JP2020127399A - 風味改善剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ビール風味飲料を始めとする各種飲食品に対して、自然な発酵感、完熟感、熟成感や風味の複雑さを付与可能な風味改善剤とその製造方法を提供することである。【解決手段】炭素源及び窒素源を含む培地で酵母を培養して得られた酵母発酵液を蒸留し、得られた凝縮液を風味改善剤として利用する。【選択図】なし

Description

本発明は、ビール風味飲料を始めとする各種飲食品に対して、自然な発酵感、完熟感、熟成感や風味の複雑さを付与可能な風味改善剤とその製造方法に関する。
近年、消費者のニーズ、嗜好性の多様化や健康志向に伴い、アルコール、糖質、カロリー、プリン体などを低減した又はこれらを含まないビール風味飲料が人気である。
こうしたビール風味飲料は、製造工程により風味が損なわれてしまうことが知られている。例えば、吸着剤等の処理により糖質やプリン体の含有量を低減させると、ビールらしい風味に寄与する成分まで除去されてしまう。
また、アルコール発酵工程を経ずに製造されたビール風味飲料は、自然な発酵感を欠き、嗜好性が劣ってしまう。そこで、健康志向でありつつも発酵感やビールテイストを損なわないビール風味飲料を提供すべく、種々の提案がされている。
例えば、特許文献1は、リナロールとアセトアルデヒド濃度を調整することによって、未発酵のビール風味飲料に発酵風味(発酵感)を付与または増強できることが記載されている。
また、特許文献2は、チオール基を有する揮発性物質である含硫化合物を含有する香料組成物を、非発酵ビールテイスト飲料に添加することで発酵感を付与可能なことが記載されている。
しかし、特定の香気成分を添加しただけでは、風味のバランスが不自然となってしまうため風味の唐突感や違和感(風味が浮いてしまう感)が生じ、ビール風味飲料への自然な発酵感付与にはまだ課題が残っていると言える。
さらに、最近の飲食品に対する嗜好の多様化を反映して、ビール風味飲料以外の、アルコール風味飲料、乳含有飲食品、果実風味飲食品、コーヒー含有飲食品、発酵調味料やバニラ風味飲食品といった飲食品についても熟成感や発酵感に基づくコクやボリューム感を付与・増強しつつ、飲食品に添加したときに生じる唐突感や違和感(風味が浮いてしまう感)を抑制する食品素材の提供が求められている。
国際公開第2010/79778号 特開2014−61002号公報
本発明は、このような従来のビール風味飲料が有していた問題、並びにアルコール風味飲料、乳含有飲食品、果実風味飲食品、コーヒー含有飲食品、発酵調味料やバニラ風味飲食品における新たな食品素材の要求を解決しようとするものであり、ビール風味飲料、アルコール風味飲料、乳含有飲食品、果実風味飲食品、コーヒー含有飲食品、発酵調味料並びにバニラ風味飲食品に、自然な発酵感、熟成感、自然なコクやボリューム感を付与可能な風味改善剤及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、自然な発酵感、自然な熟成感、コクやボリューム感を付与可能な風味改善剤を探索すべく、炭素源及び窒素源を含む培地で培養して得られた酵母発酵液について検
討した。
その結果、培養後の発酵液は培地臭(蛋白、アミノ酸等を配合した培地を加熱殺菌した際に生じる培地由来の臭み)があることから、そのまま添加した場合はビール風味飲料に好ましくない風味が付与されてしまうが、酵母発酵液の蒸留を行ったところ、得られた凝縮液には培地臭がなく、ビール風味飲料に添加した際に自然な発酵感と自然なコクやボリューム感を付与可能なことを見出した。
さらに、ビール風味飲料以外の飲食品(アルコール風味飲料、乳含有飲食品、果実風味飲食品、コーヒー含有飲食品、発酵調味料、並びにバニラ風味飲食品)に風味改善剤を添加した場合には、熟成感や完熟感の他に、自然なコクやボリューム感を付与し、嗜好性の高い自然な風味付与に寄与することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下に示すとおりである。
〔1〕以下の工程1〜3を含むことを特徴とする、風味改善剤用の酵母発酵液蒸留物の製造方法。
(1)窒素源、炭素源を含有する培地を殺菌する工程1
(2)工程1で殺菌した培地に酵母を接種し培養し、酵母発酵液を得る工程2
(3)工程2で得た酵母発酵液を蒸留し、凝縮液を得る工程3
〔2〕工程3の蒸留が気−液向流接触抽出法を用いた水蒸気蒸留、単蒸留および精密蒸留からなる群より選ばれた蒸留法によるものである上記の製造方法。
〔3〕単蒸留および精密蒸留が減圧蒸留である上記の製造方法
〔4〕上記の製造方法で製造した酵母発酵液蒸留物からなる風味改善剤。
〔5〕上記の風味改善剤を含有する香料組成物。
〔6〕上記の風味改善剤が添加された飲食品。
〔7〕上記の香料組成物が添加された飲食品。
〔8〕飲食品がアルコール風味飲料である上記の飲食品。
〔9〕アルコール風味飲料がビール風味飲料である上記の飲食品。
〔10〕飲食品が乳含有飲食品である上記の飲食品。
