以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1に示す本実施の形態1の射出成形装置(射出成形体の製造装置)30は、図5に示す金属部材であるターミナル部材3が配置された金型内に樹脂を射出するインサート成形と、上記インサート成形によって成形された図7(a)に示すインサート成形体15に、図3に示す封止部材4を成形する封止部材成形と、ターミナル部材3の切断と、を行うものである。
なお、インサート成形は、2種類の異なる樹脂を使用して2つの工程に分けて行われる。すなわち、インサート成形体15として、ターミナル部材3の一部分(コネクタ側部分)と図1に示す第1樹脂21とを一体化する第1インサート成形と、ターミナル部材3の他部分(ブラシ側部分)と第2樹脂22とを一体化する第2インサート成形と、が行われる。さらに、上記第1インサート成形および第2インサート成形によって成形されたインサート成形体15に第3樹脂23を射出して封止部材4を成形する封止部材成形が行われる。ここで、第1樹脂21と第2樹脂22と第3樹脂23とは、互いに異なる樹脂である。
また、射出成形装置30では、何れかの金型の型締めにより、ターミナル部材3の所定箇所の切断を行う。
本実施の形態1では、射出成形体の一例として、自動車のワイパ用モータなどに固定される図3に示すコネクタユニット(インサート成形品)1を取り上げて説明する。コネクタユニット1は、ブラシホルダを含むブラシ側樹脂部2aと、コネクタを含むコネクタ側樹脂部2bとが一体に樹脂成形されて成る樹脂成形部2を有する射出成形体である。なお、ブラシ側樹脂部2aとコネクタ側樹脂部2bとは、それぞれ別個にインサート成形により成形される部分であり、ブラシ側樹脂部2aとコネクタ側樹脂部2bのうち、何れか一方を先にインサート成形し、何れか他方を後からインサート成形する。その際、後から成形する樹脂部の成形時にその樹脂部を先に成形した樹脂部に溶融によって接合する。
次に、図1に示す本実施の形態1の射出成形装置(射出成形体の製造装置)30について説明する。射出成形装置30は、回転可能なターンテーブル5を備えている。射出成形装置30では、ターンテーブル5は、処理が行われるポジションごとに所定の角度ずつ一方向に回転するように制御される。本実施の形態1では、所定の角度が120°の場合を説明する。すなわち、図2に示すように、円形のターンテーブル5に対して処理が行われるポジションが回転中心Cに対して120°ずつの間隔で設定されている。具体的には、各処理が行われるポジションがST1、ST2、ST3として、ターンテーブル5の回転中心Cに対して120°ずつの角度を成す間隔で設定されている。そして、ターンテーブル5は、ST1、ST2およびST3のそれぞれのポジションに対応するように120°ずつ時計方向(一方向)に順次回転移動し、ST1、ST2およびST3のそれぞれのポジションで所定の処理が行われる。
また、図1および図2に示すように、射出成形装置30は、ターンテーブル5上に、このターンテーブル5の回転方向に沿って所定間隔で配置された第1金型6、第2金型7および第3金型8を備えている。本実施の形態1では、ターンテーブル5上において回転中心Cに対して互いが120°を成す角度で配置された第1金型6、第2金型7および第3金型8を備えている場合について説明する。つまり、第1金型6、第2金型7および第3金型8は、ターンテーブル5上にターンテーブル5の回転方向に沿って120°間隔で配置されている。
そして、本実施の形態1の射出成形装置30は、第1金型6、第2金型7および第3金型8に対して型開き・型締めをする第4金型9、第5金型10および第6金型11を備えている。また、型締めされた金型内に樹脂を射出する第1射出装置12、第2射出装置13および第3射出装置14と、ターンテーブル5の回転(旋回)動作、使用する上記射出装置、使用する樹脂および射出のタイミングなどの射出動作を制御する制御部16と、を備えている。なお、制御部16は、例えば、ターンテーブル5に対して第1の回転制御および第2の回転制御を実行する制御を行い、さらに、第1射出装置12における第1の射出制御、第2射出装置13における第2の射出制御および第3射出装置14における第3の射出制御のそれぞれを実行する制御を行う。また、制御部16は、第4金型9、第5金型10および第6金型11の型開き・型締めの動作も制御する。
なお、ターンテーブル5に設けられた第1金型6、第2金型7および第3金型8のそれぞれは、下型である。一方、ターンテーブル5の上方には、第1金型6、第2金型7および第3金型8のそれぞれの停止位置に対応して配置され、かつ第1金型6、第2金型7および第3金型8の上型となる第4金型9、第5金型10および第6金型11が設けられている。第4金型9、第5金型10および第6金型11のそれぞれは、上下に移動して第1金型6、第2金型7および第3金型8に対して型締め・型開きを行う。すなわち、第4金型9、第5金型10および第6金型11は、第1金型6、第2金型7および第3金型8の何れかに対して接近離反するように設けられている。
また、図1に示すように、射出成形装置30においては、第4金型9に第1射出装置12が取り付けられ、第5金型10に第2射出装置13が取り付けられ、さらに第6金型11に第3射出装置14が取り付けられており、それぞれ制御部16の制御によって必要なタイミングで必要な樹脂を射出するようになっている。具体的には、第1射出装置12は、第1樹脂21を金型内に射出し、図3に示すコネクタ側樹脂部2bを成形するコネクタ側成形(図4参照、第1インサート成形)を行う。このコネクタ側成形は、図2に示すST1のポジションで行われる。また、第2射出装置13は、第2樹脂22を金型内に射出し、図3に示すブラシ側樹脂部2aを成形するブラシ側成形(図4参照、第2インサート成形)を行う。このブラシ側成形は、図2に示すST2のポジションで行われる。さらに、第3射出装置14は、第3樹脂23を金型内に射出し、図3に示す封止部材4を成形するエラストマー成形(図4参照、封止部材成形)を行う。このエラストマー成形は、図2に示すST3のポジションで行われる。
なお、コネクタ側成形およびブラシ側成形は、それぞれターミナル部材3と一体に成形されるインサート成形でもあり、ターミナル部材3が含まれるように図7(a)に示すインサート成形体15を成形する。その際、上述のように、コネクタ側成形とブラシ側成形とは、それぞれ別の射出装置によってターンテーブル5上の異なるポジションで行われる。本実施の形態1の射出成形装置30では、コネクタ側成形およびブラシ側成形において、どちらを先に成形してもよく、先に成形した成形体に後から成形した成形体を、その樹脂同士による接合部2e(図7(b)参照)を溶融することで一体化させて成形する。すなわち、第1射出装置12により先にブラシ側成形を行ってブラシ側樹脂部2aを成形してもよく、その場合は、第2射出装置13により、後からコネクタ側成形を行ってコネクタ側樹脂部2bを成形する。
