JP2020133794A - シール部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱と冷却が繰り返されるような環境下においても十分な密着力を有し、急激な温度変化によるヒートショックを受けた場合にも止水性が維持できるシール部材を提供する。【解決手段】弾性変形可能な基体と、末端に光反応性基を有するウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、を含む組成物を用いて、前記基体の表面の少なくとも一部に作製された光硬化皮膜と、を備えたシール部材であって、前記光反応性基が、エチレン性不飽和結合を有する基であり、前記ウレタンプレポリマーは、光反応性基を含有する化合物由来の構造とポリイソシアネート成分由来の構造とを含み、前記ウレタンプレポリマーの光反応性基を含有する化合物とポリイソシアネート成分のモル比が、0.5未満であり、前記ウレタンプレポリマーに対する、前記ポリチオールのチオール−エン比は、0.5〜2.0未満であり、前記光硬化皮膜のガラス転移点が10℃以下である、シール部材。【選択図】図1

Description

本発明は、弾性変形可能な基体と、その基体の表面の少なくとも一部に作製された皮膜とを備えたシール部材に関する。
建築、土木、エレクトロニクス、自動車等において、各部材間の隙間にシール部材を圧縮した状態で充填することにより、止水、断熱、吸音等の処理が行われている。このようなシール部材としては、合成樹脂発泡体、ゴム発泡体等が一般的に用いられている。発泡体は、適度な弾性力を有することから、被シール部材の表面の凹凸に追従密着することができ、優れたシール性を発揮する。また、更なるシール性を担保するべく、下記特許文献に記載されているように、合成樹脂発泡体、ゴム発泡体等の弾性変形可能な基体の表面の少なくとも一部に皮膜が形成されたシール部材の開発が進められている。
特許4602280号公報 特許5746622号公報 特開2006−83236号公報 特開2017−197678号公報
前記シール部材は、特に、自動車のランプ回りのガスケットとして、ヘッドランプ内のゴミや水の侵入を防ぐ目的に使用されている。自動車に用いられる場合には、夏場に高温環境下におかれる。日中屋外に駐車された自動車の車内は60℃に、ボンネットは80℃にまで昇温する。ヘッドランプ部の温度もこれに近い温度が想定され、シール部材には、高温下において熱膨張が発生する。このような状況下、水洗による洗車を行うと、ヘッドランプ部が急激に冷却され、シール部材は急冷により急激に収縮する。前記の特許文献に開示されている発明のシール部材は、23℃での車体・ランプへの密着力は効果があるものの、前記のようなヒートショック発生時(収縮した時)には、その密着性が維持できず、ヘッドランプ部のシール部に隙間が発生し水漏れが発生するおそれがあった。
そこで、本発明は、加熱と冷却が繰り返されるような環境下においても十分な密着力を有し、急激な温度変化によるヒートショックを受けた場合にも優れた止水性が維持できるシール部材を提供することを課題とする。
発明者らは、鋭意研究を行い、特定のウレタンプレポリマーとポリチオールとを含む組成物を用いて、弾性変形可能な基体の表面の少なくとも一部に作製された光硬化皮膜を有するシール部材が、前記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は下記の通りである。
本発明(1)は、
弾性変形可能な基体と、
末端に光反応性基を有するウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、を含む組成物を用いて、前記基体の表面の少なくとも一部に作製された光硬化皮膜と、
を備えたシール部材であって、
前記光反応性基が、エチレン性不飽和結合を有する基であり、
前記ウレタンプレポリマーは、前記光反応性基を含有する化合物由来の構造とポリイソシアネート成分由来の構造とを含み、
前記ウレタンプレポリマーの光反応性基を含有する化合物とポリイソシアネート成分のモル比が、0.5未満であり、
前記ウレタンプレポリマーに対する、前記ポリチオールのチオール−エン比は、0.5〜2.0未満であり、
前記光硬化皮膜のガラス転移点が10℃以下である、シール部材である。
本発明(2)は、
前記光硬化皮膜の80℃におけるG‘(貯蔵弾性率)を、20℃におけるG‘(貯蔵弾性率)で割った値が、0.2以上である、前記発明(1)のシール部材である。
本発明(3)は、
前記ウレタンプレポリマーの数平均分子量は、4,000〜22,000である、前記発明(1)又は(2)のシール部材である。
本発明(4)は、
前記ポリチオールの平均官能基は、3官能以上である、前記発明(1)〜(3)のいずれかのシール部材である。
本発明(5)は、
前記シール部材の23℃における密着力が40N以上である、前記発明(1)〜(4)のいずれかのシール部材である。
本発明によれば、加熱と冷却が繰り返されるような環境下においても十分な密着力を有し、急激な温度変化によるヒートショックを受けた場合にも優れた止水性が維持できるシール部材を提供することが可能となる。
図1は、本実施形態にかかるシール部材の製造例の概要を示した図である。 図2は、本実施例での密着力評価の評価方法を示した図である。 図3は、本実施例での止水性評価の評価方法を示した図である。 図4は、本実施例のヒートショック後の止水性評価の評価方法を示した図である。
≪シール部材≫
本発明のシール部材は、弾性変形可能な独立気泡からなる基体と;光反応性基を有するウレタンプレポリマーと、チオール基を有するポリチオールと、を含む組成物を用いて、前記基体の表面の少なくとも一部に作製された光硬化皮膜と;を備えている。
