するのであれば走行レンジが一致するため、異常を検出することができなかった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、レンジ変更信号に基づいてアクチュエータを制御して走行レンジを変更する車両のシフト制御装置において、シフト制御装置の異常を的確に検出することができる車両のシフト制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)レンジ変更信号に基づいて動力発生部を有するアクチュエータを制御して、変速機のマニュアルバルブを切り替えることにより、走行レンジを変更する車両のシフト制御装置において、(b)前記アクチュエータの動力発生部とマニュアルバルブの間の動力伝達経路上に形成されたガタ発生部位と、(c)そのガタ発生部位の前後と動力伝達可能に設けられて、各々異なる回転部品の回転位置を検出する2つの位置検出手段と、(d)前記走行レンジが変更されたとき、前記ガタ発生部位に起因して生じる前記2つの位置検出手段の検出位置の前後関係の変化が検知出来ない場合、異常と判定する異常判定手段を備えることを特徴とする。
また、請求項2にかかる発明の要旨とするところは、請求項1の車両のシフト制御装置において、前記2つの位置検出手段の検出位置の前後関係の変化が検知できない場合とは、前記検出位置の差の変動が所定値以下とならない場合であることを特徴とする。
また、請求項3にかかる発明の要旨とするところは、請求項1または2の車両のシフト制御装置において、運転者によって走行レンジが変更されたとき、前記2つの位置検出手段の検出位置の前後関係の変化が生じる機構が設けられていることを特徴とする。
請求項1にかかる発明の車両のシフト制御装置によれば、ガタ発生部位の前後と動力伝達可能に設けられて、各々異なる回転部品の回転位置を検出する2つの位置検出手段と、前記走行レンジが変更されたとき、前記ガタ発生部位に起因して生じる前記2つの位置検出手段の検出位置の前後関係の変化が検知出来ない場合、異常と判定する異常判定手段を備えるため、前記アクチュエータとマニュアルバルブとの間にフェールが発生したとしても、2つの位置検出手段の検出位置の前後関係の変化に基づいて、そのフェールを判定することができる。すなわち、2つの位置検出手段がアクチュエータに内蔵された形式、或いは、2つの位置検出手段がアクチュエータに近い位置に配設された形式であっても、それらの位置検出手段よりもマニュアルバルブ側で発生するフェールを判定することができる。
また、請求項2にかかる発明の車両のシフト制御装置によれば、前記2つの位置検出手段の検出位置の前後関係の変化が検知できない場合とは、前記検出位置の差の変動が所定値以下とならない場合であるため、検出位置の差の変動を検出することで、容易に検出位置の前後関係の変化を判定することができる。これより、シフト制御装置の異常が容易に判定される。なお、シフト制御装置が正常に作動する場合、2つの位置検出手段の検出位置の前後関係が変化するため、検出位置の差の変動が小さくなる、すなわち所定値以下となる。
また、請求項3にかかる発明の車両のシフト制御装置によれば、運転者によって走行レンジが変更されたとき、前記2つの位置検出手段の検出位置の前後関係の変化が生じる機構が設けられているため、走行レンジ変更時において、2つの位置検出手段の検出位置の前後関係の変化を検知することで、容易にシフト制御装置が異常か否かを判断することができる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用された車両の自動変速機(変速機)6の構成を説明する骨子図である。本実施例における上記車両は、縦置き型の自動変速機6を有するものであってFR(フロントエンジン・リアドライブ)型の駆動方式を採用するものであり、走行用の動力源としてエンジン8を備えている。内燃機関にて構成されるエンジン8の出力は、流体伝動装置として機能するトルクコンバータ10、自動変速機6、図示しない差動歯車装置および一対の車軸などを介して図示しない左右の駆動輪へ伝達されるようになっている。
図1において、自動変速機6は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース(以下、ケースと表す)11内において、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置12を主体として構成されている第1変速部14と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置16およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置18を主体として構成されている第2変速部20とを共通の軸心C上に備え、入力軸22の回転を変速して出力軸24から出力する。入力軸22は、走行用の動力源であるエンジン8によって回転駆動されるトルクコンバータ10のタービン軸でもある。出力軸24は、上述のようにたとえば図示しない差動歯車装置や一対の車軸等を順次介して左右の駆動輪を回転駆動する。なお、自動変速機6は、出力軸24の軸心すなわち上記共通の軸心Cに対して略対称的に構成されており、図1の骨子図においてはその軸心Cの下半分が省略されている。
上記第1遊星歯車装置12は、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP1、そのピニオンギヤP1を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA1、ピニオンギヤP1を介してサンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えている。また、第2遊星歯車装置16は、サンギヤS2、ピニオンギヤP2、そのピニオンギヤP2を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA2、ピニオンギヤP2を介してサンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えている。また、第3遊星歯車装置18は、サンギヤS3、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP2及びP3、そのピニオンギヤP2及びP3を自転及び公転可能に支持するキャリヤCA3、ピニオンギヤP2及びP3を介してサンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えている。
図1におけるクラッチC1〜C4およびブレーキB1、B2(以下特に区別しない場合はクラッチC、ブレーキBと記載する)は、油圧シリンダから成る油圧アクチュエータとその油圧アクチュエータに供給される油圧により係合或いは解放される多板式のクラッチあるいはブレーキとを備える油圧式摩擦係合装置である。第1回転要素RM1(サンギヤS2)は、ブレーキB1を介してケース11に選択的に連結されて回転停止され、クラッチC3を介して中間出力部材である第1遊星歯車装置12のリングギヤR1すなわち第2中間出力経路PA2に選択的に連結され、さらにクラッチC4を介して第1遊星歯車装置12のキャリヤCA1すなわち第1中間出力間接経路PA1bに選択的に連結されるようになっている。
また、第2回転要素RM2(キャリヤCA2およびCA3)は、ブレーキB2を介してケース11に選択的に連結されて回転停止され、クラッチC2を介して入力軸22すなわち第1中間出力直結経路PA1aに選択的に連結されるようになっている。また、第3回転要素RM3(リングギヤR2およびR3)は、出力軸24に一体的に連結されて回転を出力するようになっている。また、第4回転要素RM4(サンギヤS3)は、クラッチC1を介してリングギヤR1に連結されるようになっている。