また、エラストマー成形は、封止部材成形でもあり、図3に示すように、インサート成形体15の周縁部に封止部材4を成形する。
図1に示すように射出成形装置30において、第1射出装置12は、射出口12bを有する射出筒12aを備えており、第2射出装置13は、射出口13bを有する射出筒13aを備えている。同様に、第3射出装置14は、射出口14bを有する射出筒14aを備えている。
具体的には、第1射出装置12は、図2に示すST1のポジションにおいて、第1インサート成形の実行によりコネクタ側成形もしくはブラシ側成形を行う。また、第2射出装置13は、図2に示すST2のポジションにおいて、第2インサート成形の実行によりコネクタ側成形もしくはブラシ側成形を行う。第1射出装置12でコネクタ側成形を行った場合には、第2射出装置13でブラシ側成形を行い、第1射出装置12でブラシ側成形を行った場合には、第2射出装置13でコネクタ側成形を行う。
その際、第1射出装置12によりコネクタ側成形を行う場合には、射出筒12aの射出口12bからコネクタ側樹脂部2bを成形するための第1樹脂21を、予め図5に示すターミナル部材3が配置された金型内に射出して第1インサート成形を行う。そして、第2射出装置13によりブラシ側成形を行う場合には、射出筒13aの射出口13bからブラシ側樹脂部2aを成形するための第2樹脂22を、予め図5に示すターミナル部材3が配置された金型内に射出して第2インサート成形を行う。
一方、第1射出装置12によりブラシ側成形を行う場合には、射出筒12aの射出口12bからブラシ側樹脂部2aを成形するための第2樹脂22を、予め図5に示すターミナル部材3が配置された金型内に射出して第1インサート成形を行う。そして、第2射出装置13によりコネクタ側成形を行う場合には、射出筒13aの射出口13bからコネクタ側樹脂部2bを成形するための第1樹脂21を、予め図5に示すターミナル部材3が配置された金型内に射出して第2インサート成形を行う。
また、第3射出装置14は、図2に示すST3のポジションにおいて、図3に示すコネクタユニット1を封止部材成形(エラストマー成形)によって成形する。その際、射出筒14aの射出口14bから封止部材4を成形するための第3樹脂23を金型内に射出して封止部材4を成形するとともにコネクタユニット1を完成させる。なお、封止部材4は、樹脂成形部2の表裏両面の周縁部に成形される。
以上のように、第1射出装置12、第2射出装置13および第3射出装置14には、それぞれ射出筒12a,13a,14aが設けられており、これら3つの射出筒12a,13a,14aは、制御部16によってそれぞれ独立して制御可能である。
また、射出成形装置30では、ターンテーブル5の120°ずつの回転制御(第1の回転制御、第2の回転制御、第3の回転制御)、および第4金型9、第5金型10、第6金型11の型締め・型開きの際の下型への接近・離反制御は、図1に示す制御部16によって実行される。同様に、第1射出装置12、第2射出装置13および第3射出装置14の射出制御(第1の射出制御、第2の射出制御、第3の射出制御)も、図1に示す制御部16によって実行される。さらに、ターミナル部材3の切断は、第4金型9、第5金型10、第6金型11の何れかの金型の型締め動作によって行われる。なお、下型である第1金型6、第2金型7、第3金型8に対して、上型である第4金型9、第5金型10、第6金型11は、個別に制御することができるため、射出成型されない金型の上型は、型締めしないように制御することもできる。
なお、ターンテーブル5の周囲には、適度な間隔を設けて図示しないハンドリング用のロボットが配置されており、金型におけるターミナル部材3の搬入もしくは被処理体(成形体)の搬入・取出しを行っている。
次に、射出成形装置30の制御部16が実行する制御について説明する。
まず、図2に示す初期状態において、第1金型6と第4金型9とが対向し、さらに第2金型7と第5金型10とが対向し、かつ第3金型8と第6金型11とが対向している。
そして、制御部16が第1の回転制御A1を実行すると、第3金型8と第4金型9とが対向し、さらに第1金型6と第5金型10とが対向し、かつ、第2金型7と第6金型11とが対向するようにターンテーブル5が120°回転する。
また、制御部16が第2の回転制御B1を実行すると、第2金型7と第4金型9とが対向し、さらに第3金型8と第5金型10とが対向し、かつ、第1金型6と第6金型11とが対向するようにターンテーブル5が120°回転する。
また、制御部16が第3の回転制御C1を実行すると、第1金型6と第4金型9とが対向し、さらに第2金型7と第5金型10とが対向し、かつ、第3金型8と第6金型11とが対向するようにターンテーブル5が120°回転する。つまり、第3の回転制御C1の実行により、初期状態と同様の状態に戻る。
また、制御部16が第1の射出制御を実行すると、図2に示すST1のポジションで、第1射出装置12を用いて第1インサート成形が行われ、コネクタ側樹脂部2bもしくはブラシ側樹脂部2aが成形される。
また、制御部16が第2の射出制御を実行すると、図2に示すST2のポジションで、第2射出装置13を用いて第2インサート成形が行われ、コネクタ側樹脂部2bもしくはブラシ側樹脂部2aが成形される。これにより、図7(a)に示すようなインサート成形体15が成形される。なお、図2に示すST1のポジションで、第1射出装置12を用いてコネクタ側樹脂部2bを成形した場合には、ST2のポジションでは、第2射出装置13を用いてブラシ側樹脂部2aが成形される。一方、図2に示すST1のポジションで、第1射出装置12を用いてブラシ側樹脂部2aを成形した場合には、ST2のポジションでは、第2射出装置13を用いてコネクタ側樹脂部2bが成形される。
また、制御部16が第3の射出制御を実行すると、図2に示すST3のポジションで、第3射出装置14を用いて封止部材成形(エラストマー成形)が行われ、インサート成形体15の樹脂成形部2に図3に示す封止部材4が成形される。すなわち、インサート成形体15の樹脂成形部2の周縁部に封止部材4が成形される。
また、制御部16が第4金型9、第5金型10、第6金型11の型締めを実行すると、図2に示すST1またはST2の何れかのポジションで、第4金型9もしくは第5金型10によってターミナル部材3の所定箇所(例えば、図9に示すA部,B部,C部,D部,E部,F部およびG部それぞれの切断部3a)で切断される。
なお、第1インサート成形(第1の射出制御)、第2インサート成形(第2の射出制御)およびエラストマー成形である封止部材成形(第3の射出制御)は、同一の工程でほぼ同じタイミングで行われることが好ましい。第1インサート成形、第2インサート成形および封止部材成形を同一の工程で行うことで、コネクタユニット1の製造の効率を向上させて、コネクタユニット1の成形時間を短縮することができる。
