以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るトイレ用音声案内装置を設置したトイレ室を模式的に表す斜視図である。
図1に示すように、トイレ用音声案内装置10は、トイレ室TRに設置して使用される。トイレ用音声案内装置10は、トイレ室TRに関する情報を音声で案内する。これにより、外国人や目の不自由な方など、トイレ室TRの使い方が分からずに不安な方にも、安心してトイレ室TRを使用させることができる。そして、トイレ用音声案内装置10は、人体検知センサ50、音声入力部52、音声出力部53、および制御部54を有している。
トイレ室TRは、例えば公共施設のトイレ室である。トイレ室TRは、多目的トイレや多機能トイレなどの独立した1つの部屋である。トイレ室TRは、パーティションなどで仕切られた状態で1つの部屋に並べて設けられる、いわゆるトイレブースでもよい。
トイレ室TRには、トイレ用音声案内装置10の他に、例えば大便器12、手洗器16、18、ベビーチェア20、小便器22、および汚物流しユニット24などの機器が設置されている。また、図示しない手洗い乾燥機やベビーシートなどの機器が設けられていてもよい。但し、トイレ室TRに設置される機器は、これらに限ることなく、任意の機器でよい。これら機器は、例えばトイレ室TRの壁側に設けられたライニング30に並んで配設されている。そして、これら機器が配設されていない壁側には、トイレ室TRの出入口1が形成されている。この出入口1には、開閉式のドア2が設けられている。
大便器12は、下方に向けて窪んだボウル部を有する便器本体13と、便器本体13の上に取り付けられた便座装置14とを備えている。便器本体13は、ボウル部において使用者Uの尿や便などの排泄物を受ける。すなわち、大便器12は、洋式腰掛大便器である。便座装置14は、便器本体13に対して一体的に取り付けてもよいし、便器本体13に対して着脱可能に取り付けてもよい。便座装置14は、例えば使用者Uの「おしり」などの洗浄を実現する身体洗浄機能部などを有する。すなわち、便座装置14は、衛生洗浄装置である。便座装置14の上方には、使用者Uの背もたれ15が設けられている。
手洗器16、18は、大便器12や小便器22で用を足した使用者などが手を洗うものである。ベビーチェア20は、大便器12の側方に設けられ、保護者が大便器12などを利用する際などに、一時的に乳幼児を座らせておけるようにするための椅子である。また、小便器22は、使用者Uの尿を受けるもので、ベビーチェア20の側方に設けられている。そして、汚物流しユニット24は、小便器22の側方に設けられ、オストメイトの方が排泄物などの汚物を処理するための器具である。
また、トイレ室TRには、出入口1に対向する壁側にライニング30が設けられている。ライニング30は、キャビネットやケーシングなどと呼ばれる場合もある。ライニング30には、大便器12、背もたれ15、手洗器16、18、ベビーチェア20、小便器22、および汚物流しユニット24などの機器が設けられている。
また、ライニング30のうち、大便器12側を向く側面には、呼出ボタン32、操作リモコン34、便器洗浄ボタン36などの操作部が設けられている。呼出ボタン32は、緊急時などに異常事態の発生を外部に連絡するための操作部である。操作リモコン34は、身体洗浄機能部の動作などを便座装置14に指示するための操作部である。操作リモコン34は、例えば止めボタン、おしり洗浄ボタン、ビデ洗浄ボタンなどの複数の操作ボタンを有する。便器洗浄ボタン36は、大便器12を洗浄するための操作部である。便器洗浄ボタン36を操作することにより、大便器12のボウル部に洗浄水が供給され、大便器12のボウル部が洗浄される。
ライニング30の大便器12側を向く側面には、トイレットペーパーを保持するための紙巻器38がさらに設けられている。紙巻器38は、大便器12に着座した使用者Uの手が届く範囲に配置されている。紙巻器38は、例えば便器洗浄ボタン36の下方に配置されている。
図2は、トイレ用音声案内装置を表すブロック図である。