〔11〕飲食品が果実風味飲食品である上記の飲食品。
〔12〕飲食品がコーヒー含有飲食品である上記の飲食品。
〔13〕飲食品が発酵調味料である上記の飲食品。
〔14〕飲食品がバニラ風味飲食品である上記の飲食品。
〔15〕以下の工程、
(1)窒素源、炭素源を含有する培地を殺菌する工程1、
(2)工程1で殺菌した培地に酵母を接種し培養し、酵母発酵液を得る工程2、および、
(3)工程2で得た酵母発酵液を蒸留し、凝縮液を得る工程3、
を含む方法で製造された酵母発酵液蒸留物からなることを特徴とする風味改善剤。
〔16〕工程3の蒸留が気−液向流接触抽出法を用いた水蒸気蒸留、または、減圧蒸留である上記の風味改善剤。
本発明の風味改善剤を、風味を改善しようとするビール様飲料に添加すると、ビールらしい発酵感が増強し、風味を改善することができる。特に、本発明の風味改善剤は、ビールらしい発酵感が弱いビール風味飲料に、ビール特有の自然な発酵感を付与することができる。
また、該風味改善剤は、飲食品に添加することで風味に複雑みを付与し、嗜好性の高い
自然な風味とすることができる。
ここで、「風味の複雑み」は、(a)コク(深みのある味わい)、ボリューム等の濃厚感、(b)香料を添加することで生じる風味の唐突感・違和感(風味が浮いてしまう)をなじませることを言い、(a)と(b)の効果が同時に発揮されることによって、飲食品の天然感、本物感を増強することが可能となる。すなわち、自然なコクやボリューム感を飲食品に付与できる。
スピニングコーンカラム(SCC)蒸留装置の説明図である。
〔1〕風味改善剤
以下に本発明を詳細に記載する。
本発明では、殺菌を行った炭素源と窒素源を含んだ培地に、前培養を行った酵母を加えて発酵させた後に、加熱して酵母の発酵を停止させ、その発酵液を蒸留処理して得られた凝縮液を、本発明の風味改善剤として得ることができる。
〔1−1〕酵母
本発明で使用する酵母は、限定されないがサッカロミセス(Saccharomyces)属、ジゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)属、カンジダ(Candida)属に属する酵母、好ましくはサッカロミセス属に属する酵母、特にSaccharomyces cerevisiaeを例示することができる。
〔1−2〕培地
本発明の培地は、窒素源、炭素源を含有する。
〔1−2−1〕窒素源
本発明に使用される窒素源は、エキス及びペプトンである。どちらか1種の成分のみを用いてもよく、2種を組み合わせてもよい。さらに、アミノ酸を添加してもよい。
エキスとしては、窒素源やビタミン類を含有するものであればよく、畜肉エキスや魚介エキス、酵母エキスなどが一例として挙げられる。
ペプトンは、蛋白質を酵素で消化して製造されたものであればよく、由来原料に畜肉、牛乳、カゼイン、大豆を使用したものなどが一例として挙げられる。
アミノ酸の例としては、限定されないが、アルギニン、リジン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、プロリン、グルタミン酸、セリン、スレオニン、ロイシン、アスパラギン酸、システイン等が挙げられる。
培地中の窒素源の濃度としては、0.1〜15%、好ましくは0.5〜10%、より好ましくは2〜8%を例示することができる。
〔1−2−2〕炭素源
本発明に使用される炭素源の例としては、糖類が挙げられる。具体的には、
スクロース、グルコース、フルクトース、ガラクトースなどが一例として挙げられる。
培地中の糖類の濃度としては、0.1〜20%、好ましくは0.5〜15%、より好ましくは2〜10%を例示することができる。
〔1−2−3〕その他の成分
培地は、その他の成分を含有していてもよい。例えば、リン酸源、硫黄源、その他の無機塩類、消泡剤などが一例として挙げられる。
〔1−2−4〕培地の殺菌条件
殺菌方法は、レトルト殺菌、UHT殺菌等の加熱殺菌が例として挙げられる。殺菌条件は、酵母発酵液に他の微生物が増殖できない程度に低減できる条件であればよく、温度条件としては120〜150℃を例示することができる。
〔1−3〕培養条件
培養は、酵母の培養に通常用いられる条件で行うことができる。
培養は、液体培地を用いて例えば通気培養、振盪培養等で行うことができる。好ましくは、好気的条件下での通気攪拌培養である。培養温度は、20〜40℃、好ましくは25〜35℃を例示することができる。培地のpHは、5〜7を例示することができる。培養期間は、6〜36時間を例示することができる。このような条件下で培養することにより、酵母が効率的に増殖し、風味に寄与する物質がつくられる。
培地成分の添加方法は、培養開始時に全量を一括して添加する方法、逐次的または連続的に添加して総量として、上記の量となるようにする方法などいずれの方法でもよい。
酵母の前培養の培地及び培養条件は、酵母が増殖する条件であれば特に限定されず、本培養の培地及び培養条件と同一であってもよく、そうでなくてもよい。前培養は、本培養のスケールに合わせ任意の回数で行うことができる。
〔1−4〕発酵液の加熱条件