次に、図3に示す射出成形体であるコネクタユニット(インサート成形品)1について説明する。本実施の形態1のコネクタユニット1は、図1に示す射出成形装置30によって成形される射出成形体であり、3種類の樹脂を用いて成形される樹脂成形品であるとともに、ターミナル部材(金属部材)3と第1樹脂21、およびターミナル部材3と第2樹脂22とが一体に成形されるインサート成形品である。
図3に示すコネクタユニット1は、金属部材としてのターミナル部材3と、第1樹脂21および第2樹脂22とが一体に成形された図7(a)に示すインサート成形体15と、インサート成形体15に成形され、かつ、図1に示す第3樹脂23からなる図3の封止部材4と、を有しており、封止部材4は、インサート成形体15の周縁部に沿って設けられている。なお、図1に示す第1樹脂21、第2樹脂22および第3樹脂23のそれぞれは、互いに異なる樹脂である。
詳細には、図7(a)に示すインサート成形体15は、ターミナル部材3と樹脂成形部2とからなる。図5に示すように、ターミナル部材3は、金属製の配線部分を有しており、配線の機能(信号線、電源線、GND線など)ごとに分離して絶縁しなければならず、例えば、インサート成形後などに各切断部3aで切断を行って必要に応じた絶縁を確保している。ただし、図5に示すように、ターミナル部材3は、部品としてはばらけていない方が扱い易いため、各機能ごとの配線が切断部3aによって連結されている。
また、図7(a)に示すようにインサート成形体15の樹脂成形部2は、コネクタを含むコネクタ側樹脂部2b(モータの外部に配置される部分)と、ブラシホルダを含むリング状のブラシ側樹脂部2a(モータの内部に配置される部分)と、からなる樹脂部分である。コネクタ側樹脂部2bは、ワイパ用モータの外部に配置されるため、耐水性が高い方が好ましい。一方、ブラシ側樹脂部2aは、ワイパ用モータの内部に配置されるため、耐熱性が高い方が好ましい。すなわち、本実施の形態1のコネクタユニット1では、その樹脂成形部2のコネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aとを、それぞれターミナル部材3とのインサート成形を別々に行って図7(b)に示す接合部2eで溶融により一体化したものである。言い換えると、図3に示すコネクタユニット1の樹脂成形部2は、コネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aのそれぞれの配置環境に適した異なる樹脂で別々に射出成形し、かつ溶融で接合したものである。
なお、上述のように、コネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aとは、図7(b)に示す接合部2eにおいて溶融などによって接合されている。ただし、接合部2eの断面の形状は、図7(b)に示すように、コネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aとが平坦な形状同士で溶融によって接合されていてもよいし、図8の変形例に示すように、コネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aとの接合面積を増やして接合力を高めた形状であってもよい。
例えば、図8(a)は、L字型接合であり、コネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aとのそれぞれの端部がL字型となっており、コネクタ側樹脂部2bおよびブラシ側樹脂部2aのそれぞれのL字部分で接合(嵌合)している。また、図8(b)は、凹凸接合であり、コネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aとのそれぞれの端部が凹凸の関係となっており、コネクタ側樹脂部2bおよびブラシ側樹脂部2aのそれぞれのL字部分で接合(嵌合)している。このようにL字型接合や凹凸接合を採用することで、コネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aとの接合面積を増やしてコネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aとの接合力を高めることができる。
また、図3に示すように、封止部材4は、樹脂成形部2の周縁部に設けられており、これにより、コネクタユニット1が自動車に実装された際に、気密性を高めることができる。封止部材4は、樹脂成形部2の表側の周縁部と裏側の周縁部とに設けられている。具体的には、表側の周縁部とは、コネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aとを含む樹脂成形部全体の周縁部であり、裏側の周縁部とは、リング状に成形されたブラシ側樹脂部2aの周縁部である。表側の周縁部の封止部材4aと裏側の周縁部の封止部材4bとは、樹脂成形部2の側面で繋がっていてもよいし、分離されていてもよい。
なお、コネクタ側樹脂部2bは、第1樹脂21によって成形され、第1樹脂21は、例えば、ポリブチレンテレフタレートである。コネクタ側樹脂部2bがポリブチレンテレフタレートによって成形されることで、コネクタ側樹脂部2bの耐水性を高めることができる。また、ブラシ側樹脂部2aは、第2樹脂22によって成形され、第2樹脂22は、例えば、ポリアセタールである。ブラシ側樹脂部2aがポリアセタールによって成形されることで、ブラシ側樹脂部2aの耐熱性を高めることができる。また、封止部材4は、第3樹脂23によって成形され、第3樹脂23は、例えば、エラストマー樹脂である。封止部材4がエラストマー樹脂によって成形されることで、エラストマー樹脂は可撓性が高いため、コネクタユニット1が自動車に実装された際の気密性を高めることができる。
ここで、コネクタ側樹脂部2bの表面側にはターミナル20(図10参照)を支持する支持壁2cが成形されている。
なお、上述のようにコネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aと封止部材4は、それぞれが互いに異なる樹脂からなる。すなわち、コネクタユニット1は、3種類の異なる樹脂によってそれぞれ射出成形された部分を有する構造体である。
次に、本実施の形態1の射出成形体の製造方法について説明する。
図2の処理1(初期状態)に示すように、ターンテーブル5には、第1金型6、第2金型7および第3金型8のそれぞれが、互いに回転中心Cに対して120°の間隔で配置されている。言い換えると、第1金型6、第2金型7および第3金型8のそれぞれが、ターンテーブル5の回転方向に沿って120°間隔で配置されている。一方、第1金型6、第2金型7および第3金型8のそれぞれの金型に対応するように、ターンテーブル5の上方には、第4金型9、第5金型10および第6金型11のそれぞれが配置されている。
図2、図4に示す射出成形の手順に沿って射出成形体の製造方法を説明する。