トイレ用音声案内装置10は、音声入力部52、音声出力部53、人体検知センサ50、および制御部54を備えている。それに加えて、トイレ用音声案内装置10は、着座検知センサ51を有している。人体検知センサ50、着座検知センサ51、音声入力部52、音声出力部53、および制御部54は、ケーシング40内に設けられた1つのユニットとして構成されている。トイレ用音声案内装置10は、例えば大便器12の周辺に設けられている。具体的には、トイレ用音声案内装置10は、使用者Uが大便器12に着座したときの左側方にずらした位置に設けられている。
人体検知センサ50は、ケーシング40内に設けられている。この人体検知センサ50は、トイレ室TRの使用者Uを検知するセンサとなっている。人体検知センサ50は、使用者Uのトイレ室TRへの入室、使用者Uの大便器12の近傍への移動、および使用者Uのトイレ室TRからの退室などの使用者Uの特定の状態を検知する。すなわち、図1に示すように、人体検知センサ50は、使用者Uが第1位置Aにいるときに、使用者Uがトイレ室TRへ入室したことを検知している。また、人体検知センサ50は、例えば使用者Uが便器近傍位置Cないし手洗器近傍位置Dにいることを検知している。なお、人体検知センサ50の検知する使用者Uの状態(位置情報)は、上記に限ることなく、使用者Uの任意の状態でよい。
人体検知センサ50には、例えばマイクロ波センサを用いることができ、出入口1に向けて電波を照射している。なお、人体検知センサ50は、赤外線投受光式の測距センサ、焦電センサなどを用いてもよい。人体検知センサ50は、1つのセンサなどで構成してもよいし、複数のセンサなどを組み合わせて構成してもよい。人体検知センサ50は、例えば使用者Uの複数の状態に対応した複数のセンサなどを有してもよい。人体検知センサ50は、制御部54に接続され、使用者Uの検知結果(位置情報)を制御部54に向けて出力する。
着座検知センサ51は、ケーシング40内に設けられている。この着座検知センサ51は、使用者Uが大便器12に着座する直前において便器本体13の上方に存在する人体や、便器本体13に着座した使用者Uを検知することができる。すなわち、着座検知センサ51は、トイレ室TRの使用者Uを検知するセンサとなっている。このような着座検知センサ51としては、例えば赤外線投受光式の測距センサを用いることができる。なお、着座検知センサ51は、例えばマイクロ波センサ、焦電センサなどを用いてもよい。着座検知センサ51は、使用者Uの着座の検知に応答して、着座の検知を表す信号を制御部54に出力する。
音声入力部52は、ケーシング40内に設けられている。この音声入力部52は、使用者Uが発した音声を集音するマイクロフォン(マイク)である。音声入力部52は、制御部54に接続され、集音した音声データ(使用者Uが発した音声信号)を制御部54に出力する。
音声出力部53は、ケーシング40に設けられている。この音声出力部53は、例えばスピーカであり、音声を出力するものである。音声出力部53は、制御部54に接続され、制御部54から出力される指令信号に基づき、特定の音声をトイレ室TR内に出力する。この場合、特定の音声とは、使用者Uにより選択された言語でのトイレ室TR内の機器の説明や注意事項などである。
制御部54は、例えばマイクロコンピュータからなり、トイレ室TRの音声案内の制御処理を行う。制御部54は、音声入力部52に入力された音声を識別するとともに、識別した音声に基づいて所定の言語を設定し、所定の言語で音声出力部53から室内用音声を出力させる。また、制御部54は、人体検知センサ50が第1位置A(使用者Uの入室)を検知した場合に、音声出力部53から音声入力部52への入力言語の情報を発信するとともに、音声入力部52へ入力された音声に基づき所定の言語を設定する言語選択制御を行う。入力言語の情報は、英語、中国語、韓国語、および日本語などの複数の言語により順番に行われるように構成されている。このために、制御部54は、音声案内の制御処理を行うためのプログラムが記憶されたROM、RAMなどの記憶部55を有している。なお、音声出力部53から発信される入力言語の情報は、1ヶ国語(例えば、英語)によりなされてもよい。この場合、所定の言語の設定は、複数の言語に基づき判定してもよい。
複数の言語および所定の言語とは、例えば英語、中国語、韓国語、および日本語などであり、トイレ室TRのガイドが可能な言語をいう。なお、複数の言語および所定の言語は、これに限らず例えばフランス語、イタリア語などの他の言語を含んでいてもよい。室内用音声とは、トイレ室TRの種々の機器の配置や使用方法や注意情報である。一例を挙げると、「便器洗浄ボタンは、ペーパの上の大きいボタンです。」などの操作部の使用方法であったり、「ペーパーをゴミ箱に捨てずに、大便器に流して下さい。」などの注意喚起であったりする。
