JP2020118709A - 重合性組成物、位相差フィルム及びその製造方法、転写用積層体、光学部材及びその製造方法、並びに表示装置 - Google Patents

重合性組成物、位相差フィルム及びその製造方法、転写用積層体、光学部材及びその製造方法、並びに表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】垂直配向性を有し、良好な逆波長分散性を示す位相差層を形成することができる重合性組成物、重合性組成物の硬化物を含有する位相差層を有する位相差フィルム及びその製造方法、位相差層を転写可能な転写用積層体、位相差フィルムを有する光学部材及びその製造方法、並びに、表示装置を提供する。【解決手段】特定の構造式で表される重合性液晶化合物と、特定の構成単位を有する高分子垂直配向剤と、を含有する、重合性組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、重合性組成物、位相差フィルム及びその製造方法、転写用積層体、光学部材及びその製造方法、並びに表示装置に関する。
従来、液晶表示装置や発光表示装置等の表示装置に関して、位相差フィルムや偏光板等の光学部材をパネル面に配置する構成が提案されている。またこのような光学部材には、液晶材料による位相差を設ける構成が提案されている。
例えば有機発光表示装置等の発光表示装置においては、発光層の光を効率よく利用するため、反射性に優れた金属電極が設けられている。一方、当該金属電極を用いることにより、外光反射が大きくなる。そのため、発光表示装置においては、当該外光反射を抑制することを目的として、視認側に円偏光板等が用いられている。
円偏光板を透過した光は、光学的に異方性を有しており、表示装置においては、当該異方性が視野角によるコントラストの低下等の原因となる。これに対し、位相差フィルム、特にポジティブC型の位相差フィルム(ポジティブCプレート)を用いることにより、視野角を改善する手法が知られている。
ポジティブCプレートは、例えば、プレート内の棒状液晶分子を、当該プレート面に対して垂直に配向させることにより得ることができる。
しかしながら、従来のポジティブC型の位相差フィルムには、位相差フィルムを通過して出力される偏光が有色の偏光に変換されてしまうという問題があった。これは位相差フィルムを構成する材料が位相差について波長分散性を有し、可視光域の光線が混在する白色光に対して各波長の偏光状態に分布が生じることに起因する。この問題を防ぐためには、各波長において設計した位相差になるよう、波長分散性を制御する必要があり、広い波長域の光に対して均一な位相差を与え得る広帯域位相差フィルム、いわゆる逆波長分散性を有する位相差フィルムが求められている。
逆波長分散性を有するポジティブC型の位相差フィルムにおいては、厚み方向の位相差(レターデーション)Rthが逆波長分散性を有することが求められる。例えば、特許文献1には、配向膜を用いることなく製造可能な、厚み方向のレターデーションRthが逆波長分散性を示すポジティブCプレートとして用いることを目的として、所定の屈折率を有するポジC重合体と、単独で又は特定の液晶化合物と混合したときに逆波長分散性の面内レターデーションを示す所定のメソゲン化合物とを組み合わせて含む光学異方性層が提案されている。
国際公開2017/170455号公報
しかしながら、従来の逆波長分散性を示すポジティブC型の位相差フィルムは、逆波長分散性が不十分であり、視野角を改善するための理想的な逆波長分散性に近付けることが望まれている。
本開示の実施形態は、前述のような実情を鑑み、垂直配向性を有し、良好な逆波長分散性を示す位相差層を形成することができる重合性組成物、当該重合性組成物の硬化物を含有する位相差層を有する位相差フィルム及びその製造方法、前記位相差層を転写可能な転写用積層体、前記位相差フィルムを有する光学部材及びその製造方法、並びに、表示装置を提供することを目的とする。
本開示の1実施形態は、下記一般式(1)で表される重合性液晶化合物と、
下記一般式(I)で表される構成単位、及び下記一般式(II)で表される構成単位を有する高分子垂直配向剤と、を含有する、重合性組成物を提供する。
(一般式(1)中、L、L、L及びLはそれぞれ独立して、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、
及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、ベンゼン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
及びRはそれぞれ独立して、下記一般式(R−1)から選ばれる基を表し、
一般式(R−1): −L−Rsp1−Z
一般式(R−1)中、Lは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、Rsp1は、炭素原子数1以上20以下のアルキレン基又は単結合を表し、当該アルキレン基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、Zは重合性官能基を表す。
及びDはそれぞれ独立して、下記一般式(D−1)から選ばれる基を表し、
置換基E、E及びEはそれぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、或いは、置換基E、E及びEはそれぞれ独立して、−L−RspE−Zで表される基を表しても良く、ここでL、RspE、及びZは、それぞれ、前記L、Rsp1、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L、Rsp1、及びZと同一であっても異なっていても良く、化合物内に置換基E、E及びEがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良く、
、L、A、及びAがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
m1及びm2はそれぞれ独立して1以上4以下の整数を表し、n1及びn2はそれぞれ独立して0以上3以下の整数を表す。)
(一般式(D−1)中、Gは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すが、当該アルキル基は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、
は、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基を表すが、当該芳香環は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、
は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−NQ−、−N=CQ−、−CO−NQ−、−OCO−NQ−又は−O−NQ−を表し、Qは水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基、又は−(L−A−L−Rsp2−Zを表し、当該アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及び芳香環はそれぞれ、無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基は当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−SO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、又は−O−CO−O−に置き換えられていても良く、L、A、L、Rsp2、及びZは、それぞれ、前記L〜L、A3〜A、L、Rsp1、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L〜L、A3〜A、L、Rsp1、及びZと同一であっても異なっていても良く、qは0以上4以下の整数を表し、L及びAがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。また、QとQは結合して環を構成していても良い。)
(一般式(I)中、R11は、水素原子又はメチル基を、R12は、−L11−R13、又は−L11’−R14で表される基を、L11は−(CH−で表される連結基を、L11’は−(CO)n’−で表される連結基を、R13は、ハロゲン原子によって置換されていても良いメチル基、アルキル基によって置換されていても良いアリール基、又は−OR15を、R14及びR15はそれぞれ独立に、置換基を有しても良いアルキル基又は置換基を有しても良いアリール基を表し、n及びn’はそれぞれ独立に2以上18以下の整数を表す。)
(一般式(II)中、R21は、水素原子又はメチル基を、R22は、−(CH−、又は−(CO)m’−で表される連結基を、L21は、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を、Ar21は、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上20以下のアリーレン基を、R23は、−F、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NH−CO−R24、−COO−R24、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR24 、−R25、又は−OR25を、R24は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を、R25は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、aは2以上4以下の整数を表し、複数あるL21及びAr21はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、m及びm’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数を表す。)
本開示の1実施形態は、位相差層を有する位相差フィルムであって、前記位相差層が、前記本開示の1実施形態の重合性組成物の硬化物を含有する、位相差フィルムを提供する。
本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態の重合性組成物を成膜する工程と、
前記成膜された前記重合性組成物中の前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を少なくとも配向させる工程と、
前記配向させる工程の後に、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を少なくとも重合する工程とを有する方法により、位相差層を形成する、位相差フィルムの製造方法を提供する。
本開示の1実施形態は、位相差層と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体とを備え、
前記位相差層が、前記本開示の1実施形態の重合性組成物の硬化物を含有する、
位相差層の転写に供する転写用積層体を提供する。
本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態の位相差フィルム上に、偏光板を備える光学部材を提供する。
本開示の1実施形態は、位相差層と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体とを備え、前記位相差層が、前記本開示の1実施形態の重合性組成物の硬化物を含有する、前記位相差層の転写に供する転写用積層体を準備する工程と、
少なくとも偏光板を含む被転写体と、前記転写用積層体の前記位相差層とを対向させ、前記被転写体上に前記転写用積層体を転写する転写工程と、
前記被転写体上に転写された前記転写用積層体から、前記支持体を剥離する剥離工程と、
を有する、光学部材の製造方法を提供する。
また、本開示の1実施形態は、前記本開示の1実施形態の位相差フィルム又は、前記本開示の1実施形態の光学部材を備える表示装置を提供する。
本開示の実施形態によれば、垂直配向性を有し、良好な逆波長分散性を示す位相差層を形成することができる重合性組成物、当該重合性組成物の硬化物を含有する位相差層を有する位相差フィルム及びその製造方法、前記位相差層を転写可能な転写用積層体、前記位相差フィルムを有する光学部材及びその製造方法、並びに、表示装置を提供することができる。
図1は、位相差フィルムの1実施形態を示す模式断面図である。 図2は、位相差フィルムの1実施形態を示す模式断面図である。 図3は、位相差フィルムの1実施形態を示す模式断面図である。 図4は、転写用積層体の1実施形態を示す模式断面図である。 図5は、転写用積層体の1実施形態を示す模式断面図である。 図6は、転写用積層体の1実施形態を示す模式断面図である。 図7は、光学部材の1実施形態を示す模式断面図である。 図8は、表示装置の1実施形態を示す模式断面図である。
以下、本開示の実施の形態や実施例などを、図面等を参照しながら説明する。但し、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態や実施例等の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。また、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明する場合があるが、上下方向が逆転してもよい。
「本明細書において、ある部材又はある領域等のある構成が、他の部材又は他の領域等の他の構成の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限り、これは他の構成の直上(又は直下)にある場合のみでなく、他の構成の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の構成の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
本開示において、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルの各々を表し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの各々を表す。
また、本明細書において「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではなく、「フィルム面(板面、シート面)」とは、対象となるフィルム状(板状、シート状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるフィルム状部材(板状部材、シート状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。
A.重合性組成物
本開示の重合性組成物は、下記一般式(1)で表される重合性液晶化合物と、
下記一般式(I)で表される構成単位、及び下記一般式(II)で表される構成単位を有する高分子垂直配向剤と、を含有する。
(一般式(1)中、L、L、L及びLはそれぞれ独立して、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、
及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、ベンゼン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
及びRはそれぞれ独立して、下記一般式(R−1)から選ばれる基を表し、
一般式(R−1): −L−Rsp1−Z
一般式(R−1)中、Lは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、Rsp1は、炭素原子数1以上20以下のアルキレン基又は単結合を表し、当該アルキレン基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、Zは重合性官能基を表す。
及びDはそれぞれ独立して、下記一般式(D−1)から選ばれる基を表し、
置換基E、E及びEはそれぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、或いは、置換基E、E及びEはそれぞれ独立して、−L−RspE−Zで表される基を表しても良く、ここでL、RspE、及びZは、それぞれ、前記L、Rsp1、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L、Rsp1、及びZと同一であっても異なっていても良く、化合物内に置換基E、E及びEがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良く、
、L、A、及びAがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
m1及びm2はそれぞれ独立して1以上4以下の整数を表し、n1及びn2はそれぞれ独立して0以上3以下の整数を表す。)
(一般式(D−1)中、Gは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すが、当該アルキル基は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、
は、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基を表すが、当該芳香環は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、
は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−NQ−、−N=CQ−、−CO−NQ−、−OCO−NQ−又は−O−NQ−を表し、Qは水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基、又は−(L−A−L−Rsp2−Zを表し、当該アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及び芳香環はそれぞれ、無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基は当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−SO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、又は−O−CO−O−に置き換えられていても良く、L、A、L、Rsp2、及びZは、それぞれ、前記L〜L、A3〜A、L、Rsp1、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L〜L、A3〜A、L、Rsp1、及びZと同一であっても異なっていても良く、qは0以上4以下の整数を表し、L及びAがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。また、QとQは結合して環を構成していても良い。)
(一般式(I)中、R11は、水素原子又はメチル基を、R12は、−L11−R13、又は−L11’−R14で表される基を、L11は−(CH−で表される連結基を、L11’は−(CO)n’−で表される連結基を、R13は、ハロゲン原子によって置換されていても良いメチル基、アルキル基によって置換されていても良いアリール基、又は−OR15を、R14及びR15はそれぞれ独立に、置換基を有しても良いアルキル基又は置換基を有しても良いアリール基を表し、n及びn’はそれぞれ独立に2以上18以下の整数を表す。)
(一般式(II)中、R21は、水素原子又はメチル基を、R22は、−(CH−、又は−(CO)m’−で表される連結基を、L21は、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を、Ar21は、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上20以下のアリーレン基を、R23は、−F、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NH−CO−R24、−COO−R24、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR24 、−R25、又は−OR25を、R24は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を、R25は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、aは2以上4以下の整数を表し、複数あるL21及びAr21はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、m及びm’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数を表す。)
本開示の重合性組成物は、前記特定の重合性液晶化合物と、前記特定の高分子垂直配向剤とを、組み合わせて含有することにより、垂直配向性を有し、良好な逆波長分散性を示す位相差層を形成することができ、本開示の重合性組成物を用いて形成される位相差層は、広い波長域において一様の偏光変換を可能とする。