まず、図2に示す初期状態のST1のポジションにおいて、図2および図4に示す処理1として、ターミナル部材3を金型にセットする。ここでは、第1金型6に図5に示すターミナル部材(金属部材)3を配置する。この段階では、ターミナル部材3は、その各切断部3aはまだ切断されておらず、各切断部3aが繋がった状態で一体の構造体の状態である。
ターミナル部材配置後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型締めを行う。
型締め後、図2に示すST1のポジションにおいて、制御部16により、第1の射出制御を実行してコネクタ側成形を行う。コネクタ側成形は、第1インサート成形である。ここでは、図2に示すST1のポジションで、第1射出装置12を用いて第1インサート成形を行う。具体的には、第1金型6と第4金型9においてコネクタ側成形を行って図6に示すコネクタ側樹脂部2bを成形する。ここでは、ターミナル部材3と一体にコネクタ側樹脂部2bを成形する。詳細には、第1射出装置12では、図1に示す射出成形装置30において、射出筒12aの射出口12bから第1樹脂21を、予め図5に示すターミナル部材3が配置された第1金型6と第4金型9の内部に射出して図6に示すコネクタ側樹脂部2bを成形する。なお、コネクタ側樹脂部2bの表面側には図10のターミナル20を支持する支持壁2cが成形されている。
コネクタ側成形後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行う。
型開き後、制御部16によって図2に示すA1における第1の回転制御を実行する。すなわち、ターンテーブル5を時計方向に120°回転させて停止させる。このターンテーブル5の120°回転により、コネクタ側樹脂部2bが成形された第1金型6がST1のポジションからST2のポジションに移動する。回転後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型締めを行う。
型締め後、図2に示すA2(時計方向120°回転後)のST2のポジションにおいて、図2および図4に示す処理2として、制御部16により、第2の射出制御を実行してブラシ側成形を行う。ブラシ側成形は、第2インサート成形である。ここでは、図2に示すA2(時計方向120°回転後)のST2のポジションで、第2射出装置13を用いて第2インサート成形を行う。具体的には、第1金型6と第5金型10においてブラシ側成形(インサート成形)を行って図7(a)に示すようにブラシ側樹脂部2aを成形し、コネクタ側樹脂部2bと溶融させてインサート成形体15を成形する。詳細には、第2射出装置13では、図1に示す射出成形装置30において、射出筒13aの射出口13bから第2樹脂22を、予めコネクタ側樹脂部2bが成形された第1金型6と第5金型10の内部に射出して図7(a)に示すインサート成形体15を成形する。インサート成形体15は、ターミナル部材3と樹脂成形部2との一体成形からなり、樹脂成形部2は、コネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aとからなる。すなわち、ブラシ側樹脂部2aをリング状に射出成形(インサート成形)するとともに、コネクタ側樹脂部2bにブラシ側樹脂部2aを溶融によって図7(b)に示す接合部2eで接合する。
ブラシ側成形後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行う。
型開き後、制御部16によって図2に示すB1における第2の回転制御を実行する。すなわち、ターンテーブル5を時計方向に120°回転させて停止させる。このターンテーブル5の120°回転により、インサート成形体15が配置された第1金型6がST2のポジションからST3のポジションに移動する。回転後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型締めを行う。
型締め後、図2に示すB2(時計方向120°回転後)のST3のポジションにおいて、図2および図4に示す処理3として、制御部16により、第3の射出制御を実行してエラストマー成形(両面2箇所)を行う。エラストマー成形は、封止部材成形である。ここでは、図2に示すB2(時計方向120°回転後)のST3のポジションで、第2射出装置13を用いて封止部材成形を行う。具体的には、第1金型6と第6金型11においてエラストマー成形(封止部材成形)を行って図3に示すコネクタユニット1を成形する。詳細には、第3射出装置14では、図1に示す射出成形装置30において、射出筒14aの射出口14bから第3樹脂23を、予め図7(a)に示すインサート成形体15が配置された第1金型6と第6金型11の内部に射出して図3に示す封止部材4を成形し、これにより、コネクタユニット1を成形する。その際、インサート成形体15の樹脂成形部2の周縁部にエラストマー樹脂からなる封止部材4を成形する。封止部材4は、樹脂成形部2の表側の周縁部と裏側の周縁部とに(両面2箇所に)設ける。なお、表側の周縁部の封止部材4aと裏側の周縁部の封止部材4bとは、樹脂成形部2の側面で繋がっていてもよいし、分離されていてもよい。
エラストマー成形(封止部材成形)後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行う。
型開き後、制御部16によって図2に示すC1における第3の回転制御を実行する。すなわち、ターンテーブル5を時計方向に120°回転させて停止させる。このターンテーブル5の120°回転により、コネクタユニット1が配置された第1金型6がST3のポジションからST1のポジションに移動する(初期状態に戻る)。回転後、図2に示すC2(時計方向120°回転後)のST1のポジションにおいて、図4に示す処理4として、ターミナル部材切断、完成品取出しを行う。
ここでは、まず、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型締めを行う。その際、ST1のポジションにおける第4金型9の型締めにより、ターミナル部材3の切断を行う。つまり、封止部材4を成形した後、ターンテーブル5を120°(所定角度)回転させて第1金型6をST1のポジションに移動させる。そして、ST1のポジションで、第4金型9の型締めによってターミナル部材3の切断を行う。ターミナル部材3の切断では、図9に示すターミナル部材3のA部,B部,C部,D部,E部,F部およびG部それぞれの切断部3aを金型の型締めによって切断する。
これにより、ターミナル部材3は、配線の機能(信号線、電源線、GND線など)ごとに分離され絶縁された状態となる。
ターミナル部材切断後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行い、第1金型6、第4金型9の内部から完成品である図3に示すコネクタユニット1を取出す。