また、第2回転要素RM2とケース11との間には、第2回転要素RM2の正回転(入力軸22と同じ回転方向)を許容しつつ逆回転を阻止する一方向クラッチF1がブレーキB2と並列に設けられている。また、第3回転部材RM3の外周側には、後述の駐車ロック機構としても機能するシフト切換機構105の一部を構成し、後述の図6に示すパーキングロックポール108と噛み合うことにより出力軸24の回転を阻止するパーキングギヤ106が固設されている。
図2は、図1に示す自動変速機6において変速比の異なる複数の変速段を成立させる際の前記クラッチC、ブレーキB、一方向クラッチF1を含む各係合要素の作動状態を説明する図表であり、「○」は係合状態を、「(○)」はエンジンブレーキ時のみの係合状態を、空欄は解放状態をそれぞれ表している。図2に示すように、本実施例の自動変速機6は、上記各係合要素が選択的に係合させられることにより変速比(自動変速機6の入力軸回転数を出力軸回転数で除した値)が異なる前進8段を含む複数の変速段が成立するようになっている。なお、各変速段の変速比は、第1遊星歯車装置12、第2遊星歯車装置16、および第3遊星歯車装置18の各ギヤ比によって適宜定められる。
図3は、図1に示すクラッチCおよびブレーキBにそれぞれ設けられた油圧アクチュエータACT1〜ACT6の作動を制御するリニアソレノイドバルブSL1〜SL6等に関する油圧制御回路25の要部を示す回路図である。
図3において、油圧供給装置26は、エンジン8によって回転駆動される機械式のオイルポンプ27(図1参照)から発生する油圧を元圧として第1ライン油圧PL1を調圧する例えばリリーフ型のプライマリレギュレータバルブ(第1調圧弁)28と、そのプライマリレギュレータバルブ28から排出される油圧を元圧として第2ライン油圧PL2を調圧するセカンダリレギュレータバルブ(第2調圧弁)29と、アクセル操作量(アクセル開度)Acc或いはスロットル弁開度θTHで表されるエンジン負荷等に応じた第1ライン油圧PL1および第2ライン油圧PL2が調圧されるためにプライマリレギュレータバルブ28およびセカンダリレギュレータバルブ29へ信号圧PSLTを供給するリニアソレノイドバルブSLTと、第1ライン油圧PL1を元圧としてモジュレータ油圧PMを一定値に調圧するモジュレータバルブ30とを備えている。また、油圧供給装置26は、後述の図4に示すシフトレバー38およびパーキングスイッチ40の操作すなわちシフトレンジ(シフトポジション)切換操作に基づいて出力される電気的駆動指令信号SAに従って駆動する電動アクチュエータ(アクチュエータ)34により油路が切り換えられ、シフトレバー38が予め定められた操作位置のうちのドライブレンジ指令位置(前進走行指令位置)Dへ操作されたときには、入力された第1ライン油圧PL1をドライブレンジ油圧PDとして出力し、シフトレバー38がリバースレンジ指令位置(後進走行指令位置)Rへ操作されたときには、入力された第1ライン油圧PL1をリバースレンジ油圧PRとして出力し、シフトレバー38がニュートラルレンジ指令位置(動力伝達遮断指令位置)Nへ操作されるか、あるいはパーキングスイッチ40がパーキングレンジ指令位置(駐車指令位置)Pへ操作されるすなわちパーキングレンジ切換操作が行われたときには、油圧の出力を遮断するマニュアルバルブ(シフトレンジ切換弁)31を備えている。油圧供給装置26は、第1ライン油圧PL1、第2ライン油圧PL2、モジュレータ油圧PM、ドライブレンジ油圧PD、およびリバースレンジ油圧PRを出力するようになっている。
前記クラッチCおよびブレーキBにそれぞれ設けられた油圧シリンダから成る油圧アクチュエータACT1〜ACT6には、リニアソレノイドバルブSL1〜SL6(以下特に区別しない場合はリニアソレノイドバルブSLと記載する)がそれぞれ設けられている。油圧アクチュエータACT1、ACT2、ACT5、ACT6には、それぞれ対応するリニアソレノイドバルブSL1、SL2、SL5、SL6により、油圧供給装置26からそれぞれ供給されたドライブレンジ油圧PDが調圧されて供給される。また、各油圧アクチュエータACT3、ACT4には、それぞれ対応するリニアソレノイドバルブSL3、SL4により、油圧供給装置26からそれぞれ供給されたリバースレンジ油圧PRが調圧されて供給される。なお、ブレーキB2の油圧アクチュエータACT6には、リニアソレノイドバルブSL6の出力油圧またはリバースレンジ油圧PRのどちらかがシャトル弁33を介して供給されるようになっている。
ここで、上記リニアソレノイドバルブSL1〜SL6は、基本的には何れも同じ構成であり、それぞれ独立に励磁、非励磁や電流制御がなされて各油圧アクチュエータACT1〜ACT6へ供給される油圧を独立に調圧制御し、各クラッチCおよびブレーキBの係合圧をそれぞれ制御するものである。そして、自動変速機6は、例えば図2の係合作動表に示すように予め定められた係合要素が係合されることによって各変速段が成立させられる。例えば、図2の係合作動表に示すように第5変速段から第4変速段へのダウンシフトに際しては、クラッチC2が解放されると共にクラッチC4が係合され、変速ショックを抑制するようにクラッチC2の解放過渡油圧とクラッチC4の係合過渡油圧とが適切に制御される。
図4は、後述のシフト切換機構105のシフトレンジを切り換えるためのシフトレンジ切換操作の入力装置として機能するシフト操作装置36を示す斜視図である。図4において、シフト操作装置36は、例えば運転席の近傍に配設されて運転者により操作され、車両前後方向に配列された3つの操作位置すなわちドライブレンジ指令位置D、リバースレンジ指令位置R、ニュートラルレンジ指令位置Nへ操作されるシフトレバー38と、駐車する際に押圧操作されることでパーキングレンジ指令位置Pへ位置させられる押釦式のパーキングスイッチ40とを備えている。上記シフトレバー38は、図示しないスプリングの付勢力に従って、非操作時には図4に示す位置すなわち原位置(ホームポジション)に自動的に復帰させられるモーメンタリータイプ(自動復帰型)である。また、シフトレバー38は、上記原位置からニュートラルレンジ指令位置Nを通過してドライブレンジ指令位置Dまたはリバースレンジ指令位置Rへ操作されるようになっている。また、シフト操作装置36は、シフトレバー38の操作位置を検出してその操作位置を示すシフトレバー位置信号PSHを後述の電子制御装置46に供給するシフトレバーポジションセンサ42と、P操作スイッチ94が押圧操作されてパーキングレンジ指令位置Pへ位置させられたことを示す駐車指令信号PPを後述の電子制御装置46に供給するパーキングポジションセンサ44とをさらに備えている。シフト操作装置36は、シフトレバー38およびパーキングスイッチ40の操作すなわちシフトレンジ切換操作を電気的に検出し、そのシフトレンジ切換操作に応じてシフトレンジ指令信号に相当する上記シフトレバー位置信号PSHおよび駐車指令信号PPを発生するものである。
ここで、上記ドライブレンジ指令位置Dは、シフトレンジを車両が前進走行させられるドライブレンジに切り換えるための操作位置であって、図2に示す第1速ギヤ段「1st」〜第8速ギヤ段「8th」のいずれか1つが成立させられる。
また、リバースレンジ指令位置Rは、シフトレンジを車両が後進走行させられるリバースレンジに切り換えるための操作位置であって、図2に示す第1後進ギヤ段「Rev1」または第2後進ギヤ段「Rev2」が成立させられる。
また、ニュートラルレンジ指令位置Nは、シフトレンジを自動変速機6の動力伝達経路が遮断状態にされるニュートラルレンジに切り換えるための操作位置である。
また、パーキングレンジ指令位置Pは、シフトレンジを自動変速機6の動力伝達経路が遮断状態にされ、且つ後述のシフト切換機構105によって自動変速機6の出力軸24の回転が機械的に固定されるパーキングレンジに切り換えるための操作位置である。
