JP2020132706A - 表面処理微細有機顔料の製造方法 - Google Patents

表面処理微細有機顔料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低環境負荷な製造方法であって、微細且つ易分散性を有する表面処理微細有機顔料の製造方法を提供する。【解決手段】微細有機顔料と少なくとも1種類以上のアニオン性表面処理剤とを接触させることにより、前記微細有機顔料の表面にアニオン性基が導入された表面処理微細有機顔料の製造方法であって、前記微細有機顔料と少なくとも1種類以上の前記アニオン性表面処理剤とを接触させる工程の前に、予め前記微細有機顔料の表面を酸化処理する工程を含む、表面処理微細有機顔料の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、表面処理微細有機顔料の製造方法に関する。
有機顔料は高い着色力や堅牢性から広く着色材料として利用されており、塗料、トナー、インクジェットインキ、カラーフィルタなどの用途が挙げられている。
有機顔料は非常に有用であることから、要求性能も益々高まっており、特に着色性能が高い平均一次粒子径が100nm以下の微細顔料が求められており、近年では50nmを下回るレベルの微細粒子が求められることもある。
顔料の微細化が進むと、顔料の表面積が大きくなり表面エネルギーが非常に大きくなるため、凝集力が高まる結果、分散性は大きく低下し、顔料分散液の増粘や粗大粒子が発生しやすくなり産業利用上様々な問題が発生する。すなわち、産業利用上有用な微細有機顔料は、一次粒子径が小さいだけでなく、分散性も優れている必要があり、顔料分散体中の顔料が高濃度でも安定して分散できることが必要である。
従来、顔料をブレイクダウンし同時に表面処理を行う製造方法はソルトミリング法などの方法が主流である(例えば、特許文献1参照)。この方法では顔料の微細化とともに樹脂などによる表面被覆によって分散性も付与されるが、長時間の混練が必要であり多大なエネルギーを必要とし、生産性が低い問題がある。微細有機顔料の需要が高まる中で、混練工程を経ずに生産性が高く環境負荷が低い製造方法が望まれていた。
そこで、多大なエネルギーを必要とする混練工程を経ずに顔料をビルドアップして表面処理を行う方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。さらに、顔料微粒子の分散媒への分散性を向上させるために、有機顔料溶液及び貧溶媒の少なくともいずれかに、官能基を含む表面修飾剤を含有させる方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2018―66806号公報 国際公開第2010/100794号 特開2003−201419号公報
しかしながら、いずれの特許文献の製造方法においても、微細有機顔料の分散性が十分に改善されているとはいえず、依然として、生産性が高く環境負荷の低い方法で、微細且つ易分散性を有する有機顔料を製造できる方法が求められていた。
本発明は、低環境負荷な製造方法であって、微細且つ易分散性を有する表面処理微細有機顔料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、難分散である微細有機顔料に好適かつ環境への負担が少ない表面処理方法を鋭意検討の結果見出した。
すなわち、有機顔料を含むウェットケーキを水性溶媒に分散させた後、酸化処理し、次いで少なくとも1種類の表面処理剤を接触させる工程を含むことで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の態様を包含するものである。
[1]微細有機顔料と少なくとも1種類以上のアニオン性表面処理剤とを接触させることにより、前記微細有機顔料の表面にアニオン性基が導入された表面処理微細有機顔料の製造方法であって、前記微細有機顔料と少なくとも1種類以上の前記アニオン性表面処理剤とを接触させる工程の前に、予め前記微細有機顔料の表面を酸化処理する工程を含む、表面処理微細有機顔料の製造方法。
[2]少なくとも1種類以上の前記アニオン性表面処理剤が、芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸系共重合体を含む、前記[1]記載の表面処理微細有機顔料の製造方法。
[3]前記酸化処理する工程は、前記微細有機顔料を水溶性過酸化物またはその塩の存在下で加熱し、前記微細有機顔料の表面を酸化処理する、前記[1]または[2]記載の表面処理微細有機顔料の製造方法。
[4]少なくとも1種類以上の前記アニオン性表面処理剤が、置換基としてアニオン性基を有する、有機顔料の誘導体を含む、前記[1]〜[3]のいずれか記載の表面処理微細有機顔料の製造方法。
[5]前記微細有機顔料と少なくとも1種類以上の前記アニオン性表面処理剤とを接触させる工程は、
塩基を含有する水性溶媒中に溶解させた少なくとも1種類以上の前記アニオン性表面処理剤と、前記酸化処理された前記微細有機顔料と、を接触させ、表面処理微細有機顔料を含有する溶液を得た後、前記塩基を中和するための酸を、前記表面処理微細有機顔料を含有する溶液中のpHが7以下となるまで混合して酸析する、前記[1]〜[4]のいずれか記載の表面処理微細有機顔料の製造方法。
[6]前記微細有機顔料が、良溶媒に有機顔料を溶解させた有機顔料溶液と、前記良溶媒よりも前記有機顔料に対する溶解度が低い貧溶媒とを混合し、前記有機顔料の粒子を析出させた有機顔料のウェットケーキである、前記[1]〜[5]のいずれか記載の表面処理微細有機顔料の製造方法。
