JP2020122841A - 電子写真装置の制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面が酸化している表面層を有するa−Si感光体の表面状態が変質・変化した場合でも、画像品質の低下が抑えられる電子写真装置の制御方法を提供する。【解決手段】電子写真感光体の表面層204の表面が酸化されており、電子写真感光体の表面層204がa−C:Hまたはa−SiC:Hで形成されており、制御方法が電子写真装置の電源OFF時および電源ON時に電子写真感光体の回転トルクを測定するトルク測定工程を有し、電子写真装置の電源ON時に測定した回転トルクと電子写真装置の前回の電源OFF時に測定した回転トルクとの差分が規定値以上になった場合は、規定値未満になるまで電子写真感光体の表面に負電荷を与えて電子写真感光体の表面を酸化処理する。【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真感光体の状態に応じて、電子写真感光体の表面を酸化処理する電子写真装置の制御方法に関する。
近年、電子写真装置は、デジタル露光の書き込み解像度が1200dpi、2400dpiと高解像度化されるにつれ、印刷分野でも利用されるようになってきた。印刷分野では、プリント成果物(印刷物)自体が商品となるため、従来の電子写真装置に求められてきた画像品質に比べて、より高いレベルの画像品質が要求される。
画質に影響を及ぼすパラメーターの1つとして、スクリーン線数が挙げられる。スクリーン線数は、1インチ幅に含まれる網点数で定義される。スクリーン線数の値を大きくするほど、網点が見えにくくなるため、より滑らかな中間調の表現が可能になり、高画質化に有利である。
また、印刷分野で使用される電子写真装置は、プリントボリュームが大きい(画像形成枚数が多い。)ため、印刷分野で使用される電子写真装置に搭載される電子写真感光体は、画像形成の繰り返しが多く、その分、摩耗量が多くなる。そのため、印刷分野で使用される電子写真装置に搭載される電子写真感光体は、従来よりも耐久性に優れていることが求められる。
耐久性に優れた電子写真感光体として、水素化アモルファスカーボンまたは水素化アモルファスシリコンカーバイドで形成された表面層を有するアモルファスシリコン電子写真感光体が知られている。以降、アモルファスシリコン電子写真感光体を「a−Si感光体」とも表記する。また、水素化アモルファスカーボンを「a−C:H」とも表記する。また、水素化アモルファスシリコンカーバイドを「a−SiC:H」とも表記する。
電子写真装置では、電子写真感光体の表面を帯電して、画像データに対応した画像露光を行い、露光部の電荷密度を変化させ、電子写真感光体の表面に電荷密度分布による静電潜像を形成する。この電荷密度分布を保持するためには、電子写真感光体の表面抵抗を高くすることが好ましい。電子写真感光体の表面抵抗に影響を与えるものとしては、電子写真感光体の表面自体の影響と、電子写真感光体の表面に付着した付着物による影響と、が挙げられる。いずれの理由であっても、電子写真感光体の表面抵抗が低くなると、静電潜像として形成された電荷密度分布が面方向に均一化しやすくなり、画像ボケが生じやすくなり、解像力が低下しやすくなる。このようなメカニズムで生じる画像ボケは、静電潜像の空間周波数が高くなるほど、影響を受けやすくなる。つまり、高画質化のためにスクリーン線数の値を大きくするシステムでは、影響を受けやすくなる。
電子写真装置の画像ボケの発生を抑制し、解像力を維持する方法として、特許文献1には以下のような技術が記載されている。
すなわち、非画像形成時に、電子写真感光体の表面に印加する電圧または電流を画像形成時より一時的に高くする。そうすることで、電子写真感光体の表面摩擦係数μを急激に上げ、クリーニングローラーをトナー由来の研磨剤が多い状態にする。研磨剤が多い状態のクリーニングローラーを用いて電子写真感光体の表面を研磨することで、必要最小限の量のトナーにより、電子写真感光体の表面の付着物、例えば、放電生成物や水分を効率良く除去することができる。その結果、トナーを多量に消費してしまうことなく、かつ、短時間で画像ボケの発生を抑制することができる。
特開2010−122249号公報
特許文献1に記載の方法は、電子写真感光体の表面の付着物による影響で電子写真感光体の表面抵抗が低くなる場合には有効であった。
しかしながら、以下に示すような場合では、画像ボケの発生を抑制することが困難であった。
