JP2020133794A - シール部材 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明(1)は、
弾性変形可能な基体と、
末端に光反応性基を有するウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、を含む組成物を用いて、前記基体の表面の少なくとも一部に作製された光硬化皮膜と、
を備えたシール部材であって、
前記光反応性基が、エチレン性不飽和結合を有する基であり、
前記ウレタンプレポリマーは、前記光反応性基を含有する化合物由来の構造とポリイソシアネート成分由来の構造とを含み、
前記ウレタンプレポリマーの光反応性基を含有する化合物とポリイソシアネート成分のモル比が、0.5未満であり、
前記ウレタンプレポリマーに対する、前記ポリチオールのチオール−エン比は、0.5〜2.0未満であり、
前記光硬化皮膜のガラス転移点が10℃以下である、シール部材である。
本発明(2)は、
前記光硬化皮膜の80℃におけるG‘(貯蔵弾性率)を、20℃におけるG‘(貯蔵弾性率)で割った値が、0.2以上である、前記発明(1)のシール部材である。
本発明(3)は、
前記ウレタンプレポリマーの数平均分子量は、4,000〜22,000である、前記発明(1)又は(2)のシール部材である。
本発明(4)は、
前記ポリチオールの平均官能基は、3官能以上である、前記発明(1)〜(3)のいずれかのシール部材である。
本発明(5)は、
前記シール部材の23℃における密着力が40N以上である、前記発明(1)〜(4)のいずれかのシール部材である。
本発明のシール部材は、弾性変形可能な独立気泡からなる基体と;光反応性基を有するウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、を含む組成物を用いて、前記基体の表面の少なくとも一部に作製された光硬化皮膜と;を備えている。
後述する製造方法により作製されたシール部材の両面の剥離紙を取り除き、厚み5mm×φ50mmの試験サンプルに加工し、厚み3mm×φ50mmのアルミ板に、両面テープ(日東電工社製No.500)を用いて貼り合わせる。塗装鋼板は、厚みが1mmの高張力鋼の表面に、ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂塗料(関西ペイント社製ネオアミラック6000)で塗装・乾燥したものを準備し、中央部にφ20mmの貫通孔を設ける。
前記試験サンプルを、試験サンプルの中心と、この塗装鋼板の貫通孔の中心とを、一致させるように設置する(図2)。その後、圧縮率50%となるように荷重を印加し、5分間静置後、完全に除荷し、さらに15分間静置する。この後、塗装鋼板の貫通孔に、φ15mmの荷重伝達棒を5mm/min.で押し込み、試験サンプルが塗装鋼板から剥離した際の荷重を密着力とする。
<基体>
弾性変形可能な基体として、例えば、発泡体、具体的には、ゴム発泡体、合成樹脂発泡体等が挙げられる。例えば、ゴムスポンジ、ポリウレタン発泡体、ポリオレフィン発泡体等が挙げられる。
・構造
光硬化皮膜は、前記基体の表面の少なくとも一部に形成されている。また、前記基体の片面及び両面のいずれに形成されていてもよい。
<原料成分>
まず、シール部材を製造する際に使用される光硬化皮膜形成用組成物における各原料成分を詳述する。
ウレタンプレポリマーは、末端に光反応性基を有するウレタンプレポリマーである。
ウレタンプレポリマーの合成に用いられる「ポリイソシアネート」は、1つの分子に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよい。
2官能のポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)、m−フェニレンジイソシネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジアネート(2,4’−MDI)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’−MDI)、水素添加MDI、キシリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加XDI、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、等の芳香族系のもの;
シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族のもの;
ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等のアルキレン系のもの;
2官能以上のポリイソシアネートとしては、ポリメリックMDI;