本発明にかかる光反応性基とは、エチレン性不飽和結合を有する官能基である。
本発明にかかるウレタンプレポリマーは、前記光反応性基を含有する化合物由来の構造とポリイソシアネート成分由来の構造とを含む。光反応性基を含有する化合物と、ポリイソシアネート成分との、モル比は、0.5未満である。前記モル比の下限値は、特に限定されないが0.01以上とすることができる。
本発明にかかるウレタンプレポリマーに対する、ポリチオールのチオール−エン比は、0.5〜2.0未満である。
ここで、ポリオールのチオール−エン比とは、プレポリマー中に含まれるチオール基当量と、プレポリマー中に含まれる二重結合(エン結合)当量の比(チオール基当量/エン結合当量)である。
本発明にかかる光硬化皮膜のガラス転移点は、10℃以下である。
シール部材の23℃における密着力は、40N以上とすることができる。シール部材の23℃における密着力の上限は特にないが、例えば、200Nとすることができる。密着力が、高ければ高いほどシール部材と被シール部材の密着性は高くなり、止水性は向上するが、200Nを超えるとシール部材の皮膜部分が残り、リワーク性が悪くなる場合がある。
シール部材の23℃における密着力は、以下の方法で測定することができる。
後述する製造方法により作製されたシール部材の両面の剥離紙を取り除き、厚み5mm×φ50mmの試験サンプルに加工し、厚み3mm×φ50mmのアルミ板に、両面テープ(日東電工社製No.500)を用いて貼り合わせる。塗装鋼板は、厚みが1mmの高張力鋼の表面に、ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂塗料(関西ペイント社製ネオアミラック6000)で塗装・乾燥したものを準備し、中央部にφ20mmの貫通孔を設ける。
前記試験サンプルを、試験サンプルの中心と、この塗装鋼板の貫通孔の中心とを、一致させるように設置する(図2)。その後、圧縮率50%となるように荷重を印加し、5分間静置後、完全に除荷し、さらに15分間静置する。この後、塗装鋼板の貫通孔に、φ15mmの荷重伝達棒を5mm/min.で押し込み、試験サンプルが塗装鋼板から剥離した際の荷重を密着力とする。
以下、まず、シール部材の各構成要素を説明する。
<基体>
弾性変形可能な基体として、例えば、発泡体、具体的には、ゴム発泡体、合成樹脂発泡体等が挙げられる。例えば、ゴムスポンジ、ポリウレタン発泡体、ポリオレフィン発泡体等が挙げられる。
発泡体の気泡膜が破損もしくは貫通し、連通状態となっている発泡体(連続気泡発泡体)を基体とした場合でも、部材間で圧縮されて使用されることで止水効果を奏するが、用途によっては止水性が十分でない場合がある。従って、基体は独立気泡からなる発泡体(独立気泡発泡体)であることが好ましい(独立気泡発泡体としては、一部の気泡が連通状態となっていてもよい)。
なお、基体としては、特に独立気泡発泡体からなるゴムスポンジ、ポリオレフィン発泡体が好ましい。ここで、「弾性変形可能」な基体とは、一般的な弾性的性質を有する基体を指し、詳細には、外力が加えられた際に変形可能であり、かつ、外部応力が除荷された際に元の寸法に戻ろうとする弾性が働く基体を指す。
なお、弾性の度合い(さらには、密度や硬度等)は用途等に応じて変更すればよい。また、基体の表面には、プライマー処理等の表面処理が施されていてもよい。
また、基体の形状は、寸法等も含めて特に限定されない。例えば、シート状とすることが挙げられるが、立体状(曲面状や柱状、筒状等)としてもよく、用途や適用対象に応じて所望の形状とすればよい。
<光硬化皮膜>
・構造
光硬化皮膜は、前記基体の表面の少なくとも一部に形成されている。また、前記基体の片面及び両面のいずれに形成されていてもよい。
より詳細には、当該光硬化皮膜は、前記基体の、少なくとも一方の表面の一部及びその反対の面の一部に直接(密着して)形成されている。
本発明のシール部材は、シール部材の使用時において、被シール部材の間で挟まれ加圧される際に、シール部材と被シール部材との接触箇所の一部又は全部に光硬化皮膜が位置されることを想定している。
本発明のシール部材によれば、このような使用方法(例えば、ガスケット等)を想定した際、前述の光硬化皮膜を採用することで、光硬化皮膜と被シール部材との追従密着性をより高め、止水性を向上させることを可能としている。また、シール部材が、急加熱や急冷却され、ヒートショックにさらされた場合においても、光硬化皮膜と被シール部材との密着性とリワーク性の低下を抑制し、優れた止水性を維持することを可能としている。このような観点からは、基体の全面に光硬化皮膜を設ける態様等も考えられる。
基体上の光硬化皮膜の形成箇所として、「基体の一方の表面の少なくとも一部及びその反対の面の少なくとも一部」とは、前述のように、本シール部材と被シール部材との接触箇所となる基体上の一部(又は全部)が想定されている。
従って、例えば、光硬化皮膜の形成箇所としては、基体がシート状の場合には、基体の表面の一部及び裏面の一部を示すが、基体が柱状の場合には、基体のある面の一部とその裏側の面の一部(円柱状等の場合、ある母線上の一部を含む箇所と、その反対側に位置する母線上の一部を含む箇所等)であってもよいし、基体が筒状等の場合(かつ、筒の内側面及び外側面から被シート部で挟む用途とする場合)には、基体の内側面の一部及び外側面の一部であってもよい。
なお、光硬化皮膜の厚みとしては、用途等に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、10〜500μmとすればよい。