本開示の重合性組成物においては、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物が、主鎖部分に含まれるビフェニレン基によって分子同士の配向性が高く、更に、前記特定の高分子垂直配向剤によって垂直配向されやすいため、垂直配向性に優れるものであり、配向膜を用いなくても、垂直配向性を示し得るものである。前記特定の高分子垂直配向剤は、前記一般式(II)で表される構成単位が、側鎖に液晶性を示す部分を含む液晶性構成単位であり、前記一般式(I)で表される構成単位が、側鎖に前記特定の構造を有し、液晶性を示す部分を含まない非液晶性構成単位である。前記特定の高分子垂直配向剤は、前記一般式(I)で表される非液晶性構成単位が、前記一般式(II)で表される液晶性構成単位の側鎖を垂直配向しやすくすると共に、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物との相溶性を高め、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物も垂直配向しやすくすると考えられる。
更に、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物は、主鎖部分に含まれるビフェニレン基の2つのベンゼン環にそれぞれ1つずつ、合計2つの側鎖を有することにより、逆波長分散性に優れる。本開示の重合性組成物では、優れた逆波長分散性を有する前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物が、前記特定の高分子垂直配向剤により容易に垂直配向されるため、垂直配向性と良好な逆波長分散性を両立した位相差層を形成できると推定される。従来の逆波長分散性を示す液晶化合物を含有させた液晶組成物では、逆波長分散性を示す液晶化合物が垂直配向され難いため、液晶化合物の配向が不十分であることにより、逆波長分散性も不十分になると推定される。
本開示の重合性組成物は、前記特定の重合性液晶化合物と、前記特定の高分子垂直配向剤との組み合わせにより、垂直配向性及び逆波長分散性が向上されたものであるため、従来の液晶組成物よりも、液晶化合物、垂直配向剤又はこれら両方の添加量を低減しても、垂直配向性及び逆波長分散性を示す位相差層を形成することができ、薄膜の塗工でも良好な垂直配向性及び逆波長分散性を示し得る。
従来の液晶組成物では、十分な逆波長分散性を得るために、逆波長分散性を示す液晶化合物の添加量を多くする必要がある。しかし、コスト削減及び溶剤溶解性の観点から、逆波長分散性を示す液晶化合物の添加量は低減されることが望ましい。また、液晶化合物、垂直配向剤又はこれらの添加量を低減することで、液晶組成物に、所望の機能を付与するための他の成分の添加量を増やすことができる。或いは、液晶組成物中の垂直配向剤の添加量を低減して、重合性化合物の含有割合を多くすることで、位相差層中の架橋構造を増やし、位相差層の耐久性を向上することもできる。
また、携帯型情報端末の高機能化及び普及に伴い、表示装置の厚みを薄くすることが求められており、構成部材である位相差フィルムの薄膜化も求められている。従来の液晶組成物では、逆波長分散性を示すポジティブC型の位相差層の薄膜化が困難であるが、本開示の重合性組成物は、薄膜の塗工でも良好な逆波長分散性及び垂直配向性を示し得るため、逆波長分散性を示すポジティブC型の位相差層の薄膜化が可能である。
また、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物は、主鎖部分に含まれるビフェニレン基の2つのベンゼン環にそれぞれ1つずつ、合計2つの側鎖を有することにより、複屈折率(Δn)が大きいため、位相差層を薄膜化しながら、所望の厚み方向位相差Rth(複屈折率(Δn)×膜厚d)を得ることができる。
更に、本開示の重合性組成物においては、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物と、前記特定の高分子垂直配向剤とが相溶性に優れ、また、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物が、ビフェニレン基に近接するA及びAに、前記特定の脂環式炭化水素基が導入されていることにより、溶剤溶解性の低下が抑制されている。そのため、本開示の重合性組成物を用いて形成される位相差層は透明性に優れる。
また、本開示の重合性組成物においては、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物と、前記特定の高分子垂直配向剤との相溶性が優れることにより、配向が均一になりやすいため、面内均一性にも優れる。
また、本開示の重合性組成物においては、更に他の液晶化合物を組み合わせて用いることにより、位相差を調整することが可能である。
本開示の重合性組成物は、少なくとも前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物と、前記一般式(I)で表される構成単位及び前記一般式(II)で表される構成単位を有する高分子垂直配向剤と、を含有し、典型的には更に溶剤を含有し、効果を損なわない範囲で更に他の成分を含有していてもよいものである。
以下、本開示の重合性組成物を構成する各成分について順に説明する。
1.一般式(1)で表される重合性液晶化合物
前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物は、前記特定のRからRに至る主鎖構造に特定の構造を有することから、分子同士の配向性が向上し、また、末端に重合性基を有することから、他の重合性基を有する化合物と重合することができる重合性液晶化合物である。
一般式(1)中のL、L、L及びLは、それぞれ独立して、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表す。二価の連結基又は単結合を表す。なお、L及びLがそれぞれ独立して、複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
及びLとしてより具体的には、液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、各々独立して−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−CFCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すことが好ましく、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、−CFO−、−OCF−、−CHCH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−CH=CH−、−C≡C−又は単結合を表すことがより好ましく、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、−CFO−、−OCF−又は単結合を表すことがさらに好ましく、−COO−、−OCO−、−OCH−、−CHO−、又は単結合を表すことがさらにより好ましく、−COO−、−OCO−、−OCH−、又は−CHO−を表すことが特に好ましい。
及びLとしてより具体的には、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、各々独立して−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−又は単結合を表すことが好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して−O−、−OCH−、−CHO−、−COO−、−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−又は単結合を表すことがより好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良く、各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、又は単結合を表すことが特に好ましい。
一般式(1)中のA及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、中でも液晶性を向上させ、配向性を向上させることが容易になる点から、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、又はシクロヘプタン−1,4−ジイル基であることが更に好ましく、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良い、シクロヘキサン−1,4−ジイル基であることが特に好ましい。
また、一般式(1)中のA及びAは、L、L(又はL、L)と結合する炭素原子の立体配置の相違に基づく、シス型、トランス型の立体異性体が存在し得るが、シス型であってもトランス型であっても、あるいはシス型とトランス型の異性体混合物であってもよく、中でも配向性が良好であることから、トランス型あるいはシス型であるのが好ましく、トランス型がより好ましい。
一般式(1)中のA及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、ベンゼン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、中でも液晶性を向上させ、配向性を向上させることが容易になる点から、ベンゼン−1,4−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基であることが好ましく、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いベンゼン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基又はシクロヘキサン−1,4−ジイル基であることが好ましく、ベンゼン−1,4−ジイル基又はシクロヘキサン−1,4−ジイル基であることがより好ましく、ベンゼン−1,4−ジイル基であることが特に好ましい。
なお、一般式(1)中、A及びAがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
置換基Eはそれぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられても良い炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、或いは、置換基Eはそれぞれ独立して、−L−RspE−Zで表される基を表しても良く、ここでL、RspE、及びZは、それぞれ、後述するL、Rsp1、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ後述するL、Rsp1、及びZと同一であっても異なっていても良く、化合物内に置換基Eがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
液晶性、合成の容易さの観点から、置換基Eは、フッ素原子、塩素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−から選択される基に置き換えられても良い炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、フッ素原子、塩素原子、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−COO−又は−OCO−から選択される基に置き換えられても良い炭素原子数1以上12以下の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことがより好ましく、フッ素原子、塩素原子、又は、任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良い炭素原子数1以上12以下の直鎖状又は分岐状アルキル基若しくはアルコキシ基を表すことがさらに好ましく、フッ素原子、塩素原子、又は、炭素原子数1以上8以下の直鎖アルキル基若しくは直鎖アルコキシ基を表すことが特に好ましい。
また、A及びAに置換されていても良い置換基E、中でも、R及びRがそれぞれ結合しているA及びAに置換されていても良い置換基Eとしては、−L−RspE−Zで表される基も好ましい。
一般式(1)中のm1及びm2はそれぞれ独立して1以上4以下の整数を表す。中でも、液晶性及び配向性の点から、m1及びm2の一方又は両方が1以上3以下の整数であることが好ましく、m及びnの両方が1以上3以下の整数であることがより好ましく、m1及びm2の両方が1又は2であることがさらに好ましい。
及びRはそれぞれ独立して、下記一般式(R−1)から選ばれる基を表す。
一般式(R−1): −L−Rsp1−Z
一般式(R−1)中、Lは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表す。
一般式(R−1)中、Lとしてより具体的には、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、各々独立して−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−又は単結合を表すことが好ましく、各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−、又は単結合を表すことがより好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良い。
一般式(R−1)中、Rsp1は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられても良い炭素原子数1以上20以下のアルキレン基又は単結合を表す。
一般式(R−1)中、Rsp1としてより具体的には、原料の入手容易さ及び合成の容易さの観点から、各々独立して、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1以上12以下のアルキレン基又は単結合を表すことがより好ましく、各々独立して、炭素原子数1以上12以下のアルキレン基又は単結合を表すことが更に好ましく、各々独立して、炭素原子数2以上10以下のアルキレン基を表すことがより更に好ましく、複数存在する場合は各々同一であっても異なっていても良い。
一般式(R−1)中、Zは重合性官能基を表す。当該重合性官能基は、従来の重合性液晶化合物に使用される基が制限なく適用可能である。
当該重合性官能基は、それぞれ独立して下記式(Z−1)から式(Z−8)から選ばれる基を表すことが好ましい。なお、下記式(Z−1)から式(Z−8)において、*(アスタリスク)はRsp1との結合位置を示す。
(式(Z−1)〜(Z−8)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル基、エチル基、又はトリフルオロメチル基である。)
重合方法として紫外線重合を行う場合には、Zは、式(Z−1)、式(Z−2)、式(Z−3)、式(Z−5)、式(Z−7)が好ましく、式(Z−1)、式(Z−3)、式(Z−7)がより好ましく、式(Z−1)がさらに好ましく、式(Z−1)において、Rが水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である場合が特に好ましい。
一般式(1)において、Lc1:−L−A−(L−Am1−L−Rsp1−Z、及び、Lc2:−L−A−(L−Am2−L−Rsp1−Zの具体例としては、これらに限定されるものではないが、下記Lc−1〜Lc−244で表される基が挙げられる。一般式(1)で表される重合性液晶化合物において、Lc1とLc2は同一であっても異なっていても良い。
前記Lc−1〜Lc−244で表される基において、L及びLにおけるmは、1又は2を表し、2が好ましい。Rsp1におけるnは、1〜20を表すが、中でも2以上であることが好ましく、更に4以上であることが好ましく、一方で、12以下であることが好ましく、更に10以下であることが好ましい。
また、Zにおいて、式(Z−1)中のRとしては、それぞれ独立して、中でも水素原子、又はメチル基であることが好ましく、更に水素原子であることが好ましい。
一方、一般式(D−1)中、Gは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すが、当該アルキル基は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該置換基Eとしては、中でも、F、Cl、CF、OCF又はシアノ基であることが好ましい。Gは水素原子又は無置換であるか又は1つ以上の水素原子がフッ素原子によって置換された炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、Gは水素原子が特に好ましい。
は、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基を表すが、当該芳香環は無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良く、或いは、QはQと結合して環を構成していても良い。
が、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基を表す場合、前記芳香環は、芳香族炭化水素環、及び芳香族複素環のいずれであっても良い。この場合、Qは、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素原子数2以上30以下の有機基を表す。前記芳香環としては、下記の式(Q−1)から式(Q−22)から選ばれる基が好ましい。
は、波長分散性が良好になる点から、炭素原子の1つ以上がヘテロ原子に置換されている、芳香族複素環を有する有機基であることが好ましく、波長分散性が良好で、高い複屈折を示すようになる点から、5員環と6員環の縮合環である芳香族複素環を有する有機基であることが更に好ましい。5員環と6員環の縮合環である芳香族複素環としては、例えば下記の式(Q−10)、式(Q−11)、式(Q−21)及び式(Q−22)から選ばれる基の炭素原子の1つ以上がヘテロ原子に置換されている芳香族複素環が好ましい。
これらの基は任意の位置に結合手を有している。Qは−O−、−S−、−NRQa−(式中、RQaは水素原子又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。)又は−CO−を表すが、これらの基中の−CH=は各々独立して−N=に置き換えられても良く、−CH−は各々独立して−O−、−S−、−NRQa−(式中、RQaは水素原子又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。)−SO−、又は−SO−又は−CO−に置き換えられても良い(但し、酸素原子同士が直接結合する場合を除く。)。これらの環に結合する1つ以上の水素原子は、前記置換基Eによって置換されていても良い。前記アルキル基を構成するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。前記アルキル基の炭素原子数は、1以上4以下が好ましく、1又は2がより好ましく、1が更に好ましい。
式(Q−1)で表される基としては、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q−1−1)から式(Q−1−8)から選ばれる基を表すことが好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
式(Q−7)で表される基としては、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q−7−1)から式(Q−7−7)から選ばれる基を表すことが好ましく、これらの基は任意の位置に結合手を有している。
式(Q−10)で表される基としては、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q−10−1)から式(Q−10−9)から選ばれる基を表すことが好ましい。
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。これらの基は任意の位置に結合手を有している。)
式(Q−11)で表される基としては、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q−11−1)から式(Q−11−12)から選ばれる基を表すことが好ましい。
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。これらの基は任意の位置に結合手を有している。)
式(Q−13)で表される基としては、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q−13−1)から式(Q−13−19)から選ばれる基を表すことが好ましい。
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。これらの基は任意の位置に結合手を有している。)
式(Q−14)で表される基としては、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q−14−1)から式(Q−14−10)から選ばれる基を表すことが好ましい。
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。これらの基は任意の位置に結合手を有している。)