加熱条件は、酵母の増殖及び発酵が停止する条件であれば特に限定されず、好ましくは60〜100℃、5〜60分間、具体的には80℃で30分を例示することができる。
〔1−5〕その他の付加的条件
酵母発酵液は、蒸留処理を行う前に酵母菌体を取り除く処理を行ってもよい。具体的には、遠心分離、濾過等の処理を挙げることができる。
〔1−6〕蒸留条件
酵母発酵液は、蒸留によって揮発性の香気成分を回収する。
発酵液から蒸留によって香気成分を回収することにより培地臭が感じられない凝縮液を得ることができる蒸留方法としては、気−液向流接触抽出法を用いた水蒸気蒸留、単蒸留、精密蒸留などを例示することができる。
中でも、気−液向流接触抽出法を用いた水蒸気蒸留は、単蒸留、精密蒸留などと比較して、熱履歴(加熱感)が少なく、嗜好性の高い凝縮液を得ることができる点で好ましい。
気−液向流接触抽出法を用いた水蒸気蒸留の条件としては、一例として下記の装置や条件が挙げられる。
当該方法を行うことができる装置の例として、オーストラリア国・フレイバーテック社製のSCC(Spinning Cone Column;スピニング・コーン・カラム)などを挙げることができる。
図1に示すように、回転円錐(Spinning Cone)と固定円錐(Stationary Cone)が交互に組み合わせられた構造を有する気−液向流接触蒸留装置の回転円錐上に、原料を装置上部の流入口から供給して流下させるとともに、装置下部の流入口から水蒸気を供給して上昇させ、原料中の成分は装置上部の排出口から水蒸気と共に装置外部に排出される。これを冷却すれば、凝縮液を回収することができる。
下記に示した条件のうち、原料供給流量、水蒸気供給流量、回収流量については、製造
スケールに応じて適宜最適化を行う。
水蒸気蒸留は常圧または減圧条件下で行うことができる。真空度の条件としては大気圧〜−93kPa、好ましくは大気圧〜−81kPaの範囲である。
原料供給流量:300〜800kg/時
水蒸気供給流量:6〜120kg/時
回収流量:4〜100kg/時
ストリップレート(凝縮液量/仕込み液量):4〜15%
原料供給温度:40〜100℃
真空度:大気圧〜−93kPa
単蒸留または精密蒸留の条件としては、一例として下記条件が挙げられる。蒸留は常圧または減圧条件下で行うことができるが減圧蒸留が好ましい。すなわち、真空度の条件としては大気圧〜−93kPaの範囲、好ましくは−93〜−31kPaの範囲である。
凝縮液量:仕込んだ発酵液に対して4〜15質量%
真空度:大気圧〜−93kPa
生物の代謝産物である酵母発酵液を蒸留して得られた凝縮液には、極めて多数の香気成分が存在すると考えられる。また、香気の強さは成分ごとに大きく異なるので、微量成分が香りや味に大きく影響する場合がある。
しかし、凝縮液に含まれる香気成分を微量成分まで含めて分析し、どのような成分が香りの強さに寄与しているかを特定して凝縮液の構成を明らかにすることは、現在の技術では不可能と考える。凝縮液を構成する微量成分は、極めて多数にのぼること、微量成分の中には、分析機器の検出限界未満の量の化学物質も存在するからである。
従って、酵母発酵液の凝縮液を構造や特性により直接特定することは、技術常識から見て不可能であるか、又はおよそ実際的ではない。
〔2〕風味改善剤を含有する香料組成物
本発明の風味改善剤は、得られた凝縮液をそのまま飲食品に添加することもできるが、本発明の風味改善剤を既存の飲食品用香料と組み合わせて香料組成物とし、それを飲食品に添加してもよい。
香料組成物に使用される香料成分としては、特許庁「周知慣用技術集(香料)第II部 食品用香料」(2000年1月14日発行)等に記載されている各種天然香料、合成香料を本発明の効果を損なわない範囲で、特に制限なく使用することができる。
ビール香料の香料素材としては、ビール香料に一般的に使用される天然香料素材、合成香料素材が用いられ、天然香料素材としては例えば、麦芽エキス、ホップエキス等などを挙げることができる。合成香料素材としては例えば、エチルアセテート、イソアミルアセテート、アセトアルデヒド、エチルブチレート、エチルカプロエート、プロパノール、イソブタノール、エチルヘキサノエート、エチルラクテート、酢酸、フルフラール、リナロール、イソ酪酸、酪酸、フルフリルアルコール、イソ吉草酸、メチオナール、シクロテン、ヘキサン酸、ゲラニオール、2−アセトリピロール、フラネオール、オクタン酸、グアイアコール等を挙げることができる。さらに飲食品に一般的に用いられる着色料、酸化防止剤、保存料等を添加することもできる。
乳系香料の香料素材としては、乳系香料に一般的に使用される天然香料素材、合成香料素材が用いられ、天然香料素材としては例えば、乳脂などの油脂類をリパーゼで加水分解し、脂肪酸を遊離させた酵素フレーバーや、クリーム、粉乳、バターなど牛乳を原料とする加工品からのエキストラクト、乳原料と糖を特定条件下で加熱して得られる加熱処理フレーバー等を挙げることができる。合成香料素材としては、炭素数4〜12の脂肪酸及び