図5は、図1に示す自動変速機6やエンジン8などを制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。図5において、電子制御装置46は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりエンジン8の出力制御や自動変速機6の変速制御やシフトレンジを切り換えるシフトレンジ切換制御等を実行する。なお、この電子制御装置46は、必要に応じて出力制御用や変速制御用やシフトレンジ切換制御用などに分けて構成されるものであり、本実施例では、上記シフトレンジ切換制御を行うシフトバイワイヤ用電子制御装置としてのSBW−ECU48(シフト制御装置に相当)を含んで構成されている。
図5に示すように、電子制御装置46には、車速V[km/h]を検出する車速センサ58、アクセルペダル60の操作量すなわちアクセル操作量Acc[%]を検出するアクセル操作量センサ62、常用ブレーキであるフットブレーキ64の操作量すなわちブレーキ操作量B[%]を検出するフットブレーキ操作量センサ66、シフトレバー38の操作位置を検出してシフトレバー位置信号PSHを出力するするシフトレバーポジションセンサ42、パーキングスイッチ40がパーキングレンジ指令位置Pへ操作されたことを検出して駐車指令信号PPを出力するパーキングポジションセンサ44、電動アクチュエータ34に一体的に設けられ、その電動アクチュエータ34の回転によって出力されるパルス信号SPを検出することで、電動アクチュエータ34に動作的に連結されたマニュアルシャフト118の回転位置θROT[rad]を検出するロータリーエンコーダ80、電動アクチュエータ34に設けられ、その電動アクチュエータ34の回転位置に応じて出力されるポジション電圧PVを検出することで、電動アクチュエータ34に作動的に連結されたマニュアルシャフト118の回転位置θNSW[rad]を検出するニュートラルスタートスイッチ82等から、車速V、アクセル操作量Acc、ブレーキ操作量B、シフトレバー位置信号PSH、駐車指令信号PP、パルス信号SP(回転位置θROT)、ポジション信号PV(回転位置θNSW)などを表す信号が供給される。
また、電子制御装置46からは、シフトレバー位置信号PSHが変更されたことや駐車指令信号PPが供給されたことに応じてマニュアルバルブ31の油路や後述の駐車ロック機構の切り換えを行うことによりシフトレンジを切り換えるために、電動モータやソレノイド等からなる電動アクチュエータ34へ駆動指令信号SAが出力される。本実施例では、シフトレバー38やパーキングスイッチ44の操作すなわちシフトレンジ切換操作に従って電動アクチュエータ34が駆動されることによりシフトレンジが切り換えられるようになっている。なお、本実施例のSBW−ECU48は、ロータリーエンコーダ80から出力されるパルス信号SPのカウント数CPまたはニュートラルスタートスイッチ82から出力されるポジション電圧PVを取得して上記電動アクチュエータ34の実際の回転状況を検出し、指令位置となるまで電動アクチュエータ34を駆動するフィードバック制御を行うようになっている。
図6は、自動変速機6の出力軸24の回転を機械的に固定するパーキングロックを行う駐車ロック機構としても機能し、シフトレバー位置信号PSHまたは駐車指令信号PPに従って作動する電動アクチュエータ34によりシフトレンジを切り換えるシフト切換機構105の構成を示す斜視図である。
図6において、シフト切換機構105は、自動変速機6の出力軸24に固定されたパーキングギヤ106と、パーキングギヤ106に噛み合う噛合位置へ回動可能に設けられて選択的にパーキングギヤ106に噛み合わされることにより出力軸24を回転不能に固定するパーキングロックポール108と、パーキングロックポール108に係合するテーパ部材110に挿し通されてそのテーパ部材110を一端部において支持するパーキングロッド112と、パーキングロッド112に設けられてテーパ部材110をその小径方向へ付勢するスプリング114と、パーキングロッド112の他端部に回動可能に接続されて節度機構により少なくともパーキングレンジに対応する位置決め位置に位置決めされるディテントプレート116と、ディテントプレート116に固設されて一軸心まわりに回転可能に支持されたマニュアルシャフト118と、マニュアルシャフト118を回転駆動させる電動アクチュエータ34と、ディテントプレート116の回転に節度を与えてそのディテントプレート116を各シフトレンジに対応する位置決め位置に固定するディテントスプリング120およびその先端部に設けられた係合部122とを、備えている。
ディテントプレート116には、マニュアルバルブ31のスプール弁子124の一端がディテントプレート116に設けられたピン126を介してそのピン126まわりに回動可能且つディテントプレート116に対してマニュアルシャフト118とピン126とを結ぶ直線方向に相対移動可能に設けられており、マニュアルシャフト118の回転すなわちディテントプレート116のマニュアルシャフト118の軸心まわりの回動に伴ってマニュアルバルブ31のスプール弁子124がそのスプール弁子124の軸心方向に摺動させられるようになっている。上記スプール弁子124を摺動可能に収容するバルブボデー125内には、油圧制御回路25を構成する油路の一部が設けられている。また、ディテントプレート116は、マニュアルシャフト118を介して電動アクチュエータ34の駆動軸(出力軸84、モータ軸90(図10参照))に作動的に連結されており、パーキングロッド112、ディテントスプリング120、係合部122などと共に電動アクチュエータ34により駆動されてシフトレンジが切り換わる際のシフトレンジ位置決め部材として機能する。
ディテントプレート116の頂部には、図7に示すように一対の内壁面128および130の間においてパーキングレンジ指令位置P、リバースレンジ指令位置R、ニュートラルレンジ指令位置N、ドライブレンジ指令位置Dにそれぞれ対応して設けられた4つの凹部が形成されており、それらのうちの端に位置する凹部132がパーキングレンジ指令位置Pに対応している。
図6は、シフトレンジがパーキングレンジであるときすなわちシフト切換機構105がパーキングロックされた状態を示している。この状態では、パーキングロックポール108がパーキングギヤ106を回転不能に固定しており、車両の出力軸24の回転が阻止されている。この状態から、電子制御装置46から作動のための駆動指令信号SAを受けた電動アクチュエータ34によりマニュアルシャフト118が図6に示す矢印Aの方向に回転されると、ディテントプレート116を介してパーキングロッド112が図6に示す矢印Cの方向に移動され、パーキングロッド112の先端に設けられたテーパ部材110の移動によりパーキングロックポール108が図6に示す矢印Dの方向に移動可能となるとともに、マニュアルバルブ31のスプール弁子124が図6に示す矢印Eの方向すなわちスプール弁子124の軸心方向に摺動させられる。
上記電動アクチュエータ34の作動すなわちディテントプレート116の回動に伴って、図7に示すディテントプレート116の頂部に設けられた4つの凹部(谷)のうちの端に位置する凹部132にあったディテントスプリング120の係合部122が、凸部134を乗り越えて他方の谷のいずれか、すなわち図7に示す連凹部136上を移動させられる。係合部122は、その軸心まわりに回転可能にディテントスプリング120に設けられている。係合部122が連凹部136に到達するまでディテントプレート116が矢印Aの方向へ回転させられたときには、パーキングロックポール108がパーキングギヤ106と噛み合うことのない位置まで矢印Dの方向へ押し下げられる。これにより、出力軸24およびこれに連結された車両の駆動輪が機械的に固定されなくなる。そして、その切り換えられた連凹部136に対応する箇所に位置決めされたスプール弁子124によりマニュアルバルブ31の油路が切り換えられるようになっている。