本発明によれば、低環境負荷な製造方法であって、微細且つ易分散性を有する表面処理微細有機顔料の製造方法を提供することができる。
有機顔料溶液と貧溶媒とを連続的に混合する連続混合装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明の表面処理微細有機顔料の製造方法について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の一実施態様としての一例であり、これらの内容に特定されるものではない。
本発明の製造方法は、微細有機顔料と少なくとも1種類以上のアニオン性表面処理剤とを接触させることにより、前記微細有機顔料の表面にアニオン性基が導入された表面処理微細有機顔料の製造方法であって、微細有機顔料と少なくとも1種類以上のアニオン性表面処理剤とを接触させる工程の前に、予め前記微細有機顔料の表面を酸化処理する工程を含むことを特徴とする。
微細有機顔料の表面処理工程の前に、予め微細有機顔料の表面を酸化させることにより、アニオン性基を効率よく微細有機顔料の表面に導入することができるため、微細且つ易分散性を有する表面処理微細有機顔料を低環境負荷で得ることができる。
(微細有機顔料の製造方法)
本発明の製造方法は、まず微細有機顔料を準備する。
本発明の製造方法の特徴の一つは、酸化処理工程と表面処理工程とを組み合わせたことにある。このため、酸化処理工程前の微細有機顔料の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
微細有機顔料の製造方法としては、原料となる有機顔料を良溶媒に溶解し、有機顔料に対しては貧溶媒となる溶媒と混合することで微細顔料を得る方法が知られている。特にアシッドペースト法と呼ばれる、有機顔料を濃硫酸に溶解した有機顔料溶解液を水と混合する方法が知られており、本発明の製造方法は、例えばこのアシッドペースト法を好適に用いることができる。
<微細有機顔料の製造方法の具体的態様>
微細有機顔料の製造方法における好ましい実施態様について、以下説明する。
本発明の微細有機顔料の製造方法は、良溶媒に有機顔料を溶解させた有機顔料溶液と、前記良溶媒よりも前記有機顔料に対する溶解度が低い貧溶媒とを混合し、有機顔料の粒子を析出させた有機顔料のウェットケーキを得る工程を含む。
<有機顔料>
本発明の有機顔料は、未処理の粗製有機顔料を意味する。有機顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、アゾ系顔料などが挙げられる。
本発明の有機顔料としては、芳香環を2つ以上含有する、多環式化合物からなるものであることが好ましく、本発明の製造方法の効果を得る観点から、フタロシアニン系顔料がより好ましい。
フタロシアニン系顔料としては、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、鉄フタロシアニン、アルミニウムフタロシアニン、およびこれらのフタロシアニンをハロゲン化したハロゲン化フタロシアニンなどが挙げられる。
<有機顔料溶液>
有機顔料溶液は、有機顔料を溶解可能な良溶媒に溶解させてなる。
有機顔料溶液の粘度は0.5〜100.0mPa・sであることが好ましく1.0〜50.0mPa・sであることがより好ましい。
有機顔料溶液は、良溶媒に上記顔料と必要により他の成分を含んでいても構わない。
他の成分としては、特に限定されないが、酸(酸性基を有する有機化合物など)、塩基(塩基性を有する有機化合物など)が好適に挙げられる。
また、後述する表面処理工程においても用いるが、各種の有機顔料の誘導体を含有してもよい。有機顔料の誘導体とは、有機顔料骨格に特定の構造の各種置換基を導入したものである。有機顔料の誘導体が有する置換基としては、水酸基、カルボキシ基、カルバモイル基、スルホン酸基、スルホン酸アミド基、フタルイミドメチル基などが挙げられる。
有機顔料の誘導体は、一般に有機顔料の単位構造ではないナフタレン系、アントラキノン系などの芳香族多環化合物も含まれ、好ましくは前記で例示したものと同様の有機顔料の誘導体である。これらは単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
<良溶媒>
良溶媒は、有機顔料に対し溶解可能な溶媒である。良溶媒としては、例えば、有機酸(例えば、ギ酸、ジクロロ酢酸、濃硫酸、メタンスルホン酸等)、有機塩基(例えば、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド、ナトリウムメトキシド等)、水系溶媒(例えば、水、または塩酸、水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール等)、ケトン系溶媒(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル系溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、スルホキシド系溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホラン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、乳酸エチル等)、アミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン等)、芳香族炭化水素系溶媒(例えば、トルエン、キシレン等)、脂肪族炭化水素系溶媒(例えば、オクタン等)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル等)、ハロゲン系溶媒(例えば、四塩化炭素、ジクロロメタン等)、イオン性液体(例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート等)、二硫化炭素溶媒、またはこれらの混合物などが挙げられる。