3官能以上のポリイソシアネートとしては、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナトメチルオクタン等;及びこれら変性体;誘導体等;が挙げられる。また、これらのイソシアネートは、1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
ウレタンプレポリマーの合成に用いられる「ポリオール」は、典型的には、1つの分子に2個以上の水酸基を有する化合物である。
エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−テトラコサンジオール、1,6−テトラコサンジオール、1,4−ヘキサコサンジオール、1,6−オクタコサンジオールグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール;
1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール,トリシクロデカンジメタノール、シクロペンタジエンジメタノール、2,5−ノルボルナンジオール、1,3−アダマンタンジオール、ダイマージオール等の脂環族ポリオール;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の芳香族ポリオール;
を挙げることができる。これらは1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;
ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ポリカルボン酸;
又はこれらの酸エステル;
を挙げることができる。これらは、1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコールの少なくとも1種と、
ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等とを反応させて得られるものが挙げられる。
コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;
ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ポリカルボン酸;
又はこれらの酸エステル;を挙げることができる。これらは、1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
ウレタンプレポリマーの合成において、触媒を用いることが好ましい。触媒は、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよく例えば、3級アミン、金属化合物等が挙げられる。以下の触媒は、1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
光反応性基含有化合物は、ポリイソシアネートとポリオールとの反応物の末端と反応可能な、光反応性基を有する化合物である。
ポリチオールは、特に限定されず、どのようなポリチオールであってもよいが、平均官能基数が3以上のポリチオールが好ましく、ポリチオールの平均官能基数の上限は特に限定されないが、例えば、10以下とすることができる。
メルカプトカルボン酸と多価アルコールのエステルにおけるメルカプトカルボン酸としては、チオグリコール酸、メルトカプトプロピオン酸等があり、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。メルカプトカルボン酸と多価アルコールのエステルとして、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)等を挙げることができる。 脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールとして、エタンジチオール、プロパンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、デカメチレンジチオール、トリレン−2,4−ジチオール、キシレンジチオール等を挙げることができる。なお、3官能以上のポリチオールを用いる場合には1種でもよいが、2官能のポリチオールを用いる場合には系に存在するポリチオールの平均官能基が3官能以上となるよう4官能以上のポリチオールを併用する。
光反応性基を有するウレタンプレポリマーとチオール基との光重合反応を効果的に行うべく、配合原料に、光重合開始剤を含むことが可能である。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の化合物が挙げられる。アセトフェノン系としては、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等が挙げられる。ベンゾフェノン系としては、例えば、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。また、チオキサントン系としては、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等が挙げられる。