式(Q−15)で表される基としては、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q−15−1)から式(Q−15−4)から選ばれる基を表すことが好ましい。
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。これらの基は任意の位置に結合手を有している。)
式(Q−16)で表される基としては、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q−16−1)から式(Q−16−16)から選ばれる基を表すことが好ましい。
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。これらの基は任意の位置に結合手を有している。)
式(Q−17)で表される基としては、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q−17−1)から式(Q−17−4)から選ばれる基を表すことが好ましい。
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。これらの基は任意の位置に結合手を有している。)
式(Q−18)で表される基としては、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q−18−1)から式(Q−18−6)から選ばれる基を表すことが好ましい。
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。これらの基は任意の位置に結合手を有している。)
式(Q−19)で表される基としては、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q−19−1)から式(Q−19−6)から選ばれる基を表すことが好ましい。
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。これらの基は任意の位置に結合手を有している。)
式(Q−20)で表される基としては、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q−20−1)から式(Q−20−9)から選ばれる基を表すことが好ましい。
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。これらの基は任意の位置に結合手を有している。)
式(Q−21)で表される基としては、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q−21−1)から式(Q−21−3)から選ばれる基を表すことが好ましい。
式(Q−22)で表される基としては、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い下記の式(Q−22−1)から式(Q−22−3)から選ばれる基を表すことが好ましい。
に含まれる芳香族基は、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い上記式(Q−1−1)、式(Q−7−1)、式(Q−7−2)、式(Q−7−7)、式(Q−8)、式(Q−10−2)、式(Q−10−3)、式(Q−10−4)、式(Q−10−5)、式(Q−10−6)、式(Q−10−7)、式(Q−10−8)、式(Q−10−9)、式(Q−11−2)、式(Q−11−3)、式(Q−11−4)、式(Q−11−5)、式(Q−11−6)、式(Q−11−7)、式(Q−11−8)、式(Q−11−9)、式(Q−11−10)、式(Q−11−11)、式(Q−11−12)、式(Q−21−1)、式(Q−21−2)、式(Q−22−1)、及び式(Q−22−2)から選ばれる基を表すことがより好ましく、無置換又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されても良い式(Q−10−2)、式(Q−10−3)、式(Q−10−4)、式(Q−10−5)、式(Q−10−6)、式(Q−10−7)、式(Q−10−8)、及び式(Q−10−9)、式(Q−21−1)、式(Q−21−2)、式(Q−22−1)、及び式(Q−22−2)から選ばれる基を表すことが特に好ましい。
また、Qに含まれる芳香族基が置換されている場合の置換基Eとしては、中でもフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、チオイソシアノ基、又は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−若しくは−NH−CO−によって置換されても良い炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良い、が好ましく、更に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−若しくは−NH−CO−によって置換されても良い炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されても良い、がより好ましい。
さらに、Qは下記の式(Q−10−2)、式(Q−10−2a)、式(Q−10−3)、式(Q−10−3a)、式(Q−10−3b)、式(Q−10−6)、式(Q−10−6a)、式(Q−10−6b)、式(Q−10−6c)、式(Q−10−6d)、式(Q−10−7)、式(Q−10−7a)、式(Q−10−7b)、式(Q−10−7c)、式(Q−10−7d)、式(Q−10−7e)、式(Q−10−7f)、式(Q−10−9)、式(Q−10−9a)、式(Q−10−9b)、式(Q−21−1)、式(Q−21−2)、式(Q−22−1)及び式(Q−22−2)から選ばれる基を表すことが特に好ましい。
は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−NQ−、−N=CQ−、−CO−NQ−、−OCO−NQ−又は−O−NQ−を表し、Qは水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、芳香環(芳香族炭化水素環及び芳香族複素環のいずれであっても良い)を有する炭素原子数2以上30以下の有機基、又は−(L−A−L−Rsp2−Zを表し、当該アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及び芳香環はそれぞれ、無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基は当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−SO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられても良く、当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、又は−O−CO−O−に置き換えられていても良く、L、A、L、Rsp2、及びZは、それぞれ、前記L〜L、A〜A、L、Rsp1、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L〜L、A〜A、L、Rsp1、及びZと同一であっても異なっていても良く、qは0以上4以下の整数を表し、L、及びAがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
は、複屈折が良好で合成が容易な点から、中でも、−O−、−S−、−N=CQ−又は−NQ−であることが好ましく、更に、波長分散性と複屈折が良好な点から、−O−、−S−、又は−NQ−であることが好ましい。
ここでQは、好ましくは、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、芳香環(芳香族炭化水素環及び芳香族複素環のいずれであっても良い)を有する炭素原子数2以上30以下の有機基、又は−(L−A−L−Rsp2−Zを表し、当該アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及び芳香環はそれぞれ、無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基は当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−又は−CH=CH−に置き換えられても良く、当該シクロアルキル基及びシクロアルケニル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−O−CO−O−に置き換えられても良い。
は、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、Qが、ヘテロ原子を含まない構造であることが、複屈折の点から好ましい。また、Qが、ヘテロ原子をより多く含む構造であること、中でも、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、又は−O−CO−O−によって置換されている構造を有する場合には、化合物の溶剤溶解性が向上し、組み合わせる基材の選択肢も増える点から好ましい。また、Qが、−(L−A)q−L−Rsp2−Zであることが、膜の硬化度が向上することにより耐久性が向上する点から好ましい。
無置換の炭素原子数1以上20以下のアルキル基若しくは当該のアルキル基中の1個の−CH−が−CH=CH−に置き換えられたアルケニル基若しくは当該アルキル基中の1個の−CH−が−C≡C−に置き換えられたアルキニル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良い前記アルキル基、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、1−メチルペンチル基、n−ヘプチル基、1−エチルペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブチニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基等が挙げられる。
における置換基としては中でも、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、シアノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、又は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられても良い炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐状アルキル基であることが好ましく、更に、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ヒドロキシル基、又は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、又は−O−CO−O−に置き換えられても良い炭素原子数1以上20以下の直鎖状又は分岐状アルキル基であることが好ましい。
中でもQは、複屈折、溶剤溶解性、又は耐久性の点から、好ましくは、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、又は−(L−A)q−L−Rsp2−Zを表し、当該アルキル基、シクロアルキル基及びシクロアルケニル基はそれぞれ、無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基は当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−CO−O−又は−CH=CH−に置き換えられても良く、当該シクロアルキル基及びシクロアルケニル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、又は−O−CO−O−に置き換えられても良い。Qは、より好ましくは、炭素原子数1以上20以下の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、又は−(L−A)q−L−Rsp2−Zを表し、当該アルキル基は当該シクロアルキル基によって置換されていても良く、当該アルキル基及びシクロアルキル基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されても良く、当該アルキル基及びシクロアルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−CO−、−COO−又は−OCO−に置き換えられても良い。Qは、より更に好ましくは、炭素原子数1以上12以下の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、又は−(L−A)q−L−Rsp2−Zを表し、当該アルキル基は当該シクロアルキル基によって置換されていても良く、当該アルキル基及びシクロアルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々−O−に置き換えられても良い。
また、−(L−A)q−L−Rsp2−Zの好ましい構造は、各々前記L〜L、A〜A、L、Rsp1、及びZで定義される好ましい構造と同様であることが望ましい。qは0以上4以下の整数を表すが、0以上2以下の整数を表すことがより好ましく、0又は1を表すことがさらに好ましく、0を表すことが特に好ましい。
中でもQは、複屈折、及び溶剤溶解性の点から、水素原子がフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数2以上20以下の直鎖状若しくは分岐状アルキル基又は炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、或いは、当該シクロアルキル基によって置換されていても良い前記アルキル基であることが好ましく、水素原子がフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数2以上20以下の直鎖状若しくは分岐状アルキル基であることがより好ましく、水素原子がフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数2以上20以下の直鎖状アルキル基であることがより更に好ましい。
における炭素原子数は、4以上であることが好ましく、12以下であることが更に好ましい。
或いは、QとQは結合して環を構成していても良いが、その場合、例えば、−NQで表される環状基、又は−N=CQで表される環状基が挙げられる。QとQが結合している窒素原子又は炭素原子と一緒に形成している環は、芳香環を有し炭素原子数が2以上30以下である環が挙げられ、炭素原子数は、2以上18以下であることがより好ましく、2以上14以下であることがより更に好ましい。中でも、−NQで表される環状基は、無置換であるか1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良い下記の式(QQ−1)から式(QQ−22)から選ばれる基を表すことが好ましい。−N=CQで表される環状基は、下記の式(QQ−23)又は式(QQ−24)を表すことが好ましい。
式(QQ−1)から式(QQ−22)から選ばれる基中の−CH=は各々独立して−N=に置き換えられても良く、−CH−は各々独立して−O−、−S−、−NRQa−(式中、RQaは水素原子又は炭素原子数1以上8以下のアルキル基を表す。)−SO−、又は−SO−又は−CO−に置き換えられても良い(但し、酸素原子同士が直接結合する場合を除く。)。これらの環に結合する1つ以上の水素原子は、前記置換基Eによって置換されていても良い。前記アルキル基を構成するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。前記アルキル基の炭素原子数は、1以上4以下が好ましく、1又は2がより好ましく、1が更に好ましい。
及びQに含まれるπ電子の総数は、波長分散特性、液晶性、及び合成の容易さの観点から、4以上24以下であることが好ましく、更に4以上20以下であることが好ましい。
及びDはそれぞれ、下記の式(D−1)から式(D−47)から選ばれる基を表すことが、原料が入手しやすく、溶解性が良好な点から特に好ましい。
ビフェニレン基のベンゼン環に置換されていても良いE及びEはそれぞれ独立して、前記置換基Eと同様であって良い。
ビフェニレン基のベンゼン環に置換されていても良いE及びEとしては、中でも、複屈折が良好で合成が容易な点から、フッ素原子、塩素原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、又は、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−によって置換されても良い炭素原子数1以上6以下の直鎖状又は分岐状アルキル基であることが好ましい。
また、n1及びn2はそれぞれ独立して0以上3以下の整数を表すが、0以上2以下の整数であることが好ましく、0又は1であることが更に好ましい。
また、E及びEがそれぞれ独立して、ビフェニレン基に置換されている場合、置換位置は、ビフェニレン基の6位、6’位であることが、複屈折が良好となる点から、好ましい。このような場合、ビフェニレン基における2つのベンゼン環のねじれ角が大きくなり、π電子共役構造を切断しやすくなる。
主鎖部分に有するビフェニレン基における構造は、下記式(Co−1)から式(Co−8)から選ばれる基を表すことが好ましい。
更に、一般式(1)で表される重合性液晶化合物としては、例えば、下記化合物(i)〜化合物(xci)が挙げられる。表中のCoreは、ビフェニレン基における構造を、Lc1は、−L−A−(L−Am1−L−Rsp1−Zで表される基を、Lc2は、−L−A−(L−Am2−L−Rsp1−Zで表される基を表す。
更に、表7及び表8の化合物(i)〜化合物(xci)のうち、代表的な構造式を下記に例示するが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)で表される化合物は、例えば、以下の製法で製造することができる。製法としては例えば、Methoden der Organischen Chemie、Organic Reactions、Organic Syntheses、Comprehensive Organic Synthesis、新実験化学講座等に記載されている公知の有機合成反応(例えば、縮合反応、エステル化反応、ウイリアムソン反応、ウルマン反応、ウイッティヒ反応、シッフ塩基生成反応、ベンジル化反応、薗頭反応、鈴木−宮浦反応、根岸反応、熊田反応、檜山反応、ブッフバルト−ハートウィッグ反応、フリーデルクラフト反応、ヘック反応、アルドール反応、ダフ反応など)を、その構造に応じて適宜組み合わせることにより、製造することができる。以下、製造方法の例を示すが、本開示はこれらの構造や製造方法に限定されるものではない。
例えば、L及びLがそれぞれ、*−OCO−であり(*はビフェニレン基との結合位置を示す)、Gが水素原子である化合物の場合、例えば下記のように製造することができる。
まず、4,4’−ジヒドロキシビフェニル又は更に置換基Eが導入された式(ip−1)で表される化合物を準備し、ダフ反応等によって所望の位置にアルデヒド基を導入した式(ip−2)で表される中間体Aを製造する。
次に、式(ip−2)で表される中間体Aと、HOOC−A−(L−Am1−Rで表される中間体B(A、L、A、R、及びm1は上記と同一の意味を表す)とを、縮合反応等によって反応させることにより、式(ip−3)で表される中間体Cを得て、更に、得られた式(ip−3)で表される中間体Cと、HOOC−A−(L−Am2−Rで表される中間体D(A、L、A、R、及びm2は上記と同一の意味を表す)とを反応させることにより、式(ip−4)で表される中間体Eを得る。前記中間体Bと中間体Dの構造が同じ場合には、中間体Aに中間体Bを反応させることにより中間体Eを得ることができる。
次いで、式(ip−4)で表される中間体Eに、例えばQ−J−NHで表される中間体Fを反応させることにより、式(1−ex1)で表される化合物を得ることができる。
また、前記式(ip−2)で表される中間体Aは、E及びEの種類や置換位置、D及びDの置換位置等によって、例えば3,4−メチレンジオキシフェノール(東京化成工業(株)製)又はその誘導体に、ダフ反応を行ってアルデヒド基を導入し、鈴木−宮浦カップリング反応を行うことにより得てもよい。
また、例えば、式(ip−2)で表される中間体Aに、側鎖部分となるD及びDを予め導入した中間体Gを得た後、当該中間体Gに、HOOC−A−(L−Am1−Rで表される中間体B(A、L、A、R、及びm1は上記と同一の意味を表す)や、HOOC−A−(L−Am2−Rで表される中間体D(A、L、A、R、及びm2は上記と同一の意味を表す)を反応させることにより、式(1−ex1)で表される化合物を得てもよい。
また製造に用いられる各中間体は、適宜市販品を用いてもよいし、従来公知の方法で適宜合成することができる。
本開示において重合性液晶化合物の構造は核磁気共鳴分光法(NMR)、熱分解型ガスクロマトグラフ質量分析法(Py−GC−MS)、及びマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI−TOFMS)等を適宜組み合わせて解析することができる。