制御部54は、人体検知センサ50が使用者Uの第1位置Aを検知したときに、例えば「英語、中国語、韓国語、日本語から言語を選択してください。」という案内を英語、中国語、韓国語、日本語でそれぞれ案内する。そして、制御部54は、使用者の発声に基づき、室内用音声の言語を英語、中国語、韓国語、および日本語から設定する。すなわち、制御部54は、使用者Uが何語でトイレ室TRの案内(ガイド)を望んでいるかを判定する。
一例を挙げると、使用者Uが入力言語として記憶部55に記憶された「イングリッシュ」や「エイゴ」と発声した場合には、制御部54は使用者Uが英語での案内を望んでいると判定する。そして、制御部54は、使用者Uがトイレ室TRから退室するまでは音声出力部53から英語で室内用音声(案内)を発信させる。入力言語は、例えば「イングリッシュ」、「チャイニーズ」、「コリアン」、および「ジャパニーズ」など、使用者Uが案内言語を設定するための言語として記憶部55に記憶されている。
制御部54は、人体検知センサ50と着座検知センサ51との検知に基づいて、使用者Uの位置を識別するとともに、識別した位置に応じて音声出力部53から出力される室内用音声を切替える切替制御を行う。具体的には、制御部54は、例えば使用者Uが位置Bにいること(すなわち、着座していること)を着座検知センサ51が検知しているときには、「便器洗浄ボタンは、ペーパーの上の大きいボタンです。」、「呼出(緊急)ボタンは、一番手前のボタンです。」、および「手洗器は、左前方にあります。」などの大便器12を使用しているときの情報を設定された言語で行う。
そして、制御部54は、使用者Uが離座して位置Cにいることを人体検知センサ50および着座検知センサ51が検知しているときには、例えば「便器は自動で流れます。もう一度流す場合は、ペーパーの上の大きいボタンを押してください。」や「手洗器は、ボタンのある壁の前方にあります。」など離座したときの情報を設定した言語で行う。また、使用者Uが位置Dにいることを人体検知センサ50が検知しているときには、例えば「手洗器は、自動で水が出ます。」など手洗器18の情報を設定された言語で行う。これら情報(案内)は、各位置A〜Dに対応して記憶部55に格納されている。
この場合、図1に点線で示す位置B、C、Dは、本発明の第2位置を構成している。なお、第2位置は、これに限らず、第1位置A以外の他の部分でもよい。すなわち、第2位置は、使用者Uの入室を検知する第1位置Aとは異なる部分となっている。このように、制御部54は、使用者Uの位置を監視して使用者Uの状態(位置)により、室内用音声の情報を切替える。なお、室内用音声は、各言語によりその内容が異なるものとしていてもよい。すなわち、各使用者Uの母国での文化の違いなどから、例えば各機器の説明と注意事項の説明との順番が逆に行われるなど、その説明内容が異なっていてもよい。また、例えば日本語で行われない説明や注意を、他の言語では行ってもよい。
制御部54は、人体検知センサ50および着座検知センサ51による使用者Uの検知位置にかかわらず、音声出力部53から所定の言語で便器洗浄ボタン36の情報を出力する。すなわち、制御部54は、使用者Uが第1位置Aにいることを検知(入室を検知)したときおよび使用者Uが第2位置(例えば、位置B〜D)にいることを検知したときのいずれの位置でも便器洗浄ボタン36の説明を設定された言語で行う。これにより、使用者Uに使用頻度の高い便器洗浄ボタン36の説明をより確実に行うことができ、使用者Uに便器洗浄ボタン36の位置、使用方法などを周知させることができる。
また、制御部54は、操作検出部61が機器の操作を検出した場合に、音声出力部53から発信される機器の説明を中止する。すなわち、例えば操作検出部61が操作リモコン34のおしり洗浄ボタンの操作や便器洗浄ボタン36の操作を検出した場合に、音声出力部53から発信されるおしり洗浄機能や便器洗浄ボタン36の説明を中止する。すなわち、制御部54は、既に使用している機器の説明は不要であると判断して、その使用されている機器の説明を中止する。