すなわち、a−C:Hまたはa−SiC:Hで形成された表面層を有するa−Si感光体は、表面抵抗が低いが、表面に酸化処理を施すことで表面抵抗を高めることができる。
表面が酸化されている表面層(a−C:Hまたはa−SiC:Hで形成された表面層)を有するa−Si感光体を搭載している電子写真装置において、長期間画像形成を行わなかった場合、a−Si感光体の表面の酸素が脱離し、表面抵抗が低くなる場合があった。この場合、特許文献1に記載されている技術を採用しても、a−Si感光体の表面が研磨されるだけで、再度の酸化処理が施されるわけではないので、a−Si感光体の表面抵抗が低いままであり、画像ボケの発生を抑制することが困難であった。
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものである。
特に、高いスクリーン線数を採用した電子写真装置において、表面が酸化している表面層を有するa−Si感光体の表面状態が変質・変化した場合でも、画像品質の低下が抑えられる電子写真装置の制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、
表面が酸化されている表面層を有する電子写真感光体の表面を加熱しながら、前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電された前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する露光工程と、
前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーによって現像して前記電子写真感光体の表面にトナー像を形成する現像工程と、
前記電子写真感光体の表面の転写残トナーを除去するクリーニング工程と、
を有する電子写真装置の制御方法であって、
前記表面層が、水素化アモルファスカーボンまたは水素化アモルファスシリコンカーバイドで形成されており、
前記制御方法が、さらに、前記電子写真装置の電源OFF時および電源ON時に前記電子写真感光体の回転トルクを測定するトルク測定工程を有し、
前記電子写真装置の電源ON時に測定した回転トルクと、前記電子写真装置の前回の電源OFF時に測定した回転トルクとの差分が規定値以上になった場合は、規定値未満になるまで、前記電子写真感光体の表面に負電荷を与えて、前記電子写真感光体の表面を酸化処理する
ことを特徴とする電子写真装置の制御方法である。
表面を酸化している表面層を有するa−Si感光体の表面状態が変質・変化した場合でも、画像品質の低下が抑えられる電子写真装置の制御方法を提供することができる。
(a)は、電子写真感光体の表面の酸素原子の含有量(酸素含有量)と電子写真感光体の回転トルクの相関関係を表す模式図である。(b)は、電子写真感光体の表面の酸素原子の含有量(酸素含有量)と電子写真感光体の解像力の相関関係を表す模式図である。(c)は、電子写真感光体の解像力と電子写真感光体に負電荷を与える時間の相関関係を表す模式図である。 電子写真感光体の層構成を示す概略断面図である。 電子写真感光体の製造装置の概略断面図である。 (a)は、電子写真装置の概略断面図である。(b)は、画像形成部の概略断面図である。
本発明の制御方法が適用される電子写真装置には、表面が酸化されている表面層を有する電子写真感光体が搭載される。また、その電子写真感光体の表面層は、水素化アモルファスカーボンまたは水素化アモルファスシリコンカーバイドで形成されている層である。
上述したように、表面が酸化されている表面層を有するa−Si感光体は、表面抵抗が低いが、酸化処理を施すことで表面抵抗を高めることができる。
ところが、a−Si感光体を電子写真装置に搭載している電子写真装置において、長期間画像形成を行わなかった場合、a−Si感光体の表面の酸素が脱離し、表面抵抗が低くなる場合があった。その結果、画像ボケが発生し、解像力が低下する場合があった。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、長期間放置されたa−Si感光体の表面に対して、電子写真装置内で再び酸化処理を施すことで、解像力の低下を抑制できることを見出した。
また、a−Si感光体の表面の酸素が脱離すると表面性が変化し、それによりa−Si感光体の回転トルクが変化する。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、電子写真装置の電源ON時に測定した回転トルクと、電子写真装置の前回の電源OFF時に測定した回転トルクと、の差分を算出することで、電子写真感光体の表面に酸化処理を施す必要性の有無が分かることを見出した。