また、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物は、逆波長分散性が良好であり、理想的な逆波長分散性に近付けるために、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物と光重合開始剤のみを含む重合性組成物を調製し、硬化膜を形成し、波長450nm、550nm、650nmに対する面内位相差Re(450)、Re(450)、Re(650)を測定した場合に、Re(450)/Re(450)が、0.50以上0.95未満の範囲内にあることが好ましく、更に0.55以上0.93未満の範囲内にあることが好ましく、より更に0.60以上0.90未満の範囲内にあることが好ましく、特に0.60以上0.83以下の範囲内にあることが好ましく、0.60以上0.80未満の範囲内にあっても良い。また、Re(650)/Re(550)が、1超過であることが好ましく、更に1.02以上1.1以下の範囲内にあることが好ましい。
前記硬化膜の面内位相差値の試験法としては、以下の測定法が挙げられる。
[試験法]
前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物100質量部と2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン4質量部をシクロペンタノン900質量部に溶解させた組成物を、ラビング処理後ポリイミド配向膜付ガラスの配向膜上に、硬化後の膜厚が1μmになるように塗布して成膜し、乾燥させた後に、紫外線を照射量400mJ/cmで照射することにより硬化膜を形成し、位相差測定装置(例えば、製品名:KOBRA−WR、王子計測機器(株)製)により、波長450nmに対する面内位相差Re(450)、波長550nmに対する面内位相差Re(550)、及び波長650nmに対する面内位相差Re(650)を測定する。
ここで、前記ラビング処理後ポリイミド配向膜付ガラスとしては、市販品を用いてもよく、例えば、株式会社イーエッチシー製の製品名「配向処理ガラス基板」を用いることができる。当該配向処理ガラス基板は、日立化成株式会社製ポリイミドLX−1400が塗布されラビング処理されている。
また、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物は、使用可能な基材の選択肢が広がる点から、固体−液晶相転移温度が25℃以上200℃以下であることが好ましく、30℃以上180℃以下であることが更に好ましく、30℃以上150℃以下であることがより更に好ましい。固体−液晶相転移温度が低いと、液晶を配向させる工程での負荷が軽減され、高温に弱い基材への利用が可能となる。
ここで、固体−液晶相転移温度とは、液晶化合物が固体から液晶に変化する温度を意味する。本開示において固体−液晶相転移温度は、温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡によるテクスチャー観察によって昇温時において確認する。すなわち、偏光顕微鏡観察において、昇温時、固体が融解して液状になり、かつ偏光顕微鏡のクロスニコル観察(偏光板が直交状態)において明視野となった点を固体−液晶相転移温度と特定することができる。
また、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物は、N−メチルピロリドン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノンからなる群から選択される少なくとも1種の溶剤に10質量%以上溶解することが、使用可能な基材の選択肢が広がる点、及び溶剤溶解性と保存安定性の点から好ましく、更に20質量%以上溶解することが好ましい。
本開示の重合性組成物は、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を、1種単独で含んでいても良く、2種以上を組み合わせて含んでいても良い。
本開示の重合性組成物に含まれる前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物の含有量は、重合性組成物の逆波長分散性を向上する点から、重合性組成物の固形分100質量部に対して50質量部以上であることが好ましく、60質量部以上であることがより好ましく、70質量部以上であることがより更に好ましい。一方、後述する高分子垂直配向剤を十分に含有させて、重合性組成物の垂直配向性を向上する点から、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物の含有量は、重合性組成物の固形分100質量部に対して99質量部以下であることが好ましく、95質量部以下であることがより好ましく、90質量部以下であることがより更に好ましい。
なお、本開示において固形分とは溶剤を除く全ての成分をいい、例えば、後述する、その他の重合性液晶化合物が液状であっても固形分に含まれるものとする。
2.高分子垂直配向剤
本開示の重合性組成物は、前記一般式(I)で表される構成単位、及び前記一般式(II)で表される構成単位を有する高分子垂直配向剤を含有する。前記高分子垂直配向剤により、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物は垂直配向され、配向膜を用いなくても、垂直配向性を示す位相差層を形成することができる。
前記一般式(I)において、R12は、−L11−R13、又は−L11’−R14で表される基を表し、L11は−(CH−で表される連結基を、L11’は−(CO)n’−で表される連結基を表す。n及びn’はそれぞれ独立に、2以上18以下の整数であり、垂直配向性を向上しやすい点から、3以上16以下の整数であることが好ましく、6以上16以下の整数であることが好ましい。
13は、水素原子がハロゲン原子によって置換されていても良いメチル基、アルキル基によって置換されていても良いアリール基、又は−OR15を表し、中でも、垂直配向性を向上しやすい点から、−OR15が好ましい。
13におけるメチル基に置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、中でもフッ素原子が好ましい。
13におけるアリール基は、垂直配向性を向上しやすい点から、炭素原子数6以上10以下であることが好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、中でもフェニル基が好ましい。R13におけるアリール基に置換されていても良いアルキル基としては、炭素原子数1以上12以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基及びn−ヘキシル基等の直鎖アルキル基、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基等の分岐アルキル基が挙げられる。
14及びR15はそれぞれ独立に、置換基を有しても良いアルキル基又は置換基を有しても良いアリール基を表す。
14は、垂直配向性を向上しやすい点から、置換基を有しても良いアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1以上6以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることがより好ましく、炭素原子数1以上3以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基であることがより更に好ましい。
15は、垂直配向性を向上しやすい点から、置換基を有しても良いアリール基であることが好ましく、パラ位でアルキル基、シクロアルキル基又はこれらを組み合わせた基によって置換されたアリール基であることがより好ましく、パラ位でアルキル基によって置換されたフェニル基であることがより更に好ましい。
14及びR15における置換基を有しても良いアルキル基は、置換基を有しても良い炭素原子数1以上6以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基が好ましい。炭素原子数1以上6以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基及びn−ヘキシル基、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基等を挙げることができる。
14及びR15における置換基を有しても良いアリール基は、置換基を有しても良い炭素原子数6以上10以下であることが好ましい。炭素原子数6以上10以下のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、中でもフェニル基が好ましい。
14及びR15において、アルキル基及びアリール基が有していても良い置換基としては、例えば、前記置換基Eと同様のものが挙げられる。中でも、アルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子が好ましい。アリール基が有していても良い置換基としては、炭素原子数1以上12以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、及びこれらのうち2種以上を組み合わせた基が好ましく、炭素原子数1以上12以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、及びこれらを組み合わせた基がより好ましく、炭素原子数1以上12以下のアルキル基が特に好ましい。前記アリール基に置換されていても良いアルキル基の炭素原子数は、中でも、3以上12以下が好ましく、5以上10以下がより好ましい。前記アリール基に置換されていても良いシクロアルキル基の炭素原子数は、中でも、3以上6以下が好ましい。
前記一般式(I)で表される構成単位の好適な具体例としては、以下のもの等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
前記一般式(II)において、R22は、−(CH−、又は−(CO)m’−で表される連結基を表す。m及びm’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数を表し、垂直配向性の点から、2以上8以下であることが好ましく、2以上6以下であることがより好ましい。
前記一般式(II)において、L21は、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を表し、垂直配向性を向上しやすい点から、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基であることが好ましい。
Ar21は、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上20以下のアリーレン基を表し、当該アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、テルフェニレン基等が挙げられ、中でも、フェニレン基及びビフェニレン基が好ましい。当該アリーレン基が有してもよいR23以外の置換基としては、例えば、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
前記一般式(II)において、aは2以上4以下の整数を表し、複数あるL21及びAr21はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。中でも、合成の容易さから、R22に結合するL21は、−O−で表される連結基であることが好ましく、Ar21に結合するL21は、−C(=O)−O−で表される連結基であることが好ましい。
23は、−F、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NH−CO−R24、−COO−R24、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR24 、−R25、又は−OR25を表し、垂直配向性を向上しやすい点から、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NH−CO−R25、−COO−R24、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR24 、−R25、又は−OR25であることが好ましく、−Cl、−CN、−OCF又は−COO−R24、−R25、又は−OR25であることがより好ましく、−CN又は−COO−R24であることが特に好ましい。
24は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R25は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。R24及びR25における炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基及びn−ヘキシル基等の直鎖アルキル基、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基等の分岐アルキル基等が挙げられる。R24は、中でも、水素原子又は炭素原子数1以上5以下のアルキル基であることが好ましく、更に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基であることが好ましい。R25は、中でも、炭素原子数1以上5以下のアルキル基であることが好ましく、更に、炭素原子数1以上3以下のアルキル基であることが好ましい。
前記一般式(II)で表される構成単位の好適な具体例としては、以下のもの等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記高分子垂直配向剤は、前記一般式(I)で表される構成単位からなるブロック部と、前記一般式(II)で表される構成単位からなるブロック部を有するブロック共重合体であってもよく、一般式(I)で表される構成単位と前記一般式(II)で表される構成単位とが不規則に並ぶランダム共重合体であってもよい。本形態においては、垂直配向性の向上及び位相差値の面内均一性の向上の点から、ランダム共重合体であることが好ましい。
前記高分子垂直配向剤において、前記一般式(I)で表される構成単位と、前記一般式(II)で表される構成単位との共重合比は特に限定されないが、前記一般式(I)で表される構成単位と前記一般式(II)で表される構成単位との比(一般式(I)で表される構成単位:一般式(II)で表される構成単位)が、モル比で1:9〜9:1であることが好ましく、2:8〜8:2であることがより好ましく、2:8〜5:5であることがより更に好ましい。なお、前記高分子垂直配向剤において、複数ある前記一般式(I)で表される構成単位、及び複数ある前記一般式(II)で表される構成単位は、それぞれ、1種類の構成単位のみを含むものであっても良いし、2種類以上の異なる構造の構成単位を組み合わせて含むものであっても良い。
前記高分子垂直配向剤は、効果を損なわない範囲で、前記一般式(I)で表される構成単位及び前記一般式(II)で表される構成単位の他に、前記一般式(I)で表される構成単位及び前記一般式(II)で表される構成単位のいずれにも該当しない他の構成単位を有していてもよい。前記他の構成単位を含むことにより、前記高分子垂直配向剤は、例えば溶剤溶解性、耐熱性、反応性等を高めることができる。
前記他の構成単位は、1種であってもよく2種以上であってもよい。前記他の構成単位の含有割合は、垂直配向性の点から、前記高分子垂直配向剤を構成する全ての構成単位100モル%に対し、0モル%以上30モル%以下の範囲内であることが好ましく、0モル%以上20モル%以下の範囲内であることがより好ましい。
本形態において、前記高分子垂直配向剤の質量平均分子量Mwは特に限定されないが、重合性組成物の安定性に優れ、位相差層を形成する時の取り扱い性に優れる点から、500以上60000以下の範囲内であることが好ましく、3000以上50000以下の範囲内であることがより好ましく、5000以上40000以下の範囲内であることがさらに好ましい。
なお、前記質量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。測定は、東ソー株式会社製のHLC−8120GPCを用い、溶出溶剤をTHF(テトラヒドロフラン)とし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー株式会社製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー株式会社製)として行われたものである。
前記高分子垂直配向剤の製造方法は特に限定されず、例えば、前記一般式(I)で表される構成単位を誘導するモノマーと、前記一般式(II)で表される構成単位を誘導するモノマーとを所望の比率で混合し、公知の重合手段により所望の平均分子量となるように重合すればよい。
また、ブロック共重合体とする場合には、例えば、前記一般式(I)で表される構成単位を誘導するモノマーと、前記一般式(II)で表される構成単位を誘導するモノマーをそれぞれ公知の重合手段により重合した後、得られた各重合体を連結してもよく、また、前記一般式(I)で表される構成単位を誘導するモノマー又は前記一般式(II)で表される構成単位を誘導するモノマーのうち一方を公知の重合手段により重合した後、他方のモノマーを加えて更に重合する方法などが挙げられる。
上記重合手段としては、ビニル基を有する化合物の重合に一般的に用いられる方法を採用することができ、例えば、アニオン重合やリビングラジカル重合などを用いることができる。本形態においては、中でも、「J.Am.Chem.Soc.」105、5706(1983)に開示されているグループトランスファー重合(GTP)のようにリビング的に重合が進行する方法を用いることが好ましい。この方法によると、分子量、分子量分布などを所望の範囲とすることが容易であるので、得られる高分子垂直配向剤の特性を均一にすることができる。
前記高分子垂直配向剤の構造は、核磁気共鳴分光法(NMR)と、熱分解型ガスクロマトグラフ質量分析法(Py−GC−MS)、及びマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI−TOFMS)のうちの少なくとも一方と、を組み合わせて解析することができる。
なお、位相差層に含まれる前記高分子垂直配向剤の構造は、核磁気共鳴法(NMR)、赤外分光法(IR)、ガスクロマトグラム質量分析法(GC−MS)、X線光電子分光法(XPS)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF−SIMS)等、分子構造情報が得られる公知の分析方法より1種以上の方法を用いて確認することができる。
前記高分子垂直配向剤の含有量は、特に限定はされないが、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物と前記高分子垂直配向剤との合計量100質量部に対し、前記高分子垂直配向剤の含有量は、重合性組成物の垂直配向性を向上する点から、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、10質量部以上であることがより更に好ましい。一方、重合性組成物の逆波長分散性を向上する点から、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることがより更に好ましい。
なお、本開示の重合性組成物において、前記高分子垂直配向剤は1種単独を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本開示の重合性組成物は、効果を損なわない範囲において、前記高分子垂直配向剤以外のその他の垂直配向剤を更に含有していても良い。本開示の重合性組成物が、前記高分子垂直配向剤以外のその他の垂直配向剤を含有する場合、特に限定はされないが、垂直配向性に優れる点から、重合性組成物が含有する垂直配向剤の総量100質量部中、前記高分子垂直配向剤の含有量が、70質量部以上であることが好ましく、80質量部以上であることがより好ましく、90質量部以上であることがより更に好ましい。
なお、前記高分子垂直配向剤以外のその他の垂直配向剤としては、例えば、前記高分子垂直配向剤以外の公知の高分子垂直配向剤、及び公知の低分子垂直配向剤等が挙げられる。
3.光重合開始剤
本開示の重合性組成物は、更に、光重合開始剤を含有することが好ましい。
本実施形態において光重合開始剤は、従来公知の物の中から適宜選択して用いることができる。このような光重合開始剤の具体例としては、例えば、チオキサントン等を含む芳香族ケトン類、α−アミノアルキルフェノン類、α−ヒドロキシケトン類、アシルフォスフィンオキサイド類、オキシムエステル類、芳香族オニウム塩類、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物等が好適に挙げられ、中でも、塗膜の内部まで硬化し耐久性が向上するため、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤、α−ヒドロキシケトン系重合開始剤、及びオキシムエステル系重合開始剤よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤としては、例えばビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル−フォスフィンオキサイド(例えば、商品名:イルガキュア819、BASF社製)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(商品名:Lucirin TPO:BASF社製等)等が挙げられる。