一方、電動アクチュエータ34によりマニュアルシャフト118が矢印Bの方向に回転させられると、上述とは逆の作動によりシフトレンジがパーキングレンジに切り換えられるとともにマニュアルバルブ31の油路がパーキングレンジに対応する状態に切り換えられるようになっている。すなわち、本実施例のシフト切換機構105では、シフト操作装置36から出力されるシフトレバー位置信号PSHおよび駐車指令信号PPに応じてSBW−ECU48により電動アクチュエータ34が制御されてマニュアルシャフト118がその軸心まわりに回転させられることによって、ディテントプレート116を介してマニュアルバルブ31のスプール弁子124が機械的に一直線方向へ移動させられ、そのスプール弁子124が4つのシフトレンジすなわちドライブレンジ、リバースレンジ、ニュートラルレンジ、またはパーキングレンジのうちの1つに対応する位置に位置決めされることにより油圧制御回路25の油路が切り換えられるようになっている。
図8は、前記図6および図7に示すように構成されるシフト切換機構105の制御系統を説明するブロック線図であり、特に、シフト操作装置の操作に応じてマニュアルシャフト118の回転位置を制御することでマニュアルバルブ31のシフト位置を電気的に切り換えるための制御系統を説明するブロック線図である。なお、図8では、ディテントプレート116の回動に従って作動するマニュアルバルブ31並びにパーキングロック機構(パーキングギヤ108)などは省略されている。
図8において、シフトレバー38が上記各操作位置「R」、「N」、「D」へ操作されたことを検出するシフトレバーポジションセンサ42、並びに、パーキングスイッチ40のON操作を検出するパーキングポジションセンサ44をそれ等のシフト操作位置すなわち運転者のシフト意思が電気的に検出される。そして、そのシフト操作位置に応じてSBW−ECU(電子制御装置)48により電動アクチュエータ34が制御され、マニュアルシャフト118が軸心まわりに回転させられる。これに伴い、ディテントプレート116が回動させられることにより、マニュアルバルブ31のスプール弁子124が機械的に一直線方向へ移動させられ(図6参照)、4箇所のシフト位置「P」、「R」、「N」、「D」に位置決めされて油路を切り換えるようになっている。
本実施例では、マニュアルバルブ31および前記マニュアルシャフト118を含んで車両の駆動状態、すなわち複数のシフト位置のいずれかへ機械的に切り換えるシフト切換機構105が構成されており、電動アクチュエータ34は運転者のシフト意思に基づいて電気的に制御されるシフト駆動手段に相当する。この電動アクチュエータ34は、本実施例ではSRモータ(Switched Reluctance Motor )にて構成されており、前記マニュアルシャフト118に減速機等を介して連結されて回転駆動するとともに、一体的に設けられたロータリエンコーダ80から出力されるパルス信号SPがSBW−ECU48に供給されるようになっている。ロータリエンコーダ80は、一対の発光素子および受光素子を有する非接触式の光学式回転センサで、電動アクチュエータ34の所定回転毎にパルス信号SPを出力するものであり、シフト切換機構105の機械的変位、ここではマニュアルシャフト118の回転変位(回転位置)の相対的位置情報を連続的に検出する位置検出手段としても機能している。なお、ロータリエンコーダ80が本発明の2つの位置検出手段のうちの1つに対応している。
電動アクチュエータ34にはまた、ニュートラルスタートスイッチ82が配設されている。このニュートラルスタートスイッチ82は、シフト切換機構105の機械的変位、ここではマニュアルシャフト118の回転位置θNSW(回転変位)の絶対的位置情報を検出する非接触式回転角センサで、位置検出手段として機能するものであり、図9に示すように、電動アクチュエータ34の出力軸84の周囲であって軸心Oに対して対称位置に配設された一対の磁石86と、出力軸84に一体的に配設されて一体的に軸心Oまわりに回転させられるホール素子88とを備えている。ホール素子88は、磁力の強さに応じて変化するポジション電圧PVを出力するもので、出力軸84の回転に伴ってホール素子88に作用する磁力が変化することにより、その回転角度に応じてポジション電圧PVは連続的に変化する。したがって、このポジション電圧PVの大きさに基づいて出力軸84の回転角度、更にはマニュアルバルブ31のシフト位置「P」、「R」、「N」、「D」を検出することができる。なお、ニュートラルスタートスイッチ82が本発明の2つの位置検出手段のうちの1つに対応している。すなわち、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82が本発明の2つの位置検出手段に対応している。
図10は、電動アクチュエータ34内部において、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82によって検出される回転軸を説明するための簡略図である。図10に示すように、モータ部89(動力発生部)の回転が直接的に出力されるモータ軸90と電動アクチュエータ34の出力軸84とを備え、モータ軸90の回転は、減速機構として機能する歯車機構92を介して出力軸84に伝達される。また、歯車機構92の前後に動力伝達可能にロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82が設けられる。ここで、ロータリエンコーダ80は、モータ軸90の回転に基づいてパルス信号SPを出力する。言い換えれば、ロータリエンコーダ80は、モータ軸90の回転に基づいて、マニュアルシャフト118の回転位置θROTを検出する。また、ニュートラルスタートスイッチ82は、出力軸84の回転に基づいてポジション信号PVを出力する。言い換えれば、ニュートラルスタートスイッチ82は、出力軸84の回転に基づいて、マニュアルシャフトの回転位置θNSWを検出する。このように、ぞれぞれ異なる回転部品の回転位置(回転変位)を検出することで、マニュアルシャフト118の回転位置を算出する。なお、出力軸84とマニュアルシャフト118とはスプライン嵌合によって接続されるものとする。
ここで、電動アクチュエータ34のモータ部89とマニュアルバルブ31との間の動力伝達経路上、具体的には、電動アクチュエータ34内部に設けられた前記歯車機構92には、所定のガタ(遊び)設けられており、ロータリエンコーダ80によるマニュアルシャフト118の回転位置θROTとニュートラルスタートスイッチ82によるマニュアルシャフト118の回転位置θNSWとは必ずしも一致せず、回転状態に応じてマニュアルシャフト118回転位置(θROT、θNSW)の前後関係(相対位置)に変化が生じるようになっている。なお、歯車機構92が本発明のガタ発生部位に対応している。また、電動アクチュエータ34のモータ部89とマニュアルバルブ31との間の動力伝達経路とは、電動アクチュエータ34自身(電動アクチュエータ34内部)を含むものとする。従って、例えば電動アクチュエータ34のモータ軸90の回転速度を検出するロータリエンコーダ80や出力軸84の回転速度を検出するニュートラルスタートスイッチ82のように、歯車機構92(ガタ発生部位)と動力伝達可能に設けられた構成は、電動アクチュエータ34のモータ部89とマニュアルバルブ31との間の動力伝達経路上に動力伝達可能に設けられている位置検出手段に対応する。