以上により、ターンテーブル5の120°ずつの同一方向(ここでは時計方向)の回転により、ST1、ST2およびST3の各ポジションにおける第1インサート成形、第2インサート成形、エラストマー成形、ターミナル部材3の切断の1サイクル分の処理を終える。なお、第1インサート成形、第2インサート成形、エラストマー成形の各処理は、ターンテーブル5が120°回転するごとに順次ST1、ST2およびST3の各ポジションにおいて行われるため、本実施の形態1の射出成形装置30を用いた実際の処理工程では、ST1、ST2およびST3の各ポジションにおいて、第1インサート成形、第2インサート成形、およびエラストマー成形が同一の工程内で行われる。つまり、第1インサート成形、第2インサート成形およびエラストマー成形がほぼ同じタイミングで行われる。
これにより、コネクタユニット1の製造の効率を向上させて、コネクタユニット1の成形時間を短縮することができる。
なお、図2および図4に示す処理1のコネクタ側成形と、処理2のブラシ側成形とは、逆の順番であってもよい。すなわち、処理1でST1のポジションでターミナル部材3を金型にセットした後、その金型で第1インサート成形としてブラシ側成形を行い、その後、ターンテーブル5を120°回転させたST2のポジションで、処理2としてコネクタ側成形(第2インサート成形)を行ってもよい。
ここで、自動車などに組みつけられるコネクタユニット1の実装用構造としては、図3に示すコネクタユニット1に、図10に示すようにチョークコイル18やキャパシタ19、あるいはターミナル20などの配線部材が実装された構造体となる。
本実施の形態1の射出成形装置30および射出成形体の製造方法によれば、1つの射出成形装置30で、3つの樹脂材を用いた樹脂成形、ターミナル部材3のインサート成形、コネクタユニット(インサート成形品)1の取出しおよびターミナル部材3の切断を行うことができる。
また、1つの射出成形装置30で、3つの樹脂材を用いた樹脂成形、ターミナル部材3のインサート成形、インサート成形品の取出しおよびターミナル部材3の切断を行うことができるため、工数を減らしてインサート成形品を製造することができる。さらに、同時に複数の処理を行うことが可能なため、インサート成形品の生産性を向上することができる。すなわち、120°の間隔で設定されたST1、ST2およびST3の各ポジションにおいて、第1インサート成形、第2インサート成形、および封止部材成形(エラストマー成形)を同一の工程で行うことができるため、3つの処理を略同時に行うことが可能になり、インサート成形品の生産性を向上することができる。
また、途中の段階で射出成形装置30から成形体を取り出すことなく、インサート成形品を製造することができるため、中間在庫を無くすことができる。また、途中の段階で射出成形装置30から成形体取り出さずにインサート成形品を製造することができるため、静電気による異物付着を低減することができる。さらに、インサート成形品の製造のバラツキを低減することができ、その結果、インサート成形品の品質を向上させることができる。
また、3つの樹脂材を用いた樹脂成形を行うことができるため、インサート成形体15に封止部材4を成形することができ、気密性を確保しつつインサート成形品の製造効率を高めることができる。
また、本実施の形態1のインサート成形品(コネクタユニット1)によれば、コネクタユニット1の樹脂成形部2の周縁部に射出成形によって封止部材4を成形することができるため、封止部材4を有したコネクタユニット1のコストを低減することができる。
また、コネクタユニット1の樹脂成形部2におけるコネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aをそれぞれ異なる樹脂で別々に射出成形することで、それぞれの配置環境に適した樹脂で、コネクタ側樹脂部2bおよびブラシ側樹脂部2aを成形することができる。
例えば、コネクタ側樹脂部2bをポリブチレンテレフタレートによって成形することで、コネクタ側樹脂部2bの耐水性を高めることができる。また、ブラシ側樹脂部2aをポリアセタールによって成形することで、ブラシ側樹脂部2aの耐熱性を高めることができる。これにより、コネクタユニット1の信頼性を高めることができる。
また、ターミナル部材3の切断を処理の最後の段階で実行するため、ターミナル部材3がコネクタユニット1の製造の途中でバラバラになるリスクを抑えることができ、ターミナル部材3の製造のずれを少なくすることができる。これにより、コネクタユニット1の品質を向上させることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態2の射出成形体の製造方法は、実施の形態1で用いた射出成形装置30を用いて実施の形態1と同様の処理、すなわち、コネクタ側成形(第1インサート成形)、ブラシ側成形(第2インサート成形)、エラストマー成形(封止部材成形)、ターミナル部材切断を行うものであるが、その処理手順が実施の形態1と異なっている。
具体的には、図11に示すように、本実施の形態2では、ターミナル部材3を金型にセットし、その直後にその金型でターミナル部材切断を行う。言い換えると、ターミナル部材3の切断を、図2に示すST1のポジションで、第1金型6と第4金型9において行う第1インサート成形(例えば、コネクタ側成形)の際の第4金型9の型締めによって行う。
詳細には、図2に示す初期状態のST1のポジションにおいて、図2および図11に示す処理1として、ターミナル部材3を金型にセットする。ここでは、第1金型6に図5に示すターミナル部材(金属部材)3を配置する。その後、ターミナル部材3の切断を行う。ここでは、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型締めを行う。その際、ST1のポジションでの第4金型9の型締めにより、ターミナル部材3の切断を行う。これにより、ターミナル部材3は、配線の機能(信号線、電源線、GND線など)ごとに分離され絶縁された状態となる。
ターミナル部材3の切断後、制御部16の第1の射出制御により、コネクタ側成形である第1インサート成形を行う。ここでは、図2に示すST1のポジションで、第1射出装置12を用いて第1インサート成形を行う。すなわち、第1金型6と第4金型9においてコネクタ側成形を行って図6に示すようにターミナル部材3と一体にコネクタ側樹脂部2bを成形する。
コネクタ側成形後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行う。
さらに、型開き後、制御部16によって図2に示すA1における第1の回転制御を実行し、ターンテーブル5を時計方向に120°回転させ、回転後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型締めを行う。