以下に、図面に基づいて本発明の効果について説明する。
電子写真感光体の表面の酸素原子の含有量と電子写真感光体の回転トルク変動値には相関関係があり、その相関関係をあらかじめ算出しておく。例えば、図1(a)に示すような関係となる。
また、電子写真感光体の表面の酸素原子の含有量と電子写真感光体の解像力には相関関係があり、その相関関係をあらかじめ算出しておく。例えば、図1(b)に示すような関係となる。
さらに、電子写真感光体の解像力と電子写真感光体に負電荷を与える時間には相関関係があり、その相関関係をあらかじめ算出しておく。例えば、図1(c)に示すような関係となる。
電子写真感光体に負電荷を与える際の帯電装置の単位面積当たりの電流値は、電子写真感光体を搭載する電子写真装置にて負電荷を与える際に使用する条件とすることが好ましい。図1(c)では、0.1μA/cmとした。
上記3つそれぞれの相関関係を算出する環境は、電子写真感光体を搭載する電子写真装置が使用される環境と近い環境とすることが好ましい。図1(a)、(b)、(c)では、気温25℃、湿度40%とした。
上記3つの相関関係をあらかじめ算出しておく。そうすることで、電子写真装置の電源ON時に測定した回転トルクと、電子写真装置の前回の電源OFF時に測定した回転トルクと、の差分さえ分かれば、電子写真感光体に負電荷を与えて、電子写真感光体の表面を酸化処理する時間が導きだされる。それにより、電子写真装置に電子写真感光体の解像力を検知する機構を追加しなくても、回転トルクの検知という簡便な機構のみで解像力の低下を抑制することができる。
例えば、図1(a)、(b)、(c)から電子写真装置の電源ON時に測定した回転トルクと、電子写真装置の前回の電源OFF時に測定した回転トルクと、の差分がAだと分かれば、負電荷を与える酸化処理を施す時間はD時間であることが分かる。
具体的には、図1(a)から電子写真装置の電源ON時に測定した回転トルクと、電子写真装置の前回の電源OFF時に測定した回転トルクと、の差分がAである場合の電子写真感光体の表面の酸素原子の含有量の変動値はBであることが分かる。
次に、図1(b)から酸素原子の含有量の変動値がBである場合の解像力の低下分はCであることが分かり、図1(c)から、解像力の低下分Cを改善するためには、負電荷を与える酸化処理をD時間施せばいいことが分かる。
解像力の低下分Cが許容できる範囲の解像力の低下であるとする。そうすると、負電荷を与える酸化処理を施さなくてもよい。解像力の低下分Cが許容範囲を超えた場合のみ、言い換えると、回転トルクの差分Aが許容範囲以上になった場合のみ、負電荷を与える酸化処理を施せばよい。解像力の低下の許容範囲は、本発明を用いた電子写真装置の使用者により様々であるので、許容範囲を使用者が設定できるようにしておき、許容範囲を超えた場合のみ、負電荷を与える酸化処理を施す仕様とすることが好ましい。
長期間画像形成が行われなかった電子写真装置に搭載されているa−Si感光体の表面に電子写真装置内で再び酸化処理を施す方法としては、大気中での負極性のコロナ放電処理(負コロナ放電処理)が有効な方法である。
大気中での負コロナ放電処理に関しては、負コロナ放電で生成される硝酸イオンなどの酸化力の高いアニオンが、a−Si感光体の表面領域の炭素原子のsp2結合のπ結合を解離させることになる。その際、アニオンに含まれる酸素原子がエーテル結合やケトンを形成することによって、表面領域を酸化させると考えられる。
次に、本発明に用いられる電子写真装置を図4(a)に示す。
電子写真装置40は、4色の画像形成部41Y、41M、41Cおよび41Bkを有している。各画像形成部で形成されたトナー像は、中間転写ベルト42の表面に一次転写される。中間転写ベルトに一次転写されたトナー像は、二次転写部43において、カセット44から搬送された記録材に二次転写される。二次転写部43において、記録材に二次転写されずに中間転写ベルト42の表面に残留したトナー(転写残トナー、二次転写残トナー)は、不図示の中間転写ベルトクリーナーにより清掃される。トナー像が転写された記録材は、定着装置45に搬送される。定着装置45によりトナーが定着された記録材は、機外へと排出される。
画像形成部41の詳細を図4(b)に示す。