これにより、室内用音声の説明を短くすることができ、使用者Uの行動にあわせた案内をすることができる。この場合、例えば機器の停止ボタンを押した場合には、誤って操作された場合も考えられるので、その停止ボタンの説明は中止しなくてもよい。また、緊急時に操作される呼出ボタン32は、説明を中止することなく案内を行うようにしてもよい。このように、説明を中止する機器については、任意に設定することができる。
このような室内用音声による各位置での案内は、言語選択制御により所定の言語が設定された後に行われる。すなわち、制御部54は、人体検知センサ50が第1位置Aを検知した後に、人体検知センサ50や着座検知センサ51が第1位置Aとは異なる第2位置(例えば、位置B〜D)を検知した場合に、言語選択制御が完了した後に切替制御を行う。換言すると、制御部54は、言語選択がなされていない場合には、使用者Uが第2位置にいる場合でも案内を開始しないようになっている。これにより、第2位置で使用者Uの理解できない言語により説明が始まるのを抑制することができるとともに、使用者Uにより確実に言語選択をしてもらうことができる。
この場合、制御部54は、言語選択制御を所定回数(1回以上)実行後に所定の言語が識別不可の場合に、任意に設定した言語で室内用音声を出力する。すなわち、例えば使用者Uが言語を設定するための音声を発しなかったり、音声を発したとしても制御部54がその音声を認識できなかったりした場合には、使用者Uに言語選択を行うことを所定回数促す。そして、制御部54は、所定の言語を認識できなかったら、あらかじめ決められた言語(例えば、日本語)を設定する。これにより、使用者Uによる入力言語の発声がなくても確実に言語選択がなされる。従って、何度も同じ案内を使用者Uが聞かなくてもよいため、使用者Uがリラックスした状態でトイレ室TRを使用できる。
そして、制御部54は、所定の言語が設定されたときには人体検知センサ50および着座検知センサ51の検知に応じた室内用音声を出力する。すなわち、例えば第2位置である位置B(着座位置)で言語選択がなされた場合には、大便器12に着座したことにより案内すべき音声を設定された所定の言語で流す。また、第2位置である位置Dで言語選択がなされた場合には、手洗器18で案内すべき音声を設定された所定の言語で流す。これにより、使用者Uの位置(状態)にあった説明がなされるので、トイレ室TRを使用する使用者Uの利便性、安心性を向上することができる。
通信部56は、便座装置14と通信を行う。通信部56は、制御部54と接続されている。通信部56は、制御部54から入力された制御信号を便座装置14に送信するとともに、便座装置14から受信した制御信号を制御部54に入力する。通信部56と便座装置14との間の通信は、有線でもよいし無線でもよい。
便座装置14は、制御部60と、通信部62とを有する。制御部60は、便座装置14の各部を統括的に制御する。制御部60は、操作リモコン34と接続されており、操作リモコン34から入力された操作指示に基づいて各部の動作を制御する。また、制御部60は、呼出ボタン32および便器洗浄ボタン36とも接続される。制御部60は、呼出ボタン32、操作リモコン34、および便器洗浄ボタン36が操作されたことを検出する操作検出部61を有している。制御部60は、操作検出部61が呼出ボタン32、操作リモコン34、および便器洗浄ボタン36の操作を検出した場合に、各機器の操作指示を通信部56、62を介してトイレ用音声案内装置10の制御部54に出力する。なお、操作検出部61は、呼出ボタン32、操作リモコン34、および便器洗浄ボタン36の操作を検出する場合に限らず、トイレ室TRの他の機器の操作を検出してもよい。また、操作検出部61は、制御部60とは別個に設けられていてもよい。
通信部62は、トイレ用音声案内装置10の通信部56と通信する。通信部62は、制御部60と接続され、制御部60から入力された制御信号をトイレ用音声案内装置10に送信するとともに、トイレ用音声案内装置10から受信した制御信号を制御部60に入力する。なお、通信部56、62は、双方向の通信を行うものに限らない。通信部56、62は、少なくとも便座装置14からトイレ用音声案内装置10への制御信号の送信を行えるものであればよい。また、トイレ用音声案内装置10と便座装置14との間の通信が必要ない場合には、通信部56、62は、省略してもよい。通信部56、62は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