以上の原料成分のそれぞれは、1種使用しても、2種以上使用してもよい。
次に、シール部材を製造する際に使用される光硬化皮膜形成用組成物における原料成分の配合比等を詳述する。
光硬化皮膜形成用組成物における、ウレタンプレポリマーに含まれる光反応性基のモル数と、ウレタンプレポリマー中のポリイソシアネートのモル数との、比が、
0.5未満であり、下限は特に限定されないが、例えば、0.1以上とすることができ、
好適には0.12以上0.45以下であり、
より好適には0.15以上0.40以下である。
ウレタンプレポリマーに含まれる光反応性基のモル数と、ウレタンプレポリマー中のポリイソシアネートのモル数との、比をこの範囲とすることにより、光硬化皮膜と被シール部材との密着性を高くすることができるとともに、優れたリワーク性を有することができ、また、シール部材の止水性を高くすることができる。さらに、ヒートショックによる前記密着性の低下を抑制し、ヒートショックを受けた後でもシール部材の止水性を維持することができる。
光硬化皮膜形成用組成物における、ポリチオールとウレタンプレポリマーにおけるチオール−エン比は、0.5以上2.0未満であり、好適には1.0以上1.5未満である。チオール−エン比をこの範囲とすることにより、光硬化皮膜と被シール部材との密着性を高くすることができるとともに、優れたリワーク性を有することができ、また、シール部材の止水性を高くすることができる。さらに、ヒートショックによる前記密着性の低下を抑制し、ヒートショックを受けた後でもシール部材の止水性を維持することができる。
光重合開始剤の含有量は、上記ウレタンプレポリマーの100重量部当たり0.01〜5重量部であることが好ましく、さらに言えば、0.1〜3重量部であることが好ましい。光重合開始剤の含有量がこのような範囲内であると、光重合開始能力が十分となり、原料の重合が速やかに行われると共に、重合が過度に促進されることもなく、架橋密度が高くなり過ぎたり、架橋構造が不均一に形成されたりすることを防止可能である。
光硬化皮膜形成用組成物は、上記以外にも、適宜公知の添加剤や希釈剤を含んでいてもよいが、上記ウレタンプレポリマー及び上記チオール基を有するポリチオールが原料(組成物)における主成分であり、より具体的には、これらの合計の配合量が、原料(組成物)に対して90重量%であることが好ましく、95重量%であることがより好ましい。
次に、前記光硬化皮膜形成用組成物の製造方法と、前記基体及び前記光硬化皮膜形成用組成物を用いてのシール部材の製造方法と、を詳述する。
本光硬化皮膜形成用組成物は、上述した原料を上述した配合比にて撹拌混合することにより得られる。
図1は、本実施形態にかかるシール部材の製造例の概要を示した図である。本シール部材の製造工程としては、基体に皮膜形成用の原料を付着させる付着工程と、付着工程において付着された原料に光を照射し、光重合反応により原料を硬化させる照射工程とを含む限りにおいて何ら限定されない{例えば、洗浄工程、乾燥工程及び加工工程(成形工程)等を含んでいてもよい}。以下、本シール部材の製造方法の一例について説明する。なお、基体については、公知の製造方法(発泡方法や硬化方法)に従って製造可能であるため、説明を省略する。
本発明にかかるシール部材は、建築、土木、エレクトロニクス、自動車等において使用される、各部材間の隙間に充填・圧縮されるシール部材として有用である。特に、高い止水性が求められる、自動車、原動機付自転車及び鉄道車両等の車両ランプ用のシール部材(車両用ランプを構成するモジュール部品用であって、ランプと筐体を封止するシール部材)として好適である。
表1(単位はg)に従い、1リットル容量のセパラブルフラスコにポリイソシアネートを入れて、窒素を流しながら、ポリオールを攪拌しながら滴下した。各プレポリマーの滴下量は表1に示した。滴下終了後、温度上昇に注意しながら触媒(DBTDL:ジブチルチンジラウレート 0.3g)を添加した。2時間反応させサンプルリングし、イソシアネート基含有率が、プレポリマーA:0.8%〜0.9%、B:1.2%〜1.4%、C:0.5%〜0.7%、D:0.4%〜0.5%、E:1.8%〜1.9%、F及びG:3.5%〜3.7%、であることを確認した。なお、イソシアネート含有率は、JIS Z1603−1:2007に基づく方法(ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法)に準拠して測定した。次に、光反応性基を含有する化合物であるメタクリレートを滴下し2時間反応させた。反応後サンプルリングし、イソシアネート基含有率が0.1%以下になっていることを確認した。イソシアネート基含有率が0.1%以下の場合、反応完了とし生成物をウレタンプレポリマーとする。下記にプレポリマーの調製に用いられた原料を示す。