電子写真感光体52が帯電装置51により帯電された後、レーザースキャナー46からの露光により、電子写真感光体52の表面に静電潜像が形成される。現像装置47から供給されるトナーにより、静電潜像が現像されてトナー像が形成される。電子写真感光体52の表面に形成されたトナー像は、一次転写ローラー48により、中間転写ベルト42へと転写される。中間転写ベルトへと転写されずに電子写真感光体52の表面に付着している転写残トナーは、クリーニング装置49により除去される。
次に、静電潜像を除去するために、前露光装置50により、除電光が電子写真感光体52に照射される。
本発明に係る電子写真装置40は、電源OFF時および電源ON時に電子写真感光体52の回転トルクを測定するトルク測定工程を有している。電子写真感光体52の回転トルクを測定する方法は、回転トルクが測定できればどのような方法でも構わない。例えば、不図示の駆動モーターが、電子写真感光体52を回転駆動させるために必要な駆動電流を測定する機構を有している。また、電子写真装置40は、電源ON時に測定した回転トルクと前回の電源OFF時に測定した回転トルクと、の差分を算出する機構を有する。算出された差分があらかじめ設定した規定値以上になった場合は、規定値未満になるまで、電子写真感光体52の表面に負電荷を与えて、電子写真感光体52の表面を酸化処理する。
電子写真感光体52の表面に負電荷を与える方法としては、例えば、電子写真感光体52を回転させたまま、帯電装置51により電子写真感光体52に負電荷を与える。負電荷を与える時間は、上述した方法で算出された時間とする。これにより、電子写真感光体52の表面を再度酸化処理することで解像力の低下を抑制できる。
また、負電荷を与える際は、クリーニング装置49のうち、電子写真感光体52に接しているクリーニングブレード53を離間しておくことが好ましい。それにより、電子写真感光体52の表面が研磨されることがなくなり、電子写真感光体52の表面を再度酸化処理する時間を短縮できるので好ましい。クリーニングブレード53は、電子写真感光体に接触および離間可能に構成される。
〈本発明の電子写真感光体〉
本発明に係る電子写真感光体の層構成について説明する。
図2は、a−Si感光体の層構成を示す模式図である。
基体201上に下部阻止層202、光導電層203、上部阻止層206、表面層204が順次積層されており、表面層204には、表面領域205が形成されている。この層構成は、主に、負帯電用のa−Si感光体に適用される。
(表面層)
本発明に適した電子写真感光体の表面層の材料は、a−C:Hである。表面層を構成するa−C:Hの水素原子の含有比率(炭素原子数と水素原子数の和に対する水素原子数)を0.40以下とすることによって、電子写真感光体にアニオンを与えた際に、アニオンが表面層を透過することを抑制できる。これは、表面層の水素原子の含有量を低減することによって、骨格原子となる炭素原子同士の結合が増え、骨格原子の密度が高まり、アニオンに対するバリア性が向上するためと考えられる。また、a−C:H以外にa−C:Hにケイ素原子を追加したa−SiC:Hでもよい。a−SiC:Hの場合は、a−C:Hと同様にバリア性の向上のため、炭素原子の原子数(C)とケイ素原子の原子数(Si)との和に対する炭素原子の原子数(C)の比(C/(C+Si))の平均値が0.90以上1.00未満であることが好ましい。
例えば、プラズマCVD法を用いて、a−C:Hの表面層を形成する場合、水素原子の含有比率は成膜条件パラメーターによって調整が可能である。成膜条件パラメーターとしては、例えば、原料ガスの種類、原料ガスの流量、高周波電力、反応圧力、基体の温度などが挙げられる。本発明者らの検討の結果、水素原子の含有比率を低下させる方法として、原料ガスの流量を減らす方法、高周波電力を高くする方法、反応圧力を下げる方法、基体の温度を高くする方法が好ましかった。なお、バリア性という観点では、いずれの成膜条件パラメーターも有効であったが、高周波電力および基体の温度は、表面層の光透過率を低下させやすい成膜条件パラメーターでもあることが分かった。よって、低めの高周波電力および基体の温度の条件において、原料ガスの流量および反応圧力を調整することが好ましい。
一方、表面層の水素原子の含有比率を低減すると、炭素原子同士の結合が増加するため、sp2結合比率が高くなりやすい。sp2結合比率が高くなるほど、グラファイト的な特性に近付くため、電気抵抗は低下しやすくなる。本発明者らの検討の結果、画像解像力に影響を与えるのは、表面層の表面領域の表面抵抗であることが分かった。すなわち、表面層の表面領域におけるsp2結合比率を0.50以下とすることによって、良好な画像解像力が得られる。