図11は、前記シフト操作装置36のシフト操作に応じてマニュアルバルブ31を切り換えるために前記電動アクチュエータ34を制御する際に、このSBW−ECU48によって実行されるシフト制御手段150の機能を説明するブロック線図で、シフト意思判定手段152、基準値記憶手段154、第1シフト位置判断手段156、第2シフト位置判断手段157、駆動制御手段158、モータデータ記憶手段160、および異常判定手段162を備えている。
シフト意思判定手段152は、シフト操作装置36によって検出されるシフト操作位置に応じて、Pスイッチ54の押圧操作を含めてシフト操作が実施されたか、すなわち運転者のシフト操作によって走行レンジが変更されたか否かを判定する。
基準値記憶手段154は、ニュートラルスタートスイッチ82から出力されるポジション電圧PVと、前記マニュアルバルブ31の4つのシフト位置「P」、「R」、「N」、「D」、すなわちマニュアルシャフト118の軸心Oまわりの回転位置θNSWとに関して、予め工場出荷時等に求められた相関関係を記憶しているものである。図12の実線は、この相関関係の基準値の一例で、マニュアルシャフト118の回転位置θNSWに対してポジション電圧PVが略直線的に変化するように、ニュートラルスタートスイッチ82は構成されている。また、ニュートラルスタートスイッチ82の検出精度のばらつき(個体差)や温度変化等の一時的な外乱、さらには電動アクチュエータ34に設けられている歯車機構92のガタによるポジション電圧PVの変化等を考慮して、破線で示すように基準値の上下に所定の上側許容範囲および下側許容範囲が定められている。上側許容範囲および下側許容範囲は、例えば基準値に対して同じ値ずつ上下に離間して設定されるが、これ等を別々に設定することも可能である。なお、図12に示すようなグラフは必ずしも必要でなく、シフト位置「P」、「R」、「N」、「D」毎にポジション電圧PVの許容範囲や基準値を相関関係として設定しても良い。
第1シフト位置判断手段156は、位置情報に相当するポジション電圧PVを検出し、検出されたポジション電圧PVに基づいて、具体的には、上記基準値記憶手段154に記憶された上側許容範囲、下側許容範囲に基づいて、現在のシフト位置が「P」、「R」、「N」、「D」の何れかを判断する。すなわち、ポジション電圧PVがPVP1〜PVP2の範囲内であればマニュアルバルブ31のシフト位置を「P」と判断し、ポジション電圧PVがPVR1〜PVR2の範囲内であればマニュアルバルブ31のシフト位置を「R」と判断し、ポジション電圧PVがPVN1〜PVN2の範囲内であればマニュアルバルブ31のシフト位置を「N」と判断し、ポジション電圧PVがPVD1〜PVD2の範囲内であればマニュアルバルブ31のシフト位置を「D」と判断する。
そして、駆動制御手段158は、上記第1シフト位置判断手段156によって判断されたマニュアルバルブ31のシフト位置と、シフトレバーポジションセンサ42およびパーキングポジションセンサ44によって検出されるシフト操作位置を比較し、マニュアルバルブ31のシフト位置がシフト操作位置と一致するように、電動アクチュエータ34をフィードバック制御する。すなわち、ポジション電圧PVが、シフト操作位置に対応するシフト位置となる電圧値となるようにフィードバック制御を実行する。具体的には、シフト操作位置に対応するシフト位置が「P」レンジであれば、ポジション電圧PVが基準値であるPVPとなるようにフィードバック制御を実行し、シフト操作位置に対応するシフト位置が「R」レンジであれば、ポジション電圧PVがPVRとなるようにフィードバック制御を実行し、シフト操作位置に対応するシフト位置が「N」レンジであれば、ポジション電圧PVがPVNとなるようにフィードバック制御を実行し、シフト操作位置に対応するシフト位置が「D」レンジであれば、ポジション電圧PVがPVDとなるようにフィードバック制御を実行する。
また、第2シフト位置判断手段157は、ロータリエンコーダ80から出力されるパルス信号SPを検出し、さらに、モータデータ記憶手段160に記憶されているモータデータに基づいて、マニュアルシャフト118の回転位置θROTを算出する。モータデータ記憶手段160に記憶されているモータデータは、前記ロータリエンコーダ80から出力されるパルス信号SPのカウント数CPと、マニュアルシャフト118の軸心回りの回転位置θROT(回転変位)とに関して、例えばイグニッションスイッチがON操作されたときのシフト位置である「P」レンジを基準位置(基準角度)として予め工場出荷時等に求められた相関関係で、図13はその一例である。従って、ロータリエンコーダ80によってパルス信号SPを検出し、そのパルス信号SPのパルスカウント数CPに基づいてマニュアルシャフト118の回転位置θROTが算出されると共に、パルスカウント数CPに基づいて一義的に設定される4つのシフト位置「P」、「R」、「N」、「D」が判定される。
異常判定手段162は、ロータリエンコーダ80から出力されるパルス信号SPが変化したか否か、並びに、ニュートラルスタートスイッチ82から出力されるポジション電圧PVが変化したか否かに基づいて、シフト切換機構105に異常が生じたか否かを判定する。
さらに、異常判定手段162は、運転者によってシフト操作装置36が操作されて走行レンジが変更されたとき、前記第1シフト位置判断手段156(ニュートラルスタートスイッチ82)によって検出されるマニュアルシャフト118の回転位置θNSWと、前記第2シフト位置判断手段157(ロータリエンコーダ80)によって検出されるマニュアルシャフト118の回転位置θROTとの、前後関係の変化が検知出来ない場合、シフト切換機構105に異常が生じたと判定する。以下、本制御について詳細に説明する。
前記ロータリエンコーダ80とニュートラルスタートスイッチ82とは、図10に示したように、本発明のガタ発生部位に対応する歯車機構92の前後と動力伝達可能に設けられており、各々異なる回転部品の回転角(回転変位)を検出することにより、マニュアルシャフト118の回転位置(θROT、θNSW)を検出している。ここで、本実施例のシフト切換機構105においては、運転者によって走行レンジが切り換えられると、前記歯車機構92に設けられている所定のガタ(遊び)に起因して、ロータリエンコーダ80に基づいて検出されるマニュアルシャフト118の回転位置θROTとニュートラルスタートスイッチ82に基づいて検出されるマニュアルシャフト118の回転位置θNSWとに前後関係の変化(相対位置の変化)が生じるように構成されている。上記構成は、図6および図7に示すディテントプレート116、係合部122、並びにディテントスプリング120から主に構成されるシフトレンジ位置決め部材と、歯車機構92とから主に構成される。これより、本発明の検出位置の前後関係の変化が生じる機構は、上記ディテントプレート116、係合部122、並びにディテントスプリング120から主に構成されるシフトレンジ位置決め部材と、歯車機構92とから主に構成される。
図7において、ディテントプレート116に形成されている連凹部136上を移動する係合部122は、ディテントスプリング120によって所定の押圧力で連凹部136方向(図7において鉛直下方方向)に押圧されている。ここで、例えば走行レンジが変更されるとき、ディテントプレート116が電動アクチュエータ34によって回動させられて、係合部122が連凹部136上を移動することとなるが、係合部122が連凹部136の凸部の頂(山)に向かって移動するとき、ディテントプレート116の回動を阻止する方向に力が作用する。すなわち、ディテントスプリング120の押圧力がディテントプレート116の回動を阻止する方向に作用する。一方、係合部122が連凹部136の凸部の頂に到達し、係合部122が連凹部136の凹部(谷)に向かって移動するとき、ディテントプレート116を回動させる方向に力が作用する。すなわち、ディテントスプリング120の押圧力がディテントプレート116を回動させる方向に作用する。なお、上記記載において、係合部122がディテントプレート116の連凹部136上を移動するとなっているが、実際には、係合部122は移動せず、ディテントプレート116の回動に伴って連凹部136が移動する。すなわち、上記記載は、係合部122と連凹部136との相対的な位置関係を示すものである。