ポリオールa:ポリプロピレングリコール(PPG)、Mw:3000
ポリオールb:ポリプロピレングリコール(PPG)、Mw:1000
ポリオールc:ポリカーボネートジオール(PCD)、Mw:1000
ポリオールd:ブチルエチルプロパンジオール(BEPG)、
ポリイソシアネート:TDI、Mw:174.2
モノオール:2−エチルヘキシルグリコ-ル、Mw:174.3
アクリレート:ヒドロキシエチルアクリレート、Mw:116.1
ビニルエーテル:ヒドロキシブチルビニルエーテル、Mw:116.2
メタクリレート:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、Mw:130.1
表2及び表3に従い、ウレタンプレポリマー及びポリチオールを、80℃で5分間混合し、光硬化皮膜形成用組成物を得た。下記に光硬化皮膜形成用組成物の原料を示した。
チオールA:トリメチロールプロパントリス 商品名:TMMP(Mw:398.5)、 SC有機化学(株)
チオールB:ペンタエリスリトールテトラキス、商品名:PEMP(Mw:488.6)、 SC有機化学(株)
チオールC:ジペンタエリスリトールヘキサキス、商品名:DPMP(Mw:783.0)、SC有機化学(株)
チオールD:ブタンジオールビスチオプロピオネート、商品名:BDTP(Mw:266.4)、淀化学(株)
前記調製された光硬化皮膜形成用組成物を、離型処理されたPETフィルム(厚み38μm)の表面に、厚みが50μmになるように塗工した。次に、塗工された光硬化皮膜形成用組成物と、厚みが5mmの天然ゴム/スチレンブタジエンゴムブレンド系の発泡ゴムであるN−148(イノアックコーポレーション社製)とを貼り合わせ、塗工された光硬化皮膜形成用組成物をPETフィルム側から光照射(波長:365nm,照射量600mJ/cm2)して硬化させ、片面皮膜の発泡ゴムシートを得た。
続いて、前記調製された光硬化皮膜形成用組成物を、別に準備された離型処理されたPETフィルム(厚み38μm)の表面に、厚みが50μmになるように塗工した。塗工した光硬化皮膜形成用組成物と前記片側皮膜の発泡ゴムシートの発泡ゴム表面とを、貼り合わせ、さらに貼り合わせた光硬化皮膜形成用組成物にPETフィルム側から光照射(波長:365nm,照射量600mJ/cm2)して硬化させ、厚み(PETフィルムを除く)が5mmの両面皮膜の発泡ゴムシートのシール材を得た。
<密着力測定>
各実施例及び比較例のシール材の両面の剥離紙を取り除き、厚み5mm×φ50mmの試験サンプルに加工し、厚み3mm×φ50mmのアルミ板に、両面テープ(日東電工社製No.500)を用いて貼り合わせた。塗装鋼板は、厚みが1mmの高張力鋼の表面に、ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂塗料(関西ペイント社製ネオアミラック6000)で塗装・乾燥したものを準備し、中央部にφ20mmの貫通孔を設けた。
前記試験サンプルを、試験サンプルの中心と、この塗装鋼板の貫通孔の中心とを、一致させるように設置した(図2)。
その後、圧縮率50%となるように荷重を印加し、5分間静置した。静置後、完全に除荷し、さらに15分間静置した。
静置後、塗装鋼板の貫通孔に、φ15mmの荷重伝達棒を5mm/min.で押し込み、試験サンプルが塗装鋼板から剥離した際の荷重を密着力とした。結果を表2及び表3に示した。
止水性評価は、各実施例及び比較例のシール材について、外径60mm、内径40mm、厚み5mmの環状に加工した。試験サンプルを、塗装鋼板に接触させて図3のように、止水性評価器に設置した。
塗装鋼板は、厚みが1mmの高張力鋼の表面に、ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂塗料(関西ペイント社製ネオアミラック6000)で塗装・乾燥したものを準備した。
続いて、試験サンプルの周辺に、厚み2.5mmのスペーサを設置し、試験サンプルの上からアクリル板を用いて、圧縮率が50%となるように圧縮してアクリル板を固定した。
試験サンプル設置後、24時間静置し、評価を開始した。環状の試験サンプルの内円部に蒸留水を満たしたのち、空気を供給し、5kPaの静圧をかけた。この状態を5分間保持し、水漏れがなければ、さらに空気を供給して、5kPaを加え、10kPaとし5分間保持した。この作業を水漏れが生じるまで繰り返し、水漏れの生じる圧力を測定した。測定は23℃の環境下で行った。結果を表2及び表3に示した。
止水性評価は、下記評価基準とした。