そのメチル、エチルエステル、炭素数6〜14の飽和・不飽和ヒドロキシ酸に由来するδ−、γ−ラクトン類、炭素数5〜15のメチルケトン類、炭素数6〜12の脂肪族アルデヒド類、ベンズアルデヒド、バニリン等の芳香族アルデヒド類、マルトール類、フラノン類、ジアセチル、アセチルプロピオニル等のジケトン類、スルフィド、ジスルフィド、チアゾール類、インドール類等の含硫、含窒素化合物等が挙げられる。
果実香料の香料素材としては、天然原料から採取した各種天然香料(精油、エッセンス、コンクリート、アブソリュート、エキストラクト、オレオレジン、レジノイド、回収フレーバー、炭酸ガス抽出精油等)や特許庁「周知慣用技術集(香料)第II部 食品用香料」(2000年1月14日発行)にフルーツ系フレーバーの香料素材として記載された合成香料等が挙げられる。
コーヒー香料の香料素材としては、天然原料から採取した各種天然香料(精油、エッセンス、コンクリート、アブソリュート、エキストラクト、オレオレジン、レジノイド、回収フレーバー、炭酸ガス抽出精油等)や「印藤元一著「合成香料―化学と商品知識」1996年 株式会社化学工業日報」にコーヒーフレーバーの香料素材として記載された合成香料等が挙げられる。
発酵調味料の香料素材としては、天然原料から採取した各種天然香料(精油、エッセンス、コンクリート、アブソリュート、エキストラクト、オレオレジン、レジノイド、回収フレーバー、炭酸ガス抽出精油等)や1−オクテン−3−オン、(Z)−1,5−オクタジエン−3−オン、4,5−エポキシ−(E)−2−デセナールホモフロノール、フラネオール(HDMF)、ノルフラネオール(HMMF)、4−エチル−2−メトキシフェノール、4−エチルフェノール、メチオノール、マルトール、2−メトキシ−4−ビニルフェノール、メチオナール、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−フラノン等の合成香料等が挙げられる。
アルコール風味飲料の香料素材としては、天然原料から採取した各種天然香料(精油、エッセンス、コンクリート、アブソリュート、エキストラクト、オレオレジン、レジノイド、回収フレーバー、炭酸ガス抽出精油等)や「印藤元一著「合成香料―化学と商品知識」、1996年、株式会社化学工業日報」にワイン、ウイスキー、コニャック、ラム等のアルコール飲料の香料素材として記載された合成香料等が挙げられる。
香料組成物中の風味改善剤の配合量は、凝縮液として0.01〜50%、好ましくは0.1〜20%を例示することができる。
〔3〕風味改善剤の適用対象
本発明の風味改善剤を添加することによって、幅広い飲食物の風味を改善することができる。
〔3−1〕アルコール風味飲料
本発明における、アルコール風味飲料とは、アルコールのような風味、すなわちアルコール特有の香味を有する飲料をいい、アルコール含有有無は問わない。
例えば、ビール(麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの)、チューハイ(焼酎、ジンやウオッカなどの蒸留酒をソフトドリンクで割ったアルコール飲料)、ワインなどの果実酒、ウイスキー(発芽させた穀類、水を原料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの)、ブランデー(果実、水を原料として発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(ウイスキー以外のウイスキー類))、ハイボール(ウイスキーをソーダ水で割ったウイスキー・ソーダや焼酎やウォッカなどをベースとした焼酎ハイボールなど)、焼酎(アルコール含有物を連続式蒸留機で蒸留したもので、アルコール分3
6度未満のしょうちゅう甲類;アルコール含有物を蒸留した酒類で、アルコール分45度以下のしょうちゅう乙類)、カクテル(ベース(基酒)となる酒に、他の酒またはジュースなどを混ぜて作るアルコール飲料のこと。混酒)、梅酒等のアルコール飲料やノンアルコールビール、ノンアルコールチューハイ、ノンアルコールカクテル、ノンアルコールワイン等のノンアルコール飲料を挙げることができる。
〔3−2〕ビール風味飲料
本発明における、ビール風味飲料とは、ビール風味又はビールのような風味を有する飲料をいい、例えば、酒税法で規定される「ビール」、「発泡酒」(麦芽を原料の一部とした酒類で発泡性を有するビール風味の発泡アルコール飲料)、「その他の醸造酒(発泡性)」(原料を麦芽以外の穀物(主に豆類由来)にしたもの)、「リキュール(発泡性)」(発泡酒に別のアルコール飲料(大麦、小麦等を問わない麦由来のスピリッツや焼酎、ウォッカ、ジンなど)を混ぜたもの)の他、清涼飲料として分類されるアルコールフリーのいわゆるノンアルコールビール(ビールテイスト飲料)が挙げられる。
本発明の風味改善剤は、特に発酵感の弱いビール風味飲料に使用することが好ましい。発酵感の弱いビール風味飲料の例としては、発酵工程を経ないで製造した非発酵製法のビール風味飲料、糖質やプリン体の含有量を低減させた機能性ビール飲料などを挙げることができる。
〔3−3〕乳含有飲食品
