JP2020125248A - タゾバクタム鍵中間体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒を除去・回収することが容易であり、且つ高い転換率でタゾバクタムの鍵中間体を得ることが可能な製造方法を提供すること。【解決手段】ポリ(4−ビニルピリジン)に1価の銅が担持されてなる銅触媒と、含硫黄溶媒又はケトン溶媒との存在下、下記式(A)で表されるアジド化合物と下記式(B)で表されるアセチレン化合物とを反応させることを特徴とする、下記式(C)で表されるトリアゾール化合物の製造方法。[式中、Pはカルボキシ基の保護基を示し、P’は末端アセチレンの保護基又は水素原子を示す。]【選択図】なし
Description
本発明は、タゾバクタム鍵中間体の製造方法に関する。
下記式で表されるタゾバクタムは、β−ラクタム系抗菌剤の分解酵素β−ラクタマーゼを阻害する薬剤で、このクラスでは代表的薬剤である。現在、単独では用いられておらず、多くはピペラシリン(第二世代ペニシリン)等との配合剤として市販されている。これらは、既に後発薬市場に入っており、初期の比較的使いやすい感染症治療薬としてタゾピペなどの商品名で国内外多数の製薬メーカーから販売されている。また、更に優れた抗菌プロファイルを有するセファロ系抗菌剤との組合せで、新薬としても開発中であり、将来的にも市場の拡大が見込まれている。
ところで、特許文献1の実施例から明らかであるように、特許文献1に記載の方法では、原料であるアジド化合物(4)が完全には反応せず、未反応のアジド化合物(4)が残る。アジド化合物(4)は遺伝毒性物質として知られており、原薬としてのタゾラクタムから完全に取り除く必要があるため、未反応のアジド化合物(4)が多く残ることは望ましくない。また、ヒュスゲン反応では、ヨウ化銅(I)等を触媒として用いることにより促進されることも知られているが、ヨウ化銅等を用いた場合であっても、完全に反応を進行させることは難しいことが本発明者等の検討により明らかとなった。さらに、ヨウ化銅等には毒性があるため、反応終了後に取り除くことが必要となるが、完全に取り除くことは難しい。
そこで本発明は、触媒を除去・回収することが容易であり、且つ高い転換率でタゾバクタムの鍵中間体を得ることが可能な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討の結果、ポリ(4−ビニルピリジン)に1価の銅が担持されてなる銅触媒と、含硫黄溶媒又はケトン溶媒との存在下、下記式(A)で表されるアジド化合物と下記式(B)で表されるアセチレン化合物とを反応させることを特徴とする、下記式(C)で表されるトリアゾール化合物の製造方法を見出すに至った。
[式中、Pはカルボキシ基の保護基を示し、P’は末端アセチレンの保護基又は水素原子を示す。]
[式中、Pはカルボキシ基の保護基を示し、P’は末端アセチレンの保護基又は水素原子を示す。]
かかる製造方法によれば、目的の式(C)で表されるトリアゾール化合物を高い転換率で得ることができる。さらに、銅触媒がポリ(4−ビニルピリジン)に担持されているので、ろ過等により容易に触媒を取り除くことができる。
上記銅触媒は、ポリ(4−ビニルピリジン)に、還元剤の存在下2価の銅塩を作用させることによって調製される銅触媒であると好ましい。
本発明によれば、触媒を除去・回収することが容易であり、且つ高い転換率でタゾバクタムの鍵中間体を得ることが可能な製造方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態の製造方法では、銅触媒と、含硫黄溶媒又はケトン溶媒との存在下、式(A)で表されるアジド化合物と式(B)で表されるアセチレン化合物とを反応させることで、式(C)で表されるトリアゾール化合物を得る。式(C)で表されるトリアゾール化合物は、下記式(C’)で表されるトリアゾール化合物(位置異性体)との混合物として得られてもよい。なお、式(C)又は(C’)で表されるトリアゾール化合物は、P又はP’を脱保護することにより、どちらもタゾラクタムに変換することができる。
上記銅触媒は、ポリ(4−ビニルピリジン)に1価の銅が担持されてなる。当該銅触媒の調製方法は特に限定されないが、例えば、ポリ(4−ビニルピリジン)に、還元剤の存在下2価の銅塩を作用させることによって調製することができる。銅触媒の調製は、還元剤及び2価の銅塩が溶解する溶媒、例えば水及びメタノールを含む溶媒中で行うことができる。なお、銅触媒は、調製後単離した後に用いてもよく、反応系中で調製したものを用いてもよい。
かかる銅触媒は不溶性の固体であるため、使用後の回収が容易であり、該銅触媒を使用して得られる生成物に銅が混入することを防止することができる。
還元剤としては、例えば、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム等が挙げられる。
2価の銅塩としては、例えば、硫酸銅(II)、塩化銅(II)、臭化銅(II)、硝酸銅(II)、酢酸銅(II)、水酸化銅(II)等が挙げられる。なお、2価の銅塩を用いて上記銅触媒を調製した場合には、銅触媒は2価の銅塩由来の陰イオン、例えば硫酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、水酸化物イオン等を有していてもよい。
含硫黄溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等が挙げられる。ケトン溶媒としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン(メチルイソブチルケトン)、シクロヘキサノン等が挙げられる。なお、本実施形態の製造方法においては、本発明の効果を阻害しない範囲で他の有機溶媒を含んでいてもよい。
Pで示されるカルボキシ基の保護基としては、例えば、C1〜C8アルキル基等のアルキル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基、p−メトキシベンジル基、ジフェニルメチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。
P’で示される末端アセチレンの保護基としては、例えば、トリメチルシリル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
本実施形態の製造方法において、銅触媒の使用量は、式(A)で表されるアジド化合物の量を基準として、例えば0.1mol%〜50mol%とすることができ、式(A)で表されるアジド化合物の使用量は、溶媒の量を基準として、例えば1〜30重量%とすることができる。
本実施形態の製造方法において、式(B)で表されるアセチレン化合物として非置換のアセチレン(P’=水素原子)を用いる場合には、反応をアセチレン雰囲気下で行うことができる。また、本実施形態の製造方法における反応温度及び反応時間は、特に限定されず、例えば50〜150℃、8〜48時間とすることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
室温下、ポリ(4−ビニルピリジン)(PVPy)(1)(重量平均分子量Mw=約160000;0.42g,4.0mmol)のメタノール溶液40mLにアスコルビン酸ナトリウム(0.44g,2.2mmol)の水溶液30mLを混入した。その後、硫酸銅五水和物(2)(0.50g,2.0mmol)の水溶液10mLを連続的に一滴ずつ加え、さらに10分間攪拌した。反応液を濾過し、不溶物を水とメタノールそれぞれで三回洗った。得られた固形物を一晩中真空ポンプで乾燥した後、青緑色固体としてPVPy−Cu+−SO4 2−(3)(0.54g,収率81%)を得た。得られた触媒(3)の元素分析の結果を以下に示す。
Anal. Calcd. for [(C7H7N)42Cu+(SO4 2-)3(H2O)]n:C 48.20%, H 4.91%, N 8.03%, S 4.59%, Cu 18.21%. Found: C 46.31%, H 4.95%, N7.62%, S 4.21%, Cu 18.31%.