○:水漏れが生じる圧力が30kPa以上
△:水漏れが生じる圧力が10kPa以上30kPa未満
×:水漏れが生じる圧力が10kPa未満
止水性評価は、各実施例及び比較例のシール材について、外径60mm、内径40mm、厚み5mmの環状に加工した。試験サンプルを、塗装鋼板に接触させて図4のヒートショック後の止水性評価器に設置した。
塗装鋼板は、厚みが1mmの高張力鋼の表面に、ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂塗料(関西ペイント社製ネオアミラック6000)で塗装・乾燥したものを準備した。
続いて、試験サンプルの周辺に、厚み3.5mmのスペーサを設置し、試験サンプルの上からアクリル板を用いて、圧縮率が30%となるように圧縮してアクリル板を固定した。アクリル板には、自動車のヘッドランプ部のランプリブに見立てた凸部を設けた。ランプリブが接触している箇所の圧縮率を30%とした。
試験サンプル設置後、30分静置し、養生した。養生後、80℃にセットしたウォーターバスに1h浸漬させ、続いて20℃にセットしたウォーターバスに1h浸漬させた。この80℃と20℃にセットしたウォーターバスに浸漬する作業を1サイクルとする。この浸漬中に水漏れが発生しなかった場合は、再度80℃にセットしたウォーターバスに1h浸漬させ、さらに続いて20℃にセットしたウォーターバスに1h浸漬させ、浸漬中の水漏れを観察した。この作業を水漏れが発生するまで繰り返し、水漏れが発生するサイクル数を数えた。結果を表2及び表3に示した。
ヒートショック後の止水性評価は、下記評価基準とした。
○:4サイクル以上水漏れが発生しなかった
△:2〜3サイクルで水漏れが発生した
×:1サイクルで水漏れが発生した
リワーク性(皮膜残渣の有無)評価は、各実施例及び比較例のシール材について、外径60mm、内径40mm、厚み5mmの環状に加工した。試験サンプルを、図4のヒートショック後の止水性評価と同様に評価装置に設置した。シール材の圧縮率を30%とした。5分間静置したのち、圧縮を開放しその際の皮膜残渣の有無を観察した。結果を表2及び表3に示した。
リワーク性評価は、下記評価基準とした。
○:リブ側/塗装板側どちらにも糊残りがない場合
△:リブ側/塗装板側のいずれかに糊残りがある場合
×:リブ側/塗装板側の両方に糊残りがある場合
総合評価は、下記評価基準とした。
◎:止水性評価(23℃)およびヒートショック後の止水性評価が共に○の場合
○:止水性評価(23℃)およびヒートショック後の止水性評価が、それぞれ、○か△であって、×がない場合
×:止水性評価(23℃)又はヒートショック後の止水性評価のいずれかに、×がある場合
実施例及び比較例の性能(密着性止水性評価、総合評価)を評価した。表2及び表3にその結果を示す。これらの結果から、本発明の効果が理解できる。
11,21,31 : 試験サンプル
12 : アルミ板
13,23,33 : 塗装鋼板
14 : 高さ調整台
15 : 荷重伝達棒
20 : 止水性評価器
22,32 : アクリル板
24,34 : 水・エアー吹入口継手
25,35 : スペーサ
30 :ヒートショック後の止水性評価器
36 :ランプリブ
Claims (5)
- 弾性変形可能な基体と、
末端に光反応性基を有するウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、を含む組成物を用いて、前記基体の表面の少なくとも一部に作製された光硬化皮膜と、
を備えたシール部材であって、
前記光反応性基が、エチレン性不飽和結合を有する基であり、
前記ウレタンプレポリマーは、光反応性基を含有する化合物由来の構造とポリイソシアネート成分由来の構造とを含み、
前記ウレタンプレポリマーの光反応性基を含有する化合物とポリイソシアネート成分のモル比が、0.5未満であり、
前記ウレタンプレポリマーに対する、前記ポリチオールのチオール−エン比は、0.5〜2.0未満であり、
前記光硬化皮膜のガラス転移点が10℃以下である、シール部材。 - 前記光硬化皮膜の80℃におけるG‘(貯蔵弾性率)を、20℃におけるG‘(貯蔵弾性率)で割った値が、0.2以上である、請求項1に記載のシール部材。
- 前記ウレタンプレポリマーの数平均分子量は、4,000〜22,000である、
請求項1又は2に記載のシール部材。 - 前記ポリチオールの平均官能基は、3官能以上である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のシール部材。 - 前記シール部材の23℃における密着力が40N以上である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載のシール部材。
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