また、α−アミノアルキルフェノン系重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(例えばイルガキュア907、BASF社製)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン(例えばイルガキュア369、BASF社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(イルガキュア379EG、BASF社製)等が挙げられる。
また、α−ヒドロキシケトン系重合開始剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(例えば、商品名:イルガキュア127、BASF社製等)、2−ヒドロキシ−4’−ヒドロキシエトキシ−2−メチルプロピオフェノン(例えば、商品名:イルガキュア2959、BASF社製等)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(例えば、商品名:イルガキュア184、BASF社製等)、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}(例えば、商品名:ESACURE ONE、Lamberti社製等)等が挙げられる。
オキシムエステル系重合開始剤としては、1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](商品名:イルガキュアOXE−01、BASF製)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)(商品名:イルガキュアOXE−02、BASF製)、メタノン,エタノン,1−[9−エチル−6−(1,3−ジオキソラン,4−(2−メトキシフェノキシ)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)(商品名ADEKA OPT−N−1919、ADEKA社製)等が挙げられる。
本実施形態において光重合開始剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態において光重合開始剤の含有割合は、前記重合性化合物の硬化を促進する点から、重合性組成物の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。
4.その他の重合性液晶化合物
本開示の重合性組成物は、位相差又は逆波長分散性を調整する点、配向性、溶解性又は相転移温度を調整する点から、更に、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物とは異なるその他の重合性液晶化合物を含有していても良い。
前記その他の重合性液晶化合物は、従来公知のものの中から適宜選択して用いることができ、正常分散(正分散)の重合性液晶化合物であってもよいし、逆波長分散性の重合性液晶化合物であっても良いし、波長分散性を実質的に示さない(フラット分散又は低波長分散)重合性液晶化合物であっても良い。前記その他の重合性液晶化合物として、例えば、逆波長分散性を示す化合物の例としては特許第5463666号、特許第4186981号、特許第5962760号、及び特許第5826759号に記載の重合性液晶化合物が挙げられる。フラット分散性を示す化合物の例としてはRecueil des Travaux Chimiques des Pays-Bas(1996),115(6),321-328に記載の化合物などが挙げられる。
本実施形態においては、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物との組み合わせにおいて配向しやすいことから、前記その他の重合性液晶化合物としては、棒状メソゲンの少なくとも一方の末端に重合性官能基を有する重合性液晶化合物であることが好ましく、棒状メソゲンの両末端に重合性官能基を有する重合性液晶化合物であることがより好ましい。1分子中に重合性官能基を2つ以上有する重合性液晶化合物は、塗膜の硬度や耐久性を向上させることができる。
前記その他の重合性液晶化合物としては、例えば、下記一般式(2)で表される重合性液晶化合物、及び下記一般式(3)で表される重合性液晶化合物を挙げることができる。
(一般式(2)及び一般式(3)中、Z10、及びZ20は各々独立して重合性官能基を表し、Rsp10、及びRsp20は各々独立して単結合又は炭素原子数1以上20以下のアルキレン基を表すが、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−に置き換えられても良く、L10、L20及びL30は各々独立して−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、A10、及びA20は各々独立して、ベンゼン−1,4−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、A10、及びA20は各々独立して無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、Rは水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基、若しくは、1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1以上20以下の直鎖又は分岐アルキル基を表し、s1及びs2は0、1、2、3又は4を表すが、s1及びs2がそれぞれ独立に2、3又は4を表す場合、2個、3個あるいは4個存在するA20、L10はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。)
前記その他の重合性液晶化合物が有する重合性官能基としては、前記一般式(1)で表される重合性化合物のZ等と同様のものが挙げられる。前記その他の重合性液晶化合物が有する重合性官能基としては、例えば、オキシラン環、オキセタン環等の環状エーテル含有基、エチレン性二重結合含有基等が挙げられるが、中でも光硬化性を示し、取り扱い性に優れる点から、エチレン性二重結合含有基であることが好ましい。環状エーテル基としては、例えば、グリシジル基が挙げられる。また、エチレン性二重結合含有基としては、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
本実施形態において、前記その他の重合性液晶化合物としては、配向性の点から、中でも、下記一般式(4)で表される化合物、及び下記一般式(5)で表される化合物より選択される1種以上の化合物が好ましい。
(一般式(4)中、R31は、水素原子又はメチル基を、R32は、−(CH−、又は−(CO)p’−で表される基を、L33は、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を、Arは、ベンゼン−1,4−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、Arは無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良い。R33は、−F、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHC(=O)−R34、−C(=O)−OR34、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR34 、−R35、又は−OR35を、R34は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、R35は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表す。bは2以上5以下の整数を表し、複数あるL23及びArはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。p及びp’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数を表す。)
(一般式(5)中、R41及びR42は各々独立に、水素原子又はメチル基を、R43は、−(CH−、又は−(CO)q’−で表される基を、R44は、−(CH−、又は−(OCr’−で表される基を、L44は、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を、Arは、ベンゼン−1,4−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、Arは無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良い。cは2以上5以下の整数を表し、複数あるL44及びArはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。q、q’、r及びr’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数を表す。)
一般式(4)におけるp、p’、一般式(5)におけるq、q’、r及びr’は配向性の点から、2以上8以下であることが好ましく、2以上6以下であることがより好ましく、2以上5以下であることがより更に好ましい。
また、Ar及びArはそれぞれ、ベンゼン−1,4−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、中でもベンゼン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、又はシクロヘキサン−1,4−ジイル基がより好ましい。Ar及びArが有してもよい置換基としては、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基が挙げられるが、より好ましくは炭素原子数1以上5以下のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
また、一般式(4)におけるR34及びR35における炭素原子数1以上6以下のアルキル基は、直鎖、分岐、若しくは環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基及びn−ヘキシル基等の直鎖アルキル基、i−プロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、2−メチルブチル基等の分岐アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等のシクロアルキル基等が挙げられる。R34は、中でも、水素原子又は炭素原子数1以上5以下のアルキル基であることが好ましく、更に、水素原子又は炭素原子数1以上3以下のアルキル基であることが好ましい。R35は、中でも、炭素原子数1以上5以下のアルキル基であることが好ましく、更に、炭素原子数1以上3以下のアルキル基であることが好ましい。
33は、中でも配向性の点から、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NHC(=O)−R25、−C(=O)−OR24、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR24 、−R25、又は−OR25であることが好ましく、−Cl、−CN、−OCF又は−C(=O)−OR24、−R25、又は−OR25であることがより好ましい。
前記その他の重合性液晶化合物に含まれるメソゲン構造としては、下記化学式(V−1)〜(V−6)で表される部分構造が、好ましく用いられ、中でも、環構造を3つ以上含む下記化学式(V−1)、(V−2)、(V−4)、(V−5)、及び(V−6)よりなる群から選択される少なくとも1種で表される部分構造が、好ましく用いられる。下記化学式(V−1)〜(V−6)で表される部分構造におけるフェニレン基やナフチレン基における水素原子は、炭素数1以上3以下のアルキル基や、ハロゲン原子によって置換されていても良い。
前記一般式(4)で表される化合物、及び前記一般式(5)で表される化合物の好適な具体例としては、下記化学式(1)〜(22)に示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本実施形態において、前記その他の重合性液晶化合物は、N−メチルピロリドン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノンからなる群から選択される少なくとも1種の溶剤に20質量%以上溶解することが、重合性組成物の溶剤溶解性及び保存安定性が向上する点から好ましい。重合性組成物の溶剤溶解性が向上すると、当該重合性組成物を用いて塗膜を形成する際に、均一な塗膜を形成しやすく、溶剤を乾燥させるための製造工程や製造装置の負荷が軽減される点、使用可能な基材の選択肢が広がる点、及び組成物としての液晶相転移温度が広がって、配向時のプロセスマージンが広がり、配向性がより均一に良好になる点から好ましい。
本実施形態において、前記その他の重合性液晶化合物は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態において、前記その他の重合性液晶化合物の含有割合は、所望の位相差等を調整するために適宜調整されれば良く、限定されるものではないが、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物と、前記その他の重合性液晶化合物との合計量100質量部に対して50質量部以下であることが好ましく、更に45質量部以下であることが好ましい。
5.その他の成分
本実施形態の重合性組成物は、効果を損なわない範囲で更に他の成分を含有してもよい。具体的には、他の成分としてレベリング剤、酸化防止剤、光安定化剤や、塗工性の観点から溶剤等を含有してもよい。また、単独では液晶性を示さないが前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物と共に用いることで位相差や逆波長分散性、相転移温度、硬度、耐久性を調整可能なその他の重合性化合物を含有してもよい。これらは従来公知の材料を適宜選択して用いればよい。
前記その他の重合性化合物としては、所謂多官能モノマーを用いることもでき、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、アダマンチルジ(メタ)アクリレート、イソボロニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートや、これらをPO、EO等で変性したものが挙げられる。架橋反応が進行し、塗膜の耐久性が向上するため、ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、トリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)等の1分子中に重合性官能基を3つ以上有する重合性化合物が好ましい。
本実施形態において前記その他の重合性化合物を用いる場合、その含有割合は、重合性組成物の固形分100質量部に対して40質量部以下とすることが好ましく、30質量部以下とすることがより好ましく、20質量部以下とすることがより更に好ましい。
本実施形態において、前記その他の重合性化合物としては、N−メチルピロリドン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノンからなる群から選択される少なくとも1種の溶剤に20質量%以上溶解することが、重合性組成物の溶剤溶解性及び保存安定性が向上し、当該重合性組成物を用いて塗膜を形成する際に、均一な塗膜を形成しやすく、溶剤を乾燥させるための製造工程や製造装置の負荷が軽減される点、使用可能な基材の選択肢が広がる点から好ましい。
なお、本開示の重合性組成物においては、含有する全ての重合性液晶化合物及び重合性化合物が、N−メチルピロリドン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノンからなる群から選択される少なくとも1種の溶剤に20質量%以上溶解することが、重合性組成物の溶剤溶解性及び保存安定性が向上し、当該重合性組成物を用いて塗膜を形成する際に、均一な塗膜を形成しやすく、溶剤を乾燥させるための製造工程や製造装置の負荷が軽減される点、使用可能な基材の選択肢が広がる点から好ましい。
レベリング剤としては、フッ素系又はシリコーン系のレベリング剤を用いることが好ましい。レベリング剤の具体例としては、例えば、特開2010−122325号公報に記載のDIC(株)製のメガファックシリーズ、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製のTSFシリーズ及び(株)ネオス製のフタージェントシリーズ等が挙げられる。
本実施形態においてレベリング剤を用いる場合、その含有割合は、重合性組成物の固形分100質量部に対して0.001質量部以上5質量部以下とすることが好ましい。
本開示の重合性組成物は、典型的には塗工性の点から更に溶剤を含有する。溶剤としては、重合性組成物に含まれる各成分を溶解乃至分散し得る従来公知の溶剤の中から適宜選択すればよい。具体的には、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、プロピレングリコールモノエチルエーテル(PGME)等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤、およびジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、メタノール、エタノール、およびプロパノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。本実施形態において溶剤は1種単独で、又は2種以上を組み合わせて混合溶剤として用いることができる。
本開示の重合性組成物が溶剤を含有する場合、特に限定はされないが、塗工性の点及び保存安定性の点から、重合性組成物の固形分濃度は、7質量%以上49.9質量%以下であることが好ましく、10質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。
6.重合性組成物の製造方法
本開示の重合性組成物の製造方法は、前述した本開示の重合性組成物を得ることができる方法であれば、特に限定はされない。例えば、前述した製造方法により製造した前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物と、前記一般式(I)で表される構成単位及び前記一般式(II)で表される構成単位を有する高分子垂直配向剤と、必要に応じて更に含有される他の成分とを、公知の方法により混合することで、本開示の重合性組成物を得ることができる。
なお、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を溶剤に溶解させる際には、加温してもよいが、加温する場合は、重合性液晶化合物の重合及び分解を抑制する点から、溶液の温度を80℃以下に調整することが好ましく、20℃以上60℃以下の範囲内に調整することがより好ましい。
7.用途
本開示の重合性組成物は、液晶配向膜の製造に適しており、垂直配向しやすいため、液晶組成物として、ポジティブC型の位相差層の製造に適している。本開示の重合性組成物を用いて得られるポジティブC型の位相差層は、後述する位相差フィルムや各種光学部材用途に好適に用いられる。
B.位相差フィルム
本開示の位相差フィルムは、位相差層を有する位相差フィルムであって、前記位相差層が、前記本開示の重合性組成物の硬化物を含有する。
上記本実施形態の位相差フィルムは、位相差層が前記本開示の重合性組成物の硬化物を含有するため、前述したように、垂直配向性を有し、良好な逆波長分散性を有するものである。
本開示の位相差フィルムは、少なくとも位相差層を有し、必要に応じ、配向膜及び基材等の他の構成を更に有していてもよい。
位相差フィルムの層構成について図を参照して説明する。図1〜図3は、各々本開示の位相差フィルムの1実施形態を示す。図1の例に示される位相差フィルム10の1実施形態は、基材2上に配向膜3と位相差層1がこの順に積層されている位相差フィルムである。図2の例に示される位相差フィルム10’の1実施形態は、位相差層1のみからなる位相差フィルムである。また図3の例に示される位相差フィルム10”の1実施形態は、基材2’上に直接位相差層1が形成されている。図3の例に示される位相差フィルムには基材2’の位相差層1側表面に配向規制力を発現する手段が付されていてもよい。本開示において、配向規制力とは、位相差層中の配向性成分を特定方向に配列させる作用をいう。
1.位相差層
本開示の実施形態の位相差層は、前記本開示の重合性組成物の硬化物を含有するものであり、垂直配向性及び逆波長分散性を向上する点から、前記本開示の重合性組成物の硬化物からなるものであることが好ましい。
ここで、前記本開示の重合性組成物は、前記本開示の実施形態の重合性組成物において説明したものと同様であって良いので、ここでの説明は省略する。
本開示の実施形態の位相差層は、逆波長分散性を示すポジティブC型の位相差層として好適に用いられる。
ポジティブC型の位相差層においては、一般的に入射光の波長λを横軸に取り、厚み方向の位相差Rthを縦軸にプロットして得たグラフにおいて、傾きが正(右肩上がり)である場合に、逆波長分散性であると言われ、傾きが負(右肩下がり)である場合に、正常分散(正分散)性であると言われている。