このように、トイレ用音声案内装置10の制御部54は、呼出ボタン32、操作リモコン34、便器洗浄ボタン36などのトイレ室TRに設けられた各操作部の操作に関連する情報を受信可能に構成されている。なお、トイレ室TRに設けられる各機器の操作部は、上記に限ることなく、任意の操作部でよい。また、各操作部の操作に関連する情報は、便座装置14を介することなく、各機器(操作部)からトイレ用音声案内装置10に直接的に入力してもよい。この場合、操作検出部61は、トイレ用音声案内装置10に設けられる。制御部54における各操作部の操作に関連する情報の受信方法は、各操作部の操作に関連する情報を適切に受信することができる任意の方法でよい。
本実施形態によるトイレ用音声案内装置10は、上述の如き構成を有するもので、次にトイレ用音声案内装置10の作動について説明する。
図3は、図2中の制御部が行う言語選択および室内用音声の制御を表す流れ図である。
図4は、言語選択制御を表す流れ図である。
図3、図4に示す流れ図の各ステップは、それぞれ「S」という表記を用い、例えばステップ1を「S1」として示すものとする。また、図3、図4の制御処理は、記憶部55に格納されており、例えばトイレ用音声案内装置10に通電している間、所定の制御周期で繰り返し実行される。
まず、S1では、使用者Uが第1位置Aにいるか否かを判定する。すなわち、制御部54は、トイレ室TRへ入室した状態か否かを人体検知センサ50の検知により判定する。そして、S1で「YES」、すなわち使用者Uが第1位置Aにいると判定した場合には、S3に進む。一方、S1で「NO」、すなわち使用者Uが第1位置Aにいないと判定した場合には、S2に進む。この場合、S1で「NO」の場合は、使用者Uがトイレ室TRに入室後に、他の位置に移動したことを意味している。
S2では、言語選択制御が完了しているか否かを判定する。すなわち、制御部54は、室内用音声を行うために、例えば英語、中国語、韓国語、および日本語などの複数の言語のうち所定の言語が設定されているか否かを判定する。そして、S2で「YES」、すなわち所定の言語が設定されていると判定された場合には、S5に進む。一方。S2で「NO」、すなわち所定の言語が設定されていないと判定された場合には、S3に進む。
S3では、言語選択制御を実行する。このS3では、図4に示す言語選択制御が実行される。制御部54は、入室した使用者Uに対して、複数の言語により室内用音声の言語を選択させる旨の情報を音声出力部53から発信させる。換言すると、制御部54は、使用者Uがトイレ室TRのガイドを何語で望むかを確認する。この場合、音声出力部53は、例えば「英語、中国語、韓国語、日本語から言語を選択してください。」という案内を英語、中国語、韓国語、日本語の順番で発信する。
そして、制御部54は、使用者Uの発声に基づき、室内用音声で使用される言語の判定を行う。この場合、制御部54は、使用者Uの発声と記憶部55に記憶された入力言語とを対応させて言語判定を行い、室内用音声の言語を設定する。制御部54は、例えば使用者Uが「イングリッシュ」や「エイゴ」などと発声した場合には、英語での音声案内を望んでいると判定する。また、制御部54は、例えば使用者Uが「ジャパニーズ」や「日本語」などと発声した場合には、日本語での音声案内を望んでいると判定する。
次のS4では、設定した言語による便器洗浄ボタンのガイドを実行する。すなわち、制御部54は、室内用音声として設定された言語で、「便器洗浄ボタンは、ペーパの上の大きいボタンです。」、「その他は、便器に座った後に案内します。」などのガイドを行い、エンドとなる。
S5では、使用者Uが位置Bにいるか否かを判定する。この場合、位置Bは、例えば大便器12への着座位置となっている。制御部54は、着座検知センサ51が使用者Uの大便器12への着座を検知したか否かを判定する。そして、S5で「YES」、すなわち使用者Uが位置Bにいると判定した場合には、S6に進む。一方、S5で「NO」、すなわち使用者Uが位置Bにいないと判定した場合には、S8に進む。