本発明の光硬化膜のガラス転移点は、10℃以下であり、0℃以下が好適である。また、光硬化膜のガラス転移点の下限は、本発明の効果が阻害されない限り特に限定されないが、例えば、−100℃以上とすることができる。光硬化皮膜のガラス転移点がかかる範囲にある場合には、光硬化皮膜と被シール部材との密着性を高くすることができるとともに、優れたリワーク性を有することができ、また、シール部材の止水性を高くすることができる。さらに、ヒートショックによる前記密着性の低下を抑制し、ヒートショックを受けた後でもシール部材の止水性を維持することができる。
光硬化膜のガラス転移点の測定方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができるが、例えば、JIS K7244−7:2007「プラスチック−動的機械特性の試験方法−第 7 部:ねじり振動−非共振法」に記載の方法に準拠して測定することができる。具体的には、後述する光硬化皮膜形成用組成物を、離型処理を施したPETフィルム上に、アプリケーター等を用いて所定の厚みに塗工する。塗工した光硬化皮膜形成用組成物を光照射によって硬化させ、PETフィルムを剥離し、ガラス転移点測定用の試料とする。前記の転移点測定方法により、例えば、−120℃〜100℃の温度範囲において、貯蔵弾性率G‘と損失弾性率G“を測定する。測定時の振動の周波数は、特に限定されないが、例えば10Hzとすることができる。各温度における損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’の比(G“/G‘)を損失正接とする。−120℃〜100℃の温度範囲における、損失正接のピーク値を示す温度をガラス転移点とする。
また、光硬化皮膜の、80℃におけるG‘(貯蔵弾性率)を20℃におけるG‘(貯蔵弾性率)で割った値を、0.2以上とすることができる。80℃におけるG‘(貯蔵弾性率)を20℃におけるG‘(貯蔵弾性率)で割った値の上限は、一般に1以下である。本発明の光硬化皮膜の、80℃におけるG‘(貯蔵弾性率)を20℃におけるG‘(貯蔵弾性率)で割った値が、かかる範囲にある場合には、光硬化皮膜と被シール部材との密着性を高くすることができるとともに、優れたリワーク性を有することができ、また、シール部材の止水性を高くすることができる。さらに、ヒートショックによる前記密着性の低下を抑制し、ヒートショックを受けた後でもシール部材の止水性を維持することができる。
≪シール部材の製造方法≫
<原料成分>
まず、シール部材を製造する際に使用される光硬化皮膜形成用組成物における各原料成分を詳述する。
(原料成分/ウレタンプレポリマー)
ウレタンプレポリマーは、末端に光反応性基を有するウレタンプレポリマーである。
ここで、光反応性基とは、X線、電子線、紫外線、可視光線等の照射により架橋し得る官能基である。より詳細には、当該ウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネートとポリオールとの反応物に光反応性基を含有する化合物(前記反応物の末端と反応可能な、前記光反応性基を有する化合物)を反応させて得られたものである。
以下、まず、当該ウレタンプレポリマーを製造する際に使用する各種原料を説明する。
・ポリイソシアネート
ウレタンプレポリマーの合成に用いられる「ポリイソシアネート」は、1つの分子に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよい。
ポリイソシアネートは、例えば、
2官能のポリイソシアネートとしては、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)、m−フェニレンジイソシネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジアネート(2,4’−MDI)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’−MDI)、水素添加MDI、キシリレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水素添加XDI、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、等の芳香族系のもの;
シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族のもの;
ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等のアルキレン系のもの;
2官能以上のポリイソシアネートとしては、ポリメリックMDI;
3官能以上のポリイソシアネートとしては、1−メチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、1,3,5−トリメチルベンゾール−2,4,6−トリイソシアネート、ビフェニル−2,4,4’−トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’テトライソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナトメチルオクタン等;及びこれら変性体;誘導体等;が挙げられる。また、これらのイソシアネートは、1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
・ポリオール
ウレタンプレポリマーの合成に用いられる「ポリオール」は、典型的には、1つの分子に2個以上の水酸基を有する化合物である。