このように、係合部122が連凹部136に形成された凸部を乗り越える際、係合部122の位置に応じて、ディテントスプリング120の押圧力が、ディテントプレート116の回動、言い換えればマニュアルシャフト118の回転を阻止する方向に作用すると共に、促進する方向に作用する。
これに伴い、歯車機構92において、その歯車機構92に形成されているガタにより、ロータリエンコーダ80に基づいて検出されるマニュアルシャフト118の回転位置θROTと、ニュートラルスタートスイッチ82に基づいて検出されるマニュアルシャフト118の回転位置θNSWとに前後関係の変化が生じる。例えば、係合部122がディテントプレート116の連凹部136の凸部134の頂(山)に向かって移動するとき、ディテントスプリング120の押圧力がマニュアルシャフト118の回転を阻止する方向に作用するので、図10において、歯車機構92のガタにより、モータ軸90の回転が先行する一方、出力軸84はガタによって所定の遅れが生じる。これにより、ロータリエンコーダ80によって検出されるマニュアルシャフト118の回転位置θROTがニュートラルスタートスイッチ82によって検出されるマニュアルシャフト118の回転位置θNSWよりも先行することとなる。
また、係合部122がディテントプレート116の凸部の頂(山)から凹部(谷)に向かって移動するとき、ディテントスプリング120の押圧力がマニュアルシャフト118を回転させる方向に作用するので、図10において、歯車機構92のガタにより、出力軸84の回転が先行する一方、モータ軸90はガタによって所定の遅れが生じる。これにより、ニュートラルスタートスイッチ82によって検出されるマニュアルシャフト118の回転位置θNSWがロータリエンコーダ80によって検出されるマニュアルシャフト118の回転位置θROTよりも先行することとなる。これより、上記の構成に基づいて、歯車機構92のガタは、ロータリエンコーダ80に基づいて検出されるマニュアルシャフト118の回転位置θROTと、ニュートラルスタートスイッチ82に基づいて検出されるマニュアルシャフト118の回転位置θNSWとの前後関係の変化が検出できる程度の大きさに設定される。
図14は、上記マニュアルシャフト118の回転位置(θROT、θNSW)の前後関係の変化が走行レンジの変更に応じて変化する機構を機械的な等価図として示すと共に、そのときのロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82による出力値を示した図である。
図14に示す等価図において、モータ部89は電動アクチュエータ34の動力発生部に相当しており、さらに、図においてモータから下方に向かって順番に、モータ軸90、歯車機構92、出力軸84、出力軸84とマニュアルシャフト118とのスプライン嵌合部、マニュアルシャフト118が相当している。そして、モータ軸90の回転がロータリエンコーダ80によって検出されることを示し、出力軸84の回転がニュートラルスタートスイッチ82によって検出されることを示している。また、歯車機構92に形成されるガタは、図14において出力軸84が左右に移動可能な間隙に対応している。同様に、図14において、出力軸84とマニュアルシャフト118と間に示される間隙は、出力軸84とマニュアルシャフト118とがスプライン嵌合されたときに形成されるガタを示している。また、図14においては、マニュアルシャフト118と係合部122が連結されているが、実際には連結されておらず、係合部122の位置と電動アクチュエータ34の回転状態との相関関係を示している。さらに、図14では、係合部122が連凹部136上を移動しているが、実際には、係合部122は停止しており、ディテントプレート116の回動に伴って連凹部136が移動する。
先ず、係合部122がディテントプレート116の凸部の頂(山)に向かって移動する状態を説明する。上記状態は、図14において、ディテントプレート116の内壁面128側に位置する等価図が対応している。この状態では、ディテントスプリング120の押圧力(図14において鉛直下方に作用する)に伴って、係合部122の移動が阻止される方向に力が生じるため、電動アクチュエータ34がマニュアルシャフト118を引きずる形で回転される。これに伴い、歯車機構92のガタでは、モータ軸90に対して出力軸84の回転に遅れ(遅角)が生じる方向(図14において内壁面128側)に出力軸84が移動されると共に、スプライン嵌合のガタでも同様に、モータ軸90対してマニュアルシャフト118の回転に遅れ(遅角)が生じる方向(図14において内壁面128側)にマニュアルシャフト118が移動される。
ここで、図14において下側に示す出力値は、車両の走行レンジとロータリエンコーダ80から出力されるパルス信号SPのカウント数CPに基づくマニュアルシャフト118の回転位置θROTとの関係、および車両の走行レンジとニュートラルスタートスイッチ82から出力されるポジション電圧PVに基づくマニュアルシャフト118の回転位置θNSWとの関係を示すものである。なお、実線に示す出力値がロータリエンコーダ80に基づく回転位置θROTを示しており、破線に示す出力値がニュートラルスタートスイッチ82に基づく回転位置θNSWを示している。そして、図14の上部に示すディテントプレート116の連凹部136上を移動する係合部122に対応したマニュアルシャフト118の回転位置が示されている。例えば、図14に示すように、ディテントプレート116の連凹部136に形成されている4つの凹部に対応する位置が、各走行レンジに対応している。
そして、図14において、係合部122の中心部の位置から下方に伸ばした一点鎖線A1と実線に示す出力値との交点がロータリエンコーダ80に基づく回転位置θROTであり、一点鎖線A1と破線に示す出力値との交点がニュートラルスタートスイッチ82に基づく回転位置θNSWとなる。図14に示すように、係合部122が連凹部136の凸部134の頂(山)に向かって移動するとき、前記歯車機構92のガタによって生じるモータ軸90に対する出力値84の回転遅れに伴い、ロータリエンコーダ80に基づく回転位置θROTが、ニュートラルスタートスイッチ82に基づく回転位置θNSWに先行する。
次に、係合部122がディテントプレート116の凸部の頂から凹部に向かって移動する状態を説明する。上記状態は、図14において、ディテントプレート116の内壁面130側に位置する等価図が対応している。この状態では、ディテントスプリング120の押圧力が、係合部122の移動を補助する方向に作用するので、マニュアルシャフト118の吸い込みトルクにより電動アクチュエータ34が引きずられて回転する。これに伴い、歯車機構92のガタでは、モータ軸90に対して出力軸84の回転が先行(進角)する方向(図14において内壁面130側)に出力軸84が移動されると共に、スプライン嵌合のガタでも同様に、モータ軸90に対してマニュアルシャフト118の回転が先行(進角)する方向(図14において内壁面130側)にマニュアルシャフト118が移動される。
そして、図14において、係合部122の中心部の位置から下方に伸ばした一点鎖線A2と実線に示す出力値との交点がロータリエンコーダ80に基づく回転位置θROTであり、一点鎖線A2と破線に示す出力値との交点がニュートラルスタートスイッチ82に基づく回転位置θNSWとなる。図14に示すように、係合部122が凸部の頂から凹部に向かって移動するとき、前記歯車機構92のガタによって生じるモータ軸90に対する出力軸84の回転先行(進角)に伴い、ニュートラルスタートスイッチ82に基づく回転位置θNSWが、ロータリエンコーダ80に基づく回転位置θROTに先行する。