これらの中でも、有機酸が好ましく、濃硫酸がより好ましい。
<貧溶媒>
貧溶媒は、良溶媒よりも有機顔料に対する溶解度が低い溶媒である。貧溶媒としては、例えば、水系溶媒(例えば、水、または塩酸、水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール等)、ケトン系溶媒(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル系溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、スルホキシド系溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホラン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、乳酸エチル等)、アミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン等)、芳香族炭化水素系溶媒(例えば、トルエン、キシレン等)、脂肪族炭化水素系溶媒(例えば、オクタン等)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル等)、ハロゲン系溶媒(例えば、四塩化炭素、ジクロロメタン等)、イオン性液体(例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート等)、二硫化炭素溶媒、またはこれらの混合物などが挙げられる。
これらの中でも、水系溶媒またはこの混合物が好ましく、水または水の混合物がより好ましい。混合物の場合、水が90%以上の割合で含有されていれば、好ましい。
例えば、本発明において、有機顔料溶液と貧溶媒との組み合わせとして、より好ましい態様としては、以下の態様を挙げることができる。
銅フタロシアニンを濃硫酸に溶解し、酸性の有機顔料溶液を作製する。一方、貧溶媒としては水を用いる。これら酸性の有機顔料溶液と貧溶媒としての水とを混合する。
<有機顔料溶液と貧溶媒との混合工程の具体的態様>
有機顔料溶液と貧溶媒との混合方法における好ましい実施態様について、以下説明する。
有機顔料溶液と貧溶媒とを混合する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、有機顔料溶液と貧溶媒とを連続的に混合する方法であることが好ましい。
例えば、有機顔料溶液と貧溶媒とをそれぞれ異なる供給流路から連続して送液し、これら供給流路を結合させた合流流路で、有機顔料溶液と貧溶媒とを合流混合させる混合方法が挙げられる。
有機顔料溶液と貧溶媒とを連続的に混合できれば、これら2液を混合する具体的な手段や装置は限定されないが、例えば、エジェクター、スタティックミキサー、T型配管などを用いてこれら2液を混合することができる。
また、有機顔料溶液や貧溶媒を送液する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、圧送、吸引輸送、ポンプなどを使用することができる。
ポンプを使用する場合には、例えば、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギアポンプなど使用することができる。
有機顔料溶液と貧溶媒とを連続的に混合するにあたり、より微細な有機顔料の粒子が得られるという観点から、微細流路を有する混合手段を用いてこれら2液を連続的に混合することが好ましい。そこで、例えば、ミキサーの一例である公知のマイクロミキサー(マイクロリアクターと呼ばれることがある)などの連続混合装置などを用いて、有機顔料溶液と貧溶媒とを連続的に混合することが、より精密な条件の下での混合が容易になる点で好ましい。
有機顔料溶液と貧溶媒とを混合させる際の混合条件としては、有機顔料が析出できる条件であれば、特に制限はない。
例えば、混合時の温度は特に限定されるものではないが、硫酸と水の混合時に発熱を伴い、有機顔料粒子も発熱によって成長するため、有機顔料溶解液と貧溶媒の温度は−10℃〜50℃が好ましく、5℃〜25℃の範囲がより好ましい。
尚、混合液のpHを所望の範囲に調整するために、有機顔料溶液、及び貧溶媒の少なくともいずれかに、pH緩衝作用を有する物質として一般に知られているpH緩衝剤を添加しても構わない。
<連続混合装置>
有機顔料溶液と貧溶媒とを連続的に混合して微細有機顔料を製造する装置としては、例えば、図1に記載の連続混合装置を用いることができる。
図1は、有機顔料溶液と貧溶媒とを連続的に混合する連続混合装置の一例を示す概略図である。
図1の連続混合装置は、有機顔料溶液が入っている温度制御可能な容器1と、貧溶媒が入っている温度制御可能な容器2と、プランジャーポンプ3及び4と、有機顔料溶液と貧溶媒とを混合するミキサー5と、恒温槽6を有する。また、ミキサー5には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のチューブ7が付いており、PTFE製のチューブ7の他端は、受け容器8につながっている。
図1で示すような連続混合装置を用いることにより、有機顔料溶液と貧溶媒とをそれぞれ異なる供給流路から連続して送液し、これら供給流路を結合させた合流流路で、有機顔料溶液と貧溶媒とを合流混合させることができる。
また、連続混合装置は、恒温槽などを用いて混合により発生する熱を除去することができる。