型締め後、図2に示すA2(時計方向120°回転後)のST2のポジションにおいて、図2および図11に示す処理2として、制御部16の第2の射出制御により、ブラシ側成形である第2インサート成形を行う。ここでは、図2に示すST2のポジションで、第2射出装置13を用いて第2インサート成形を行う。すなわち、第1金型6と第5金型10においてブラシ側成形を行って図7(a)に示すインサート成形体15を成形する。つまり、ターミナル部材3と一体にブラシ側樹脂部2aを成形するとともにコネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aとを溶融により接合して一体化し、樹脂成形部2を成形する。
ブラシ側成形後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行う。
型開き後、制御部16によって図2に示すB1における第2の回転制御を実行し、ターンテーブル5を時計方向に120°回転させ、回転後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型締めを行う。
型締め後、図2に示すB2(時計方向120°回転後)のST3のポジションにおいて、図2および図11に示す処理3として、制御部16の第3の射出制御により、エラストマー成形(両面2箇所)である封止部材成形を行う。ここでは、図2に示すST3のポジションで、第3射出装置14を用いて封止部材成形を行う。すなわち、第1金型6と第6金型11においてエラストマー成形(封止部材成形)を行って図3に示す封止部材4を成形し、これによってコネクタユニット1を成形する。
封止部材成形後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行う。
型開き後、制御部16によって図2に示すC1における第3の回転制御を実行し、ターンテーブル5を時計方向に120°回転させ、回転後、図2に示すC2のST1のポジションにおいて、図11に示す処理4として、完成品取出しを行う。すなわち、第1金型6、第4金型9の内部から完成品である図3に示すコネクタユニット1を取出す。
なお、本実施の形態2においても、図2および図11に示す処理1のコネクタ側成形と、処理2のブラシ側成形とは、逆の順番であってもよい。すなわち、処理1でST1のポジションでターミナル部材3を金型にセットし、かつターミナル部材切断を行った後、その金型で第1インサート成形としてブラシ側成形を行い、その後、ターンテーブル5を120°回転させたST2のポジションで、処理2としてコネクタ側成形(第2インサート成形)を行ってもよい。
本実施の形態2の射出成形体の製造方法によれば、ターミナル部材3の切断をコネクタユニット1の製造の最初の段階で実行することにより、切断時の切り屑は、樹脂成形前に発生し、後段の工程において樹脂成形時に切り屑が混入することを回避できる。その結果、コネクタユニット1の品質を向上させることができる。
なお、本実施の形態2の射出成形体の製造方法におけるその他の効果については、実施の形態1の射出成形体の製造方法と同様であるため、その重複説明は省略する。
(実施の形態3)
本実施の形態3の射出成形体の製造方法は、実施の形態1で用いた射出成形装置30を用いて実施の形態1と同様の処理、すなわち、コネクタ側成形(第1インサート成形)、ブラシ側成形(第2インサート成形)、エラストマー成形(封止部材成形)、ターミナル部材切断を行うものであるが、その処理手順が実施の形態1と異なっている。
具体的には、図12に示すように、本実施の形態3では、処理2のブラシ側成形を行う手順において、金型の型締めを行った際にターミナル部材3の切断を実施する。つまり、第1金型6、第5金型10において行われる第2インサート成形の際の第5金型10の型締めによってターミナル部材3の切断を行うものである。
詳細に説明すると、まず、図2に示す初期状態のST1のポジションにおいて、図2および図12に示す処理1として、ターミナル部材3を金型にセットする。ここでは、第1金型6に図5に示すターミナル部材(金属部材)3を配置する。
配置後、制御部16の第1の射出制御により、コネクタ側成形である第1インサート成形を行う。ここでは、図2に示すST1のポジションで、第1射出装置12を用いて第1インサート成形を行う。すなわち、第1金型6と第4金型9においてコネクタ側成形を行って図6に示すようにターミナル部材3と一体にコネクタ側樹脂部2bを成形する。
コネクタ側成形後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行う。
さらに、型開き後、制御部16によって図2に示すA1における第1の回転制御を実行し、ターンテーブル5を時計方向に120°回転させる。
回転後、図2に示すA2のST2のポジションにおいて、図2および図12に示す処理2として、ブラシ側成形(第2インサート成形)を行う。そして、ブラシ側成形を行う際の金型の型締め時にターミナル部材3の切断を行う。まず、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型締めを行う。その際、ST2のポジションでの第5金型10の型締めにより、ターミナル部材3の切断を行う。これにより、ターミナル部材3は、配線の機能(信号線、電源線、GND線など)ごとに分離され絶縁された状態となる。
ターミナル部材3の切断後、制御部16の第2の射出制御により、ブラシ側成形である第2インサート成形を行う。ここでは、図2に示すST2のポジションで、第2射出装置13を用いて第2インサート成形を行う。すなわち、第1金型6と第5金型10においてブラシ側成形を行って図7(a)に示すインサート成形体15を成形する。つまり、ターミナル部材3と一体にブラシ側樹脂部2aを成形するとともにコネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aとを溶融により接合して一体化し、樹脂成形部2を成形する。
ブラシ側成形後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行う。
型開き後、制御部16によって図2に示すB1における第2の回転制御を実行し、ターンテーブル5を時計方向に120°回転させ、回転後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型締めを行う。
型締め後、図2に示すB2(時計方向120°回転後)のST3のポジションにおいて、図2および図12に示す処理3として、制御部16の第3の射出制御により、エラストマー成形(両面2箇所)である封止部材成形を行う。ここでは、図2に示すB2の状態におけるST3のポジションで、第3射出装置14を用いて封止部材成形を行う。すなわち、第1金型6と第6金型11においてエラストマー成形(封止部材成形)を行って図3に示す封止部材4を成形し、これによってコネクタユニット1を成形する。
封止部材成形後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行う。