表面層の表面領域のsp2結合比率を制御する方法としては、例えば、表面を改質する方法が挙げられる。表面層の表面領域を改質する方法は、プラズマ処理などが挙げられる。具体的な方法として、酸素原子を含む処理ガスを用いたプラズマ処理では、表面領域のsp2結合のπ結合を解離させ、酸素原子を含む処理ガスに含まれる酸素原子がエーテル結合やケトンを形成することで、結果的にsp2結合比率が低下すると考えられる。なお、酸素原子を含む処理ガスとしては、酸素(O)、オゾン(O)、水蒸気(HO)、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、一酸化窒素(NO)などが挙げられる。
また、大気圧下でのプラズマ処理としては、大気中での負コロナ放電処理が有効な方法であった。大気中での負コロナ放電処理においては、負コロナ放電で生成される硝酸イオンなどの酸化力の高いアニオンが表面領域のsp2結合のπ結合を解離させながら、アニオンに含まれる酸素原子がエーテル結合やケトンを形成する。それによって、結果的にsp2結合比率が低下するためと考えられる。
〈本発明に係る電子写真感光体を製造するための製造装置および製造方法〉
図3は、本発明に係る電子写真感光体(a−Si感光体)を製造するための高周波電源を用いたRFプラズマCVD法による電子写真感光体の製造装置の一例を模式的に示した図である。
この製造装置は、大別すると、反応容器3110を有する堆積装置3100、原料ガスを供給する原料ガス供給装置3200、および、反応容器3110内を減圧するための排気装置(不図示)から構成されている。
堆積装置3100中の反応容器3110内にはアースに接続された基体3112、基体加熱用ヒーター3113、および、原料ガス導入管3114が設置されている。さらに、カソード電極3111には、高周波マッチングボックス3115を介して高周波電源3120が接続されている。
原料ガス供給装置3200は、原料ガスボンベ3221〜3225、バルブ3231〜3235、圧力調整器3261〜3265、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255、マスフローコントローラー3211〜3215から構成される。各原料ガスを封入したガスのボンベは、補助バルブ3260を介して反応容器3110内の原料ガス導入管3114に接続されている。3116はガス配管であり、3117はリークバルブであり、3121は絶縁性材料である。
次に、この製造装置を使った電子写真感光体(a−Si感光体)の製造方法について説明する。
まず、あらかじめ脱脂洗浄した基体3112を反応容器3110に受け台3123を介して設置する。次に、排気装置(不図示)を運転し、反応容器3110内を排気する。真空計3119の表示を見ながら、反応容器3110内の圧力が所定の圧力(例えば、1Pa以下)になったところで、基体加熱用ヒーター3113に電力を供給する。そして、基体3112を所定の温度(例えば、50〜350℃)に加熱する。このとき、ガス供給装置3200より、Ar、Heなどの不活性ガスを反応容器3110に供給して、不活性ガス雰囲気中で加熱を行うこともできる。
次に、ガス供給装置3200より堆積膜形成に用いるガスを反応容器3110に供給する。すなわち、必要に応じてバルブ3231〜3235、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255を開き、マスフローコントローラー3211〜3215に流量設定を行う。各マスフローコントローラーの流量が安定したところで、真空計3119の表示を見ながらメインバルブ3118を操作し、反応容器3110内の圧力が所定の圧力になるように調整する。
所望の圧力が得られたところで高周波電源3120より高周波電力を印加するとともに高周波マッチングボックス3115を操作し、反応容器3110内にプラズマ放電を生起する。その後、速やかに高周波電力を所定の電力に調整し、堆積膜の形成を行う。
所定の堆積膜の形成が終わったところで、高周波電力の印加を停止し、バルブ3231〜3235、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255、および、補助バルブ3260を閉じ、原料ガスの供給を終える。それとともに、メインバルブ3118を全開にし、反応容器3110内を所定の圧力(例えば、1Pa以下)まで排気する。