より微細な有機顔料微粒子が得られるという観点から、微細流路を有する混合手段を用いて有機顔料溶液と貧溶媒の2液を連続的に混合することが好ましく、例えば、図1の連続混合装置がマイクロミキサー5を有するとより好ましい。
連続混合装置としては、例えばインスティチュート・フュール・マイクロテクニック・マインツ(IMM)社製シングルミキサー及びキャタピラーミキサー、ミクログラス社製ミクログラスリアクター、YMC社製サイトス、山武社製YM−1・YM−2型ミキサー、島津GLC社製ミキシングティー及びティー(T字コネクタ)、マイクロ化学技研社製IMTチップリアクター、東レエンジニアリング開発品マイクロ・ハイ・ミキサー、日立プラントテクノロジー社製マイクロミキシングサーバー、三幸精機工業社製T字型マイクロミキサー、杉山商事製マイクロスワールミキサーなどが挙げられ、何れも本発明で使用することができる。
連続混合装置は、硫酸に対して耐腐食性を有することが望ましく、フッ素樹脂やニッケル合金(例えば、ハステロイCやその相当品)などの材質からなる連続混合装置が好ましい。
本発明の製造方法は、乾燥による凝集を回避する観点及び高生産性の観点から、製造過程において乾燥工程を含まない方法が好ましい。したがって微細有機顔料の製造方法としては、微細有機顔料のウェットケーキを得るのが好ましい。
析出した有機顔料を含む混合液は、濾過した後、水洗や酸洗を施すことにより、微細有機顔料のウェットケーキを得ることができる。
(酸化処理工程)
本発明では、まず最初に微細有機顔料のウェットケーキを酸化処理して、微細有機顔料の表面にアニオン性基を付加させる。酸化処理工程を更に含むことにより、微細有機顔料の表面にアニオン性基が付加され、後述する表面処理工程と組み合わせることにより、易分散性の微細有機顔料を低負荷環境で得ることができる。
微細有機顔料の表面を酸化処理する方法としては、特に限定されず、例えば、微細有機顔料と酸化剤とを接触させる工程を含むことにより、微細有機顔料の表面を酸化処理することができる。
本発明では、有機顔料に高い分散性を付与するためには有機顔料の表面に官能基を導入することが好ましい。
ところで、官能基を導入する方法として、有機顔料の誘導体を表面に吸着する等の誘導体処理を行った場合、誘導体が多すぎると、着色力低下や顔料表面から脱離した顔料誘導体が、顔料分散液の物性や顔料着色物の耐水性や耐溶剤性に悪影響を及ぼす。
また、官能基を導入する方法として、樹脂を表面に吸着する等の樹脂処理を行った場合、誘導体にはない粒子間の立体反発を与える効果があり、分散には好ましい高い効果があるが、過剰に加えた場合は前記誘導体処理と同様な悪影響が懸念される。
さらに、官能基を導入する方法として、酸化処理のような化学的処理によって官能基を修飾する等の酸化処理を行った場合、直接有機顔料の表面を改質するため上記2つの方法のような脱離成分の影響はないが、酸化処理単独で分散性を付与しようとすると、顔料の化学構造そのものが分解し、着色力が低下する。
しかし、本発明の製造方法では、これら酸化処理工程と、誘導体処理及び樹脂処理を含む表面処理工程とを組み合わせて、有機顔料の表面に官能基を導入する処理を施したことにより、これら各処理がバランス良く作用し合い、上述したような問題を生じることなく、有機顔料の表面に効率よく且つ効果的に官能基を導入することができる。
本発明の製造方法は、これら3つの方法を組み合わすことにより、それぞれの問題を補完し合い、上述した問題を生じることなく、有機顔料の分散性能を向上させることができる。
<酸化剤>
酸化剤としては、有機顔料の表面を酸化してアニオン性基を付加することができるものであれば、特に限定されない。酸化剤としては、例えば酸素ガス、オゾン、オキソ酸、過酸化水素や過硫酸塩などの過酸化物、次亜塩素酸ナトリウムなどの次亜ハロゲン酸塩、硝酸などの酸化性酸などを好適に用いることができる。また、プラズマ、四酸化オスミウム、クロム酸カリウム、または硝酸アンモニウムセリウムなどを使用してもよい。これらの中でも、酸化剤としては過酸化物が好ましく、微細有機顔料の分散媒に対して溶解性を有する観点から、水溶性過酸化物がより好ましい。
酸化剤として用いられる水溶性過酸化物としては、例えば過酸化水素や過硫酸塩などが挙げられるが、臭気や腐食性など周囲環境への影響や装置の簡易さの観点から、過硫酸塩を用いることが好ましい。過硫酸塩としては、過硫酸一価塩を用いるのが好ましく、例えば、過硫酸のリチウム塩、過硫酸のナトリウム塩、過硫酸のカリウム塩などのアルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩などが挙げられる。これらの中でも、過硫酸のアルカリ金属塩が好ましく、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムがより好ましく、過硫酸ナトリウムが特に好ましい。
<酸化処理工程の具体的態様>
酸化処理工程における好ましい実施態様について、以下説明する。
酸化処理工程としては、微細有機顔料を酸化剤としての水溶性過酸化物またはその塩の存在下で加熱し、微細有機顔料の表面を酸化処理する工程を含む。
ここで、アニオン性基導入の効率化およびアニオン性基が導入された微細有機顔料の粒子に粒子間の反発性を与えて表面処理の均一性を高める観点から、アルカリ性下で行うことが好ましい。
水溶性過酸化物による微細有機顔料の酸化の程度は、例えば、微細有機顔料あたりの水溶性過酸化物の混合量、反応液中における水溶性過酸化物の濃度、酸化時の処理温度、酸化時の処理時間、攪拌速度などを適宜調整することにより制御することができる。
<水性溶媒>