位相差層の厚み方向の位相差Rthは、下記数式1により求められる値である。下記数式2により求められる面内位相差R0、下記数式3により求められる位相差R50、位相差層の厚みd、及び位相差層の平均屈折率n0を用いて、下記数式2〜6から数値計算によりnx、ny、nzを求め、これらを下記数式1に代入して、厚み方向の位相差Rthを算出することができる。なお、位相差R50は、入射角を位相差層の法線方向に対して50°傾斜した角度で測定した位相差値である。
(数式1)Rth=[(nx+ny)/2−nz]×d
(数式2)R0=(nx−ny)×d
(数式3)R50=(nx−ny’)×d/cos(φ)
(数式4)(nx+ny+nz)/3=n0
(数式5)φ=sin−1[sin(50°)/n0]
(数式6)ny’=ny×nz/[ny×sin(φ)+nz×cos(φ)]1/2
逆波長分散性を示すポジティブC型の位相差層は、位相差層に対する入射光の波長λを横軸に取り、前記位相差R50を縦軸にプロットして得たグラフの傾きも正(右肩上がり)となる。
本開示の実施形態の位相差層は、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物の配向性を有する主鎖部分が、フィルム面に対して実質的に垂直配向した状態で、硬化しているものであることが好ましい。本開示の実施形態の重合性組成物の硬化物には、少なくとも、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物の少なくとも一部が重合した構造が含まれる。このような重合性化合物の重合性官能基の少なくとも一部が重合した構造が含まれることから、本実施形態の位相差層は、耐久性が向上している。
なお、位相差層は、光重合開始剤、レベリング剤、酸化防止剤、光安定化剤等のその他の成分を含んでいても良い。光重合開始剤など、重合性化合物が有する重合性官能基を反応させるために光照射した際に、全てが分解する可能性がある成分については、位相差層には含まれていない場合もある。
位相差層の位相差は、自動複屈折測定装置(例えば、王子計測機器株式会社製、商品名:KOBRA−WR)により測定することができる。測定光を位相差層表面に対して垂直あるいは斜めから入射して、その光学位相差と測定光の入射角度のチャートから位相差層の位相差を増減させる異方性や、液晶の垂直(厚さ)方向の配向性の程度を確認することができる。
位相差層が、前記本開示の重合性組成物に含まれる前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物の重合性官能基の少なくとも一部が重合した構造が含まれることは、位相差層から材料を採取し分析することで確認することができる。分析方法としては、NMR、IR、GC−MS、XPS、TOF−SIMSおよびこれらの組み合わせた方法を適用することができる。
本開示の実施形態の位相差層は、逆波長分散性を有することから、波長550nmにおける前記位相差R50に対する波長450nmにおける前記位相差R50の比(R50(450/550))が、1.00未満であり、逆波長分散性が高い点から、0.90未満であることが好ましく、0.85未満であることがより好ましく、0.80未満であることがより更に好ましい。前記比(R50(450/550))の下限は、特に限定はされないが、通常0.50以上であり、0.60以上であっても良く、0.70以上であっても良い。
また、本開示の実施形態の位相差層は、逆波長分散性を有することから、波長550nmにおける前記位相差R50に対する波長650nmにおける前記位相差R50の比(R50(650/550))が、1.00超過であり、逆波長分散性が高い点から、1.02以上であることが好ましく、1.03以上であることがより好ましい。前記比(R50(650/550))の上限は、特に限定はされないが、通常1.25未満であり、1.15未満であっても良く、1.10未満であっても良い。
本開示の実施形態の位相差層の波長550nmにおける厚み方向位相差Rthは、特に限定はされないが、垂直配向性に優れる点から、−70nm未満であることが好ましく、−80nm未満であることがより好ましく、−100nm未満であることがより更に好ましく、−110nm未満であることが特に好ましい。
本開示の実施形態の位相差層の波長550nmにおける面内位相差R0は、特に限定はされないが、面内均一性の点から、0nm以上3nm以下であることが好ましく、0nm以上1.5nm以下であることがより好ましく、0nm以上0.5nm以下であることがより更に好ましく、0nm以上0.4nm以下であることが特に好ましい。
位相差層の厚みは、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定はされないが、薄膜化の観点及び所望の垂直配向性及び逆波長分散性を得る観点から、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、0.5μm以上3μm以下であることがより好ましい。
前記位相差層は、透明性の点から、JIS K7136に準拠して測定されるヘイズ値が、0.5%未満であることが好ましい。
なお、前記位相差層のヘイズ値は、例えばヘイズメーター((株)村上色彩技術研究所製、HM−150N)を用いて測定することができる。
2.配向膜
本明細書において配向膜とは、位相差層に含まれる液晶性成分を一定方向に配列させるための層をいう。
本開示の実施形態においては、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物と前記特定の高分子垂直配向剤との組み合わせにより、配向膜を用いずに、前記重合性液晶化合物を垂直配向させることが可能であるが、本開示の位相差フィルムは、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を垂直配向しやすくするために、更に垂直配向膜を有していても良い。
垂直配向膜は、垂直方向の配向規制力を備えた配向膜である。本開示の位相差フィルムにおいては、公知のポジティブC型の位相差フィルムに適用される各種垂直配向膜、VA液晶表示装置等に適用される各種の垂直配向膜を用いることができ、例えばポリイミド配向膜、LB膜による配向膜等を用いることができる。また、特開2015−191143号公報に記載の垂直配向膜を用いても良い。垂直配向膜の材料としては、例えば、レシチン、シラン系界面活性剤、チタネート系界面活性剤、ピリジニウム塩系高分子界面活性剤、n−オクタデシルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤を含有するシランカップリング系垂直配向膜用組成物、長鎖アルキル基や脂環式構造を側鎖に有する可溶性ポリイミドや長鎖アルキル基や脂環式構造を側鎖に有するポリアミック酸等を含有するポリイミド系垂直配向膜用組成物等を挙げることができる。垂直配向膜用組成物としては、JSR(株)製のポリイミド系垂直配向膜用組成物「JALS−2021」及び「JALS−204」、日産化学工業(株)製の「RN−1517」、「SE−1211」及び「EXPOA−018」等の市販品を用いることもできる。
配向膜の形成方法は特に限定されないが、例えば、後述する基材上に、配向膜用組成物を塗布し、配向規制力を付与することにより配向膜とすることができる。配向膜に配向規制力を付与する手段は、従来公知のものとすることができる。
配向膜の厚みは、位相差層における液晶性成分を一定方向に配列できればよく、適宜設定すればよい。配向膜の厚みは、通常、1nm以上10μm以下の範囲内であり、60nm以上5μm以下の範囲内が好ましい。
3.基材
本開示の位相差フィルムが有していてもよい基材は、特に限定はされず、例えば、ガラス基材、金属箔、樹脂基材等が挙げられる。中でも、基材は透明性を有することが好ましく、従来公知の透明基材の中から適宜選択することができる。透明基材としては、ガラス基材の他、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリアクロニトリル、ポリメタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等の樹脂を用いて形成された透明樹脂基材が挙げられる。
前記透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
また、ロールトゥロール方式で位相差層を形成する場合には、透明基材は、ロール状に巻き取ることができる可撓性を有するフレキシブル材であることが好ましい。
このようなフレキシブル材としては、セルロース誘導体、ノルボルネン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類などを例示することができる。中でも、光学的等方性に優れる点からはセルロース誘導体が好ましく、透明性が高く、機械的特性に優れる点からは、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
前記基材は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されていてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
例えば、本実施形態に用いられる配向膜が紫外線硬化性樹脂を含有するものである場合、前記基材は、透明基材と、当該透明基材上に、前記紫外線硬化性樹脂との接着性を向上させるためのプライマー層を有するものであってもよい。前記プライマー層は、透明基材及び紫外線硬化性樹脂との双方に接着性を有し、可視光学的に透明であり、紫外線を通過させるものであればよく、例えば、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体系、ウレタン系のもの等を適宜選択して使用することができる。
また、前記基材は、アンカーコート層を有していても良い。当該アンカーコート層によって基材の強度を向上させることができる。アンカーコート層の材料としては、金属アルコキシド、特に金属シリコンアルコキシドゾルを用いることができる。金属アルコキシドは、通常アルコール系の溶液として用いられる。アンカーコート層は、均一で、かつ柔軟性のある膜が必要なため、アンカーコート層の厚みは0.04μm以上2μm以下程度が好ましく、0.05μm以上0.2μm以下程度がより好ましい。
前記基材がアンカーコート層を有する場合には、例えば、透明基材とアンカーコート層の間に更にバインダー層を積層したり、アンカーコート層に透明基材との密着性を向上するための材料を含有させることにより、透明基材とアンカーコート層との密着性を向上させてもよい。前記バインダー層の材料としては、透明基材とアンカーコート層との密着性を向上できるものを特に制限なく使用することができ、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤等を例示できる。
前記基材の厚みは、位相差フィルムの用途等に応じて、必要な自己支持性を付与できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、10μm以上1000μm以下程度の範囲内である。位相差フィルムを裁断加工する場合は、前記基材の厚みは、裁断加工する際の加工屑を低減する点、及び裁断刃の磨耗を抑制する点から、125μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。一方、基材の自己支持性及び強度の点から、25μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましい。
4.位相差フィルムの製造方法
本開示の実施形態の位相差フィルムの製造方法は、
前記本開示の実施形態の重合性組成物を成膜する工程(成膜工程)と、
前記成膜された前記重合性組成物中の前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を少なくとも配向させる工程(配向工程)と、
前記配向させる工程の後に、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を少なくとも重合する工程(重合工程)とを有する方法により、位相差層を形成する。
当該重合性組成物としては、前記「A.重合性組成物」と同様のものを用いることができるので、ここでの説明を省略する。
(1)重合性組成物の成膜工程
支持体上に、重合性組成物を均一に塗布して成膜を形成する。
前述のように、重合性組成物の塗布量や重合性液晶化合物の濃度を適宜調整することにより、所望の位相差を与えるように膜厚を調整する
ここでの支持体上としては、前記基材上であっても良いし、前記配向膜を備えた基材の配向膜上であってもよい。
塗布方法は、所望の厚みで精度良く成膜できる方法であればよく、適宜選択すればよい。例えば、グラビアコート法、リバースコート法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法などが挙げられる。
(2)配向工程
次いで、前記成膜された前記重合性組成物中の前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を少なくとも配向させる。成膜された重合性組成物中の前記重合性液晶化合物が、配向可能な温度に調整し、加熱する。当該加熱処理により、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物の配向性を有する主鎖部分と、必要に応じて更に含まれる前記その他の重合性液晶化合物とを配向させて乾燥することができ、前記配向状態を維持した状態で固定化することができる。
配向可能な温度は、重合性組成物中の各物質に応じて異なるため、適宜調整する必要がある。例えば、60℃以上200℃以下の範囲内で行うことが好ましく、更に60℃以上100℃以下の範囲内で行うことが好ましい。
加熱手段としては、公知の加熱、乾燥手段を適宜選択して用いることができる。
また、加熱時間は、適宜選択されれば良いが、例えば、10秒以上2時間以内、好ましくは20秒以上30分以内の範囲内で選択される。
(3)重合工程
前記配向工程の後に、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を少なくとも重合する。前記配向工程において、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物及び更に含まれていても良い重合性液晶化合物の配向状態を維持した状態で固定化された塗膜に、例えば光照射することにより、塗膜中の重合性液晶化合物及び重合性化合物を重合することができ、前記重合性組成物の硬化物からなる位相差層を得ることができる。
光照射としては、紫外線照射が好適に用いられる。紫外線照射は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線を使用することができる。エネルギー線源の照射量は、適宜選択されれば良く、紫外線波長365nmでの積算露光量として、例えば10mJ/cm以上10000mJ/cm以下の範囲内であることが好ましい。
5.用途
本開示の位相差フィルムは、ポジティブC型の位相差層を有する位相差フィルムとして好適に用いられる。本開示の位相差フィルムは、例えば視野角補償フィルムとして好適に用いられ、後述するような各種表示装置用の光学部材に好適に用いられる。具体的には例えば、円偏光板を備える有機発光表示装置等の発光表示装置の視野角補償フィルム等として好適に用いられる。
C.転写用積層体
本開示の転写用積層体は、位相差層と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体とを備え、
前記位相差層が、前記本開示の重合性組成物の硬化物を含有する、
位相差層の転写に供する転写用積層体である。
上記本実施形態の転写用積層体は、位相差層が前記重合性組成物の硬化物を含有するものであるため、前述したように、垂直配向性を有し、良好な逆波長分散性を示す位相差層の転写に供するものである。上記本実施形態の転写用積層体によれば、他の任意の光学部材等に、例えば、基材を含まない薄膜の、本開示の位相差層を転写することができる。
本実施形態の転写用積層体によれば、例えば、図2の例に示される位相差層1のみからなる位相差フィルム10’や、図5の例に示されるような、基材は含まず配向膜23と位相差層21とが積層された積層体26からなる位相差フィルムを、提供することができる。すなわち、前記位相差層を少なくとも剥離可能であれば、転写用積層体の転写に供する位相差層には、配向膜等が積層されていても良い。
以下、このような転写用積層体の構成について説明するが、前記本開示の実施形態の重合性組成物については前述のとおりであるため、ここでの説明は省略する。
転写用積層体の層構成について図を参照して説明する。図4及び図5は、各々本開示の転写用積層体の1実施形態を示す。
図4の例に示される転写用積層体20の1実施形態は、位相差層11と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体15として第二の基材12上に配向膜13が積層された積層体を備えている。図4の例に示される転写用積層体20においては、第二の基材12と配向膜13との界面の剥離強度が、配向膜13と位相差層11との界面の剥離強度よりも大きくなっていることにより、配向膜13と位相差層11との界面17で剥離されやすい。そのため、被転写体上に転写された転写用積層体20から、第二の基材12上に配向膜13が積層された積層体を、剥離可能な支持体15として剥離することができ、位相差層11のみを位相差層を含む転写層16として転写することができる。
図5の例に示される転写用積層体30の1実施形態は、位相差層21と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体25として第二の基材22を備え、位相差層21と第二の基材22との間に更に配向膜23を備えている。図5の例に示される転写用積層体30においては、第二の基材22と配向膜23との界面の剥離強度が、配向膜23と位相差層21との界面の剥離強度よりも小さくなっていることにより、第二の基材22と配向膜23との界面27で剥離されやすい。そのため、被転写体上に転写された転写用積層体30から、第二の基材22を、剥離可能な支持体25として剥離することができ、位相差層21と配向膜23との積層体を、位相差層を含む転写層26として転写することができる。
第二の基材と配向膜との剥離強度が配向膜と位相差層との剥離強度よりも大きいか小さいかは、位相差層の剥離を行って、いずれの界面で剥離しているかで確認することができる。いずれの界面で剥離しているかは、例えば、IR等により分析可能である。
また、図6の例に示される転写用積層体40の1実施形態は、位相差層31と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体35として第二の基材32を備えている。被転写体上に転写された前記転写用積層体40からは、第二の基材32を剥離可能な支持体35として剥離することができ、位相差層31のみを、位相差層を含む転写層36として転写することができる。
以下、本実施形態について説明するが、位相差層については前記「B.位相差フィルム」で述べた位相層と同様のものとすることができるのでここでの説明を省略する。
また、配向膜及び基材も前記「B.位相差フィルム」で述べた配向膜及び基材と同様のものを用いることができるが、剥離強度を調整する方法としては、例えば下記の方法を挙げることができる。
図4の例に示される転写用積層体20を得るために、第二の基材12と配向膜13との剥離強度が、配向膜13と位相差層11との剥離強度よりも大きくするには、例えば、配向膜形成用組成物に含まれる溶剤を、第二の基材を溶解可能なものとする方法を用いることができる。当該第二の基材としては樹脂基材を用いることが好ましく、また、基材表面に接着性が向上するための表面処理を行っても良い。このような場合、樹脂基材および配向膜の密着性を向上させることができる。
また、基材と配向膜との剥離強度が配向膜と位相差層との剥離強度よりも大きくなるよう、配向膜と位相差層との剥離強度を小さくするために、配向膜の耐溶剤性を比較的高くすることも好ましい。配向膜の耐溶剤性が比較的高い場合には、配向膜上に重合性組成物を塗布して位相差層を形成する際に、重合性組成物中の溶剤に配向膜が溶解しにくくなるため、配向膜および位相差層の密着性を低くすることができる。
一方、図5の例に示される転写用積層体30を得るために、第二の基材22と配向膜23との剥離強度が、配向膜23と位相差層21との剥離強度よりも小さくするためには、例えば、基材の表面に離型処理が施されていてもよく、あるいは離型層が形成されていてもよい。これにより、基材の剥離性を高めることができ、基材および配向層の剥離強度を配向層および位相差層の剥離強度よりも小さくすることができる。
離型処理としては、例えばフッ素処理、シリコーン処理等の表面処理が挙げられる。
離型層の材料としては、例えばフッ素系離型剤、シリコーン系離型剤、ワックス系離型剤等が挙げられる。離型層の形成方法としては、例えば離型剤をディップコート、スプレーコート、ロールコート等の塗布法により塗布する方法が挙げられる。
また、図6の例に示される転写用積層体40を得るためにも、必要に応じて、基材の表面に離型処理が施されていてもよく、あるいは離型層が形成されていてもよい。
転写用積層体に用いられる基材は、可撓性を有していてもよく有さなくてもよいが、基材を剥離しやすいことから、可撓性を有することが好ましい。
転写用積層体に用いられる基材の厚みは、充分な自己支持強度と、本実施形態の転写用積層体の製造および転写工程に適応出来るだけの可撓性との兼合いから、通常、上記材料のシートの場合、20μm以上200μm以下の範囲内であることが好ましい。