上記のように構成されることで、走行レンジが変更されるとき、係合部122の位置が移動するに従って、ロータリエンコーダ80に基づくマニュアルシャフト118の回転位置θROTと、ニュートラルスタートスイッチ82に基づくマニュアルシャフト118の回転位置θNSWとの前後関係(相対位置)が変化する。なお、図14に示すように、係合部122が連凹部136の凸部の頂に到達したとき、或いは、係合部122が連凹部136の凹部(谷)に到達したとき、互いの回転位置(θROT、θNSW)の差が最小となる。
ここで、例えばマニュアルシャフト118と電動アクチュエータ34との連結が破断されるなどして、電動アクチュエータ34のモータ部89とマニュアルバルブ31との間の動力伝達経路上で故障(フェール)が発生すると、図15に示すように、電動アクチュエータ34と係合部122との相関関係が遮断される。これより、電動アクチュエータ34、ロータリエンコーダ80、およびニュートラルスタートスイッチ82は、ディテントスプリング120の押圧力ならびに歯車機構92のガタによる影響を受けなくなるため、電動アクチュエータ34が駆動してもロータリエンコーダ80に基づく回転位置θROTとニュートラルスタートスイッチ82に基づく回転位置θNSWとの差α(=|θROT−θNSW|)は変化しない、すなわち前後関係の変化は生じることなく常に一定に保たれる。
これより、異常判定手段162は、運転者によってシフト操作装置が操作されて走行レンジが変更されたとき、ロータリエンコーダ80に基づいて算出されるマニュアルシャフト118の回転位置θROTと、ニュートラルスタートスイッチ82に基づいて算出されるマニュアルシャフト118の回転位置θNSWとを比較し、その前後関係(相対位置関係)の変化が検知出来ない場合、シフト切換機構105に異常が生じたと判定する。これより、例えば、本実施例のようなロータリエンコーダ80とニュートラルスタートスイッチ82とが電動アクチュエータ34に内蔵された構造において、電動アクチュエータ34のモータ部89とマニュアルバルブ31との間の動力伝達経路でフェールが発生しても、そのフェール(故障)が検出される。
図16は、電子制御装置46(SBW−ECU48)の制御作動の要部すなわちシフト切換機構105において電動アクチュエータ34のモータ部89とマニュアルバルブ31との間の動力伝達経路にフェールが発生したときであっても、そのフェールの検出が可能となる制御作動を説明するフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。
先ず、シフト意思判断手段152に対応するステップSA1(以下、ステップを省略する)において、運転者によるシフト操作が為されたか否かが判定される。SA1が否定されると、本ルーチンは終了させられる。SA1が肯定されると、第1シフト位置判断手段156に対応するSA2において、運転者によるシフト操作から目標となる走行レンジ(切換目標)を判定し、その目標走行レンジが、ニュートラルスタートスイッチ82に基づいて検出される現在の走行レンジと異なるか否かが判定される。SA2が否定されると、目標走行レンジが現在の走行レンジと同レンジと判定され、本ルーチンが終了させられる。SA2が肯定されると、駆動制御手段158に対応するSA3において、電動アクチュエータ34への通電が開始され、走行レンジが目標レンジとなるように電動アクチュエータ34が駆動される。そして、第2シフト位置判断手段157に対応するSA4において、ロータリエンコーダ80のパルス信号SPのカウント数CPが変化しているか否かが判定される。SA4が否定されると、異常判定手段162に対応するSA10において、電動アクチュエータ34の切換異常が判定される。すなわち、パルス信号SPのカウント数CPの変化が検出できない場合、ロータリエンコーダ80の故障、或いは電動アクチュエータ34の故障により走行レンジの切換が不能と判定される。SA4が肯定されると、第1シフト位置判断手段156に対応するSA5において、ニュートラルスタートスイッチ82のポジション電圧PVが変化しているか否かが判定される。SA5が否定される、すなわちポジション電圧PVの変化が検出できない場合、異常判定手段162に対応するSA9において、ニュートラルスタートスイッチ82に異常が発生したと判断される。
SA5が肯定されると、異常判定手段162に対応するSA6において、ロータリエンコーダ80に基づいて算出される回転位置θROTと、ニュートラルスタートスイッチ82に基づいて算出される回転位置θNSWとの差α(=|θROT−θNSW|)が所定値α1以下か否かが判定される。ここで、所定値α1は予め設定される値であり、零近傍の低い値に設定される。そして、SA6が肯定される、すなわち差αが所定値α1以下となると判定されると、ロータリエンコーダ80に基づく回転位置θROTとニュートラルスタートスイッチ82に基づく回転位置θNSWの前後関係の変化が生じた、すなわち互いの回転位置(θROT、θNSW)が交差したものと推定され、シフト切換機構105並びにその制御装置が正常に作動するものと判定されて本ルーチンが終了させられる。
一方、SA6が否定されると、第1シフト位置判断手段156に対応するSA7において、ニュートラルスタートスイッチ82に基づいて検出される走行レンジが、切換初期の走行レンジから切り替わったか否かが判定される。SA7が否定されると、SA6に戻り、走行レンジが切り換えられるまでステップSA6、SA7が繰り返し実施される。そして、SA7が肯定されると、異常判定手段162に対応するSA8において、SA7に基づいて走行レンジが切り換えられたと判定されたにも拘わらず、前記差αが所定値α1以下にならないとき、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82に基づく回転位置(θROT、θNSW)の前後関係の変化が検知できないと判定されるので、例えば電動アクチュエータ34の外れやマニュアルシャフト118と出力軸84との間の連結がスプライン折損されるなどして遮断された可能性があるものと判断される(図15に対応)。ここで、SA8、SA9、およびSA10において、それぞれの異常が判定されると、フェールセーフ制御が実施される。例えば、走行レンジが「D」レンジ(駆動レンジ)であれば、自動変速機6の係合クラッチが解放されて動力伝達が遮断されたり、エンジン8のフューエルカットが実施される。また、走行レンジが「N」など非駆動レンジであれば、フェールセール制御を実施しない。
上述のように、本実施例によれば、歯車機構92の前後に設けられて、各々異なる回転部品の回転位置を検出するロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82と、走行レンジが変更されたとき、歯車機構92に形成されているガタに起因して生じるロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82に基づくマニュアルシャフト118の回転位置(θROT、θNSW)の前後関係の変化が検知出来ない場合、異常と判定する異常判定手段162を備えるため、電動アクチュエータ34とマニュアルバルブ31との間にフェールが発生したとしても、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82による回転位置(θROT、θNSW)の前後関係の変化に基づいて、そのフェールを判定することができる。すなわち、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82が電動アクチュエータ34に内蔵された形式、或いは、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82が電動アクチュエータ34に近い位置に配設された形式であっても、それら位置検出手段よりもマニュアルバルブ側で発生するフェールをも判定することができる。