酸化反応は、液相酸化反応が好ましく、水性溶媒中に微細有機顔料を分散させて行うのが好ましい。
水性溶媒としては、水溶性過酸化物またはその塩が一部溶解する溶媒であれば特に限定されないが、有機顔料の結晶系や結晶形状の変換を抑制する観点からは水が好ましい。
<塩基>
アルカリ性下で酸化処理するために水性溶媒に含有される塩基としては、特に制限されず、公知の有機塩基及び無機塩基を用いることができる。塩基としては、分解性の観点からは、無機塩基を用いるのが好ましい。無機塩基としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、アンモニアなどが挙げられる。
これらの中でも、工業的に入手し易く環境負荷の小さい水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の酸化処理する工程においては、公知の分散剤などの上記以外の他の添加剤を加えて酸化反応処理させてもよい。
水溶性過酸化物の混合量としては、原料である有機顔料100質量部に対して、分散性の向上の観点からは、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、そして、有機顔料の分解を抑制する観点からは、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
水性溶媒中の水溶性過酸化物の濃度としては、過硫酸塩を用いた場合には、通常0.1g/L〜100g/Lである。
塩基の混合量としては、酸化処理時に水性溶媒のpHが中性領域からアルカリ性領域になる量であればよい。具体的には、水性溶媒のpHが、pH7.0〜11.0となるである量が好ましく、pH7.5〜10.5となる量であることがより好ましい。酸化処理時のpHを上記範囲に制御することにより、アニオン性基導入の高効率化および、アニオン性基が導入された微細有機顔料の粒子に粒子間の反発性を与えて表面処理の均一性を高めることができるため、好ましい。また、酸性廃液の廃棄処理も不要となり、低環境負荷の製造方法を提供することができるため、好ましい。
なお、酸化処理時に水性溶媒のpHをモニタリングして、反応液のpHが常に中性領域からアルカリ性領域になるように徐々に塩基を加えてもよいが、簡便に酸化処理を行う上では、使用する塩基の全量を一度に反応系内に加えることが好ましい。
酸化処理工程における処理温度及び処理時間としては、常圧下、水性溶媒として水を用いた場合、温度40〜90℃の範囲で30分〜8時間行うことが好ましい。処理温度が40℃以上であると、水溶性過酸化物による微細有機顔料表面へのアニオン性基の付与が進行し易く、90℃以下であると、生成ラジカルが短時間で消失してしまうことを避けることができ、適度な表面処理を行うことができる。酸化処理により反応熱を生じる場合もあるが、この場合も、処理温度は上記温度範囲内に制御することが好ましい。
また、酸化処理工程は、加圧加温下では酸化反応を加速させることができ、温度110〜160℃の範囲で、1分〜1時間反応することが好ましい。
上記酸化処理工程において、得られる酸化処理された微細有機顔料は、微細有機顔料の表面にアニオン性基が結合してなるものであり、アニオン性基としては、カルボキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、ラクトン基などが挙げられる。
得られた酸化処理された微細有機顔料は、必要に応じて水洗、濾過などを行うことができるが、酸化反応後の水性溶媒に分散された状態のまま、即ち酸化処理顔料分散液のまま、後述する表面処理工程に用いるのが好ましい。
(表面処理工程)
酸化処理工程後、表面処理工程を行う。
酸化処理工程により微細有機顔料の表面にアニオン性基を結合させて分散性を向上させた後に、更に表面処理工程を行うことにより、アニオン性基を効率的に微細有機顔料の表面に導入することができる。
表面処理工程としては、アニオン性基を導入できる方法であれば、特に限定されず、例えば、ロジン処理、界面活性剤処理、誘導体処理、溶剤処理、樹脂処理などが挙げられ、これらを1種または複数組み合わせて用いることができる。これらの中でも、誘導体処理または樹脂処理を用いるのが好ましく、誘導体処理と樹脂処理とを組み合わせるのがさらに好ましい。
<表面処理工程の具体的態様>
表面処理工程における好ましい実施態様について、以下説明する。
本発明の表面処理工程は、酸化処理された微細有機顔料と少なくとも1種類以上のアニオン性表面処理剤とを接触させる工程を含む。
より具体的には、塩基を含有する水性溶媒中に溶解させた少なくとも1種類以上のアニオン性表面処理剤と、酸化処理された微細有機顔料と、を接触させ、表面処理微細有機顔料を含有する溶液を得た後、塩基を中和するための酸を、表面処理微細有機顔料を含有する溶液中のpHが7以下となるまで混合して酸析する工程を含む。
<アニオン性表面処理剤>
アニオン性表面処理剤とは、有機顔料を表面処理するために加えられるアニオン性基を有する処理剤全般を総称していう。本発明のアニオン性表面処理剤は、有機顔料の誘導体及び樹脂を含むものである。
<<有機顔料の誘導体>>
アニオン性表面処理剤として用いられる有機顔料の誘導体としては、置換基としてアニオン性基を有する、有機顔料の誘導体である。有機顔料の誘導体とは、上述したとおり、有機顔料を骨格としてなり、有機顔料の骨格に置換基を付加した顔料誘導体をいう。
具体的には、公知の方法で合成することができるスルホン化銅フタロシアニン、市販のスルホン化銅フタロシアニンとして例えばソルスパース5000、ソルスパース12000(ルーブリゾール製)などを好適に用いることができる。誘導体におけるスルホン酸基の置換基数は0.5〜3.0の範囲が好ましい。上記範囲内であれば有機顔料の耐水性、耐溶剤性の低下を抑制することができるため、好ましい。