本開示の転写用積層体から提供できる位相差層は、例えばポジティブC型の位相差層として好適に用いられ、各種表示装置用の光学部材に転写することができ、薄膜の光学部材を提供するために好適に用いられる。
D.光学部材
本開示の光学部材は、前記本開示の位相差フィルム上に、偏光板を備えるものである。
本実施形態の光学部材を、図を参照して説明する。図7は、光学部材の1実施形態を示す模式断面図である。
図7の光学部材60の例では、前記本開示の位相差フィルム10上に、偏光板50が配置されている。位相差フィルム10と偏光板50との間には、必要に応じて粘着層(接着層)を有していてもよい(図示せず)。
本実施形態において偏光板は、特定方向に振動する光のみを通過させる板状ものであり、従来公知の偏光板の中から適宜選択して用いることができる。例えば、沃素又は染料により染色し、延伸してなるポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を用いることができる。
また、本実施形態において粘着層(接着層)用の粘着剤又は接着剤としては、従来公知のものの中から適宜選択すればよく、感圧接着剤(粘着剤)、2液硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、熱溶融型接着剤等、いずれの接着形態のもの好適に用いることができる。
本実施形態の光学部材には、偏光板の他にも、公知の光学部材が備える他の層を更に有していても良い。当該他の層としては、例えば、前記本実施形態の位相差層とは異なる他の位相差層の他、反射防止層、拡散層、防眩層、帯電防止層、保護フィルム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態の光学部材は、例えば、外光反射を抑制する光学部材や、各種表示装置用の広視野角偏光板として好適に用いることができる。
本開示の光学部材の製造方法は、特に限定されることなく、前記本開示の位相差フィルム上に、偏光板を積層する方法を適宜選択して用いることができる。例えば、前記本開示の位相差フィルム上に、偏光板を、粘着層乃至接着層を介して積層する製造方法等が挙げられる。
また、本開示の1実施形態の光学部材の製造方法としては、
前記本開示の転写用積層体を準備する転写用積層体準備工程と、
少なくとも偏光板を含む被転写体と、前記転写用積層体の前記位相差層とを対向させ、前記被転写体上に前記転写用積層体を転写する転写工程と、
前記被転写体上に転写された前記転写用積層体から、前記支持体を剥離する剥離工程とを有する、光学部材の製造方法が挙げられる。
前記転写用積層体を用いた本開示の1実施形態の光学部材の製造方法によれば、偏光板と、前記本開示の位相差フィルムのうち前記位相差層のみを備えた光学部材を得ることができる。
本開示の1実施形態の光学部材の製造方法に用いる転写用積層体は、前記「C.転写用積層体」で説明したものと同様のものとすることができるので、ここでの説明を省略する。
また、本開示の1実施形態の光学部材の製造方法に用いる被転写体は、典型的には、接着層と偏光板とを有する被転写体が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、前述した本開示の1実施形態における光学部材が有していても良い他の層と同様の層を、更に有していても良い。
E.表示装置
本開示に係る表示装置は、前記本実施形態の位相差フィルム、又は前記本実施形態の光学部材を備えることを特徴とする。
表示装置としては、例えば、発光表示装置、液晶表示装置等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
中でも、前記本実施形態の位相差フィルム又は前記本実施形態の光学部材を備えるため、特に、透明電極層と、発光層と、電極層とをこの順に有する有機発光表示装置等の発光表示装置において外光反射を抑制しながら、視野角が向上するという効果を有する。
1実施形態である発光表示装置の例を、図を参照して説明する。図8は、光学部材の1実施形態を示す模式断面図である。
図8の有機発光表示装置100の例では、前記位相差フィルム10の出光面側に、偏光板50が配置され、反対側の面には、透明電極層71と、発光層72と、電極層73とをこの順に有している。
発光層72としては、例えば、透明電極層71側から順に正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層の順に積層する構成等が挙げられる。本実施形態において、透明電極層、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層、電極層、及びその他の構成は、公知のものを適宜用いることができる。このようにして作製された発光表示装置は、例えば、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
なお、本実施形態の表示装置は、上記構成に限定されるものではなく、適宜選択した公知の構成とすることができる。
製造した各化合物は、日本電子(株)製JEOL JNM−LA400WBを用いて、H NMR測定により、化学構造を確認した。
また、製造した各液晶性化合物の相転移温度は、温度調節ステージを備えた偏光顕微鏡(オリンパス製、BX51)によるテクスチャー観察によって昇温時において確認した。Cは結晶、Nはネマチック相、Iは等方性液体を表す。例えば「C 130 N 180 I」は、130℃で結晶からネマチック相に転移し、180℃でネマチック相から等方性液体へ転移したことを示す。
[製造例1:式(1−1)で表される化合物1の製造]
まず、500mLナスフラスコ中、式(1−1−1)で表される4,4’−ジヒドロキシビフェニル 27g(150mmol)、ヘキサメチレンテトラミン46g(330mmol)をトリフルオロ酢酸320mlに溶解し、110℃で3時間反応を行った。反応終了後、氷浴下で4規定塩酸3Lを添加し終夜で撹拌した。撹拌終了後、沈殿物をろ過した。得られた粗体に水(1L)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1−1−2)で表される中間体1を7.5g(21mmol、収率21%)得た。
シクロヘキサンジカルボン酸 172g(1.0mol)、6−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキシルアクリレート 53g(200mmol、DKSH製)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 0.98g(8.0mmol)のジクロロメタン(1L)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 43g(210mmol)のジクロロメタン(50mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、炭酸水素ナトリウム水溶液、1N塩酸で洗浄し、溶媒を留去した。得られた粗体をオープンカラムクロマトグラフィにより精製することで式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1を合成した。
次に、上記で得られた式(1−1−2)で表される中間体1 7.0g(29mmol)、式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1 32g(76mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP) 0.14g(1.2mmol)のジクロロメタン(70mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC) 19g(90mmol)のジクロロメタン(14mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にクロロホルム(70mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1−1−4)で表される中間体2を23g(22mmol、収率75%)で得た。
2−ヒドラジノベンゾチアゾール 5.0g(30mmol)、水酸化カリウム 2.5g(45mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(90mL)に添加し、80℃で加熱した。所定の温度に到達したのち、p−トルエンスルホン酸ヘキシル 9.2g(36mmol)を滴下した。滴下終了後、4時間撹拌した。反応終了後、水 10mlを加え抽出し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することで、式(1−1−5)で表される中間体3を3.0g(12mmol、収率40%)得た。
上記で得られた式(1−1−4)で表される中間体2 2.0g(1.9mmol)、12規定塩酸 15mgをテトラヒドロフラン 10mLに溶解し、式(1−1−5)で表される中間体3 1.2g(5.0mmol)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌したのち、メタノール50mlに滴下した。生成した沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にメタノール(20mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、式(1−1)で表される化合物1を1.4g(0.94mmol、収率49%)で得た。
<化合物1>
相転移温度(昇温時):C 130 N 180 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.39(s,2H),7.80(s,2H),7.70−7.60(m,4H),7.35−7.20(m,6H),7.05−6.85(m,10H),6.41(dd,2H),6.25−6.10(m,2H),5.83(dd,2H),4.34(t,4H),4.17(t,4H),3.97(t,4H),2.70−2.55(m,4H),2.45−2.35(m,8H),1.95−1.65(m,20H),1.55−1.30(m,20H),0.88(t,6H).
[製造例2:式(1−2)で表される化合物2の製造]
エチレングリコール 20mlに2−アミノ−6−エトキシベンゾチアゾール 4.3g(24mmol)を添加した。氷浴下で、ヒドラジン−1水和物 3.6g(71mmol)、12規定塩酸1.9g(55mmol)を適下し、130℃で5時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却したのち、水 300mlを加え、沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、中間体4を3.1g(16mmol、収率68%)で得た。
製造例1の製造において、中間体3を得る工程にて、2−ヒドラジノベンゾチアゾールの代わりに前記中間体4を用いて、式(1−2−5)で表される中間体5を得た以外は、製造例1と同様にして、式(1−2)で表される化合物2を1.3g(0.83mmol、収率43%)得た。
<化合物2>
相転移温度(昇温時):C 147 N 241 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.39(s,2H),7.80(s,2H),7.52(d,2H),7.21(d,2H),7.05−6.75(m,12H),6.41(dd,2H),6.25−6.10(m,2H),5.83(dd,2H),4.34(t,4H),4.17(t,4H),3.97(t,4H),3.65(t,4H),2.70−2.55(m,4H),2.45−2.35(m,8H),1.95−1.65(m,20H),1.55−1.30(m,26H),0.88(t,6H).
[製造例3:式(1−3)で表される化合物3の製造]
製造例1の製造において、中間体3を得る工程にて、p−トルエンスルホン酸ヘキシルの代わりに1−(2−ブロモエトキシ)ブタンを等モル量用いて、式(1−3−5)で表される中間体6を得た以外は、製造例1と同様にして、式(1−3)で表される化合物3を1.33g(0.87mmol、収率43%)得た。
<化合物3>
相転移温度(昇温時):C 122 N 167 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.39(s,2H),7.80(s,2H),7.70−7.60(m,4H),7.35−7.20(m,6H),7.05−6.85(m,10H),6.41(dd,2H),6.25−6.10(m,2H),5.83(dd,2H),4.34(t,4H),4.17(t,4H),3.97(t,4H),3.65−3.50(m,8H)2.70−2.55(m,4H),2.45−2.35(m,8H),1.95−1.65(m,20H),1.55−1.30(m,12H),0.88(t,6H)
[製造例4:式(1−4)で表される化合物4の製造]
2−ブロモ−5−ヒドロキシベンズアルデヒド 21g(110mmol)、2−ホルミル−4−メトキシフェニルボロン酸 20g(110mmol)をトルエン:エタノール=3:1(400mL)に溶解させ、2M炭酸ナトリウム水溶液 100mlを添加し、60℃で加熱した。所定の温度に到達したのち、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 2.4g(2.1mmol)を添加し、80℃で加熱した。所定の温度に到達したのち、10時間撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、不溶分をろ過し、有機層を抽出、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することで、中間体7を11g(44mmol、収率42%)得た。
製造例1において、式(1−1−2)で表される中間体1の代わりに、前記中間体7と式(1−1−3)で表されるカルボン酸誘導体1とを用いて、中間体8を得て、製造例1において、式(1−1−4)で表される中間体2の代わりに、前記中間体8を用いた以外は、製造例1と同様にして、式(1−4)で表される化合物4を1.1g(0.74mmol、収率39%)得た。
<化合物4>
相転移温度(昇温時):C 165 N 180 I
H NMR(CDCl ; δppm) :8.39(s,2H),7.92(s,2H),7.70−7.60(m,4H),7.35−7.20(m,6H),7.05−6.85(m,10H),6.41(dd,2H),6.25−6.10(m,2H),5.83(dd,2H),4.34(t,4H),4.17(t,4H),3.97(t,4H),2.70−2.55(m,4H),2.45−2.35(m,8H),1.95−1.65(m,20H),1.55−1.30(m,20H),0.88(t,6H).
[比較製造例1:式(C1−1)で表される比較化合物1の製造]
特許第5962760号の実施例4の化合物4の合成を参考にして、下記式(C1−1)で表される比較化合物1を合成した。
下記式(C1−2)で表される比較化合物2を準備した。
[合成例1:液晶モノマー1の合成]
まず下記スキーム1に従い、4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]安息香酸を合成した。
4−ヒドロキシ安息香酸エチル(28g,170mmol)、炭酸カリウム(26g,187mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(1L)懸濁液に2−ブロモエタノール(20g,162mmol)を加え、80℃で8時間撹拌した。反応終了後、反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出し溶媒を留去した。得られた粗体に、水酸化カリウム(11g,187mmol)の水溶液を加え、100℃で4時間反応させ加水分解した。反応終了後、塩酸水溶液を加え、続いて酢酸エチルを加え抽出し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することで、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸を収率89%(26g,145mmol)で得た。
次に、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸(16g,90mmol)、アクリロイルクロリド(7.4g,82mmol)、ジメチルアニリン(DMA)(9.9g,82mmol)、のテトラヒドロフラン(400mL)懸濁液を12時間撹拌した。反応終了後、水、酢酸エチルを加え、分液を行った。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することで、4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]安息香酸を収率90%(17.4g,73.8mmol)で得た。
次に、下記スキーム2に従って、下記化学式(1)で表される液晶モノマー1を得た。
上記で得られた4−[2−(アクリロイルオキシ)エトキシ]安息香酸(17g,70mmol)、4’−シアノ−4−ヒドロキシビフェニル(14g,70mmol)、N,
N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(252mg,2.10mmol)のジクロロメタン(90mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(16g,76mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過した後、溶媒を留去した。得られた粗体にメタノール(200mL)を加え、1時間撹拌し懸濁精製した。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、4−[2−(1−オキソ−2−プロぺニルオキシ)エトキシ]安息香酸4'−シアノ[1,1’−ビフェニル]−4−イルエステル(下記化学式(1))を収率93%(28g,67mmol)で得た。
[合成例2:液晶モノマー2の合成]
まず下記スキーム3に従って、下記化学式(a)で表される4−プロポキシカルボニルフェニル−4−ヒドロキシベンゾアートを得た。
4−アセトキシ安息香酸(15g,84mmol)、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル(14g,80mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.59g,4.9mmol)のジクロロメタン(100mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(17g,84mmol)のジクロロメタン(450mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過したのち、溶媒を留去した。得られた油状物にメタノール(100mL)を加え、溶解させたのち、冷却下に炭酸カリウム(13g,93mmol)の水(50mL)溶液を滴下した。反応混合物を1時間撹拌したのち、35%塩酸(9.4mL)で中和し、析出した結晶をろ過し、粗体を乾燥させることにより、4−プロポキシカルボニルフェニル−4−ヒドロキシベンゾアートを2段階73%(17g,58mmol)の収率で得た。
次に下記スキーム4に従って、下記化学式(2)で表される液晶モノマー2を得た。
4−プロポキシカルボニルフェニル−4−ヒドロキシベンゾアート(15g,50mmol)、4−[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]安息香酸(14g,48mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.17g,1.3mmol)のジクロロメタン(60mL)懸濁液に、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(11g,52mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液を滴下した。滴下終了後、12時間撹拌し、沈殿物をろ過したのち、溶媒を留去した。得られた粗体にメタノールを加え、再結晶を行い、得られた結晶を乾燥させることにより、4−[(4−プロポキシカルボニルフェニルオキシカルボニル)フェニル−4−[6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]ベンゾアートを収率88%(24g,44mmol)で得た。
[合成例3:モノマーAの合成]
遮光した2Lの四つ口フラスコに4−アミルフェノール(8.25g,50.2mmol)、6−クロロ−1−ヘキサノール(7.20g,52.7mmol)、炭酸カリウム(8.33g,60.3mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)を入れ、100℃に昇温し37時間撹拌した。その後、この反応液を室温まで放冷し、水(50mL)を添加し10分間撹拌した。その後さらに酢酸エチル(40mL)を加え5分間撹拌した後、分液を行った。分離した水層を酢酸エチル(40mL)で再抽出し、有機層を合わせ、水(50mL)で洗浄した。さらに水(50mL)と飽和食塩水(20mL)で洗浄し、分液で水層を除去した後溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することでエーテル体Aを12.1g得た。