Anal. Calcd. for [(C7H7N)42Cu+(SO4 2-)3(H2O)]n:C 48.20%, H 4.91%, N 8.03%, S 4.59%, Cu 18.21%. Found: C 46.31%, H 4.95%, N7.62%, S 4.21%, Cu 18.31%.
アジド化合物(4)(0.11g,0.25mmol)、触媒(3)(8.4mg,10mol%)が入ったシュレンク管にメチルイソブチルケトン(MIBK)(0.50mL)を加えた。上部ガラスコックにアセチレンガスが充填したゴム風船を付け、真空ポンプで内部の空気を三回置換した。反応はChem−Station(EYELA社製)装置で90℃下16時間行った。反応終了後、触媒を濾別し、濾液を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。粗生成物をシリカゲル(酢酸エチル−ヘキサン)に通した後、溶媒を濃縮し、得られた固体を塩化メチレン−ヘキサンより結晶化し、無色粉結晶としてトリアゾール化合物(5)(106mg,収率91%)を得た。なお、原料であるアジド化合物(4)は確認されなかった。
(比較例1)
触媒(3)に代えて、ヒュスゲン反応の触媒として一般的に知られているヨウ化銅(I)(10mol%)を用いた他は実施例1と同様にして、トリアゾール化合物(5)を合成した。得られた粗生成物を1H−NMRにより分析したところ、トリアゾール化合物(5)と原料であるアジド化合物(4)が26/74の比で存在することが確認された。
触媒(3)に代えて、ヒュスゲン反応の触媒として一般的に知られているヨウ化銅(I)(10mol%)を用いた他は実施例1と同様にして、トリアゾール化合物(5)を合成した。得られた粗生成物を1H−NMRにより分析したところ、トリアゾール化合物(5)と原料であるアジド化合物(4)が26/74の比で存在することが確認された。
(比較例2)
触媒(3)を用いず、触媒非存在下で反応を行った他は実施例1と同様にして、トリアゾール化合物(5)を合成した。得られた粗生成物を1H−NMRにより分析したところ、トリアゾール化合物(5)と原料であるアジド化合物(4)が29/71の比で存在することが確認された。
触媒(3)を用いず、触媒非存在下で反応を行った他は実施例1と同様にして、トリアゾール化合物(5)を合成した。得られた粗生成物を1H−NMRにより分析したところ、トリアゾール化合物(5)と原料であるアジド化合物(4)が29/71の比で存在することが確認された。
アジド化合物(4)(0.11g,0.25mmol)、触媒(3)(8.4mg,10mol%)が入ったシュレンク管にジメチルスルホキシド(DMSO)(0.50mL)を加えた。上部ガラスコックにアセチレンガスが充填したゴム風船を付け、真空ポンプで内部の空気を三回置換した。反応はChem−Station(EYELA社製)装置で90℃下5時間行った。反応終了後、酢酸エチルと水での分液操作によってDMSOを除去、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。粗生成物をシリカゲル(酢酸エチル−ヘキサン)に通した後、溶媒を濃縮し、得られた油状物を塩化メチレン−ヘキサンより結晶化し、無色粉結晶としてトリアゾール化合物(5)(108mg,収率93%)を得た。なお、原料であるアジド化合物(4)は確認されなかった。
触媒(3)を用いず、触媒非存在下で反応を行った他は実施例2と同様にして、トリアゾール化合物(5)を合成した。得られた粗生成物を1H−NMRにより分析したところ、トリアゾール化合物(5)と原料であるアジド化合物(4)が30/70の比で存在することが確認された。
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JP2019017167A JP2020125248A (ja) | 2019-02-01 | 2019-02-01 | タゾバクタム鍵中間体の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113666945A (zh) * | 2021-10-22 | 2021-11-19 | 凯莱英医药集团(天津)股份有限公司 | 2β-叠氮甲基青霉烷酸二苯甲酯、他唑巴坦中间体及他唑巴坦三者的制备方法 |
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2019
- 2019-02-01 JP JP2019017167A patent/JP2020125248A/ja active Pending
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