<<樹脂>>
アニオン性表面処理剤として用いられる樹脂としては、アニオン性基を有していれば、特に制限されず、例えば、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシ基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸系共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系などが挙げられ、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、有機顔料としてフタロシアニン系顔料を用いる場合、得られる用途特性に優れる点で芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸系共重合体が好ましい。
芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸系共重合体としては、例えばフェニル−(メタ)アクリル酸系共重合体、フェニルエチル−(メタ)アクリル酸系共重合体、フェニルプロピル−(メタ)アクリル酸系共重合体、ベンジル−(メタ)酸系共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体などが挙げられ、これらの中でも、スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体が好ましい。
なお、本発明においては、アクリル酸とメタアクリル酸との両方を包含して(メタ)アクリル酸と呼ぶ。
スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体は、スチレンの重合単位と(メタ)アクリル酸の重合単位を必須として含有する共重合体である。
スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体は、(メタ)アクリル酸に基づくカルボキシ基をアニオン性基として含有する。スチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体のスチレンは、狭義のスチレンを意味するのではなく、広義のスチレン系単量体を意味する。すなわち、スチレン系単量体としては、スチレンだけでなくそれと同様の効果をもたらすα−メチルスチレン、tert−ブチルスチレンなども含む。
スチレン−アクリル酸系共重合体としては、市販のスチレン−アクリル酸系共重合体をそのまま使用することができる。例えば、ジョンクリル67(重量平均分子量:12,500、酸価:213)、ジョンクリル678(重量平均分子量:8,500、酸価:215)、ジョンクリル586(重量平均分子量:4,600、酸価:108)、ジョンクリル611(重量平均分子量:8,100、酸価:53)、ジョンクリル680(重量平均分子量:4,900、酸価:215)、ジョンクリル682(重量平均分子量:1,700、酸価:238)、ジョンクリル683(重量平均分子量:8,000、酸価:160)、ジョンクリル690(重量平均分子量:16,500、酸価:240)(以上商品名、BASFジャパン株式会社製)などを好適に用いることができる。
スチレン−アクリル酸系共重合体の分子量は、重量平均分子量として1,000〜100,000の範囲であることが好ましく、3,000〜10,000の範囲であることがより好ましい。この重量平均分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。重量平均分子量が上記範囲であれば、吸着量が適切に維持され、顔料が安定的に分散し、粘度の調整が容易であるため、好ましい。
スチレン−アクリル酸系共重合体の酸価は、30〜350の範囲であることが好ましく、50〜300の範囲であることがより好ましい。酸価が上記範囲であれば、有機顔料への樹脂吸着量が適切に維持され分散性が安定的に確保できるため、好ましい。
<塩基>
表面処理工程においては、中和剤としての塩基を添加してもよい。表面処理工程に用いられる塩基としては、例えば、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。これらの中でも、不揮発性である水酸化ナトリウムが好ましい。
<水性溶媒>
水性溶媒としては、顔料の誘導体および樹脂が一部溶解する溶媒であれば特に限定されないが、有機顔料の結晶系や結晶形状の変換を抑制する観点からは好ましくは水である。
<酸析処理に用いられる酸>
酸析処理に用いられる酸としては、例えば塩酸、硫酸、燐酸、硝酸などの無機酸類や、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸類などが使用できる。これらの中でも、排水中の有機物が少なく、かつ、酸析効果も大きい塩酸、硫酸が好ましく、塩酸がより好ましい。
有機顔料によっては酸によって分解されるものもあるため、酸析時のpHは7以下であればよいが、pH1〜6の範囲が好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の表面処理工程においては、公知の分散剤などの上記以外の他の添加剤を加えてもよい。
本発明の表面処理工程としては、有機顔料の誘導体による誘導体処理と樹脂による樹脂処理の両処理法を用いるのが好ましい。即ち、酸化処理工程により得られた酸化処理顔料分散液に、有機顔料の誘導体と、樹脂とを、両方加えて混合して処理するのが好ましい。この場合、有機顔料の誘導体による誘導体処理が樹脂処理より先に処理しても構わないし、その逆でも構わない。即ち、表面処理工程における処理の順番は問わない。