ポリオールは、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリジエン系ポリオール、水添ポリジエンポリオール等が挙げられる。前記ポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
ポリエステルポリオールとしては、ポリオールとポリカルボン酸を脱水縮合反応して得られるポリエステルポリオールや、ε−カプロラクトン、メチルバレロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合で得られるポリエステルポリオール等が挙げられる。
前記ポリエステルポリオールを形成するポリオールは、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。前記ポリオールとしては、例えば、
エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−テトラコサンジオール、1,6−テトラコサンジオール、1,4−ヘキサコサンジオール、1,6−オクタコサンジオールグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール;
1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール,トリシクロデカンジメタノール、シクロペンタジエンジメタノール、2,5−ノルボルナンジオール、1,3−アダマンタンジオール、ダイマージオール等の脂環族ポリオール;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等の芳香族ポリオール;
を挙げることができる。これらは1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
前記ポリカルボン酸は、その分子構造中にカルボキシル基を複数有する物であり、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;
ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ポリカルボン酸;
又はこれらの酸エステル;
を挙げることができる。これらは、1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコールの少なくとも1種と、
ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等とを反応させて得られるものが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルをそれぞれ重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、及び、これらのコポリエーテルが挙げられる。また、グリセリンやトリメチロールエタン等の多価アルコールを用い、上記の環状エーテルを重合させて得ることもできる。
ポリエステルエーテルポリオールとしては、ポリカルボン酸と、ジエチレングリコール、もしくはプロピレンオキシド付加物等のグリコール等とを脱水縮合反応で得られるものが挙げられる。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、
コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;
フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸等の芳香族ポリカルボン酸;
ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸及びヘキサヒドロイソフタル酸等の脂環族ポリカルボン酸;
又はこれらの酸エステル;を挙げることができる。これらは、1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
・触媒
ウレタンプレポリマーの合成において、触媒を用いることが好ましい。触媒は、ウレタンプレポリマーの原料として通常に採用されるものであればよく例えば、3級アミン、金属化合物等が挙げられる。以下の触媒は、1つ又は複数を組み合せて用いることができる。
3級アミンとしては、例えば、例えばTEDA(トリエチレンジアミン、1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]オクタン)、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ビス(ジメチルアミノアルキル)ピペラジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン、ビス(N,N−ジエチルアミノエチル)アジペート、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、N,N−ジメチル−β−フェニルエチルアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール等が挙げられる。
金属化合物としては、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ等のスズのカルボン酸塩類;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;オクタン酸鉛、オクタン酸ビスマス等のオクタン酸金属塩;等が挙げられる。