次に、遮光した2Lの四つ口フラスコに前記エーテル体A(11.5g,39.2mmol)、N,N−ジメチルアニリン(5.23g,43.2mmol)、N,N−ジメチルアセトアミド(3.0mL)、テトラヒドロフラン(37mL)を入れ、内温15℃以下まで冷却した。その混合液に、テトラヒドロフラン(10mL)にアクリロイルクロリド(5.68g,62.8mmol)を溶解した溶液を滴下し、25℃で5時間攪拌した。その後、反応液を水(120mL)に滴下し、酢酸エチル(100mL)を加え抽出し、その後有機層の溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、溶媒を留去することで、下記化学式(A)で表されるモノマーAを収率82%(8.87g,32.1mmol)で得た。
下記化学式(B)で表されるモノマーBとしては、ライトアクリレート130A(共栄社化学株式会社)を用いた。
[合成例4:モノマーCの合成]
前記合成例3において、4−アミルフェノールの代わりに4−ノニルフェノール、6−クロロ−1−ヘキサノールの代わりに16−ブロモ−1−ヘキサデカノールを用いた以外は合成例3と同様にして、下記化学式(C)で表されるモノマーCを得た。
[合成例5:高分子垂直配向剤A−01の合成]
前記合成例1で得られた液晶モノマー1と、前記合成例3で得られたモノマーAとを、モル比で65:35となるように混合し、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)を加え、40℃で撹拌し溶解させた。溶解後24℃まで冷却し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を加え同温にて溶解させて反応液とした。80℃に加温したDMAcに前記反応溶液を30分かけて滴下し、滴下終了後、80℃で6時間撹拌した。反応終了後室温まで冷却した後、メタノールを加えた別の容器に滴下し20分撹拌した。上澄み液の除去後スラリーをろ過し、得られた粗体を再びメタノール中で20分撹拌、上澄み液の除去後、ろ過をした。得られた結晶を乾燥させることにより高分子垂直配向剤A−01を収率76.5%で得た。得られた高分子垂直配向剤A−01について、前述のGPCにより質量平均分子量Mwを測定した結果、8700であった。また、得られた高分子垂直配向剤A−01について、H−NMRにより構造解析を行った結果、液晶モノマー1とモノマーAとの共重合比(モル比)は、67:33であった。
[合成例6〜8:高分子垂直配向剤A−02〜A−04の合成]
前記高分子垂直配向剤A−01の合成において、一般式(II)で表される構成単位を誘導する液晶モノマーと、一般式(I)で表される構成単位を誘導するモノマーの組合せを表9に従って変更した以外は、前記高分子垂直配向剤A−01の合成と同様にして、高分子垂直配向剤A−02〜A−04を得た。得られた高分子垂直配向剤A−02〜A−04のそれぞれについて、前述のGPCにより質量平均分子量Mwを測定し、H−NMRにより構造解析を行った。質量平均分子量(Mw)、及び液晶モノマーとモノマーとの共重合比(モル比)の測定結果を表9に示す。
[実施例1]
(1)重合性組成物の製造
前記製造例1で得られた化合物1(70質量部)、前記合成例5で得られた高分子垂直配向剤(A−01)(30質量部)、及び光重合開始剤(チバスペシャリフィケミカルズ社製、イルガキュア907)(4質量部)をシクロヘキサノン(400質量部)に溶解させることにより、重合性組成物1を調製した。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
厚み38μmのPET基材の片面に、2−フェノキシエチルアクリレートと、テトラヒドロフルフリルアクリレートと、ジペンタエリスリトールトリアクリレートと、ビス(2−ビニルオキシエチル)エーテルとを1:1:4:5の質量比で混合し、更に、重合開始剤としてLucirin TPO(BASF社製)を4質量%の割合で添加した混合物を、硬化後の膜厚が3μmになるようにコーティングし、積算露光量20mJ/cmで紫外線を照射して硬化膜とした。
続いて、前記硬化膜上に、前記重合性組成物1を、硬化後の膜厚が1.1μmになるように塗布し、成膜した。その後、110℃で120秒乾燥させた後に、積算露光量120mJ/cmで紫外線を照射して位相差層を形成し、実施例1の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
[実施例2〜6及び8〜10、比較例1〜9]
(1)重合性組成物の製造
実施例1の「(1)重合性組成物の製造」において、重合性液晶化合物の種類及び添加量、並びに高分子垂直配向剤の種類及び添加量を、表10に従って変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6及び8〜10の重合性組成物2〜6及び8〜10、並びに比較例1〜9の比較重合性組成物1〜9を得た。なお、実施例2〜10及び比較例1〜9においては、重合性液晶化合物と高分子垂直配向剤の添加量の合計が100質量部となるようにした。比較例5〜9では、垂直配向剤を添加せず、重合性液晶化合物の添加量を100質量部とした。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
実施例1の「(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製」において、重合性組成物1に代えて、前記で得られた重合性組成物2〜6及び8〜10又は比較重合性組成物1〜9を用い、位相差層の硬化後の膜厚が表10に記載の膜厚となるように、重合性組成物の塗工量を調整した以外は、実施例1と同様にして、位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
[実施例7]
(1)重合性組成物の製造
実施例1の「(1)重合性組成物の製造」において、重合性液晶化合物及び高分子垂直配向剤の添加量を表10に従って変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2で得た重合性組成物2と同様の重合性組成物7を得た。
(2)位相差フィルム乃至転写用積層体の作製
ガラス板上に、重合性組成物7を硬化後の膜厚が1μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、成膜した。その後、110℃で120秒加熱乾燥させた後に、積算露光量120mJ/cmで紫外線を照射して位相差層を形成し、実施例7の位相差フィルム乃至転写用積層体を得た。
[評価]
<サンプル作成>
実施例1〜6及び8〜10、比較例1〜9においては、得られた位相差フィルム乃至転写用積層体を、粘着層付きガラス板(30mm×30mm)に転写し、PET基材を剥離することにより、粘着層付きガラス板上に位相差層及び前記硬化膜が転写された測定サンプルを得た。
実施例7においては、得られた位相差フィルム乃至転写用積層体を、30mm×30mmに裁断することにより、ガラス板上に位相差層を有する測定サンプルを得た。
各測定サンプルを用いて下記評価を行った。
<垂直配向性>
測定サンプルをクロスニコル下で目視観察し、下記評価基準に基づき垂直配向性を評価した。評価結果を表10に示す。
[垂直配向性評価基準]
A:30mm×30mmの範囲のうち、白い部分の合計が1%未満であり、実用上の問題はない
B:30mm×30mmの範囲のうち、白い部分の合計が1%以上10%未満である
C:30mm×30mmの範囲のうち、白い部分の合計が10%以上である
上記垂直配向性評価がAであれば、垂直配向性に優れている。
<位相差値>
位相差測定装置(王子計測機器(株)社製、KOBRA−WR)を用いて、波長550nmに対する面内位相差R0、及び波長550nmに対する厚み方向位相差Rthを測定した。測定結果を表10に示す。
<波長分散性>
位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA−WR)を用い、波長分散特性の測定モード、傾斜中心軸が進相軸の設定にて、波長450nm、550nm、650nmに対し、入射角を位相差層の法線方向に対して50°傾斜した角度としたときの位相差R50を測定し、下記式より算出されるR50(450/550)及びR50(650/550)を求めた。算出結果を表10に示す。
R50(450/550)=(450nmにおける位相差R50)/(550nmにおける位相差R50)
R50(650/550)=(650nmにおける位相差R50)/(550nmにおける位相差R50)
R50(450/550)が1未満、且つR50(650/550)が1超過であれば、逆波長分散性であり、R50(450/550)が1超過、且つR50(650/550)が1未満であれば、正常分散性である。R50(450/550)は、逆波長分散性の点から、0.70以上0.85未満が望ましい。
<ヘイズ>
ヘイズメーター((株)村上色彩技術研究所製、HM−150N)を用い、JIS K7136に準拠して、測定サンプルのヘイズ値を測定した。
(ヘイズの評価基準)
A:ヘイズが0.5%未満で膜面状態が良好である
B:ヘイズが0.5%以上で膜面状態が白濁である
表10より、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物と、前記一般式(I)で表される構成単位及び前記一般式(II)で表される構成単位を有する高分子垂直配向剤とを組み合わせて含有する実施例1〜10の重合性組成物を用いて形成された位相差層は、優れた垂直配向性及び逆波長分散性を有しており、ヘイズ値が低く、透明性に優れ、更に、面内位相差R0が小さく、面内均一性にも優れていた。実施例1と実施例2との対比からは、高分子垂直配向剤の配合比率を減らしても、良好な垂直配向性及び逆波長分散性を示すことが明らかにされた。また、実施例2のRthが、比較例1のRthに比べて絶対値が大きいことから、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を用いた位相差層は、複屈折率(Δn)が大きく、薄膜化に対応可能なものであることが明らかにされた。実施例6は、他の実施例及び比較例よりも重合性組成物の塗工量を減らし、位相差層を薄膜化したものであるが、良好な垂直配向性及び逆波長分散性を示していた。また、実施例7により、ガラス基材上に位相差層を形成した場合も、良好な垂直配向性及び逆波長分散性を示すことが明らかにされた。
比較例1では、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を用いずに、従来の逆波長分散性を有する化合物を用いたため、逆波長分散性を有する化合物が垂直配向し難く、更に複屈折率(Δn)も小さかったため、形成された位相差層は、Rthの絶対値が小さく、垂直配向性が不十分であることにより、逆波長分散性も不十分であった。
比較例2では、前記特定の高分子垂直配向剤を用いずに、ポリ(9−ビニルカルバゾール)を用いたため、形成された位相差層は、垂直配向性に劣り、逆波長分散性も不十分であり、透明性も劣っていた。
比較例3では、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を用いずに、従来の逆波長分散性を有する化合物を用い、更に、前記特定の高分子垂直配向剤を用いずに、ポリ(9−ビニルカルバゾール)を用いたため、形成された位相差層は、垂直配向性に劣り、逆波長分散性も不十分であり、透明性も劣っていた。
比較例4では、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を用いずに、正常分散性を有する液晶化合物を用いたため、正常分散性を示す位相差層が得られた。
比較例5〜9では、垂直配向剤を用いなかったため、形成された位相差層は垂直配向性を示さなかった。また、比較例5〜9で形成された位相差層は、透明性も劣っていた。なお、比較例5〜9では位相差の測定を行っていない。
1 位相差層
2、2’ 基材
3 配向膜
10、10’、10” 位相差フィルム
11、21、31 位相差層
12、22、32 第二の基材
13、23、33 配向膜
15、25、35 剥離可能な支持体
16、26、36 位相差層を含む転写層
17 配向膜と位相差層との界面
27 第二の基材と配向膜との界面
20、30、40 転写用積層体
50 偏光板
60 光学部材
71 透明電極層
72 発光層
73 電極層
100 発光表示装置

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される重合性液晶化合物と、
    下記一般式(I)で表される構成単位、及び下記一般式(II)で表される構成単位を有する高分子垂直配向剤と、を含有する、重合性組成物。
    (一般式(1)中、L、L、L及びLはそれぞれ独立して、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、
    及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
    及びAはそれぞれ独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基Eによって置換されていても良いシクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,3−ジイル基、ベンゼン−1,4−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表し、
    及びRはそれぞれ独立して、下記一般式(R−1)から選ばれる基を表し、
    一般式(R−1): −L−Rsp1−Z
    一般式(R−1)中、Lは、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−CHCH−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CHCH−、−OCO−CHCH−、−CHCH−COO−、−CHCH−OCO−、−COO−CH−、−OCO−CH−、−CH−COO−、−CH−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、Rsp1は、炭素原子数1以上20以下のアルキレン基又は単結合を表し、当該アルキレン基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、Zは重合性官能基を表す。
    及びDはそれぞれ独立して、下記一般式(D−1)から選ばれる基を表し、
    置換基E、E及びEはそれぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基を表し、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子によって置換されていても良く、或いは、置換基E、E及びEはそれぞれ独立して、−L−RspE−Zで表される基を表しても良く、ここでL、RspE、及びZは、それぞれ、前記L、Rsp1、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L、Rsp1、及びZと同一であっても異なっていても良く、化合物内に置換基E、E及びEがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良く、
    、L、A、及びAがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。
    m1及びm2はそれぞれ独立して1以上4以下の整数を表し、n1及びn2はそれぞれ独立して0以上3以下の整数を表す。)
    (一般式(D−1)中、Gは水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表すが、当該アルキル基は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、
    は、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基を表すが、当該芳香環は無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、
    は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−NQ−、−N=CQ−、−CO−NQ−、−OCO−NQ−又は−O−NQ−を表し、Qは水素原子、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルケニル基、芳香環を有する炭素原子数2以上30以下の有機基、又は−(L−A−L−Rsp2−Zを表し、当該アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、及び芳香環はそれぞれ、無置換であるか又は1つ以上の前記置換基Eによって置換されていても良く、当該アルキル基は当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基によって置換されていても良く、当該アルキル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−SO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられていても良く、当該シクロアルキル基又はシクロアルケニル基中の1個の−CH−又は隣接していない2個以上の−CH−は各々独立して−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、又は−O−CO−O−に置き換えられていても良く、L、A、L、Rsp2、及びZは、それぞれ、前記L〜L、A3〜A、L、Rsp1、及びZで定義されるものと同一のものを表すが、それぞれ前記L〜L、A3〜A、L、Rsp1、及びZと同一であっても異なっていても良く、qは0以上4以下の整数を表し、L及びAがそれぞれ複数存在する場合は、各々同一であっても異なっていても良い。また、QとQは結合して環を構成していても良い。)
    (一般式(I)中、R11は、水素原子又はメチル基を、R12は、−L11−R13、又は−L11’−R14で表される基を、L11は−(CH−で表される連結基を、L11’は−(CO)n’−で表される連結基を、R13は、ハロゲン原子によって置換されていても良いメチル基、アルキル基によって置換されていても良いアリール基、又は−OR15を、R14及びR15はそれぞれ独立に、置換基を有しても良いアルキル基又は置換基を有しても良いアリール基を表し、n及びn’はそれぞれ独立に2以上18以下の整数を表す。)
    (一般式(II)中、R21は、水素原子又はメチル基を、R22は、−(CH−、又は−(CO)m’−で表される連結基を、L21は、直接結合、又は、−O−、−O−C(=O)−、若しくは−C(=O)−O−で表される連結基を、Ar21は、置換基を有していてもよい炭素原子数6以上20以下のアリーレン基を、R23は、−F、−Cl、−CN、−OCF、−OCFH、−NCO、−NCS、−NO、−NH−CO−R24、−COO−R24、−OH、−SH、−CHO、−SOH、−NR24 、−R25、又は−OR25を、R24は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基を、R25は、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を表し、aは2以上4以下の整数を表し、複数あるL21及びAr21はそれぞれ同一であっても異なっていても良く、m及びm’はそれぞれ独立に2以上10以下の整数を表す。)
  2. 位相差層を有する位相差フィルムであって、前記位相差層が、請求項1に記載の重合性組成物の硬化物を含有する、位相差フィルム。
  3. 請求項1に記載の重合性組成物を成膜する工程と、
    前記成膜された前記重合性組成物中の前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を少なくとも配向させる工程と、
    前記配向させる工程の後に、前記一般式(1)で表される重合性液晶化合物を少なくとも重合する工程とを有する方法により、位相差層を形成する、位相差フィルムの製造方法。
  4. 位相差層と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体とを備え、
    前記位相差層が、請求項1に記載の重合性組成物の硬化物を含有する、
    位相差層の転写に供する転写用積層体。
  5. 請求項2に記載の位相差フィルム上に、偏光板を備える、光学部材。
  6. 位相差層と、前記位相差層を剥離可能に支持した支持体とを備え、前記位相差層が、請求項1に記載の重合性組成物の硬化物を含有する、前記位相差層の転写に供する転写用積層体を準備する工程と、
    少なくとも偏光板を含む被転写体と、前記転写用積層体の前記位相差層とを対向させ、前記被転写体上に前記転写用積層体を転写する転写工程と、
    前記被転写体上に転写された前記転写用積層体から、前記支持体を剥離する剥離工程と、
    を有する、光学部材の製造方法。
  7. 請求項2に記載の位相差フィルム、又は請求項5に記載の光学部材を備える表示装置。
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