乳含有飲食品は、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(昭和26年12月27日厚生省令第52号)に規定される乳を含有していれば特に限定されず、例えば、クリーム、バター、バターオイル、ヨーグルトなどの発酵乳、乳酸菌飲料、加工乳、乳飲料、チーズ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、全粉乳、脱脂粉乳、加糖練乳、無糖練乳、濃縮ホエイ、ホエイパウダーなどを挙げることができる。
〔3−4〕果実風味飲食品
果実風味飲食品は、果実の風味を有していれば特に限定されず、果汁または果実を実際に原材料として配合しているかは問わない。
対象となる果実は特に制限はないが、一般に甘く濃厚な香味を有する果実が適しており、そのような果実としてはストロベリー(Fragaria x ananassa)、バナナ(Musa spp.)、パイナップル(Ananas comosus)、ピーチ(Prunus persica) 、グレープ(Vitis spp.)、メロン(Cucumis melo)、アップル(Malus pumila)、チェリー(Prunus avium)、プラム(Prunus salicina)、マンゴー(Mangifera indica)、アプリコット(Prunus armeniaca)、ベリー類(Vaccinium属、Rubus属)、ペアー(和梨(Pyrus pyrifolia)、洋梨(Pyrus communis))、アセロラ(Malpighia emarginata DC)、ライチ(Litchi chinensis)、ウメ(Prunus mume)、ガラナ(Paullinia cupana)、パッションフルーツ(Passiflora edulis)、ビワ(Eriobotrya japonica)等が挙げられる。中でも、ストロベリー、ピーチ、バナナ、パイナップル、マンゴー、ペアー、チェリー、プラム、アプリコット、ベリー類、アセロラが好ましく、ストロベリー、ピーチ、グレープ、パイナップル、ペアー、アプリコット、マンゴーが特に好ましい。
果実風味を有する飲食品としては、例えば、無果汁炭酸飲料、果汁入り飲料、果汁入り炭酸飲料、果汁飲料、果肉飲料(ネクター)、スポーツドリンク、ニアウォーター、乳飲料、乳性飲料、乳酸菌飲料、コーヒー飲料、緑茶、紅茶、ウーロン茶等の飲料を挙げることができる。
さらに、チューハイ、カクテル飲料、リキュール、果実酒などのアルコール系飲料(酒類)を挙げることができる。
上記飲料の他、アイスクリーム、シャーベットなどの冷菓類;栄養食品、ヨーグルト、ゼリー、プリンなどのデザート類;スナック類;クッキー、ケーキ、チョコレート、チュ
ーイングガム、キャンディーなどの菓子類;ラムネ菓子、タブレットなどの錠菓類などを挙げることができる。
〔3−5〕コーヒー含有飲食品
コーヒー含有飲食品は、コーヒー豆から抽出されるコーヒー抽出物を含有していれば、銘柄や産地など特に限定されず、無糖コーヒー、加糖コーヒー、ミルクコーヒー、カフェオレなどのコーヒー飲料、コーヒー風味のアイスクリーム、シャーベットなどの冷菓、インスタントコーヒー等を挙げることができる。
〔3−6〕発酵調味料
発酵調味料は、微生物(麹菌、乳酸菌、酵母など)の代謝を利用した発酵によって製造された調味料であれば特に限定されず、醤油、味噌、みりん等を挙げることができる。
飲食品への添加量は、凝縮液として0.0001〜0.05%、好ましくは0.0005〜0.02%を例示することができる。
〔3−7〕バニラ風味飲食品
バニラ風味飲食品は、バニラビーンズでバニラの香りを付与した飲食品、及びバニラ風味を有する香味料を付与した飲食品である。
バニラ風味飲食品は、バニラの風味を有していれば特に限定されず、バニラを実際に原材料として配合しているかは問わない。
バニラ風味飲食品には天然のバニラビーンズを直接飲食品に使用してバニラ風味を付与する場合もあるが、バニラビーンズは高価であり、一般的にはバニラの香気成分を溶剤抽出等で回収したバニラの天然香料や、合成香料を組み合わせてバニラ風味を再現した調合香料が用いられる。
天然香料素材としては、例えばバニラビーンズを含水アルコール等で抽出したバニラエキストラクト、バニラビーンズを石油エーテル、アセトン、エタノール等の溶剤で抽出後、溶剤と水分を除去して得られるバニラオレオレジン、バニラビーンズを超臨界状態の二酸化炭素で抽出するバニラの超臨界二酸化炭素抽出物などを挙げることができる。
合成香料素材としては、バニラの主要香気成分であるバニリンの他、バニラの重要な香気成分であるアニスアルデヒド、アニスアルコール、ベンズアルデヒド、バニリルアルコール、アニス酸メチル、バニリルメチルエーテル、バニリルエチルエーテル、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンジルメチルエーテル、ビチスピラン等が挙げられる。
本発明の風味改善剤はバニラ風味を有する飲食品に特に制限なく使用することができるが、バニラ特有の洋酒を想起させる熟成感を付与する効果に優れており、バニラ風味のアイスクリーム、ケーキ、クッキー、プリンなど、バニラを主体として風味付けされた飲食品への使用が特に好ましい。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