・光反応性基含有化合物
光反応性基含有化合物は、ポリイソシアネートとポリオールとの反応物の末端と反応可能な、光反応性基を有する化合物である。
ここで、「光反応性基」は、エチレン性不飽和結合(−C=C−)である。このような「光反応性基」としては、ビニルエーテル基(CH=CH−O−)やメタアクリレート基(CHCH=CH−COO−)アクリレート基(CH=CH−COO−)やアリルエーテル基(CH=CH−O−CH−)が好適である。また、当該光反応性基を有する第一化合物は、ウレタンプレポリマーの末端(例えば、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基)に付加させることが可能なものであればよく、例えば、2−ヒドロエチルメタクリレート、アリルエーテルグリコール、ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなど、が挙げられる。反応活性を高めるために、1官能の活性水素化合物が好ましい。また、光反応性基含有化合物を1種又は2種以上用いてもよい。
さらに、当該ウレタンプレポリマーの数平均分子量(Mw)は、例えば、4,000〜22,000であり、好適には5,000〜22,000であり、より好適には6,000〜22,000である。当該分子量をこの範囲とすることにより、より高い止水性を得ることが可能となる。かかる範囲にある場合には、光硬化皮膜と被シール部材との密着性を高くすることができるとともに、優れたリワーク性を有することができ、また、シール部材の止水性を高くすることができる。さらに、ヒートショックによる前記密着性の低下を抑制し、ヒートショックを受けた後でもシール部材の止水性を維持することができる。
当該ウレタンプレポリマーは、(1)ポリイソシアネートとポリオールとの反応物の両端に、「光反応性基」を有するもの、(2)ポリイソシアネートとポリオールとの反応物の一端に、「光反応性基」を有するもの、が主成分と理解される。
(原料成分/ポリチオール)
ポリチオールは、特に限定されず、どのようなポリチオールであってもよいが、平均官能基数が3以上のポリチオールが好ましく、ポリチオールの平均官能基数の上限は特に限定されないが、例えば、10以下とすることができる。
ポリチオールとしては、例えば、メルカプトカルボン酸と多価アルコールのエステル、脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールを挙げることができる。
メルカプトカルボン酸と多価アルコールのエステルにおけるメルカプトカルボン酸としては、チオグリコール酸、メルトカプトプロピオン酸等があり、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。メルカプトカルボン酸と多価アルコールのエステルとして、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)等を挙げることができる。 脂肪族ポリチオール、芳香族ポリチオールとして、エタンジチオール、プロパンジチオール、ヘキサメチレンジチオール、デカメチレンジチオール、トリレン−2,4−ジチオール、キシレンジチオール等を挙げることができる。なお、3官能以上のポリチオールを用いる場合には1種でもよいが、2官能のポリチオールを用いる場合には系に存在するポリチオールの平均官能基が3官能以上となるよう4官能以上のポリチオールを併用する。
前記ウレタンプレポリマーと、平均官能基が3官能以上のポリチオールとを混合し、光を照射することで、エンチオール反応によって、基体の表面の少なくとも一部に皮膜を形成することが可能となっている。このようなチオールを使用することで、光硬化皮膜と被シール部材との密着性を高くすることができるとともに、優れたリワーク性を有することができ、また、シール部材の止水性を高くすることができる。さらに、ヒートショックによる前記密着性の低下を抑制し、ヒートショックを受けた後でもシール部材の止水性を維持することができる。
(原料成分/光重合開始剤)
光反応性基を有するウレタンプレポリマーとチオール基との光重合反応を効果的に行うべく、配合原料に、光重合開始剤を含むことが可能である。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の化合物が挙げられる。アセトフェノン系としては、例えば、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等が挙げられる。ベンゾフェノン系としては、例えば、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。また、チオキサントン系としては、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等が挙げられる。
(原料成分/備考)
以上の原料成分のそれぞれは、1種使用しても、2種以上使用してもよい。
<配合>
次に、シール部材を製造する際に使用される光硬化皮膜形成用組成物における原料成分の配合比等を詳述する。
(配合)
光硬化皮膜形成用組成物における、ウレタンプレポリマーに含まれる光反応性基のモル数と、ウレタンプレポリマー中のポリイソシアネートのモル数との、比が、
0.5未満であり、下限は特に限定されないが、例えば、0.1以上とすることができ、
好適には0.12以上0.45以下であり、
より好適には0.15以上0.40以下である。