S6では、設定した言語による位置Bのガイドを実行する。すなわち、制御部54は、例えば「呼出(緊急)ボタンは、一番手前のボタンです。」、「呼出ボタンの隣にあるのが、おしり洗浄ボタン、ビデ洗浄ボタンなどの操作リモコンです。」、「手洗器は、左前方にあります。」などの使用者Uが大便器12に着座しているときの情報を設定された言語で行い、S7に進む。そして、S7では、例えば「便器洗浄ボタンは、ペーパの上の大きいボタンです。」などの便器洗浄ボタン36のガイドを行い、エンドとなる。
S8では、使用者Uが位置Cにいるか否かを判定する。この場合、位置Cは、例えば大便器12への離座位置となっている。制御部54は、着座検知センサ51が使用者Uの大便器12への離座を検知したか否かを判定する。そして、S8で「YES」、すなわち使用者Uが位置Cにいると判定した場合には、S9に進む。一方、S8で「NO」、すなわち使用者Uが位置Cにいないと判定した場合には、S11に進む。なお、例えば使用者Uが位置Cにいるか否かの判定を、位置Bや位置Dの検知情報に基づいて推測して行ってもよい。換言すると、所定の位置にいるか否かの判定を、他の位置の検知情報に基づいて推測してもよい。
S9では、設定した言語による位置Cのガイドを実行する。すなわち、制御部54は、例えば「便器は、自動で流れます。」や「手洗器は、左前方にあります。」などの使用者Uが大便器12から離座したときの情報を設定された言語で行い、S10に進む。そして、S10では、例えば「便器洗浄ボタンは、ペーパの上の大きいボタンです。」や「もう一度流す場合は、ペーパーの上の大きいボタンを押してください。」などの便器洗浄ボタン36のガイドを行い、エンドとなる。
S11では、使用者Uが位置Dにいるか否かを判定する。この場合、位置Dは、例えば手洗器18の使用位置となっている。制御部54は、使用者Uが位置Dにいるか否かを人体検知センサ50の検知により判定する。そして、S11で「YES」、すなわち使用者Uが位置Dにいると判定した場合には、S12に進む。一方、S11で「NO」、すなわち使用者Uが位置Dにいないと判定した場合には、エンドとなる。
S12では、設定した言語による位置Dのガイドを実行する。すなわち、制御部54は、例えば「手洗器は、自動で水が出ます。」などの使用者Uが手洗器18を使用するときの情報を設定された言語で行い、S13に進む。そして、S13では、例えば「便器洗浄ボタンは、ペーパの上の大きいボタンです。」などの便器洗浄ボタン36のガイドを行い、エンドとなる。
このように、本実施形態では、室内用音声の言語が設定される前に使用者Uが機器に移動したとしても、その機器の説明を開始しないようになっている。これにより、使用者Uが理解できない言語で音声案内が開始されるのを抑制することができる。また、使用者Uに室内用音声の言語を効率よく設定してもらうことができる。
なお、S4、S7、S10、S13での便器洗浄ボタン36の説明は、全てのステップで同じ内容である必要はなく、その位置に応じた便器洗浄ボタン36の情報としてもよい。すなわち、便器洗浄ボタン36の位置や操作方法などの説明の順番や表現を、適宜変更して説明するようにしてもよい。
また、S6、S7、S9、S10、S12、S13においては、制御部54により使用者Uが使用(操作)した機器を監視して、各機器の説明がなされる前に操作がなされた機器についてはその機器の説明を中止(省略)してもよい。例えば、S7、S10、S13では、便器洗浄ボタン36の情報を発信しているが、既に便器洗浄ボタン36が使用されているような場合には便器洗浄ボタン36の説明を中止(省略)してもよい。また、手洗器16、18、ベビーチェア20、小便器22、および汚物流しユニット24などの機器が使用されている場合にも、これら機器の説明を中止(省略)してもよい。これにより、使用者Uにわずらわしさを与えるのを抑制することができる。
次に、図3中のS3で実行される言語選択制御について、図4を参照して説明する。
まず、S21では、発声を促すガイドを実行する。すなわち、制御部54は、音声出力部53から、「英語、中国語、韓国語、日本語から言語を選択してください。」という案内を英語、中国語、韓国語、日本語の順番で発信して、S22に進む。
S22では、言語識別ができたか否かを判定する。すなわち、制御部54は、使用者Uが発声した音声が音声入力部52に入力されて、その音声と記憶部55に記憶された入力言語とが対応するか否かを判定する。そして、S22で「YES」、すなわち言語識別ができたと判定された場合には、S23に進み、識別した言語を室内用音声の言語に設定して、エンドとなる。一方、S22で「NO」、すなわち言語識別ができなかったと判定された場合には、S24に進む。