以上で、堆積膜の形成を終えるが、複数の堆積膜を形成する場合、再び上記の手順を繰り返してそれぞれの層を形成すればよい。原料ガスの流量や、圧力などを光導電層形成用の条件に一定の時間で変化させて、接合領域の形成を行うこともできる。
すべての堆積膜形成が終わった後、メインバルブ3118を閉じ、反応容器3110内に不活性ガスを導入し、大気圧に戻した後、基体3112を取り出す。
a−C:Hの表面層の形成に用いる炭素原子供給用の原料ガスとしては、例えば、メタン(CH)、エタン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)、エチレン(C)、アセチレン(C)などが挙げられる。
また、a−SiC:Hの表面層の形成に用いる炭素原子供給用の原料ガスとしては、a−C:Hの表面層の形成に用いるものと同様の炭素原子供給用の原料ガスが挙げられる。ケイ素原子供給用の原料ガスとしては、例えば、シラン(SiH)、ジシラン(Si)などが挙げられる。
a−C:Hの水素原子の含有比率を調整するために、原料ガスの流量、反応圧力、高周波電力、基体の温度、希釈ガスの流量などの制御パラメーターを調整する必要がある。原料ガスの流量を少なくすることで、水素原子の含有比率は下がる傾向があった。反応圧力を低く設定することで、水素原子の含有比率は下がる傾向があった。高周波電力を高く設定することで水素原子の含有比率は下がる傾向があった。基体の温度を高く設定することで水素原子の含有比率は下がる傾向があった。希釈ガスとしては、水素(H)やヘリウム(He)が有用であり、希釈ガスの流量を増大させることで水素原子の含有比率は下がる傾向があった。
a−C:Hの表面層の最表領域は、酸素原子を含有するガスを用いてプラズマ処理すればよい。
(実施例および比較例)
実施例および比較例では、図3に示す電子写真感光体の製造装置(プラズマCVD装置)を用いて、円筒状の基体上に表1に示す条件で図2に示す層構成の負帯電用の電子写真感光体(a−Si感光体)を2本製造した。そして、2本の電子写真感光体に対して、表2に示す条件で表面領域の酸化を行った。なお、円筒状の基体として、直径84mm、長さ381mm、厚さ3mmの鏡面加工を施した円筒状のアルミニウム製の導電性基体を使用した。
電子写真感光体を製造した後、図4に示す電子写真装置に搭載し、気温25℃、湿度40%の環境で100日間放置した。
具体的には、キヤノン(株)製のデジタル電子写真装置「imagePRESS C65」(商品名)の改造機に電子写真感光体を搭載した。
改造点は、デジタル電子写真装置「imagePRESS C65」のBkステーションに、製造した電子写真感光体を搭載し、帯電設定、露光設定、現像バイアス設定を調整した。
また、駆動モーターが電子写真感光体を回転駆動させるために必要な駆動電流を測定できるようにし、それにより、デジタル電子写真装置の電源OFF時および電源ON時に電子写真感光体の回転トルクを測定できるようにした。
さらに、電源ON時に測定した回転トルクと、前回の電源OFF時に測定した回転トルクと、の差分を算出可能とした。そして、その差分をあらかじめ設定した規定値と比較することで、電子写真感光体の表面を酸化処理する必要性があるかを判定できるようにした。
本実施例では、100日間放置後の画像形成を行う前に、電子写真感光体の表面に負電荷を与えて、電子写真感光体の表面に酸化処理を施した。負電荷を与える際の帯電装置の単位面積当たりの電流値を0.1μA/cmとし、15分間酸化処理を行った。
一方、比較例1の電子写真感光体(a−Si感光体)では、酸化処理を施さずに画像形成を行った(表3では0分と記載。)。
また、表面に酸化処理を施す時間は以下のように導きだした。
図1(a)、(b)、(c)に示すように、あらかじめ、
・電子写真感光体の表面の酸素原子の含有量と電子写真感光体の回転トルク変動値との相関関係、
・電子写真感光体の表面の酸素原子の含有量と電子写真感光体の解像力との相関関係、および、
・電子写真感光体の解像力と電子写真感光体に負電荷を与える時間の相関関係
を算出した。
電子写真感光体を100日放置した後の電源ON時に測定した回転トルクと、100日放置前の電源OFF時に測定した回転トルクと、の差分を算出した。そして、算出した回転トルクの変動値と上記3つの相関関係から、電子写真感光体が100日間放置された場合の酸化処理時間は15分であることを導きだした。