ウレタンプレポリマーに含まれる光反応性基のモル数と、ウレタンプレポリマー中のポリイソシアネートのモル数との、比をこの範囲とすることにより、光硬化皮膜と被シール部材との密着性を高くすることができるとともに、優れたリワーク性を有することができ、また、シール部材の止水性を高くすることができる。さらに、ヒートショックによる前記密着性の低下を抑制し、ヒートショックを受けた後でもシール部材の止水性を維持することができる。
また、ポリチオールの含有量は、ウレタンプレポリマーに含まれる光反応性基のモル数と、ウレタンプレポリマー中のポリイソシアネートのモル数との、比が0.1以上0.5未満である限りにおいて、特に限定されないが、ウレタンプレポリマーを100重量部とした場合に、4重量部以上7重量部以下とすることが好ましい。ポリチオールの含有量をかかる範囲とすることで、光硬化皮膜と被シール部材との密着性を高くすることができるとともに、優れたリワーク性を有することができ、また、シール部材の止水性を高くすることができる。さらに、ヒートショックによる前記密着性の低下を抑制し、ヒートショックを受けた後でもシール部材の止水性を維持することができる。
(配合/チオール−エン比)
光硬化皮膜形成用組成物における、ポリチオールとウレタンプレポリマーにおけるチオール−エン比は、0.5以上2.0未満であり、好適には1.0以上1.5未満である。チオール−エン比をこの範囲とすることにより、光硬化皮膜と被シール部材との密着性を高くすることができるとともに、優れたリワーク性を有することができ、また、シール部材の止水性を高くすることができる。さらに、ヒートショックによる前記密着性の低下を抑制し、ヒートショックを受けた後でもシール部材の止水性を維持することができる。
(配合/光重合開始剤)
光重合開始剤の含有量は、上記ウレタンプレポリマーの100重量部当たり0.01〜5重量部であることが好ましく、さらに言えば、0.1〜3重量部であることが好ましい。光重合開始剤の含有量がこのような範囲内であると、光重合開始能力が十分となり、原料の重合が速やかに行われると共に、重合が過度に促進されることもなく、架橋密度が高くなり過ぎたり、架橋構造が不均一に形成されたりすることを防止可能である。
(配合/その他)
光硬化皮膜形成用組成物は、上記以外にも、適宜公知の添加剤や希釈剤を含んでいてもよいが、上記ウレタンプレポリマー及び上記チオール基を有するポリチオールが原料(組成物)における主成分であり、より具体的には、これらの合計の配合量が、原料(組成物)に対して90重量%であることが好ましく、95重量%であることがより好ましい。
<プロセス>
次に、前記光硬化皮膜形成用組成物の製造方法と、前記基体及び前記光硬化皮膜形成用組成物を用いてのシール部材の製造方法と、を詳述する。
(プロセス/光硬化皮膜形成用組成物の製造方法)
本光硬化皮膜形成用組成物は、上述した原料を上述した配合比にて撹拌混合することにより得られる。
(プロセス/シール部材の製造方法)
図1は、本実施形態にかかるシール部材の製造例の概要を示した図である。本シール部材の製造工程としては、基体に皮膜形成用の原料を付着させる付着工程と、付着工程において付着された原料に光を照射し、光重合反応により原料を硬化させる照射工程とを含む限りにおいて何ら限定されない{例えば、洗浄工程、乾燥工程及び加工工程(成形工程)等を含んでいてもよい}。以下、本シール部材の製造方法の一例について説明する。なお、基体については、公知の製造方法(発泡方法や硬化方法)に従って製造可能であるため、説明を省略する。
上述した光硬化皮膜形成用組成物(混合原料)を、透過性の良いフィルム等の上に所定の膜厚で塗布する。次に、塗布された混合原料の上に、弾性変形可能な基体の表面が圧着される(付着工程)。この際、液状の混合原料が、基体の表面と適度になじむ。そして、空気の存在下において、塗布された混合原料に、フィルムの下方から光(例えば、紫外線)が照射されることで、混合原料が硬化し、皮膜が形成される(照射工程)。これにより、液状の原料と、基体の表面とが適度になじんだ状態で、原料が硬化することで、基体と皮膜との密着性が向上する。さらに、片面に皮膜が形成された基体の反対の面(皮膜が形成されていない表面)に混合原料を付着させる付着工程を同様に行い、次いで当該混合原料を硬化させる照射工程を同様に行い、基体の両面(表面及び裏面)に皮膜を有するシール部材が形成される。なお、基体の両面に皮膜を形成する方法としてはこれには限定されず、基体の表面の少なくとも一部及び裏面の少なくとも一部に混合原料を付着させ、その混合原料を一度に硬化させる、等としてもよい。
なお、弾性変形可能な基体として、所定の素材の基体、具体的には、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)製の基体を採用する場合等には、混合原料への基体の密着面にプライマー処理を行うことで、基体と皮膜との密着性を担保することが可能となる。プライマー処理としては、ブラスト処理、薬品処理、脱脂、火炎処理、酸化処理、蒸気処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ処理、イオン処理等が挙げられる。
また、混合原料を硬化させる際の光(例えば、紫外線)の照射量は、混合原料を硬化可能な程度であれば限定されないが、例えば、200〜1800mJ/cm(365nm積算光量)であることが好ましい。なお、照射時間に関しても、特に限定されず、使用する混合原料や光照射量に応じて適宜変更可能である。
また、フィルムに混合原料を塗布する際には、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の塗布装置等を用いることが好ましい。特に、塗布時の粘性流体の温度調整により、粘性流体の粘度を調整することが可能であることから、ダイコーターを用いることが好ましい。