S24では、再度、発声を促すガイドを実行する。S24は、S21と同様の処理が行われる。制御部54は、室内用音声の言語を設定するための音声が認識できないとして、使用者Uに何語での案内を望むかを再度発信して、S25に進む。
S25では、言語識別ができたか否かを判定する。S25では、S22と同様の処理が行われる。そして、S25で「YES」、すなわち言語識別ができたと判定された場合には、S23に進み、識別した言語を室内用音声の言語に設定して、エンドとなる。一方、S25で「NO」、すなわち言語識別ができなかったと判定された場合には、S26に進む。
S26では、あらかじめ決められた言語を室内用音声の言語に設定する。すなわち、制御部54は、発声を促すガイドおよび言語判定を所定回数(例えば、2回)実行しても、室内用音声の言語が判定できない場合には記憶部55にあらかじめ記憶された言語を室内用音声の言語(例えば、日本語)に設定する。これにより、使用者Uによる入力言語の発声がなくても自動的に言語選択がなされる。従って、何度も同じ案内を使用者Uが聞かなくてもよいため、使用者Uがリラックスした状態でトイレ室TRを使用できる。
なお、この言語は、日本語に限らず英語、中国語、および韓国語など他の言語でもよい。また、例えば前回設定された言語を記憶部55に記憶しておき、その言語を設定してもよい。このような場合には、例えばトイレ室TRが空港などに設置されている場合に、着便により同じ言語を使用する使用者Uが連続して入室したときに、各使用者Uが言語選択をしなくても理解できる言語でガイドがなされる確率が高くなり、使用者Uの利便性を向上することができる。
かくして、本実施形態によるトイレ用音声案内装置10によれば、第1位置Aから、第2位置(位置B〜D)に移動した場合であっても、言語選択制御が完了するまでは、第2位置に応じた案内を開始しない。これにより、第2位置で使用者Uの理解できない言語により説明が始まるのを抑制することができるとともに、使用者Uにより確実に言語選択をしてもらうことができる。
また、トイレ用音声案内装置10によれば、第2位置で言語選択がなされた場合に、第2位置で案内すべき音声を流す。これにより、使用者Uの位置にあった説明がなされるので、トイレ室TRを使用する使用者Uの利便性、安心性を向上することができる。
また、トイレ用音声案内装置10によれば、使用頻度の高い便器洗浄ボタン36は使用者Uの位置にかかわらず説明する。これにより、使用者Uに便器洗浄ボタン36の説明をより確実に行うことができる。
また、トイレ用音声案内装置10によれば、使用者Uが操作した機器の説明を中止(省略)するので、室内用音声の情報を短くすることができる。また、使用者Uにわずらわしさを与えるのを抑制することができる。
また、このトイレ用音声案内装置10によれば、言語選択制御を所定回数実行しても、使用者Uが言語選択をしなかった場合や音声が認識できなかった場合は、所定の言語で音声案内を開始する。これにより、使用者Uによる入力言語の発声がなくても確実に言語選択がなされる。従って、何度も同じ案内を使用者Uが聞かなくてもよいため、使用者Uがリラックスした状態でトイレ室を使用できる。
なお、上述した実施形態では、発声を促すガイドおよび言語識別の判定を2回行った後に、あらかじめ決められた言語を設定した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば発声を促すガイドおよび言語識別の判定は、1回でもよいし、3回以上でもよい。
また、上述した実施形態では、人体検知センサ50、着座検知センサ51、音声入力部52、音声出力部53、および制御部54がケーシング40内にユニット化されて設けられた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば人体検知センサ50、着座検知センサ51、音声入力部52、音声出力部53、および制御部54を別個に設けてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、トイレ用音声案内装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。