〔製造例1〕
酵母(Saccharomyces cerevisiae NBRC10217)を下記条件で前々培養および前培養、本培養を行った。
培地条件は、表1に記載した。
前々培養は同様の培養を8バッチ行い、培養液約0.4kgを得た。
前培養は1バッチ行い、培養液約40kgを得た。
本培養は1バッチ行い、培養液約1,000kgを得た。
培養終了後、80℃、30分間の加熱を行った。その後、15,000rpm、5分間の遠心処理により菌体を除去し、発酵培養液Aを約1,000kg得た。
<前々培養の培養条件>
培地組成:表1に記載
培地殺菌条件:121℃、20分間
培地容量:50g
シード量:1白金耳
培養温度:30℃
培養方法:振とう培養
培養時間:24時間
<前培養の培養条件>
培地組成:表1に記載
培地殺菌条件:121℃、20分間
培地容量:40kg
シード量:0.38kg
培養温度:30℃
培養方法:好気的条件下で培養
培養時間:24時間
<本培養の培養条件>
培地組成:表1に記載
培地殺菌条件:121℃、20分間
培地容量:1,000kg
シード量:40kg
培養温度:30℃
培養方法:好気的条件下で培養
培養時間:16時間
Figure 2020127399
〔実施例1〕
上述の発酵培養液A(1,000kg)を気−液向流接触抽出法による水蒸気蒸留で分離し、凝縮液60kgを得た。気−液向流接触抽出法の条件は、下記に示した。
<気−液向流接触抽出条件>
原料供給流量:400kg/時
水蒸気供給流量:24kg/時
回収量:24kg/時
原料供給温度:95℃
真空度:大気圧
〔製造例2〕
酵母(Saccharomyces cerevisiae NBRC10217)を下記条件で前々培養および前培養、本培養を行った。
培地条件は、表2に記載した。
前々培養は同様の培養を8バッチ行い、培養液約0.4kgを得た。
前培養は1バッチ行い、培養液約40kgを得た。
本培養は1バッチ行い、培養液約1,000kgを得た。
培養終了後、80℃、30分間の加熱を行った。その後、15,000rpm、5分間の遠心処理により菌体を除去し、発酵培養液Bを約1,000kg得た。
<前々培養の培養条件>
培地組成:表2に記載
培地殺菌条件:121℃、20分間
培地容量:50g
シード量:1白金耳
培養温度:30℃
培養方法:振とう培養
培養時間:24時間
<前培養の培養条件>
培地組成:表2に記載
培地殺菌条件:121℃、20分間
培地容量:40kg
シード量:0.38kg
培養温度:30℃
培養方法:好気的条件下で培養
培養時間:24時間
<本培養の培養条件>
培地組成:表2に記載
培地殺菌条件:121℃、20分間
培地容量:1,000kg
シード量:40kg
培養温度:30℃
培養方法:好気的条件下で培養
培養時間:24時間
Figure 2020127399
〔実施例2〕
上述の発酵培養液B(1,000kg)を気−液向流接触抽出法による水蒸気蒸留で分離し、凝縮液60kgを得た。気−液向流接触抽出法の条件は、下記に示した。
<気−液向流接触抽出条件>
原料供給流量:400kg/時
水蒸気供給流量:24kg/時
回収量:24kg/時
原料供給温度:95℃
真空度:大気圧
〔製造例3〕
酵母(Saccharomyces cerevisiae NBRC10217)を下記条件で前培養、本培養を行った。
培地条件は、表3に記載した。
前培養は同様の培養を8バッチ行い、培養液約0.4kgを得た。
本培養は1バッチ行い、培養液約40kgを得た。
培養終了後、80℃、30分間の加熱を行った。その後、15,000rpm、5分間の遠心処理により菌体を除去し、発酵培養液Cを約40kg得た。
<前培養の培養条件>
培地組成:表3に記載
培地殺菌条件:121℃、20分間
培地容量:50g
シード量:1白金耳
培養温度:30℃
培養方法:振とう培養
培養時間:24時間
<本培養の培養条件>
培地組成:表3に記載
培地殺菌条件:121℃、20分間
培地容量:40kg
シード量:0.38kg
培養温度:30℃
培養方法:好気的条件下で培養
培養時間:24時間
Figure 2020127399
〔実施例3〕
上述の発酵培養液C(40kg)を下記条件で上述の気−液向流接触抽出法による水蒸気蒸留で分離し、凝縮液2.4kgを得た
<気−液向流接触抽出条件>
原料供給流量:66.7kg/時
水蒸気供給流量:5kg/時
回収量:4kg/時
原料供給温度:55℃
真空度:−80kPa
〔実施例4〕
上述の発酵培養液A(500g)をフラスコに仕込み、ポンプで真空度−92kPaまで減圧した後、マントルヒーターを用いて40℃まで加熱した。蒸留部を冷却水でトラップし、凝縮液を30g得た。
〔実施例5〕
上述の発酵培養液A(1,000g)をフラスコに仕込み、マントルヒーターを用いて100℃まで加熱した。蒸留部を冷却水でトラップし、凝縮液を60g得た。
製造例1で得られた発酵液Aを比較例1とした。