また、有機顔料の誘導体と樹脂とはそれぞれ別個に酸化処理顔料分散液と混合してもよいし、有機顔料の誘導体と樹脂とを含有する溶液を調製して一括して酸化処理顔料分散液と混合してもよい。
有機顔料の誘導体の混合量としては、原料である有機顔料100質量部に対して、分散性の向上の観点からは、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、有機顔料の分解を抑制する観点からは、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
樹脂の混合量としては、有機顔料100質量部に対して、分散性の向上の観点からは、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、有機顔料の分解を抑制する観点からは、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
塩基の混合量としては、表面処理時に水性溶媒のpHが中性領域からアルカリ性領域になる量であればよい。具体的には、水性溶媒のpHが、pH7.0〜11.0となるである量が好ましく、pH7.5〜10.5となる量であることがより好ましい。
表面処理の処理温度及び処理時間としては、室温で1分〜8時間行うことが好ましい。
酸析処理に用いられる酸の混合量としては、酸析時に水性溶媒のpHが酸性領域から中性領域になる量であればよい。具体的には、水性溶媒のpHが、pH7以下となる量が好ましく、pH1〜6となる量であることがより好ましい。
酸析後、必要に応じて濾過および水洗を行って、乾燥することにより、表面処理微細有機顔料を得る。濾過方法としては、吸引濾過、加圧濾過、遠心分離など公知の方法が使用できる。
本発明の製造方法により得られる表面処理微細有機顔料を用いた有機顔料組成物は、着色力確保の観点から、有機顔料組成物全量のうち有機顔料が75%以上含有することが好ましく、80%以上がより好ましく、特に85%以上がより好ましい。
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、低環境負荷で、微細且つ易分散性を有する表面処理微細有機顔料を得ることができる。
本発明の製造方法により得られる表面処理微細有機顔料は、インクジェット記録用インクやカラーフィルタ等の用途に好適であるほか、例えば、インクジェット記録用以外の印刷用インク、塗料、着色樹脂成型品、静電荷像現像用トナー等の用途にも使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」及び「%」はいずれも質量基準である。
(実施例1)
<微細有機顔料を得る工程>
銅フタロシアニン35部(DIC株式会社製、Fastogen Blue 5380E)を95%濃硫酸100mLに加えて溶解し有機顔料溶液を得た。
図1に示す連続混合装置を用いて、有機顔料溶液をプランジャーポンプ(UI−12−410D、株式会社フロム社製)で40mL/min、貧溶媒としての水をプランジャーポンプ(NP−KX−820D、日本精密科学株式会社製)で380mL/minで送液し、ハステロイ製マイクロスワールミキサー(株式会社杉山商事による市販のSUS316製スワールミキサー6−1/16YSM−0.8−0.5−Sと同じ流路構造)で混合した。
この混合液をろ過し、得られた内容物を大過剰の水で洗浄、濾過し、濾液の比電導度が原水の比電導度+20μS/cm以下となるまで水洗することによって、含水顔料ケーキであるウェットケーキを得た。
<酸化処理工程>
次いで、有機顔料2.64部を含むウェットケーキを純水200部に再分散し、過硫酸ナトリウム0.4部(関東化学株式会社製)を加えた。マグネチックスターラーで撹拌および水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製)を加えてpH10以上に調整しながら、80℃で3時間加熱し、酸化処理させることによって、酸化処理顔料分散液を得た。
<表面処理工程>
次いで、純水50部にソルスパース12000(ルーブリゾール社製、スルホン化銅フタロシアニン誘導体)0.21部とジョンクリル683(BASF社製、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体)0.15部と水酸化ナトリウムでpH10以上とした表面処理剤含有液を酸化処理顔料分散液に滴下し、さらに0.5時間撹拌した。攪拌後、10%塩酸水溶液をpH2以下になるまで滴下し有機顔料表面に誘導体と樹脂を析出させた。この液を大過剰の水で洗浄、濾過し、濾液の比電導度が原水の比電導度+20μS/cm以下となるまで水洗し、ろ過物を90℃で15時間乾燥することで表面処理微細有機顔料を得た。
(分散粒子径の評価)
表面処理微細有機顔料1.98部をポリビンに入れ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)9.99部、DISPERBYK LPN21116(ビックケミー株式会社製)3.13部、0.3−0.4mmφセプルビーズ(サンゴバン株式会社製)34.2部を加え、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で4時間分散し、表面処理微細有機顔料分散液(有機顔料組成物として12重量%)を得た。分散時に、顔料分散液の凝集、ゲル化は見られなかった。