また、本実施例によれば、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82に基づくマニュアルシャフト118の回転位置(θROT、θNSW)の前後関係の変化が検知できない場合とは、前記回転位置(θROT、θNSW)の差α(=|θROT−θNSW|)が所定値α1以下とならない場合であるため、回転位置(θROT、θNSW)の差αを検出することで、容易に回転位置(θROT、θNSW)の前後関係の変化を判定することができる。これより、シフト切換機構105の異常が容易に判定される。なお、シフト切換機構105が正常に作動する場合、ロータリエンコーダ80とニュートラルスタートスイッチ82に基づくの回転位置(θROT、θNSW)の前後関係(相対位置関係)が変化するため、回転位置(θROT、θNSW)の差αの変動が小さくなる、すなわち所定値以下となる。
また、本実施例によれば、運転者によって走行レンジが変更されたとき、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82に基づくマニュアルシャフト118の回転位置(θROT、θNSW)の前後関係の変化が生じる機構が設けられているため、走行レンジ変更時において、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82に基づくマニュアルシャフト118の回転位置(θROT、θNSW)の前後関係の変化を検知することで、容易にシフト切換機構105が異常か否かを判断することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、回転位置(θROT、θNSW)の差α(=|θROT−θNSW|)に基づいて、ロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82の回転位置の前後関係に変化が生じたものと判定したが、それ以外の判定手段に基づいて判定しても構わない。例えば、ディテントプレート116の連凹部136における凸部(山)または凹部(谷)付近での回転位置(θROT、θNSW)の前後関係の反転検出(θROT−θNSWの符号変化検出)や回転位置の差(θROT−θNSW)の微分(傾き)など、連凹部136の凸部および凹部付近でのガタ状態の変化を検出して、正常に作動しているか否かを判定する方法であっても構わない。
また、前述の実施例では、電動アクチュエータ34内にロータリエンコーダ80およびニュートラルスタートスイッチ82が内蔵された形式としたが、必ずしも上記構成に限定されるものではない。例えばニュートラルスタートスイッチ82が、電動アクチュエータ34の外部に配設された構成であってもよく、マニュアルシャフト118の回転を直接検出する構成であっても本発明を適用することができる。
また、前述の実施例では、ガタ発生部位として歯車機構92にガタが形成されているが、本発明はこれに限定されない。本発明ではロータリエンコーダ80とニュートラルスタートスイッチ82とが異なる回転部材の回転変位を検出すると共に、これらの間にガタが形成される構成であればよく、例えば前記出力軸84とマニュアルシャフト118との間のスプライン嵌合部の間隙(ガタ)に基づいて、本発明を実施しても構わない。
また、前述の実施例のシフト意思検出手段は、運転者のシフト意思を電気的信号に変換するものであればよく、例えばシフトレバーの操作位置を検出するレバーポジションセンサや押釦式スイッチ、中立位置等の原位置へ自動復帰する操作レバーの操作位置を検出して記憶するモーメンタリータイプの検出装置など、様々な態様が可能である。
また、前述の実施例の第1シフト位置判断手段156は、例えば回転角度に応じて変化する磁力を検出するホール素子や磁気抵抗素子等を有する非接触式回転角センサにて構成されているが、例えば直線移動させられる部材の複数のシフト位置を非接触で検出するギャップセンサなど、様々な態様が可能である。第2シフト位置判断手段157は、例えば回転角度に応じてパルスを出力するマグネスケールなど、接触式か非接触式を問わず様々な態様が可能である。
また、前述の実施例では、燃料の燃焼によって動力を発生させるエンジン駆動車両であったが、電動モータによって駆動する電気自動車、或いは複数の動力源を備えているハイブリッド車両など、種々の車両用のシフト制御装置に好適に適用される。また、前後進を切り換える前後進切換装置や、変速比が異なる複数のギヤ段を有する有段の自動変速機、或いは変速比を連続的に変化させる無段変速機などを有し、シフト機構により駆動状態を変更することができる種々の車両に好適に適用される。
また、前述の実施例では、自動変速機として有段式の自動変速機6が用いられていたが、自動変速機の構造は前述の実施例のものに限定されず、遊星歯車装置の数や変速段数、およびクラッチC、ブレーキBの数が遊星歯車装置のどの要素と選択的に連結されているかなど特に限定はない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
6:自動変速機(変速機)
31:マニュアルバルブ
34:電動アクチュエータ(アクチュエータ)
48:SBW−ECU(シフト制御装置)
80:ロータリエンコーダ(位置検出手段)
82:ニュートラルスタートスイッチ(位置検出手段)
89:モータ部(動力発生部)
92:歯車機構(ガタ発生部位)
162:異常判定手段
31:マニュアルバルブ
34:電動アクチュエータ(アクチュエータ)
48:SBW−ECU(シフト制御装置)
80:ロータリエンコーダ(位置検出手段)
82:ニュートラルスタートスイッチ(位置検出手段)
89:モータ部(動力発生部)
92:歯車機構(ガタ発生部位)
162:異常判定手段
Claims (3)
- レンジ変更信号に基づいて動力発生部を有するアクチュエータを制御して、変速機のマニュアルバルブを切り替えることにより、走行レンジを変更する車両のシフト制御装置であって、
前記アクチュエータの動力発生部とマニュアルバルブとの間の動力伝達経路上に形成されたガタ発生部位と、
該ガタ発生部位の前後と動力伝達可能に設けられて、各々異なる回転部品の回転位置を検出する2つの位置検出手段と、
前記走行レンジが変更されたとき、前記ガタ発生部位に起因して生じる前記2つの位置検出手段の検出位置の前後関係の変化が検知出来ない場合、異常と判定する異常判定手段を備えることを特徴とする車両のシフト制御装置。 - 前記2つの位置検出手段の検出位置の前後関係の変化が検知できない場合とは、前記検出位置の差の変動が所定値以下とならない場合であることを特徴とする請求項1の車両のシフト制御装置。
- 前記走行レンジが変更されたとき、前記2つの位置検出手段の検出位置の前後関係の変化が生じる機構が設けられていることを特徴とする請求項1または2の車両のシフト制御装置。
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JP2008139177A JP2009287624A (ja) | 2008-05-28 | 2008-05-28 | 車両の異常検出装置 |
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2008
- 2008-05-28 JP JP2008139177A patent/JP2009287624A/ja active Pending
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