製造例2で得られた発酵液Bを比較例2とした。
製造例3で得られた発酵液Cを比較例3とした。
〔試験例1〕
習熟した3名のパネルにより、市販のノンアルコールの発泡性ビール風味飲料(糖質ゼロ、プリン体ゼロ)をコントロールとして、実施例1〜5の凝縮液、比較例1〜3の発酵液A〜Cを添加したものについて、発酵感、風味の複雑さ並びに総合評価に関して、官能評価を行った。
「総合評価」以外の評価項目の評価点は、無添加のコントロールの強さを0点とし、非常に強く感じたものを3点、全く感じないものを―3点とした7段階評価とした。
「総合評価」の評価点は、無添加のコントロールを0点とし、飲食品全体の風味としてかなり好ましいものを3点、かなり好ましくないものを―3点とした7段階評価とした。
異味異臭を感じた場合は、コメントに具体的な風味を記載した。凝縮液と発酵液の添加量と評価結果(平均点)、コメントは表4に示した。
Figure 2020127399
表4のとおり、実施例1〜5の凝縮液は、ビール風味飲料に添加することで、培地臭等の異味異臭なく、麦芽の発酵感及び風味の複雑さ(自然なコクとボリューム感)を付与できることが分かった。
比較例1〜3は、発酵感及び風味の複雑さへの効果は感じられず、培地臭が感じられたことから、添加した際の効果は好ましくないことが分かった。
〔試験例2〕
習熟した3名のパネルにより、市販の発泡酒(糖質ゼロ、プリン体ゼロのビール風味の発泡性アルコール飲料)を対照として、実施例1、4、5の凝縮液について、試験例1の評価基準で官能評価を行った。
その結果(平均点)を表5に示した。
Figure 2020127399
表5のとおり、実施例1、4、5の凝縮液は、発泡酒に添加することで、発酵感及び風味の複雑さ(自然なコクとボリューム感)を付与できることが分かった。
実施例5は、実施例4と比較して麦芽の発酵感及び風味の複雑さの添加効果は高かったが、やや加熱臭が感じられたため総合評価としては低くなった。
〔試験例3〕
習熟した3名のパネルにより、市販のピーチ風味のチューハイ(アルコール飲料)を対照として、実施例1、4、5の凝縮液を添加したものについて、試験例1の評価基準で官能評価を行った。
その結果(平均点)を表6に示した。
Figure 2020127399
〔試験例4〕
習熟した3名のパネルにより、市販のグレープ風味のノンアルコールチューハイ(チューハイ風味の清涼飲料)を対照として、実施例1、4、5の凝縮液を添加したものについて、試験例1の評価基準で官能評価を行った。
その結果(平均点)を表7に示した。
Figure 2020127399
表6、7のとおり、実施例1、4、5の凝縮液は、アルコールの有無にかかわらず、チューハイに添加することで、ピーチやグレープ果実の完熟感及び風味の複雑さ(自然なコクとボリューム感)を付与できることが分かった。
実施例5は、実施例4と比較して完熟感の添加効果は高かったが、やや加熱臭が感じられたため総合評価としては低くなった。
〔試験例5〕
習熟した3名のパネルにより、市販のハイボール(ウイスキーの炭酸水割)を対照として、実施例1、4、5の凝縮液を添加したものについて、試験例1の評価基準で官能評価を行った。
その結果(平均点)を表8に示した。
Figure 2020127399
表8のとおり、実施例1、4、5はハイボールに添加することで、ウイスキーの熟成感及び風味の複雑さ(自然なコクとボリューム感)を付与できることが分かった。
実施例5は、実施例4と比較して熟成感及び風味の複雑さの添加効果は高かったが、やや加熱臭が感じられたため総合評価としては低くなった。
〔試験例6〕
習熟した3名のパネルにより、市販のいちご風味の乳飲料を対照として、実施例1、4、5の凝縮液を添加したものについて、試験例1の評価基準で官能評価を行った。
その結果(平均点)を表9に示した。
Figure 2020127399
表9のとおり、実施例1、4、5はいちご風味の乳飲料に添加することで、いちご果実の完熟感及び風味の複雑さ(自然なコクとボリューム感)を付与できることが分かった。
実施例5は、実施例4と比較して完熟感及び風味の複雑さの添加効果は高かったが、やや加熱臭が感じられたため総合評価としては低くなった。
〔試験例7〕
習熟した3名のパネルにより、市販のヨーグルトを対照として、実施例1、4、5の凝縮液を添加したものについて、試験例1の評価基準で官能評価を行った。
その結果(平均点)を表10に示した。
Figure 2020127399
表10のとおり、実施例1、4、5はヨーグルトに添加することで、牛乳の発酵感と風味の複雑さ(自然なコクとボリューム感)を付与できることが分かった。
実施例5は、実施例4と風味の複雑さの添加効果はほぼ同等だったが、やや加熱臭が感じられたため総合評価としては低くなった。
〔試験例8〕
習熟した3名のパネルにより、市販のグレープ果実飲料(果汁入り)を対照として、実施例1、4、5の凝縮液を添加したものについて、試験例1の評価基準で官能評価を行った。
その結果(平均点)を表11に示した。
Figure 2020127399