型開き後、制御部16によって図2に示すC1における第3の回転制御を実行し、ターンテーブル5を時計方向に120°回転させ、回転後、図2に示すC2のST1のポジションにおいて、図12に示す処理4として、完成品取出しを行う。すなわち、第1金型6、第4金型9の内部から完成品である図3に示すコネクタユニット1を取出す。
なお、一連の処理の1サイクル後の連続処理においては、図2に示すB2の状態におけるST3のポジションで第3の射出制御が実行されるのと同時に、B2の状態におけるST2のポジションでは、第3金型8、第5金型10によって第2の射出制御が実行されている。すなわち、本実施の形態3のターミナル部材3の切断は、第1金型6、第5金型10もしくは第3金型8、第5金型10において行われる第2インサート成形の際の金型の型締めによって行われる。
また、本実施の形態3においても、図2および図12に示す処理1のコネクタ側成形と、処理2のブラシ側成形とは、逆の順番であってもよい。すなわち、処理1でST1のポジションでターミナル部材3を金型にセットした後、その金型で第1インサート成形としてブラシ側成形を行い、その後、ターンテーブル5を120°回転させたST2のポジションで、処理2としてターミナル部材3の切断を行った後、コネクタ側成形(第2インサート成形)を行ってもよい。
本実施の形態3の射出成形体の製造方法によれば、ターミナル部材3の切断をブラシ側成形の金型の型締めの際に行うため、切断時の切り屑は、エラストマー成形前に発生し、後段のエラストマー成形時に切り屑が混入することを回避できる。その結果、コネクタユニット1の品質を向上させることができる。
なお、本実施の形態3の射出成形体の製造方法におけるその他の効果については、実施の形態1の射出成形体の製造方法と同様であるため、その重複説明は省略する。
(実施の形態4)
本実施の形態4の射出成形体の製造方法は、実施の形態3とほぼ同じであるが、実施の形態3と異なる点は、エラストマー成形時に、インサート成形体15の表裏面の周縁部だけでなく、ターミナル部材3の一部の切断部にも樹脂を充填するものである。
詳細に説明すると、まず、図2に示す初期状態のST1のポジションにおいて、図2および図13に示す処理1として、ターミナル部材3を金型にセットする。ここでは、第1金型6に図5に示すターミナル部材(金属部材)3を配置する。
配置後、制御部16の第1の射出制御により、コネクタ側成形である第1インサート成形を行う。ここでは、図2に示すST1のポジションで、第1射出装置12を用いて第1インサート成形を行う。すなわち、第1金型6と第4金型9においてコネクタ側成形を行って図6に示すようにターミナル部材3と一体にコネクタ側樹脂部2bを成形する。
コネクタ側成形後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行う。
さらに、型開き後、制御部16によって図2に示すA1における第1の回転制御を実行し、ターンテーブル5を時計方向に120°回転させる。
回転後、図2に示すA2のST2のポジションにおいて、図2および図13に示す処理2として、ブラシ側成形(第2インサート成形)を行う。そして、ブラシ側成形を行う際の金型の型締め時にターミナル部材3の切断を行う。まず、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型締めを行う。その際、ST2のポジションでの第5金型10の型締めにより、ターミナル部材3の切断を行う。これにより、ターミナル部材3は、配線の機能(信号線、電源線、GND線など)ごとに分離され絶縁された状態となる。
ターミナル部材3の切断後、制御部16の第2の射出制御により、ブラシ側成形である第2インサート成形を行う。ここでは、図2に示すST2のポジションで、第2射出装置13を用いて第2インサート成形を行う。すなわち、第1金型6と第5金型10においてブラシ側成形を行って図7(a)に示すインサート成形体15を成形する。つまり、ターミナル部材3と一体にブラシ側樹脂部2aを成形するとともにコネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aとを溶融により接合して一体化し、樹脂成形部2を成形する。
ブラシ側成形後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行う。
型開き後、制御部16によって図2に示すB1における第2の回転制御を実行し、ターンテーブル5を時計方向に120°回転させ、回転後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型締めを行う。
型締め後、図2に示すB2(時計方向120°回転後)のST3のポジションにおいて、図2および図13に示す処理3として、制御部16の第3の射出制御により、エラストマー成形(3箇所)である封止部材成形を行う。ここでは、図2に示すB2の状態におけるST3のポジションで、第3射出装置14を用いて封止部材成形を行う。すなわち、第1金型6と第6金型11においてエラストマー成形(封止部材成形)を行って図3に示す封止部材4を成形し、これによってコネクタユニット1を成形する。
その際、インサート成形体15の表裏面の周縁部だけでなく、インサート成形体15の樹脂成形部2(樹脂部分)におけるターミナル部材3の切断部の上部にも樹脂を充填する。具体的には、ターミナル部材3を切断した際にその切断部の上部の樹脂部分に溝や穴などが形成されるため、その溝や穴などに、封止部材成形時、封止部材4a,4bを成形する第3樹脂23と同一の樹脂を充填して図14に示す封止部材4cを成形する。
封止部材成形後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行う。
型開き後、制御部16によって図2に示すC1における第3の回転制御を実行し、ターンテーブル5を時計方向に120°回転させ、回転後、図2に示すC2のST1のポジションにおいて、図13に示す処理4として、完成品取出しを行う。すなわち、第1金型6、第4金型9の内部から完成品である図3に示すコネクタユニット1を取出す。
なお、本実施の形態4においても、図2および図13に示す処理1のコネクタ側成形と、処理2のブラシ側成形とは、逆の順番であってもよい。すなわち、処理1でST1のポジションでターミナル部材3を金型にセットした後、その金型で第1インサート成形としてブラシ側成形を行い、その後、ターンテーブル5を120°回転させたST2のポジションで、処理2としてターミナル部材3の切断を行った後、コネクタ側成形(第2インサート成形)を行ってもよい。
さらに、本実施の形態4の製造方法では、図13に示す処理手順において、ターミナル部材3の切断は、処理1で行ってもよい。すなわち、処理1でST1のポジションでターミナル部材3を金型にセットした後、その金型の型締めを行ってターミナル部材3の切断を実施してもよい。