≪用途≫
本発明にかかるシール部材は、建築、土木、エレクトロニクス、自動車等において使用される、各部材間の隙間に充填・圧縮されるシール部材として有用である。特に、高い止水性が求められる、自動車、原動機付自転車及び鉄道車両等の車両ランプ用のシール部材(車両用ランプを構成するモジュール部品用であって、ランプと筐体を封止するシール部材)として好適である。
≪ウレタンプレポリマーの調製≫
表1(単位はg)に従い、1リットル容量のセパラブルフラスコにポリイソシアネートを入れて、窒素を流しながら、ポリオールを攪拌しながら滴下した。各プレポリマーの滴下量は表1に示した。滴下終了後、温度上昇に注意しながら触媒(DBTDL:ジブチルチンジラウレート 0.3g)を添加した。2時間反応させサンプルリングし、イソシアネート基含有率が、プレポリマーA:0.8%〜0.9%、B:1.2%〜1.4%、C:0.5%〜0.7%、D:0.4%〜0.5%、E:1.8%〜1.9%、F及びG:3.5%〜3.7%、であることを確認した。なお、イソシアネート含有率は、JIS Z1603−1:2007に基づく方法(ポリウレタン原料芳香族イソシアネート試験方法)に準拠して測定した。次に、光反応性基を含有する化合物であるメタクリレートを滴下し2時間反応させた。反応後サンプルリングし、イソシアネート基含有率が0.1%以下になっていることを確認した。イソシアネート基含有率が0.1%以下の場合、反応完了とし生成物をウレタンプレポリマーとする。下記にプレポリマーの調製に用いられた原料を示す。
ポリオールa:ポリプロピレングリコール(PPG)、Mw:3000
ポリオールb:ポリプロピレングリコール(PPG)、Mw:1000
ポリオールc:ポリカーボネートジオール(PCD)、Mw:1000
ポリオールd:ブチルエチルプロパンジオール(BEPG)、
ポリイソシアネート:TDI、Mw:174.2
モノオール:2−エチルヘキシルグリコ-ル、Mw:174.3
アクリレート:ヒドロキシエチルアクリレート、Mw:116.1
ビニルエーテル:ヒドロキシブチルビニルエーテル、Mw:116.2
メタクリレート:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、Mw:130.1
≪光硬化皮膜形成用組成物の調製≫
表2及び表3に従い、ウレタンプレポリマー及びポリチオールを、80℃で5分間混合し、光硬化皮膜形成用組成物を得た。下記に光硬化皮膜形成用組成物の原料を示した。
チオールA:トリメチロールプロパントリス 商品名:TMMP(Mw:398.5)、 SC有機化学(株)
チオールB:ペンタエリスリトールテトラキス、商品名:PEMP(Mw:488.6)、 SC有機化学(株)
チオールC:ジペンタエリスリトールヘキサキス、商品名:DPMP(Mw:783.0)、SC有機化学(株)
チオールD:ブタンジオールビスチオプロピオネート、商品名:BDTP(Mw:266.4)、淀化学(株)
≪シール材の作製≫
前記調製された光硬化皮膜形成用組成物を、離型処理されたPETフィルム(厚み38μm)の表面に、厚みが50μmになるように塗工した。次に、塗工された光硬化皮膜形成用組成物と、厚みが5mmの天然ゴム/スチレンブタジエンゴムブレンド系の発泡ゴムであるN−148(イノアックコーポレーション社製)とを貼り合わせ、塗工された光硬化皮膜形成用組成物をPETフィルム側から光照射(波長:365nm,照射量600mJ/cm)して硬化させ、片面皮膜の発泡ゴムシートを得た。
続いて、前記調製された光硬化皮膜形成用組成物を、別に準備された離型処理されたPETフィルム(厚み38μm)の表面に、厚みが50μmになるように塗工した。塗工した光硬化皮膜形成用組成物と前記片側皮膜の発泡ゴムシートの発泡ゴム表面とを、貼り合わせ、さらに貼り合わせた光硬化皮膜形成用組成物にPETフィルム側から光照射(波長:365nm,照射量600mJ/cm)して硬化させ、厚み(PETフィルムを除く)が5mmの両面皮膜の発泡ゴムシートのシール材を得た。
≪測定方法≫
<密着力測定>
各実施例及び比較例のシール材の両面の剥離紙を取り除き、厚み5mm×φ50mmの試験サンプルに加工し、厚み3mm×φ50mmのアルミ板に、両面テープ(日東電工社製No.500)を用いて貼り合わせた。塗装鋼板は、厚みが1mmの高張力鋼の表面に、ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂塗料(関西ペイント社製ネオアミラック6000)で塗装・乾燥したものを準備し、中央部にφ20mmの貫通孔を設けた。
前記試験サンプルを、試験サンプルの中心と、この塗装鋼板の貫通孔の中心とを、一致させるように設置した(図2)。
その後、圧縮率50%となるように荷重を印加し、5分間静置した。静置後、完全に除荷し、さらに15分間静置した。
静置後、塗装鋼板の貫通孔に、φ15mmの荷重伝達棒を5mm/min.で押し込み、試験サンプルが塗装鋼板から剥離した際の荷重を密着力とした。結果を表2及び表3に示した。
<止水性評価(23℃)>
止水性評価は、各実施例及び比較例のシール材について、外径60mm、内径40mm、厚み5mmの環状に加工した。試験サンプルを、塗装鋼板に接触させて図3のように、止水性評価器に設置した。
塗装鋼板は、厚みが1mmの高張力鋼の表面に、ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂塗料(関西ペイント社製ネオアミラック6000)で塗装・乾燥したものを準備した。