表11のとおり、実施例1、4、5は果実飲料に添加することで、果実の完熟感及び風味の複雑さ(自然なコクとボリューム感)を付与できることが分かった。
実施例5は、実施例4と比較して完熟感の添加効果は高かったが、やや加熱臭が感じられたため総合評価としては低くなった。
〔試験例9〕
習熟した3名のパネルにより、市販のコーヒー飲料(ブラック)を対照として、実施例1、4、5の凝縮液を添加したものについて、試験例1の評価基準で官能評価を行った。
その結果(平均点)を表12示した。
Figure 2020127399
表12のとおり、実施例1、4、5はコーヒー飲料に添加することで、淹れたてのコーヒー感および風味の複雑(自然なコクとボリューム感)さを付与できることが分かった。
実施例5は、やや加熱臭が感じられたため総合評価としては低くなった。
〔試験例10〕
習熟した3名のパネルにより、市販のしょうゆを対照として、実施例1、4、5の凝縮液を添加したものについて、試験例1の評価基準で官能評価を行った。
その結果(平均点)を表13示した。
Figure 2020127399
表13のとおり、実施例1、4、5はしょうゆに添加することで、大豆の発酵感及び風味の複雑さ(自然なコクとボリューム感)を付与できることが分かった。
〔試験例11〕
習熟した3名のパネルにより、市販のバニラ風味のラクトアイスを対照として、実施例1、4、5の凝集液を添加したものについて、試験例1の評価基準で官能評価を行った。
その結果(平均点)を表14に示した。
この評価の発酵感とは、良質なバニラに特有の洋酒を想起させる芳醇な熟成感のある香味を指す。
Figure 2020127399
表14のとおり、実施例1、4、5はバニラ風味飲食品に添加することで、発酵感及び風味の複雑さ(自然なコクとボリューム感)を付与できることが分かった。
実施例5は、やや加熱臭が感じられたため総合評価としては低くなった。
〔試験例12〕
下記表15に示した成分からなるビールフレーバー(実施例6)を調製した。
Figure 2020127399
Figure 2020127399
表15中の実施例1の代わりにプロピレングリコールを配合し、比較例4のビールフレーバーを得た。
実施例6のビールフレーバーまたは比較例4のビールフレーバーを0.1%添加した市販のノンアルコールのビール風味の発泡性ビール飲料(糖質ゼロ、プリン体ゼロ)及び市販の発泡酒(糖質ゼロ、プリン体ゼロのビール風味の発泡性アルコール飲料)について、習熟した3名のパネルにより官能評価を行った。
その結果、パネル3名全員が、比較例4を添加したノンアルコールビール飲料と比較して実施例6を添加したノンアルコールビール飲料は自然な発酵感及び風味の複雑さ(自然なコクとボリューム感)が強くなっており、比較例4を添加したノンアルコールビール飲料に感じられる不自然な風味が改善されているという評価をした。
発泡酒についても同様の評価結果であった。

Claims (16)

  1. 以下の工程1〜3を含むことを特徴とする、風味改善剤用の酵母発酵液蒸留物の製造方法。
    (1)窒素源、炭素源を含有する培地を殺菌する工程1
    (2)工程1で殺菌した培地に酵母を接種し培養し、酵母発酵液を得る工程2
    (3)工程2で得た酵母発酵液を蒸留し、凝縮液を得る工程3
  2. 工程3の蒸留が気−液向流接触抽出法を用いた水蒸気蒸留、単蒸留および精密蒸留からなる群より選ばれた蒸留法によるものである請求項1に記載の製造方法。
  3. 単蒸留および精密蒸留が減圧蒸留である請求項2に記載の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法で製造した酵母発酵液蒸留物からなる風味改善剤。
  5. 請求項4に記載の風味改善剤を含有する香料組成物。
  6. 請求項4に記載の風味改善剤が添加された飲食品。
  7. 請求項5に記載の香料組成物が添加された飲食品。
  8. 飲食品がアルコール風味飲料である請求項6または7に記載の飲食品。
  9. アルコール風味飲料がビール風味飲料である請求項8に記載の飲食品。
  10. 飲食品が乳含有飲食品である請求項6または7に記載の飲食品。
  11. 飲食品が果実風味飲食品である請求項6または7に記載の飲食品。
  12. 飲食品がコーヒー含有飲食品である請求項6または7に記載の飲食品。
  13. 飲食品が発酵調味料である請求項6または7に記載の飲食品。
  14. 飲食品がバニラ風味飲食品である請求項6または7に記載の飲食品。
  15. 以下の工程、
    (1)窒素源、炭素源を含有する培地を殺菌する工程1、
    (2)工程1で殺菌した培地に酵母を接種し培養し、酵母発酵液を得る工程2、および、
    (3)工程2で得た酵母発酵液を蒸留し、凝縮液を得る工程3、
    を含む方法で製造された酵母発酵液蒸留物からなることを特徴とする風味改善剤。
  16. 工程3の蒸留が気−液向流接触抽出法を用いた水蒸気蒸留、または、減圧蒸留である請求項15に記載の風味改善剤。
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