本実施の形態4の射出成形体の製造方法によれば、エラストマー成形において、ターミナル部材3の切断部上のインサート成形体15に封止部材4cを成形することで、切断部上の穴などを埋めることができる。その結果、コネクタユニット1の品質を向上させることができる。
なお、ターミナル部材3の切断をコネクタ側成形やブラシ側成形の前に実施すれば、切断時の切り屑は、コネクタ側成形、ブラシ側成形およびエラストマー成形前に発生し、後段の工程において樹脂成形時に切り屑が混入することを回避できる。その結果、コネクタユニット1の品質を向上させることができる。
なお、本実施の形態4の射出成形体の製造方法におけるその他の効果については、実施の形態3の射出成形体の製造方法と同様であるため、その重複説明は省略する。
(実施の形態5)
本実施の形態5の射出成形体の製造方法は、実施の形態4とほぼ同じであるが、実施の形態4と異なる点は、エラストマー成形後、その場所でターンテーブル5を回転させずに金型から完成品を取出すものである。
詳細に説明すると、まず、図2に示す初期状態のST1のポジションにおいて、図2および図15に示す処理1として、ターミナル部材3を金型にセットする。ここでは、第1金型6に図5に示すターミナル部材(金属部材)3を配置する。
配置後、制御部16の第1の射出制御により、コネクタ側成形である第1インサート成形を行う。ここでは、図2に示すST1のポジションで、第1射出装置12を用いて第1インサート成形を行う。すなわち、第1金型6と第4金型9においてコネクタ側成形を行って図6に示すようにターミナル部材3と一体にコネクタ側樹脂部2bを成形する。
コネクタ側成形後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行う。
さらに、型開き後、制御部16によって図2に示すA1における第1の回転制御を実行し、ターンテーブル5を時計方向に120°回転させる。
回転後、図2に示すA2のST2のポジションにおいて、図2および図15に示す処理2として、ブラシ側成形(第2インサート成形)を行う。そして、ブラシ側成形を行う際の金型の型締め時にターミナル部材3の切断を行う。まず、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型締めを行う。その際、ST2のポジションでの第5金型10の型締めにより、ターミナル部材3の切断を行う。これにより、ターミナル部材3は、配線の機能(信号線、電源線、GND線など)ごとに分離され絶縁された状態となる。
ターミナル部材3の切断後、制御部16の第2の射出制御により、ブラシ側成形である第2インサート成形を行う。ここでは、図2に示すST2のポジションで、第2射出装置13を用いて第2インサート成形を行う。すなわち、第1金型6と第5金型10においてブラシ側成形を行って図7(a)に示すインサート成形体15を成形する。つまり、ターミナル部材3と一体にブラシ側樹脂部2aを成形するとともにコネクタ側樹脂部2bとブラシ側樹脂部2aとを溶融により接合して一体化し、樹脂成形部2を成形する。
ブラシ側成形後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行う。
型開き後、制御部16によって図2に示すB1における第2の回転制御を実行し、ターンテーブル5を時計方向に120°回転させ、回転後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型締めを行う。
型締め後、図2に示すB2(時計方向120°回転後)のST3のポジションにおいて、図2および図15に示す処理3として、制御部16の第3の射出制御により、エラストマー成形(2箇所または3箇所)である封止部材成形を行う。ここでは、図2に示すB2の状態におけるST3のポジションで、第3射出装置14を用いて封止部材成形を行う。すなわち、第1金型6と第6金型11においてエラストマー成形(封止部材成形)を行って図3に示す封止部材4を成形し、これによってコネクタユニット1を成形する。
その際、インサート成形体15の表裏面の周縁部だけでなく、ターミナル部材3の一部の切断部にも樹脂を充填してもよい。すなわち、樹脂成形部2に実施の形態4と同様に封止部材4cを成形してもよい。
封止部材成形後、制御部16の制御により、第4金型9、第5金型10および第6金型11それぞれの型開きを行う。
型開き後、完成品取出しを行う。すなわち、第1金型6、第6金型11の内部から完成品である図3に示すコネクタユニット(インサート成形品)1を取出す。
なお、本実施の形態5においても、図2および図15に示す処理1のコネクタ側成形と、処理2のブラシ側成形とは、逆の順番であってもよい。すなわち、処理1でST1のポジションでターミナル部材3を金型にセットした後、その金型で第1インサート成形としてブラシ側成形を行い、その後、ターンテーブル5を120°回転させたST2のポジションで、処理2としてターミナル部材3の切断を行った後、コネクタ側成形(第2インサート成形)を行ってもよい。
また、本実施の形態5の製造方法においても、図15に示す処理手順において、ターミナル部材3の切断は、処理1で行ってもよい。すなわち、処理1でST1のポジションでターミナル部材3を金型にセットした後、その金型の型締めを行ってターミナル部材3の切断を実施してもよい。
本実施の形態5の射出成形体の製造方法によれば、エラストマー成形後、その金型の型開きを行った際にエラストマー成形を行った金型から完成品の取出しを行うため、工程の省略化を図ることができる。
なお、本実施の形態5の射出成形体の製造方法におけるその他の効果については、実施の形態4の射出成形体の製造方法と同様であるため、その重複説明は省略する。
(実施の形態6)
本実施の形態6の射出成形体の製造方法は、実施の形態1〜3,5の何れかの手順で成形したコネクタユニット1に、図16に示すように、後付け(別工程)でシート状のフッ素樹脂多孔質部材17を貼り付けるものである。詳細には、インサート成形時にインサート成形体15の樹脂成形部2に形成された図17(a)に示す穴部(切断部)2dに、図17(b)に示すようにシート状のフッ素樹脂多孔質部材17を貼り付けて、穴部2dを塞ぐものである。
このように樹脂成形部2の穴部(切断部)2dにフッ素樹脂多孔質部材17を貼り付けることにより、通気性を高めることができ、結露発生時の結露吸込みによるモータの破損を防止することができるとともに、気密性も高めることができる。
なお、実施の形態6におけるコネクタユニット1の製造の処理手順は、実施の形態1〜3,5の何れを採用してもよい。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態1〜6においては、ターンテーブル5の回転が120°ずつ行われて各ポジションで所定の処理が行われる場合を説明したが、ターンテーブル5の回転の角度は120°に限定されずに120°以外の角度であってもよい。