続いて、試験サンプルの周辺に、厚み2.5mmのスペーサを設置し、試験サンプルの上からアクリル板を用いて、圧縮率が50%となるように圧縮してアクリル板を固定した。
試験サンプル設置後、24時間静置し、評価を開始した。環状の試験サンプルの内円部に蒸留水を満たしたのち、空気を供給し、5kPaの静圧をかけた。この状態を5分間保持し、水漏れがなければ、さらに空気を供給して、5kPaを加え、10kPaとし5分間保持した。この作業を水漏れが生じるまで繰り返し、水漏れの生じる圧力を測定した。測定は23℃の環境下で行った。結果を表2及び表3に示した。
止水性評価は、下記評価基準とした。
○:水漏れが生じる圧力が30kPa以上
△:水漏れが生じる圧力が10kPa以上30kPa未満
×:水漏れが生じる圧力が10kPa未満
<ヒートショック後の止水性評価>
止水性評価は、各実施例及び比較例のシール材について、外径60mm、内径40mm、厚み5mmの環状に加工した。試験サンプルを、塗装鋼板に接触させて図4のヒートショック後の止水性評価器に設置した。
塗装鋼板は、厚みが1mmの高張力鋼の表面に、ポリエステル樹脂及びメラミン樹脂塗料(関西ペイント社製ネオアミラック6000)で塗装・乾燥したものを準備した。
続いて、試験サンプルの周辺に、厚み3.5mmのスペーサを設置し、試験サンプルの上からアクリル板を用いて、圧縮率が30%となるように圧縮してアクリル板を固定した。アクリル板には、自動車のヘッドランプ部のランプリブに見立てた凸部を設けた。ランプリブが接触している箇所の圧縮率を30%とした。
試験サンプル設置後、30分静置し、養生した。養生後、80℃にセットしたウォーターバスに1h浸漬させ、続いて20℃にセットしたウォーターバスに1h浸漬させた。この80℃と20℃にセットしたウォーターバスに浸漬する作業を1サイクルとする。この浸漬中に水漏れが発生しなかった場合は、再度80℃にセットしたウォーターバスに1h浸漬させ、さらに続いて20℃にセットしたウォーターバスに1h浸漬させ、浸漬中の水漏れを観察した。この作業を水漏れが発生するまで繰り返し、水漏れが発生するサイクル数を数えた。結果を表2及び表3に示した。
ヒートショック後の止水性評価は、下記評価基準とした。
○:4サイクル以上水漏れが発生しなかった
△:2〜3サイクルで水漏れが発生した
×:1サイクルで水漏れが発生した
<リワーク性(皮膜残渣の有無)評価>
リワーク性(皮膜残渣の有無)評価は、各実施例及び比較例のシール材について、外径60mm、内径40mm、厚み5mmの環状に加工した。試験サンプルを、図4のヒートショック後の止水性評価と同様に評価装置に設置した。シール材の圧縮率を30%とした。5分間静置したのち、圧縮を開放しその際の皮膜残渣の有無を観察した。結果を表2及び表3に示した。
リワーク性評価は、下記評価基準とした。
○:リブ側/塗装板側どちらにも糊残りがない場合
△:リブ側/塗装板側のいずれかに糊残りがある場合
×:リブ側/塗装板側の両方に糊残りがある場合
<総合評価>
総合評価は、下記評価基準とした。
◎:止水性評価(23℃)およびヒートショック後の止水性評価が共に○の場合
○:止水性評価(23℃)およびヒートショック後の止水性評価が、それぞれ、○か△であって、×がない場合
×:止水性評価(23℃)又はヒートショック後の止水性評価のいずれかに、×がある場合
≪評価結果≫
実施例及び比較例の性能(密着性止水性評価、総合評価)を評価した。表2及び表3にその結果を示す。これらの結果から、本発明の効果が理解できる。
10 : 塗装鋼板密着性強度測定器
11,21,31 : 試験サンプル
12 : アルミ板
13,23,33 : 塗装鋼板
14 : 高さ調整台
15 : 荷重伝達棒
20 : 止水性評価器
22,32 : アクリル板
24,34 : 水・エアー吹入口継手
25,35 : スペーサ
30 :ヒートショック後の止水性評価器
36 :ランプリブ

Claims (5)

  1. 弾性変形可能な基体と、
    末端に光反応性基を有するウレタンプレポリマーと、ポリチオールと、を含む組成物を用いて、前記基体の表面の少なくとも一部に作製された光硬化皮膜と、
    を備えたシール部材であって、
    前記光反応性基が、エチレン性不飽和結合を有する基であり、
    前記ウレタンプレポリマーは、光反応性基を含有する化合物由来の構造とポリイソシアネート成分由来の構造とを含み、
    前記ウレタンプレポリマーの光反応性基を含有する化合物とポリイソシアネート成分のモル比が、0.5未満であり、
    前記ウレタンプレポリマーに対する、前記ポリチオールのチオール−エン比は、0.5〜2.0未満であり、
    前記光硬化皮膜のガラス転移点が10℃以下である、シール部材。
  2. 前記光硬化皮膜の80℃におけるG‘(貯蔵弾性率)を、20℃におけるG‘(貯蔵弾性率)で割った値が、0.2以上である、請求項1に記載のシール部材。
  3. 前記ウレタンプレポリマーの数平均分子量は、4,000〜22,000である、
    請求項1又は2に記載のシール部材。
  4. 前記ポリチオールの平均官能基は、3官能以上である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のシール部材。
  5. 前記シール部材の23℃における密着力が40N以上である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のシール部材。

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