得られた出力画像に関して後述する方法で解像力の評価を行った。解像力の評価結果を表3に示す。
(出力画像の解像力の評価)
出力画像の解像力の評価は、キヤノン(株)製のデジタル電子写真装置「imagePRESS C65」(商品名)の改造機を用いて行った。改造点は、帯電(一次帯電)および現像バイアスを外部電源から印加できる構成とした。電子写真装置本体に搭載された最も高線数の230lpiの網点スクリーンを用いて、面積階調画像により、出力画像の解像力の評価を行った。
面積階調画像は、17段階に均等配分した階調データを用いた。このとき、最も濃い階調を16、最も薄い階調を0として各階調に番号を割り当て、階調段階とした。
得られた出力画像のうち、0〜8階調の各階調ごとに反射濃度計(商品名:504分光濃度計、X−Rite Inc製)により画像濃度を測定した。なお、反射濃度の測定で、は各々の階調ごとに3枚の画像を出力し、それらの濃度の平均値を評価値とした。
こうして得られた評価値と階調段階との線形近似した時の決定係数R2値を算出し、
0.996以上をA、
0.990以上0.996未満をB、
0.990未満をC
として評価した。B以上で本発明の効果が得られたと判定した。
Figure 2020122841
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表3から以下のことが分かる。
電子写真装置内で電子写真感光体の回転トルクを測定し、電子写真感光体の表面に酸化処理を施す必要性の有無を判定し、必要であれば酸化処理を施す。そうすることで、電子写真装置内で電子写真感光体の表面状態が変化した状態でも、電子写真感光体の解像力を回復させることができる。
その結果、電子写真装置の本来の性能を維持することができる。

Claims (5)

  1. 表面が酸化されている表面層を有する電子写真感光体の表面を加熱しながら、前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電工程と、
    帯電された前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する露光工程と、
    前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像をトナーによって現像して前記電子写真感光体の表面にトナー像を形成する現像工程と、
    前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録材に転写する転写工程と、
    前記電子写真感光体の表面の転写残トナーを除去するクリーニング工程と、
    を有する電子写真装置の制御方法であって、
    前記表面層が、水素化アモルファスカーボンまたは水素化アモルファスシリコンカーバイドで形成されており、
    前記制御方法が、さらに、前記電子写真装置の電源OFF時および電源ON時に前記電子写真感光体の回転トルクを測定するトルク測定工程を有し、
    前記電子写真装置の電源ON時に測定した回転トルクと、前記電子写真装置の前回の電源OFF時に測定した回転トルクと、の差分が規定値以上になった場合は、規定値未満になるまで、前記電子写真感光体の表面に負電荷を与えて、前記電子写真感光体の表面を酸化処理する
    ことを特徴とする電子写真装置の制御方法。
  2. 前記電子写真装置が、前記電子写真感光体の解像力を検知する機構を有さない請求項1に記載の電子写真装置の制御方法。
  3. 前記電子写真装置が、前記電子写真感光体に接触および離間可能なクリーニングブレードを有するクリーニング装置を有し、
    前記クリーニング工程の際は、前記クリーニング装置を前記電子写真装置に接触させ、
    前記電子写真感光体の表面に負電荷を与える際は、前記クリーニング手段を前記電子写真装置から離間させる
    請求項1または2に記載の電子写真装置の制御方法。
  4. 前記表面層が、水素化アモルファスカーボンで形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真装置の制御方法。
  5. 前記表面層の最表領域が、酸素原子を含有するガスを用いてプラズマ処理されている請求項4に記載の電子写真装置の制御方法。
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