得られた表面処理微細有機顔料分散液をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル化学工業株式会社製)で希釈し、粒径分布測定装置(HORIBA社製動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550)で分散粒径を測定した。分散粒径D50は51.4nmであった。
(実施例2)
実施例1のジョンクリル683の代わりにジョンクリル690(BASF社製、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、表面処理微細有機顔料を得た。分散時に、顔料分散液の凝集、ゲル化は見られなかった。分散粒径D50は51.1nmであった。
(実施例3)
実施例1の過硫酸ナトリウムの代わりに過硫酸カリウム(関東化学株式会社製)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、表面処理微細有機顔料を得た。分散時に、顔料分散液の凝集、ゲル化は見られなかった。分散粒径D50は52.6nmであった。
(実施例4)
実施例1のソルスパース12000の代わりにスルホン化銅フタロシアニン(DIC株式会社製、平均置換基数0.8)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、表面処理微細有機顔料を得た。分散時に、顔料分散液の凝集、ゲル化は見られなかった。分散粒径D50は56.0nmであった。
(実施例5)
実施例4のジョンクリル683のかわりにジョンクリル690を用いたこと以外は実施例4と同様にして、表面処理微細有機顔料を得た。分散時に、顔料分散液の凝集、ゲル化は見られなかった。分散粒径D50は52.3nmであった。
(比較例1)
酸化処理する工程を行わず、その他は実施例1と同様に行った。分散時に顔料分散液が凝集、ゲル化した。ゲル化物を採取、希釈して分散粒径を評価したところ、分散粒径D50は72.3nmであった。
(比較例2)
酸化処理する工程を行わず、その他は実施例1と同様に行った。分散時に顔料分散液が凝集、ゲル化した。ゲル化物を採取、希釈して分散粒径を評価したところ、分散粒径D50は69.3nmであった。
(比較例3)
酸化処理する工程を行わず、その他は実施例1と同様に行った。分散時に顔料分散液が凝集、ゲル化した。ゲル化物を採取、希釈して分散粒径を評価したところ、分散粒径D50は69.5nmであった。
Figure 2020132706
実施例1〜5の方法により製造された表面処理微細有機顔料は、表1に示されるように、分散時に、顔料分散液の凝集、ゲル化は見られず、優れた分散性を有していることが分かる。さらに、50nm程度の微細な粒径の有機顔料が得られていることが分かる。
(表面処理微細有機顔料の利用例)
実施例1で得られた、表面処理微細有機顔料分散液2.00部、ユニディックZL−295(DIC株式会社製アクリル樹脂)1.02部を、ペイントコンディショナーで混合することで、カラーフィルタ用青色画素部を形成するための評価用組成物を得た。
この評価用組成物をソーダガラスにスピンコートし、90℃で3分加熱し、カラーフィルタを得た。このカラーフィルタの色度y=0.110のコントラストを測定すると6200であり、高いコントラストが得られることから、本実施形態にて得られる顔料はカラーフィルタなどの高機能顔料用途して用いることができることが分かる。
1 有機顔料溶液が入っている温度制御可能な容器
2 貧溶媒が入っている温度制御可能な容器
3 プランジャーポンプ
4 プランジャーポンプ
5 ミキサー
6 恒温槽
7 PTFE製のチューブ
8 受け容器

Claims (6)

  1. 微細有機顔料と少なくとも1種類以上のアニオン性表面処理剤とを接触させることにより、前記微細有機顔料の表面にアニオン性基が導入された表面処理微細有機顔料の製造方法であって、前記微細有機顔料と少なくとも1種類以上の前記アニオン性表面処理剤とを接触させる工程の前に、予め前記微細有機顔料の表面を酸化処理する工程を含む、表面処理微細有機顔料の製造方法。
  2. 少なくとも1種類以上の前記アニオン性表面処理剤が、芳香族ビニル−(メタ)アクリル酸系共重合体を含む、請求項1記載の表面処理微細有機顔料の製造方法。
  3. 前記酸化処理する工程は、前記微細有機顔料を水溶性過酸化物またはその塩の存在下で加熱し、前記微細有機顔料の表面を酸化処理する、請求項1または2記載の表面処理微細有機顔料の製造方法。
  4. 少なくとも1種類以上の前記アニオン性表面処理剤が、置換基としてアニオン性基を有する、有機顔料の誘導体を含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の表面処理微細有機顔料の製造方法。
  5. 前記微細有機顔料と少なくとも1種類以上の前記アニオン性表面処理剤とを接触させる工程は、
    塩基を含有する水性溶媒中に溶解させた少なくとも1種類以上の前記アニオン性表面処理剤と、前記酸化処理された前記微細有機顔料と、を接触させ、表面処理微細有機顔料を含有する溶液を得た後、前記塩基を中和するための酸を、前記表面処理微細有機顔料を含有する溶液中のpHが7以下となるまで混合して酸析する、請求項1〜4のいずれか一項記載の表面処理微細有機顔料の製造方法。
  6. 前記微細有機顔料が、良溶媒に有機顔料を溶解させた有機顔料溶液と、前記良溶媒よりも前記有機顔料に対する溶解度が低い貧溶媒とを混合し、前記有機顔料の粒子を析出させた有機顔料のウェットケーキである、請求項1〜5のいずれか一項記載の表面処理微細有機顔料の製造方法。

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